JP2002220286A - 成形体の分散媒除去方法 - Google Patents

成形体の分散媒除去方法

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JP2002220286A
JP2002220286A JP2001009859A JP2001009859A JP2002220286A JP 2002220286 A JP2002220286 A JP 2002220286A JP 2001009859 A JP2001009859 A JP 2001009859A JP 2001009859 A JP2001009859 A JP 2001009859A JP 2002220286 A JP2002220286 A JP 2002220286A
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dispersion medium
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dispersant
molded
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Toshiyuki Koyama
利幸 小山
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Taiheiyo Cement Corp
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Taiheiyo Cement Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラリ中の分散媒を含んだまま固化させた成
形体から変形や亀裂を生じさせることなく、乾燥した成
形体を得る方法を提供する。 【解決手段】 分散媒とセラミックス粉末あるいは金属
粉末のうち少なくとも一方と成形用バインダおよび成形
バインダとして寄与しない実質的に非極性有機化合物を
含むスラリを、分散媒を除去せずに固化させて得た成形
体を型枠から取り外して凍結させた後、減圧することに
より成形体の分散媒を除去して乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形体の分散媒除
去方に関するものであり、さらに詳しくは、成形体の凍
結乾燥方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゲルキャスティングは、セラミックスや
金属などの目的とする粉末を成形用バインダと共に分散
媒中に投じて調整したスラリを、分散媒を吸収しないで
多様な形状の製品をニアネットシェイプで作製すること
が可能である。例えば、大型板状の製品を作製する場
合、従来のCIP成形では塊状の成形体とした後に、これ
から切り出すために原料歩留まりが極めて低くなる。ま
た、テープキャスティング成形ではある程度の厚みのあ
る成形体を作製する場合には、多数のシートを積層熱圧
着する必要がある。更に、押出し成形では装置が極めて
大型化する上に、歪みが残留する問題がある。これらに
対して、ゲルキャスティングでは原料を無駄にすること
無く、容易に厚みのある板状成形体を得ることが可能で
ある。しかも、成形体内部に残留応力を残さない利点が
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スラリ
中の分散媒を含んだまま固化するために、成形体中には
体積で50%前後の多量の分散媒が含まれるので、乾燥収
縮が大きく、変形も生じ易い。このため乾燥工程では一
般に、温度および湿度を管理して変形や亀裂の発生を抑
制するが乾燥工程に長時間を要する問題がある。しかも
大型成形品では自重によって接地面の摩擦力が大きく、
また、ある程度乾燥が進行するまでは強度や硬度が十分
ではないために、乾燥収縮に際しては接地面が引き摺ら
れて変形を引き起こす問題もある。加えて、そうした大
型品では成形体の表面・周辺部と内部とで乾燥の進行度
に差が生じ易いために、変形のみならず粗大亀裂を生ず
る問題があった。
【0004】これに対し、対象物を冷凍庫内で凍結させ
た後、減圧して凍結された分散媒を昇華させて除去する
凍結乾燥方法が知られているが、冷気と直接接触する成
形体表面は水分が凍結して体積膨張するのに対して、冷
気と直接接触しない成形体内部の凍結が遅れるために、
