JP2002112761A - 微生物計測センサ - Google Patents

微生物計測センサ

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JP2002112761A
JP2002112761A JP2000307703A JP2000307703A JP2002112761A JP 2002112761 A JP2002112761 A JP 2002112761A JP 2000307703 A JP2000307703 A JP 2000307703A JP 2000307703 A JP2000307703 A JP 2000307703A JP 2002112761 A JP2002112761 A JP 2002112761A
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ultraviolet
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JP2000307703A
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English (en)
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Masahiko Tsutsumi
正 彦 堤
Yasuhiko Nagamori
森 泰 彦 永
Satoshi Haraguchi
口 智 原
Takumi Hayashi
巧 林
Yukio Hatsuka
鹿 行 雄 初
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物濃度を適正に維持もしくは抑制する下
水処理場、浄水場、産業排水処理設備などのプラントの
運転管理もしくは運転制御に利用できる微生物計測セン
サを提供すること。 【解決手段】 本発明の微生物計測センサは、測定対象
水13を紫外線照射部3へ供給する供給手段8と、測定
対象微生物を対象外微生物から選別するための適正な紫
外線照射条件に基づいて、紫外線照射部3における測定
対象水13に紫外線を照射する紫外線照射手段1と、を
備えている。化学特性測定手段2が、紫外線照射水中の
微生物の生存もしくは死滅に関連する化学特性値を測定
する。微生物濃度演算手段17が、紫外線照射水中の化
学特性値から、微生物濃度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水管内水、雨水
貯留施設内水、下水処理場流入水、反応タンクや沈殿池
などの下水処理場内工程水、下水処理場処理水などの水
中の、大腸菌群、一般細菌、従属栄養細菌、一般細菌、
硝化細菌、脱窒細菌、リン蓄積細菌、放線菌、糸状細
菌、原生動物、後生動物、クリプトスポリジウム、大腸
菌O−157などの微生物濃度や、浄水場における取水
原水もしくは処理水(送水)中の、藻類、大腸菌群、一
般細菌、クリプトスポリジウム、大腸菌O−157など
の微生物濃度や、産業排水処理設備の流入水もしくは、
処理水中の上記種類、もしくは産業工程で使用、生成す
る微生物の濃度や、河川、湖沼、海域などの公共用水に
おける上記種類の微生物濃度などを迅速かつ高精度に計
測して、上記微生物濃度を適正に維持もしくは抑制する
運転管理もしくは運転制御に利用する技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の微生物計測技術の2つの例とし
て、培養法と免疫センサについて以下に説明する。
【0003】従来の培養法として、図14は培養法の装
置概略図、図15はその測定フロー図である。図14に
おいて、101はシャーレなどの培養容器、102は測
定対象水を投入した培地(微生物のえさ)、103は培
養の恒温槽、である。
【0004】図15に示すように、その測定方法は、ま
ず、他の雑菌が混入しないように(コンタミネーション
防止)、培養容器101を高温状態もしくは高温加圧状
態で殺菌する。次に、培地102を調製し、かつ、この
培地102も殺菌する。続いて、測定対象水を培地10
2に投入して混合し(植菌)、恒温槽103内で1日〜
60日培養する。その後、容器101を恒温槽103か
ら取り出し、コロニー(微生物群の塊)を目視観察し、
その数を測定し、微生物濃度を算出する。なお、主な微
生物ごとの培養条件は、以下の通りである。
