JP2002238869A - 生体磁場計測装置 - Google Patents

生体磁場計測装置

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JP2002238869A
JP2002238869A JP2001044424A JP2001044424A JP2002238869A JP 2002238869 A JP2002238869 A JP 2002238869A JP 2001044424 A JP2001044424 A JP 2001044424A JP 2001044424 A JP2001044424 A JP 2001044424A JP 2002238869 A JP2002238869 A JP 2002238869A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気生理学的興奮の伝播過程を定量化可能な
生体磁場計測装置を提供する。 【解決手段】 生体磁場計測装置は,生体から発生する
生体磁場を計測する複数のSQUID磁束計,周期的に
発生する生体信号を計測して収集する生体信号計測装置
6,7,複数方向から対として同時に計測された生体磁
場の信号及び生体信号の演算処理を行なう演算処理装置
10,演算処理の結果を表示する表示装置11とから構
成される。 【効果】 磁場源推定をせず,多数の等磁場線図を表示
せず,少数マップを用いて,興奮の時間変化を詳細に把
握できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,生体の脳の神経活
動,心臓の心筋活動等により発生する生体磁場を,高感
度な量子干渉素子(SQUID)からなる複数の磁束計
を用いて計測する生体磁場計測方法及び生体磁場計測装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,生体磁場計測の結果は,計測され
た磁場成分の時間変化波形,任意の時刻での磁場強度の
等しい点を結ぶ等磁場線図により表示されていた。例え
ば,直交座標でのZ成分(B),又は,極座標での同
径成分(B)を計測し,B又はBの値を等磁場線
図として表示することことが知られている(H.Hos
aka and D.Cohen,J.Electro
cardiol.,9−4,426(1976))。ま
た,直交座標ので接線成分(B,B)を計測し,各
成分毎に等磁場線図として表示する,あるいは,√
{(B,(B}により2次元磁場ベクトル
を得て等磁場線図として表示することが知られている
(K.Tukada et al.,Review o
f the Scientific Instrume
nts,66,10(1995))。更に,法線成分B
を計測したのち,Bから接線成分(B,B)と
等価的な磁場成分を解析的に求める方法が知られている
(T.Miyashita etal.,Procee
dings 20th International
Conference IEEE/EMBS(Hong
Kong),520−523(1998))。
【0003】従来,生体磁場成分の解析結果は,磁場の
時間波形と等磁場線図を用いて表示されていた。また,
任意時刻での生体内の電流源の位置,大きさ,方向等
は,逆問題を解き推定し,これらを用いて心臓に於ける
不整脈の初期興奮位置や,脳に於ける癲癇の焦点位置等
の推定に使用されていた。心臓の心筋の興奮伝播過程
や,脳での神経興奮伝播等のある時間帯での動的な現象
を追跡するために,各時間毎の等磁場線図を多数く並べ
て表示したり,各時間毎に推定した電流源のベクトルの
軌跡を一つの図に表示していた(N.Izumida
et al.,Japanese Heart Jou
rnal,731−742(1998))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】多くの等磁場線図を並
べて,パターン認識により心臓や脳の動的な興奮伝播を
解析するのではなく,パターン認識によらず動的な興奮
伝播を行なうための定量化されグラフ表示,図形表示が
要求されていた。各瞬間毎に電流源を推定する方法で
は,電流源が局在している場合はダイポールモデルとし
て電流源は推定できるが,一般には,電流源は広がりを
持って分布している時間帯の方が多い。また,各瞬間毎
に於ける逆問題を解く場合,解が収束するまでに多くの
演算が必要とされる。特に,推定した電流源が作る計算
上の磁場分布と実際に計測された磁場分布との一致度が
悪い場合には,電流源の推定値が悪くなってしまう。こ
のため,ある時間帯での個々の瞬間毎で電流源を推定し
た場合,推定誤差が大きくなり,電流源の位置,大き
さ,方向の時間変化の連続性が途切れた解析結果を与え
るという問題があった。
【0005】本発明の目的は,ダイポール(磁場源)推
定,多数の等磁場線図を表示することなく電気生理学的
な興奮の伝播過程を定量化できる生体磁場計測方法及び
生体磁場計測装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では,生体磁場計
測に於ける座標系として,直交座標系(x,y,z)
(磁場成分をB,B,Bとする),極直交座標系
(r,θ,φ)が用いられる。計測対象が心臓等である
場合には,胸壁をxy平面とする直交座標系(x,y,
z)が用いられる。計測対象が脳部等である場合には,
頭部が球に近い形状であるため極直交座標系(r,θ,
φ)(磁場成分をB,Bθ,Bφとする)が用いられ
る。頭部の体表面に垂直な磁場成分(法線成分)は
,Bで表わされ,生体の表面に接する面に平行な
成分(接線成分)は,B,B,Bθ,Bφで表わさ
れる。
【0007】以下の説明では,直交座標系(x,y,
z)を例にとって説明するが,極直交座標系(r,θ,
φ)を用いる場合には,BをBに,BをBにθ
をBφにそれぞれ読み替えるものとする。
【0008】本発明の生体磁場計測装置では,1組のセ
ンサアレイを使用して,異なる多方向から生体磁場を計
測する。この時,多方向から生体磁場の計測結果を解析
するために,(1)各方向での生体磁場の計測と同時
に,生体信号計測装置として,心電計,心音計,脈波
計,脳波計等の何れかを使用し,心電波形,心音波形,
脈波形,脳波形等の何れかの,生体磁場信号以外の周期
的に発生する生体信号を,生体磁場の信号と対として計
測して収集する,あるいは,(2)電気刺激装置により
生体の一部を電気刺激して神経系を刺激する,音刺激装
置により音を発生し聴覚神経系を刺激する,匂い刺激装
置により匂いを発生し嗅覚神経系を刺激する,視覚刺激
装置により光信号又は色信号を発生し視覚神経系を刺激
する,触覚刺激装置により皮膚を刺激し触覚神経系を刺
激する等の,何れかの刺激信号の印加の開始と同期する
同期信号を,各方向での生体磁場の信号と対として収集
する。
【0009】胸部から発する生体磁場(以下,心磁場と
いう)を,例えば,胸面,背面の2方向から,又は,胸
面,背面,胸部の右側面,及び左側面の4方向から計測
する。勿論,これらの方向以外から胸部から発する生体
磁場を計測しても良い。
【0010】上記した何れかの刺激により頭部(脳)か
ら発する生体磁場(以下,脳磁場という)を,例えば,
頭部の前方,後方の2方向から,又は,頭部の前方,後
方の頭部の右側方,及び左側方の4方向から,あるい
は,頭部の前方,後方の頭部の右側方,及び左側方,頭
頂方向からの5方向から計測する。勿論,これの方向以
外から頭部から発する生体磁場を計測しても良い。
【0011】tを時間変数,直交座標系(x,y,z)
に於いて,x,yをセンサアレイの個々のセンサが配置
される座標位置,生体の表面に接する面に平行な面をx
y面,生体の表面に接する面に垂直な軸をzとする。
【0012】異なる多方向から計測された生体磁場波形
に対して,各方向毎に以下の処理を行なう。周期的に発
生する生体信号を,生体磁場の信号と対として計測して
収集する場合には,時間変数をtとして,m=1,2,
…,Mの複数方向から計測された生体信号の波形W
(t)の時間軸が,共通の原点(t=0)を持つよう
に,計測された各生体信号の波形W(t)(m=1,
2,…,M)の時間軸に対して変換T(m=1,2,
…,M)を行なう。生体信号W(t)と対をなす生体
磁場の信号の波形F(m=1,2,…,M)の時間軸
に対して変換T(m=1,2,…,M)変換を行な
う。刺激信号の印加の開始に同期する同期信号を,生体
磁場の信号と対として収集する場合には,m=1,2,