両者間において歪みが生ずる。更に成形体を液体窒素中
に浸漬して冷却した場合には、更に表面部が急激に冷却
されるために成形体全体に粗大亀裂を生じるという問題
があった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、スラリ中の分散媒を含んだまま固化させた成形体か
ら変形や亀裂を生じさせることなく、乾燥した成形体を
得る方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的は、分散媒
とセラミックス粉末あるいは金属粉末のうち少なくとも
一方と成形用バインダおよび成形バインダとして寄与し
ない実質的に非極性有機化合物を含むスラリを、分散媒
を除去せずに固化させて得た成形体を型枠から取り外し
て凍結させた後、減圧することを特徴とする成形体の分
散媒の除去方法によって達成される。また、分散媒が水
であり、成形バインダとして寄与しない実質的に非極性
有機化合物が、多糖類、ポリエン、多価アルコール、ア
ルコール、ポリエーテル、エーテル、ポリペプチド、オ
リゴペプチド、アミノ酸から選ばれた一種以上であり、
かつ前記非極性有機化合物を分散媒100重量部に対し
て0.1〜30重量部の割合で用いることを特徴とする
成形体の分散媒除去方法によって達成される。さらに、
成形体を凍結する時に連孔多孔体上に成形体を設置する
ことを特徴とする成形体の分散媒除去方法によって達成
される。
【0007】
【発明の実施の形態】即ち、本発明においては、 原料
粉末と分散媒および成形バインダとして寄与しない実質
的に非極性有機化合物を含む原料組成物を成形用バイン
ダに外的刺激を与えて成形して得た成形体を凍結させた
後、減圧して凍結した分散媒を昇華させて成形体中から
除去することによりセラミックス成形体を乾燥してい
る。この方法によれば、分散媒の結晶が粗大に成長せず
に分散媒が凍結されるので、氷結晶周囲の組織にダメー
ジを与えることもなく、成形体の破壊を防げる。成形用
型枠から脱型した成形体は、連孔多孔体上に設置するこ
とで凍結時に周囲と接着することを防ぐことが可能とな
る。次に、成形体を凍結状態を保ったまま減圧すること
で、凍結した分散溶が昇華により成形体中から除去され
るが、その間、凍結状態の成形体は形状を保持したまま
であるために変形を防ぐことが出来る。
【0008】さて、本発明における原料組成物は、セラ
ミックスや金属を原料粉末として、これに分散媒と成形
用バインダおよび成形バインダとして寄与しない実質的
に非極性有機化合物を配合してなる。セラミックスとし
ては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライ
ト、コージェライト、チタン酸アルミニウムなどの酸化
物、炭素珪素、炭化ホウ素、窒化珪素、窒化ホウ素、窒
化アルミニウム、ホウ化ジルコニウム、サイアロンなど
の非酸化物が挙げられ、金属としては、アルミニウム、
マグネシウム、ステンレスなどが挙げられる。
【0009】分散媒としては、水の他、ベンゼン、キシ
レンなどの有機溶剤があげられるが、極度に凝固点の低
いものは凍結が困難となり、一方、極度に沸点の高いも
のは減圧乾燥が困難となるため好ましくない。成形用バ
インダーとしては、ユリア-メラミン樹脂、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールなどの合成
高分子およびその原料、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、デンプン、コンスターチ、カラギナ
ンなどの天然高分子が挙げられる。合成高分子では熱や
紫外線によって単量体が重合したり、高次構造が変化す
ることによって、また、天然高分子では多くは高次構造
が変化することによって形成される構造中に分散媒を取
込むことが可能となり、スラリをゲル化する。天然高分
子には水酸基が多数存在するために、スラリの分散媒と
して水を用いた場合には、比較的少量の添加でゲル化が
可能となる。合成高分子には一般的に水酸基が少ない
が、カルボキシル基が多数存在するアクリル樹脂など一
部のものについては高い含水ゲル化能力を有するので、
用途に応じて使用することが可能である。特に肉薄の大
型形状品では変形を防ぐために、強度の向上に有効な合
成高分子が成形体中に含まれることが望ましく、これに
よって成形型枠脱型後の成形体変形を抑制することが可