【0005】・大腸菌群 :20時間 ・一般細菌 :1日 ・従属栄養細菌 :7日 ・硝化細菌 :1〜2ヶ月 ・放線菌 :1〜4週間 もう1つの従来技術である免疫センサの構成を、図16
に示す。図16において、111はセンサ反応部、11
2は抗体、113は膜、114は検出槽、115は検出
器、116は増幅部、117は変換器、118は測定対
象水、119は測定処理水、である。
【0006】ここで、図16に示す免疫センサの製造方
法について説明する。例えば、硝化細菌を含んだ液を、
図15に示すフローと同様に培養し、硝化細菌のみを抽
出し、さらにそれをマウス、ラットなどの小動物に摂取
して、免疫反応を起こさせる。数日問経過すると、硝化
細菌に反応する抗体が小動物の中に形成されてくる。こ
れに細胞融合などのバイオテクノロジー技術を適用する
ことによって、硝化細菌のみに反応する抗体、すなわ
ち、モノクロナル抗体を獲得することができる。このよ
うな硝化細菌に反応する抗体112を、支持体としての
腹113に結合させる。
【0007】この状態で、測定対象水118を供給する
と、測定対象水118中に硝化細菌が含まれている場合
に、抗体112に硝化細菌が結合し、凝集反応が起こ
る。この反応が、例えば画像センサで構成される検出器
115で計測され、その計測データに基いて増幅部11
6および変換器117で硝化細菌の濃度が演算処理され
る。
【0008】その他、免疫センサではないが、測定時間
が6〜12時間という硝化細菌測定キットが実用化され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上に
説明した従来技術においては、次のような問題が発生し
ている。
【0010】培養法においては、測定時間が、1日〜6
0日と非常に長い。そのため、それらの測定値を用い
て、下水処理場、浄水場、排水処理設備などのプラント
の運転を管理することができない。また、大腸菌群、ク
リプトスポリジウム、O−157などの有害微生物が流
出したり、あるいは、流出しそうになったりした時も、
測定結果を得るまでに上記のような長時間がかかるた
め、迅速な対応をとることが不可能である。
【0011】さらに培養法においては、準備作業及び測
定作業に、手間と熟練が必要である。すなわち、滅菌、
植菌などの準備、測定等の作業に手間と熟練を要し、測
定手法として一般的に実施することが困難である。ま
た、これらの作業を自動化したセンサを構築する場合、
メカニクスが非常に複雑となるため、その製造コストは
高く、メンテナンス性も悪い。
【0012】一方、免疫センサにおいても、測定時間
が、同様に、数時間(6〜12h)と長い。上記の培養
法よりは改善されているものの、まだ運転管理に利用す
るためには長く、やはり微生物の流出などの異常状態へ
の即座の対応が困難である。
【0013】さらに免疫センサにおいては、抗体が不安
定で、長期間のセンシングが不可能である。すなわち、
抗体はたん白質であり、高温、雑菌、汚れなどに弱く、
長期間使用していると変性してしまい、本来の特性であ
る特定の微生物との結合が不可能となり、実際上、数週
間以上にわたる長期の使用ができない。
【0014】そして免疫センサにおいても、抗体作成作
業に、手間と熟練が必要である。すなわち、マウスなど
の小動物の取り扱い、免疫・抗体の取り出し、細胞融合
などの作業において、非常に特殊かつ熟練した技術が必
要である。また、熟練者であっても、抗体作成には1ヶ
月以上が必要であり、非常な手間を要している。
【0015】本発明は、このような点を考慮してなされ
たものであり、下水管内水、雨水貯留施設内水、下水処
理場流入水、反応タンクや沈殿池などの下水処理場内工
程水、下水処理場処理水などの水中の、大腸菌群、一般
細菌、従属栄養細菌、一般細菌、硝化細菌、脱窒細菌、
リン蓄積細菌、放線菌、糸状細菌、原生動物、後生動
物、クリプトスポリジウム、大腸菌O−157などの微
生物濃度や、浄水場における取水原水もしくは処理水
(送水)中の、藻類、大腸菌群、一般細菌、クリプトス
ポリジウム、大腸菌O−157などの微生物濃度や、産
業排水処理設備の流入水もしくは、処理水中の上記種
類、もしくは産業工程で使用、生成する微生物の濃度
や、河川、湖沼、海域などの公共用水における上記種類
の微生物濃度などを迅速かつ高精度に計測して、上記微
生物濃度を適正に維持もしくは抑制する下水処理場、浄
水場、産業排水処理設備などのプラントの運転管理もし
くは運転制御に利用できる微生物計測センサを提供する
