JP2002168180A - 揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータ - Google Patents

揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータ

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JP2002168180A
JP2002168180A JP2000403806A JP2000403806A JP2002168180A JP 2002168180 A JP2002168180 A JP 2002168180A JP 2000403806 A JP2000403806 A JP 2000403806A JP 2000403806 A JP2000403806 A JP 2000403806A JP 2002168180 A JP2002168180 A JP 2002168180A
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sealing
actuator
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Tomiji Watabe
富治 渡部
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 揺動ベーン形ポンプ・アクチュエータにおい
て、振り子式波力発電装置に必要な25MP程度まで
耐圧性を高め、シール構造の信頼性を向上し、固定ベー
ン固定方法の合理化により製造コストを低減し、押しの
け容積がほぼ等しい船舶のラダー操作器用アクチュエー
タと波力発電用ポンプとの共用化を図り、ロボットアー
ムヒンジ用アクチュエータへの応用で小型化を図ること
である。 【解決手段】 揺動ベーン形ポンプ・アクチュエータに
おいて、ロータ側面19を密封するためのリング状シー
ル18の外側のロータ側面面積を零に近付けるシール構
造とする一方、固定ベーンはケース内面曲率と同じ円弧
面を有しほぼ全円弧面で接しながらケースに固定される
と共に、この円弧面の両端には内側に向かう圧力のみを
シールするシールを備え、固定ベーンがロータ外周面と
接する面の両端には外側へ向かう方向の圧力のみをシー
ルするシールを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業状の利用分野】本発明の揺動ベーン型ポンプとし
ての第一の利用分野は、振り子式波力発電装置であっ
て、その中でも波力により装置に加わる全エネルギーを
受け止める重要な役割を担う油圧ポンプである。この波
力発電装置では、波浪エネルギーから機械的な振り子運
動を生み出し、更にこれを油圧を介して高速回転軸運動
に変換して発電機を駆動している。この際の静油圧変速
機用ポンプとしては揺動ベーン型ポンプが最適である。
その理由はポンプ軸と振り子軸とを共通軸として構成で
き、カップリング装置を全く使用せず波浪エネルギーか
ら直接ポンプ駆動できるので、強度を必要とする伝動部
材に生ずる衝撃応力が著しく低下し、発電装置の耐久性
向上の決め手になっているからである。
【0002】本発明の揺動ベーン型アクチュエータとし
ての第二の利用分野は、特に重い物を扱うロボットアー
ムのヒンジ部のアクチュエータである。近年数値制御に
よるロボットが目覚ましく発展してきて、数値制御方式
と相性の良い電動式のロボットが多く使用されている
が、唯一の難点は可搬重量があまり大きくできない点で
ある。一方の油圧式のロボットアームでは価格は高くな
るものの、比較的容易に重いものを搬送できる仕様とす
ることができる。本発明の揺動ベーン型アクチュエータ
は、高圧力での使用を可能とすることで、一層ロボット
アームヒンジ部への応用を好都合とする。
【0003】本発明の揺動ベーン型アクチュエータとし
ての第三の利用分野は、最も単純な構造による信頼性の
高さと、コンパクトな容積に収まることによる実用性と
経済性の高さが期待できる、船舶用のラダー操作器の分
野である。
【0004】
【従来の技術】従来の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエ
ータは、シール構造が複雑となり完璧なシール作用を期
