JP2002303465A - 熱電子ヒートポンプ - Google Patents

熱電子ヒートポンプ

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JP2002303465A
JP2002303465A JP2001104106A JP2001104106A JP2002303465A JP 2002303465 A JP2002303465 A JP 2002303465A JP 2001104106 A JP2001104106 A JP 2001104106A JP 2001104106 A JP2001104106 A JP 2001104106A JP 2002303465 A JP2002303465 A JP 2002303465A
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JP
Japan
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anode
cathode
heat
heat pump
electrode
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JP2001104106A
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Yuji Mukai
裕二 向井
Yoshitaka Kawasaki
良隆 川崎
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B2321/00Details of machines, plants or systems, using electric or magnetic effects
    • F25B2321/003Details of machines, plants or systems, using electric or magnetic effects by using thermionic electron cooling effects
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B30/00Energy efficient heating, ventilation or air conditioning [HVAC]

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱電子ヒートポンプは高温側の陽極2と低温
側の陰極1が対向して配置しているため、輻射熱によっ
て熱が高温側から低温側へ移動してしまい、冷却性能お
よび加熱性能が低下してしまうという課題があった。 【解決手段】 被冷却物と熱的に接触された陰極と、被
加熱物と熱的に接触された陽極を対向して配置し、前記
陰極と前記陽極に各々負電圧と正電圧を印加する電源を
有し、前記して対向した陰極1と陽極2の一方の面また
は両方の面に、凹部を設けることにより電極表面から輻
射熱の輻射を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電子を用いたヒ
ートポンプの性能向上に係る構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱電子を用いたヒートポンプの構成に関
する技術として、ジャーナル・オブ・アプライド・フィ
ジックス、76巻7号(1994年)4362頁、およ
び米国特許5675972号公報、米国特許59810
71号公報、米国特許6089311号公報等がある。
【0003】この従来の技術を図5を参照にしながらそ
の動作を説明する。図5は熱電子を用いたヒートポンプ
の概略構成図である。このヒートポンプは、被冷却物
(図示せず)と熱的に接触された陰極1と、被加熱物
(図示せず)と熱的に接触された陽極2と、これらの電
極に各々負電圧と正電圧を印加して電流を供給するため
の電源3と、両電極の表面に被覆された低仕事関数物質
4から構成されている。陰極1と陽極2はスペーサ6を
用いて真空空間5を介して対向して配置されている。低
仕事関数物質4は熱電子ヒートポンプの動作温度で熱電
子7を放出する材料であり、仕事関数が約0.3eV程
度のものが用いられる。具体的な材料としては上記米国
特許公報に、クラウンエーテルやアザクラウンとアルカ
リ金属との錯体、あるいは不純物をドーピングしたダイ
ヤモンド等が記載されている。
【0004】低仕事関数物質4の表面からは、その接触
