JP2002201511A - アーク対応難燃衣 - Google Patents

アーク対応難燃衣

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JP2002201511A
JP2002201511A JP2001247292A JP2001247292A JP2002201511A JP 2002201511 A JP2002201511 A JP 2002201511A JP 2001247292 A JP2001247292 A JP 2001247292A JP 2001247292 A JP2001247292 A JP 2001247292A JP 2002201511 A JP2002201511 A JP 2002201511A
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insulating
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Shigechika Watanabe
茂義 渡邊
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アーク源の近くで作業を行う高圧電気工事業
者等の作業者を、アークから保護する。また、従来無防
備であった作業者の顔面、後頭部及び頸部をアーク熱か
ら保護する。難燃衣を絶縁衣に対し分離可能とする。 【解決手段】 アラミド等難燃繊維製布地による難燃層
の表面又は裏面或いは中間に耐火層を介在させて難燃衣
を構成する通常の絶縁衣の上に重ね着できるようにす
る。また、難燃衣及び絶縁衣を分離可能な形で同時設計
し、必要に応じ両者を接合して使用するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧充電路の活線
作業を行う電気工事作業者を線路短絡により発生するア
ークから保護することができるアーク対応難燃衣に関す
る。また、本発明は、高圧充電路の活線作業を行う電気
工事作業者を線路接触による感電と、線路短絡により発
生するアークから共に保護することができる絶縁衣付の
アーク対応難燃衣に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高度の電力需要を賄うため、無停
電工事が要求され、6600V活線作業が実行されてい
る。具体的には、6600V送配電線の活線作業や、高
圧受配電設備のトランス回りの修理点検保守作業等がこ
れに相当する。
【0003】これら高圧充電路の活線作業にあっては、
労働省告示第144号により電気安全衣の着用が義務づ
けられており、電気安全帽の着用はもとより、JIS−
T8010により1分間2万Vの高電圧に耐える絶縁長
ぐつ、絶縁手袋、絶縁上着の着用が義務づけられてお
り、これら安全衣に関しては年2回の点検で1万Vで1
分間の耐電圧テストが実施されている。
【0004】従来の電気災害防止用の電気安全衣として
の絶縁上着は、例えば塩化ビニールや酢酸ビニール製
で、表生地として厚めのビニール製膜を作り、ビニール
製裏地との中間に多層の薄い塩化ビニール製フィルムを
配置し、絶縁性を図って設計されたものである。また、
最近では、塩化ビニールを焼却処分するとダイオキシン
が発生するので処分困難であることに鑑みて、ポリオレ
フィン系の絶縁衣が研究されている。
【0005】ところで、最近10年間の電気災害に関し
ての統計によると、上記電気安全衣の着用を行っての電
気工事にあっても200件近くの電気災害事故が報告さ
れており、うち40名近くの死亡事故が発生している。
【0006】電気災害は、充電路への直接接触による感
電や電撃傷と、充電路短絡により発生するアークのふか
れや火花(併せてファイアボールと呼ぶ)への接触によ
る直接的火傷と、前記ふかれによる着衣への着火による
間接的火傷とがある。
【0007】従来の電気安全衣としての絶縁上着は、専
ら線路接触による感電事故防止用の絶縁衣として構成さ
れていたため、可燃性であり、上記ファイアボールの発
生に伴う着衣への着火により間接火傷が発生する恐れが
