JP2002257808A - レチノイドの分離分析方法 - Google Patents

レチノイドの分離分析方法

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JP2002257808A
JP2002257808A JP2001062273A JP2001062273A JP2002257808A JP 2002257808 A JP2002257808 A JP 2002257808A JP 2001062273 A JP2001062273 A JP 2001062273A JP 2001062273 A JP2001062273 A JP 2001062273A JP 2002257808 A JP2002257808 A JP 2002257808A
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Yuichi Yokoyama
裕一 横山
Michiko Miyagi
みち子 宮城
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Keio University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レチノールからレチノイン酸を生成する2段
階の酸化プロセスを十分に評価することができる新しい
HPLC条件を確立すること。 【解決手段】 表面積が400〜460m/gのシリ
カゲルが充填されているカラムを用いて、サンプル中に
存在する複数の種類のレチノイドを分画することを特徴
とする、液体クロマトグラフィーによるレチノイドの分
離分析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々のレチノイド
の分離分析方法に関し、より詳細には、種々のレチノイ
ドを液体クロマトグラフィーにより分離分析する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】レチノイドは、正常な細胞分化および増
殖のための重要な因子である(C. Hofmann, C. Thalle
r, T. Melia, G. Eichele, in M.A. Livrea, G. Vidali
(Editors), Retinoids: From Basic Science to Clini
cal Applications, BirkhauserVerlag, Boston, 199
4)。種々のレチノイドには幾何異性体があり、各異性
体の生物学的作用は異なることが知られている。従っ
て、レチノイドの生物学の全容を理解するためには、各
レチノイドを個別に分析することが重要である。最近、
ランバースらは、13-シス-レチノイン酸、9-シス-レチ
ノイン酸、オール-トランス-レチノイン酸、13-シス-レ
チノール、オール-トランス-レチノール、オール-トラ
ンス-4-オキソ-レチノイン酸および13-シス-4-オキソ-
レチノイン酸を含む種々のレチノイドを同時に分析する
ための高速液体クロマトグラフ(以下、「HPLC」と
記す)システムを確立した(C. Lanvers, G. Hempel, G.
Blaschke, JBoos, J Chromatogr B Biomed Appl 685
(1996) 233.)。このシステムは、これらのレチノイド異
性体の濃度を決定する有効な手段であるが、レチナール
異性体はこのHPLC分析では調べられていなかった。
【0003】レチノイン酸はレチノール(ビタミンA)
から2段階の酸化プロセスにより生成される。アルコー
ル脱水素酵素(ADH)のある種のアイソザイムはレチ
ノール(アルコール)をレチナール(アルデヒド)に酸
化し、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)のアイソザイ
ムおよびレチナール脱水素酵素(RDH)のアイソザイ
ムはレチナールをレチノイン酸に酸化することが証明さ
れている(G. Duester, Biochemistry 35 (1996) 1222
1)。この経路を評価するためには、レチノール、レチ
ナールおよびレチノイン酸を同時に分析することが重要
である。この経路を評価する目的で、本発明者らは、ラ
ンバースらの方法を適用してみた。しかしながら、この
方法は、オール-トランスレチナールと13-シス-レチノ
イン酸を明確に分離することができず、不十分なもので
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、ラ
ンバースらの方法を改良して、レチノールからレチノイ
ン酸を生成する2段階の酸化プロセスを十分に評価する
ことができる新しいHPLC条件を確立することを目的
とする。また、本発明は、この新たなHPLCシステム
を適用して、ヒト血清中の種々のレチノイドを検出する
