JP2002247989A - 豚回虫(Ascarissuum)感染幼虫の14kDa抗原、それをコードする核酸分子及びそれらの利用 - Google Patents

豚回虫(Ascarissuum)感染幼虫の14kDa抗原、それをコードする核酸分子及びそれらの利用

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JP2002247989A JP2001050208A JP2001050208A JP2002247989A JP 2002247989 A JP2002247989 A JP 2002247989A JP 2001050208 A JP2001050208 A JP 2001050208A JP 2001050208 A JP2001050208 A JP 2001050208A JP 2002247989 A JP2002247989 A JP 2002247989A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寄生虫の感染防御に関わる蛋白質、それをコ
ードするDNA及びそれらの使用の提供。 【解決手段】 豚回虫(Ascaris suum)感染幼虫の14kD
a抗原蛋白質をコードするDNAからなる遺伝子、該DNAを
含むベクター及び組換え体細胞、豚回虫(Ascaris suu
m)感染幼虫の14kDa抗原蛋白質、該抗原を認識する抗体
並びに該抗原を含む豚回虫感染防御のための全身性及び
粘膜誘導型ワクチン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寄生虫の感染防御
に関わる蛋白質、それをコードするDNA及びそれらの使
用に関する。具体的には、Ascaris及びTozocara属を含
むAscarid線虫の感染防御抗原蛋白質、該感染防御蛋白
質をコードするDNA、該DNAを含むベクター、該ベクター
を保持する組換え体細胞、寄生虫の感染防御抗原に対す
る抗体及び寄生虫の感染を防御するワクチンに関する。
本発明により、Ascaris及びToxocara属の回虫感染防御
を目的とした化合物の合成、あるいは人および動物にお
ける回虫感染から守るためのワクチン開発や治療薬の開
発に応用できる。
【0002】
【従来の技術】人類や家畜生産に甚大な被害をもたらし
てき感染症は、ワクチンの普及によってその多くは制圧
されてきた。しかし、ワクチンが開発途上にある寄生虫
感染症は、依然として世界各地に分布している。とりわ
け、熱帯・亜熱帯地域では寄生虫の蔓延に加え衛生状態
の不備から寄生虫による人への健康被害、家畜生産への
被害は莫大な額にのぼる。また、先進諸国でも最近は寄
生虫による新興、再興の人畜共通感染の脅威が大きな社
会問題になりつつある。寄生虫病防除の中心は化学療法
剤などの薬剤利用に深く依存している。しかしながら、
薬剤の連続使用によるいわゆる薬剤耐性がいずれの薬剤
に対しても確立され、殺虫効果の消失するものも少なく
ない。さらに、薬剤の使用には常に人あるいは動物への
副作用を考えなくてはならず、同時に、食と環境の安全
性を脅かす薬物残留問題があり、消費者から敬遠される
傾向にある。そのうえ、薬剤の使用には有効性や適用範
囲に加えて、膨大な開発コストの面からも限界が生じつ
つあり、21世紀における寄生虫による人および家畜生産
の被害を薬剤使用によって防ぐことは非常に難しい状況
にある。
【0003】人や家畜、愛玩動物の小腸に寄生する回虫
(AscarisやToxocara属)は、熱帯・亜熱帯地域に限ら
ず先進諸国を含め世界的に分布する寄生虫である。一般
に、寄生線虫は固有宿主が限定されているが、回虫に関
しては本来の固有宿主ではない非固有宿主への感染が顕
著に見られる寄生虫である。そのため、豚を固有宿主と
する豚回虫(Ascaris suum) や犬回虫(Toxocara canis)
の人への感染例が多数報告され、人畜共通感染症として
も重要視されている(松山ら, 日本呼吸器学会誌 36:2
08-212(1998),Maruyama et al., Lancet 347:1766-17
67 (1996))。また、マウス等の実験動物でも感染が成立
し、豚の代替宿主として豚回虫-マウス感染系は広く免
疫学的試験等に利用されている(Kennedy et al., Clin
Exp Immunol 80: 219-224. (1990))。
【0004】寄生虫感染でもウイルスや細菌感染症に見
られるような宿主の再感染防御能の獲得が知られてお
り、古くから実験室段階で実証されている (Maizels et
al.,Immunol Rev 171:125-147. (1999)) 。こうした背
景から寄生虫ワクチンとして実用化に至った寄生虫はPo
ynterによって開発された牛肺虫である(Poynter, D.,
Adv. Parasitol., 1:179-212.(1963))。しかし、感染
幼虫を放射線照射によって製造された寄生虫ワクチンに
は常に人為感染の副作用があり、また、生ワクチンであ
るため投与の煩雑さで敬遠されるに至った。豚回虫感染
においても、虫体抽出物あるいは放射線照射した感染ス
テージである第3期幼虫(L3)で防御免疫が誘導される
ことは、豚、ウサギ、マウスで明らかにされている(Ste
wart etal., Vet Parasitol 17: 319-326. (1985), St
ankiewicz et al., J Parasitol36:245-257(1990))。な
かでも、豚回虫幼虫ステージの抽出抗原や表層抗原を免
疫した動物では、顕著な感染阻止が認められことから、
幼虫抗原には防御免疫を誘導する分子が含まれているこ
とが示唆されてきている(Hill et al., Vet Immunol Im
munopathol 42:161-169 (1994))。
【0005】遺伝子組換え技術は、他の感染症と同様に
寄生虫ワクチン開発に向け有効な手段となっている。現
在、各国で感染防御抗原あるいは寄生虫に特有な変態関
連酵素等をコードする遺伝子クローニングが精力的に進
められ、安全なワクチン蛋白質の製造が試みられてきて
いる(Blaxter et al., Parasitol Today 16:5-6. (200
0)) 。しかし、ワクチン候補分子を製造しても、感染の
成立する宿主が限定されてしまうため、マウス等の実験
小動物を用いた有効性評価が難しく、組換え技術によっ
て製造された寄生虫感染を防ぐいわゆる感染防御抗原の
評価が大きな障害となり、現状では単一分子あるいは複
数の分子を組み合わせた組換え抗原によるワクチンの実
用化に至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、寄生虫の駆
除及び寄生虫感染から家畜及び人を守るための化合物の
合成を提供し、様々な人畜共通の寄生虫感染症の防除法
を提供するものである。具体的には、Ascaris及びToxoc
ara属回虫の感染防御抗原蛋白質、該感染防御抗原蛋白
質をコードするDNA、該DNAを含むベクター、該ベクター
を保持する組換え体細胞、寄生虫の感染防御抗原に対す
る抗体及び寄生虫の感染を防御するワクチンを提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、豚回虫感
染幼虫から、新規な14kDaの抗原をコードするDNAを単離
し、該DNAがコードする抗原がマウスにおいて回虫感染
を防御することを見出し、該抗原が回虫感染防御抗原で
あることを突き止め本発明を完成するに至った。本発明
は寄生虫における感染防御抗原をコードする遺伝子(As
caris suumL2R59遺伝子)、該感染防御抗原蛋白質及び
該感染防御抗原蛋白質コード領域を蛋白質発現ベクター
に挿入し、精製した組換え感染防御抗原蛋白質の作製に
関連する。また、本発明は感染防御抗原に対する抗体、
及び抗体の作製方法に関連する。さらに、本発明は該感
染防御蛋白質をワクチンとして用いた、回虫感染防御能
の誘導に関連する。
