JP2002195135A - 燃料噴射装置の作動シミュレーション装置および作動シミュレーション方法 - Google Patents

燃料噴射装置の作動シミュレーション装置および作動シミュレーション方法

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JP2002195135A JP2000398195A JP2000398195A JP2002195135A JP 2002195135 A JP2002195135 A JP 2002195135A JP 2000398195 A JP2000398195 A JP 2000398195A JP 2000398195 A JP2000398195 A JP 2000398195A JP 2002195135 A JP2002195135 A JP 2002195135A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精度の高いコモンレールシステムの燃料噴射
装置の作動シミュレーション装置、作動シミュレーショ
ン方法および作動シミュレーションプログラムが記録さ
れた記録媒体を提供する。 【解決手段】 所定の演算タイミングで電磁界解析部2
1では電磁弁部に配設されている電磁アクチュエータに
発生する渦電流の影響を含めて電磁界特性が算出され
る。算出された電磁界特性は油圧動弁解析部22へ渡さ
れる。油圧動弁解析部22では、インジェクタの設計デ
ータおよび電磁界特性に基づいてインジェクタのバルブ
ニードルの挙動、電磁弁部の弁部材の挙動ならびに噴孔
から噴射される燃料の噴射率などの油圧動弁特性が算出
される。算出された油圧動弁特性は電磁界解析部21に
渡され、次の演算タイミングにおける電磁界解析に用い
られる。すなわち、電磁界解析と油圧動弁解析とは、相
互に各演算結果を用いて同時に実行される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コモンレール式燃
料噴射システムに用いられる燃料噴射装置(以下、燃料
噴射装置を「インジェクタ」という。)の作動特性を算
出する作動シミュレーション装置、作動シミュレーショ
ン方法および作動シミュレーションプログラムが記録さ
れたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高圧の燃料をコモンレールに
蓄えインジェクタへ一定圧の高圧の燃料を供給するコモ
ンレール式燃料噴射システムが採用されている。コモン
レール式燃料噴射システムは、従来の例えば列型の燃料
噴射システムあるいはVE型の燃料噴射システムと比較
して、インジェクタから噴射される燃料の噴射パターン
の制御自由度が高い。例えば、インジェクタに配設され
ている電磁弁の駆動を制御することにより、噴射パター
ンを容易に変更することができる。そこで、噴射パター
ンの制御自由度の高さを利用して、内燃機関(以下、内
燃機関を「エンジン」という。)の運転状況に合わせた
本来の噴射であるメイン噴射に加え、メイン噴射前のパ
イロット噴射ならびにメイン噴射後のアフター噴射の採
用が開始されつつある。
【0003】このパイロット噴射およびアフター噴射で
は、通常1mm3/st〜5mm3/stの極めて少量の
燃料が短時間に噴射される。少量の燃料を短時間に精度
よく噴射するためには、0.2ms〜0.3ms程度の
極めて短時間で開弁または閉弁する電磁弁を有するイン
ジェクタを用いる必要がある。
【0004】一方、インジェクタによる燃料の噴射特性
は、エンジンからの排出ガスへ与える影響が大きい。そ
のため、電磁弁を精密に制御することで噴射特性を制御
する必要がある。したがって、電磁弁の影響を含むイン
ジェクタ全体の作動特性を解析する必要がある。しか
し、コモンレール式燃料噴射システムでは構成が複雑で
あるため、インジェクタの作動特性の解析に多くのファ
クターを導入する必要がある。また、構成の複雑さゆえ
にインジェクタを実際に作動させてその特性を解析する
のは困難である。そこで、コンピュータを用いたシミュ
レーションによりコモンレールシステムの噴射特性を解
析する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のシミュレーショ