ことも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、表面積が
400〜460m/gのシリカゲルが充填されている
カラムを用いた液体クロマトグラフィーにより、サンプ
ル中に存在する種々のレチノイドを十分に分離して、そ
の濃度を測定することができることを見出し、本発明を
完成させるに至った。
【0006】すなわち、本発明は、表面積が400〜4
60m/gのシリカゲルが充填されているカラムを用
いて、サンプル中に存在する複数の種類のレチノイドを
分画することを特徴とする、液体クロマトグラフィーに
よるレチノイドの分離分析方法を提供する。カラムの表
面積は、好ましくは450〜460m/gであり、よ
り好ましくは450m/gである。本明細書におい
て、シリカゲルの表面積とは、シリカゲル(球状)一つ
の表面積/シリカゲル一つの重さを意味する。
【0007】レチノイドは、レチノール、レチナールお
よびレチノイン酸の異性体からなる群より選択されると
よい。
【0008】カラムの直径は4mm以上であるとよく、
好ましくは4〜5mmであり、より好ましくは4.6m
mである。
【0009】カラムの長さは24cm以上であるよく、
好ましくは24〜30cmであり、より好ましくは25
cmである。
【0010】本発明の方法において、0〜Tの時間は
n−ヘキサン:イソプロパノール:酢酸=1000:
4.0〜5.0:0.5〜1.0の混合比のA液を、T
〜T の時間はn−ヘキサン:イソプロパノール:酢
酸=1000:17.0〜18.0:0.5〜1.0の
混合比のB液を、T〜Tの時間はn−ヘキサン:イ
ソプロパノール:酢酸=1000:4.0〜5.0:
0.5〜1.0の混合比のA液を0.8〜1.2ml/
分の流速でカラムに流すが、ここで、T、T
、TおよびTは、それぞれ、分析開始後14〜
16分のいずれかの時点、24〜26分のいずれかの時
点、34〜36のいずれかの時点、44〜46分のいず
れかの時点および58〜60分のいずれかの時点である
とよい。
【0011】本発明の方法は、種々のレチノイドの定性
分析(検出・同定)および定量分析に利用することがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の方法に使用する分離カラムとして
は、乾燥状態での平均粒径が3〜6μm、好ましくは
3.4〜5.6μm、比表面積が400〜460m/
g、好ましくは440〜460m/gであるシリカゲ
ルを充填したものをあげることができる。また、シリカ
ゲルの細孔径は、80〜120オングストロームである
とよく、好ましくは90〜110オングストロームであ
る。
【0014】本発明の最も好ましい態様においては、平
均粒径が5μm、比表面積が450m/g、細孔径が
100オングストローム、結合基無し、2次シリル化無
し、含有炭素無しのシリカゲルが充填剤として用いられ
る。
【0015】充填剤であるシリカゲルの粒径は、走査型
電子顕微鏡写真を撮影したり、コールターカウンタ法に
より測定することができる。シリカゲルの比表面積はBE
T法により測定できる。
【0016】分離カラムとしては、直径が4mm以上、
好ましくは4〜5mm、より好ましくは4.6mm、長
さが24cm以上、好ましくは24〜30cmであり、
より好ましくは25cmの円筒形のものが望ましい。
【0017】カラムへ充填剤を充填する方法は、均一な
状態に充填でき、充填率を制御できる方法であれば従来
公知の方法でよい。充填率の制御は充填時の溶媒の送液
流量を充填開始時より時間経過に従って増大させること
などによって行われる。
【0018】分離カラムにサンプルをアプライし、次い
で溶離液を流通させて種々のレチノイドを分離する。
【0019】レチノイドとしては、レチノール、レチナ
ールおよびレチノイン酸の異性体(例えば、13-シスレ
チノイン酸、オール-トランスレチノイン酸、9-シスレ
チノイン酸、オール-トランス-4-オキソレチノイン酸、
9-シス-4-オキソレチノイン酸、13-シス-4-オキソレチ
ノイン酸、13-シスレチナール、9-シスレチナール、オ
ール-トランスレチナール、13-シスレチノール、オール
-トランスレチノール)、β−カロテンなどを挙げるこ
とができる。9-シスレチノールについても、本発明の方
法で分離が可能であると考えられる。
【0020】サンプルとしては、ヒトまたは動物の血
清、各組織などを例示することができる。サンプルは、
有機溶媒(例えば、n−ヘキサン、エタノール、イソプ
ロパノール)などで希釈しておくとよく、例えば、血清
サンプルの場合は、n−ヘキサンなどで希釈するとよ
い。サンプルには、内部標準となる物質(例えば、エチ
ルp[(E)-2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチ
ル-2-ナフチル)-1-プロペニル]フェニルスルホン)を添
加しておくとよい。
【0021】また、レチノール・レチナールとレチノイ