【0008】即ち、本発明は以下のとおりである。 (1) 以下の(a)又は(b)に示す豚回虫(Ascaris
suum)の14kDa抗原蛋白質をコードするDNA。 (a) 配列表の配列番号2で示すアミノ酸配列を有す
る蛋白質。 (b) 配列表の配列番号2で示すアミノ酸配列におい
て、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付
加されたアミノ酸配列を有し、かつ豚回虫(Ascaris su
um)の14kDa抗原蛋白質の生物学的活性を有する蛋白
質。
【0009】(2) 以下の(c)又は(d)に示すDNAで
ある請求項1に記載のDNA。 (c) 配列表の配列番号1の72位から509位の塩基配列
を含むDNA。 (d) 配列表の配列番号1の72位から509位の塩基配列
を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズし、かつ豚回虫(Ascaris suum)の14kDa抗原蛋白質
の生物学的活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【0010】(3) 以下の(a)又は(b)に示す蛋白
質。 (a) 配列表の配列番号2で示す豚回虫(Ascaris suu
m)の14kDa抗原蛋白質のアミノ酸配列を有する蛋白質。 (b) 配列表の配列番号2で示す豚回虫(Ascaris suu
m)の14kDa抗原蛋白質のアミノ酸配列において、1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列を有し、かつ豚回虫(Ascaris suum)の14kD
a抗原蛋白質の生物学的活性を有する蛋白質。
【0011】(4) (1)または(2)のDNAを含む
組換え体分子。 (5) (1)または(2)のDNAを含むベクター。 (6) (5)のベクターを含む組換え体細胞。 (7) (6)の組換え体細胞を培養し、その培養物か
ら豚回虫(Ascaris suum)の14kDa抗原蛋白質を採取す
ることを特徴とする、豚回虫(Ascaris suum)の14kDa
抗原蛋白質を産生する方法。 (8) (3)の豚回虫(Ascaris suum)の14kDa抗原
蛋白質を認識する抗体。 (9) モノクローナル抗体である(8)の抗体。 (10) (3)の豚回虫(Ascaris suum)の14kDa抗
原蛋白質を含む、回虫感染防御のための全身性及び粘膜
誘導型ワクチン。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるcDNAライブラリーの作製、遺伝子のクロ
ーニング、スクリーニングおよび塩基配列の決定等の分
子生物学、寄生虫学、免疫学並びに生化学的な技術はJ.
Sambrook, E.F.Fritsch & T.Maniatis (1989): Molecul
ar Cloning, alaboratory manual, second edition, Co
ld Spring Harbor Laboratory Press;Ed Harlow and D
avid Lanc(1988):Antibodies, a laboratory manual, C
old Spring Harbor Laboratory Press;獣医臨床寄生虫
学編集委員会編(1998)、獣医臨床寄生虫学、文英堂、
等の当業者に良く知られた文献に記載された方法に従っ
て行えばよい。また、DNA解析は、MacVector(登録商
標)(コダック社)およびGENETYX(ソフトウェアー開
発社)等のソフトウェアを用いて行うことができる。
【0013】本発明のDNAは、配列表の配列番号2で示
すアミノ酸配列を有する豚回虫(Ascaris suum)の14kD
a抗原蛋白質をコードする総てのDNAを含む。また、配列
表の配列番号2で示すアミノ酸配列において、1若しく
は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミ
ノ酸配列を有し、かつ豚回虫(Ascaris suum)の14kDa
抗原蛋白質の生物学的活性を有する蛋白質をコードする
総てのDNAも含む。ここで、1若しくは数個のアミノ酸
が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、
かつ豚回虫(Ascaris suum)の14kDa抗原蛋白質の生物
学的活性を有する蛋白質とは、下に記載のとおりであ
る。
【0014】さらに、本発明のDNAは、配列番号1の72
位から509位までの塩基配列からなるDNA(豚回虫感染幼
虫の14kDa抗原をコードするDNA、すなわちAscaris suum
L2R59遺伝子)または配列番号1に示す全塩基配列から
なるDNAを含む。さらに、これらのDNAとストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズすることができる総てのDN
Aも含む。ここで、ストリンジェントな条件とは、豚回
虫感染幼虫の14kDa抗原をコードするDNA配列と90%以上
の相同性、好ましくは95%以上の相同性、より好ましく
は97%以上の相同性が配列間に存在するときのみハイブ
リダイゼーションが起こることを意味する。通常、完全
ハイブリッドの融解温度より約5℃〜約30℃、好ましく
は約10℃〜約25℃低い温度でハイブリダイゼーションが
起こる場合をいう。ストリンジェントな条件について
は、J.Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory
Mannual, Second Edition, Cold Spring Harbor Labor
atory Press(1989)に記載されており、ここに記載の条
件を使用し得る。
【0015】また、本発明の蛋白質は、配列番号2に示
すアミノ酸配列を有するもの又は、その類似蛋白質すな
わち配列番号2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質と実
質的に同等の性質を有し、アミノ酸配列中、1個又は数
個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸
配列を有するものであり、豚回虫感染幼虫14kDa抗原の
アミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好
ましくは97%以上の相同性を有するのが望ましい。ここ
で、実質的に同質の性質とは、豚回虫(Ascaris suum)
感染幼虫の14kDa抗原蛋白質の生物学的活性を有するこ
とを意味し、生物学的活性を有するとは豚回虫感染防御
能を有することを意味する。
【0016】本発明の豚回虫感染幼虫の14kDa抗原をコ
ードするcDNAは、以下のような方法で得ることができ
る。Ascaris属またはToxocara属回虫の成虫は、回虫感
染豚より得ることができる。成虫から未成熟卵を得て、
Douvres and Urban, J Parasitol., 69:549-558 (1983)
らの方法によって感染ステージである第3期幼虫(L3)
を含む成熟卵に発育させ、cDNAのライブラリーの作成
のために供することができる。
【0017】回虫L3より、通常行われる方法または市販
のmRNA単離キットを用いて、mRNA(poly(A)RNA)を精
製する。例えば、回虫L3を、グアニジン試薬、フェノー
ル試薬等で処理して全RNAを得た後、オリゴdT-セル
ロースやセファロース2B等を担体とするポリU-セファ
ロース等を用いたアフィニティーカラム法、又はバッチ
法によりpoly(A)+mRNAを得ることができる。
【0018】このようにして選られたmRNAを鋳型とし
て、逆転写酵素を用いて一本鎖cDNAを合成し、DNAポリ
メラーゼを用いて二本鎖DNAを合成し、適当なベクター
に組み込んで、該ベクターを用いて大腸菌等を形質転換
してcDNAライブラリーを作製する。cDNAは、適当な制