…,Mの複数方向から計測された生体磁場の信号の波形
(m=1,2,…,M)の時間軸が,上記の同期信
号が収集された時点で共通の原点(t=0)を持つよう
に,時間軸の変換T’(m=1,2,…,M)を行な
う。上記の変換T,T’(m=1,2,…,M)
は,時間軸の平行移動の変換である。
【0013】共通の原点(t=0)を持つ,複数の各方
向から計測された生体磁場(心磁場又は脳磁場)の信号
の波形に対してそれぞれ,以下の演算処理を行なう。
【0014】生体磁場として,生体の表面に接する面に
垂直な磁場成分B(x,y,t)を計測する場合に
は,垂直な磁場成分B(x,y,t)のx方向の変化
量,∂B(x,y,t)/∂xと,B(x,y,
t)のy方向の変化量,∂B(x,y,t)/∂yと
を求め,(数1),(数2)により,2乗和の平方根,
即ち,2次元磁場ベクトルI(x,y,t)の大きさ
(以下,単に,ベクトル強度という)とその位相θ
(x,y,t)を求める演算処理をそれぞれ行なう。
【0015】
【数1】 I(x,y,t)=√{(∂B(x,y,t)/∂x)+(∂B(x,y ,t)/∂y)} …(数1)
【0016】
【数2】 θ(x,y,t)=−tan−1{(−∂B(x,y,t)/∂x)/(∂B (x,y,t)/∂y)} …(数2) 生体から発する磁場の接線成分(生体の表面に接する面
に平行な成分)B,Bを計測する場合には,(数
3),(数4)により,接線成分BとBの2乗和の
平方根からベクトル強度I(x,y,t)とその位相θ
(x,y,t)を求める演算処理をそれぞれ行なう。
【0017】
【数3】 I(x,y,t)=√{(B(x,y,t))+(B(x,y,t)) } …(数3)
【0018】
【数4】 θ(x,y,t)=−tan−1{−B(x,y,t)/B(x,y,t) } …(数4) 次に,計測された生体磁場(心磁場又は脳磁場)の各時
間tに於ける最大ベクトル強度Imax(x,y
t)とその位相θ(x,y,t)を求める。時間t
に於いて,センサのi番目のx座標位置,j番目のy座
標位置に於いて,即ち,(i,j)チャネルに於いて,
ベクトル強度I(x,y,t)が最大を与える。求めら
れた各時間tに於ける最大ベクトル強度I
max(x,y,t)とその位相θ(x,y
t)を時間変数tに対して表示する。この表示を,時間
−強度プロット(t−Imax),時間−位相プロット
(t−θ)という。
【0019】以上の結果,複数の各方向から計測され,
共通の共通の時間原点(t=0)を持つ生体磁場(心磁
場又は脳磁場)の信号の波形から,時間−強度プロット
(t−Imax),及び時間−位相プロット(t−θ)
が得られる。この結果,生体磁場の各計測面毎に時間−
強度プロット(t−Imax),及び時間−位相プロッ
ト(t−θ)を比較表示できる。
【0020】また,複数の各方向から計測され,共通の
共通の時間原点(t=0)を持つ生体磁場(心磁場又は
脳磁場)の信号の波形から得られる,全てのセンサの位
置(x,y),即ち,全チャネルに於ける,ベクト
ル強度I(x,y,t)とその位相θ(x,y,t)を
同一の表示画面に表示することもできる。この表示を時
間−位相・強度プロット(t−θ・I)という。この表
示では,位相θ(x,y,t)を時間変数tに対してプ
ロットし,ベクトル強度I(x,y,t)は,プロット
する色,プロットする色の濃淡,又は,プロットする記
号の大きさを,ベクトル強度I(x,y,t)に対応し
て変化させて表示する。
【0021】以上のようにして,ダイポール推定をする
ことなく,また,多数の等磁場線図を表示することな
く,心磁場又は脳磁場を複数方向から計測することによ
り,電気生理学的な興奮の伝播過程を定量化して表示で
きる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施例の生体磁場計測装
置では,複数のSQUID磁束計により生体から発生す
る生体磁場を計測する。この時,生体磁場以外の周期的
に発生する生体信号を計測して収集する生体信号計測装
置,あるいは,各種の神経系の何れかを刺激する刺激信
号とこの刺激信号の印加の開始に同期する同期信号を発
生する刺激装置を,使用する。
【0023】複数方向から対として同時に計測され収集
された生体磁場の信号及び生体信号,あるいは,刺激信
号の印加の開始に同期する同期信号と対として,複数方
向から計測され収集された生体磁場の信号は,演算処理
装置により演算処理され,演算処理結果が表示装置に表
示される。
【0024】演算処理装置は,複数方向から計測され収
集された生体磁場の信号が,共通原点(t=0)をもつ
ように,生体磁場の信号の時間軸の平行移動を行なう時
間軸変換を行ない,共通原点(t=0)をもつ生体磁場
の信号に対して演算処理を行なう。
【0025】生体信号計測装置を使用する場合には,時
間軸変換は,時間変数をtとして,複数方向から計測さ
れた生体信号の波形の時間軸が共通原点(t=0)を持
つように,各生体信号の波形の時間軸の変換を行なう,
この時,生体信号と対をなす生体磁場の信号の波形の時
間軸に対しても,同一の変換を行なう。刺激装置を使用
する場合には,複数方向から計測された生体磁場の信号
の時間軸が,同期信号が収集された時点で共通の原点
(t=0)を持つように,時間軸変換が実行される。
【0026】また,本発明の他の実施例では,演算処理
装置は,共通原点(t=0)をもつ生体磁場(心磁場又
は脳磁場)の信号を用いて,生体の表面に接する面に垂
直な方向をz方向,z方向に直交し生体の表面に接する
面に水平な方向をx方向及びy方向とし,生体磁場の各
計測点(x,y)で2次元磁場ベクトルの大きさ及び/
又はxy面での方向を表わす角度を求める。表示装置
に,2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又は角度の,共
通原点(t=0)を原点とする時間変化が表示される。
【0027】本発明の他の実施例の生体磁場計測装置
は,生体の胸部又は頭部から発生する生体磁場(心磁場
又は脳磁場)の信号を計測する複数のSQUID磁束計
と,生体磁場の信号の演算処理を行なう演算処理装置
と,演算処理の結果を表示する表示装置とを具備する。
【0028】演算処理装置は,生体の表面に接する面に
垂直な方向をz方向,z方向に直交し生体の表面に接す
る面に水平な方向をx方向及びy方向として,生体磁場
の信号から生体磁場の各計測点(x,y)に於ける2次
元磁場ベクトルを求め,複数の計測点(x,y)に於け
る2次元磁場ベクトルのうち最大の2次元磁場ベクトル
の大きさ及び/又はxy面での方向を表わす角度を,生
体磁場が計測された複数の時点で求める。そして,表示
装置に,最大の2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又は
角度の時間変化が表示される。
【0029】別の実施例では,各計測点(x,y)に於
ける上記の2次元磁場ベクトルの大きさ及び角度を,生
体磁場が計測された複数の時点で求める。そして,表示
装置に,各計測点(x,y)に於ける2次元磁場ベクト
ルの大きさ及びxy面での方向を表わす角度の時間変化
が,2次元磁場ベクトルの大きさをプロット点の大きさ
に比例させて,又は,カラーで区別して表示される。
【0030】また,本発明の別の実施例の生体磁場計測
装置は,生体の頭部から発生する生体磁場の信号を計測
する複数のSQUID磁束計と,生体を刺激する信号と
生体を刺激する信号の発生の開始に同期する同期信号を
発生する刺激装置と,生体の頭部の複数方向から計測さ
れた生体磁場(脳磁場)の信号の演算処理を行なう演算
処理装置と,演算処理の結果を表示する表示装置とを具
備する。
【0031】演算処理装置は,生体の表面に接する面に
垂直な方向をz方向,z方向に直交し生体の表面に接す
る面に水平な方向をx方向及びy方向とし,時間変数を
tとして,複数方向から計測された生体信号の波形の時
間軸が共通原点(t=0)を持つように,同期信号に基
づいて複数方向から計測された生体信号の波形の時間軸
の変換を行なう。
【0032】更に,生体磁場を計測した複数方向につい
て,共通原点(t=0)をもつ生体磁場の信号から生体
磁場の各計測点(x,y)に於ける2次元磁場ベクトル
を求め,複数の計測点(x,y)に於ける2次元磁場ベ
クトルのうち最大の2次元磁場ベクトルの大きさ及び/
又はxy面での方向を表わす角度を,共通原点(t=
0)を原点とする時間軸の各点で求める。そして,表示
