JP2002283051A - 溶接における温度解析装置、温度解析方法、温度解析プログラム及び温度解析プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

溶接における温度解析装置、温度解析方法、温度解析プログラム及び温度解析プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体

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JP2002283051A
JP2002283051A JP2001092268A JP2001092268A JP2002283051A JP 2002283051 A JP2002283051 A JP 2002283051A JP 2001092268 A JP2001092268 A JP 2001092268A JP 2001092268 A JP2001092268 A JP 2001092268A JP 2002283051 A JP2002283051 A JP 2002283051A
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temperature
difference
equation
relaxation coefficient
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JP2001092268A
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English (en)
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Takeshi Oda
剛 織田
Masahiko Mitsuda
正彦 満田
敏晃 ▲高▼木
Toshiaki Takagi
Toshihiko Nakano
利彦 中野
Ryohei Kuriyama
良平 栗山
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定性を有して、且つ、収束速度の早い温度
解析装置、温度解析方法、温度解析プログラム及び温度
解析プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能
な記録媒体を提供する。 【解決手段】 今回の残差が前回の残差より大きく且つ
前回の残差が前々回の残差より大きい場合(ステップS
7でYesの場合)には、緩和係数ωが0.9倍に減少
される(S9)。今回の残差が前回の残差より小さく且
つ前回の残差が前々回の残差より小さい場合(ステップ
S11でYesの場合)には、緩和係数ωが1.02倍
に増大される(S13)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接における温度
解析技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶接中の鋼材の温度履歴は、溶接部の金
属組織に影響を及ぼし、その結果、溶接部の強度に大き
な影響があるため、溶接条件の設定において考慮すべき
事柄である。例えば、鋼材の多層盛り溶接では、溶接部
の強度を確保するために、2パス目以降のパスの溶接開
始直前での鋼材の所定の位置における温度である「パス
間温度」を所定の温度以下にするために、前パス終了か
ら次パス開始までの時間である「パス間時間」を所定の
時間以上としている。一方、溶接作業の効率を向上する
ためには、溶接時間を短くする必要があり、前記パス間
時間を可能な限り小さくする必要がある。従って、前記
パス間温度を正確に予測して、必要最小限のパス間時間
を求める必要がある。
【0003】従来、パス間温度を正確に予測する方法と
して、熱伝導方程式に差分法を適用して得られた差分方
程式と少なくとも鋼材を含む伝熱領域の格子モデルと用
いて溶接における鋼材の温度分布の時間変化を求める方
法が使用されてきた。一方、鋼材の溶接においては、溶
接時の溶接トーチ等の熱源からの入熱の影響によって、
鋼材の温度が変態点または溶融点の少なくとも一方に到
達する場合が多く、その影響を反映した熱伝導方程式は
強い非線形性を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】強い非線形性を有する
差分方程式(連立一次方程式)の解法としては、SOR
法(逐次過剰緩和法:Successive Over-Relaxation m
ethod)が用いられている。また、SOR法の安定性
(収束計算が振動あるいは発散せずに収束する性質)や
収束速度(収束計算における反復回数)は、緩和係数の
値に依存している。緩和係数が大きい程、収束速度は向
上するが、安定性が悪化する。そこで、従来は、安定性
を重視して小さめに緩和係数の値を設定し、計算中に一
定の緩和係数を使用していた。そのため、前記差分方程
式を解く際の収束計算に時間を要し、オンラインでパス
間温度を予測することが困難であった。