限酵素とリガーゼを用いる通常の方法でベクターに組込
むことができる。例えば、得られたcDNAを、適当な制
限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位に
挿入してベクターに連結する方法などがある。この際、
後述のベクター、宿主細胞を用いてcDNAライブラリーを
得ることが出来る。
【0019】このようにして得られたクローン化DNAラ
イブラリーから、目的のDNAを選択する。選択方法とし
て、イムノスクリーニング法、プラークハイブリダイゼ
ーション法、コロニーハイブリダイゼーション法等の方
法を用いることができる。例えば、得られたクローン群
を、イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトシド(IPTG)
等の誘導物質により蛋白質を発現させ、これをナイロン
膜若しくはセルロース膜に転写し、目的蛋白質に対する
抗体または該抗体を含む血清を用いて免疫学的に対応す
るクローンを選択することができる。
【0020】このようにして調製したクローンから目的
cDNAの塩基配列を決定する。塩基配列の決定は、例え
ば、マキサム・ギルバート法(Maxam,A.M. andGilbert,
W.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,74,560,1977)又はジデ
オキシ法(Messing, Jet al.,Nucl.Acids Res.,9,309,1
981)等により行うことができる。これらの原理を応用
した塩基配列自動解析装置を用いて配列を決定すること
もできる。
【0021】得られた目的DNAをポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)等の遺伝子増幅法により増幅することができ
る。PCRは、例えば、蛋白質核酸酵素「PCR法最前線―基
礎技術から応用まで―」第4巻、第5号、1996年4月号
増刊、共立出版に記載されている技術により行うことが
できる。目的のDNAをクローン化又は増幅した後、目的D
NAを回収し、これを入手可能な適当な発現ベクターに組
み込んで、さらに適当な宿主細胞に形質転換し、適当な
培地中で培養、発現させ、目的蛋白質を回収、精製する
ことができる。
【0022】この際のベクターとして、プラスミド、フ
ァージ、ウイルス等の宿主細胞において複製可能である
限りいかなるベクターも用いることができる。例えば、
pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pKC30、pCFM536等
の大腸菌プラスミド、pUB110等の枯草菌プラスミド、pG
-1、YEp13、YCp50等の酵母プラスミド、λgt110、λZAP
II等のファージのDNA等が挙げられ、哺乳類細胞用のベ
クターとしては、バキュロウイルス、ワクシニアウイル
ス、アデノウイルス等のウイルスDNA、SV40とその誘導
体等が挙げられる。ベクターは、複製開始点、選択マー
カー、プロモータを含み、必要に応じてエンハンサー、
転写終結配列(ターミネーター)、リボソーム結合部
位、ポリアデニル化シグナル等を含んでいてもよい。
【0023】ベクターは、商業的に入手可能なものを使
用することができ、例えば細菌性のものではpQE70、pQE
60、pQE-9(Qiagen)、pBluescriptII KS、ptrc99a、pK
K223-3、pDR540、pRIT2T(Pharmacia)、pET-11a(Novage
n)、真核性のものではpXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK
3、pBPV、pMSG、pSVL、SV40(Pharmacia)等がある。
【0024】複製開始点として、大腸菌ベクターに対し
て、例えばColiE1、R因子、F因子由来のものが、酵母ベ
クターに対して、例えば2μmDNA、ARS1由来のものが、
哺乳類細胞用ベクターに対して、例えばSV40、アデノウ
イルス、ウシパピローマウイルス由来のものを用いるこ
とができる。また、プロモーターとしてアデノウイルス
又はSV40プロモーター、大腸菌lacまたはtrpプロモータ
ー、ファージラムダPLプロモーター、酵母用としてのAD
H、PHO5、GPD、PGK、AOX1プロモーター、蚕細胞用と
しての角多角体病ウイルス由来プロモーター等を用いる
ことができる。
【0025】選択マーカーとして、大腸菌用ベクターに
は、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝
子、テトラサイクリン耐性遺伝子等を、酵母用ベクター
には、Leu2、Trp1、Ura3遺伝子等を、哺乳類細胞には、
ネオマイシン耐性遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、ジ
ヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を挙げることができる。
【0026】DNAのベクターへの導入は、任意の方法で
行うことができる。ベクターは、種々の制限部位をその
内部に持つポリリンカーを含んでいるか、または単一の
制限部位を含んでいることが望ましい。ベクター中の特
定の制限部位を特定の制限酵素で切断し、その切断部位
にDNAを挿入することができる。本発明のDNAおよび調節
配列を含む発現ベクターを適切な宿主細胞の形質転換に
用いて、宿主細胞に本発明の豚回虫感染幼虫14kDa抗原
を発現、産生させることができる。
【0027】宿主細胞としては、大腸菌、ストレプトミ
セス、枯草菌等の細菌細胞、アスペルギルス属菌株等の
真菌細胞、パン酵母、メタノール資化性酵母等の酵母細
胞、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞、C
HO、COS、BHK、3T3、C127等の哺乳類細胞等が挙げられ
る。形質転換は、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、
DEAE-デキストラン介在トランスフェクション、エレク
トロポーレーション等の公知の方法で行うことができ
る。
【0028】得られたリコンビナント蛋白質は、各種の
分離精製方法により、分離・精製することができる。例
えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過、イオン交換ク
ロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー
等を単独でまたは適宜組合せて用いることができる。こ
の際、発現産物がGST等との融合蛋白質として発現され
る場合は、目的蛋白質と融合している蛋白質またはペプ
チドの性質を利用して精製することもできる。例えばヒ
スチジンが6個以上並んだアミノ酸配列、いわゆるヒス
チジンタグとの融合蛋白質として発現させた場合、ヒス
チジンタグを有する蛋白質はキレートカラムに結合する
ので、キレートカラムを用いて精製することができる、
またGSTとの融合蛋白質として発現させた場合、GSTはグ
ルタチオンに対して親和性を有するので、グルタチオン
を担体に結合させたカラムを用いるアフィニティークロ
マトグラフィーにより効率的に精製することができる。
【0029】豚回虫感染幼虫の14kDa抗原に対する抗体
は、以下のようにして調製することができる。該14kDa
抗原を抗原として、当業者に良く知られた方法に従い例
えばマウス、モルモット、ウサギ、ヤギ等の動物の皮
下、筋肉内、腹腔内、静脈に複数回接種し、十分に免疫
した後、動物から採血し、血清分離し、抗回虫感染幼虫
14kDa抗原抗体を作製することができる。この際、適当
なアジュバントを使用することもできる。モノクローナ
ル抗体も公知の方法により作製し得る。例えば、豚回虫
感染幼虫の14kDa抗原で免疫したマウスの脾細胞とマウ
スのミエローマ細胞との細胞融合により得られるハイブ