ことを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、測定対象水を
紫外線照射部へ供給する供給手段と、測定対象微生物を
対象外微生物から選別するための適正な紫外線照射条件
に基づいて、紫外線照射部における測定対象水に紫外線
を照射する紫外線照射手段と、微生物の生存もしくは死
滅に関連する紫外線照射水中の化学特性値を測定する化
学特性測定手段と、紫外線照射水中の化学特性値から微
生物濃度を算出する微生物濃度演算手段と、を備えたこ
とを特徴とする微生物計測センサである。
【0017】本発明によれば、紫外線照射水中の微生物
の生存もしくは死滅に関連する化学特性値を測定するこ
とによって、微生物濃度を迅速かつ高精度に計測するこ
とができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の
形態の微生物計測センサの測定原理を示す図である。図
1に示すように、測定対象水の微生物濃度Xiは、紫外
線が照射されることにより、ある一定のラグタイム(無
駄時間)を経て指数的に減少し、最終的にはほとんど0
となる(殺菌される)。しかしながら、測定対象微生物
の種類ごとに、そのラグタイムや減少速度は異なる。本
件発明者らは、紫外線殺菌実験により、特に紫外線に弱
い微生物ほどそのラグタイムが短く、減少速度が大きく
なることを知見した。従って、このラグタイムと減少速
度の違いに基づいて、測定対象微生物を対象外微生物か
ら特異的に選別することが可能であることを知見した。
【0019】例えば、図1に示すように、下水のような
大腸菌群と従属栄養細菌群との2種類の微生物群が混在
する測定対象水に対して紫外線を照射すると、図1のt
1時において、従属栄養細菌群のほとんどが未だ死滅し
ていないのに大腸菌群は全て死滅している。すなわち、
t1時における各々の化学特性の違いから、微生物群を
特異的に選別(センシング)可能なのである。
【0020】本実施の形態は、このような紫外線照射に
よる微生物の抵抗性(強さ)を利用するものである。図
2は、本実施の形態の微生物計測センサである、呼吸速
度を利用した大腸菌センサの構成概略図である。図2に
おいて、1は紫外線ランプ(紫外線照射手段)、2はD
O計(化学特性測定手段)、3は反応器(紫外線照射
部)、4は撹拌器、5は空気源、6は散気管、7は空気
管、8はポンプ(供給手段)、9は開閉弁、10〜12
は管、13は測定対象水、14は測定処理水、15は紫
外線強度調整部、16は呼吸速度演算部、17は微生物
濃度演算部、18は制御装置、である。
【0021】図2の微生物計測センサの作用を、図3の
フローチャートにより説明する。
【0022】まず、ポンプ8をONにすることにより、
測定対象水13として下水処理場処理水を反応器3内に
供給する。次に、ポンプ8をOFFにしてその供給を停
止し、コンプレッサ5をONにして、空気源5から空気
を反応器3内に供給し、反応器3内の測定対象水13中
の溶存酸素濃度(DO:Disso1ved Oxygen)を飽和状態
の8〜10mg/Lまで高くする。その後、コンプレッ
サ5をOFF、撹拌器4をONにして、DO計2の計測
を開始する。
【0023】この時の状態は、呼吸速度測定時における
DO変化図(図4)のAに相当している。すなわち、測
定対象水13である下水処理場処理水中の、大腸菌群と
従属栄養細菌群との両方が呼吸を行い、それによりDO
が消費されている状態である。(1)式に示すように、
グラフの傾きが呼吸速度である。
【0024】 [Rr]=d[DO]/dt.......(1)式 Rr:呼吸速度(Respiration Rate)、単位mg/L/m
in DO:溶存酸素濃度(Disso1ved Oxygen)、単位mg/L このようにして第1の呼吸速度[Rr]1 の測定を終了
した後、撹幹器4をOFF、開閉弁9をONにする。こ
れにより、測定処理水14が排水される。
【0025】次に、ポンプ8をOFFにしてから一定時
間内に、紫外線ランプ1がONになったか否かを判断し
て、なっていなければ(No)紫外線ランプ1をONに
して、紫外線照射殺菌を行う。ここで紫外線照射時間
は、従属栄養細菌群は生存しかつ大腸菌群が死滅する条
件に設定される。この条件での紫外線照射の後、紫外線
ランプ1をOFFにし、前記と同様に第2の呼吸速度
[Rr]2 を演算する。この[Rr]2 は、大腸菌群の
みが死滅していることにより、大腸菌群以外の従属栄養