あった。
【0008】また、電気安全帽と絶縁上着との間には、
作業者の後頭部及び頸部(併せて頭部と呼ぶ)が曝露さ
れており、この部分が全く無防備で、この曝露部分に対
して感電及び直接的火傷が発生する恐れがあった。
【0009】さらに、近年、直接的短絡による事故を防
止する手段として長さ2mのスティックと呼ばれる棒状
部材を介して間接活線作業が行なわれているが、この場
合でも作業範囲はアーク発生地点から1m以内に入るの
で、線間短絡が発生すれば当然にアーク被害が発生す
る。また、この場合、器具を使用しての活線作業である
ので、短絡回数は余計に可能性が高くなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記従来技術に鑑みて、高圧充電路の線路短絡により発生
するアークに対して防御できるアーク対応難燃衣を提供
することを目的とする。感電防止の絶縁衣に関しては、
従来のものを援用可能とすると共に、加えて絶縁衣及び
難燃衣の同時設計衣により、分離可能の形のものを提案
する。
【0011】さらに従来、無防備であった作業者の頸部
や後頭部を、高圧充電路の線路短絡により発生するアー
クから保護することのできるタレ形又はドーム形の頭巾
形状のアーク対応難燃衣を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者等は、ファイアボールの特性とこれに対応
できる繊維、布地及びその組合わせ等について鋭意研究
を行った結果、特許請求の範囲に記載の通りのアーク対
応難燃衣を開発した。
【0013】即ち、本発明のアーク対応難燃衣は、高圧
充電路の活線作業を行う電気工事作業者を線路短絡によ
り発生されるアークから保護するためのアーク対応難燃
衣であって、前記高圧充電路に対峙して表面側に位置さ
れる限界酸素指数26以上且つ1平方メートル当たりの
重量160g以上の難燃性布地による難燃層と、前記難
燃層の表面又は裏面或いは中間に位置され、難燃性の柔
軟性樹脂中に耐火性微粉末を混入して成る耐火層と、を
備えたことを特徴とする。
【0014】高圧充電路活線作業を行うための難燃衣と
しては、充電路短絡より発生するファイアボールから作
業者を保護するため、次表1に示す国際電気標準機構
(IEC)61482−2(アーク電流熱被害から作業
者を防護する衣服素材の試験方法)の条件がクリアされ
なければならない。日本工業規格(JIS)は、このI
ECに準拠して近々設定されると考えられる。
【0015】
【表1】 本発明者は、表1に示す基準の最も厳しい条件として、
アーク電流12.5kA、特に試料と電極との距離を2
00mmとするテスト基準を作り、鋭意研究を行って、
この基準をクリアできるアーク対応難燃衣を構成したも
のである。言い換えれば、本発明の難燃衣は、IEC6
1482−2の基準を十分クリアできるのみならず、そ
れ以上に強度の高いファイアボールに対応できる。
【0016】本発明の難燃性布地としては、限界酸素指
数(LOI)26以上が適用可能で、好適には32以上
である。1平方メートル当りの重量(目付)は、160
g以上が適用可能で、好適には200g以上である。こ
れらの条件に適合できる難燃性布地としては、防炎加工
を施した綿プロパンや、アラミド繊維、PBI、PBO
等が挙げられる。これらの繊維のうちアラミド繊維、P
BI、PBOについては、耐アーク特性についは略同等
であると評価できるが、価格的にはアラミド繊維、PB
I、PBOの順で高く、衣服生地としての柔軟性につい
てはアラミド繊維が優れる点、又熱伝導率も低い等の点
からからアラミド繊維が最良である。
【0017】アラミド繊維は、分子結合エネルギーの高
いアミド結合で芳香族環を結んだものであり、構造上対
称性が良く、安全で、融解エントロピーが小さく、分解
温度が既存の有機繊維に対し著しく高く、非常に燃えに
くく、自己消火性を有し、次表2に示すように難燃性に
優れたものである。
【0018】
【表2】 アラミド繊維(20番手、30番手、40番手)製布地
は、表2に示す性質を有し、かつ実用性の条件(柔軟
性、屈曲性、強度、軽量性、加工性、取扱性、耐低温
