JP2002228525A - 搬送物からの衝撃を入力条件とする応力解析方法 - Google Patents

搬送物からの衝撃を入力条件とする応力解析方法

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JP2002228525A
JP2002228525A JP2001023146A JP2001023146A JP2002228525A JP 2002228525 A JP2002228525 A JP 2002228525A JP 2001023146 A JP2001023146 A JP 2001023146A JP 2001023146 A JP2001023146 A JP 2001023146A JP 2002228525 A JP2002228525 A JP 2002228525A
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stress
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベルトコンベア等の搬送装置の設計時に、ば
ら物搬送物の衝突による衝撃荷重を定量化して、被衝突
部における衝撃荷重の分布状態を正確に求め得るように
し、これにより、搬送装置の設計や使用条件の設定等を
適切に行えるようにする。 【解決手段】 搬送物を粒子ptclにより模擬するととも
に、コンベアベルトB1や供給ベルトB2等を平板部材
w,allによって模擬する3次元の挙動解析モデルM1
を用意する。供給ベルトB2により搬送されて、受入シ
ュート9からコンベアベルトB1上に落下する粒子ptcl
の挙動を個別要素法により逐次、記述する(挙動解析ス
テップ)。挙動解析ステップにおいて求めた粒子ptclの
挙動に基づいて、横桟22への衝撃荷重の分布状態を演
算する(荷重演算ステップ)。その衝撃荷重分布を入力
条件として、動的有限要素法の適用により横桟22にお
ける応力、歪み、変位量等を解析する(応力解析ステッ
プ)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭、鉱石等の塊
状ばら物や粒状の搬送物、即ち、一般的にばら物とかバ
ルクといわれる搬送物を搬送するための搬送装置におい
て、主として該搬送物からの衝撃を直接的に受ける被衝
突部の応力ないし歪み分布状態を解析する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、鉱石やコークス等を
溶鉱炉の高所にある投入口に連続的に投入するために、
それらの搬送物を急傾斜又は垂直に搬送可能な桟付コン
ベアベルトを備えたベルトコンベア装置が使用されてい
る(図2参照)。このような桟付コンベアベルトは、例
えば図3(a)に示すように、平ベルトからなるベース
ベルト1(ベルト本体)の外周の搬送面1aに、ベルト
幅方向に延びる板状の横桟22,22,…をベルト長さ
方向の全周に亘って所定間隔を空けて立設し、この横桟
22,22,…により搬送物を係止して、急傾斜又は垂
直に搬送できるようにしたものである。
【0003】前記のようなベルトコンベア装置では、上
流側のコンベアベルト等から搬送物が投下されるシュー
ト部において、コンベアベルトに対し最大の衝撃力が作
用することが知られており、そのため、コンベアベルト
の設計においては、前記シュート部における搬送物の衝
撃荷重を古典的な物理式や搬送物の流体力学的な近似に
よって推定したり、或いは実験的に求めたりして、その
最大の衝撃力に耐え得るように、ベースベルトや横桟の
構造を決定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、石炭
等の搬送においては一層の大容量化が求められており、
これに対応すべくベルトコンベア装置を高速化ないし大
型化した結果、シュート部における衝撃がさらに増大し
てしまい、コンベアベルトが短時間で破損に至るケース
が生じている。
【0005】すなわち、上述の如く、古典的な方法や実
験等によって衝突荷重を推定した場合、その推定値は非
常に大まかなものであって、装置の実際の使用状況を反
映した正確な衝撃荷重を求めることは到底、できない。
特に、衝撃荷重の分布状態や個々の荷重の大きさ及び方
向についてはあくまで概算に過ぎないので、例えば、搬
送のばらつきによって搬送物がベルトの左右いずれかに
偏っている場合や、前記したような桟付コンベアベルト
において搬送物が直接、横桟に衝突する場合等に、ベル
トが短期間で破損してしまうのである。
【0006】一方、そのような場合でもベルトの破損を
回避できるように、ベルト全体の構造や強度をさらに高
く設計すると、ベルトコンベア装置のコスト高、重量増
等の不具合が大きくなってしまう。また、装置レイアウ
トを安全側にシフトさせることもできるが、これでは、
搬送装置の使用条件を適切に設定しているとは言い難
い。
【0007】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、ベルトコンベア等の
搬送装置の設計の際に、ばら物搬送物の衝突による衝撃
荷重を定量化する手法に工夫を凝らし、該搬送装置の被
衝突部における衝撃荷重の分布状態を正確に求め得るよ
うにして、もって、この被衝突部の構造、ひいては搬送
装置全体の構造や使用条件等を適切に設定できるように
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の解決手段では、搬送装置の被衝突部に衝突
する搬送物の挙動を個別要素法の適用により解析すると
ともに、この解析結果に基づく被衝突部への衝撃荷重分
布を入力条件として、有限要素法の適用により前記被衝
突部における応力ないし歪みの分布状態を解析するよう
にした。