待できないために、油圧用に比較して桁違いに作動圧力
の低いエア機器と、特殊用途以外は殆ど使用されてこな
かった。エア用としては、今から30年以上も前にアメ
リカのX.L.O社が、ベーン部分とロータ側面のゴム
シールを立体的に完全に一体化した形式を実用化してい
る。この形式ではエア用には使用できても、ロータ側面
とケーシング側板との摺動面シール機能が部分的に欠落
しているので、作動液圧力の高い油圧用途には信頼性が
欠けていたのであった。だが揺動ベーンの形式は最も単
純な機構で、コンパクトな容積に収まることから、完全
なシールの実現が見込めるならば、応用分野を広げるこ
とが可能であると考えられている。このような中で、本
発明者が深く係ってきた室蘭工大式波力発電装置テスト
プラント「ペンデュラ」では、作動液漏れが発生する恐
れのあるロータ側面のケース側板との接触面積を、零に
近付けることによってこの問題を解決し、振り子式波力
発電装置の要である油圧ポンプ装置における、波力の衝
撃に耐えて耐久性の課題を解決せんとするに当たり、揺
動ベーン型ポンプを使用することによって良好な結果を
得てきている。然し乍らその一方では、単純な円筒形状
ケースに固定ベーンをボルトで固定する際の取り付け部
分の強度不足を補うような、特別に強固なベーン取り付
け方法(特許第2573905号、揺動形ベーンポン
プ)を採用した結果、このポンプ製造コストの上昇を招
き、新しくスリランカでの振り子式波力発電装置の本格
的な実証プラント建設計画が具体化してきたことに伴
い、この揺動ベーン型ポンプのコスト低減の新たな問題
も発生してきた。ロータに揺動ベーンを固定するロータ
製造方法においても、作動液圧を高圧とする場合は取り
付け部分の強度不足が発生する問題があった。
【0005】前記の波力発電に使用される揺動ベーン型
ポンプは、船舶用のラダー操作器に使用されている揺動
ベーン型アクチュエータと全く同一の機構である。従っ
て使用方法の相違によってポンプになったりアクチュエ
ータになったりするから、この形式の同一機構を揺動ベ
ーン型ポンプ・アクチュエータと称している。船舶ラダ
ー操作用の揺動ベーン型アクチュエータは、その押しの
け容積が一般的な機種の千倍程度であって波力発電用の
揺動ベーン型ポンプと接近しており、大量生産したポン
プ・アクチュエータを夫々の用途に使い分けることがで
きれば、量産効果による製造コスト低減を期待できる可
能性がある。然し、従来の技術では、揺動ベーン型アク
チュエータは前記の満足できるシール機構を実現できて
おらず、作動圧力は10MPa程度以下であり、波力発
電用ポンプとしても使用可能とするには、最高使用圧力
を2〜3倍以上に高める必要があった。最近の油圧技術
では、ポンプを含む他の油圧機器も高圧化が一層進み、
25MPa程度の圧力が標準的となっていて、揺動ベー
ン型アクチュエータだけが高圧化に乗り遅れ、機器の小
型化によるメリットを享受できていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する第一の課題は、振り子式波力発電装置の振り子が波
力から受ける動力を直接に受け止めるポンプとしての、
揺動ベーン型ポンプの耐圧性を高く維持したまま、製造
コストを抑えて波力発電装置そのものの経済性を高める
ことである。振り子式波力発電装置は、その普及に必要
な1kWh当たり10円以下の経済的な発電単価を、唯
一実現できる可能性のある最も優れた波力発電システム
である。世界の多くの波力発電研究者が取組んできた実
績があるOWC(Oscillating Water
Column)波力発電装置と比較しでも、同一容量
の装置での比較において、装置重量が数分の一であっ
て、同一重量の比較では数倍の発電電力量となる高性能
だからである。これは波力からのエネルギー取得効率が
3倍以上であることも大いに与って力があるが、振り子
式波力発電装置の初期の問題点であった耐久性の不足
を、振り子軸とポンプロータとを直結し耐圧性を高めた
揺動ベーン型ポンプの発明によって解決してきた点も大
きく寄与している。これによって振り子板に働く波浪か
らの力が直接ポンプロータに伝わり、次いで油圧エネル
ギーに直接変換されるので、伝動部材等の強度が要求さ
れる部材に生じていた衝撃力の問題が解消したのであ
る。その結果本格的な実証プラント建設計画が提出され