【0005】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、安定性を有して、且つ、収束速度の早い温度解析装
置、温度解析方法、温度解析プログラム及び温度解析プ
ログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録
媒体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の温度解
析装置は、鋼材の変態点における変態潜熱または溶融点
における溶融潜熱の少なくとも一方の影響を反映した熱
伝導方程式に差分法を適用して得られた差分方程式と少
なくとも鋼材を含む伝熱領域の格子モデルとを用いて、
溶接における鋼材の温度分布を所定の時間間隔をおいた
温度解析時点毎に求める温度解析装置であって、前記格
子モデルに基づいて前記差分方程式を所定の緩和係数を
使用したSOR法を用いて解くことによって鋼材の温度
分布と残差とを前記温度解析時点毎に求める差分方程式
求解手段と、前記差分方程式求解手段によって得られた
残差が減少傾向にあるか増加傾向にあるかを判定する残
差判定手段と、残差判定手段によって残差が減少傾向に
あると判定された場合に前記緩和係数を増大させ、残差
判定手段によって残差が増加傾向にあると判定された場
合に前記緩和係数を減少させる緩和係数変更手段とを備
え、緩和係数変更手段によって変更された緩和係数を用
いて次の温度解析時点での差分方程式求解処理を実行す
るように前記差分方程式求解手段が構成されていること
を特徴としている。
【0007】請求項3に記載の温度解析方法は、鋼材の
変態点における変態潜熱または溶融点における溶融潜熱
の少なくとも一方の影響を反映した熱伝導方程式に差分
法を適用して得られた差分方程式と少なくとも鋼材を含
む伝熱領域の格子モデルとを用いて、溶接における鋼材
の温度分布を所定の時間間隔をおいた温度解析時点毎に
求める温度解析方法であって、前記格子モデルに基づい
て前記差分方程式を所定の緩和係数を使用したSOR法
を用いて解くことによって鋼材の温度分布と残差とを前
記温度解析時点毎に求める差分方程式求解処理を行な
い、残差が減少傾向にあるか増加傾向にあるかを判定
し、残差が減少傾向にあると判定された場合に前記緩和
係数を増大させ、残差が増加傾向にあると判定された場
合に前記緩和係数を減少させ、変更された緩和係数を用
いて次の温度解析時点での差分方程式求解処理を実行す
ることを特徴としている。
【0008】請求項5に記載の温度解析プログラムは、
鋼材の変態点における変態潜熱または溶融点における溶
融潜熱の少なくとも一方の影響を反映した熱伝導方程式
に差分法を適用して得られた差分方程式と少なくとも鋼
材を含む伝熱領域の格子モデルとを用いて、溶接におけ
る鋼材の温度分布を所定の時間間隔をおいた温度解析時
点毎に求める温度解析プログラムであって、前記格子モ
デルに基づいて前記差分方程式を所定の緩和係数を使用
したSOR法を用いて解くことによって鋼材の温度分布
と残差とを前記温度解析時点毎に求める差分方程式求解
処理を行ない、残差が減少傾向にあるか増加傾向にある
かを判定し、残差が減少傾向にあると判定された場合に
前記緩和係数を増大させ、残差が増加傾向にあると判定
された場合に前記緩和係数を減少させ、変更された緩和
係数を用いて次の温度解析時点での差分方程式求解処理
を実行することを特徴としている。
【0009】請求項6に記載の温度解析プログラムを記
録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、鋼材
の変態点における変態潜熱または溶融点における溶融潜
熱の少なくとも一方の影響を反映した熱伝導方程式に差
分法を適用して得られた差分方程式と少なくとも鋼材を
含む伝熱領域の格子モデルと用いて、溶接における鋼材
の温度分布を所定の時間間隔をおいた温度解析時点毎に
求める温度解析プログラムを記録したコンピュータで読
み取り可能な記録媒体であって、前記格子モデルに基づ
いて前記差分方程式を所定の緩和係数を使用したSOR
法を用いて解くことによって鋼材の温度分布と残差とを
前記温度解析時点毎に求める差分方程式求解処理を行な
い、残差が減少傾向にあるか増加傾向にあるかを判定
し、残差が減少傾向にあると判定された場合に前記緩和
係数を増大させ、残差が増加傾向にあると判定された場
合に前記緩和係数を減少させ、変更された緩和係数を用
いて次の温度解析時点での差分方程式求解処理を実行す
ることを特徴としている。
【0010】上記の発明によれば、残差が減少傾向にあ
ると判定された場合には、安定性が十分にあるので緩和
係数を増大させることによって、収束速度を向上するこ
とが可能となり、逆に残差が増加傾向にあると判定され
た場合には、安定性が不十分である可能性があるので、
緩和係数を減少することによって安定性を向上すること
が可能となる。すなわち、差分方程式の求解によって得
られた残差に基づき次の求解で用いる緩和係数の増減を
するようにしているので、安定性が有り、且つ、収束速
度の速い温度解析を行なうことが可能となる。
【0011】請求項2に記載の温度解析装置は、残差判
