JP2002308714A - 生物農薬の製造方法及び生物農薬 - Google Patents

生物農薬の製造方法及び生物農薬

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JP2002308714A
JP2002308714A JP2002012755A JP2002012755A JP2002308714A JP 2002308714 A JP2002308714 A JP 2002308714A JP 2002012755 A JP2002012755 A JP 2002012755A JP 2002012755 A JP2002012755 A JP 2002012755A JP 2002308714 A JP2002308714 A JP 2002308714A
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Kazunori Nakamura
和憲 中村
Yoichi Kamagata
洋一 鎌形
Osamu Koyama
修 小山
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Kankyo Engineering Co Ltd
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Kankyo Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土壌中の水分で膨潤させることで拮抗菌の生
命活動が回復できるように、活性を維持した状態で容易
に且つ経済的に拮抗菌を固定することができ、実際に農
場土壌中に撒いて使用した場合において、生物農薬とし
て充分に機能し、長期間にわたって効果が持続する製品
が得られ、しかも余剰汚泥の有効利用が図れる生物農薬
の製造方法の提供、及びこれにより得られる生物農薬の
提供。 【解決手段】 活性汚泥施設から排出される余剰汚泥
に、少なくとも1種類の拮抗微生物を混合し、得られた
混合物を40℃以下の温度で固形物のまま乾燥して、水
分含有量が最終的に20%以下となるように調整するこ
とを特徴とする生物農薬の製造方法、及び該方法で得ら
れた生物農薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生物農薬の製造方
法及び該方法で得られた生物農薬に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、植物の病原菌に対して拮抗作
用を有する微生物(拮抗微生物、以下、拮抗菌と呼ぶ)
を積極的に病害抑制に使用する生物農薬の研究は多くさ
れているが、どれも試験管レベルでの成功例で、実際の
農場での成功例は極めて少ない。ここで、拮抗菌とは、
特定菌の増殖や活動を抑制する微生物のことであり、病
原菌の増殖や活動を抑制することで、結果的に植物に対
する病害の軽減を可能とできるもののことである。安全
性や環境破壊が懸念される農薬の使用量を軽減する有機
農業や、減農薬或いは無農薬農業といった生態系活用型
(環境保全型)農業への移行が叫ばれている現状におい
ては、かかる拮抗菌を使用する生物農薬の技術は夢の技
術といっても過言ではなく、その開発が望まれている。
【0003】しかしながら、上記したように、実際の農
場での成功例は少ないのが現状である。その理由として
は、農場土壌には多種多様のおびただしい数の土壌細菌
が存在しており、このような農場に、拮抗菌を例え一時
期に多量に撒いたとしても、他の微生物(従来よりその
土壌中に住み着いているもの)との競合に負けてしま
い、その土壌中に根付くことかできないことが多いため
であると考えられる。
【0004】従って、なんらかの方法で拮抗菌を固定化
できれば、これを散布することで土壌中に拮抗菌が常に
棲息している状態を形成することが可能となり、拮抗作
用による植物の病害軽減効果の継続が期待できる。従来
より知られている拮抗菌の固定化方法としては、例え
ば、ポリビニルアルコール等に拮抗菌を固定化する方法
や、その他に、カプセル化することで拮抗菌の活性を維
持させようとする試みも知られている。しかしながら、
これらの方法はコストが高く、実用的ではない。更に、
生ゴミ、大豆カス、油カス、フスマ、汚泥等の有機性廃
棄物を減容化し、しかも肥料としての利用をも目的とす
る技術に、有機性廃棄物を発酵腐熟させて肥料とするコ
ンポスト化があるが、この技術を利用することも試みら
れている。即ち、コンポスト化の際に、拮抗菌を種微生
物として使用すれば、拮抗菌を培養するための培地にか