装置に,最大の2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又は
角度の時間変化が,生体磁場を計測した複数方向につい
て表示される。 (第1の実施例)図1は,本発明の第1の実施例の生体
磁場計測装置の概略構成を説明する斜視図である。心臓
から発する磁場(心磁場)の計測(以下,心磁場計測と
いう)を行なう生体磁場計測装置は,量子干渉素子(S
QUID)からなる複数の磁場センサを用いる。環境磁
場雑音の影響を除去するために,心磁場計測は磁場シー
ルドルーム1の内部で行なわれる。被検体2はベッド4
に横たわる。
【0033】ここで,xy面がベッドの面となるように
直交座標系(x,y,z)を設定する。被検体2の上方
に,SQUIDとそのSQUIDに接続した検出コイル
とが一体化された磁場センサを複数個収納し,液体He
を満たしたデュワ3が配置される。デュワ3はガントリ
5により床に固定されている。磁場センサからの出力
は,検出コイルが検出した磁場強度に比例する電圧を出
力するFLL(Flux Locked Loop)回路8に入力され
る。
【0034】FFL回路8は,SQUIDの出力を一定
に保つようSQUIDに入力された生体磁場の変化を帰
還コイルを介してキャンセルしている。帰還コイルに流
した電流を電圧に変換することにより,生体磁場の信号
の変化に比例した電圧出力が得られる。この電圧出力
は,アンプフィルタ回路9の増幅器により増幅され,フ
イルター回路により周波数帯域が選択され,データ収録
解析装置(演算処理装置)10でAD変換されデータ収
録される。
【0035】データ収録解析装置10では,各種の演算
処理が実行され,演算処理結果がデイスプレイ11に表
示され,更に,プリンタにより出力される。心磁場の計
測と同時に心電図の計測も行なう。被検体2の手首,足
首に心電計用電極6を貼りつけ,四肢誘導による電位が
心電計7に導かれる。心電計7の出力は,生体磁場計測
装置のアンプフィルタ回路9に入力され,増幅,周波数
帯域が選択され,心磁場と同様に演算処理され,心電波
形がデイスプレイ11に表示される。心磁場の計測を正
面,及び背面から計測する時は,被検体は,それぞれ仰
向け,うつ伏せの状態となり,心磁場が計測される。
【0036】図2は,本発明の第1の実施例に於ける磁
場センサの配置を説明する斜視図である。生体磁場の法
線成分を検出するコイルはz方向に垂直な面を持つ。磁
場センサ20−i(i=11,12,…,18;i=2
1,22,…,28;i=31,32,…,38;i=
41,42,…,48;i=51,52,…,58;i
=61,62,…,68;i=71,72,…,78;
i=81,82,…,88)はデュワ内部の底部から垂
直に立位で設置される。各センサ間の距離は,生体磁場
の法線成分のx方向,y方向での変化量を正確に求める
ように,x方向,y方向で等間隔(25mm)に配置し
た。センサを,x方向,y方向にそれぞれ8個,正方格
子状に配置し,64チャンネルとした。
【0037】図3は,本発明の第1の実施例に於ける生
体磁場の法線成分を検出する磁場センサの構成を説明す
る斜視図である。磁場センサ20は,体表面に対して垂
直な成分Bを計測するセンサであり,超伝導線(Nb
ーTi線)で作製されるコイルはz方向に垂直な面を持
つ。このコイルは2つの逆向きのコイルを組み合わせた
ものであり,生体に近い位置に配置される検出コイル2
2と,生体から遠い位置に配置され,外部磁場雑音を除
去する参照コイル23とにより一次微分コイルを形成し
ている。検出コイル22,及び参照コイル23の各コイ
ル径を20mmφ,検出コイル22,及び参照コイル2
3の各コイル間の距離(ベースライン)を50mmとし
た。
【0038】外部磁場雑音は生体より遠い信号源から生
じており,これらは検出コイル22及び参照コイル23
により同じように検出される。一方,生体内の磁場源は
コイルに近いため,生体磁場は検出コイル22によりよ
り強く検出される。検出コイル22により生体磁場の信
号と外部磁場雑音が検出され,参照コイル23では外部
磁場雑音のみが検出される。従って,両者のコイルで検
出された磁場の差からよりS/Nの高い計測ができる。
一次微分コイルはSQUID21を実装した実装基板の
超伝導配線を介してSQUIDのインプットコイルに接
続され,コイルで検出された生体磁場の信号はSQUI
Dに伝達される。
【0039】磁場センサを内蔵したデュワは,ベッドに
横たわった被検体の上方に配置され,心臓から発生する
心磁場が計測される。ここで,体軸の方向をy軸とし,
y軸に直交するx軸とする。
【0040】図4は,本発明の第1の実施例に於ける磁
場センサの配置と被検体2の胸部の正面,背面との位置
関係を説明する図である。図4に於いて,白丸は,磁場
センサが8×8のアレイ状に配列される位置,即ち,磁
場の計測点30示す。被検体2の胸部の正面での計測基
準点31と背面の計測基準点31’はxy座標上で同じ
点とする。図4に示す例では,正面での計測基準点31
は計測面の下から2行,左から3列に位置する磁場セン
サに対応し,背面では計測基準点は2行,6列に位置す
る磁場センサに対応する。但し,背面での座標系はx座
標を正面での座標系とは逆にとる。例えば,正面での1
行,1列に位置する磁場センサは,背面での1行,8列
に位置する磁場センサに対応し,正面での8行,8列に
位置する磁場センサは,背面での8行,1列に位置する
磁場センサに対応する。
【0041】図5は,本発明の第1の実施例に於ける磁
場センサの配置と人体の胸部との位置を合わせを行なう
方法を説明する斜視図である。センサアレイの計測基準
点31と被検体の基準点40とを合わせるための各種の
機構,方法が知られている。図5に示す例では,直交座
標系のxz面に平行な面内に扇状に広がるx軸ライン形
成用ビーム43を発生するx方向レーザ光源41,直交
座標系のyz面に平行な面内に扇状に広がるy軸ライン
形成用ビーム44を発生するy方向レーザ光源42が,
位置合わせのために使用される。デュワ3の外周面に
は,直交座標系のxz面の位置を示すxz標識(マー
ク)45,直交座標系のyz面の位置を示すyz標識
(マーク)46が印されている。
【0042】x軸ライン形成用ビーム43が,被検体2
及びデュワ3の外周面に照射され,被検体の体表に設定
された基準点40とデュワ3のxz標識(マーク)45
とを照射するように,x方向レーザ光源41の位置を調
整する。同様にして,y軸ライン形成用ビーム44が,
被検体2及びデュワ3の外周面に照射され,被検体の体
表に設定された基準点40とデュワ3のyz標識(マー
ク)46とを照射するように,y方向レーザ光源42の
位置を調整する。これによりセンサと生体の位置とを調
整できる。ビーム43,44は交差してz軸に平行な交
差線49を形成する。
【0043】図6は,本発明の第1の実施例に於ける生
体磁場の計測,計測された信号の解析の流れを説明する
図である。図6に示す解析では,計測された心磁場の各
時間に於ける最大ベクトルを選択する。まず始めに,正
面,及び背面の2方向から心磁場計測を行なう。心磁場
の法線成分Bを計測する。心磁場計測と同時に心電図
も計測を行なう。次に,正面,及び背面からの心磁場計
測と同時に計測された心電図の波形が,同じ時間で同一
波形になるように,時間軸を調整する。即ち,各心電図
の時間軸を平行移動して,計測された各心電図での同じ
時相が同じ時間になるようにする。この各心電図で調整
した時間軸の平行移動を対応する心磁場の計測データに
ついても適用して,心電図データに基づく心磁場の計測
データ(以下,心磁場波形という)の時間軸の設定を行
なう。
【0044】次に,図4で説明したように正面,背面で
の心磁場の計測データの対応をつけるため,背面でのx
座標を反転してセンサアレイの位置と計測データとの対
応を変える。次に,計測された生体面に垂直な磁場成分
(x,y,t)のx方向での変化量∂B(x,
y,t)/∂xと,B(x,y,t)の方向での変化
量∂B(x,y,t)/∂yを計算により求め,正
面,及び背面でそれぞれ計測された観測点64点に於け
るベクトル強度I(x,y,t)を(数1)に基づい
て,ベクトル位相θ(x,y,t)を(数2)に基づい
てそれぞれ求める。
【0045】次に,心磁場の各計測面(正面,背面)毎
の各時間t毎にベクトル強度I(x,y,t)の最大ベ
クトルを抽出する。即ち,正面,及び背面のそれぞれで
の心磁場の計測データから求められたベクトル強度I