る新たな段階になって、波力発電装置の経済性を一層高
める見地から、特別仕様である揺動ベーン型ポンプの経
済面からの見直しが必要となってきたのである。
【0007】本発明の第二の課題は、船舶用ラダー操作
器に使用されている揺動ベーン型アクチュエータと、波
力発電装置に使用される揺動ベーン型ポンプとの共用化
が可能となるよう、揺動ベーン型アクチュエータの耐圧
性を大きく高めることで、製造コストの面ばかりでなく
その容積の小型化による経済性の追求を可能とすること
である。この課題は、船舶用に比較して押しのけ容積が
極端に小さくなるロボットアームヒンジ部の揺動ベーン
型アクチュエータにおいても、波力発電との共用化以外
は共通している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、これらの課
題を解決するために、先ずはロータ側面を密封するため
のリング状のシール部材の外側のロータ側面面積が、作
動液の漏れを招く通路となる点に着目し、耐圧性を損な
う原因を作り出すこの側面面積を零に近付けることで、
20〜30MPaの高圧力にも耐え得る揺動ベーン型ポ
ンプ・アクチュエータの基本構造を構成すると共に、固
定ベーンはケース内面と同一の円筒曲面を有してボルト
だけではなくノックピンも併用してケースに固定される
ようにし、固定ベーンのケース固定面側の両端シール部
材は、内側に向かう方向の圧力を封止する一方、固定ベ
ーンのロータ外周面に接する側の両端シール部材は、内
側に向かう圧力は通過させる代わりに内側から外側へ向
かう圧力は封止するようにして、高圧作動油が固定ベー
ンに及ぼすラジアル方向の分力が増加することで、固定
ベーンをケースに押し付ける力による摩擦力を増大さ
せ、固定ベーンの固定手段の負担を減じ、耐圧性の高い
揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータを容易に製造でき
るようにした。
【0009】
【実施例】本発明の詳細は実施例を示す添付の図面を参
照しながら詳述する。図1は、本発明の揺動ベーン型ポ
ンプの応用例である、振り子式波力発電装置の主要部分
の断面を示している。右のa図で示すように、矩形の断
面を有するケーソン1の内部は水室2が形成され、水室
2内部の海水中に大部分の断面を没する振り子板3は、
軸4によって揺動可能に支えられている。軸4は左右の
支持部12により支持され、その一端は揺動ベーン型ポ
ンプ5の軸を兼ねており、振り子板3の揺動軸である軸
4との間のカップリング機構を一切有しないタフな軸構
造である。更に足場の悪い沿岸現場でのカップリング使
用時に発生する二本の軸の芯合わせ作業が全く不要であ
る。揺動ベーン型ポンプ5は、筒形ケース8とその両側
のサイドカバー10及び11で外形を構成し、左のb図
で示すように内部は軸4に固定されたロータ6と、この
ロータ6に強固に固定されている一対の揺動ベーン7
と、筒形ケース8の内面に強固に固定された一対の固定
ベーン9とによって4室の作動室を構成している。4室
の作動室は振り子板3、軸4及びロータ6の揺動方向に
よって、容積が縮小する高圧室と容積が拡大する低圧室
が一対ずつ交互に切り替わって構成され、高圧室がポン
プ作用を担っている。このような振り子式波力発電装置
では、ケーソン1により形成される水室2は一端は波浪
を受け入れるように海面に向かい開口し、他端は定常波
を生ずるように入射波を反射する垂直な壁となってい
る。振り子板3はこの定常波の節になる位置に釣り下げ
られ、波力の上下動による位置エネルギーが零となる代
わりに、水平方向の運動エネルギーが倍加している定常
波の節位置での水平往復流により、加振されて振り子運
動を行っている。この振り子運動は軸4を介して揺動ベ
ーン型ポンプ5を駆動するので、ポート14から作動液
の往復流が取り出せる。この作動液の往復流は、整流回
路を通過させて一方向流れにして油圧モータに供給し、
発電機駆動を行う。この揺動ベーン型ポンプ5の支持部
12では、球面形状を備えた部分があり、台13の取り
付け面精度を高精度とする必要性をなくしている。
【0010】図2は本発明の揺動ベーン型アクチュエー
タを、船舶用ラダー操作器に応用した例を示す断面図で
ある。船尾に配置されるスクリュー15と、さらにその
後流側に配置されるラダー16とは、船舶を操船する上