【0009】具体的に、請求項1の発明は、ばら物搬送
物が衝突する搬送装置の被衝突部における応力ないし歪
みの分布状態を、該搬送物からの衝撃に基づいて解析す
る応力解析方法を対象とし、前記被衝突部に衝突する搬
送物の挙動を個別要素法の適用により求める挙動解析ス
テップと、この挙動解析ステップにおいて求めた搬送物
の挙動に基づいて、該搬送物による被衝突部への衝撃荷
重の分布状態を演算する荷重演算ステップと、この荷重
演算ステップにおける演算結果を入力条件として、有限
要素法の適用により前記被衝突部における応力ないし歪
みの分布状態を解析する応力解析ステップとを備えるも
のとする。
【0010】この方法では、まず、挙動解析ステップに
おいて搬送装置の被衝突部に衝突する搬送物の挙動を個
別要素法の適用により解析することで、該被衝突部に衝
突する直前の搬送物の位置座標や速度を正確に求めるこ
とができ、この各搬送物の位置座標や速度に基づいて、
被衝突部における衝撃荷重の分布状態を正確に演算する
ことができる。そして、該被衝突部における衝撃荷重の
分布状態を入力条件とすることで、有限要素法により該
被衝突部における応力ないし歪みの分布状態を高精度に
解析することができるようになるので、この解析結果に
基づいて、搬送装置の被衝突部及びその周辺の構造設計
を適切に行うことができ、ひいては搬送装置全体の構造
やレイアウト、使用条件等を適切に設定することができ
る。
【0011】つまり、搬送装置の構造及び強度設計に実
際の使用状況を精度良く反映させて、適切な設計を行え
るようになり、これにより、搬送装置の信頼性確保と重
量やコストの低減とを高次元で両立することができる。
【0012】請求項2の発明では、挙動解析ステップに
おいて、搬送物を仮想の粒子により模擬するとともに、
搬送装置の上流側の搬送手段と、この上流側搬送手段か
ら搬送物が投入されるシュートと、このシュートの下方
に位置する被衝突部とを、それぞれの配置を含めて仮想
の構成部材により模擬する挙動解析モデルを用意し、こ
の挙動解析モデルに対して、少なくとも前記搬送物、上
流側搬送手段、シュート及び被衝突部についての幾何デ
ータと材料データとをそれぞれ入力するとともに、該上
流側搬送手段に供給する前記粒子の位置座標及び速度に
関する初期条件を入力し、さらに、その挙動解析モデル
において上流側搬送手段の作動状態を表すように構成部
材を動作させ、これにより搬送されてシュートに投入さ
れる粒子の位置座標及び速度を前記初期条件に基づいて
逐次、記述するものとする。
【0013】この方法により、挙動解析ステップでは、
搬送物や上流側搬送手段等を仮想の粒子や平板ないし棒
部材等の構成部材により模擬して、ばら物搬送物の挙
動、即ち粒子の位置座標及び速度を初期条件に基づいて
個別要素法により逐次、正確に記述することができる。
そして、そのようにして前記上流側搬送手段からシュー
トに投入されて、下方の被衝突部に衝突する直前の搬送
物挙動、即ち粒子の位置座標及び速度が求められれば、
引き続いて、荷重演算ステップにおいて前記被衝突部へ
の衝撃荷重の分布を正確に演算することが可能になる。
【0014】請求項3の発明では、請求項2における応
力解析ステップで、被衝突部の構造を模擬する有限要素
モデルを用意し、該有限要素モデルに対して幾何データ
及び材料データをそれぞれ入力するとともに、荷重演算
ステップにおいて演算した衝撃荷重分布データを入力し
て、該被衝突部における応力ないし歪みの分布状態を解
析する。こうすることで、有限要素法の適用により搬送
装置の被衝突部における衝撃荷重の分布状態に基づい
て、該被衝突部における応力ないし歪みの分布状態を高
精度に解析することができる。
【0015】請求項4の発明では、請求項3の発明にお
ける被衝突部をコンベアベルト上の搬送面とし、この搬
送面には搬送物を係止するための横桟が設けられている
ものとする。そして、応力解析ステップでは、少なくと
も前記横桟について有限要素モデルを用いて応力ないし
歪みの分布状態を解析する。
【0016】こうすることで、コンベアベルトの搬送面
上に設けられた横桟の応力ないし歪み分布状態を高精度
に解析することができ、この解析結果に基づいて、横桟
の構造及び強度を使用状況に応じて適切に設計すること
ができる。すなわち、一般的に、桟付きコンベアベルト
の場合、落下搬送物の衝突によって、特に横桟が破損す
ることが多いので、この横桟の構造を過不足なく補強す
ることが極めて重要であり、この点において、本願発明
の作用効果が特に有効になるものである。
【0017】請求項5の発明では、請求項2〜4のいず
れか1つの発明における荷重演算ステップでは、被衝突
部の上方空間を分割して、複数の分割空間領域を設定す
るとともに、挙動解析ステップにおいて求めた粒子の位
置座標及び速度に基づいて、前記各領域毎にその内部に
含まれる粒子の質量を加算して1つの代表粒子の質量と
みなし、かつ該領域の内部に含まれる粒子の位置座標及
び速度をそれぞれ平均化して、該代表粒子の位置座標及
び速度とみなす。そして、該領域毎の代表粒子の質量、
位置座標及び速度に基づいて、被衝突部に対する衝撃荷
重の分布データを演算する。
【0018】すなわち、一般的に、搬送物を模擬する粒
子の挙動を個別要素法により記述する場合、予測精度を
高めるためには粒子の個数を十分に多くする必要があ
る。一方で、有限要素法解析の入力条件としては、荷重
入力点があまり多くなると演算量が莫大なものとなり、
現実的でないという問題がある。そこで、この発明で
は、個別要素法により求められた搬送物挙動、即ち多数
の粒子の位置座標及び速度のデータをそれらの空間的な
分布状態に応じて、相対的に少ない代表粒子の位置座標
及び速度データに変換することにより、データの有意性
を十分に担保しながら、有限要素法解析における演算量
を減らすことができる。