性、低摩擦音性等)を満足し、本発明の難燃層を構成で
きる。アラミド繊維としては、アラミド35重量パーセ
ント以上の混紡品を含む。
【0019】アラミド繊維製布地には、アークが発生し
たとき、難燃層から絶縁層へ向かう熱流を完全に遮断す
るため、難燃性のシリコーンゴム等の柔軟性樹脂中にシ
リカ、石灰、アッシュ等の耐火性微粉末を混入して成る
耐火層を膠着する。膠着により、難燃層及び耐火層の一
体化が図れて、両者一体の目付が上昇し、これによる熱
流吸収効果も期待できる。
【0020】このために使用できる柔軟性樹脂として
は、シリコーンゴムの他、クロロプレンゴム、フッ素ゴ
ム等の例がある。ゴムは未加流状態、あるいは半加流状
態とし、アーク放射線により、又は表面側難燃層よりの
加熱によって発泡を瞬時的に行うものの、その内部に混
入した耐火性の微粉末により、耐火材として機能し高温
熱流が内部へ侵入するのを略完全に遮断することができ
る。
【0021】柔軟性樹脂中に混入するシリカの量は、耐
火機能の具現のためには大なる程良いが、衣服としての
柔軟性を阻害することなく膠着できる範囲は50%以上
80%以下で、65重量%程度とするのが好ましい。耐
火層の厚みは同様の理由で150μm以上200μm程
度とする。
【0022】柔軟性樹脂中に放射熱を受けて吸熱作用を
示す発泡剤、気化剤や昇華剤を混入することも可能であ
る。かく吸熱剤を混入して吸熱作用を具現すれば、ファ
イアボールの加熱を吸熱し、耐火力を格別高くし、その
内部の温度上昇を格別低く抑えることができる。
【0023】耐火層は、難燃層の表面又は裏面、或いは
中間に位置させることができる。いずれの位置に位置さ
せても、耐火層は難燃層に一体化されるので全体目付は
変化せず、ファイアボールの熱流を燃焼することなく受
け止めることができる。ただし、難燃層に膠着した柔軟
性樹脂に粘りがあり衣服としての仕上げに問題がある場
合には、耐火層を難燃層の裏面又は中間に位置させるこ
とになる。裏面に位置させる場合に同様の問題が有る場
合には裏面に別途裏地を設けることもできる。この場合
の裏地としては、例えば作業者と快適に接触するよう考
慮された断熱層としての難燃性裏地とする。中間に位置
させる場合には、難燃性素材に挟まれたサンドイッチ構
造となる。
【0024】以上の如く構成された難燃衣は、IEC−
61482−2を十分クリアできる。本発明では、この
ようにして構成された難燃衣を、縫製し、頭巾、難燃上
着、ズボン、その他ファイアボールその他の熱流を遮蔽
するための衣類等の製品とすることができる。
【0025】以上の如くして構成される本発明の難燃衣
は、表面に耐火層付難燃層が配置され、難燃層の裏面に
耐火層が配置される場合には耐火層の裏面に断熱層が配
置され、次いで内側に適宜絶縁層、裏地が配置されるの
で、絶縁性は専ら絶縁層で受け持つことができ、表面に
耐アーク性を持たせることができ、高圧充電路の活線作
業を行う作業者を感電、アーク火傷から共に保護するこ
とができる。
【0026】電力中央研究所での耐アーク試験によれ
ば、難燃層の裏面に耐火層を配置した場合、20cm離
れた位置からの12500Aの強烈なアークに対し、難
燃層の表面1部は炭化し黒色化するが、耐火層には穴も
あかず、その内部の絶縁フィルム及び裏地には影響を与
えず、裏地表面の温度も100℃以下(実験値70℃以
下)に抑制されることが実証された。特に耐火層及び絶
縁層の間に断熱層を介在させたものにあっては、絶縁層
表面の検出温度は40℃程度に抑制できた。
【0027】12500Aのアークのファイアボールの
繰返しの実験によれば、ファイアボールはその名の示す
通りボール状の強烈な火炎が衣服に対してぶつかる態様
であり、現状のビニール製絶縁衣は瞬時に溶け、通常繊
維にあっても大きな穴が開いて燃え上がる。ここで、本
発明者が知得したのはファイアボールは即ち強烈な熱流
の玉でもあることである。本発明者は、この熱流の玉を
熱容量のある難燃素材で受けとめて、熱流を耐火層で確
実に遮断して、後は100℃以下の低温熱流をできる限
り絶縁層に移行させないようにすることが必要であるこ