で欠くべからざる重要な要素である。ラダー16を固定
している軸4’は、前記の振り子式波力発電の例と同様
に、その上端は揺動ベーン型アクチュエータ5’の回転
軸を構成している。このアクチュエータ5’の機構はポ
ンプ5と全く同一である。筒形ケース8’の上下にはサ
イドカバー10’及び11’が固定されて、その外形が
形成され、ケース内部で軸4’に固定されているロータ
6’には一対の揺動ベーン7’が強固に固定されてい
る。筒形ケース8’の内面には一対の固定ベーン9’が
強固に固定されており、4室の作動室が構成されてい
る。ポート14’に圧力の高い作動液が接続されると、
圧力の高い作動液に接続された作動室は容積を増大させ
る一方、低圧側の作動室は容積を縮小させる方向に揺動
ベーン7’を回動させる。揺動ベーン7’の回動はロー
タ6’、軸4’を同時に回動させてラダー16の角度を
変化させ、操船が行われることになる。特に港湾の出入
り航路や海峡等では船舶の衝突を避ける機敏で正確な操
船が要求され、高い信頼性が要求される軸4’の系統に
おいて、カップリング装置による撓みや遊びは許容され
ない。船尾室への取り付けの際も、台13’と支持部1
2’は球面形状部分があるので、その取り付け面精度を
軸4’の芯合わせ作業の一環として高精度に調整する必
要は一切ない。
【0011】図1に示した揺動ベーン形ポンプと、図2
に示した揺動ベーン形アクチュエータとは機構は同一で
あり、使い方の相違に応じてポンプになったりアクチュ
エータになったりするので、仕様を同一としておくこと
ができるとすれば、同一量産品を使用目的に従いポンプ
とアクチュエータとに使い分けて、コスト削減に資する
可能性が見えてくる。この際の最大の障害は、船舶ラダ
ー操作器に使用される揺動ベーン型アクチュエータの耐
圧性が低い点である。そのために振り子式波力発電装置
のポンプと同一の耐圧性を揺動ベーン型アクチュエータ
に付与する必要がある。この実現には、ロータ側面をシ
ールするリング状シールの外側になる部分の面積を零と
する、波力発電における新技術を導入することで解決し
ている。
【0012】図3はこのようなシール外側のロータ側面
面積を零に近付けるシール構造の一実施例の部分断面図
である。軸4’にはロータ6’が固定されており、ロー
タ6’には揺動ベーン7’が一体に形成されて、サイド
カバー10’、及び11’、筒形ケース8’により構成
される作動室は、ベーンシール17’、リング状のロー
タシール18’によって密封されている。従来のシール
構造はロータシール18’が水平に取り付けられていた
ので、このシールよりも外側にあるロータ6’のベーン
寄りの側面から作動液が漏れる通路が残ることで、その
耐圧性を高めるにも限度があった。図示実施例ではロー
タシール18’が斜めに取り付けられるようにすること
で、このロータ側面の作動液漏れの可能性を有する部分
の面積を極力なくし、耐圧性を高めることが可能となっ
た。図中の軸4’と平行な破線はロータ6’の外周面で
ある。
【0013】図4は円筒形状のケース8の内面に固定さ
れる固定ベーン9の取り付け構造がより簡単になるよう
に改良した本発明の一実施例を、前記の特許第2573
905号の固定ベーンの固定構造と比較して示す断面図
である。上部は従来の固定ベーンの固定構造であり、下
部は本発明の実施例である。従来構造は、固定ベーン9
−1を、摺動面であるケース8の内面に切り込み部28
を設けて組込んでいる。その切り込み部28と固定ベー
ン9−1との接触面は、シール29により高圧力から封
止した上で大気室30内部を大気側に連通してある。固
定ベーン9−1のロータ6の外周面とのシールは、シー
ル31によって行われている。これらの二箇所のシール
点を結ぶ線分a−bは、高圧作動室から固定ベーン9−
1が圧力を受ける際の実質的な受圧面を形成している。
線分a−bの中点をPとすれば、固定ベーン9−1に
作用する油圧力ベクトルRは、図示のように線分a−
bに対し直角な方向でP点に作用するものと考えるこ
とができる。この時ベクトルRの、切り込み部28の
底面に平行な分力は切り込み部28によって支えられ、
切り込み部28の底面に直角な方向の分力は筒形ケース
8−1で支えられることになる。この結果、ボルト23
−1に働くせん断力は僅かに過ぎなくなる。一般にボル
トに働く軸方向応力に対してはボルトは大きな耐力を有