ンでは、まず電磁弁に配設されている電磁アクチュエー
タに発生する電磁力を静電磁界解析により算出し、次に
この静電磁界解析の結果を用いて電磁弁の挙動、バルブ
ニードルの挙動あるいは噴射率などを求めている。すな
わち、静電磁界解析を実施するシミュレータと油圧動弁
解析を実施するシミュレータとは、別構成である。
【0006】しかしながら、電磁アクチュエータに発生
する電磁力を静電磁界解析を用いて実施する場合、この
電磁アクチュエータに発生する過電流の影響は考慮され
ていない。そのため、電磁弁の挙動など油圧動弁特性の
算出において、特に電流立ち上がり時における噴射率を
精度よく算出することができない。
【0007】特に、近年では上述のようにメイン噴射の
前後にパイロット噴射およびアフター噴射の実施が開始
されつつあるため、このパイロット噴射およびアフター
噴射の噴射特性を精度よく算出する必要がある。パイロ
ット噴射およびアフター噴射は、極めて短時間に少量の
燃料を噴射するため、その噴射特性は燃料の噴射率の立
ち上がり時の特性に依存している。すなわち、パイロッ
ト噴射およびアフター噴射の噴射特性を精度よく算出す
るためには、噴射率の立ち上がり時に対応する電磁弁の
立ち上がり特性を精度よく計算する必要がある。
【0008】そこで、本発明の目的は、精度の高い、特
に噴射率の立ち上がり時の精度が高いコモンレールシス
テムの燃料噴射装置の作動シミュレーション装置、作動
シミュレーション方法および作動シミュレーションプロ
グラムが記録された記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
作動シミュレーション装置、請求項2記載の作動シミュ
レーション方法、または請求項3記載の作動シミュレー
ションプログラムが記録された記録媒体によると、電磁
界特性を電磁弁に配設されている電磁アクチュエータに
発生する渦電流の影響を含めて推算、すなわち動電磁界
解析により推算している。また、電磁界特性を算出する
と同時に、電磁弁およびバルブニードルの挙動ならびに
燃料の噴射率などを油圧動弁解析により油圧動弁特性を
算出している。そして、電磁界解析により得られた電磁
界特性と、油圧動弁解析により得られた油圧動弁特性と
は、相互に受け渡しが行われている。すなわち、ある演
算タイミングにおいて電磁界解析により得られた電磁界
特性は当該演算タイミングにおける油圧動弁解析による
油圧動弁特性の推算に用いられ、当該演算タイミングに
おいて得られた油圧動弁特性は、次の演算タイミングに
おける電磁界解析による電磁界特性の推算に用いられ
る。つまり、電磁界解析と油圧動弁解析とは、同時に進
行される。
【0010】したがって、電磁界解析に油圧動弁解析を
加え、電磁界解析と油圧動弁解析とを同時に実施するこ
とにより、電磁弁の挙動とバルブニードルなど動弁系の
挙動とを高精度に算出することができる。渦電流の影響
を考慮した電磁界解析と油圧動弁解析することにより、
特に燃料の噴射率の立ち上がり時における特性、すなわ
ち電磁弁の立ち上がり特性を高精度に算出することがで
きる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す
一実施例を図面に基づいて説明する。図1に示すように
本実施例による燃料噴射装置の作動シミュレーション装
置1はコンピュータである。作動シミュレーション装置
1は、コモンレール式燃料噴射システムに使用される図
2に示すようなインジェクタ5の作動をシミュレーショ
ンする。作動シミュレーション装置1は、例えばキーボ
ードなどの入力部2、演算部3および出力手段としての
ディスプレイ4から構成されている。入力部2からは、
シミュレーションの対象となるインジェクタの形状を数
値化したノズル部の設計データが入力される。
【0012】演算部3は、記憶部10および処理部20
から構成されている。記憶部10は、ハードディスクド
ライブ(以下、HDD)11、RAM(Random Access
Memory)12およびROM(Read Only Memory)13を
有している。HDD11には、入力されたインジェクタ
5の設計データ、ならびに作動シミュレーションを処理
部20に実行させるためのソフトウェアである作動シミ
ュレーションプログラムが記録されている。RAM12