【0019】つまり、個別要素法と有限要素法とを組み
合わせるにあたり、それぞれの解析の実効性を確保しな
がら、演算量を適切な分量として、設計支援のための実
用性を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0021】(コンベアラインの構成)この実施形態
は、本発明に係る応力解析方法を図2に一例を示すよう
なコンベアラインL(ベルトコンベア装置)に適用した
ものである。図示のコンベアラインLは、例えば石炭や
鉱石等のばら物搬送物を略垂直に搬送するS字レイアウ
トの下流側コンベアベルトB1と、このコンベアベルト
B1に搬送物を乗り継がせる上流側コンベアベルトB2
とを備えている。そして、前記下流側コンベアベルトB
1は、平ベルトからなるベースベルト1(ベルト本体)
を有し、このベースベルト1が、コンベア頭部(図の上
端部)に設けられたドライブプーリ2とコンベア尾部
(図の下端部)に設けられたテイクアッププーリ3との
間に巻き掛けられるとともに、変角ディスクプーリ4,
4、変角馬の背ローラ5,5,…及びリタン変角プーリ
6によりそれぞれ変角されている。そして、前記ドライ
ブプーリ2が図示しないモータ等によリ図の反時計回り
方向に回転されると、コンベアベルトB1がドライブプ
ーリ2により駆動され、搬送物をベースベルト1外周の
搬送面1a(図3参照)に載置して、連続的に搬送する
ようになっている。
【0022】詳しくは、前記コンベアベルトB1は、コ
ンベア尾部においてテイクアッププーリ3と変角ディス
クプーリ4との間に略水平に延びるように設けられ、該
テイクアッププーリ3により図に矢印fで示すように張
力を加えられるとともに、複数(図例では5つ)のイン
パクトローラ8,8,…により下側から支持されてい
て、上方の受入シュート9から落下してくる搬送物をベ
ースベルト1の搬送面1a(被衝突部)で受け止めるよ
うになっている。また、コンベアベルトB1は変角ディ
スクプーリ4の周りを上方に向かって略90°周回し、
そこから略鉛直上方に延びていて、搬送面1aに載置し
た搬送物を図に矢印で示すようにコンベア頭部まで連続
的に搬送する。尚、符号10,10,…は、垂直搬送状
態のコンベアベルトB1の内周側を支持するように上下
方向に略等間隔に配置された複数(図例では6つ)のキ
ャリアローラを示している。
【0023】さらに、前記コンベア頭部において、コン
ベアベルトB1は、ベルト内周側に所定のカーブを描く
ように配設された複数(図例では6つ)の変角馬の背ロ
ーラ5,5,…に沿って周回し、そこからドライブプー
リ2まで略水平に延びて、該ドライブプーリ2の回りを
図の反時計回り方向に略180度周回して、折り返され
ている。これにより、搬送物は、コンベアベルトB1と
ともにドライブプーリ2の回りを周回しながら、該ドラ
イブプーリ2を取り囲む排出シュート11内に落下し
て、排出される。一方、そのように搬送物が落下した後
のコンベアベルトB1は、ドライブプーリ2から変角デ
ィスクプーリ4まで略水平に延びていて、ここで、搬送
面1aに付着している搬送物がビータクリーナ12によ
ってふるい落とされるようになっている。
【0024】最後に、コンベアベルトB1は、変角ディ
スクプーリ4の周りを図の下側に向かって略90°周回
し、複数(図例では5つ)のリタンローラ13,13,
…により内周面を支持されながら、略鉛直下方に延び
て、コンベア尾部においてリタン変角プーリ6の周りを
周回した後、そこから略水平に延びて、再びテイクアッ
ププーリ3に戻るようになっている。
【0025】尚、図の符号14,14,14は、コンベ
アベルトB1をベルト幅方向両側から支持するサイドロ
ーラを示し、また、符号15,16は、それぞれベース
ベルト1の内周面に付着した搬送物をそぎ落とすスクレ
ーパを示している。さらに、符号17は、搬送面1aに
残った搬送物がコンベア戻り側で落下したときに、この
搬送物が飛び散るのを防ぐためのリターン案内板を示し
ている。
【0026】前記コンベアベルトB1には、搬送物を係
止して急傾斜状態でも上方に搬送できるように、耳桟2
1や横桟22が設けられている。すなわち、図3(a)
に示すように、ベースベルト1の外周面(図の上面)に
おける中央の所定幅の範囲が搬送面1aとされ、この搬
送面1aのベルト幅方向両側には、それぞれ搬送物の落
下を防止するための耳桟21,21がベルト長さ方向の
全周に亘って設けられている。この一対の耳桟21,2
1はいずれもゴム製で、ベースベルト1の外周面から略
垂直に突出していて、ベースベルト1が変角ディスクプ
ーリ4,4や変角馬の背ローラ5,5,…等に沿って周
回するときに伸縮できるように、蛇腹状に形成されてい
る。また、前記左右両側の耳桟21,21よりもさらに
外側のベースベルト1には、それぞれ変角ディスクプー
リ4,4の外周面に当接される当接面1b,1bが形成
されていて、ベースベルト1は、該当接面1b,1bに
おいて変角ディスクプーリ4,4に巻きかけられてい
る。
【0027】また、前記ベースベルト1の搬送面1a上
には、両側の耳桟21,21の間でベルト幅方向に延び
るように、略矩形板状のゴム製の横桟22,22,…が
設けられている。この横桟22,22,…は、ベルト長
さ方向の全周に亘って互いに所定間隔をあけて立設され
ていて、図3(b)に示すように、各々ベースベルト1
の搬送面1aから略垂直に突出する垂直壁部22aと、
この垂直壁部の先端からベルト進行方向前側に湾曲して
斜めに延びる傾斜壁部22bとからなる。また、前記横
桟22の垂直壁部22aの基端側には、前後両側から挟
持するように断面L字状の補強部材22cが接着されて
いて、該垂直壁部22aの下端部と補強部材22cの底
面とが一体的にベースベルト1上に接着されている。
【0028】さらに、前記横桟22の垂直壁部22a
は、図示しないが、前後のゴム層に挟まれるように補強