能となり、柔軟な多孔質上に載せて凍結させることが可
能となる。
【0010】成形バインダとして寄与しない実質的に非
極性有機化合物として、多糖類、ポリエン、多価アルコ
ール、アルコール、ポリエーテル、エーテル、ポリペプ
チド、オリゴペプチド、アミノ酸から選ばれた一種以上
が用いうる。多糖としてはグリコーゲン、ペクチン、蔗
糖、トレハロースなど、ポリエンとしてはトコフェノー
ル、カロテンなど、多価アルコールとしてはエチレング
リコールなど、アルコールとしてはイソプロピルアルコ
ール、オクタノールなど、ポリエーテルとしてはポリエ
チレングリコールなど、エーテルとしてはメチルエチル
エーテルなど、ポリぺプチドとしてはフィブロイン、ポ
リグルタミン酸など、アミノ酸としてはイノシン酸、グ
ルタミン酸などが挙げられる。詳細な理由は不明である
が、これらが分散媒である水と共存することで氷結晶の
成長を抑制することができる。これらは分散媒100重
量部に対して0.1〜30重量部用いることで効果が得
られる。これよりも添加量が少ないと効果が十分に得ら
れず、また、これよりも多量の場合には凝固点降下によ
り分散媒を凍結することが困難になるほか、スラリの粘
度が増大して取扱いが困難となる。
【0011】上記原料組成物は、ボールミル等で十分に
混合され、分散媒を吸収しない型枠内で、熱や紫外線な
どの外的刺激によって成形用バインダの状態や性質を変
化させることで所望形状に成形される。こうして得られ
た成形体は、分散媒の凝固点以下に冷却される。この冷
却を凝固点前後の冷却速度30K/hr〜120K/hr、凝固
時間1〜30minで行なうことが望ましい。冷却速度
がこれよりも小さい場合や凝固時間がこれよりも長い場
合には、分散媒の結晶が成長して粗大になって微細な亀
裂を生じさせ、乾燥体に粗大な亀裂を生じさせ易くな
る。これは結晶核生成温度よりも結晶成長温度が高温域
にあるためであり、速やかに冷却して結晶核生成温度に
到達できれば、多数の結晶核が生成するので、各結晶の
体積は小さくなるが、冷却が緩慢であれば結晶成長温度
域を時間を掛けて通過するために、その間に少ない結晶
核から粗大な結晶が成長し、成形体組織を破壊する。一
方、上記範囲よりも冷却速度が大きい場合や凝固時間が
短い場合には、成形体の表面と内部とで凍結進行状態の
差が大きくなるために粗大亀裂が生じ易くなり、凍結時
に破壊することもある。大型品の場合は、この凍結に先
立って凝固点以上に予冷しておくことは、成形体内部の
温度差を小さくし、且つ、短時間に凍結させることが可
能となる利点があるので特に大型品では好ましい。
【0012】冷凍結時の雰囲気冷媒にはガス状のものを
用いることが好ましく、そうしたガス状冷媒としては、
フロンガス、炭酸ガス、アルゴンガス、窒素ガスや空気
など特に制限はない。また、成形体を変質させない限り
においては液状冷媒も用いることは可能であり、ジエチ
レングリコールなどの不凍液を含んだ水やジクロロエタ
ン、フロン等のハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素の他、シリコーンオイル等が挙げ
られ、これら液状冷媒中では浮力による成形体の変形抑
制効果も期待できる。何れも雰囲気保持温度を−30〜
−15℃の温度範囲内に設定することが好ましい。雰囲
気保持温度が−30℃以下では、冷却時の成形体内部と
表面とで温度差が大きくなり亀裂や破壊が発生し易くな
る。逆に、雰囲気保持温度が−15℃以上では、凍結に
時間を要することから分散媒の結晶が粗大化して微細な
亀裂の原因となる。
【0013】凍結時には連孔多孔体上に成形体を設置す
ることが望ましい。ここで連孔多孔体とは互いの空孔が
連結した多孔体であり、素材は樹脂、木材、金属など、
特に制限されるものではない。こうした連孔多孔体を敷
いておくことで、雰囲気中や成形体中に由来する成形体
表面の氷皮膜などによって、凍結成形体が凍結時に用い
た台に接着することを防ぐためである。ゲルキャスティ
ングで用いる型枠は分散媒を吸収しない素材であること
から、これを取り外さずに凍結させると毛管現象によ
り、成形体と型枠の僅かな空間を水や分散媒の結晶が埋
めてしまい、脱型が困難になる問題がある。従って、特
に肉薄の大型品について凍結までの変形を防ぐために支
持体を必要とする場合には、所望形状に加工した上記連
孔多孔体に接触させて凍結させることが有効である。
【00014】成形体の凍結完了後、凍結した分散媒を