には、処理部20で演算される各種データならびに演算
の終了したデータが一時的に保管される。ROM13に
は、処理部20および作動シミュレーション装置1の各
部を制御するためのコンピュータプログラムが記録され
ている。
【0013】処理部20は、電磁界解析部21および油
圧動弁解析部22から構成されている。電磁界解析部2
1では、後述する油圧動弁特性を用いて後述するインジ
ェクタ5電磁界特性が算出される。油圧動弁解析部22
では、インジェクタ5の設計データならびに電磁界解析
部21で算出された電磁界特性を用いて油圧動弁特性が
算出される。電磁界解析部21と油圧動弁解析部22と
の間では、相互に算出されたデータのやりとりが繰り返
される。
【0014】処理部20は、CPU25を有しており、
上記の処理はHDD11に記録されている作動シミュレ
ーションプログラムに基づいてCPU25により処理が
実行される。ディスプレイ4は、例えばCRTなどであ
り、処理部20で処理された作動シミュレーションの結
果である作動特性データにから作成される画像を表示す
る。
【0015】次に、燃料噴射シミュレーションの対象で
ある図2に示すインジェクタ5について説明する。な
お、図2は本実施例に用いられるインジェクタ5の構成
を簡略化して示したものである。
【0016】本実施例に用いられるインジェクタ5は、
コモンレール式燃料噴射システムに適用されるインジェ
クタである。インジェクタ5は、図示しないエンジンの
シリンダヘッドに配設されている。インジェクタ5の高
圧燃料配管60の一方の端部は、コモンレール80に接
続されている。コモンレール80からは、インジェクタ
5へ高圧燃料配管60を経由して一定の圧力に蓄圧され
た高圧の燃料が供給される。高圧燃料配管60の反コモ
ンレール側は第1燃料通路61および第2燃料通路62
の2方向へ分岐され、第1燃料通路61は制御室51、
第2燃料通路62は燃料室52に接続されている。すな
わち、コモンレール80から供給された燃料は、制御室
51および燃料室52に蓄えられる。
【0017】制御室51には、第1燃料通路61ならび
に低圧室53に連通する燃料通路63が接続されてい
る。第1燃料通路61および燃料通路63の制御室51
側には、それぞれ入口オリフィス61aおよび出口オリ
フィス63aが配設されている。入口オリフィス61a
および出口オリフィス63aは、制御室51へ流入なら
びに制御室51から流出する燃料の流量を制御し、制御
室51の燃料の圧力を所定の範囲に制御する。
【0018】インジェクタ5には、電磁弁部70が配設
されている。電磁弁部70は、弁部材71と電磁アクチ
ュエータ72から構成されている。弁部材71は、燃料
通路63の低圧室53側の端部を開閉する。電磁アクチ
ュエータ72は、弁部材71を軸方向すなわち図2の上
下方向へ往復駆動する。電磁アクチュエータ72は、弁
部材71と一体に強磁性体で形成されているアーマチャ
721と、電圧(電流)を印加することにより電磁力を
発生するコイル722と、コイル722が内包されコイ
ル722に発生する電磁力によりアーマチャ721を吸
引する電磁コア723と、電磁コア723がアーマチャ
721を吸引する方向とは逆方向に弁部材71を付勢す
るスプリング724とを有している。
【0019】制御室51の反電磁弁部70側には、バル
ブニードル54および制御ピストン55が配設されてい
る。バルブニードル54は、インジェクタ5の内部に軸
方向へ往復摺動可能に収容されている。バルブニードル
54は、軸方向へ往復移動することによりインジェクタ
5の先端部に形成されている噴孔56を開閉する。制御
ピストン55はバルブニードル54と当接している。
【0020】次に、図2に示すインジェクタ5の作動に
ついて簡単に説明する。コモンレール80から高圧燃料
配管60ならびに第1燃料通路61および第2燃料通路
62を経由して供給された燃料は、制御室51および燃
料室52に蓄えられる。コイル722に電圧(電流)が
印加されていない場合、電磁コア723には電磁弁吸引
力が発生しないため、弁部材71はスプリング724の
付勢力により燃料通路63の低圧室53側の端部を閉塞
している。このとき、制御室51からは燃料が流出しな
いため、制御室51の燃料の圧力は一定の圧力に保持さ
れる。制御ピストン55によりバルブニードル54が噴