用の帆布が埋め込まれているとともに、該垂直壁部22
aの左右両側の端部にはU字状の補強ボルト23が埋め
込まれており、この補強ボルト23の端部が垂直壁部2
2aの左右両側から外方に突出して、耳桟21に連結さ
れるようになっている。そして、そのようにベースベル
ト1及び耳桟21に対してそれぞれ横桟22の垂直壁部
22aを連結した上で、その上端部から前方へ延びる傾
斜壁部22bの傾斜角度を適切に設定することで、この
横桟22によりかなり多くの搬送物を係止して、こぼれ
落ちないように保持しながら、垂直上方に搬送すること
ができる。
【0029】これに対し、前記上流側のコンベアベルト
B2(以下、供給ベルトという)は平ベルトからなるも
ので、前記図2に示すように、ドライブプーリ18と図
外のドリブンプーリとに巻掛けられて、該両プーリ間に
略水平に延びている。そして、ドライブプーリ18が図
示しないモータ等によリ図の反時計回り方向に回転され
ると、そのドライブプーリ18により供給ベルトB2が
駆動され、この供給ベルトB2上の搬送物が図の左側に
向かって連続的に搬送されて、コンベア終端部から受入
シュート9に投入されるようになっている。尚、図の1
9は、供給ベルトB2から受入シュート9に向かって落
下する搬送物を案内するための案内板である。
【0030】ところで、上述の如きコンベアラインLの
レイアウトやコンベアベルトB1、供給ベルトB2等の
仕様は、従来までは主に技術者の経験や勘に頼って決定
されており、信頼性確保と重量やコストの低減とを十分
に両立しているとは言い難かった。すなわち、コンベア
ベルトB1にはシュート部における落下搬送物によって
大きな衝撃荷重の作用することが知られているが、ばら
物搬送の特徴として、実際の使用状況における衝撃荷重
の分布状態や局所的な最大荷重値等を正確に予想するこ
とができなかったので、ベルトの早期破損を避けるため
にどうしても安全寄りの設計となり、結果として、シュ
ート高さをかなり低めに制限したり、或いはコンベアベ
ルトB1の強度を過剰に大きくしたりすることになっ
て、コスト高や重量増といった悪影響がかなり大きくな
っていた。
【0031】特に、前記のように垂直搬送が可能な桟付
コンベアベルトB1を用いる場合、シュート部において
落下搬送物の直撃を受ける横桟22を適切に補強するこ
とは、従来まで極めて困難とされていた。すなわち、コ
ンベアラインLの実際の使用状況においては、受入シュ
ート9から落下する搬送物のばらつきによって、横桟2
2の一部分に集中的に衝撃が加わることがあるが、その
ような集中荷重の繰り返しにも耐え得るように、横桟2
2の壁部22a,22bや補強部材22cを全体に亘っ
て補強すると、この補強が過剰なものとなってしまい、
ベルトの重量の増大が大きな問題となるのである。
【0032】(解析装置の構成)斯かる実状に鑑み、こ
の実施形態では、前記コンベアラインLの設計段階にお
いて、コンベアラインLと搬送物とを例えば図4に示す
ように模擬する解析モデルを用意し、該解析モデル上で
搬送物の挙動を個別要素法(Distinct ElemenntMetho
d)によりシミュレーションするとともに、そのシミュ
レーション結果を入力条件として、搬送物からの衝撃を
直接的に受ける横桟22についての有限要素法解析を行
うようにしたものである。
【0033】すなわち、この実施形態に係る応力解析装
置Aは、その概略を図1の理論ブロック図に示すよう
に、まず、コンベアラインLにより搬送されるばら物搬
送物の挙動を個別要素法の適用により求める挙動解析部
を備えている。この挙動解析部には、搬送物やコンベア
ラインLを模擬する挙動解析モデルM1が設定されてい
て、この挙動解析モデルM1において上流側の供給ベル
トB2の搬送面上に所定の分布状態となるように搬送物
を生成配置する搬送物生成部30と、供給ベルトB2や
コンベアベルトB1の移動状態を記述するベルト移動状
態記述手段31と、該供給ベルトB2等により搬送され
る搬送物の挙動を個別要素法の適用により逐次、記述す
る搬送物挙動記述手段32とが設けられている。
【0034】前記挙動解析モデルM1は、前記図4に示
すように、コンベアベルトB1の搬送面1aや横桟2
2,22,…及び供給ベルトB2の搬送面を仮想の剛体
壁からなる移動可能な平板部材w,w,…(構成部材)
により模擬し、また、受入シュート9や案内板19等を
仮想の剛体壁からなる固定の平板部材wall(構成部材)
で模擬するとともに、搬送物そのものは所定の弾性及び
減衰特性を有する球状粒子ptclにより模擬するものであ
る。
【0035】また、前記ベルト移動状態記述部31は、
前記挙動解析モデルM1において供給ベルトB2やコン
ベアベルトB1を構成する平板部材w,w,…を、それ
ぞれ、ベルトレイアウトデータ等に基づいてベルト長手
方向に移動させることにより、前記供給ベルトB2及び
コンベアベルトB1の移動状態を記述する。一方、前記
搬送物挙動記述部32は、前記挙動解析モデルM1上で
上流側の供給ベルトB2から受入シュート9を介して下
流側コンベアベルトB1に乗り継ぎ、さらにこのコンベ
アベルトB1により搬送されて、排出シュート11に至
るまでの一連の搬送物の挙動を、個別要素法の適用によ
り逐次、記述するものである。
【0036】さらに、応力解析装置Aには、前記搬送物
挙動記述部32により記述される搬送物挙動のうち、コ
ンベアラインLのシュート部においてコンベアベルトB
1の横桟22上に落下する搬送物の挙動、即ち粒子ptcl
の位置座標及び速度のデータに基づいて、該横桟22へ
の衝撃荷重分布を演算する荷重分布演算部33と、この
荷重分布演算部33による演算結果を入力条件として、
動的有限要素法の適用により前記横桟22における応
力、歪み分布及び変位量を求める応力解析部34とが設
けられている。