リドーマを作製し、該ハイブリドーマの培養上清又は該
ハイブリドーマを腹腔内に投与したマウスの腹水から調
製することができる。免疫抗原として用いる豚回虫感染
幼虫の14kDa抗原は、豚回虫から抽出した天然蛋白質、
組換え蛋白質でもよいし、化学合成したものでもよい。
また、全アミノ酸配列を有する蛋白質でも良いし、該蛋
白質の部分構造を有するペプチドフラグメントや他の蛋
白質との融合蛋白質でも良い。ペプチドフラグメントは
該蛋白質を適当な蛋白質分解酵素で分解した断片も用い
得るし、配列番号1に示す塩基配列の一部を発現ベクタ
ーに組み込んで発現させた産物でも良い。融合蛋白質
は、配列番号1に示す塩基配列の一部を他の蛋白質をコ
ードする遺伝子と連結させて、発現ベクターに組み込ん
で発現させて製造することもできるし、ポリペプチドフ
ラグメントを適当なキャリア蛋白質と化学結合により結
合させた上で使用することもできる。得られた抗体の反
応性は、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RI
A)、ウエスタンブロッティング等の当業者によく知ら
れた方法により測定することができる。
【0030】豚回虫感染幼虫の14kDa抗原を、回虫感染
防止のためのワクチンとして用いることができる。ワク
チンとして用いる豚回虫感染幼虫の14kDa抗原蛋白質
は、豚回虫から抽出した天然蛋白質、組換え蛋白質でも
よいし、化学合成したものでもよい。また、全アミノ酸
配列を有する蛋白質でも良いし、該蛋白質の部分構造を
有するペプチドフラグメントや他の蛋白質との融合蛋白
質でも良い。フラグメントの場合、フラグメントが回虫
の感染を防御する抗体(中和抗体)が認識するエピトー
プ(中和エピトープ)を含んでいることが必要である。
ペプチドフラグメントは該蛋白質を適当な蛋白質分解酵
素で分解した断片も用い得るし、配列番号1に示す塩基
配列の一部を発現ベクターに組み込んで発現させた産物
でも良い。
【0031】ワクチンは、1種又は数種のアジュバン
ト、例えばフロイントの完全若しくは不完全アジュバン
ト、コレラトキシン、易熱性大腸菌毒素、水酸化アルミ
ニウム、カリウムミョウバン、サポニン若しくはその誘
導体、ムラミルジペプチド、鉱物油または植物油、NAG
O、ノバソームまたは非イオン性ブロック共重合体、DEA
Eデキストラン等を含むことができる。また、医薬上許
容される担体を含んでいてもよい。医薬上許容される担
体は、ワクチン接種される動物の健康に悪影響を及ぼさ
ない(すなわち、少なくとも、該動物にワクチン接種し
ない場合に病気により認められる影響より著しい悪影響
を及ぼさない)化合物であると理解される。医薬上許容
される担体は、例えば、無菌水または無菌生理塩溶液で
あることが可能である。より複雑な形態の場合には、該
担体は例えばバッファーであることが可能である。
【0032】本発明のワクチンは、通常の能動免疫法で
投与することができ、注射により投与する全身性ワクチ
ンでも、注射によらず経口投与等により投与する粘膜誘
導型ワクチンでもあり得る。すなわち、予防的に有効な
量(すなわち、回虫による攻撃に対して動物において免
疫を誘導する抗原を発現しうる免疫化抗原)にて、剤形
に適合した方法による単回または反復投与により投与す
ることができる。ワクチンは、皮内、皮下、筋肉内、腹
腔内、静脈内、経口的または鼻腔内に投与することがで
きる。また、本発明のワクチンは、同じおよび/または
他の寄生虫の他の抗原成分と有効に混合することが可能
である。
【0033】ワクチンの投与量、投与回数は対象動物に
より変わり得るが、例えば本発明の豚回虫感染幼虫14kD
a抗原を数十μg含むワクチンを1週間から数週間に一
度の頻度で、数回投与することにより動物に防御免疫を
誘導し得る。さらに、本発明は分離した豚回虫感染幼虫
の14kDa抗原に対するインヒビターに関する。分離した
豚回虫感染幼虫の14kDa抗原蛋白質に対するインヒビタ
ーに関する言葉は、天然物あるいは核酸技術もしくは化
学合成から得られたものも含まれる。
【0034】また、本発明は、それら蛋白質、核酸、抗
体、動物の治療を目的とした治療的化合物としてのイン
ヒビター等、ならびにその応用も含まれる。本発明の豚
回虫感染幼虫の14kDa抗原蛋白質及び核酸は、寄生虫ワ
クチンあるいは抗寄生虫剤の新規ターゲットに利用する
こともできる。
【0035】
【実施例】本発明を以下の実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。 実施例1 本発明における豚回虫感染幼虫の14kDa抗原
塩基配列の分離及び決定 豚回虫A. suum の成虫は、茨城県食肉処理場下妻支所に
てA. suum感染豚より採取した。成虫から得た未成熟卵
はDouvres and Urban, J Parasitol., 69:549-558. (19
83)らの方法によって感染ステージのL3を含む成熟卵に
発育させ、以下の操作に供した。豚回虫感染幼虫の14kD
a抗原をコードする遺伝子は、イムノスクリーニングに
よるA. suum L3 cDNAライブラリーから単離した。使用
したcDNAライブラリーは、λZapII ベクター(ストラー
タジーン社)を用いてメーカーの推奨する方法により作
製した。使用した血清は、A. suum L3を4回感染させた
ウサギの血清であった(Kasuga et al., Parasitology
121:671-677. (2000))。使用したファージはE.Coli XL
-1Blue に感染させ、シャーレ(直径150mm)に5×104
になるよう調製し、37℃で4時間培養した。プラーク
出現後、isopropyl-(-D-thiogalactoside(IPTG)を浸
漬させたニトロセルロース膜で培地の表層を覆い、さら
に3時間培養した。培養シャーレから取り除いたニトロ
セルロース膜は、0.02% Tween 添加Tris-HCl(TBST)で
洗浄し、さらに5%添加TBSTに室温1時間ブロッキング
した。ニトロセルロース膜は、1:200に希釈したA. suu
m L3感染ウサギ血清と3時間室温で反応させ、TBSTで十
分洗浄した後アルカリホスファターゼ標識抗ウサギIgG
山羊血清と1時間反応させ、陽性ファージを5-bromo-4-
chloro-3-indolyl phosphate/nitroblue tetrazolium
(NBT/BCIP)を用いて検出した。検出したクローンは、さ
らに上記スクリーニングを繰り返し、陽性クローンを単
離した。単離したファージはExAssistTMヘルパーファー
ジとE.Coli SOLRTM を用いてメーカーの推奨する方法に
従いDNAのインビボーイクサイションを行った。
【0036】アルカリ溶菌法により調製した組換え体プ
ラスミドDNA(L2R59)はM13Reverse及びForwardプライ
マー(アプライドバイオシステム社)を用い、Dye-term
inater Sequencing法(アプライドバイオシステム社テ
クニカルマニュアル)によりメーカーの推奨する方法に
従い反応させ、反応産物をDNA sequencer Model 370A(v
ersion 1.30、アプライドバイオシステム社)を用いて解
析し塩基配列を決定した。塩基配列から推定されるコー
ド領域のアミノ酸は、C末部分は含まれていたが、N末端
が欠けていた。そこで欠損部位のcDNAを得るため
に、5'の単離を試みた。A. suum L3よりTotal RNA Iso
lation Kit(プロメガ社)を用い、メーカーの推奨する方
法に則り、RNAを抽出した。抽出したRNAからmRNA Isola
tion Kit (プロメガ社)を用い、メーカーの推奨する方
法に従いpoly-RNAを精製した。Time Saver cDNA 合成キ
ット(ファルマシア社)を用い、メーカーの推奨する方
法に従い、二本鎖cDNAを合成した。コード領域の断片
を得るために上記cDNAを用いて、スプライスリーダー配
列(SL, Blaxter and Liu, Int J Parasitol., 26:1025-