(x,y,t)の各時間tに於ける,最大ベクトル強度
max(x,y,t)とその位相θ(x
,t)を求める。次に,求められた各時間tに於け
る最大ベクトル強度Imax(x,y,t)とその
位相θ(x,y,t)を時間変数tに対して表示す
る。即ち,心磁場の各計測面(正面,背面)毎に時間−
強度プロット(t−I max),及び時間−位相プロッ
ト(t−θ)を表示する。以下,図6の流れ図に基づい
て得られた具体例について説明する。
【0046】図7は,健常者を被検体として,正面,及
び背面から計測された心磁場波形と,心磁場波形の計測
と同時に計測された心電図波形の例を示す図である。図
7では,心磁場波形を,64チャンネルの全ての時間波
形を重ね合わせ表示しており,心電図波形は第II誘導の
波形を示している。正面,及び背面から計測された心磁
場波形の時間軸を調整するため,正面からの心磁場計測
時に計測された心電波形のQRS波と呼ばれる心室が脱
分極した時間帯の開始点の時間T1を0に設定する。次
に,背面からの心磁場計測時に計測された心電波形のQ
RS波の開始点の時間T2を0に設定し,2つの心電波
形の時間軸を合わせる。正面からの心磁場波形の時間原
点はt=T1=0に,背面からの心磁場波形の時間原点
はt=T2=0に,それぞれ設定する。
【0047】図8は,本発明の第1の実施例に於いて,
正面から計測された健常者の心磁場波形の心室が脱分極
する過程であるQRS波の開始点から30ms経過後の
時間での電流アロー図,及び最大電流ベクトルを示す図
である。64点の計測点での各矢印の大きさは,(数
1)に基づくベクトル強度を示し,位相は(数2)に基
づいて計算する。64個のベクトルの中のもっとも大き
いベクトルを最大ベクトルとして選択する。
【0048】図9は,本発明の第1の実施例に於いて,
最大ベクトルの位相θの基準を示す図である。図9に於
いて,x軸の正方向(右方向)をθ=0度として,時計
周りを位相のプラス方向,反時計周りを位相のマイナス
方向とする。
【0049】図10は,本発明の第1の実施例に於い
て,正面,及び背面から計測された健常者の心磁場波形
の心室が脱分極する過程であるQRS波の開始点から2
00msまでの時間帯での時間−強度プロット(t−I
max)と,時間−位相プロット(t−θ)の表示例を
示す図である。正面,背面から計測された心磁波形から
得られた最大ベクトル強度(pT/cm),及び,位相
の時間変化は異なるパターンを示している。しかし,最
大ベクトル強度(pT/cm)は,QRS波の開始点か
ら約20msから約100msの時間帯で大きな値を持
つパターンを示す点では共通する。
【0050】次に,心室に刺激伝導障害がある脚ブロッ
クのうち右脚ブロックの患者に関する計測例を説明す
る。
【0051】図11は,本発明の第1の実施例に於い
て,正面,及び背面から計測された右脚ブロックの患者
の心磁波形の心室が脱分極する過程であるQRS波の開
始点から200msまでの時間帯での時間−強度プロッ
ト(t−Imax)と,時間−位相プロット(t−θ)
の表示例を示す図である。図10に示す健常者の場合の
結果と異なり,正面から計測された心磁場波形から得ら
れたベクトル強度が,QRS波の開始点から約60ms
経過後から約160msの長い時間帯わたり大きな値を
示しており,心臓の活動時間も長いことが分かる。ま
た,正面から計測された心磁場波形から得られた位相の
時間変化を,図10に示す健常者の場合と比較すると,
QRS波の開始点から初期の時間帯での変化が,健常者
の場合に比べて小さいことが分かる。このように,心臓
の興奮伝播の異常が,本発明により容易に判別できるよ
うになった。 (第2の実施例)本発明の第2の実施例では,心磁場の
各計測面(正面,背面)毎に時間−強度プロット(t−
max),及び時間−位相プロット(t−θ)の表示
に加えて,64チャンネルの全ての心磁場波形のデータ
を表示する。
【0052】本発明の第2の実施例に於いて64チャン
ネルの全ての各チャンネルの各時間でのベクトルの時間
−位相・強度プロット(t−θ・I)を行なう場合の,
生体磁場の計測,計測された信号の解析の流れを説明す
る図である。図12に示す流れ図では,各計測点(チャ
ネル)でのベクトル強度及びその位相を求める処理まで
は,図6と同じである。図12に示す流れ図では,最大
ベクトルを選択せずにそのまま,正面,及び背面から計
測された心磁場のデータからそれぞれ得られた,64チ
ャンネルの全てのチャネルに於けるベクトルの時間−位
相・強度プロット(t−θ・I)を表示する。
【0053】図13は,本発明の第2の実施例に於い
て,健常者の正面から計測された心磁場波形の心室が脱
分極する過程であるQRSの開始点から200msまで
の時間帯での64チャンネルの全チャンネルのベクトル
の時間−位相強度プロットの表示例を示す図である。
【0054】図14は,本発明の第2の実施例に於い
て,健常者の背面から計測された心磁場波形の心室が脱
分極する過程であるQRSの開始点から200msまで
の時間帯での64チャンネルの全チャンネルのベクトル
の時間−位相強度プロットの表示例を示す図である。
【0055】図15は,本発明の第2の実施例に於い
て,正面から計測された右脚ブロックの患者の心磁波形
の心室が脱分極する過程であるQRS波の開始点から2
00msまでの時間帯での64チャンネルの全チャンネ
ルのベクトルの時間−位相強度プロットの表示例を示す
図である。図15のプロットのパターンと図13のプロ
ットのパターンとは一見して大きな差が認められる。
【0056】図16は,本発明の第2の実施例に於い
て,背面から計測された右脚ブロックの患者の心磁波形
の心室が脱分極する過程であるQRS波の開始点から2
00msまでの時間帯での64チャンネルの全チャンネ
ルのベクトルの時間−位相強度プロットの表示例を示す
図である。図16のプロットのパターンと図14のプロ
ットのパターンとは一見して大きな差が認められる。
【0057】図13から図16では,各時間に於ける6
4点の各計測点でのベクトル強度を表示するプロット点
の濃度で区別して,位相を縦軸として表示しているの
で,容易に表示されたパターンの相違を識別できる。ベ
クトル強度の表示として,プロット点の濃淡で表示する
他に,プロット点の色の違い(カラースケール)や,プ
ロット点の大きさで表示することも可能である。このよ
うなプロットにより,健常者との相違点を容易に検出で
きる。 (第3の実施例)第3の実施例では,生体磁場のx方
向,及びy方向の磁場成分を計測する。
【0058】図17は,本発明の第3の実施例に於いて
使用する生体磁場の接線成分B,及びB成分を検出
する磁場センサの構成例の概略を説明する図である。図
17に示す磁場センサ20’は,平面型のコイルを使用
している。
【0059】x方向の磁場を計測するセンサは検出コイ
ル22’−1と参照コイル23’−1とが一つの平面に
並んで配置され,x方向の磁場を計測する一次微分コイ
ルを構成している。検出コイル22’−1,参照コイル
23’−1のコイルの大きさを20mm×20mmの正
方形とし,検出コイル22’−1,参照コイル23’−
1の各コイルの中心間の距離(ベースライン)を50m
mとした。x方向の磁場を計測する一次微分コイルはS
QUID21−1’を実装した実装基板の超伝導配線を
介してSQUIDのインプットコイルに接続され,コイ
ルで検出された生体磁場の信号はSQUIDに伝達され
る。
【0060】y方向の磁場を計測するセンサは検出コイ
ル22’−2と参照コイル23’−2とが一つの平面に
並んで配置され,y方向の磁場を計測する一次微分コイ
ルを構成している。検出コイル22’−2,参照コイル
23’−2のコイルの大きさを20mm×20mmの正
方形とし,検出コイル22’−2,参照コイル23’−
2の各コイルの中心間の距離(ベースライン)を50m
mとした。y方向の磁場を計測する一次微分コイルはS
QUID21−2’を実装した実装基板の超伝導配線を
介してSQUIDのインプットコイルに接続され,コイ
ルで検出された生体磁場の信号はSQUIDに伝達され
る。
【0061】4角柱の支持体の互いに直交する2面に,
上記のx成分検出用の磁場センサとy成分検出用の磁場
センサを張り付けることにより,生体磁場のx成分,及
びy成分を計測できる磁場センサを形成している。図1
7に示すような4角柱の形状を持つ磁場センサは,図2
に示すようにセンサアレイ状に配置される。計測された
接線成分B,Bからベクトル強度I(x,y,t)