かるコストを低減でき、しかも、得られた製品を施肥し
た場合に拮抗菌による植物に対する病害の軽減も期待で
きる。しかしながら、有機性廃棄物のコンポスト化によ
り得られた製品中には窒素やリン分が豊富に含まれてい
るため肥料としては有用であるが、本発明者らの検討に
よれば、肝心の拮抗作用については、単に拮抗菌が多い
コンポストと言うだけであり、コンポスト製品に、純粋
培養した拮抗菌を混合した状態のものと何ら変わりがな
かった。
【0005】即ち、上記したコンポスト化を利用した方
法によって得られたものは、拮抗菌が何らかの担体に固
定化されているわけではないため、拮抗菌を直接撒いた
場合となんら変わりがない。また、コンポスト化する際
には40℃よりも高い温度を長時間に渡って受けるた
め、熱に弱い拮抗菌は使用できないという問題もある。
更に、有機性廃棄物をコンポスト化するには20〜40
日程度と長期間かかるため、製造に時間がかかるという
経済上の問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、土壌中の水分で膨潤させることで拮抗菌の生命活動
が回復できる状態に、活性を維持した状態で容易に且つ
経済的に拮抗菌を固定することができ、実際に農場土壌
中に撒いて使用した場合において、生物農薬として充分
に機能し、長期間にわたって効果が持続する製品が得ら
れる生物農薬の製造方法、及び該方法で得られた生物農
薬を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成される。即ち、本発明は、活性汚泥施
設から排出される余剰汚泥に少なくとも1種類の拮抗微
生物を混合し、得られた混合物を40℃以下の温度で固
形物のまま乾燥して、水分含有量が最終的に20%以下
となるように調整することを特徴とする生物農薬の製造
方法、又、より好ましい実施の形態としては、上記にお
いて、混合物を乾燥する際に、乾燥機内の湿度を50%
以下に保持すること、或いは、拮抗微生物として純粋培
養されたものを用い、且つ、これを、重量基準で、含水
率80〜85%の余剰汚泥100に対して0.01〜7
0%の割合で使用すること、或いは、余剰汚泥として、
食品工場又は下水処理場から排出された汚泥を使用する
こと、或いは、拮抗微生物として、有機性植物残渣を使
用した固体培養方法によって培養されたものを使用する
ことが挙げられる。更に、本発明の別の実施形態として
は、上記した何れかの生物農薬の製造方法によって得ら
れた生物農薬である。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を更に詳細に説明する。本発明者らは、上記従
来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明者が
開発した乾燥固定化微生物を得る方法を利用すれば、拮
抗菌の生命活動が損なわれることなく、容易に且つ経済
的に拮抗菌を固定することができ、実際に農場に撒いて
使用した場合に、生物農薬として充分に機能し得る製品
が得られることを見出して本発明を達成した。更に、そ
の際に、活性汚泥施設から発生する余剰汚泥を利用でき
るので、本発明によれば、その処理が問題となっていた
余剰汚泥の有効活用が図れるという別の効果も得られ
る。
【0009】乾燥固定化微生物を得る方法については、
特公平4−48436号公報及び特公平6−73451
号公報に記載されているが、培養若しくは自然界より採
取された微生物を70℃以下の温度で脱水し、固定形状
のまま乾燥処理して水分含有率を85%以下に調整する
ことによって乾燥固定化微生物を得ている。かかる乾燥
固定化微生物は、上記の方法によって細胞間隙の水分が
実質的に排除される結果、菌体同士が固着結合した状態
のものとなる。そして、このようにして得られた乾燥固
定化微生物は、水と接触させると水分を吸収して膨潤す
るが、この際に膨潤後の固着形態は崩れることなく、し
かも微生物の活性が維持されたものとなる。
【0010】本発明者らは、かかる技術を利用して拮抗
菌を活性を維持した状態で固定することの可能性につい
て種々検討した結果、微生物として活性汚泥施設、特に
好ましくは食品工場から排出される余剰汚泥を使用し、
更に、予め培養した拮抗微生物を混ぜて、得られた混合
物を40℃以下の温度で脱水して固形状態のまま乾燥
し、水分含有量が最終的に20%以下となるように調整
すれば、添加した拮抗菌の生命活動を損なうことなく、
拮抗菌を容易に且つ経済的に余剰汚泥に固定できること
を見いだした。以下、その方法について詳細に説明す
る。
【0011】活性汚泥施設から排出される余剰汚泥は、