定手段が、今回の残差が前回の残差より小さく且つ前回
の残差が前々回の残差より小さい場合に残差が減少傾向
にあると判定し、今回の残差が前回の残差より大きく且
つ前回の残差が前々回の残差より大きい場合に残差が増
加傾向にあると判定することを特徴としている。
【0012】上記の発明によれば、今回、前回、前々回
の残差によって残差が減少傾向にあるか増加傾向にある
かが判定されるため、正確且つ容易に残差の傾向が判定
される。
【0013】請求項4に記載の温度解析方法は、前記溶
接が溶接トーチを用いて溶接する多層盛り溶接であり、
前記溶接トーチの通過面に対して非対称な条件の溶接の
温度解析方法であって、一方の鋼材の温度分布を、当該
鋼材同士を溶接トーチの通過面に対して対称に溶接する
場合に適用される前記通過面の片側の伝熱領域の格子モ
デルを用いて、前記熱伝導方程式における入熱量を前記
非対称な条件に応じて変更して、前記通過面の片側の鋼
材の温度分布を算出することを特徴としている。
【0014】上記の発明によれば、溶接トーチの通過面
に対して非対称な条件の溶接であっても、熱伝導方程式
における入熱量を前記非対称な条件に応じて変更して、
溶接トーチの通過面に対して対称に溶接する場合に適用
される前記通過面の片側の伝熱領域の格子モデルを用い
て前記通過面の片側の鋼材の温度分布を算出することに
よって求めることが可能となり、計算時間が削減され
る。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の温度解析装置に
よって解析されるTIG溶接・MIG溶接等による鋼材
の多層盛り溶接の概念図である。図1において、2つの
板状の被溶接材料MS1・MS2は、溶接トーチWTの
通過面TLから等距離に配置されており、被溶接材料M
S1にのみ、(例えば35度の)開先VPが施されてい
る。被溶接材料MS1及びMS2の溶接トーチWTの通
過面TL側の先端は、裏当てBUによって支持されてい
る。溶接トーチWTが、被溶接材料MS1及びMS2の
溶接トーチWTの通過面TL側の先端に配設された図略
の溶接材料に熱を加えることによって溶融させながら、
紙面に垂直な方向に被溶接材料MS1及びMS2の板幅
中心を中心として、被溶接材料MS1及びMS2の板幅
より広いストロークで繰り返し往復運動することによっ
て、被溶接材料MS1及びMS2が溶接材料を介して溶
接される。なお、(往復の回数)×2が多層盛り溶接の
層数となる。また、溶接トーチWTの移動方向をx軸の
正方向にとり、被溶接材料MS1・MS2の板厚方向に
z軸をとり、被溶接材料MS1・MS2の板長さ方向に
y軸をとる。
【0016】図2は、本発明の温度解析装置によって解
析される格子モデルの概念図である。ここでは、図1に
示す被溶接材料MS1と裏当てBUとの格子モデルの一
例を示している。なお、図1に示す被溶接材料MS2も
同様にして格子モデルが作成される。図2に示すよう
に、格子モデルの格子分割は、領域分割法によって、裏
当てBUの領域と開先VP部の領域と開先VP部以外の
被溶接材料MS1の領域とに3分割されている。また、
各領域内の格子分割は、温度変化の激しい部位程、細か
い格子分割を行なっている。なお、各領域間は一次の線
形補間を用いた境界条件で結合している。全領域内の格
子には、x軸、y軸、z軸方向にそれぞれ一連番号が付
されており、これを「格子番号」と呼ぶ。
【0017】数1は、本発明の温度解析装置によって解
析される3次元直交座標系(xyz座標系)での非定常
熱伝導方程式である。
【0018】
【数1】
【0019】ここで、ρは密度、Hはエンタルピ(En
thalpy)、Tは温度、Kは熱伝導率、qは単位体
積当たりの入熱量である。なお、エンタルピHは比熱C
pを温度Tに関して積分したものであり、比熱Cpは温
度Tの関数である。そこで、エンタルピHも温度Tの関
数となり、例えば、図3のような変化をする。図3は、
縦軸にエンタルピHをとり、横軸に温度Tをとった、温
度Tの変化によるエンタルピHの変化を表わすグラフで
ある。900℃近傍のT1でエンタルピHが急激に上昇
しているのは、変態潜熱の影響であり、1500℃近傍
のT2でエンタルピHが急激に上昇しているのは、溶融
潜熱の影響である。ここで、T1が変態点であり、T2
が溶融点である。溶接においては、被溶接材料MS1・
MS2は、常温から溶融点T2以上の温度まで温度が変
化するため、上述のように、エンタルピHが変態点T1
及び溶融点T2急激に変化し、数1の非定常熱伝導方程
式は強い非線形性を有する方程式となる。
【0020】つぎに、数1の非定常熱伝導方程式を、3
次元直交格子系での差分法を用いて離散化する。離散化
の方法には、陽解法と、陰解法とがある。陰解法は、陽
解法と比較して安定性が高く、時間刻みを大きくするこ
とができるため、計算時間を短縮することができる。そ
こで、陰解法を用いて、数1の非定常熱伝導方程式を離
散化すると、数2に示す差分方程式が得られる。
【0021】
【数2】
【0022】ここで、上付き添え字nは、時間tの段階
nにおける(時間刻みが一定値Δtである場合には、t
=Δt×nの時の)値を表わし、下付き添え字i,j,