とを知得し、耐アーク特性を合格するには、第1に目付
160以上であること、第2にLOIが26以上の難燃
層を有すること、第3に耐火層を有することを条件とす
る本発明の構成を得たものである。
【0028】従って、本発明の難燃絶縁衣によれば、強
烈なファイアボールを耐火層付難燃層で受け止めて、絶
縁層を保護し、裏地を介して人体に熱流が移行するのを
確実に防止できる。
【0029】頭巾は、電気工事作業者が頭部を覆う形で
着衣できるもので、電気安全帽から後頭部及び頸部にか
けて垂下させ、覆面状に形成したタレ形のものや、電気
安全帽を含めて顔面を残し頭部を覆う形のドーム形のも
の等の例がある。
【0030】難燃上着及びズボンは、通常の絶縁衣を着
用した上で、その上に重ねて着ることにより耐アーク性
及び耐絶縁性のある安全衣とすることができる。
【0031】また、本発明では、通常の絶縁衣と本発明
のアーク対応難燃衣を分離可能な形で同時に一体化して
設計し、両者含めて一つの難燃絶縁衣を構成することが
できる。一体化の方式としては、マジックテープ(登録
商標)や雌雄のドットボタン等の重装のための接合手段
を介して両者を一体的に接合したものと、接合手段なし
で絶縁衣及び難燃衣を夫々別途に制作し、これらを重ね
着させる方式のものとがある。
【0032】本一体化方式の難燃絶縁衣によれば、難燃
衣を必要とするときのみ絶縁衣の上から難燃衣を重ね着
すれば良い。また、絶縁衣が絶縁不良となった場合に
は、絶縁衣のみを交換すればよく、経済的な利点もあ
る。さらに、年2回の点検時、難燃衣を除いた形で絶縁
衣のみの点検を行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を次説明する。図1は、本発明の一実施の
形態に係る難燃衣素材の構成例を示す断面図である。図
示のように、高圧充電路(電極)1A,1Bが短絡する
とアークが発生し、火花2が放射状に飛散すると共に放
射線としてのふかれ3が放散する。通常のアークは、温
度7000℃程度とされるが、6600V高圧充電路の
短絡では、温度2万℃に達する。但し、高圧充電路の短
絡では、遮断器が設けられているので、アーク持続時間
は0.4秒以内に制限される。このとき、火花2及びふ
かれ3を加え合わせた熱流火炎の玉をファイアボールで
あるとする。ファイアボールの威力は絶大で、通常衣類
は瞬時にして燃え上がり炭化してしまう。ビニール製の
フィルムは瞬時にして溶けて燃え上る。
【0034】そこで、本発明の難燃衣4は、高圧充電路
1A,1Bに対峙する表面側に、裏面に65重量%のシ
リカを混入したシリコーンゴム5を膠着したアラミド繊
維製布地6を耐火層付難燃層7として配置する。即ち、
耐火層付難燃層7はアラミド繊維製布地でなる難燃層6
とシリカ混入シリコーンゴム製耐火層5とで構成され
る。
【0035】難燃層6を構成するアラミド繊維製布地と
しては、テイジン(株)のコーネックスCX2940,
CO3942,CX362,CX4310等を用いるこ
とができる。うち耐電圧特性は乾燥状態においてCX2
940が最良であり、耐アーク特性ではCX3942が
最良である。
【0036】耐火層5を構成するシリコーンゴムは、信
越化学(株)製のIFEL601シリーズを用いた。こ
のゴムは、その中に25〜67重量%以上のシリカ及び
適宜の発泡剤を含み、膠着可能のよう液状ゴムとして形
成されている。即ち、膠着のため液状とされ、水分又は
酸素の化合で重合反応し柔軟性のあるゴムフィルムとな
るよう構成されている。又はその内部に混入した揮発剤
の発散により柔軟性のあるゴムフィルムとなるよう構成
されている。フィルム厚みは100μm以上とする。
【0037】耐火層付難燃層7の内側には、難燃衣4
に、衣類としての性能を持たせるため、また裏面の温度
を更に低下させ、絶縁衣8の温度上昇を極力低下させる
ため、ポリアミド等難燃性の薄い布地による断熱層9を
介在させている。
【0038】断熱層9を介在させるとアーク発生に伴い
瞬時に高温化された耐火層付難燃層7の保有熱量が絶縁
衣8に移行するのが阻止され、アーク:12500A、
距離20cmの条件において絶縁衣8が100℃以上に