有機性廃水を好気性微生物により処理した結果生じる余
剰分となる活性汚泥であるが、その内容は、増殖した細
菌や各種原生動物等の微生物類と、細菌によって凝集さ
せられたゼラチン質の無生物の有機物等からなってい
る。かかる余剰汚泥は、通常は、埋め立てられるか、脱
水して焼却処分されているが、その処理コストの問題、
これに加えて近年では、廃棄処理によって生じる環境破
壊の問題が重要なものとなっている。
【0012】本発明は、上記したような余剰汚泥の有効
利用の途を開くものでもある。余剰汚泥としては、何れ
の活性汚泥処理施設からのものも使用可能であるが、農
場土壌に撒いた場合に、土壌汚染の問題が発生すること
のないように、重金属等の物質が含有される恐れのない
余剰汚泥を使用することが好ましい。このようなものと
しては、例えば、下水処理場から排出される余剰汚泥
や、食品加工や食品の調理を行う食品工場からの有機性
廃水を処理した結果排出される余剰汚泥を使用すること
が好ましい。余剰汚泥としては、活性汚泥施設の曝気槽
や最終沈澱池から出されるものをそのまま使用してもよ
いが、フィルタープレス等で脱水処理された、いわゆる
脱水ケーキを使用することが好ましい。
【0013】更に、本発明においては、その取扱い性に
優れると共に、農薬として使用した場合に高い効果が得
られるために、粒状化処理された余剰汚泥を使用するこ
とが好ましい。この際、脱水、乾燥及び粒子化は適宜に
行なえばよい。例えば、沈澱槽内や曝気槽内から排出さ
れる余剰汚泥をフィルタープレス等で脱水した後、固形
形状のまま所定の温度で乾燥し、その後、粉砕すること
により粒子状の固定化物を得る方法や、脱水物を適度に
固形形状のまま半乾燥させた後、カッター等により裁断
して粒子化した後、固定化強度を増加させるために更に
乾燥する方法等を使用することができる。
【0014】本発明においては、このような余剰汚泥に
対して、予め培養した特定の植物の病原菌に対して拮抗
作用がある拮抗菌を混合し、その後に40℃以下の温度
で脱水し、固定状態のまま乾燥処理する。この際に使用
する拮抗菌としては、公知のものを何れも使用できる。
具体的には、例えば、細菌では、バチルス属、シュード
モナス属、ロードコッカス属、キサントモナス属、カビ
では、グリオクラジウム属、トリコデルマ属、ストレプ
トミセス属、ベルティシリウム属、ペニシリウム属、ア
スペルギルス属等から選択される拮抗菌であって、予め
微生物学的に純粋培養された少なくとも1種の拮抗菌を
使用することができる。
【0015】これらの中でも、例えば、りんご、梨、ブ
ドウ及びみかん等といった果実の白紋羽病や紫紋羽病の
病原菌に有効なバチルス属のKN−2株、トリコデルマ
属のKF−1株等が挙げられる。しかしながら、本発明
は、勿論これに限定されない。
【0016】以上に列挙したような拮抗菌は、予め、肉
汁等の液体や、フスマやオカラや小豆カスといった有機
性植物残渣からなる固体を培地として用いて培養した
後、余剰汚泥に混合させることが好ましいが、培養方法
としては、従来公知の微生物学的純粋培養方法を使用す
ればよい。本発明の生物農薬の製造方法においては、余
剰汚泥の脱水ケーキに対して、肉汁等で純粋培養された
拮抗菌を、例えば、含水率80〜85%の余剰汚泥10
0に対して0.01〜70%、より好ましくは、1〜5
0%の割合で混合し、その後、乾燥処理すればよい。そ
して、最終的に得られる生物農薬1グラム当たりに、拮
抗菌が104〜1010cells程度、更には、106〜109
cellsの範囲で含まれるように調製することが好まし
い。
【0017】更に、上記拮抗菌に加えて余剰汚泥に、マ
ルトースや、ジメチルスルホキシド[(CH3)2SO]
や、スキムミルク等を補助剤として添加することも好ま
しい。又、その使用割合としては、乾燥処理の前の含水
率80〜85%の余剰汚泥に対して、重量基準で、1〜
20%程度添加することができる。
【0018】本発明において、上記のような拮抗菌を含
む微生物を、その活性を維持した状態で余剰汚泥中に固
定化処理する方法としては、拮抗菌と余剰汚泥との混合
物を40℃以下の温度、より好ましくは30℃以下の温
度、即ち、やや高めの常温で脱水処理し、固形形状のま
ま乾燥処理する。かかる温度は、乾燥を促進させるため
のものであって、その具体的な温度は、目的とする微生
物の温度耐性に応じて適宜に決定すればよい。更に、本
発明においては、菌体の固定化強度を高める目的で、処
理された菌体の水分含有量を細胞間隙の水分がなくなる
まで十分に乾燥させることが望ましい。具体的には、細
胞間隙の水分を減少させ、微生物の細胞同士が、固着固