kは、直交座標系におけるそれぞれx,y,z軸方向の
格子番号を表わしている。
【0023】数2に示す差分方程式を解くためには、右
辺に時間tの段階(n+1)における温度Tの値が含ま
れているので、全計算領域内にある格子分割の数と等し
い数の連立一次方程式を解く必要がある。一方、数1の
非定常熱伝導方程式は、上述のように強い非線形性を有
するため、数2の差分方程式も同様に強い非線形性を有
する方程式である。従って、格子点の数と等しい数の強
い非線形性を有する連立一次方程式を解く必要がある。
強い非線形性を有する連立一次方程式の解法には、共役
勾配法等の緩和係数をもたない解法を用いると収束性が
確保されないため、ここでは、SOR法を用いる。SO
R法を用いるために数2に示す差分方程式を数3に示す
式(ここでは「反復方程式」と呼ぶ)に変形して反復計
算を行なう。
【0024】
【数3】
【0025】ここで、数3の反復方程式の左辺のエンタ
ルピHの上付き添え字のm及び(m+1)は反復回数を
表わし、数3の式の右辺のωは緩和係数であり、α
i+1/2,j, k・αi,j+1/2,k・αi,j,k+1/2・αi,j,k・Cp
i,j,k及びΔHi,j,kはそれぞれ数4の(1)〜(6)式
で与えられる。
【0026】
【数4】
【0027】前述のように、エンタルピHは比熱Cpを
温度Tに関して積分したものであり、比熱Cpは温度T
の関数である。そこで、温度TのエンタルピHに及ぼす
影響の感度が比熱Cpであると考えられるが、その感度
を数3に示す式に正確に表現すること(温度の変化に対
するエンタルピの変化の度合いを数3に示す式に正確に
反映すること)によって反復計算の収束性を向上するた
めに、ここでは、時間tの段階(n+1)における温度
i,j,kの係数αi,j,kに比熱Cpi,j,kを含めている。
数2に示す差分方程式を満たすためには、その分を差し
引いておく必要があるため、数4の(6)式内にCp
i,j,k×Ti,j,kが現れているのである。なお、数4の
(6)式内の右辺の第3項は生成項(反復計算おける定
数項)として取り扱う。数1に示す非定常熱伝導方程式
から数3に示す反復方程式までの式の展開及び変形は、
本解析装置を適用する前に予め実施されているものとす
る。
【0028】図4は、本発明の温度解析装置の構成図で
ある。なお、少なくとも被溶接材料MS1・MS2を含
む伝熱領域の格子モデル(格子モデルの一部を図2に示
す)は予め作成されており、溶接トーチからの入熱条件
等の溶接条件は予め設定されているものとする。温度解
析装置1は、図2に示す格子モデルに基づいて数3に示
す反復方程式を所定の緩和係数を使用したSOR法を用
いて解くことによって鋼材の温度分布と残差とを求める
差分方程式求解部10と、差分方程式求解部10によっ
て得られた残差が減少傾向にあるか増加傾向にあるかを
判定する残差判定部11と、残差判定部11によって残
差が減少傾向にあると判定された場合に前記緩和係数を
増大させ、残差判定部11によって残差が増加傾向にあ
ると判定された場合に前記緩和係数を減少させる緩和係
数変更部12と、種々のデータを格納するRAM13と
を備えている。
【0029】差分方程式求解部10は、時間tの段階n
における温度T及びエンタルピHを用いて、所定の緩和
係数を使用して、時間tの段階(n+1)における温度
Tが収束する(前回の計算温度と今回の計算温度の差が
全ての格子点において所定の閾値以下となる)まで、数
3に示す反復方程式の反復計算を行うものである。な
お、収束するまでに要した反復計算の回数を「反復回
数」と呼ぶ。すなわち、数3の反復方程式の反復計算を
行なって、時間tの段階(n+1)におけるエンタルピ
Hを求めた後に、エンタルピHから温度を求める数5に
示す式で定義される関数T(H)を用いて、時間tの段
階(n+1)における温度Tを求める。
【0030】
【数5】
【0031】なお、関数T(H)は、図2に示すグラフ
の縦軸と横軸を逆にしたグラフを表わす関数である。以
上の方法によって、時間tの段階nにおける温度T及び
エンタルピHを用いて時間tの段階(n+1)における
温度Tが反復計算によって、収束解へと補正されてい
く。なお、SOR法における時間tの段階nでの残差R
nは、数6に示す式で与えられる。
【0032】
【数6】
【0033】ここで、数6に示す(2)式において、Σ
は全て格子点に関する和を意味しており、IN・JN・
KNはそれぞれx・y・z軸方向の格子点数である。ま
た、残差は数6に示す式を用いて前記反復計算が収束し
た後に計算するものである。
【0034】残差判定部11は、差分方程式求解部10
によって算出された今回の残差が前回の残差より小さく
且つ前回の残差が前々回の残差より小さい場合に残差が
減少傾向にあると判定し、今回の残差が前回の残差より
大きく且つ前回の残差が前々回の残差より大きい場合に
残差が増加傾向にあると判定するものである。
【0035】緩和係数変更部12は、残差判定部11に
よって残差が減少傾向にあると判定された場合に緩和係
数を、例えば1.02倍に増大させ、残差判定部11に
よって残差が増加傾向にあると判定された場合に緩和係
数を、例えば0.9倍に減少させるものである。