を(数3)に基づいて,その位相θ(x,y,t)を
(数4)に基づいて求める。
【0062】図6,及び図12で説明したように生体磁
場の法線成分のx方向及びy方向での微分を求める代わ
りに,計測された2つの接線成分から(数3),(数
4)に基づいて求めたベクトル強度I(x,y,t)と
その位相θ(x,y,t)を用いて,先に説明した第1
実施例,第2の実施例と同様にして,最大ベクトルの時
間−強度プロット(t−Imax),及び時間−位相プ
ロット(t−θ),あるいは,64チャンネルの全ての
チャンネルについての時間−位相・強度プロット(t−
θ・I)を求め,表示できる。 (第4の実施例)第4の実施例では,平面型微分コイル
を用いて法線成分のx方向,及びy方向の一次微分成分
を直接計測して解析する。
【0063】図18は,本発明の第4の実施例に於いて
使用する,コイルに同一の方向から磁場が入射したと
き,互いに逆向きの電流が流れる直線部分を持つ半円形
状のコイルが並んで形成され,コイル全体として円の形
状を持つ微分コイル50の形状の例を示す図である。図
18に示す平面微分型磁場センサ20”では,互いに逆
向きの電流が流れる直線部分と直交する方向で磁場が微
分された値が検出できる。微分コイル50は,SQUI
D21”を実装した実装基板の超伝導配線を介してSQ
UIDのインプットコイルに接続され,微分コイルで検
出された生体磁場の信号はSQUIDに伝達される。互
いに逆向きの電流が流れる直線部分を,x方向に持つ平
面型微分コイルとy方向に持つ平面型微分コイルを準備
する。
【0064】図2に示すようなセンサアレイの各計測点
に,x方向,y方向の微分成分を検出する平面型微分コ
イルを重ねて配置することにより,64点の各計測点で
生体磁場の法線成分のx方向,y方向での微分値が直接
計測できる。計測されたx方向,y方向での微分値か
ら,(数1)に基づいてベクトル強度I(x,y,t)
を求め,(数2)に基づいてその位相θ(x,y,t)
を求める。先に説明した第1の実施例〜第3の実施例と
同様にして,最大ベクトルの時間−強度プロット(t−
max),及び時間−位相プロット(t−θ),ある
いは,64チャンネルの全てのチャンネルについての時
間−位相・強度プロット(t−θ・I)を求め,表示で
きる。 (第5の実施例)図19は,本発明の第5の実施例に於
いて使用する,正面,及び背面の方向から同時に心磁場
計測を行なう生体磁場計測装置の構成例の概略を説明す
る図である。第5の実施例の生体磁場計測装置の構成例
では,被検体2が,正面,背面の方向から心磁場を計測
するために姿勢を変える必要がなく,一度に同時に2方
向から心磁場を計測できる。上部デュワ3’−1と下部
デュワ3’−2の2つデュワを備え,それぞれに,第1
の実施例〜第4の実施例で説明したような何れかのセン
サアレイが配置される。上部デュワ3’−1と下部デュ
ワ3’−2はガントリ5’に保持されている。ベッド
4’の脚には,水平方向に移動が可能な滑車13が付け
られている。被検体2がベッド4’に乗った後,レール
12に沿って,上部デュワ3’−1と下部デュワ3’−
2との間の定位置に,ベッド4’を移動させる。心電図
等の周期的な生体信号を計測することなく,被検体2の
上下に配置されるセンサアレイより,心磁場が2方向か
ら同時に計測できるので,2方向から計測された心磁場
のデータの時間軸を調整する必要がない。 (第6の実施例)第6の実施例では,音の刺激により聴
性誘発される磁場(脳磁場)を計測する。 図20は,
本発明の第6の実施例に於いて聴性誘発された脳磁場を
計測する生体磁場計測装置の構成例を説明する斜視図で
ある。被検体はベッド4に横たわり,デュワ3の底面に
計測しようとする頭部の面を近づけて,脳磁場は計測さ
れる。
【0065】図20に示す構成では,1kHzで50m
s保持時間幅を持つトーンバースト音を音刺激装置18
3によって生成する。音刺激の間隔は0.3Hz(約
3.3秒に1回の頻度)で行なう。音刺激の印加のタイ
ミングに合わせて同期信号184を発生して,データ収
録解析装置(演算処理装置)10へ同期信号184が入
力される。入力された同期信号184を利用して,脳磁
場の波形の時間軸を一致させた後,加算平均化処理を行
ない信号雑音比を向上させる。
【0066】音刺激装置183によって生成されたトー
ンバースト音はエアーチューブ182とアダプタ181
を通して左耳に入力される。図20に図示しないが,右
耳にホワイト雑音の音を常時与えて外来からの音による
影響がないように計測を行なう。脳磁場はデュワ3内の
磁場センサによって計測される。磁場センサはFLL回
路8にって駆動され,FLL回路8の出力はアンプフィ
ルタ回路9を通ってデータ収録解析装置10にデジタル
データとして収集され記録される。データ収録解析装置
10,FLL回路8,アンプフィルタ回路9等を制御す
るための画面やデータ解析結果を表示する画面等は,デ
ィスプレイ11に表示される。図20に示すベッド4,
デュワ3以外の構成要素は,図1に示す磁場シールドル
ーム1の外部に配置することが望ましい。
【0067】図21は,本発明の第6の実施例に於ける
磁場センサの配置と人体の頭部との位置関係を説明する
図である。図21は,脳磁場の計測範囲(175mm×
175mm)を,磁場センサが配置される計測点30に
より示している。被検体2の左側頭から脳磁場を計測す
る場合の計測範囲を上部に示し,下部に右側頭から脳磁
場計測する場合の計測範囲を示す。図21では,聴性誘
発される脳磁場を計測するので,耳のやや上部にも計測
点30を配置する。
【0068】図22は,本発明の第6の実施例に於ける
脳磁場の計測の手順を説明する流れ図である。最初に左
側頭から脳磁場を計測するため,被検体2の頭部とデュ
ワ3との位置合わせを行ない,最初に右耳刺激(対側側
の音刺激)を8分間行ない,連続して左耳刺激(同側側
の音刺激)を8分間行なう。続いて,右側頭から脳磁場
を計測するために,被検体2は左肩を下にしてベッド2
に横たわり,位置合わせを行なう。位置合わせ終了後,
左耳刺激(対側側の音刺激)を8分間行ない,連続して
右耳刺激(同側側の音刺激)を8分間行なう。
【0069】図23は,本発明の第6の実施例に於い
て,健常者の脳磁場の計測結果の表示例と,最大ベクト
ルの抽出する原理を説明する図である。図23の上部
に,左耳刺激した場合の脳磁場の計測結果例を示し,図
23の下部に右耳刺激した場合の脳磁場の計測結果を示
す。計測された脳磁場の波形212,214は70回の
加算処理を行った後に,音刺激の前の時間帯で基線補正
を行なった64チャネル全てのチャネルの計測された脳
磁場の波形を重ねて表示している。
【0070】電流アローマップ211,213は,ぞれ
ぞれ,計測された脳磁場の波形212,214の最大ピ
ークが出現する時刻(N100mと呼ばれるピーク)で
の電流アローマップを示す。電流アローマップ211内
の最大電流アローから強度Icontralateral(対側側刺
激の強度)(以下,Iと略記する)と最大電流アロー
の傾きθ1とを計算する。同様にして,電流アローマッ
プ213内の最大電流アローから強度Iipsilateral
(同側側刺激の強度)(以下,Iと略記する)と最大
電流アローの傾きθ2とを計算する。これらの最大電流
アローの強度比I /I(同側側刺激の強度/対側側
刺激の強度)と位相差|Δθ|=|θ1−θ2|とを求
める計算を行なう。右側頭から脳磁場を計測する場合に
も,I(対側側刺激の強度)は,左耳刺激による脳磁
場の波形のピーク時の最大電流アローを用い,I(同
側側刺激の強度)は,右耳刺激による脳磁場の波形のピ
ーク時の最大電流アローを用いる。
【0071】図24は,本発明の第6の実施例に於いて
得られた最大電流ベクトルの強度比I/I(同側側
刺激の強度/対側側刺激の強度)の結果例を示す図であ
る。
【0072】図25は,本発明の第6の実施例に於いて
得られた位相差|Δθ|の結果例を示す図である。
【0073】図26は,本発明の第6の実施例に於いて
得られたN100mが出現した時間(潜時)を各側頭毎
にまとめた結果例を示す図である。
【0074】健常者4例,右半球梗塞患者5例,慢性め
まいの患者2例,脳血流に障害が観測されたモヤモヤ病
患者2例についての解析結果を,図24〜図26を使用
して説明する。但し,右半球梗塞患者のうち5例中2例
については,梗塞範囲が広域であっため右側頭での脳磁
波形が検出されなかった。
【0075】図24に示すように,健常者では両側頭共