【0037】尚、前記ベルト移動状態記述部31及び搬
送物挙動記述部32により記述されるコンベアベルトB
1の移動状態及び搬送物挙動は、それぞれ、所定の画像
処理プログラムにより可視化されて、ディスプレー装置
に出力されるようになっている。
【0038】(搬送物の挙動解析)ここで、個別要素法
とは、多数の粒状物が集合してなる不連続体の挙動を解
析するための計算手法の一種であり、この実施形態のよ
うなばら物搬送物の挙動を従来までの連続体近似による
計算手法等と比較して、格段に高精度に求めることがで
きるものである。
【0039】具体的に、搬送物の要素を球状粒子ptclと
した場合について、図5に基づいて説明すると、同図
(a)に示すように、或る時刻tにおいて、座標位置A
に並進速度vA、回転速度ωAの球状粒子ptclが存在し、
隣り合う他の球状粒子(図に仮想線で示す)と点Pにお
いて接しているとする。この場合、まず、微小時間Δt
が経過した後の球状粒子ptclの位置A′及び速度v
A′,ωA′を求めるために、そのときに球状粒子ptclに
作用している外力Fが微小時間Δtの経過する間一定で
あると仮定し、この外力F、座標位置A、並進速度v
A、及び回転速度ωAに基づいて、球状粒子ptclの一般的
な運動方程式を解くことで、移動後の座標位置A′、並
進速度vA′、及び回転速度ωA′を演算する。
【0040】次に、前記の運動方程式の演算を解析モデ
ルにおける全ての球状粒子について行った後、各球状粒
子の位置座標に基づいて、隣接する球状粒子同士の干渉
度合いを調べる。すなわち、同図(b)に示すように、
隣接する球状粒子間で重なりや滑りが発生しているとき
には、その重なり量d及び滑り量Δsに加えて、各球状
粒子の弾性や摩擦係数等の材料特性を考慮し、一般的な
線形ばねモデルに基づく力・変位関係式を解いて、新た
な接触点p″における半径方向及び接線方向の接触力F
n,Fsをそれぞれ演算する。この力・変位関係式は、例
えば接触点P″における半径方向及び接線方向のそれぞ
れについて、減衰のある1自由度の線形ばねモデルを仮
定し、フックの法則により力と変位との関係を定めたも
のとすればよい。
【0041】次に、球状粒子ptclに対し図示しないがそ
の周囲に隣接する全ての球状粒子からそれぞれ作用する
接触力Fn,Fsの合力を求め、この合力と球状粒子ptcl
に作用する重力とを該球状粒子ptclの新しい運動方程式
における外力Fとして、この新たな運動方程式を解く。
すなわち、図6に模式的に示すように、前記運動方程式
の演算結果に基づく球状粒子等の位置座標の更新、この
更新結果に基づく力・変位関係式の演算、及びその演算
結果に基づく接触力の更新、この更新された接触力に基
づく新たな運動方程式の演算というように、微小時間Δ
t毎に運動方程式及び力・変位関係式を交互に解くこと
で、球状粒子ptclの挙動を時々刻々と正確に記述するこ
とができるのである。
【0042】以下に、個別要素法の適用により、移動す
るコンベアベルトB1,B2とこのコンベアベルトB
1,B2上の搬送物の挙動とを記述するシミュレーショ
ンの手順について、前記図4を参照しながら、図7に基
づいて説明する。
【0043】シミュレーションの全体的な手順は図7の
フローチャート図に示すようになり、スタート後のステ
ップS1において、コンベアラインLのレイアウトや球
状粒子ptclの大きさ(幾何データ)、該粒子ptclの密
度、ばね定数、減衰係数及び摩擦係数(材料データ)、
粒子ptclの個数、ベルト移動速度(使用条件)等のデー
タを入力する。尚、前記コンベアラインLの基本的なレ
イアウトとしては、例えば、供給ベルトB2及び搬送用
コンベアベルトB1の寸法形状及び配置、該コンベアベ
ルトB1上の横桟22の間隔、該横桟22の寸法形状、
受入シュート9の形状及びシュート高さ、案内板19等
の寸法形状及び配置等が挙げられる。
【0044】続いて、ステップS2において、前記ステ
ップS1で入力したレイアウトデータに基づいて、コン
ベアベルトB1及び供給ベルトB2の基本レイアウト、
即ち前記図4に示すような3次元の仮想のコンベアライ
ンLを生成する。この仮想のコンベアラインLにおい
て、コンベアベルトB1については、ベースベルト1の
搬送面1aを表す2枚の平板部材w,wと、横桟22の
垂直壁部及び折曲部の表裏両面をそれぞれ表す4枚の平
板部材w,w,…との合計6枚の仮想の平板部材wを1
つの構成単位とし、この構成単位を排出シュート11付
近から受入シュート9付近まで連続的に配置すること
で、コンベアベルトB1全体を模擬している。また、上
流側の供給ベルトB2については、同様にその搬送面を
表す平板部材w,w,…をベルト長手方向に連続的に配
置するようにしている。
【0045】続いて、ステップS3では、シミュレーシ
ョン制御の制御サイクルのカウント値iが最終値iend
になったかどうか判定し、この判定がNOならば、ステ
ップS4に進んで、供給ベルトB2の搬送面上に所定数
の球状粒子ptclを例えばガウス分布になるように生成配
置する。続いて、ステップS5において、供給ベルトB
2の移動状態を表すように前記平板部材w,w,…の位
置を変更し、続くステップS6において、コンベアベル
トB1の移動状態を表すように、前記平板部材w,w,
…の位置を変更させる。
【0046】そして、ステップS7において、前記供給
ベルトB2及びコンベアベルトB1の移動に伴い搬送さ
れる球状粒子ptclの挙動を、上述の如き個別要素法の適
用によって演算する。すなわち、微小時間Δtの経過す
る間の球状粒子ptcl及び平板部材wに関する運動方程式
と力・変位関係式とを解いて、球状粒子ptclの位置座標
や並進速度、回転速度等を更新する。続くステップS8
では、球状粒子ptcl及び平板部材wの位置座標をディス
プレー装置に出力するとともに、シュート部においてコ