1033. (1996))及びL2R59から設計したプライーマーでPC
R反応を行った。PCR反応は次に示す条件で行った。50μ
lの反応液〔3μl A. suum L3DNA、1μM SLプライマ
ー、1μM P1プライマー:TGG GTT ATC GGC TAT TGC G
G、10mM TrisTris-HCL(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM Mg
Cl2 、2.5U AmpliTaq DNA polymerase(プロメガ社)〕
を調製し、DNA Thermal Cycler(パーキンエルマー社)
を用いて、95℃にて30秒間、50℃にて30秒間、72℃にて
2分間の反応を35サイクルで実施した。反応液は0.8%ア
ガロースにアプライし電気泳動を行なった後、増幅され
た約0.4kbのDNA断片をアガロースからDNA精製キット
(キアゲン社)を用いてDWに回収した。直ちにTAクロー
ニングベクター(インビトローゲン社)にメーカーの推
奨する方法に従ってDNA断片を挿入し、INVαF'プラスミ
ドの形質転換を行い、X-Gal(ナカライ社)を含むL-amp
プレートに蒔き、白色のコロニーを選択することにより
アンピシリン耐性で、βガラクトシダーゼ欠損のコロニ
ーを選択した。
【0037】選択したコロニーをL-amp培地で培養し、
アルカリ溶菌法により調製した組換え体プラスミドDN
AをM13Reverse及びForwardプライマー(アプライドバ
イオシステム社)を用い、Dye-terminater Sequencing
法(アプライドバイオシステム社テクニカルマニュア
ル)によりメーカーの推奨する方法に従い反応させ、反
応産物をDNA sequencer Model 370A (version 1.30、ア
プライドバイオシステム社)を用いて分析し塩基配列を
決定した。イムノスクリーニングと5’端PCRのシーケン
ス結果から合成したcDNAは、623塩基で構成され、5’に
は非翻訳領域に続きATGの開始コドンが、また3’には真
核生物に存在するポリアデニレーションが確認された。
塩基配列から推定される蛋白質は146残基のアミノ酸か
ら構成され、その内N末領域には16残基の真核生物シグ
ナル配列が確認された。全アミノ酸の推定分子量は15,5
76Daで等電点は10.12であったのに対して、シグナル配
列を除いた虫体内での予想される成熟蛋白質の分子量
は、14,009Da、等電点は10.0であった。配列表の配列番
号1に該DNAの塩基配列を示した。コーディング領域
は、72位から509位であった。配列表の配列番号2にア
ミノ酸配列を示した。アミノ酸データベースとの相同性
検索から、本発明で示す推定アミノ酸構造は、人象皮症
の病原体であるフィラリアの抗原分子あるいは土壌線虫
のひとつであるCaenorhabditis eleganseの遺伝子産物
とそれぞれ41および38%の類似性を示した。しかしなが
ら、現在のGenBankTMデーターベース上で人及びマウス
等の哺乳動物で確認されている蛋白質との間で類似性を
示した蛋白質は確認されなかった。このことから分離さ
れた遺伝子がコードする蛋白質は、線虫特有のものであ
ることが示唆された。
【0038】実施例2 組換え体蛋白質を発現させるベ
クター構築のための豚回虫感染幼虫の14kDa抗原cDNAの
分離及び増幅並びに組換え体分子及び組換え体細胞の作
出 上記方法で合成したA. suum L3 cDNAセンスプライマー
(5'-CCG AGC TCG AGACAA GGA CCT CAA GGA CCA CCA C-
3';CTCGAGはXhoI サイト;配列番号3)とアンチセン
スプライマー(5'-CCA TAT GGT ACC CTA GCC TTG CAT CT
C TTT TTG-3';GGTACCはKpnI サイト;配列番号4)を用
いたPCR反応にて増幅した。
【0039】PCR反応は50μlの反応液〔1ng A. suumL
3cDNA、1μMセンス及び1μMアンチセンスプライマ
ー、10mM Tris-HCL(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl
2 、2.5U AmpliTaq DNA polymerase(プロメガ社)〕を
調製し、DNA Thermal Cycler(パーキンエルマー社)を
用いて、95℃にて30秒間、55℃にて30秒間、72℃にて2
分間の反応を35サイクルで実施した。増幅したPCR産物
はゲル電気泳動を行い、増幅したDNA断片をDNA精製キッ
ト(キアゲン社)を用いて蒸留水中に回収し、回収液を
制限酵素XhoI及びKpnIで3時間酵素処理した。プラスミ
ド発現ベクターであるpTrcHis発現ベクター(インビト
ローゲン社)も挿入断片と同様に制限酵素XhoI及びKpnI
で3時間酵素処理した。制限酵素処理した挿入断片及び
ベクターをDNAライゲーションキット(宝酒造社)を用
いてメーカーの推奨する方法に従ってDNA断片を挿入
し、大腸菌Top10を用いて形質転換を行い、L-ampプレー
トに蒔き白色のコロニーから豚回虫感染幼虫の14kDa抗
原コード領域の挿入されたクローンを選択した。
【0040】実施例3 大腸菌における豚回虫感染幼虫
の14kDa抗原の作出及び、作出した蛋白質の性状 形質転換した大腸菌を37℃でアンピシリンを含んだSOB
液で培養し、培養後SOB液のOD6000.5に到達した時点で1
mMのIPTGを添加し、さらに4時間培養を続けた。経時
的に産生される蛋白産生の変化は12.5%SDS-ポリアクリ
ルアミドゲルで電気泳動{Laemmli, et al., Nature 22
7:680-685(1970)}を実施した後、クマーシー染色で確
認した。その結果、約20kDa付近に組換え蛋白質の産生
が認められ。また、同様に実施した電気泳動のゲルをニ
トロセルロース膜(アマシャム社)に電気的に転写し
た。転写後、膜を5%スキムミルクで30分間ブロッキン
グし、次いで、TBSで10,000倍に希釈されたアルカリホ
スファターゼ標識されたT7モノクローナル抗体(ノバー
ゲン社)と1時間反応させた。TBSTで洗浄した後、結合
した蛋白質を基質NBT/BCIP(ギブコBRL社)を用いて可
視化した。その結果、このウエスタンブロット解析によ
って約20kDa付近に確認された組換え蛋白質と反応する
ことが認められ、組換え蛋白質に(His)6が付加されて
いることが確認された(図1)。図1でレーン1は、発現前
の大腸菌ライセート、レーン2は、発現後の大腸菌ライ
セート、レーン3は、精製した豚回虫感染幼虫の14kDa
組換え抗原蛋白質を示している。
【0041】実施例4 大腸菌からの豚回虫感染幼虫の
14kDa抗原の精製、及び精製した豚回虫感染幼虫の14kDa
抗原組換え体蛋白質に対する抗体作製 豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え体蛋白質はメタルキ
レートクロマトグラフィー(インビトローゲン)を用い
てメーカーの推奨するイミダゾール溶出法によって精製
した(Tsuji et al., Mol Biochem Parasitol 97: 69-79
(1998))。溶出された蛋白質はCentrisart I (ザルトリ
ウス社, cut off 10,000 MW) を用いて濃縮し、Slide-A
-LyzerTM Dialysis Cassette (ピアス社)を用いてリン
酸緩衝食塩液中にて透析を行った。この精製した豚回虫
感染幼虫抗原組換え体蛋白質は、以下の抗体作製、各種
動物の豚回虫免疫血清の反応性、豚回虫感染幼虫を用い
た攻撃試験の検討に使用した。
【0042】豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え体蛋白
質に対するポリクローナル抗体はマウスを用いて以下の
ように作製した{Tsuji et al., Mol Biochem Parasito