ン酸とをよりよく分離して分析するためには、まず、ア
ルカリ条件下でレチノール・レチナールを有機溶媒で抽
出した画分Aを回収した後、アルカリを中和し、次い
で、レチノイン酸を有機溶媒で抽出した画分Bを回収
し、(必要により、有機溶媒を蒸発させ、残留分を再度
有機溶媒に溶解する)画分AおよびBをHPLC分析に
かけるとよい。有機溶媒としては、n−ヘキサン、エタ
ノール、イソプロパノール、またはn−ヘキサン・エタ
ノール・イソプロパノールの混合物を例示することがで
きる。
【0022】レチノイドは光で分解しやすいため、サン
プルの調整およびHPLC分析は遮光条件下で行うとよ
い。
【0023】溶離液としては、有機溶媒(例えば、n−
ヘキサン、イソプロパノール、酢酸)およびそれらの混
合物を挙げることができる。溶離液の組成は、液体クロ
マトグラフィーによりレチノイドを分析する際に、必ず
しも一定である必要はない。例えば、連続的勾配方式あ
るいは段階的勾配方式によって変化させてもよい。ま
た、溶離液の送液流量も一定である必要はなく、時間経
過に従って連続的あるいは段階的に変化させてもよい。
分離カラムにより分離された溶出液中のレチノイドは波
長350nmの紫外光の吸収を測定することにより検出
でき、分離・定量を容易に行うことができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するため
のものであって、本発明の範囲を限定するものではな
い。
【0025】[実施例1]材料および方法標準レチノイ
13-シスレチノイン酸、オール-トランスレチノイン酸、
13-シスレチナール、9-シスレチナール、オール-トラン
スレチナール、および13-シスレチノールをSigma Chemi
cal社(St Louis, MO, USA)から購入した。9-シスレチノ
イン酸(Ro 04-4079)、オール-トランスレチノール(Ro 0
1-4955)、オール-トランス-4-オキソレチノイン酸(Ro 1
2-4824)、9-シス-4-オキソレチノイン酸(Ro 47-8078)、
13-シス-4-オキソレチノイン酸(Ro 22-6595)、およびエ
チルp[(E)-2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメ
チル-2-ナフチル)-1-プロペニル]フェニルスルホン(Ro
15-1570)はHoffmann-La Roche (Basel Switzerland)か
ら好意により提供された。
【0026】HPLC条件 すべての実験は遮光条件下で行った。自動サンプラー(A
S-4000)、ポンプ(L-6300)、紫外線(UV)検出器(L-400
0)、およびシリカゲル吸着カラム(Inertsil SILICA 100
-5; 4.6 mm I.D. x 25cm, GL-Science Inc., Tokyo Jap
an)を備えたクロマトインテグレーター(D-2500)から構
成される日立HPLCシステムを実験に用いた。n−ヘ
キサン(Sigma Chemical社、St. Louis, MO)、2-プロパ
ノール(SigmaChemical社)および氷酢酸(Sigma Chemical
社)を1000:4.3:0.675の比率で含有する
溶媒(A液)に種々のレチノイドを溶解した。新しいH
PLC条件を表1にまとめた。A液ともう一つの溶媒で
あるB液(n−ヘキサン、2-プロパノールおよび氷酢酸
を1000:17.5:0.675の比率で含有)との
直線勾配でサンプルを分離した。注入容積は各回50マ
イクロリットルであり、分離は1 ml/分の流速で60分
間、25+/-1℃で行ったが、サンプルは分析に供する
まで10℃に保存した。各レチノイドは、波長350n
mでUV検出器により検出した。
【0027】
【表1】種々のレチノイドを同時に分離するための新し
いHPLC条件
【0028】レチノイドの定量 種々の濃度のレチノイドをHPLC分析にかけた。ヒト血清中のレチノイドの検出 健常人の血液試料を集めた。各試料を3000gで5分
間遠心分離し、3.5mlの血清を採取した。この血清
画分に、3.5mlのエタノール(Sigma Chemical社)、
1.5mlの2M水酸化ナトリウム(Sigma Chemical社)
および0.4mlの50mMエチルp[(E)-2-(5,6,7,8-
テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフチル)-1-プ
ロペニル]フェニルスルホン(アロテノイド)(内部標
準)、および4mlのn−ヘキサンを添加した。10分
間振とうした後、上記の混合物を200gで5分間遠心
分離した。3mlの上層(有機層;画分A)および3m
lの下層(水層)を別々に回収した。この水層画分に、
3mlの2M塩酸(Sigma Chemical社)および4mlのn
−ヘキサンを添加した。10分間振とうした後、上記の