ンベアベルトB1上に落下する球状粒子ptclの位置及び
速度データを荷重分布演算部33に対して出力し(デー
タ出力)、続くステップS9において、制御サイクルの
カウント値iをインクリメントし、しかる後に前記ステ
ップS3にリターンする。
【0047】そうして、前記ステップS3からステップ
S9までの制御手順を繰り返し行うことで、球状粒子pt
clが供給ベルトB2に搬送されて水平方向に移動し、こ
の供給ベルトB2からコンベアベルトB1に向かって落
下し、その後、該コンベアベルトB1のベースベルト1
の搬送面1a上に載置されて略鉛直上方に搬送され、排
出シュート11において、コンベアベルトB1から離れ
て落下するというような、一連の球状粒子ptclの位置座
標や速度を時々刻々と求めることができる。また、所要
時間のシミュレーションを終了して、制御サイクルのカ
ウント値iが最終値iendになれば、ステップS3でY
ESと判定して、制御を終了する。
【0048】前記フローのステップS4が、挙動解析モ
デルM1において、供給ベルトB2上に所定の分布状態
で球状粒子ptcl(搬送物)を生成配置するという搬送物
生成部30の制御手順に対応している。また、ステップ
S5及びステップS6は、それぞれ、前記挙動解析モデ
ルM1における供給ベルトB2及びコンベアベルトB1
の移動状態を、該挙動解析モデルM1に入力されたベル
トB1,B2の幾何データ等に基づいて逐次、記述する
というベルト移動状態記述部31の制御手順に対応して
いる。
【0049】さらに、ステップS7は、前記挙動解析モ
デルM1において、入力された球状粒子ptclの少なくと
も材料データ及び幾何データと、搬送物生成部30によ
り供給ベルトB2上に配置された球状粒子ptclの初期分
布状態と、ベルト移動状態記述部31により記述された
供給ベルトB2及びコンベアベルトB1の移動状態とに
基づいて、該供給ベルトB2から受入シュート9を介し
てコンベアベルトB1上に落下し、さらに排出シュート
11に至るまでの球状粒子ptclの挙動を個別要素法によ
り逐次、記述するという搬送物挙動記述部32の制御手
順に対応している。
【0050】そして、前記ステップS1〜S9の各ステ
ップが、全体として、コンベアベルトB1のシュート部
において横桟22(被衝突部)に衝突する搬送物の挙
動、即ち粒子ptclの位置座標及び速度を、個別要素法の
適用により求める挙動解析ステップに対応している。
【0051】(横桟の応力及び歪み解析)次に、前記の
ようにして得られた搬送物挙動のシミュレーション結果
に基づいて、コンベアベルトB1の横桟22における応
力や歪みの分布状態を有限要素法の適用により解析する
手順を説明する。尚、この実施形態では、コンベアベル
トB1の横桟22に対する落下搬送物からの入力が衝撃
荷重であることから、動的解析を実施して、入力条件と
して搬送物の位置座標及び速度を直接、入力できるよう
にしている。また、コンベアラインLのシュート部にお
ける搬送物の落下速度を考慮して、実際の使用状況に対
応する微小な時間間隔で計算を行えるように、陽解法を
適用している。
【0052】図8は、横桟22の有限要素モデルM2の
一例を示し、このモデルは、横桟22の基本的な構造を
模擬する構造モデルに対して、該横桟22の垂直壁部2
2a及び傾斜壁部22bのゴム部、帆布、補強部材22
c並びに補強ボルト23について、それぞれの寸法形状
や配置を示す幾何データとそれらの材料データとを入力
した上で、3次元固体低減積分要素を用いてモデル化し
たものである。また、搬送物については剛表面を有する
代表粒子Pptcl(図9参照)でモデル化し、その質量、
初速度及び荷重は、上述した個別要素法による解析結果
を剛表面の参照節点に与えるようにしている。
【0053】ここで、前記代表粒子Pptclというのは、
個別要素法の適用に際して用いた粒子ptclのうちのいく
つかを空間的に代表するものであり、所定の空間領域に
含まれている全ての粒子ptclに相当する質量と、該全て
の粒子ptclの位置座標及び速度を平均化した位置座標及
び速度とを有するものである。すなわち、有限要素法解
析の入力条件としては、荷重入力点があまり多くなると
演算量が莫大なものとなり、現実的でないという不具合
があるので、この点を考慮して、個別要素法による解析
結果を十分に反映させながら、尚かつ演算量を低減でき
るように、解析データを簡略化したものである。
【0054】具体的には、図9に一例を示すように、ま
ず、横桟22の上方空間を分割して、互いに略同じ容積
の複数(図例では8つ)の分割空間領域S1〜S8を設
定する。そして、この各領域S1,S2,…毎にその内
部に含まれる全粒子ptcl(図示せず)の質量を加算し
て、1つの代表粒子Pptclの質量とみなし、また、全粒
子ptclの位置座標及び速度を平均化して、これを代表粒
子Pptclの位置座標及び速度とみなすのである。
【0055】このようにした場合、図示の如く、各分割
領域S1,S2,…毎の代表粒子Pptclの大きさ(質
量)が異なるのは、全体的な粒子ptclの位置のばらつき
を反映するものであり、同図において左側に比べて右側
の代表粒子Pptclが大きいのは、搬送物が全体として右
側に偏っているからである。また、該各領域S1,S
2,…内における代表粒子Pptclの位置は、その領域内
の粒子ptclの位置のばらつきを反映している。
【0056】つまり、個別要素法解析により求めた搬送
物の挙動、即ち多数の粒子ptclの位置座標及び速度のデ
ータをそれらの空間的な分布状態に対応付けながら、相
対的に少ない代表粒子Pptclの位置座標及び速度データ
に変換することによって、データの有意性を十分に担保
しながら、有限要素法解析における演算量を減らすこと
ができ、よって、応力解析装置Aの設計支援ツールとし
ての実用性を確保できるのである。