細菌群のみの呼吸速度である。これは、図4のBに相当
する。
【0026】そして、紫外線ランプ1がONであったこ
とを判断した後(Yes)、呼吸速度演算部16が
(2)式に示す呼吸速度差分演算によって、大腸菌群の
みの呼吸速度[Rr]3 を算出する。そして、微生物濃
度演算部17が、(3)式を利用して、測定対象微生物
である大腸菌群の微生物濃度X3 を算出する。
【0027】 [Rr]3 =([Rr]1 −[Rr]2 ) .. (2)式 X3 =a*[Rr]3 ........... (3)式 [Rr]1 :測定対象水の呼吸速度(大腸菌群十従属栄
養細菌) [Rr]2 :紫外線照射水の呼吸速度(従属栄養細菌) [Rr]3 :測定対象水と紫外線照射水の呼吸速度差分
(大腸菌群) X3 :大腸菌群の濃度 以上のように、本実施の形態によれば、紫外線照射水中
の微生物の生存もしくは死滅に関連する化学特性値を測
定することによって、微生物濃度を迅速かつ高精度に計
測することができる。
【0028】特に、化学特性値としてDO計2によって
測定される呼吸速度を利用しているため、センサとして
の測定精度が高い。また、この場合、微生物濃度X3
呼吸速度[Rr]3 の比例関数として算出されるため、
センサ運転開始時の設定も容易である。
【0029】また、適正な紫外線照射条件のために照射
時間の調整を利用することにより、タイマ制御、シーク
エンス制御など単純な制御方法で測定対象微生物を対象
外微生物から選別することが可能となる。
【0030】本実施の形態では、紫外線ランプ1,DO
計2、撹拌器4などを、反応器3内において、垂直方向
に、密閉状態の液相部に設置したので、紫外線照射条件
が安定すると共に、センサの精度が向上している。
【0031】なお、水供給手段(ポンプ8等)により、
測定対象水13は濃縮あるいは希釈されることなく、そ
のままの状態で供給されるため、センサの構成がシンプ
ルである。
【0032】もっとも、本実施の形態の微生物計測セン
サは、以下のように種々に変形され得る。
【0033】例えば、適正な紫外線照射条件の調整方法
としては、照射時間を調整する他、紫外線ランプの強度
を調整したり、作動させる紫外線ランプの台数を調整す
ることも有効である。この場合、照射時間による選別方
法と比較して、より短い時間で紫外線照射殺菌反応を得
ることができる。
【0034】また、紫外線照射手段としての紫外線ラン
プ1等の各構成部材の配置や数は、図2に示す態様に限
定されない。例えば、各構成部材は、垂直方向の他、水
平方向や斜め方向にも設置され得る。
【0035】また、紫外線ランプ1は、水に浸せき状態
で配置される必要はない。例えば、図5に示すように、
紫外線ランプ1bが気相部分に設置される態様も採用可
能である。図5の場合、紫外線ランプ1bを除いた微生
物計測センサユニット19は、液相部に配置されてい
る。この場合、紫外線ランプ1bは、気相部にあるので
水に汚れることがなく、メンテナンスが容易である。あ
るいは、図6に示すように、微生物計測センサ22は、
密閉状態の測定対象水中に配置されないで、測定対象水
が流れるプラントそのものに取り付けることも可能であ
る。ここで、20は下水処理場の最終沈殿池、21は越
流堰である。この場合、水供給手段としてポンプや配管
などを設置する必要がなく、センサの構成が更に容易と
なる。
【0036】また、化学特性測定手段としては、呼吸速
度を測定するDO計2を採用したが、それ以外の測定手
段を用いることも可能である。
【0037】例えば、ORP(Oxygen Reduction Poten
tia1:酸化還元電位)計による呼吸速度検出が可能であ
る。この場合、図7に示すように、DO計2に比べてや
や無駄時間が長く応答性が低くなるものの、測定対象水
の検出レベル(A)と紫外線照射水の検出レベル(B)
との差の変化速度が高くなり、すなわち、検出感度が向
上するといった効果がある。
【0038】あるいは、化学特性測定手段として吸光度
の測定手段を採用することができる。すなわち、吸光度
による生物の生存・死滅の判断を利用することが可能で
ある。
【0039】例えば、藻類などの色素を有する微生物
は、ある波長λ1に特定の吸光度を有する。吸光度と微
生物濃度との関係は、(4)式〜(7)式の関係で示さ
れる(ランバート・べールの法則)。そして図8に示す
ように、紫外線照射殺菌前後の吸光度の差(実線と点線
との差)を検出することにより、微生物濃度が検出可能
である。この場合、呼吸速度を検出する方法に比べて、