【0036】ここで、緩和係数変更部12による緩和係
数ωの増減量の決定方法について説明する。残差が増加
傾向にある場合には、解が発散する危険性があり、もし
解が発散した場合には反復計算を再度最初から実施する
ことになるため、多大な計算時間を費やすことになる。
従って、速やかに安定に収束する状態へと移行する必要
があるため、残差が増加傾向にある場合には、緩和係数
ωを大幅に減少するほうがよいので、ここでは10%減
少させている。一方、残差が減少傾向にある場合には、
順調に収束しているため、緩和係数ωを大きくしてもよ
いが、一度の大幅に増大すると、解が発散する危険性が
あり、もし解が発散した場合には反復計算を再度最初か
ら実施することになるため、多大な計算時間を費やすこ
とになる。従って、残差が減少傾向にある場合には、緩
和係数ωを大幅に増大しないほうがよいので、ここでは
2%増大させている。
【0037】RAM13は、本解析装置によって解析に
使用される格子モデルを格納する格子モデル記憶部13
1と、入熱条件等の計算条件を格納する計算条件記憶部
132とを備えている。格子モデル記憶部131は、計
算領域内の全格子についてのxyz座標・格子番号等を
格納するものである。計算条件記憶部132は、溶接ト
ーチから鋼板への入熱条件、緩和係数ωの初期値ω0
の計算条件を格納するものである。
【0038】図5は、本発明の温度解析装置の処理のフ
ローチャートである。まず、時間tに初期値である零が
代入される(S1)。ついで、緩和係数ωに初期値であ
るω 0が代入される(S3)。そして、差分方程式求解
部10によって、格子モデル記憶部131から格子モデ
ルが読み出され、読み出された格子モデルに基づいて数
3に示す反復方程式の収束計算が緩和係数ωを使用して
行なわれ、鋼材の温度分布と残差とが求められる(S
5)。
【0039】つぎに、残差判定部11によって、差分方
程式求解部10によって算出された今回の残差が前回の
残差より大きく且つ前回の残差が前々回の残差より大き
いか否かの判定が行なわれる(S7)。今回の残差が前
回の残差より大きく且つ前回の残差が前々回の残差より
大きい場合(ステップS7でYesの場合)には、緩和
係数変更部12によって、緩和係数が0.9倍に減少さ
れ(S9)、ステップ15へ進む。今回の残差が前回の
残差以下か又は前回の残差が前々回の残差以下である場
合(ステップS7でNoの場合)には、残差判定部11
によって、差分方程式求解部10によって算出された今
回の残差が前回の残差より小さく且つ前回の残差が前々
回の残差より小さいか否かの判定が行なわれる(S1
1)。今回の残差が前回の残差より小さく且つ前回の残
差が前々回の残差より小さい場合(ステップS11でY
esの場合)には、緩和係数変更部12によって、緩和
係数が1.02倍に増大され(S13)ステップ15へ
進む。今回の残差が前回の残差以上か又は前回の残差が
前々回の残差以上の場合(ステップS11でNoの場
合)には、ステップ15へ進む。
【0040】つぎに、時間tに(t+Δt)が代入され
ることによって、時間tの段階nがインクリメントされ
る(S15)。そして、時間tが計算終了時間tend
上か否かの判定が行われる(S17)。時間tが計算終
了時間tend以上でない場合には、ステップS5へ戻
る。時間tが計算終了時間tend以上である場合には、
処理が終了される。
【0041】図6は、本発明の解析装置によって解析さ
れる計算条件の一例を示す図表である。被溶接材料MS
1・MS2の板厚は20mm、板長さは400mm、板
幅は175mmである。開先VPは図1に示すように3
5度のレ型開先である。被溶接材料MS1とMS2との
最短距離である開先ギャップは8mmである。溶接トー
チWTから被溶接材料MS1・MS2への単位長さ当た
りの入熱は30KJ/cmであり、溶接トーチWTの送
り速度は20cm/minである。解析計算に使用する
緩和係数ωの初期値ω0は、0.8である。
【0042】ここで、緩和係数ωの初期値ω0の決定方
法について図7を用いて説明する。図7は、緩和係数ω
を計算中一定とした場合に、反復回数が最も少なくなる
緩和係数ωを図6に示す計算条件において求めた結果で
ある。図7において、横軸は入熱のx軸方向の位置(す
なわち溶接トーチWTのx軸方向の位置)であって被溶
接材料MS1及びMS2の端部からのx軸方向の距離を
x軸方向の格子間隔Δxで割った値であり、縦軸は緩和
係数ωを計算中一定とした場合に反復回数が最も少なく
なる(すなわち最適な)緩和係数ωの値である。図7か
ら、入熱のx軸方向の位置が被溶接材料MS1及びMS
2のx軸方向の端部近傍にある場合には、緩和係数ωの
最適値は0.5程度の値となり、入熱のx軸方向の位置
が被溶接材料MS1及びMS2のx軸方向の中央部に近
づくと、緩和係数ωの最適値は0.8程度の値となる。
入熱のx軸方向の位置が被溶接材料MS1及びMS2の
x軸方向の端部近傍にある場合には、入熱が伝達する鋼
板がx軸方向の片側のみであり、また、往復溶接の場合
にはx軸方向の端部近傍では溶接トーチWTが折り返す
ことによって短時間で繰り返し過熱されるため、温度変