する電極の温度により熱エネルギーを供給された熱電子
7が真空空間5内に放出されている。電源3を用いて図
のように電圧を印加すると、陰極1表面の低仕事関数物
質4から熱電子7が放出され、真空空間5を移動して陽
極2へ取り込まれる。熱電子が放出される際には、低仕
事関数物質4の有する熱を運動エネルギーとして奪い取
って出て行くため、低仕事関数物質4およびそれに熱的
に接触した陰極1は冷却される。一方、運動エネルギー
を持った熱電子7が供給される陽極2は温度が上昇す
る。このようにして陰極1は冷却されると同時に陽極2
は加熱される。すなわち、陰極1はその周辺から冷熱8
を吸熱し、陽極2は温熱9を放熱してヒートポンプとし
て動作する。
【0005】この熱電子ヒートポンプは機械的なコンプ
レッサーを必要としないため小型であり、フロンガス等
を使用しないため環境問題を引き起こすことがない。し
かも、ヒートポンプ効率が著しく高いという特徴を有す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
では高温側の陽極2と低温側の陰極1が対向して配置し
ているため、陽極2から陰極1へ輻射によって熱が移動
してしまい、その分の熱を陽極2が失い逆に陰極1が加
熱され、加熱性能および冷却性能が低下してしまうとい
う課題があった。
【0007】この状況を図6を用いて簡単に説明する。
上述の従来技術の場合、低仕事関数物質4は陽極2に接
触しているため高温状態にあり、その表面からは温度に
応じた熱輻射が放出される。この輻射熱は低温側の陰極
1へ移動し、ヒートポンプ性能を減少させる。この熱量
は例えば食品冷凍機について算出すると、陽極2を30
℃、陰極1を−30℃とした場合、電極面積1平方cm
あたり0.028Wになる。前述のジャーナル・オブ・
アプライド・フィジックス、76巻7号(1994年)
4362頁に記載されている熱電子ヒートポンプのCO
P計算方法に、熱輻射による熱の移動を加味した場合を
考慮し、上記温度条件のCOPを算出した結果が図6で
ある。図6のグラフの横軸は低仕事関数物質4の仕事関
数値であり、図中の実線は熱輻射による熱の移動を考慮
した場合、破線は熱輻射による熱の移動が完全に抑制さ
れた場合である。図に見られるように、低仕事関数物質
4の仕事関数値が約0.24eV以上では輻射による熱
の移動のためにCOPが低下してしまう。この現象は特
に仕事関数値が0.3eV以上ではより顕著である。す
なわち、仕事関数値が0.3eV以上では熱輻射による
高温側から低温側への熱移動のために冷却性能が低下
し、COPも大幅に低下してしまう。これは熱電子ヒー
トポンプの根本的に重要な課題である。
【0008】また、低仕事関数物質4として仕事関数値
が約0.24eV程度の材料を用いた場合でも、一般的
に仕事関数の値は電子放出表面の汚染や気体の吸着等に
よって敏感に増加してしまうため、長期間にわたって低
い仕事関数の表面を維持することは困難である。従って
この場合でも、熱輻射を抑制しないとヒートポンプの運
転時間に伴ってその性能が低下してしまう可能性があ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、第1の方法として、被冷却物と熱的に
接触された陰極と、被加熱物と熱的に接触された陽極を
対向して配置し、前記陰極と前記陽極に各々負電圧と正
電圧を印加する電源を有し、前記対向した陰極と陽極の
一方の面または両方の面に、複数の凹部を形成する。
【0010】また、第2の方法として、前記凹部の開口
部の大きさを、各電極温度での輻射熱の放射強度が最大
となる輻射波長以下にする。
【0011】また、第3の方法として、前記凹部を一辺
が5μm以下の矩形形状にする。
【0012】また、第4の方法として、前記凹部を半径
が4μm以下の円形形状にする。
【0013】また、第5の方法として、被冷却物と熱的
に接触された陰極と、被加熱物と熱的に接触された陽極
と、前記陰極と前記陽極の間に配置された第3の電極を
対向して配置し、前記陰極と前記陽極に各々負電圧と正
電圧を印加する電源を配置する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、対向した陰極と陽極の
一方の面または両方の面に、熱輻射を抑制するための複
数の凹部を形成する、もしくは、陽極と陰極との間に第
3の電極を対向して配置することにより電極表面からの
輻射を抑制する。
【0015】本発明の作用効果を説明する前に、先ず放
射強度を表わす図7を用いて輻射熱の特徴について説明