l 97: 69-79, (1998)}。豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組
換え体蛋白質50 μgをTiterMax GoldTM (シンテックス
社)とともに皮下接種し、4週間後再度同量を接種し
た。再投与2週後に採血を行い、血清を-20℃に保存し
た。豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え体蛋白質を用い
たウエスタンブロット解析によって、作製された14kDa
組換え蛋白質マウス免疫血清は、20kDa付近の組換え蛋
白質と強く反応することが確認された。
【0043】実施例5 精製した豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え体蛋白質の
各種動物のA.suum L3免疫血清との反応性実施例4で作製
した14kDa組換え蛋白質とウサギ、マウス及び豚の豚回
虫免疫血清との反応性をSDS-PAGE/ウエスタンブロット
法を用いて調べた。SDS-PAGE (Laemmli, et al., Natur
e 227:680-685(1970))で分離した14kDa抗原組換え体蛋
白質を定法に従いニトロセルロース膜(アマシャム社)
に転写した。転写後、膜を5%スキムミルクで30分間ブ
ロッキングし、次いで、TBSで500倍に希釈されたウサ
ギ、マウス及び豚の免疫血清と1時間反応させた。TBST
で転写膜を洗浄した後、免疫血清と結合した蛋白質を検
出するためにアルカリホスファターゼ標識された抗ウサ
ギ、マウス及び豚-IgG抗体(カッペル社)と1時間反応
させ、結合した蛋白質を基質NBT/BCIP(ギブコBRL社)
を用いて可視化した。その結果、いずれの免疫血清も20
kDaの抗原組換え体蛋白質と陽性反応を示し、14kDa組
換え蛋白質の抗原性が確認された。
【0044】実施例6 イムノブロット法によるネイテ
ィブ(天然型)豚回虫感染幼虫の14kDa抗原の性状及び
人回虫及び犬回虫における豚回虫感染幼虫の14kDa抗原
様分子の性状 実施例4で作製したマウス豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組
換え体蛋白質免疫血清を用いて、豚回虫感染幼虫の14kD
a抗原蛋白質抽出液のSDS-PAGE/ウエスタンブロット法を
行った。SDS-PAGE (Laemmli, et al., Nature 227:680-
685(1970))で分離した後、定法に従いニトロセルロース
膜(アマシャム社)に転写した。転写後、膜を5%スキ
ムミルクで30分間ブロッキングし、次いで、TBSで1,000
倍に希釈されたマウス豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換
え体蛋白質免疫血清と1時間反応させた。TBSTで洗浄し
たのち、免疫血清と結合した蛋白質を検出するために、
アルカリホスファターゼ標識された抗マウス-IgG抗体
(カッペル社)と1時間反応させ、結合した蛋白質を基
質NBT/BCIP(ギブコBRL社)を用いて可視化した。その
結果、マウス血清と反応する約14kDaの単一バンドが確
認され、A.suumL3抽出蛋白液中の天然型豚回虫感染幼虫
の14kDa抗原が同定できた。この成績により本発明の表
題に用いた14kDaは、L2R59がコードする豚回虫の成熟抗
原の分子量である。さらに、人及び犬回虫抽出蛋白を用
いて上記の方法を行ったところ、豚回虫抽出蛋白の場合
と同様の14kDaの大きさに陽性反応が確認された。この
ことから、本発明で示した豚回虫感染幼虫14kDaは、As
carid 線虫に共通して存在する分子であることが示され
た(図2)。図2でレーン1は人回虫、レーン2は犬回虫、レ
ーン3は豚回虫、レーン4は豚回虫感染幼虫14kDa組換
え抗原蛋白質を示している。
【0045】実施例7 豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組
換え蛋白質を免疫したマウスにおけるA.suumL3攻撃試験 マウス20匹を4群(5匹/1群)に分け、それぞれ豚回虫
感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質免疫群、アジュバン
ド対照群、感染耐化群および未処置群を構成した。豚回
虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質免疫群のマウスに
初回に50μgの豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質
をフロイトの完全アジュバント(ディフコ社)と共に皮
下接種し、その4週間後および6週間後に14kDa抗原組換
え蛋白質をフロインドの不完全アジュバントと共に皮下
接種し合計3回免疫処置を行った。アジュバンド対照群
には、豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質免疫群
で使用したアジュバントを免疫処置日と同一日に皮下接
種した。感染耐化群は、A.suumL3を頻回感染させること
によって作製した。すなわち、感染ステージであるL3を
含んだ成熟卵を初回2,000個経口投与し、その後4週目お
よび6週目に4,000個投与した。実験群マウスへのA.suum
L3のチャレンジは最終免疫および経口投与の1週間後に
成熟卵5,000個を経口投与することで行った。感染後、7
日目にで安楽死させ肺を取り出しべ−ルマン法により抗
生物質を加えたPBS中に肺組織内の幼虫を遊出させ、顕
微鏡下でその幼虫数をカウントした。数値は平均値±標
準偏差で示した。感染防御の効果判定は未処置群との幼
虫数増減で行った。
【0046】未処置群では、169.2±27.7匹アジュバン
ド対照群では、183.7±72.1匹これらに対して、豚回虫
感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質を免疫群では、83.2
±63.5匹、であった。また、各群のマウス血清を用い
て、イムノブロット法によって豚回虫感染幼虫の14kDa
抗原組換え蛋白質の特異抗体を測定した。豚回虫感染幼
虫の14kDa抗原組換え蛋白質を免疫群ではいずれのマウ
ス血清も希釈倍率1,600倍あるいは3,200倍で強い陽性反
応が確認された。未処置群及びアジュバンド対照群では
いずれも陽性反応は確認されなかった。すなわち、豚回
虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質の免疫によって、
A.suum幼虫回収率が有意に減少し、A.suumL3に対する豚
回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質による防御免疫
誘導が確認された。なお、A.suumL3感染マウスにおける
A.suumL3チャレンジの防御免疫誘導は、今回設定した感
染耐化群のチャレンジ試験において肺からの幼虫回収が
0であったことからも立証された。
【0047】実施例8 経鼻免疫による豚回虫感染幼虫
の14kDa抗原組換え蛋白質の感染防御能 実施例7において、実験室内で汎用されている免疫方法
によって作製された豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え
蛋白質免疫マウスにA.suumL3感染に対する防御免疫誘導
が確認された。そこで、さらにワクチン投与による動物
への侵襲負担の軽減及び投与の省力化を図るため、鼻腔
投与による豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質の
防御免疫誘導能について検討した。アジュバントにはコ
レラトキシンBサブユニット(CTB、C-9903、シグマ社)
を用いた。
【0048】マウス15匹を3群(5匹/1群)に分け、そ
れぞれ豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質+CTB免