化が激しく計算が不安定になり易い。従って、緩和係数
ωの最適値は中央部と比較して小さい値となっていると
考えられる。x軸方向全体について一定の緩和係数ωを
使用する場合には、約0.8が最適値となるため、ここ
では、緩和係数ωの初期値ω0として0.8を使用して
いる。
【0043】図8は、図2に一部を示す格子モデルと図
7に示す計算条件とを用いて本発明の解析装置によって
解析した結果と、実験値とを表わすグラフである。図8
において、横軸は時間tであり、縦軸は温度Tである。
また、実線が実験値であり、点線が本解析装置による解
析結果である。解析結果と実験結果とは、温度の極大値
に関して若干の差異がみられるが、その他は良く一致し
ている。温度の極大値に関して若干の差異がみられる原
因は、格子数を増加させた格子モデルを使用して解析を
行なった場合には前記差異は減少するため、格子モデル
の格子数の不足であると考えられる。
【0044】図9は、図2に一部を示す格子モデルと図
7に示す計算条件とを用いて本発明の解析装置によって
解析した際の緩和係数ωの変化を表わすグラフである。
図9において、横軸は時間段階nであり、縦軸は緩和係
数ωである。初期の時間段階nにおいては、緩和係数ω
は初期値ω0から一旦減少し、その後1.6まで単調に
増加している。なお、本発明の解析装置を使用すること
によって緩和係数ωが時間段階nの変化に伴って収束を
早めるように変化した結果、時間段階毎の反復回数の総
和を時間段階の個数で除した平均反復回数は、緩和係数
ωを0.8に固定する場合が90回であるのに対して、
45回と半減している。このように、本発明の解析装置
を使用することによって平均反復回数を大幅に減少する
ことが可能となり、計算に要する時間を大幅に削減する
ことが可能となる。
【0045】以上の実施形態においては、被溶接材料M
S1及びMS2の格子モデルを使用して解析する場合に
ついて説明したが、以下に述べるように、計算時間を短
縮するために、被溶接材料MS1の格子モデルのみを使
用して、すなわち約半分の格子点数の格子モデルを使用
して解析する方法(ここでは、「1/2解析法」とよ
ぶ)もある。図1に示す被溶接材料MS1と被溶接材料
MS2とは、溶接トーチWTの通過面TLに対して対称
ではないため、被溶接材料MS1への入熱量と被溶接材
料MS2への入熱量とは、相異なる。そこで、1/2解
析法を使用する場合には、入熱量を変更する必要があ
る。以下では、1/2解析法について説明する。
【0046】図10は、図1に示す多層盛り溶接のパス
毎の盛り状態の変化を説明するための概念図である。こ
こでは、パス回数をPNと記述する。図10において、
被溶接材料MS1と被溶接材料MS2とに挟まれた空間
である溶接部WPの体積は、PN回のパスによって図略
の溶接材料を溶融して溶接部WPに盛られる総体積に略
一致する。従って、溶接部WPの台形形状の断面(図1
0の斜線部)の断面積WPSをパス回数PNで除すと、
1パス当たりに溶接材料が盛られる断面積Sが得られ
る。Kパス目(Kは、パス数PN以下の自然数)の多層
盛り溶接においては、この断面積Sに相当する台形形状
の(K−1)個の断面を裏当てBUの上面から積層した
後、その上に断面積Sに相当する台形形状の断面WPK
を積層した箇所に溶接材料が盛られると考えられる。図
10では、5パス(PN=5の場合)の多層盛り溶接に
おいて各パス毎に溶接材料が盛られる断面の境界線を示
している。ここで、各パスの溶接材料が盛られる断面W
PKの内、溶接トーチWTの通過面TLより被溶接材料
MS1側の断面を断面WPKAと呼び、溶接トーチWT
の通過面TLより被溶接材料MS2側の断面を断面WP
KBと呼ぶ。
【0047】下層パスでは、断面WPKAと断面WPK
Bとの断面積の差は小さいが、上層パスでは断面WPK
Aと断面WPKBとの断面積の差は大きい。また、溶接
トーチWTからの熱を受けることによって融点を越える
温度に達した溶接材料が、断面WPKAと断面WPKB
とに流れ込んでそれぞれ被溶接材料MS1と被溶接材料
MS2とを加熱する熱源になると考えられる。従って、
被溶接材料MS1と被溶接材料MS2とに加えられる入
熱量は、断面WPKAと断面WPKBとの断面積に関連
付けて整理できる可能性がある。ここで、断面WPKA
と断面WPKBとの断面積をそれぞれA、Bと置き、数
1の非定常熱伝導方程式における単位体積当たりの入熱
量qを数7に示す式で与えることとする。
【0048】
【数7】
【0049】ここで、Qは溶接トーチWTからの入熱
量、ηは非対称係数、Δxはx軸方向の格子間隔であ
る。非対称係数ηは、溶接トーチWTの通過面TLを挟
んで熱の移動が無い状態での入熱量を計算するための係
数である。例えば、η=1の場合には、数7の式は、q
=Q/(2A・Δx)となり、V型開先の場合の入熱量
に一致する。また、η=0の場合には、数7の式は、q
=Q/((A+B)・Δx)となり、レ型開先の場合の
入熱量に一致するが、溶接トーチWTの通過面TLを挟
んで熱の移動が無い状態を想定しているため実際の現象
とは差異がある。非対称係数ηを1とおいて入熱量を計
算した場合の1/2解析法の計算結果と実験結果とを図