に電流比が1より小さく,対側側の電流アロー強度が強
いことが分かる。一方,右半球梗塞(右側脳梗塞)の1
例と慢性めまいの患者1例では,電流比が1より大きい
症例があることが分かる。モヤモヤ病の患者2例は,健
常者と変わらず電流比が1以下であった。
【0076】図25に示すように,健常者では両側頭共
に位相差は20度以下であり,最大ベクトルの方向が良
く一致していることが分かる。一方,右側脳梗塞患者の
6例中3例で20度を超える位相差が観測され,慢性め
まいの患者1例とモヤモヤ病患者1例でも,位相差が他
のケースと大幅に異なる結果が得られた。
【0077】図26に示すように,健常者の右側頭で
は,対側音刺激(左耳刺激)の潜時が有意に短い結果と
なっているが,左側頭では,特に何れにも有意性が認め
られない。右半球梗塞の左側側頭では健常者に比べて,
6例中3例で同側側の音刺激(左耳刺激)で潜時が延長
する結果が見られた。右半球梗塞の右側側頭では,健常
者に比べて,対側側の音刺激(左耳刺激)が延長する傾
向が見られ,同側側の音刺激(右耳刺激)に於いても,
3例中1例では延長していることが分かった。
【0078】慢性めまいの患者では,2例中1例で左側
頭の潜時が延長する結果が得られた。一方,モヤモヤ病
の患者では,両側頭共に潜時に健常者との有意な差は認
められなかった。
【0079】なお,詳細な説明は省略するが,生体に印
加する光,音等の刺激信号の印加の開始に同期する同期
信号を,脳磁場の信号と対として収集し,複数方向から
計測された脳磁場の波形の時間軸が,同期信号が収集さ
れた時点で共通の原点(t=0)を持つように,時間軸
の変換,即ち,時間軸の平行移動する変換を行なう。次
に,第1の実施例〜第4の実施例と同様にして,ベクト
ル強度I(x,y,t)とその位相θ(x,y,t)を
求め,最大ベクトルの時間−強度プロット(t−I
max),及び時間−位相プロット(t−θ),あるい
は,全てのチャンネルについての時間−位相・強度プロ
ット(t−θ・I)を求め,表示できる。
【0080】以上,説明した本発明の各実施例では,心
磁場,又は,脳磁場の計測された磁場波形から得られる
ベクトル強度とその位相を使用するので,従来技術のよ
うに生体部位の各時刻に於ける状態を表わす多数の図
(マップ)を用いて生体現象を解析することなく,従来
技術で使用されていた数よりもはるかに少数の図(マッ
プ)を用いて,心臓や脳に於ける生体の電気生理学的な
興奮の時間変化を詳細に把握できる。
【0081】
【発明の効果】本発明の生体磁場計測装置によれば,ベ
クトル強度とその位相を使用するので,逆問題を解いて
ダイポール(磁場源)推定することなく,また,多数の
等磁場線図を表示することなく,電気生理学的な興奮の
伝播過程を定量化でき,個人毎の疾患,異常を客観的,
定量的に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の生体磁場計測装置の概
略構成を説明する斜視図。
【図2】本発明の第1の実施例に於ける磁場センサの配
置を説明する斜視図。
【図3】本発明の第1の実施例に於ける生体磁場の法線
成分を検出する磁場センサの構成を説明する斜視図。
【図4】本発明の第1の実施例に於ける磁場センサの配
置と人体の胸部の正面,背面との位置関係を説明する
図。
【図5】本発明の第1の実施例に於ける磁場センサの配
置と人体の胸部との位置を合わせを行なう方法を説明す
る斜視図。
【図6】本発明の第1の実施例に於ける生体磁場の計
測,計測された信号の解析の流れを説明する図。
【図7】本発明の第1の実施例に於いて,健常者を被検
体として,正面,及び背面から計測された心磁場波形
と,心磁場波形の計測と同時に計測された心電図波形の
例を示す図。
【図8】本発明の第1の実施例に於いて,正面から計測
された健常者の心磁場波形のQRS波の開始点から30
ms経過後の時間での電流アロー図,及び最大電流ベク
トルを示す図。
【図9】本発明の第1の実施例に於いて,最大ベクトル
の位相の基準を示す図。
【図10】本発明の第1の実施例に於いて,正面,及び
背面から計測された健常者の心磁場波形のQRS波の開
始点から200msまでの時間帯での時間−強度プロッ
ト(t−Imaxx)と,時間−位相プロット(t−
θ)の表示例を示す図。
【図11】本発明の第1の実施例に於いて,正面,及び
背面から計測された右脚ブロックの患者の心磁波形のQ
RS波の開始点から200msまでの時間帯での時間−
強度プロット(t−Imax)と,時間−位相プロット(t−
θ)の表示例を示す図。
【図12】本発明の第2の実施例に於いて64チャンネ
ルの全ての各チャンネルの各時間でのベクトルの時間−
位相・強度プロットを行なう場合の,生体磁場の計測,
計測された信号の解析の流れを説明する図。
【図13】本発明の第2の実施例に於いて,健常者の正
面から計測された心磁場波形のQRSの開始点から20
0msまでの時間帯での64チャンネルの全チャンネル
のベクトルの時間−位相強度プロットの表示例を示す
図。
【図14】本発明の第2の実施例に於いて,健常者の背
面から計測された心磁場波形のQRSの開始点から20
0msまでの時間帯での64チャンネルの全チャンネル
のベクトルの時間−位相強度プロットの表示例を示す
図。
【図15】本発明の第2の実施例に於いて,正面から計
測された右脚ブロックの患者の心磁波形のQRS波の開
始点から200msまでの時間帯での64チャンネルの
全チャンネルのベクトルの時間−位相強度プロットの表
示例を示す図。
【図16】本発明の第2の実施例に於いて,背面から計
測された右脚ブロックの患者の心磁波形のQRS波の開
始点から200msまでの時間帯での64チャンネルの
全チャンネルのベクトルの時間−位相強度プロットの表
示例を示す図。
【図17】本発明の第3の実施例に於いて使用する生体
磁場の接線成分B,及びB成分を検出する磁場セン
サの構成例の概略を説明する図。
【図18】本発明の第4の実施例に於いて使用する,コ
イル全体として円の形状を持つ微分コイルの例を示す
図。
【図19】本発明の第5の実施例に於いて使用する,正
面,及び背面の方向から同時に心磁場計測を行なう生体
磁場計測装置の構成例の概略を説明する図。
【図20】本発明の第6の実施例に於いて聴性誘発され
た脳磁場を計測する生体磁場計測装置の構成例を説明す
る斜視図。
【図21】本発明の第6の実施例に於ける磁場センサの
配置と人体の頭部との位置関係を説明する図。
【図22】本発明の第6の実施例に於ける脳磁場の計測
の手順を説明する流れ図。
【図23】本発明の第6の実施例に於いて,健常者の脳
磁場の計測結果の表示例と,最大ベクトルの抽出する原
理を説明する図。
【図24】本発明の第6の実施例に於いて得られた最大
電流ベクトルの強度比I/I(同側側刺激の強度/
対側側刺激の強度)の結果例を示す図。
【図25】本発明の第6の実施例に於いて得られた位相
差|Δθ|の結果例を示す図。
【図26】本発明の第6の実施例に於いて得られたN1
00mが出現した時間(潜時)を各側頭毎にまとめた結
果例を示す図。
【符号の説明】
1…磁場シールドルーム,2…被検体,3…デュワ,
3’−1…上部デュワ,3’−2…下部デュワ,4,
4’…ベッド,5,5’…ガントリ,6…心電計用電
極,7…心電計,8…FLL回路,9…アンプフィルタ
ー回路,10…データ収録解析装置,11…ディスプレ
イ(表示装置),12…レール,13…滑車,20,2
0−i(i=11,12,…,18;i=21,22,
…,28;i=31,32,…,38;i=41,4
2,…,48;i=51,52,…,58;i=61,
62,…,68;i=71,72,…,78;i=8
1,82,…,88),20’,20”…磁場センサ,
21,21−1’,21−2’21”…SQUID,2
2,22’−1,22’−2…検出コイル,23,2
3’−1,23’−2…参照コイル,30…計測点,3
1,31’…計測基準点,40…被検体の基準点,41
…x方向レーザ光源,42…y方向レーザ光源,43…
x軸ライン形成用ビーム,44…y軸ライン形成用ビー
ム,45…xz標識(マーク),46…yz標識(マー
ク),49…交差線,50…微分コイル,181…アダ
プタ,182…エアーチューブ,183…音刺激装置,
184…同期信号,211,213…電流アローマッ
プ,212,214…計測された脳磁場の波形。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月3日(2001.10.