温度上昇するのを抑制できる。具体的には、断熱層9が
無い場合は絶縁衣8の表面温度を60〜80℃程度とす
ることができ、断熱層9を設けた場合には、絶縁衣8の
表面温度を40℃以下とすることができる。
【0039】以上の構成の難燃衣4は、通常の絶縁衣で
ある絶縁上着やズボンと同一又は類似の形状の難燃上着
又は難燃ズボンとして通常の絶縁衣とは別途に制作し、
販売することにより、アーク対応の難燃衣製品とするこ
とができる。
【0040】このように仕立てられた難燃衣は、通常の
販売されている絶縁衣に対し、適宜重ね着させることで
アーク対応難燃絶縁衣として利用させることができる。
【0041】また、図1に示す難燃衣は、電気安全帽の
内側から後頭部及び頸部に垂下させることにより、難燃
性タレとすることができる。頭部全体を覆うドーム形の
難燃衣とすることもできる。さらに、本発明の難燃衣4
で手袋や長ぐつ表面をカバーすることにより、難燃性の
手袋や長ぐつを構成することもできる。この他、各種難
燃グッズを制作することができる。
【0042】図2は、図1で示した難燃衣4と同様の難
燃衣4を、図1で示したと同様の絶縁衣8に合わせて同
時設計し、分散可能な形で、全体で難燃絶縁衣10を構
成した例を示す断面図である。本例の難燃衣4及び絶縁
衣は、図1で示したものと全く同一である場合と、ドッ
トボタン等による接合手段11、12が追加される場合
の2例がある。接合手段11、12は、例えば難燃衣4
側の接合手段を雌型のドットボタン11で、絶縁衣8側
の接合手段を同じく雄型のドットボタン12で構成す
る。
【0043】本例の絶縁衣8は、表面及び裏面に、例え
ばポリエチレン製の表地13、裏地14を有し、その間
に複数のポリエチレン製フィルム15を介在させて成
る。このように構成される絶縁衣8の耐絶縁性は、次表
3に示す規格電圧に耐え、高圧充電路の活線作業を行う
電気工事作業者を線路接触による感電事故から防止する
ことができる。
【0044】
【表3】 ポリエチレンは、それ自体高度の絶縁性を有する。柔軟
性、難燃性、加工性を改善するために、5〜20重量%
程度のEVA、EMNA等改善剤を加えるのは構わな
い。絶縁性を保障するためには、表面に凹凸を作らず、
平滑に仕上げられなければならない。加えて、フィルム
面への汚れの付着は絶対禁物である。裏地14には、ア
ラミド繊維製布地の他、難燃処理を行った綿布、化繊、
皮布等を用いることができる。
【0045】以上により、絶縁衣8に合わせて難燃衣4
が分離可能な形で一体構成され、両者合わせて一つの難
燃絶縁衣10が構成される。
【0046】本例の難燃絶縁衣10は、高圧充電路の活
線作業を行う電気工事作業者を感電事故及びアーク火傷
から共に防止するための安全衣として利用される。具体
的には、難燃絶縁上着又はズボンの例がある。また、難
燃絶縁頭巾として制作される。
【0047】本例の難燃絶縁衣10は、難燃衣4及び絶
縁衣8が分離可能な形で一体構成されるので、必要に応
じ難燃衣4を着脱できる。例えば耐絶縁性の点検では難
燃衣4を外した状態で点検できる。また、絶縁不良を生
じた難燃絶縁衣10に対しては絶縁衣8のみを交換する
ことで対応できる。
【0048】図3は、難燃又は難燃絶縁形の頭巾の一例
として、難燃衣4又は難燃絶縁衣10を用いて制作した
ドーム形の頭部プロテクタ16の構成例を示す正面図で
ある。
【0049】図示のように本例の頭部プロテクタ16
は、電気安全帽を着用した作業者の頭部を顔面を残して
覆う覆面部17と、その下方に位置し、肩部にかけて垂
下される裾部18と、前記顔面を覆う透明窓19とで構
成されている。電気安全帽は、一体的に制作することも
できる。
【0050】透明窓19は、耐熱性の高いポリカーボネ
ート等を用いることができる。透明窓19の裏面は、作
業者の呼吸によって曇らないよう、界面活性剤等を含む
曇り止めを施している。
【0051】覆面部17及び裾部18の素材は、図1に
示した難燃衣4又は図2に示した難燃絶縁衣10で構成
される。ただし、難燃絶縁衣10で構成する場合、接合
手段11、12の使用なしで重ね着させることは難しい
ので、後立部及び頭部について必要な部分に絞って絶縁