しているが、せん断応力に対しては相対的に小さな耐力
しか有しない。図示の固定ベーン固定方法ではボルトに
無理な力は一切加わらず、その固定力は強固である。然
し乍ら、固定ベーン9−1の製造に当たっては、直方体
の鉄鋼ブロックを台形状にフライス加工して筒形ケース
の切り込み部28に嵌合できる精度に仕上げ、ボルト2
3−1で筒型ケース8−1に固定した後に、内面側がロ
ータ外周面と同じ円弧面となるよう旋盤加工する。その
筒形ケースの切り込み部28の加工と固定ベーンの再加
工は、波力発電や船舶ラダー操作での応用に必要な、押
しのけ容積が(50〜250)×1,000cm/r
ev(市場の汎用機器の1,000倍程度)の大容量で
あっては、極めて重い大きな部品の加工となるために、
少なからぬ加工費の上昇を避けられない。二枚の揺動ベ
ーンを有するロータの加工においても、同様に巨大部品
加工の共通の問題があるが、こちらの方はワイヤカット
放電加工機により、一つの工程で製品に近い形状にまで
加工できることから、この問題が緩和されつつある。従
って、製造コスト低減の目標となるのは、固定ベーン二
個を内面に強固に固定した円筒形状のケース全体の加工
である。
【0014】本発明の最大の目的は、25MP程度ま
で耐圧性を高めた揺動ベーン形ポンプ・アクチュエータ
を合理的な構造とすることによってコストダウン可能と
し、波力発電用と船舶ラダー操作用とに共用可能とする
ことである。本発明ではこのために前記の固定ベーンの
固定構造を見直すことによって、合理的な製造ができる
揺動ベーン形ポンプ・アクチュエータを実現しようとす
る。その基本構造は図4の下方に図示している。その技
術思想の基本は、大形部品の再加工をなくし、固定ベー
ンの固定ボルトに加わるせん断力を無理なく低減するこ
とである。図4の下方に図示する本発明の固定ベーンで
は、円筒形状である筒形ケース8−1の内面円弧と同一
の外面円弧を有する形状とし、ボルト23−2とノック
ピン24とを併用して固定ベーン9−2を筒形ケース8
−1に固定することとし、さらに固定ベーン9−2の四
隅にはそれぞれシールを設けて、受圧面を形成する線分
c−dの傾きをより傾いた角度にすることで、その固定
強度を相対的に高めるようにした。ノックピン24の圧
入方向はボルトと同じ方向だけでなく、せん断面積を増
加させるようにロータ軸方向に圧入することもできる。
受圧面の傾きの変化がどのような作用力の相違をもたら
すかを図上で説明すると、シール点で高圧力が封止され
るのでa,b,c,dの各点を高圧境界点と考えること
ができ、線分a−bと線分c−dの受圧面に加わる力を
比較すればよい。固定ベーンがケースに押し付けられる
力を比較すると、受圧面積の大きさは従来型のXに対
し本発明ではXとなっている。この指標は固定ベーン
が油圧力によってケースに押し付けられる力の大きさの
比率を表しており、本発明の固定ベーン9−2の方が大
きな力でケースに押し付けられる。この結果ケース円周
方向の油圧力に対して、前記のケース押し付け力による
摩擦力が発生し、抵抗力となる。従ってノックピン24
やボルト23−2に加わるせん断力も摩擦力の増大分だ
け低減されて、余裕が生ずることになる。更に、本発明
の固定ベーン固定方法では、シール20−L,シール2
0−Rにより内部側への圧力を封止しているので、ボル
ト等の固定位置は常に低圧位置となり、ボルト等の周囲
からの作動液の漏れが発生する可能性は殆どない。
【0015】図4の上下に別けて図示された固定ベーン
のロータ外周側のシール31と21とは、形状が大きく
異なっている。その第一の理由は、シール性能の改善を
図る必要があるためである。ゴム等のエラストマー系シ
ールでは、高圧使用時には耐久性に問題が生じた。その
対策として硬質のシールを使用すると、今度は左右の作
動室の高低圧の切り替わり時に、シールの追随性が不十
分で応答遅れによる一時的な作動液漏れが発生した。本
発明ではその対策として一組のシールでの左右両方向の
シールではなく、一方の方向へのシール作用のみを受持
ち、他の方向へはシール作用を有しないシールを、背中
合わせに二組備えた構造としている。その詳細は図5に
図示してあるが、固定ベーンの取り付け方法の違いによ
って、筒形ケース8−1と比較した筒形ケース8−2で
は、揺動ベーン7が接する内径が同一であっても、その