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神鳥 明彦 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 鈴木 大介 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 横澤 宏一 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 2G017 AA08 AD32 BA15 4C027 AA00 AA02 AA03 AA10 CC00 DD02 FF03 GG16 HH11

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体から発生する生体磁場を計測する複数
    のSQUID磁束計と,前記生体磁場以外の周期的に発
    生する生体信号を計測して収集する生体信号計測装置
    と,複数方向から対として同時に計測された前記生体磁
    場の信号及び前記生体信号の演算処理を行なう演算処理
    装置と,演算処理の結果を表示する表示装置とを有する
    ことを特徴とする生体磁場計測装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の生体磁場計測装置に於い
    て,前記演算処理装置は,時間変数をtとして,複数方
    向から計測された前記生体信号の波形の時間軸が共通原
    点(t=0)を持つように,前記各生体信号の波形の時
    間軸の変換を行ない,前記生体信号と対をなす前記生体
    磁場の信号の波形の時間軸に対して前記変換と同一の変
    換を行ない,前記表示装置に,前記共通原点(t=0)
    をもつ前記生体磁場の信号の演算処理から求めた結果が
    表示されることを特徴とする生体磁場計測装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の生体磁場計測装置に於い
    て,前記生体磁場及び前記生体信号が前記生体の胸面及
    び背面の2方向から計測されることを特徴とする生体磁
    場計測装置。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の生体磁場計測装置に於い
    て,前記生体信号計測装置が,心電計,心音計,脈波
    計,脳波計の何れかであり,前記生体信号が,心電波
    形,心音波形,脈波形,脳波形の何れかであることを特
    徴とする生体磁場計測装置。
  5. 【請求項5】生体から発生する生体磁場を計測する複数
    のSQUID磁束計と,前記生体磁場以外の周期的に発
    生する生体信号を計測して収集する生体信号計測装置
    と,複数方向から対として同時に計測された前記生体磁
    場の信号及び前記生体信号の演算処理を行なう演算処理
    装置と,演算処理の結果を表示する表示装置とを有し,
    前記演算処理装置は,時間変数をtとして,複数方向で
    計測された前記生体信号を用いて,複数方向で計測され
    た前記生体磁場の信号が共通原点(t=0)を持つよう
    に時間軸の変換を行ない,前記生体の表面に接する面に
    垂直な方向をz方向,該z方向に直交し前記生体の表面
    に接する面に水平な方向をx方向及びy方向とし,前記
    共通原点(t=0)をもつ前記生体磁場の信号を用い
    て,前記生体磁場の各計測点(x,y)で2次元磁場ベ
    クトルの大きさ及び/又はxy面での方向を表わす角度
    を求め,前記表示装置に,前記2次元磁場ベクトルの大
    きさ及び/又は前記角度の,前記共通原点(t=0)を
    原点とする時間変化が表示されることを特徴とする生体
    磁場計測装置。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の生体磁場計測装置に於い
    て,前記各SQUID磁束計は前記z方向の磁場成分
    (B(x,y,t))を計測し,前記演算処理装置は
    前記2次元磁場ベクトルを√{(∂B(x,y,t)
    /∂x)+(∂B(x,y,t)/∂y)}から
    求めることを特徴とする生体磁場計測装置。
  7. 【請求項7】請求項5に記載の生体磁場計測装置に於い
    て,前記各SQUID磁束計は前記z方向の磁場成分
    {(B(x,y,t)}のx方向に関する微分{∂B
    (x,y,t)/∂x}及びy方向に関する微分{∂
    (x,y,t)/∂y}を計測し,前記演算処理装
    置は前記2次元磁場ベクトルを√{(∂B(x,y,
    t)/∂x)+(∂B(x,y,t)/∂y)
    から求めることを特徴とする生体磁場計測装置。
  8. 【請求項8】請求項5に記載の生体磁場計測装置に於い
    て,前記各SQUID磁束計は前記x方向の磁場成分
    {B(x,y,t)}及び前記y方向の磁場成分{B
    (x,y,t)}を計測し,前記演算処理装置は前記
    2次元磁場ベクトルを√{(B (x,y,t))
    (B(x,y,t))}から求めることを特徴とす
    る生体磁場計測装置。
  9. 【請求項9】請求項5に記載の生体磁場計測装置に於い
    て,前記演算処理装置は,前記生体磁場を計測した各方
    向について,前記共通原点(t=0)をもつ前記生体磁
    場の信号から前記各計測点(x,y)に於ける前記2次
    元磁場ベクトルを求め,複数の前記計測点(x,y)に
    於ける前記2次元磁場ベクトルのうち最大の前記2次元
    磁場ベクトルの大きさ及び/又はxy面での方向を表わ
    す角度を,前記共通原点(t=0)を原点とする時間軸
    の各点で求め,前記表示装置に,前記最大の前記2次元
    磁場ベクトルの大きさ及び/又は角度の時間変化が,前
    記生体磁場を計測した前記各方向について表示されるこ
    とを特徴とする生体磁場計測装置。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の生体磁場計測装置に於
    いて,前記表示装置に,前記最大の前記2次元磁場ベク
    トルの大きさ及び/又は角度の時間変化が,前記生体磁
    場を計測した前記各方向について同一の時間軸を用いて
    表示されることを特徴とする生体磁場計測装置。
  11. 【請求項11】請求項9に記載の生体磁場計測装置に於
    いて,前記表示装置に,前記最大の前記2次元磁場ベク
    トルの大きさ及び/又は角度の時間変化が,前記生体磁
    場を計測した前記各方向について異なるカラーで同一の
    時間軸を用いて表示されることを特徴とする生体磁場計
    測装置。
  12. 【請求項12】請求項5に記載の生体磁場計測装置に於
    いて,前記演算処理装置は,前記生体磁場を計測した各
    方向について,前記共通原点(t=0)をもつ前記生体
    磁場の信号から前記各計測点(x,y)に於ける前記2
    次元磁場ベクトルの大きさ及びxy面での方向を表わす
    角度を,前記共通原点(t=0)を原点とする時間軸の
    各点で求め,前記表示装置に,前記各計測点(x,y)
    に於ける前記2次元磁場ベクトルの大きさ及び角度の時
    間変化が,前記生体磁場を計測した前記各方向毎に,前
    記2次元磁場ベクトルの大きさをプロット点の大きさに
    比例させて,又は,カラーで区別して表示されることを
    特徴とする生体磁場計測装置。
  13. 【請求項13】生体の心臓から発生する生体磁場の信号
    を計測する複数のSQUID磁束計と,生体信号とし
    て,心電波形,心音波形,脈波形の何れかを計測する装
    置と,前記生体の胸面及び背面の2方向から対として同
    時に計測された前記生体磁場の信号及び前記生体信号の
    演算処理を行なう演算処理装置と,演算処理の結果を表
    示する表示装置とを有し,前記演算処理装置は,前記生
    体の表面に接する面に垂直な方向をz方向,該z方向に
    直交し前記生体の表面に接する面に水平な方向をx方向
    及びy方向とし,時間変数をtとして,前記2方向から
    計測された前記生体信号の波形の時間軸が共通原点(t
    =0)を持つように,前記2方向から計測された前記生