減圧して昇華させ、成形体中から除去することにより乾
燥される。乾燥工程は通常、常温で行われるが、十分に
減圧して分散媒が溶解しないようにしておけば、加熱に
より乾燥を促進することも可能である。乾燥に要する時
間は条件にもよるが、1Torr付近の減圧下、室温におい
て12〜20hrを目安として9割あるいはそれ以上の分
散媒を除去することが可能であり、また、その間は分散
媒の凍結状態が保たれるので変形の心配はない。
【0015】以下に、実施例および比較例を示すが、実
施の形態は下記記載例に制限されるものではない。 (実施例1)セラミックス粉末として部分安定化ジルコ
ニア粉末100重量部(平均粒径0.8μm)をアニオン系分散
剤0.1重量部、成形用バインダ(アクリル系)10重量部、
非極性有機物として蔗糖1重量部と共にイオン交換水30
重量部に分散させた。これをボールミルにて混合し、均
一なスラリとした。これを100×150×15mmのテフロン製
型枠内に設置し、上記スラリを注型した。スラリが乾燥
しないように蓋で覆い、80℃の高温槽で1hr保持するこ
とでスラリを固化させた。取出した固化体を成形型枠か
ら取出して、ポリウレタン製多孔体に載せ、−25℃に
設定した冷凍庫内に3hr静置して凍結させた。次いで、
凍結成形体を真空チャンバに移し、これを1Torr以下に
減圧して、室温で一晩保持した。これにより97%の分
散媒が除去された、亀裂などの欠陥の無い乾燥体を得
た。
【0016】(比較例1)実施例1と同様にして固化体
を作製した。固化体を型枠に入れたまま、−25℃に設
定した冷凍庫内に3hr静置して凍結させたところ、凍結
成形体と成形型枠が固着したので蓋を樹脂ハンマーで叩
いて外し、その状態で真空チャンバに移して、1Torr以
下に60h保持した。これにより自然に型枠と分離し、
92%の分散媒が除去された乾燥体を得たが、その表面
に微細な亀裂が生じていた。
【0017】(比較例2)蔗糖を加えないこと以外は実
施例1と同様にして固化体を作製した。固化体を型枠か
ら取出し、−10℃に設定した冷凍庫内に5hr静置して
凍結させ、真空チャンバに移して、1Torr以下に一晩保
持した。これにより98%の分散媒が除去された乾燥体
を得たが、表面に多数の亀裂が生じた。
【0018】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の凍結乾燥方
法によれば、分散媒の結晶が粗大に成長せずに分散媒が
凍結されるので、結晶周囲の組織にダメージを与えるこ
とがない。また、成形用型枠から脱型した成形体は、連
孔多孔体上に設置することで凍結時に周囲と接着するこ
とを防ぐことが可能となり、成形体を凍結状態を保った
まま減圧することで凍結した分散溶が昇華により除去さ
れる間、凍結状態の成形体は形状を保持したままである
ために変形を防ぐことが出来るという効果がある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒とセラミックス粉末あるいは金属
    粉末のうち少なくとも一方と成形用バインダおよび成形
    バインダとして寄与しない実質的に非極性有機化合物を
    含むスラリを、分散媒を除去せずに固化させて得た成形
    体を型枠から取り外して凍結させた後、減圧することを
    特徴とする成形体の分散媒の除去方法。
  2. 【請求項2】 分散媒が水であり、成形バインダとして
    寄与しない実質的に非極性有機化合物が、多糖類、ポリ
    エン、多価アルコール、アルコール、ポリエーテル、エ
    ーテル、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸から
    選ばれた一種以上であり、かつ前記非極性有機化合物を
    分散媒100重量部に対して0.1〜30重量部の割合
    で用いることを特徴とする請求項1記載の成形体の分散
    媒除去方法。
  3. 【請求項3】 成形体を凍結する時に連孔多孔体上に成
    形体を設置することを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の成形体の分散媒除去方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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