する。室温近傍の物質から放射される輻射熱は、図7に
実線で示すように、10μm程度の最大波長を有し、波
長3μm程度から数十μmに渡る広い分布を有する電磁
波である。図7には、任意の波長以下の輻射熱の積分量
の全輻射熱に対する割合も破線で示している。図7の破
線から、例えば波長10μm以下の輻射熱は全体のおよ
そ30%であることがわかる。なお、図7の特性は室温
近傍の温度の場合であるが、室温から数十℃程度異なっ
ていてもこの特性はほとんど変わらない。
【0016】次に、導電材料からなる凹部について説明
する。この凹部は、電磁波に対する導波管として作用す
る。導波管にはその導波管の幾何学的形状によって決定
される特定の遮断波長が存在し、その遮断波長より長い
波長の電磁波は、導波管を通過することができない。こ
の様子を図8を用いて説明する。
【0017】図8(A)と図8(B)には、各々矩形導
波管12と円形導波管13に波長の異なる電磁波α、
β、γを入射させた場合の概念図である。図8(A)に
おいて、波長の短い電磁波αと中程度の波長の電磁波β
は矩形導波管12内に進入することができる。しかし、
波長の長い電磁波γは矩形導波管12内に進入すること
ができず、矩形導波管12の入り口で反射される。どの
程度の波長の電磁波が導波管内へ進入できるかは、導波
管の遮断波長によって決定される。すなわち、遮断波長
より短い波長の電磁波は導波管内へ進入できるが、それ
よりも長い波長の電磁波は導波管内へ進入できない。矩
形導波管12の矩形形状の開口部の内法の辺長をa、b
とすると遮断波長λは次式で与えられる。
【0018】
【数1】
【0019】従って電極表面に開口部が矩形形状の凹部
を設けておけば、その凹部に対応する遮断波長より長い
波長の電磁波は電極から放射されない。また、凹部を形
成した電極の表面に遮断波長より長い波長の電磁波が照
射されても、その電磁波は凹部で形成される導波管内へ
進入することができないため、電極は電磁波を吸収しな
い。なお、(数1)中のmとnは任意の整数である。
【0020】このように、凹部を形成した電極表面は電
磁波として放射される輻射熱の放出と吸収を抑制するた
め、高温側の陽極から低温側の陰極への熱の移動を抑
え、熱電子ヒートポンプの冷却および加熱性能を向上さ
せることができる。
【0021】なお、矩形導波管の最も短い遮断波長は、
上式においてm=n=1の場合であり、更に矩形導波管
の断面を正方形とし、その内法をa=bとすると、(数
1)から
【0022】
【数2】
【0023】となる。
【0024】また、図8(B)は、円形導波管13の場
合を示したが、この場合も波長の短い電磁波αと中程度
の波長の電磁波βは円形導波管13内に進入することが
できるが、波長の長い電磁波γは円形導波管13内に進
入することができずに円形導波管13の入り口で反射さ
れる。円形導波管の最も短い遮断波長は、その内径をd
とすると
【0025】
【数3】
【0026】によって与えられる。従って電極表面に開
口部が円形形状の凹部を設けておけば、その凹部に対応
する遮断波長より長い波長の電磁波は電極から放射され
ず、また、凹部の表面に遮断波長より長い波長の電磁波
が照射されても、その電磁波は凹部で形成される導波管
内へ進入することができないため、電極は電磁波を吸収
しない。
【0027】このように、電極表面に凹部を設けること
によって、電極間の輻射熱を抑制することができる。
【0028】凹部の具体的な形状としては、一辺が5μ
m以下で深さが2.5μm以上の矩形形状とする。
【0029】(数2)から一辺が5μmの正方形の断面
を有する導波管の遮断波長は10μmであると算出され
る。輻射熱は図7の実線に示した波長分布を有している
が、波長10μm以下の輻射熱量の全輻射熱に対する割
合は図7の破線から約30%程度である。すなわち、電
極の表面に一辺が5μm以下の矩形形状の凹部を形成す
ると、その電極面が放射および吸収する熱量を30%以
下に抑制することができる。これにより、輻射による高
温側の陽極から低温側の陰極への熱の移動を抑え、熱電
子ヒートポンプの冷却および加熱性能を向上させること
ができる。
【0030】なお、凹部の深さは余りにも浅いと導波管
としての作用をなさないため、少なくとも対象とする波
長の1/4程度の深さが必要である。例えば、10μm
の波長を抑制する場合は、約2.5μm程度以上の深さ
が望ましい。
【0031】更に、凹部の他の具体的な形状としては、
半径が4μm以下で深さが2μm以上の円形形状とす
る。
【0032】(数3)から半径が4μmの円形導波管の
遮断波長は約10μmであると算出される。上述と同様