疫群、CTB免疫対照群、および未処置群を構成した。豚
回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質+CTB免疫群のマ
ウスには初回、50μgの豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換
え蛋白質と25μgCTBの混和液を鼻腔内にマイクロキャピ
ラリーラウンドチップを用いて投与し、その4週間後お
よび6週間後に同様に投与し合計3回の免疫処置を行っ
た。CTB免疫対照群には、豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組
換え蛋白質免疫群で使用したCTBを免疫処置日と同一日
に鼻腔投与した。実験群マウスへのA.suumL3のチャレン
ジは最終免疫および経口投与の1週間後に成熟卵5,000個
を経口投与することで行った。感染後、7日目に安楽死
させ肺を取り出し、ベ−ルマン法により抗生物質を加え
たPBS中に肺組織内の幼虫を遊出させ、顕微鏡下でその
幼虫数をカウントした。回収した幼虫数は平均値±標準
偏差で示した。感染防御の効果判定は未処置群との幼虫
数増減で行った。また、各群のマウス血清を用いて、EL
ISAによる豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質に対
する特異抗体を測定した。すなわち、0.1M炭酸バッファ
ーpH9.6を用いて2μg/mlに調整した豚回虫感染幼虫の1
4kDa抗原組換え蛋白をポリスチレン性マイクロプレート
(AE1640,住友ベークライト社)の各ウエルをコートし
た。プレートは4℃で16時間放置後、0.05%Tween 添加P
BS(PBST)で3回洗浄した。各ウエルは1%牛血清アルブ
ミン(BSA、シグマ社)加PBSで37℃1時間ブロックし
た。PBSTで5回洗浄した後、系列希釈した血清を添加し3
7℃で1時間反応させた。反応後、PBSTで5回洗浄しウエ
ルに1:10,000に調整したホースラディシュペルオキシ
ダーゼ(HRP)結合抗マウスIgG(ベッチル社)を加え37℃
で1時間反応させた。反応後プレートはPBSTで5回洗浄
し、2,2'-アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−
6−スルホン酸)基質溶液(ABTS, Kirkegaard & Perry
Laboratories社)を添加し37℃で発色させた。反応
の停止は1%SDS添加によって行った。発色の測定はマイ
クロプレートリーダー(SPECTRAFLUOR、和光)を用いて
405で測定した。抗体価は最高希釈倍率のreciprocal
log2 titerで示した。その結果、未処置群では、306.8
±87.5匹。CTB免疫対照群では、342.25±96.2匹であっ
た。これらに対して、豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換
え蛋白質+CTBの免疫群では、126.75±77.0匹であった。
その結果、豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質+CT
Bの免疫群では、14kDa抗原組換え蛋白質に対する特異Ig
G抗体価18.6±0.55が確認された。未処置群及びCTB免疫
対照群ではいずれも抗体価は<6であった。すなわち、
豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換え蛋白質の経鼻による
粘膜免疫によって、A.suum幼虫回収率が有意に減少し、
A.suumL3感染に対する豚回虫感染幼虫の14kDa抗原組換
え蛋白質による防御免疫誘導が確認された。
【0049】
【発明の効果】本発明により、 豚回虫(Ascaris suu
m)感染幼虫の14kDa抗原蛋白質をコードするDNAからな
る遺伝子、該DNAを含むベクター及び組換え体細胞、豚
回虫(Ascaris suum)感染幼虫の14kDa抗原蛋白質、該
抗原を認識する抗体並びに該抗原を含む豚回虫感染防御
のための全身性及び粘膜誘導型ワクチンが提供され、寄
生虫の駆除及び寄生虫感染から家畜及び人を守るための
化合物の合成及び様々な人畜共通の寄生虫感染症の防除
が可能になる。
【0050】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> National Institute of Animal Health;Bio-oriented technology Resear ch Advancement Institution <120> Ascaris suum infective larvae 14kDa protein, nucleic acid molecules, and use thereof <130> P01-0037 <140> <141> <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 623 <212> DNA <213> Ascaris suum <220> <221> CDS <222> (72)..(509) <400> 1 ggtttaatta cccaagtttg aggtgctcgt ttgaggataa aacttctcaa gaaaagcagc 60 cgcattcaaa a atg aaa gtg ctg ata att ttc gtc gca att gtt gtg ata 110 Met Lys Val Leu Ile Ile Phe Val Ala Ile Val Val Ile 1 5 10 gcc ttt gca caa gga cct caa gga cca cca ccg ttc tta gtc ggt gca 158 Ala Phe Ala Gln Gly Pro Gln Gly Pro Pro Pro Phe Leu Val Gly Ala 15 20 25 ccc gct aat gtc gtt gcc gaa ttc aaa caa atc atc act gga gca ccg 206 Pro Ala Asn Val Val Ala Glu Phe Lys Gln Ile Ile Thr Gly Ala Pro 30 35 40 45 gat aaa acc gat gct gaa att gac cgc gat att gag aac tgg gtc gcc 254 Asp Lys Thr Asp Ala Glu Ile Asp Arg Asp Ile Glu Asn Trp Val Ala 50 55 60 cga caa gga cca aaa ata aag aca gaa ttc aat aaa ttc aaa acg caa 302 Arg Gln Gly Pro Lys Ile Lys Thr Glu Phe Asn Lys Phe Lys Thr Gln 65 70 75 atg cag caa ggc aag gcc aga gct gag gct gcc cat cgg gca tct att 350 Met Gln Gln Gly Lys Ala Arg Ala Glu Ala Ala His Arg Ala Ser Ile 80 85 90 gca aag ttc tcg cca gcc gct aag gca gcc gac gca cag ttg acc gca 398 Ala Lys Phe Ser Pro Ala Ala Lys Ala Ala Asp Ala Gln Leu Thr Ala 95 100 105 ata gcc gat aac cca aat ctc aaa gga cga gaa aag caa cag aaa att 446 Ile Ala Asp Asn Pro Asn Leu Lys Gly Arg Glu Lys Gln Gln Lys Ile 110 115 120 125 act ggc ctc ctt cag tca ttg cca