11に示す。図11において、横軸は時間tであり、縦
軸は温度Tである。また、実線が実験値であり、点線が
本解析装置による1/2解析法を用いた解析結果であ
る。解析結果と実験結果とは、温度の極大値に関して若
干の差異がみられるが、その他は良く一致している。従
って、数7に示す式を用いて非対称係数ηを適当に設定
することによって入熱を変更すれば、1/2解析法を使
用して温度解析を行うことが可能である。
【0050】なお、本発明は以下の形態をとることがで
きる。 (A)本実施形態においては、今回と前回と前々回との
残差を用いて残差が増加傾向にあるか減少傾向にあるか
を判定する場合について説明したが、今回と前回との残
差を用いて判定する形態でも良い。この場合には、判定
が簡単に行なわれる。また、3回以上前までの残差を用
いて判定する形態でもよい。この場合には、判定がより
正確に行われる。 (B)本実施形態においては、所定の定数(0.9及び
1.02)を乗ずることによって緩和係数の増減を行な
う場合について説明したが、所定の定数で除する形態で
も良いし、所定の定数を加算又は減算することによって
緩和係数の増減を行なう形態でもよい。
【0051】
【発明の効果】請求項1、3、5、6に記載の発明によ
れば、残差が減少傾向にあると判定された場合には、安
定性が十分にあるので緩和係数を増大させることによっ
て、収束速度を向上することが可能となり、逆に残差が
増加傾向にあると判定された場合には、安定性が不十分
である可能性があるので、緩和係数を減少することによ
って安定性を向上することが可能となる。その結果、安
定性が有り、且つ、収束速度の速い温度解析を行なうこ
とが可能となる。
【0052】請求項2に記載の発明によれば、今回、前
回、前々回の残差によって残差が減少傾向にあるか増加
傾向にあるかが判定されるため、正確且つ容易に残差の
傾向が判定される。請求項4に記載の発明によれば、鋼
材の断面形状が異なる鋼材の溶接であっても、熱伝導方
程式における入熱量を変更して、断面形状が同一の鋼材
同士を溶接トーチの通過面に対して対称に溶接する場合
の格子モデルを用いて通過面の片側の鋼材の温度分布を
算出することによって求めることが可能となり、計算時
間が削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温度解析装置によって解析される多層
盛り溶接の概念図である。
【図2】本発明の温度解析装置によって解析される格子
モデルの概念図である。
【図3】温度の変化によるエンタルピの変化を表わすグ
ラフである。
【図4】本発明の温度解析装置の構成図である。
【図5】本発明の温度解析装置の処理のフローチャート
である。
【図6】本発明の解析装置によって解析される計算条件
の図表である。
【図7】緩和係数を計算中一定とした場合に、反復回数
が最も少なくなる緩和係数ωを求めた結果である。
【図8】本発明の解析装置によって解析した結果と、実
験値とを表わすグラフである。
【図9】本発明の解析装置によって解析した際の緩和係
数の変化を表わすグラフである。
【図10】多層盛り溶接のパス毎の盛り状態の変化を説
明するための概念図である。
【図11】本発明の解析装置によって1/2解析法を用
いて解析した結果と、実験値とを表わすグラフである。
【符号の説明】
10 差分方程式求解部(差分方程式求解手段) 11 残差判定部(残差判定手段) 12 緩和係数変更部(緩和係数変更手段) 13 RAM 131 格子モデル記憶部 132 計算条件記憶部 MS1 被溶接材料(鋼材) MS2 被溶接材料(鋼材) TL 溶接トーチ通過面 VP 開先 WT 溶接トーチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼木 敏晃 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 中野 利彦 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 栗山 良平 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材の変態点における変態潜熱または溶
    融点における溶融潜熱の少なくとも一方の影響を反映し
    た熱伝導方程式に差分法を適用して得られた差分方程式
    と少なくとも鋼材を含む伝熱領域の格子モデルとを用い
    て、溶接における鋼材の温度分布を所定の時間間隔をお
    いた温度解析時点毎に求める温度解析装置であって、前
    記格子モデルに基づいて前記差分方程式を所定の緩和係
    数を使用したSOR法を用いて解くことによって鋼材の
    温度分布と残差とを前記温度解析時点毎に求める差分方
    程式求解手段と、前記差分方程式求解手段によって得ら
    れた残差が減少傾向にあるか増加傾向にあるかを判定す
    る残差判定手段と、残差判定手段によって残差が減少傾
    向にあると判定された場合に前記緩和係数を増大させ、
    残差判定手段によって残差が増加傾向にあると判定され
    た場合に前記緩和係数を減少させる緩和係数変更手段と