に、波長が10μm以下の輻射熱量の全輻射熱に対する
割合は30%程度であり、電極の表面に半径が4μm以
下の円形形状の凹部を形成すると、その電極面が放射お
よび吸収する熱量を30%以下に抑制することができ
る。これにより、輻射による高温側の陽極から低温側の
陰極への熱の移動を抑え、熱電子ヒートポンプの冷却お
よび加熱性能を向上させることができる。この場合の凹
部も矩形導波管の場合と同様に、約2.5μm程度以上
の深さが望ましい。
【0033】図9(A)に示すように、高温側平板Hと
低温側平板Lを対向して配置した場合、高温側平板Hか
ら低温側平板Lへ輻射によって伝えられる熱量qは
【0034】
【数4】
【0035】で与えられる。ここでσはステファン−ボ
ルツマン定数、Tは絶対温度である。一方、図9(B)
に示すように、高温側平板Hと低温側平板Lの間に平板
Mを配置した場合、平板Hから平板Lへ輻射によって伝
えられる熱量は、次のようにして算出される。
【0036】平板Hから平板Mへ伝えられる熱量と平板
Mから平板Lへ伝えられる熱量は等しいため、その熱量
をqとすると、
【0037】
【数5】
【0038】となる。これより、平板Mの温度は(数
6)となる
【0039】
【数6】
【0040】(数6)を用いて、平板Hから平板Lへ移
動する熱量を算出すると、
【0041】
【数7】
【0042】となり、平板Mのない場合の(数4)の半
分になる。
【0043】そこで本発明では、被冷却物と熱的に接触
された陰極と、被加熱物と熱的に接触された陽極と、陰
極と陽極の間に配置された第3の電極を対向して配置す
る。この第3の電極により、高温側の陽極から低温側の
陰極への輻射による熱の移動が大幅に遮られ、熱電子ヒ
ートポンプの冷却および加熱性能を向上させることがで
きる。
【0044】
【実施例】以下本発明の具体的な実施例について、図面
を参照しながら説明する。
【0045】(実施例1)図1は、高温側の陽極2から
低温側の陰極1への輻射熱の移動を抑制し、冷却および
加熱能力を向上した本実施例における熱電子ヒートポン
プの概略構成図である。なお図1において、前述の従来
例と同一の構成要素には同じ符号を付している。
【0046】このヒートポンプ装置が前述の従来例と異
なる点は、陽極2側の低仕事関数物質4の表面の全体に
微細な矩形形状の凹部10を設けている点である。この
凹部10の表面と断面の様子を各々図2(A)、図2
(B)に示している。図2において、11は矩形形状の
凹部の開口部であり一辺の長さ(図中a、b)を5μ
m、その深さ(図中h)を10μm、開口部11の間隔
cを3μmとしている。
【0047】陽極2の表面から放射される輻射熱の大部
分は開口部11から放射されるが、そのためには赤外線
である電磁波14が開口部11から放射されなくてはな
らない。しかし、本実施例では開口部11の寸法を5μ
mとしているため、(数2)によりこの開口部11の遮
断波長が10μmとなり、波長が10μm以上の電磁波
を放射することができない。そのため陽極2が放射でき
る輻射熱は凹部10を形成していない従来例の30%程
度となり、陽極2へ移動する輻射熱量を大幅に低減でき
る。従って、陽極2からの輻射熱によって陰極1が加熱
されてしまい、その分の冷却性能および加熱性能が低下
してしまうという従来技術の課題を著しく改善すること
ができる。
【0048】なお、本実施例において凹部10は陽極2
の表面に設けたが、陰極1の表面に設けてもよい。この
場合は、陰極1の表面で遮断波長である10μm以上の
赤外線が吸収されず反射されるため、同様の効果を得る
ことができる。また当然のことであるが、凹部10を陽
極2と陰極1の両方の表面に設けても良い。
【0049】また、開口部11の配列は図2のように碁
盤目状である必要はなく、更に開口部11の寸法aとb
が同じである必要もない。
【0050】(実施例2)本発明の第2の実施例を図3
に示す。本実施例は陽極の表面に円形形状の凹部を形成
した場合の陽極表面を図示したものである。本実施例の
熱電子ヒートポンプの全体構成は図1と同様である。本
実施例では前述の従来例および実施例と同一の構成要素
には同じ符号を付している。
【0051】このヒートポンプ装置が上述の第1の実施
例と異なる点は、陽極2側の低仕事関数物質4の表面の
全体に設けた凹部10の形状が円形形状である点であ
る。この凹部10の表面と断面の様子を各々図3
(A)、図3(B)に示している。図3において、11
は円形形状の凹部の開口部であり直径(図中D)を4μ
m、その深さ(図中h)を10μmとしている。