衣8を縫製し、これを難燃衣4で制作した頭部プロテク
タ16の内側に接合手段11、12を介して内張りす
る。
【0052】以上の如く構成された頭部プロテクタ16
は、高圧充電路の活線作業は勿論のこと、火花2を含め
たアークが発生する溶接作業や高温電気炉の点検作業等
に用いることができる。作業者は頭部プロテクタ16を
頭部から被り頭部をアークから保護することができる。
ただし、高圧充電路以外の作業で感電の恐れが無い場合
には、絶縁衣8を省略した形のもの、或いはこれを取り
外した形のものを使用することができる。また、高圧充
電路の作業であっても、今後規定される規格において絶
縁衣不要とされる部分では、絶縁衣8を省略した形のも
の、或はこれを取外した形のものを使用することができ
る。
【0053】図4は、難燃衣4又は難燃絶縁衣10を用
いて制作した作業上着20の正面図である。図示のよう
に、本例の上着20は、図1に示す難燃衣4又は図2に
示す難燃絶縁衣10を用いて胴部21及び袖部22並び
に首部23を有する衣服として仕立てられる。見かけ上
は、通常の上着と同様である。腹部の合わせ目には、合
わせ部分を接合するためにマジックテープが用いられて
いる。
【0054】上着20を、図1に示す難燃衣4を用いて
制作した場合には、通常の絶縁上着(図示せず)の上に
重ねて着る。図2に示す難燃絶縁衣10を用いて制作し
た場合には、必要に応じ、絶縁衣8又は難燃衣4を使い
分け、単独で、又は重ね着する。
【0055】図5は、以上の如く構成された難燃衣4又
は難燃絶縁衣10の素材を、電気安全衣に仕立て作業者
24に着用させた状態を示す正面図である。図示のよう
に、作業者24は、電気安全衣として、ゴム製長ぐつ2
5と、ゴム製手袋26と、難燃絶縁上着20と、難燃絶
縁ズボン27と、電気安全帽内蔵の頭部プロテクタ16
とを身につけている。頭部プロテクタ16は、接合手段
11、12を介して絶縁衣8を内張りしている。ゴム製
長ぐつ25及びゴム製手袋26の表面には図1で示した
難燃衣4を外張りし耐アーク性を持たせている。
【0056】図5に示す難燃絶縁衣4、8製の安全衣の
装着により、作業者24は、高圧充電路の活線作業にお
いて、線路接触による感電事故から保護されると共に、
線路短絡により発生したアークから保護される。即ち、
アーク発生に伴い発生するファイアボールを難燃衣4で
受止めて、絶縁衣8表面の温度が40℃以上に昇温する
のが防止される。作業者24は直接的及び間接的アーク
火傷から共に保護される。ゴム製絶縁長ぐつ25は、底
部を除いた表面を難燃衣4で覆っている。ゴム製絶縁手
袋26については、作業性を悪化することのないよう手
の内側部分をを除いて難燃衣4で外張りしている。
【0057】図5に示した作業上着20及び作業ズボン
27は、図2で示した難燃絶縁衣10を用いた例で示し
たが、通常の絶縁衣8を着用させた上で、その上に図1
で示した難燃衣4を重ね着するようにしても良い。この
場合のアーク又は感電に関する作用、効果は同様であ
る。
【0058】以上示した実施の形態では、高圧充電路の
短絡により発生するアークから電気工事作業者を保護す
ることを示したが、本発明はアーク発生源が他のもので
あっても同様に適用できる。即ち、アーク発生源が溶接
アークであっても同様である。また、アークでなくとも
火花であっても同様である。本発明が目的とする高圧充
電路の短絡により発生するアークは、火花2を伴い、こ
れら類似のアーク源の内でも最もレベルの高いものであ
る。従って、高圧充電路の短絡により発生するアークを
対象とする本発明によれば、各種アーク類似の火花や熱
流源から各種作業者を保護できる。
【0059】本発明は、上記実施の形態に限定されるも
のではなく、適宜の設計的変更を行うことにより、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で各種変形して実施できる。
【0060】
【発明の効果】以上の通り、高圧充電路の活線作業を行
う電気工事作業者を線路短絡により発生されるアークか
ら保護するためのアーク対応難燃衣であって、前記高圧