定化するまで乾燥し、最終的に水分含有量が20%以下
となるようにする。更には、最終的な水分含有量が10
%以下程度となるようにすることが好ましい。上記のよ
うな水分含有量のものを容易に得るためには、拮抗菌と
余剰汚泥との混合物を乾燥する際に、乾燥機内の湿度を
50%以下、好ましくは40%以下に保持して、除湿し
ながら乾燥することがより望ましい。
【0019】細胞同士の固着固定は、微生物の水分含有
量を固形形状のまま20%以下となるように調整するこ
とで、微生物が生育中に菌体外に産生した多種多様な物
質、特に、多糖、蛋白、糖蛋白等の高分子物質が、脱
水、乾燥されると共に変性される結果、細胞間の結合強
度が増加することによって生じるものと考えられる。こ
の際、混合させた拮抗菌も余剰汚泥に含まれる細菌と同
様に、細胞同士の固着固定が行われる。上記した固定化
処理にかかる処理時間は、約1日程度であり、先に述べ
たコンポストにおいては数十日かかっていたのに対し
て、格段に製造時間を短くすることができる。従って、
コンポスト化する場合と比較して拮抗菌が長時間に渡っ
て高い温度に曝されることがないので、使用できる拮抗
菌の種類もコンポスト化の場合と比べて格段に広くな
り、上記方法によれば、多様な生物農薬の製造が可能と
なる。
【0020】本発明にかかる生物農薬は、上記したよう
な方法で、拮抗菌を含む微生物が混合されている余剰汚
泥を乾燥することによって菌体の水分含有量を低下さ
せ、その際に微生物の菌体外生成物が一種のバインダー
となって細胞同士が固着固定化されることで形成され
る。従って、このような方法で得られる本発明の生物農
薬は、余剰汚泥と拮抗菌、更に必要に応じて適宜に添加
される補助剤のみからなり、いかなるバインダーも存在
するものではないにもかかわらず、細胞同士が固着固定
化された状態で形成される。上記のようにして乾燥する
ことで一旦固定化された乾燥固定化微生物(例えば、拮
抗菌)は、農場に撒かれた場合に、土壌中の水分と接触
して膨潤する。そして、膨潤することで、余剰汚泥中に
固定されていた拮抗菌等が再び活性を取り戻すので、農
場中で、植物に対する病原菌の増殖や活動抑制する拮抗
作用を発揮して植物に対する病害の軽減に効果を示す。
又、本発明の生物農薬は、先に述べたように十分な強度
を有するものであるので、農場に撒く場合の取扱性にも
優れる。
【0021】更に、本発明にかかる生物農薬は、拮抗菌
が乾燥汚泥の中に固定化された状態となっていて、土壌
中の水で膨潤されることで初めて拮抗菌が活性を取り戻
す状態となるため、農場土壌中に拮抗菌が常に存在する
状態を形成させることができる。このため、拮抗菌の効
果を長期間に渡って持続させることができる。又、拮抗
菌の固定化資材として、廃棄処分や埋立処分をする必要
がある余剰汚泥を使用するものであるため、製造コスト
を低く抑えることが可能である等の効果もある。更に、
先に述べたように、余剰汚泥は、増殖した細菌や各種原
生動物等の微生物類と、細菌によって凝集させられたゼ
ラチン質の無生物の有機物等からなるため、拮抗菌の良
好な固定材料となると共に、余剰汚泥をコンポスト化し
た場合と同様に、肥料としても機能する。
【0022】
【実施例】次に、本発明の実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。 <実施例1>リンゴの白紋羽病や紫紋羽病の病原菌であ
る、Rosellina necatrix、Helicobasidium monpaに対
して拮抗作用のあるバチラス属の細菌KN−2株を、滅
菌した10kgのオカラに103cells/gになるように
植菌し、27℃で7日間培養した。その後、培養した培
養物と食品工場から排出される余剰汚泥(含水率85%
の脱水ケーキ)とを重量比で1:1で混合した。その
後、湿度40%、30℃の条件で含水率が15%になる
まで乾燥し、生物農薬を得た。
【0023】図1のフローを参照しながらその手順を説
明する。本実施例では、先ず、固体であるオカラを使用
した上記の固体培養法を用いてバチラス属の細菌KN−
2株を培養した。次に、上記で得た菌が培養されている
オカラ(培養物)を余剰汚泥と、湿重量比で、培養物:
余剰汚泥=1:1で混合した。余剰汚泥は、滅菌せずに
そのまま用いた。次に、上記で得られた混合物を、35
〜37℃で、湿度20%程度の条件下で乾燥した。この
ようにして得られた生物農薬の中に拮抗菌は、109cel
ls/gの割合で存在していた。尚、上記においては、拮
抗菌の培養に固体培地を用いたが、本発明はこれに限定
されず、例えば、大豆の煮汁等の液体を拮抗菌を培養す
る培地として使用してもよい。