【0052】本実施例では開口部11の直径を4μmと
しているため、(数3)によりこの開口部11の遮断波
長が10μmとなり、波長が10μm以上の電磁波を放
射することができない。そのため陽極2が放射できる輻
射熱は凹部10を形成していない従来例の30%程度と
なり、陽極2へ移動する輻射熱量を大幅に低減できる。
従って、陽極2からの輻射熱によって陰極1が加熱され
てしまい、その分の冷却性能および加熱性能が低下して
しまうという従来技術の課題を著しく改善することがで
きる。
【0053】なお、本実施例においても凹部10は陰極
1の表面に設けてもよいし、陽極2と陰極1の両方の両
方の表面に設けても良い。
【0054】(実施例3)本発明の第3の実施例を図4
に示す。本実施例でも前述の従来例および実施例と同一
の構成要素には同じ符号を付している。
【0055】本実施例の特徴は、陰極1と陽極2の間に
第3電極15を配置している点にある。第3電極15は
その両面を陰極1や陽極2と同様な低仕事関数物質で被
覆しており、その電圧は同電圧の第1電源16と第2電
源17の間に接続することにより陰極1と陽極2の中間
電圧としている。
【0056】陰極1から放出された熱電子7は、先ず第
3電極15に入射し、次いで第3電極15から放出され
て陽極2へ入射する。この電子の移動に関しては、第3
電極15は単に電子の授受を行うのみであり、何ら作用
を行わない。しかし前述したように、高温側の陽極2か
ら放出された輻射熱は第3電極15によって遮られるた
め、低温側の陰極1に入射する輻射熱は陽極2から放出
された熱量の半分程度にまで減少する。その結果、陽極
2から陰極1への輻射熱によって陰極1が加熱されてし
まい、その分の冷却性能および加熱性能が低下してしま
うという従来技術の課題を著しく改善することができ
る。
【0057】なお、本実施例において第3電極15の電
位は第1電源16と第2電源17の中間となるように両
電源を配置したが、本発明は第3電極15の電位を何ら
規定するものではない。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本請求項に記載の発明に
よれば、高温側から低温側への熱の移動を防止すること
ができる。これにより、高温側の陽極から低温側の陰極
へ輻射によって熱が移動してしまい、その分の冷却性能
および加熱性能が低下してしまうという課題を解決し、
高効率な熱電子ヒートポンプが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の形態による熱電子ヒートポン
プの概略構成図
【図2】本発明の第1実施例の形態による電極表面形状
を示す図
【図3】本発明の第2実施例の形態による電極表面形状
を示す図
【図4】本発明の第3の実施例の形態による熱電子ヒー
トポンプの概略構成図
【図5】従来の熱電子ヒートポンプの概略構成図
【図6】熱電子ヒートポンプの性能特性図
【図7】熱輻射の特性図
【図8】遮断波長の説明図
【図9】対向する平板間を輻射により伝わる熱量の説明
【符号の説明】
1 陰極 2 陽極 3 電源 4 低仕事関数物質 5 真空空間 7 熱電子 10 凹部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被冷却物と熱的に接触された陰極と、被
    加熱物と熱的に接触された陽極を対向して配置し、前記
    陰極と前記陽極に各々負電圧と正電圧を印加する電源を
    有し、前記対向した陰極と陽極の一方の面または両方の
    面に、複数の凹部を形成した熱電子ヒートポンプ。
  2. 【請求項2】 前記凹部の開口部の大きさは、前記各電
    極温度での輻射熱の放射強度が最大となる輻射波長以下
    の大きさであることを特徴とする請求項1記載の熱電子
    ヒートポンプ。
  3. 【請求項3】 前記凹部は、一辺が5μm以下の矩形形
    状であることを特徴とする請求項1または2記載の熱電
    子ヒートポンプ。
  4. 【請求項4】 前記凹部は、半径が4μm以下の円形形
    状であることを特徴とする請求項1または2記載の熱電
    子ヒートポンプ。
  5. 【請求項5】 被冷却物と熱的に接触された陰極と、被
    加熱物と熱的に接触された陽極と、前記陰極と前記陽極
    の間に配置された第3の電極を対向して配置し、前記陰
    極と前記陽極に各々負電圧と正電圧を印加する電源を有
    した熱電子ヒートポンプ。
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