充電路に対峙して表面側に位置される限界酸素指数26
以上且つ1平方メートル当たりの重量160g以上の難
燃性布地による難燃層と、前記難燃層の表面又は裏面或
いは中間に位置され、難燃性の柔軟性樹脂中に耐火性微
粉末を混入して成る耐火層と、を備えたことを特徴とす
るアーク対応難燃衣であるので、電気工事作業者又は類
似の作業者を線路短絡により発生するアーク又はアーク
類似の熱流源から確実に保護することができる。
【0061】また、本発明のアーク対応難燃衣は、安全
規定電圧に十分耐える絶縁層を備えて別途同時設計によ
り制作された絶縁衣の外側に分離可能の態様で製作さ
れ、両者を含めて難燃絶縁衣が構成されることを特徴と
するアーク対応難燃衣であるので、適宜接合手段を介し
て適時適切に絶縁衣の上に難燃衣を重ね着して利用する
ことができる。絶縁衣に対し難燃衣は分離可能であるの
で、年2回の耐絶縁点検作業への対応が容易である。ま
た、絶縁衣不要の高圧充電路以外の作業に対しては難燃
衣のみの着用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るアーク対応難燃衣の
構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る難燃絶縁衣の構成を
示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る頭部プロテクタの構
成例を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る難燃上着又は難燃絶
縁上着を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る難燃衣又は難燃絶縁
衣を身につけた状態を示す作業者の正面図である。
【符号の説明】
1A,1B 高圧充電路(電極) 2 火花 3 ふかれ 4 難燃衣 5 耐火層 6 難燃層 7 耐火層付難燃層 8 絶縁衣 9 断熱層 10 難燃絶縁衣 11 雌型接合手段 12 雄型接合手段 13 絶縁衣の表地 14 絶縁衣の裏地 15 ポリエチレン製フィルム 16 頭部プロテクタ 17 覆面部 18 裾部 19 透明窓 20 作業上着 21 胴部 22 袖部 23 首部 24 作業者 25 絶縁長ぐつ 26 絶縁手袋 27 作業ズボン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧充電路の活線作業を行う電気工事作
    業者を線路短絡により発生されるアークから保護するた
    めのアーク対応難燃衣であって、 前記高圧充電路に対峙して表面側に位置される限界酸素
    指数26以上且つ1平方メートル当たりの重量160g
    以上の難燃性布地による難燃層と、 前記難燃層の表面又は裏面或いは中間に位置され、難燃
    性の柔軟性樹脂中に耐火性微粉末を混入して成る耐火層
    と、を備えたことを特徴とするアーク対応難燃衣。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のアーク対応難燃衣は、
    安全規定電圧に十分耐える絶縁層を備えて別途同時設計
    により制作された絶縁衣の外側に分離可能の態様で制作
    され、両者を含めて難燃絶縁衣が構成されることを特徴
    とするアーク対応難燃衣。
JP2001247292A 2000-10-30 2001-08-16 アーク対応難燃衣 Withdrawn JP2002201511A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100629459B1 (ko) 2004-07-09 2006-09-28 주식회사 파이로 방열복의 피복 적층구조

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KR100629459B1 (ko) 2004-07-09 2006-09-28 주식회사 파이로 방열복의 피복 적층구조

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