gct gca gtg caa gcc gaa ttt caa 494 Thr Gly Leu Leu Gln Ser Leu Pro Ala Ala Val Gln Ala Glu Phe Gln 130 135 140 aaa gag atg caa ggc tagacgtgaa gagcgagagt attcagcaat tttccctcat 549 Lys Glu Met Gln Gly 145 ttactattga cattcaatgt gatacaatcg ttttagagta ataaactata ctattcaaaa 609 aaaaaaaaaa aaaa 623 <210> 2 <211> 146 <212> PRT <213> Ascaris suum <400> 2 Met Lys Val Leu Ile Ile Phe Val Ala Ile Val Val Ile Ala Phe Ala 1 5 10 15 Gln Gly Pro Gln Gly Pro Pro Pro Phe Leu Val Gly Ala Pro Ala Asn 20 25 30 Val Val Ala Glu Phe Lys Gln Ile Ile Thr Gly Ala Pro Asp Lys Thr 35 40 45 Asp Ala Glu Ile Asp Arg Asp Ile Glu Asn Trp Val Ala Arg Gln Gly 50 55 60 Pro Lys Ile Lys Thr Glu Phe Asn Lys Phe Lys Thr Gln Met Gln Gln 65 70 75 80 Gly Lys Ala Arg Ala Glu Ala Ala His Arg Ala Ser Ile Ala Lys Phe 85 90 95 Ser Pro Ala Ala Lys Ala Ala Asp Ala Gln Leu Thr Ala Ile Ala Asp 100 105 110 Asn Pro Asn Leu Lys Gly Arg Glu Lys Gln Gln Lys Ile Thr Gly Leu 115 120 125 Leu Gln Ser Leu Pro Ala Ala Val Gln Ala Glu Phe Gln Lys Glu Met 130 135 140 Gln Gly 145 <210> 3 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 3 ccgagctcga gacaaggacc tcaaggacca ccac 34 <210> 4 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 4 ccatatggta ccctagcctt gcatctcttt ttg 33
【図面の簡単な説明】
【図1】豚回虫感染幼虫の14kDa抗原の電気泳動の結果
を示す図である。
【図2】イムノブロット法による人回虫及び犬回虫にお
ける豚回虫感染幼虫の14kDa関連抗原ならびにネイティ
ブ型豚回虫感染幼虫の14kDa抗原の結果を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/20 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 21/08 C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 A (72)発明者 春日 春江 茨城県つくば市松代3丁目311−202 (72)発明者 新川 武 沖縄県那覇市首里石嶺町2丁目96−1 琉 球大学医学部職員宿舎4号棟301号室 (72)発明者 松本 安喜 東京都北区王子6丁目2−7−304 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA31 CA04 DA06 EA04 GA11 HA20 4B064 AG27 AG31 CA02 CA10 CA19 CA20 CC24 DA04 4B065 AA26X AA86Y AA90X AA92X CA24 CA25 CA45 4C085 AA03 BA01 CC21 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA20 DA76 DA86 EA31 FA72 FA74 GA26

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)又は(b)に示す豚回虫(As
    caris suum)の14kDa抗原蛋白質をコードするDNA。 (a) 配列表の配列番号2で示すアミノ酸配列を有す
    る蛋白質。 (b) 配列表の配列番号2で示すアミノ酸配列におい
    て、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付
    加されたアミノ酸配列を有し、かつ豚回虫(Ascaris su
    um)の14kDa抗原蛋白質の生物学的活性を有する蛋白
    質。
  2. 【請求項2】 以下の(c)又は(d)に示すDNAである
    請求項1に記載のDNA。 (c) 配列表の配列番号1の72位から509位の塩基配列
    を含むDNA。 (d) 配列表の配列番号1の72位から509位の塩基配列
    を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイ
    ズし、かつ豚回虫(Ascaris suum)の14kDa抗原蛋白質
    の生物学的活性を有する蛋白質をコードするDNA。
  3. 【請求項3】 以下の(a)又は(b)に示す蛋白質。 (a) 配列表の配列番号2で示す豚回虫(Ascaris suu
    m)の14kDa抗原蛋白質のアミノ酸配列を有する蛋白質。 (b) 配列表の配列番号2で示す豚回虫(Ascaris suu
    m)の14kDa抗原蛋白質のアミノ酸配列において、1若し
    くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
    ミノ酸配列を有し、かつ豚回虫(Ascaris suum)の14kD
    a抗原蛋白質の生物学的活性を有する蛋白質。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のDNAを含む組
    換え体分子。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のDNAを含むベ
    クター。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のベクターを含む組換え
    体細胞。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の組換え体細胞を培養
    し、その培養物から豚回虫(Ascaris suum)の14kDa抗
    原蛋白質を採取することを特徴とする、豚回虫(Ascari
    s suum)の14kDa抗原蛋白質を産生する方法。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の豚回虫(Ascaris suu
    m)の14kDa抗原蛋白質を認識する抗体。
  9. 【請求項9】 モノクローナル抗体である請求項8に記
    載の抗体。
  10. 【請求項10】 請求項3に記載の豚回虫(Ascaris su
    um)の14kDa抗原蛋白質を含む、回虫感染防御のための
    全身性及び粘膜誘導型ワクチン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104258346A (zh) * 2014-10-10 2015-01-07 宗长兰 一种治疗胆道蛔虫症的中药及其制备方法

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