孔閉塞方向へ付勢される力とスプリング57によりバル
ブニードル54が噴孔閉塞方向へ付勢される力との総和
は、燃料室52の燃料の圧力によりバルブニードル54
が噴孔開放方向へ受ける力よりも大きくなる。そのた
め、バルブニードル54は噴孔56を閉塞し、噴孔56
からは燃料が噴射されない。
【0021】所定の燃料噴射時期となり図示しないエン
ジン制御装置(ECU)から電磁弁部70のコイル72
2に電圧(電流)が印加されると、コイル722に発生
した電磁力により電磁コア723に電磁弁吸引力が発生
する。この電磁弁吸引力がスプリング724の付勢力よ
りも大きくなると、アーマチャ721は電磁コア723
に吸引されて電磁コア723方向へ移動し、燃料通路6
3の低圧室53側の端部が開放される。燃料通路63の
低圧室53側の端部が開放されると、制御室51に蓄え
られていた燃料は低圧室53へ流出する。そのため、制
御室51の燃料の圧力は低下し、制御ピストン55を介
してバルブニードル54を噴孔閉塞方向へ付勢する力は
小さくなる。そして、バルブニードル54が制御ピスト
ン55およびスプリング57から噴孔閉塞方向へ受ける
力が、燃料室52の燃料の圧力によって噴孔開放方向へ
受ける力よりも小さくなると、バルブニードル54は図
2の上方へリフトする。バルブニードル54がリフトす
ることにより、噴孔56は開放され、噴孔56から燃料
が噴射される。
【0022】コイル722への電圧(電流)の印加が停
止されると、電磁コア723に発生していた電磁弁吸引
力が消失するため、弁部材71はスプリング724の付
勢力により制御室51方向へ移動し、燃料通路63の低
圧室53側の端部を閉塞する。そのため、制御室51の
燃料の圧力は再び増大し、制御ピストン55を介してバ
ルブニードル54を噴孔閉塞方向へ付勢する力が大きく
なる。そして、バルブニードル54を噴孔閉塞方向へ付
勢する力が、噴孔開放方向へ付勢する力よりも大きくな
ると、バルブニードル54は図2の下方へ移動する。こ
れにより、噴孔56は閉塞され、燃料の噴射が終了す
る。
【0023】次に、本実施例のインジェクタ5の作動シ
ミュレーションの手順を図3および図4に基づいて説明
する。 (データの準備)作動シミュレーションを実施する場
合、シミュレーションの基礎となる各種データが入力さ
れる(S100)。入力されるデータは、インジェクタ
5の設計データである。設計データは、形状データ、配
管諸元データおよびその他の各種データから構成されて
いる。形状データは、インジェクタ5の電磁弁部70の
形状を3次元の座標データとして作成されたデータを含
んでいる。形状データは、例えばCAD(Computer Ai
ded Design)などを用いて作成され、HDD11に保管
されている。また、HDD11に保管するのではなく、
例えばキーボードなどの入力部2から直接入力してもよ
い。その他の各種データもHDD11に保管されてい
る。
【0024】配管諸元データは、インジェクタ5の各部
の形状を示すデータなどを有している。配管諸元のデー
タとしては、例えば入口オリフィス61aおよび出口オ
リフィス63aの内径、制御室51の容積、各燃料通路
の長さおよび内径、バルブニードル54の質量ならびに
スプリング57のばね定数などが含まれている。その他
の各種データとしては、例えばインジェクタ5を構成す
る部品特に電磁弁部70を構成する部品の材料物性(電
気電導率など)、電磁弁部70の電気回路の構成ならび
にコイル722に印加される電圧値などである。
【0025】(電磁界解析)処理部20のCPU24
は、HDD11に記録されている設計データの読み出し
を命令し、読み出された設計データは電磁界解析部21
に送られる。電磁界解析部21では、インジェクタの設
計データに基づいて過電流を考慮した電磁界解析を実施
する(S200)。電磁界解析部21では、インジェク
タ5のコイル722に電圧を印加したとき、電磁アクチ
ュエータ72の電磁コア723に発生する磁束により発
生する電磁弁吸引力を解析する。電磁界解析には例えば
JMAGなどの既存のプログラムが用いられる。JAM
Gは電磁アクチュエータ72に発生する渦電流の影響を
考慮したプログラムである。電磁界解析は、所定の期間
を一定の間隔に細分した演算タイミングごとに、その演