最外径を小さくすることができる。
【0016】図5は本発明の固定ベーン9−2のシール
構造の詳細を示す断面図である。固定ベーン9−2は静
止シールにより筒形ケース8−2との接触面のシールを
行い、摺動シールによってロータ6の外周面とのシール
を行う必要がある。図の下方の静止シールは左のシール
20−Lと右のシール20−Rとを備え、ロータ6の外
周面と摺動する上方のシールは左のシール21−Lと、
右のシール21−Rとを備えている。この内静止シール
はゴム製であり、その内面に向かう方向の圧力をシール
するが、摺動シールは特殊金属その他の硬質材質で製造
されている。このシール21−Lとシール21−Rとは
一方向のみのシール作用が可能で、逆方向のシール作用
はできない。この硬質材質によるシール作用は、ロータ
6の外周面との摺動面と、固定ベーン9−2のシール溝
面27−L若しくは27−Rとの接触面の圧接により実
現されている。このため、シールの内部側に向かう方向
の圧力に対してはシール作用はなく、逆方向の圧力に対
してのみシール作用を発揮する。図上で左側の作動室が
高圧である時は、左側のシール21−Lは右側に押され
てシール溝面27−Lの接触面から離れ、従って、作動
液の圧力は右側のシール21−Rにまで及び、この右側
のシール21−Rはロータ6の外周面とシール溝面27
−Rとに圧接しているので、初期漏れ現象や応答遅れが
ない十分なシール作用を発揮する。反対の右方向からの
圧力は左側のシール21−Lがシールすることになる。
ロータ6との圧接力は、ばね26−Yによっても付与さ
れ、シール溝面27−Lと27−Rとの圧接力は、ばね
26−Xにより付与されているから、ばねの圧接力が働
く方向への圧力に対しては応答遅れのないシール作用が
期待できる。このシール21−Lとシール21−Rと
は、組立ての際にもシールやばねが脱落しないように、
金具22によって支えられている。金具22はボルト2
5により固定ベーン9−2にしっかりと固定されてい
る。この固定ベーンのロータ外周面でのシール構造の改
良も、揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの耐圧性向
上に対し信頼性を高めることで役立っている。
【0017】本発明の固定ベーンの固定方法の改善にお
ける、固定ベーン製造工程の簡易化について触れてみ
る。振り子式波力発電装置への応用を前提とした寸法を
採用すると、最初に外径800mm、内径530mm、
長さ400mm程度の極肉厚円筒の鉄鋼材料を正面旋盤
によって高精度に仕上げておき、次いでこれを鋸盤によ
って多数の固定ベーンの大きさに切断しておく。この切
断面をフライス加工によって加工し、高精度な最終形状
にまで仕上げることができる。その際には、シール溝加
工等も同時に行うことができる。このようにして出来上
がった固定ベーンは、ノックピン用の穴加工以外は、殆
ど筒形ケースへの取り付け後の再加工の必要はなく、筒
形ケースの内面への切り込み部加工の不要化と合わせ、
大型部品の加工工程の低減を実現している。
【0018】最後にスリランカで建設予定の振り子式波
力発電装置用の揺動ベーン型ポンプの具体的な仕様を示
しておく。尚、船舶ラダー操作器との共用可能仕様であ
る。 押しのけ容積:225×1,000cm/rev、耐
圧:25MP 筒形ケース外径:1,020mm、筒形ケース内径:8
00mm ロータ外径:530mm、ベーン幅:400mm、ロー
タ軸径:320mm ノックピン:15mm(外径);400mm(長さ);
2本(本数);取り付け方法:固定ベーンと筒形ケース
との接触面に沿った軸方向に挿入
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、外径面が円筒形状の固
定ベーンを筒型ケース内面に合理的に強固に固定し、ボ
ルト周辺からの作動液漏れの恐れのない構造であり、従
来よりも少ない加工工程で製造することができ、製造コ
ストは少なくとも15%低減することができた。波力発
電用の揺動ベーン型ポンプでは外径寸法は40mm減少
することができた。この波力発電用ポンプの耐圧性を維
持してこれを揺動ベーン型アクチュエータ共用仕様とす
れば、船舶ラダー操作器に応用することができ、従来の
2倍の耐圧性を実現することができる。この結果、アク
チュエータの小型化のみならず、操作用油圧装置全体も