【0057】以下、具体的な解析の手順について説明す
ると、図10に示すように、まず、上述した搬送物の挙
動解析結果、即ち粒子ptclの質量、位置座標及び速度に
ついての時系列のデータを読み込むとともに、横桟22
の上方空間を図9に示すように分割して、分割空間領域
S1,S2,…を設定し、この各領域S1,S2,…毎
に、その内部に含まれる粒子ptclの質量、位置座標及び
速度の前記データに基づいて、代表粒子Pptclの質量、
位置座標及び速度をそれぞれ演算する。そして、その各
代表粒子Pptclの質量、位置座標及び速度に基づいて、
該各代表粒子Pptclから所定時間内に横桟22に対し作
用する衝撃荷重の分布状態を演算する。そして、横桟2
2の垂直壁部22a及び傾斜壁部22bのゴム部、帆布
並びに補強部材22c、補強ボルト23等からなる解析
モデルに対し、前記の衝撃荷重分布データを入力する。
また、該解析モデルに対して該各部の形状や構造に関す
る幾何データと材料データとを入力する。
【0058】続いて、横桟22のゴム部、帆布、補強ボ
ルト等の各部材をそれぞれ有限要素に分割するようにメ
ッシュを生成して、図8に示すような有限要素モデルM
2を構成し、前記衝撃荷重分布データ等に基づいて有限
要素法の適用により、モデルM2の各部に発生している
応力や歪みの分布状態を解析する。そして、その解析結
果、即ち横桟22内の応力及び歪みの分布状態、或いは
補強部材22cや補強ボルト23の応力値、さらには横
桟22の全体としての最大変位量等をそれぞれ出力し
て、解析を終了する。
【0059】前記の如く、個別要素法の適用により求め
た搬送物の挙動に基づいて、この搬送物による横桟22
への衝撃荷重の分布状態を演算する手順が、荷重演算ス
テップに対応している。また、前記荷重演算ステップに
おける演算結果を入力条件として、有限要素法の適用に
より横桟22における応力及び歪みの分布状態を解析す
る手順が、応力解析ステップに対応している。
【0060】(実施形態の作用効果)したがって、上記
した応力解析装置Aによれば、コンベアラインLの設計
段階において、受入シュート9での搬送物の落下状況を
正確にシミュレーションして、この搬送物からの衝撃に
よりコンベアベルトB1上の横桟22に発生する応力及
び歪みの分布状態を高精度に解析することができるの
で、この解析結果を横桟22の構造及び強度設計に適切
に反映させることによって、コンベアベルトB1の信頼
性確保と重量やコストの低減とを高次元で両立すること
ができる。
【0061】すなわち、例えば、コンベアラインLのレ
イアウトや使用条件に応じて、横桟22の特定の部分に
衝撃荷重が集中するような場合、その部分を重点的に補
強するか、或いはレイアウト又は使用条件を変更するこ
とにより、信頼性を確保することができる。また、この
実施形態のように横桟22の左右両端部に補強ボルト2
3を埋め込んだ構造の場合、例えば、受入シュート9の
略中央部に緩衝板を追加して、搬送物を左右両側に偏ら
せるようにするのが好ましいが、本発明の解析方法を用
いれば、該緩衝板の寸法形状や配置場所等も適切に設定
することができる。
【0062】さらに、コンベアラインLのレイアウトと
して、受入シュート9のシュート高さを変更したとき
に、横桟22の補強部材22cに生じる歪みの最大値や
補強ボルト23の応力の最大値をそれぞれ求めて、それ
らがいずれも許容範囲に収まるようなシュート高さを正
確に設定することができる。
【0063】(他の実施形態)尚、本発明は前記実施形
態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態
を包含するものである。すなわち、この実施形態では、
コンベアラインLにおいてばら物搬送物の衝突によって
コンベアベルトB1上の横桟22に生じる応力や歪みの
分布状態を解析するようにしているが、これだけではな
く、例えばベースベルト1や耳桟21等の応力解析を行
うことができるのは勿論、受入シュート9の壁に発生す
る応力や歪みも解析することができる。
【0064】また、そのようにベースベルト1の応力解
析を行って、その解析結果に基づいて間接的にコンベア
ラインLにおけるプーリやローラ、或いはそれらを支持
する構造物に加わる荷重を調べることもできるので、こ
れらの設計ついても適切な支援を行うことができる。
【0065】さらに、前記実施形態では、本発明の解析
手法を桟付コンベアベルトに適用しているが、これに限
らず、本発明は横桟の無いものを含めて、種々のコンベ
アベルトに適用することができ、或いは、チェーンバケ
ット等、ベルトコンベア装置以外の搬送装置に適用する
こともできる。そして、例えばチェーンバケットに適用
する場合には、挙動解析モデルM1において、仮想の平
板部材w,w,…により、供給ベルトB2の代わりにバ
ケットを模擬するようにすればよい。
【0066】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1の発明
に係る搬送物からの衝撃を入力条件とする応力解析方法
によると、搬送装置の被衝突部に衝突する直前の搬送物
の位置座標や速度を個別要素法の適用によって、正確に
求めることができることから、この解析結果に基づいて
被衝突部への衝撃荷重分布を正確に求め、これを入力条
件として、有限要素法の適用により前記被衝突部におけ
る応力ないし歪みの分布状態を高精度に解析することが
できる。このことで、被衝突部やその周辺、ひいては搬
送装置全体の設計に実際の使用状況を精度良く反映させ
て、適切な設計を行えるようになり、これにより、搬送
装置の信頼性確保と重量やコストの低減とを高次元で両
立できる。
【0067】請求項2の発明によると、仮想の粒子や構
成部材からなる挙動解析モデルを用いて、ばら物搬送物
の挙動、即ち粒子の位置座標及び速度を個別要素法によ