算タイミングに対応する電磁弁吸引力を解析する。この
所定の期間とは、例えばコイル722への電圧の印加開
始から少なくとも噴射終了までなどである。所定の期間
を噴射終了まで設定しているのは、電磁アクチュエータ
70に残留する残留磁気の影響を考慮するためである。
【0026】電磁界解析部21で算出される特性として
は、上記の他例えば電流値および磁束密度などがある。
電磁界解析部21で電磁アクチュエータ72に発生する
過電流の影響を含めて演算を実施する理由は下記の通り
である。
【0027】コイル722に電圧が印加され電流が立ち
上がるとき、過電流が引き起こす表皮効果の影響により
磁束はすぐに電磁コア723およびアーマチャ721の
内部へ浸透することができない。そのため、コイル72
2に発生する磁束の総和が小さくなり電磁コア723に
発生する電磁弁吸引力が低下する。その結果、電圧が印
加されてから弁部材71がリフトまでに時間的な遅延が
生じる。したがって、インジェクタ5の作動を高精度に
シミュレーションするには、渦電流の影響を考慮する必
要がある。
【0028】(油圧動弁解析)電磁界解析部21におい
て、電磁弁吸引力をはじめとする電磁界特性が算出され
ると、算出された電磁界特性は油圧動弁解析部22へ送
られる。油圧動弁解析部22では、電磁界解析部21か
ら送られた電磁界特性、ならびHDD11に記録されて
いるインジェクタ5の設計データから油圧動弁解析を実
施する(S300)。油圧動弁解析には例えばSimu
linkなどの既存のプログラムが用いられる。
【0029】油圧動弁解析部22へ入力されるデータと
しては、上述した電磁弁吸引力をはじめとする電磁アク
チュエータ72の挙動特性、インジェクタ5の設計諸元
ならびに燃料の物性などである。インジェクタ5の設計
諸元としては、例えば上述した入口オリフィス61aお
よび出口オリフィス63aの内径、制御室51の容積な
どのインジェクタ5の各部の形状、インジェクタ5の各
部の配管の長さおよび内径、バルブニードル54の質量
ならびにスプリング57のばね定数などである。これら
の入力されたデータに基づいて油圧動弁解析が行われ
る。
【0030】油圧動弁解析部22では、入力された各種
のデータから油圧動弁特性が算出される。油圧動弁特性
には、例えば燃料室52の圧力、バルブニードル54の
リフト量などのバルブニードル54の挙動、噴孔56か
ら噴射される燃料の噴射率、ならびにバルブニードル5
4の挙動および燃料の影響を考慮した弁部材71の挙動
特性などが含まれる。油圧動弁解析部22では、渦電流
の影響を考慮して電磁界解析部21で算出された電磁界
特性を用いているため、渦電流の影響を含めた油圧動弁
特性が算出される。
【0031】油圧動弁解析部22において、弁部材71
の挙動特性をはじめとする油圧動弁特性が算出される
と、算出された油圧動弁特性に含まれる弁部材71のリ
フト量などは電磁界解析部21へ送られ、算出された油
圧動弁特性は次の演算時期における電磁界解析に用いら
れる。すなわち、油圧動弁解析部22は、電磁界解析部
21のサブルーチンとして処理を実施する。
【0032】油圧動弁解析部22による油圧動弁特性の
算出が終了すると、CPU25は演算時期が継続してい
るか否かを判断する(S400)。演算時期が継続して
いると判断されている場合、油圧動弁解析部22で算出
された油圧動弁特性は、電磁界解析部21へ送られ次の
演算時期における電磁界解析に用いられる。そして、ス
テップS200へ戻り電磁界解析、油圧動弁解析および
作動特性データの作成を繰り返す。
【0033】(シミュレーション結果の表示)電磁界解
析部21および油圧動弁解析部22で算出され、RAM
12またはHDD11に保管された演算結果であるシミ
ュレーションデータは、例えば画像信号に変換されディ
スプレイ4に出力される。ディスプレイ4では、シミュ
レーションデータが視覚的に認識可能な画像として表示
される(S500)。
【0034】次に、本実施例によるシミュレーションの
結果について説明する。本実施例によるシミュレーショ
ン結果は、図5に示すように従来のシミュレーション結
果と比較して、コイル722に電圧が印加されたときす
なわち電流立ち上がり時の噴射率が実測値と近似してい
る。特に噴射開始時期の誤差は極めて小さくなってい