市販品の25MPの標準品が使用でき、油圧システム
全体としての合理化を図ることができる。空間的制約が
つきまとう船尾室内部で、外径寸法は30%程度、重量
は10%程度減少させることができる。船内操舵室のア
レンジメントもすっきりさせることができる。揺動ベー
ン型アクチュエータとして一般用途に近いロボットアー
ムヒンジに応用すれば、同様に耐圧性を2倍に高めるこ
とができ、特に重い物を搬送するロボットアームの軽量
化に役立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエー
タを、振り子式波力発電装置のポンプとして応用した場
合の正面断面図aと側面断面図bである。
【図2】は本発明の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエー
タを、船舶ラダー操作器のアクチュエータ用として応用
した場合の断面図である。
【図3】は本発明の一実施例としての揺動ベーン型ポン
プ・アクチュエータのロータ側面シール構造の断面図で
ある。
【図4】は、上半分を従来の波力発電装置の揺動ベーン
型ポンプにおける固定ベーンの固定構造を含む、揺動ベ
ーン型ポンプの断面として示し、下半分を本発明の一実
施例の固定ベーン固定構造を含む断面図として示す対比
図である。
【図5】は本発明の一実施例の揺動ベーン型ポンプ・ア
クチュエータにおける固定ベーンのシール構造の断面図
である。
【符号の説明】
1 ケーソン 2 水室 3 振り子板 4、4’軸 5 揺動ベーン型ポンプ 6、6’ロータ 7、7’揺動ベーン 8、8’、8−1、8−2 筒形ケース 9、9’、9−1、9−2 固定ベーン 10、10’、11、11’サイドカバー 12 球面形状を有する支持部 13 台 14、14’ポート 15 クリュー 16 ラダー 17 ベーンシール 18 リング状のロータ側面シール 19 ロータ側面 20−L,20−R 定ベーンの静止シール 21−L,21−R 定ベーンの摺動シール 22 金具 23−1,23−2 ボルト 24 ノックピン 25 ボルト 26−X,26−Y ばね 27−L,27−R シール溝面 28 切り込み部 29 シール 30 大気室 X 従来の固定ベーンが筒形ケース内面に押し
付けられる受圧面の大きさ X 本発明の固定ベーンが筒形ケース内面に押
し付けられる受圧面の大きさ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両側板を備えた円筒形状のケースと、ケ
    ース内部で軸承されたロータと、このロータに強固に固
    定されている揺動ベーンと、前記ケース内面に強固に固
    定されている固定ベーンと、これらの各ベーンとケース
    で形成される作動室を密封するシール手段とを備えた揺
    動ベーン型ポンプ・アクチュエータにおいて、前記ロー
    タ側面を密封するためのリング状シールの外側のロータ
    側面面積を零に近付けるロータ側面シール構造を有する
    一方、前記の固定ベーンはケースの内面曲率に等しい外
    面曲率の円弧面を有しこのほぼ全円弧面において接触し
    ながらケースと固定される固定手段とともに、この円弧
    面の両端にはそれぞれ接触面内側に向かう方向にのみ作
    動油のシール機能を有するシールを備え、前記固定手段
    が設けられる接触面は常に低圧室側に位置することを特
    徴とする揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータ
  2. 【請求項2】 前記固定ベーンの前記ロータ外周面に接
    する内面の両端附近には、この内面の内部から外部に向
    かう方向への作動油のシール機能のみを有し、逆方向の
    作動油の漏れは許容するシールが設けられることを特徴
    とする請求項1に記載の揺動ベーン型ポンプ・アクチュ
    エータ
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011129642A2 (ko) 2010-04-17 2011-10-20 한국해양연구원 찰과부식 대응 요동베인형 펌프 엑츄에이터

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