り正確に記述することができる。
【0068】請求項4の発明によると、本願発明の応力
解析方法を桟付ベルトコンベアにおける横桟の解析に適
用することで、特に破損しやすい横桟の構造を過不足な
く補強することができ、このことで、本発明の有効性が
一層、高まる。
【0069】請求項5の発明によると、個別要素法によ
り得られた搬送物挙動のデータをそれらの空間的な分布
状態に応じて相対的に少ないデータに変換することで、
そのデータの有意性を十分に担保しながら、有限要素法
解析における演算量を減らすことができ、よって、設計
支援のための実用性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る応力解析装置Aの構成
を示す理論ブロック図である。
【図2】本発明を適用するコンベアラインの一例を示す
概略構成図である。
【図3】桟付コンベアベルトの構成を拡大して示す斜視
図(a)、及び、特に横桟の構造を示す部分断面図(b)であ
る。
【図4】挙動解析モデルにおける仮想のコンベアライン
を示す斜視図である。
【図5】個別要素法における要素粒子の運動を示す模式
図である。
【図6】個別要素法における演算手順の概念図である。
【図7】搬送物の挙動解析の手順を示すフローチャート
図である。
【図8】横桟の有限要素モデルを示す斜視図である。
【図9】横桟の上方に分割空間領域を設定する手順を示
す説明図である。
【図10】横桟の応力解析の手順を表す説明図である。
【符号の説明】
A 応力解析装置 B1 コンベアベルト B2 供給ベルト(上流側搬送手段) L コンベアライン(搬送装置) M1 挙動解析モデル M2 有限要素モデル 1 ベースベルト 1a ベースベルトの搬送面(コンベアベルトの
搬送面) 9 受入シュート 22 横桟(被衝突部) Pptcl 代表粒子 ptcl 球状粒子 S1〜S8 分割空間領域 w,wall 平板部材(構成部材)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ばら物搬送物が衝突する搬送装置の被衝
    突部における応力ないし歪みの分布状態を、該搬送物か
    らの衝撃に基づいて解析する応力解析方法であって、 前記被衝突部に衝突する搬送物の挙動を個別要素法の適
    用により求める挙動解析ステップと、 前記挙動解析ステップにおいて求めた搬送物の挙動に基
    づいて、該搬送物による被衝突部への衝撃荷重の分布状
    態を演算する荷重演算ステップと、 前記荷重演算ステップにおける演算結果を入力条件とし
    て、有限要素法の適用により前記被衝突部における応力
    ないし歪みの分布状態を解析する応力解析ステップとを
    備えることを特徴とする搬送物からの衝撃を入力条件と
    する応力解析方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 挙動解析ステップでは、 搬送物を仮想の粒子により模擬するとともに、搬送装置
    の上流側の搬送手段と、この上流側搬送手段から搬送物
    が投入されるシュートと、このシュートの下方に位置す
    る被衝突部とを、それぞれの配置を含めて仮想の構成部
    材により模擬する挙動解析モデルを用意し、 前記挙動解析モデルに対して、少なくとも前記搬送物、
    上流側搬送手段、シュート及び被衝突部についての幾何
    データと材料データとをそれぞれ入力するとともに、該
    上流側搬送手段に供給する前記粒子の位置座標及び速度
    に関する初期条件を入力し、 前記挙動解析モデルにおいて上流側搬送手段の作動状態
    を表すように構成部材を動作させ、これにより搬送され
    てシュートに投入される粒子の位置座標及び速度を前記
    初期条件に基づいて逐次、記述することを特徴とする搬
    送物からの衝撃を入力条件とする応力解析方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 応力解析ステップでは、被衝突部の構造を模擬する有限
    要素モデルを用意し、該有限要素モデルに対して幾何デ
    ータ及び材料データをそれぞれ入力するとともに、荷重
    演算ステップにおいて演算した衝撃荷重分布データを入
    力して、該被衝突部における応力ないし歪みの分布状態
    を解析することを特徴とする搬送装置の応力解析方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 被衝突部は、コンベアベルト上の搬送面であって、該搬
    送面には搬送物を係止するための横桟が設けられてお
    り、 応力解析ステップでは、少なくとも前記横桟について有
    限要素モデルを用いて応力ないし歪みの分布状態を解析
    することを特徴とする搬送物からの衝撃を入力条件とす
    る応力解析方法。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれか1つにおいて、 荷重演算ステップでは、 被衝突部の上方空間を分割して、複数の分割空間領域を
    設定するとともに、 挙動解析ステップにおいて求めた粒子の位置座標及び速
    度に基づいて、前記各領域毎にその内部に含まれる粒子
    の質量を加算して1つの代表粒子の質量とみなし、かつ
    該領域の内部に含まれる粒子の位置座標及び速度をそれ
    ぞれ平均化して、該代表粒子の位置座標及び速度とみな
    し、 前記領域毎の代表粒子の質量、位置座標及び速度に基づ
    いて、被衝突部に対する衝撃荷重の分布データを演算す
    ることを特徴とするベルト搬送物からの衝撃を入力条件
    とする応力解析方法。
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