混合物を200gで5分間遠心分離し、3mlの最上層
(有機層;画分B)を回収した。画分Aおよび画分Bか
ら窒素ガスで有機溶媒を蒸発させ、各残留分を200μ
lのn−ヘキサンに再溶解し、HPLC分析にかけた。統計分析 値を平均+/-S.D.で表現した。各パラメーターのばらつ
きは、偏差分析係数により評価した。各レチノイド濃度
の高さと各ピークの曲線下の面積との関係は、線形最小
二乗回帰分析により調べた。
【0029】結果および考察 本発明者らは、2段階の酸化プロセスによるレチノール
からのレチノイン酸の生成に興味がある。このプロセス
においては、レチノールはレチナールに酸化され、次い
で、レチナールはレチノイン酸に酸化される。このプロ
セスを理解するために、レチノール、レチナールおよび
レチノイン酸の各異性体を同時に定量する必要がある。
最近、ランバースらは、種々のレチノイド異性体を同時
に分離するための優れたHPLC条件を報告している
(C. Lanvers, G. Hempel, G. Blaschke, J Boos, J Chr
omatogr B Biomed Appl 685 (1996) 233.)。本発明者ら
は、この方法を前記の2段階酸化プロセスの評価に適用
した。しかしながら、この条件ではオール-トランスレ
チナールおよび13-シスレチノイン酸を明確に分離する
ことができなかったので、評価には不十分であることが
わかった。そこで、HPLC条件を改良した。
【0030】そのために、移動層のイソプロパノールの
濃度および勾配条件を変更したが、その効果はなかっ
た。次に、カラムを新しいものに変更した。すなわち、
表面積が450m/gのカラムを使用した。ランバー
スらの条件で使用されたカラムの表面積は350m
gであった。この変更により、他の分離を損なうことな
く、オール-トランスレチナールと13-シス-レチノイン
酸とを分離することができた。さらに、この新しいカラ
ムにより、今回検討したすべてのレチノイドを単純な勾
配で分離することができた。この勾配は、ランバースら
の条件のかなり複雑な多数ステップの勾配とは異なる。
【0031】図1に示すように、この新しい条件によ
り、13-シスレチナール(1)、9-シスレチナール
(2)、オール-トランスレチナール(3)、13-シスレ
チノイン酸(4)、9-シスレチノイン酸(5)、オール-
トランスレチノイン酸(6)、13-シスレチノール
(7)、オール-トランスレチノール(8)、オール-トラ
ンス-4-オキソレチノイン酸(9)、9-シス-4-オキソレチ
ノイン酸(10)、13-シス-4-オキソレチノイン酸(11)
およびRo 15-1570(I.S.)を分離することができた。この
新しいHPLC分析は、レチノールからレチノイン酸が
生産される2段階の酸化プロセスを評価するのに有効で
ある。
【0032】各レチノイドの保持時間は、1日以内では
十分に再現性があった。各レチノイドの偏差係数は0.
11%〜1.08%であった。しかしながら、その偏差
は、日が変わると若干大きくなり、各レチノイドの偏差
係数は0.80%〜5.74%であった。特に、13-シ
スレチノイン酸、9-シスレチノイン酸、およびオール-
トランスレチノイン酸については大きかった(それぞ
れ、5.74%、5.46%および4.96%)。日々
の分析のこの誤差を解決するためには、標準レチノイド
を少なくとも1日に1回分析して、各レチノイドの保持
時間を毎日測定しなければならない。そのような偏差が
生じる正確な理由はわからないが、少なくとも一部に
は、カラム条件の変化によるものと推定される。実際の
ところ、レチノイン酸のピークは、分析を繰り返すとブ
ロードになり、再度使用するためには、カラムをエタノ
ールで洗浄する必要がある。
【0033】濃度と各レチノイドピークの曲線下の面積
との相関を検討した。最小二乗回帰分析の結果は、この
HPLC分析により2.5ng/ml〜600ng/m
lのレチノイン酸、2.5ng/ml〜1000ng/
mlのレチナール、5ng/ml〜1000ng/ml
のレチノールを定量できることを証明した。
【0034】レチノイドサンプルを遮光下で−20℃に
保存した場合、レチノール、レチナールおよびレチノイ
ン酸の定量は、1日以内でも(表2)、日が変わっても
(表3)、十分再現性があった。
【0035】
【表2】新しいHPLC条件によるレチノイドの定量の
再現性(1日以内の場合)
【0036】
【表3】新しいHPLC条件によるレチノイドの定量の
再現性(日が変わった場合)
【0037】その後、本発明者らは、この新しいHPL
C条件がヒト血清中の種々のレチノイドの検出に適して
いるか否かについて検討した。レチノールおよびレチナ
ールをヒト血清から画分Aとしてのn−ヘキサンにより
抽出し、レチノイン酸を最初にアルカリ条件下で水層中
に回収し、それから、中和後、画分Bとしてのn−ヘキ
サンにより抽出した。
【0038】図2に示すように、少なくとも、オール-