    体信号の波形の時間軸の変換を行ない,前記生体信号と
    対をなす前記生体磁場の信号の波形の時間軸に対して前
    記変換と同一の変換を行ない,前記生体磁場を計測した
    前記2方向について,前記共通原点(t=0)をもつ前
    記生体磁場の信号から前記生体磁場の各計測点(x,
    y)に於ける2次元磁場ベクトルを求め,複数の前記計
    測点(x,y)に於ける前記2次元磁場ベクトルのうち
    最大の前記2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又はxy
    面での方向を表わす角度を,前記共通原点(t=0)を
    原点とする時間軸の各点で求め,前記表示装置に,前記
    最大の前記2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又は角度
    の時間変化が,前記生体磁場を計測した前記2方向につ
    いて表示されることを特徴とする生体磁場計測装置。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の生体磁場計測装置に
    於いて,前記角度が0°となる方向を前記生体の体軸に
    垂直な左水平方向とし,前記角度が0°から180°の
    範囲,及び,0°から−180°の範囲で表示されるこ
    とを特徴とする生体磁場計測装置。
  15. 【請求項15】請求項13に記載の生体磁場計測装置に
    於いて,前記心臓の脚ブロック伝導障害に関する情報を
    検出することを特徴とする生体磁場計測装置。
  16. 【請求項16】生体の胸部又は頭部から発生する生体磁
    場の信号を計測する複数のSQUID磁束計と,前記生
    体磁場の信号の演算処理を行なう演算処理装置と,演算
    処理の結果を表示する表示装置とを有し,前記演算処理
    装置は,前記生体の表面に接する面に垂直な方向をz方
    向,該z方向に直交し前記生体の表面に接する面に水平
    な方向をx方向及びy方向として,前記生体磁場の信号
    から前記生体磁場の各計測点(x,y)に於ける2次元
    磁場ベクトルを求め,複数の前記計測点(x,y)に於
    ける前記2次元磁場ベクトルのうち最大の前記2次元磁
    場ベクトルの大きさ及び/又はxy面での方向を表わす
    角度を,前記生体磁場が計測された複数の時点で求め,
    前記表示装置に,前記最大の前記2次元磁場ベクトルの
    大きさ及び/又は角度の時間変化が表示されることを特
    徴とする生体磁場計測装置。
  17. 【請求項17】生体の胸部又は頭部から発生する生体磁
    場の信号を計測する複数のSQUID磁束計と,前記生
    体磁場の信号の演算処理を行なう演算処理装置と,演算
    処理の結果を表示する表示装置とを有し,前記演算処理
    装置は,前記生体の表面に接する面に垂直な方向をz方
    向,該z方向に直交し前記生体の表面に接する面に水平
    な方向をx方向及びy方向として,前記生体磁場の信号
    から前記生体磁場の各計測点(x,y)に於ける2次元
    磁場ベクトルを求め,前記各計測点(x,y)に於ける
    前記2次元磁場ベクトルの大きさ及び角度を,前記生体
    磁場が計測された複数の時点で求め,前記表示装置に,
    前記各計測点(x,y)に於ける前記2次元磁場ベクト
    ルの大きさ及びxy面での方向を表わす角度の時間変化
    が,前記2次元磁場ベクトルの大きさをプロット点の大
    きさに比例させて,又は,カラーで区別して表示される
    ことを特徴とする生体磁場計測装置。
  18. 【請求項18】生体の頭部から発生する生体磁場を計測
    する複数のSQUID磁束計と,前記生体を刺激する信
    号と前記刺激する信号の発生の開始に同期する同期信号
    を発生する刺激装置と,前記生体の頭部の複数方向から
    対として計測された前記生体磁場の信号及び前記同期信
    号の演算処理を行なう演算処理装置と,演算処理の結果
    を表示する表示装置とを有することを特徴とする生体磁
    場計測装置。
  19. 【請求項19】請求項18に記載の生体磁場計測装置に
    於いて,前記演算処理装置は,時間変数をtとして,前
    記複数方向から計測された前記生体信号の波形の時間軸
    が共通原点(t=0)を持つように,前記同期信号に基
    づいて前記複数方向から計測された前記生体信号の波形
    の時間軸の変換を行ない,前記表示装置に,前記共通原
    点(t=0)をもつ前記生体磁場の信号の演算処理から
    求めた結果が表示されることを特徴とする生体磁場計測
    装置。
  20. 【請求項20】請求項18に記載の生体磁場計測装置に
    於いて,前記刺激装置が,電気刺激装置,音刺激装置,
    匂い刺激装置,視覚刺激装置,触覚刺激装置の何れかで
    あることを特徴とする生体磁場計測装置。
  21. 【請求項21】生体の頭部から発生する生体磁場の信号
    を計測する複数のSQUID磁束計と,前記生体を刺激
    する信号と前記刺激する信号の発生の開始に同期する同
    期信号を発生する刺激装置と,前記生体の頭部の複数方
    向から対として計測された前記生体磁場の信号及び前記
    同期信号の演算処理を行なう演算処理装置と,演算処理
    の結果を表示する表示装置とを有し,前記演算処理装置
    は,時間変数をtとして,前記複数方向から計測された
    前記生体信号の波形の時間軸が共通原点(t=0)を持
    つように,前記同期信号に基づいて前記複数方向から計
    測された前記生体信号の波形の時間軸の変換を行ない,
    前記生体の表面に接する面に垂直な方向をz方向,該z
    方向に直交し前記生体の表面に接する面に水平な方向を
    x方向及びy方向とし,前記共通原点(t=0)をもつ
    前記生体磁場の信号を用いて,前記生体磁場の各計測点
    (x,y)で2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又はx
    y面での方向を表わす角度を求め,前記表示装置に,前
    記2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又は前記角度の,
    前記共通原点(t=0)を原点とする時間変化が表示さ
    れることを特徴とする生体磁場計測装置。
  22. 【請求項22】生体の頭部から発生する生体磁場の信号
    を計測する複数のSQUID磁束計と,前記生体を刺激
    する信号と前記刺激する信号の発生の開始に同期する同
    期信号を発生する刺激装置と,前記生体の頭部の複数方
    向から対として計測された前記生体磁場の信号及び前記
    同期信号の演算処理を行なう演算処理装置と,演算処理
    の結果を表示する表示装置とを有し,前記演算処理装置
    は,前記生体の表面に接する面に垂直な方向をz方向,
    該z方向に直交し前記生体の表面に接する面に水平な方
    向をx方向及びy方向とし,時間変数をtとして,前記
    複数方向から計測された前記生体信号の波形の時間軸が
    共通原点(t=0)を持つように,前記同期信号に基づ
    いて前記複数方向から計測された前記生体信号の波形の
    時間軸の変換を行ない,前記生体磁場を計測した前記複
    数方向について,前記共通原点(t=0)をもつ前記生
    体磁場の信号から前記生体磁場の各計測点(x,y)に
    於ける2次元磁場ベクトルを求め,複数の前記計測点
    (x,y)に於ける前記2次元磁場ベクトルのうち最大
    の前記2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又はxy面で
    の方向を表わす角度を,前記共通原点(t=0)を原点
    とする時間軸の各点で求め,前記表示装置に,前記最大
    の前記2次元磁場ベクトルの大きさ及び/又は角度の時
    間変化が,前記生体磁場を計測した前記複数方向につい
    て表示されることを特徴とする生体磁場計測装置。
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