【0024】りんごの白紋羽病におかされている5本の
試験木の根元の土壌に、上記で得られた生物農薬を土壌
1m3当たり1kgの割合で混合させて、使用した生物
農薬による効果を調べた。これと並行して、上記と同様
にりんごの白紋羽病におかされている試験木を用いて、
下記の2方法による比較試験を行った。比較試験の一つ
として、試験木の根元の土壌に生物農薬を混合させない
状態とした試験木5本を用意した。又、別の比較試験と
して、実施例1で使用したと同様の余剰汚泥を用い、拮
抗菌を添加することなく実施例1と同様の条件で常温乾
燥して得られた乾燥汚泥を、試験木の根元の土壌に実施
例1と同様の割合で混合させた試験木5本を用意した。
これらの状態で1年が経過した後、それぞれの試験木の
状態を観察したところ、根元の土壌に本実施例で得られ
た生物農薬を入れた系では試験木は5本とも健在であ
り、更に、被害樹の根についている白紋羽病の菌糸量も
低減していた。これに対して、比較系では、何れの場合
も、5本の試験木中3本の試験木が枯死していた。以上
の結果、本実施例で得られた生物農薬を用いたことによ
る明確な効果を確認することができた。
【0025】<実施例2>リンゴの白紋羽病や紫紋羽病
の病原菌である、Rosellina necatrix、Helicobasidium
monpaに対して拮抗作用のあるトリコデルマ属のカビ
KF−1株を、滅菌した小麦フスマ10kgに103cel
ls/gになるように植菌し、27℃で7日間培養した。
その後、培養した培養物と食品工場から排出される余剰
汚泥(含水率85%の脱水ケーキ)とを、重量比で1:
1で混合した。その後、湿度40%、30℃の条件で含
水率が15%になるまで乾燥し、生物農薬を得た。この
中に、拮抗菌は109cells/gの割合で存在していた。
【0026】りんごの白紋羽病におかされている5本の
試験木の根元の土壌に、上記で得られた生物農薬を土壌
1m3当たり1kgの割合で混合させて、使用した生物
農薬による効果を調べた。これと並行して、上記と同様
にりんごの白紋羽病におかされている試験木を用いて、
下記の2方法による比較試験を行った。比較試験の一つ
として、試験木の根元の土壌に生物農薬を混合させない
状態とした試験木5本を用意した。又、別の比較試験と
して、実施例2で使用したと同様の余剰汚泥を用い、拮
抗菌を添加することなく実施例2と同様の条件で常温乾
燥して得られた乾燥汚泥を、試験木の根元の土壌に実施
例2と同様の割合で混合させた試験木5本を用意した。
これらの状態で1年が経過した後、それぞれの試験木の
状態を観察したところ、根元の土壌に本実施例で得られ
た生物農薬を入れた系では試験木は5本とも健在であ
り、更に、被害樹の根についている白紋羽病の菌糸量も
低減していた。これに対して、比較系では、何れの場合
も、5本の試験木中3本の試験木が枯死していた。以上
の結果、本実施例で得られた生物農薬を用いたことによ
る明確な効果を確認することができた。
【0027】<比較例1>リンゴの白紋羽病や紫紋羽病
の病原菌であるRosellina necatrix、Helicobasidium
monpaに対して拮抗作用のあるバチラス属の細菌KN−
2株を、滅菌した10kgのオカラに103cells/gに
なるように植菌し、27℃で7日間培養した。その後、
湿度40%、30℃の条件で含水率が15%になるまで
乾燥して、本比較例の生物農薬を得た。この中に、拮抗
菌は2×109cells/gの割合で存在していた。りんご
の白紋羽病におかされている5本の試験木の根元の土壌
に、上記で得られた生物農薬を土壌1m3当たり1kg
の割合で混合させて、使用した生物農薬による効果を調
べた。この状態で1年が経過した後、それぞれの試験木
の状態を観察したところ、本比較例の、余剰汚泥を使用
しないで製造した生物農薬を入れた系では、5本中2本
の試験木が枯死した。以上の結果、実施例1で得られた
本発明にかかる生物農薬を用いたことによる明確な効果
を確認することができた。
【0028】<比較例2>リンゴの白紋羽病や紫紋羽病
の病原菌である、Rosellina necatrix、Helicobasidium
monpaに対して拮抗作用のあるトリコデルマ属のカビ
KF−1株を、滅菌した小麦フスマ10kgに103cel
ls/gになるように植菌し、27℃で7日間培養した。
その後、湿度40%、30℃の条件で含水率が15%に
なるまで乾燥し、本比較例の生物農薬を得た。この中
に、拮抗菌は2×109cells/gの割合で存在してい
た。りんごの白紋羽病におかされている5本の試験木の
根元の土壌に、上記で得られた生物農薬を土壌1m3