    を備え、緩和係数変更手段によって変更された緩和係数
    を用いて次の温度解析時点での差分方程式求解処理を実
    行するように前記差分方程式求解手段が構成されている
    ことを特徴とする温度解析装置。
  2. 【請求項2】 残差判定手段は、今回の残差が前回の残
    差より小さく且つ前回の残差が前々回の残差より小さい
    場合に残差が減少傾向にあると判定し、今回の残差が前
    回の残差より大きく且つ前回の残差が前々回の残差より
    大きい場合に残差が増加傾向にあると判定することを特
    徴とする請求項1に記載の温度解析装置。
  3. 【請求項3】 鋼材の変態点における変態潜熱または溶
    融点における溶融潜熱の少なくとも一方の影響を反映し
    た熱伝導方程式に差分法を適用して得られた差分方程式
    と少なくとも鋼材を含む伝熱領域の格子モデルとを用い
    て、溶接における鋼材の温度分布を所定の時間間隔をお
    いた温度解析時点毎に求める温度解析方法であって、前
    記格子モデルに基づいて前記差分方程式を所定の緩和係
    数を使用したSOR法を用いて解くことによって鋼材の
    温度分布と残差とを前記温度解析時点毎に求める差分方
    程式求解処理を行ない、残差が減少傾向にあるか増加傾
    向にあるかを判定し、残差が減少傾向にあると判定され
    た場合に前記緩和係数を増大させ、残差が増加傾向にあ
    ると判定された場合に前記緩和係数を減少させ、変更さ
    れた緩和係数を用いて次の温度解析時点での差分方程式
    求解処理を実行することを特徴とする温度解析方法。
  4. 【請求項4】 前記溶接は溶接トーチを用いて溶接する
    多層盛り溶接であり、前記溶接トーチの通過面に対して
    非対称な条件の溶接の温度解析方法であって、一方の鋼
    材の温度分布を、当該鋼材同士を溶接トーチの通過面に
    対して対称に溶接する場合に適用される前記通過面の片
    側の伝熱領域の格子モデルを用いて、前記熱伝導方程式
    における入熱量を前記非対称な条件に応じて変更して、
    前記通過面の片側の鋼材の温度分布を算出することを特
    徴とする請求項3に記載の温度解析方法。
  5. 【請求項5】 鋼材の変態点における変態潜熱または溶
    融点における溶融潜熱の少なくとも一方の影響を反映し
    た熱伝導方程式に差分法を適用して得られた差分方程式
    と少なくとも鋼材を含む伝熱領域の格子モデルとを用い
    て、溶接における鋼材の温度分布を所定の時間間隔をお
    いた温度解析時点毎に求める温度解析プログラムであっ
    て、前記格子モデルに基づいて前記差分方程式を所定の
    緩和係数を使用したSOR法を用いて解くことによって
    鋼材の温度分布と残差とを前記温度解析時点毎に求める
    差分方程式求解処理を行ない、残差が減少傾向にあるか
    増加傾向にあるかを判定し、残差が減少傾向にあると判
    定された場合に前記緩和係数を増大させ、残差が増加傾
    向にあると判定された場合に前記緩和係数を減少させ、
    変更された緩和係数を用いて次の温度解析時点での差分
    方程式求解処理を実行することを特徴とする温度解析プ
    ログラム。
  6. 【請求項6】 鋼材の変態点における変態潜熱または溶
    融点における溶融潜熱の少なくとも一方の影響を反映し
    た熱伝導方程式に差分法を適用して得られた差分方程式
    と少なくとも鋼材を含む伝熱領域の格子モデルと用い
    て、溶接における鋼材の温度分布を所定の時間間隔をお
    いた温度解析時点毎に求める温度解析プログラムを記録
    したコンピュータで読み取り可能な記録媒体であって、
    前記格子モデルに基づいて前記差分方程式を所定の緩和
    係数を使用したSOR法を用いて解くことによって鋼材
    の温度分布と残差とを前記温度解析時点毎に求める差分
    方程式求解処理を行ない、残差が減少傾向にあるか増加
    傾向にあるかを判定し、残差が減少傾向にあると判定さ
    れた場合に前記緩和係数を増大させ、残差が増加傾向に
    あると判定された場合に前記緩和係数を減少させ、変更
    された緩和係数を用いて次の温度解析時点での差分方程
    式求解処理を実行することを特徴とする温度解析プログ
    ラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112719524A (zh) * 2020-12-23 2021-04-30 深圳市兴科瑞拓科技有限公司 一种焊机参数自动调整方法、系统、终端和存储介质

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112719524A (zh) * 2020-12-23 2021-04-30 深圳市兴科瑞拓科技有限公司 一种焊机参数自动调整方法、系统、终端和存储介质

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