る。これは、本実施例のシミュレーションは、電流立ち
上がり時に電磁アクチュエータ72に発生する渦電流の
影響を考慮し、電圧の印加から弁部材71のリフトまで
に生じる時間的な遅延を考慮しているためである。一
方、従来のシミュレーションでは、渦電流の影響が考慮
されていないため、弁部材71のリフトの遅延が考慮さ
れず、燃料の噴射開始時期に大きな誤差が生じている。
【0035】以上説明したように、本実施例の作動シミ
ュレーション装置1によると、電流立ち上がり時に電磁
アクチュエータ72に発生する渦電流の影響を考慮して
いる。渦電流の影響を考慮することにより、弁部材71
のリフトの遅延を考慮することができる。そして、電磁
界解析部21で算出した電磁アクチュエータ72の挙動
特性を油圧動弁解析部22に渡し、過電流の影響を考慮
した油圧動弁解析を実施するとともに、さらに油圧動弁
解析部22で算出した油圧動弁特性を電磁界解析部21
へ渡している。すなわち、電磁界解析と油圧動弁解析と
を組み合わせて実行している。
【0036】したがって、渦電流の影響による弁部材7
1のリフトの遅延がインジェクタ5全体の挙動に反映さ
れ、電磁アクチュエータ72で発生した渦電流がインジ
ェクタ5の挙動すなわち噴孔56から噴射される燃料の
噴射率に与える影響を求めることができる。すなわち、
本実施例の作動シミュレーションでは、噴孔56とは離
れた位置に配置されている電磁アクチュエータ72で発
生する渦電流の影響を含めたインジェクタ5の挙動をシ
ミュレーションすることができる。そのため、電流立ち
上がり時の燃料の噴射率を精密の求める必要があるパイ
ロット噴射時やアフター噴射時の噴射特性を高精度に算
出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるインジェクタの作動シ
ミュレーション装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による作動シミュレーション
に適用されるインジェクタを示す模式的な断面図であ
る。
【図3】本発明の一実施例によるインジェクタの作動シ
ミュレーション装置における処理の手順を示すフロー図
である。
【図4】本発明の一実施例によるインジェクタの作動シ
ミュレーション装置におけるデータのやりとりを説明す
るための図である。
【図5】本発明の一実施例によるインジェクタの作動シ
ミュレーション装置を用いたシミュレーション結果をグ
ラフ化した模式図であって、従来の方法を用いた例およ
び実測値とを比較した図である。
【符号の説明】
1 作動シミュレーション装置 2 入力部 3 演算部 4 ディスプレイ(出力部) 5 インジェクタ(燃料噴射装置) 21 電磁界解析部 22 油圧動弁解析部 54 バルブニードル 56 噴孔 70 電磁弁部 72 電磁アクチュエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 17/50 612 G06F 17/50 612G 680 680Z 19/00 110 19/00 110 Fターム(参考) 3G066 AA07 AB02 AC09 AD12 BA00 BA51 CC06T CC08T CC14 CC26 CC64T CC67 CC68U CC70 CE13 CE22 5B046 AA04 JA07 JA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コモンレール式燃料噴射システムに用い
    られ、電磁弁の開閉により油圧を制御し、制御された油
    圧によって噴孔を開閉するバルブニードルを制御する燃
    料噴射装置において、前記燃料噴射装置の作動特性を算
    出するシミュレーション装置であって、 前記燃料噴射装置の設計データを入力可能な入力手段
    と、 前記入力手段から入力された前記設計データに基づい
    て、前記電磁弁に配設されている電磁アクチュエータに
    発生する渦電流の影響を含めた電磁界特性を推算する電
    磁界解析手段と、 前記設計データ、前記燃料噴射装置の前記電磁弁の挙
    動、前記バルブニードルの挙動ならびに前記噴孔から噴
    射される燃料の噴射率を含む油圧動弁特性を推算する油
    圧動弁解析手段と、 前記電磁界解析手段および前記油圧動弁解析手段におけ