たり1kgの割合で混合させて、使用した生物農薬によ
る効果を調べた。この状態で1年が経過した後、それぞ
れの試験木の状態を観察したところ、本比較例の、余剰
汚泥を使用しないで製造した生物農薬を入れた系では、
5本中2本の試験木が枯死した。以上の結果、実施例2
で得られた本発明にかかる生物農薬を用いたことによる
明確な効果を確認することができた。
【0029】(評価)実施例1及び2、比較例1及び2
で行った試験木を用いての評価試験で使用した、試験直
後と1年経過後の土壌中の拮抗菌数をそれぞれ測定し
た。その結果、下記表に示したように、1年経過後の土
壌中の拮抗菌数は、実施例では殆ど変化がなかった。一
方、比較のために、実施例1及び2で用いたと同様の拮
抗菌を固体培養後、余剰汚泥を加えないで乾燥して得た
生物農薬を散布した比較例1及び2の場合は、表1に示
したように、1年経過後の土壌中の拮抗菌数が激減して
いることがわかった。以上のことから、本発明の、余剰
汚泥を使用して拮抗菌を固定する方法によれば、比較例
1及び2の、単に、固体培養をして乾燥させて得た生物
農薬を使用した場合と比較して、長期間にわたって土壌
中に拮抗菌を残存させることができることがわかった。
【0030】
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
拮抗菌の生命活動を損なうことなく、拮抗菌を容易に且
つ経済的に固定することができ、実際に農場土壌中に撒
いて使用した場合において、生物農薬として充分に機能
し得る製品が得られる生物農薬の製造方法、及び該方法
で得られた生物農薬が提供される。更に、本発明によれ
ば、従来は廃棄処分されていた余剰汚泥に有効利用の途
を与えることのできる生物農薬の製造方法、及び該方法
で得られた生物農薬が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生物農薬の製造方法を説明するための
フロー図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 和憲 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人産業技術総合研究所 つくばセンター内 (72)発明者 鎌形 洋一 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人産業技術総合研究所 つくばセンター内 (72)発明者 小山 修 東京都千代田区東神田1−9−8 環境エ ンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 4B065 AA15X AC20 BC41 BD10 CA47 4D059 AA05 BD11 BE16 BF15 BJ00 BK09 BK11 CC10 DB40 EB01 EB06 EB20 4H011 AA01 AA03 BA01 BB21 BC20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性汚泥施設から排出される余剰汚泥に
    少なくとも1種類の拮抗微生物を混合し、得られた混合
    物を40℃以下の温度で固形物のまま乾燥して、水分含
    有量が最終的に20%以下となるように調整することを
    特徴とする生物農薬の製造方法。
  2. 【請求項2】 混合物を乾燥する際に、乾燥機内の湿度
    を50%以下に保持する請求項1に記載の生物農薬の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記拮抗微生物として純粋培養されたも
    のを用い、且つ、これを、重量基準で、含水率80〜8
    5%の余剰汚泥100に対して0.01〜70%の割合
    で使用する請求項1に記載の生物農薬の製造方法。
  4. 【請求項4】 余剰汚泥が、食品工場又は下水処理場か
    ら排出されたものである請求項1に記載の生物農薬の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記拮抗微生物として、有機性植物残渣
    を使用した固体培養方法によって培養されたものを使用
    する請求項1に記載の生物農薬の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項1〜5の何れか1項に記載の
    生物農薬の製造方法で製造されたことを特徴とする生物
    農薬。
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