トランスレチナール、13-シスレチノール、およびオー
ル-トランスレチノールを画分A中に検出することがで
きた。さらに、図3に示すように、オール-トランスレ
チノイン酸、13-シスレチノイン酸を画分B中に検出す
ることができたが、9-シスレチノイン酸はこの条件で検
出することはできなかった。オール-トランスレチノイ
ン酸は、特定の白血病の治療に使用される(S. Castaig
ne, C. Chomienne, M.T. Daniel, P. Ballerini, R. Be
rger, P. Fenaux, and L. Degos, Blood 76 (1990) 170
4)が、オール-トランスレチノイン酸症候群と呼ばれる
致死的な副作用をもたらすことがある(S.R.Frankel,
A. Eardley, G. Lauweres, M. Weiss, and RR Warrell
Jr, Ann Intern Med 117 (1992) 292)。従って、この
副作用を回避するためには、オール-トランスレチノイ
ン酸が投与されている患者において、ヒト血清中のオー
ル-トランスレチノイン酸レベルを監視することは重要
である。今回確立したHPLC分析はそのための有効な
手段となる。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法により、種々のレチノイド
を明確に分離分析することができる。本発明の方法は、
レチノールからレチノイン酸が生成する2段階の酸化プ
ロセスの評価に利用することができる。また、本発明の
方法は、白血病に治療薬であるオール-トランスレチノ
イン酸の血清濃度の監視に利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】HPLCによる種々のレチノイドの分離を示
す。新たに確立したHPLC条件により、13-シスレチ
ナール(1)、9-シスレチナール(2)、オール-トラ
ンスレチナール(3)、13-シスレチノイン酸(4)、9
-シスレチノイン酸(5)、オール-トランスレチノイン酸
(6)、13-シスレチノール(7)、オール-トランスレ
チノール(8)、オール-トランス-4-オキソレチノイン酸
(9)、9-シス-4-オキソレチノイン酸(10)、13-シス-4
-オキソレチノイン酸(11)およびRo 15-1570(I.S.)を
分離することができた。
【図2】血清中のレチノイドの分離を示す。オール-ト
ランスレチナール(1)、13-シスレチノール(2)、
およびオール-トランスレチノール(3)を画分A中に
検出することができた。
【図3】血清中のレチノイドの分離を示す。13-シスレ
チノイン酸(1)およびオール-トランスレチノイン酸
(2)を画分B中に検出することができたが、9-シスレ
チノイン酸はこの条件で検出することはできなかった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面積が400〜460m/gのシリ
    カゲルが充填されているカラムを用いて、サンプル中に
    存在する複数の種類のレチノイドを分画することを特徴
    とする、液体クロマトグラフィーによるレチノイドの分
    離分析方法。
  2. 【請求項2】 レチノイドが、レチノール、レチナール
    およびレチノイン酸の異性体からなる群より選択される
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 カラムの直径が4mm以上である請求項
    1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 カラムの長さが24cm以上である請求
    項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 0〜Tの時間はn−ヘキサン:イソプ
    ロパノール:酢酸=1000:4.0〜5.0:0.5
    〜1.0の混合比のA液を、T〜Tの時間はn−ヘ
    キサン:イソプロパノール:酢酸=1000:17.0
    〜18.0:0.5〜1.0の混合比のB液を、T
    の時間はn−ヘキサン:イソプロパノール:酢酸=
    1000:4.0〜5.0:0.5〜1.0の混合比の
    A液を0.8〜1.2ml/分の流速でカラムに流す
    が、ここで、T、T、T、TおよびTは、そ
    れぞれ、分析開始後14〜16分のいずれかの時点、2
    4〜26分のいずれかの時点、34〜36のいずれかの
    時点、44〜46分のいずれかの時点および58〜60
    分のいずれかの時点である請求項1〜4のいずれかに記
    載の方法。
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Cited By (7)

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