    る算出結果を可視的な画像として表示可能な出力手段と
    を備え、 前記電磁界解析手段および前記油圧動弁解析手段では所
    定の演算タイミングごとに電磁界特性または油圧動弁特
    性が推算され、前記電磁界解析手段で推算された前記電
    磁界特性は該演算タイミングにおける前記油圧動弁解析
    手段による前記油圧動弁特性の推算に用いられ、前記油
    圧動弁解析手段で推算された前記油圧動弁特性は該演算
    タイミングの次の演算タイミングにおける前記電磁界解
    析手段による前記電磁界解析手段の推算に用いられるこ
    とを特徴とする燃料噴射装置の作動シミュレーション装
    置。
  2. 【請求項2】 コモンレール式燃料噴射システムに用い
    られ、電磁弁の開閉により油圧を制御し、制御された油
    圧によって噴孔を開閉するバルブニードルを制御する燃
    料噴射装置において、前記燃料噴射装置の作動特性を算
    出するシミュレーション方法であって、 所定の演算タイミングごとに、該演算タイミングにおけ
    る前記電磁弁に配設されている電磁アクチュエータに発
    生する渦電流の影響を含めた電磁界特性を推算する電磁
    界解析段階と、 前記電磁界解析段階で推算された前記電磁界特性を用い
    て、前記燃料噴射装置の前記電磁弁の挙動、前記バルブ
    ニードルの挙動ならびに前記噴孔から噴射される燃料の
    噴射率を含む油圧動弁特性を推算する油圧動弁解析段階
    とを含み、 前記油圧動弁解析段階で推算された前記油圧動弁特性
    は、前記演算タイミングの次の演算タイミングにおける
    電磁界特性の推算に用いられることを特徴とする燃料噴
    射装置の作動シミュレーション方法。
  3. 【請求項3】 コモンレール式燃料噴射システムに用い
    られ、電磁弁の開閉により油圧を制御し、制御された油
    圧によって噴孔を開閉するバルブニードルを制御する燃
    料噴射装置の作動特性の算出を、コンピュータに実行さ
    せる作動シミュレーションプログラムが記録されたコン
    ピュータ読み取り可能な記録媒体であって、 前記燃料噴射装置の形状を数値化した設計データの入力
    を受け付ける入力手順と、 所定の演算タイミングごとに、前記入力手順で入力され
    た前記設計データに基づいて、該演算タイミングにおけ
    る前記電磁弁に配設されている電磁アクチュエータに発
    生する渦電流の影響を含めた電磁界特性を推算する電磁
    界解析手順と、 前記入力手順で入力された前記設計データに基づいて、
    前記電磁界解析手順で推算された前記電磁界特性を用い
    て、前記演算タイミングにおける前記燃料噴射装置の前
    記電磁弁の挙動、前記バルブニードルの挙動ならびに前
    記噴孔から噴射される燃料の噴射率を含む油圧動弁特性
    を推算する油圧動弁解析手順と、 前記油圧動弁解析手順で推算された油圧動弁特性を用い
    て、前記演算タイミングの次の演算タイミングにおける
    前記電磁界解析手順および前記油圧動弁解析手順を実行
    する演算継続手順と、 前記電磁界解析手順および前記油圧動弁解析手順で推算
    された結果を画像として出力する出力手順と、 をコンピュータに実行させる作動シミュレーションプロ
    グラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒
    体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008069772A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Man Diesel Sa 内燃機関の燃料噴射ノズルの最適化方法
JP2015098822A (ja) * 2013-11-19 2015-05-28 株式会社デンソー 噴射特性取得装置、及び噴射特性取得方法
CN106021702A (zh) * 2016-05-16 2016-10-12 上海核工程研究设计院 一种机电液设备动作性能优化方法

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