より一層短い時間(1〜5分)での測定が可能となる。
【0040】 ABS=Iog(I0 /I)....... (4)式 =β・C・L........... (5)式 ABS:吸光度 I0 :測定セルに入る単色光の強度 I :測定セル透過後の光の強度 C :測定対象物質の濃度 L :測定セルの長さ β :比例係数 [ABS]3 =([ABS]1 −[ABS]2 )..(6)式 X3 =a*[ABS]3 ............(7)式 [ABS]1 :測定対象水の吸光度(藻類十従属栄養細
菌) [ABS]2 :紫外線照射水の吸光度(藻類) [ABS]3 :測定対象水と紫外線照射水の吸光度差分
(藻類) X3 :藻類の濃度 あるいは、化学特性測定手段として蛍光強度の測定手段
を採用することができる。すなわち、蛍光強度による生
物の生存・死滅の判断を利用することが可能である。こ
こで蛍光強度とは、X線など高エネルギーを物質に照射
し、その時に励起し基底状態に戻るときに物質から出さ
れる蛍光の強度である。
【0041】蛍光強度は、前記吸光度と同様に、色素成
分を有する微生物との相関が高い。このため、紫外線照
射後の蛍光強度、例えば、紫外線照射前後の蛍光強度の
差分を利用することによって、微生物濃度を測定するこ
とができる。この態様を採用すれば、さらに高い精度で
微生物濃度を検出することが可能である。
【0042】あるいは、化学特性測定として、核酸の1
種であるDNAの塩基成分のA,T,G,Cの含量を測
定し、特にGC含量を測定することにより、紫外線照射
により破壊された遺伝子の濃度から微生物の濃度を計測
することが可能である。
【0043】この態様を採用すれば、紫外線照射によっ
て微生物のDNAの一部が損傷を受けることに基づき、
直接その損傷の程度を測定できるため、微生物の選別の
精度が更に向上する。また、塩基組成の濃度のみなら
ず、紫外線照射前後の塩基配列を比較することにより、
微生物を特定することも可能である。
【0044】なお、以上の実施の形態においては、微生
物濃度の演算式として(3)式のような比例関係式を用
いたが、それ以外の数式モデルを使用することも可能で
ある。例えば(8)式のような線形式、(9)式のよう
なべき乗式、(10)式のような指数関数式なども採用
可能である。
【0045】 X3 =a*[Rr]3 +b.......(8)式 X3 =a*([Rr]3 c +b ...(9)式 X3 =a*ex .........(10)式 (x=[Rr]3 ) [Rr]3 :測定対象水と紫外線照射水の呼吸速度差分
(大腸菌群) X3 :大腸菌群の濃度 a,b,c:定数 また、微生物濃度X3 を算出するための入力値として、
[Rr]3 以外の入力値を用いた補正演算を採用するこ
とも可能である。例えば、図9に示すように、測定対象
水13が導入される管10の内部に配置された濁度計3
1の濁度値によって微生物濃度演算部17の出力値を補
正する微生物濃度補正演算部32が設けられ得る。より
具体的には、(11)式に示すように、濁度値TUを用
いた補正演算が可能である。この場合、濁度のような供
雑成分の混入があっても、紫外線照射による測定対象微
生物の選別の精度を高く維持することが可能である。
【0046】補正のための入力値(因子)としては、濁
度以外にも、SS( Suspended So1id:浮遊物質)量、
UV値(紫外線吸光度)、pH、水温、COD,TOC
のいずれか1つ以上が使用され得る。
【0047】 X3 =a*[Rr]3 +b........(8)式 X4 =d*X3 /[TU]........(11)式 [Rr]3 :測定対象水と紫外線照射水の呼吸速度差分
(大腸菌群) X3 :大腸菌群濃度 a,b:定数 [TU]:濁度 X4 :補正演算後の大腸菌群濃度 d :補正係数 また、測定対象微生物もしくは対象外微生物のどちらか
を抑制する化学物質もしくは当該化学物質を溶解した水
を、紫外線照射部である反応器3内へ供給することが有
効である。例えば、図10に示すように、測定対象微生
物の抗生物質35が、ポンプ36を有する管37を介し
て、反応器3内に供給される。この供給のタイミング
は、図3を用いて説明した紫外線照射工程の前である。
【0048】この場合、測定対象微生物の選別がより一
層容易となる。
【0049】なお、化学物質として色素物質を追加する
こともできる。このような色素成分の投入は、従属栄養
細菌群の紫外線殺菌を特異的に加速させると共に大腸菌
群の紫外線殺菌を低下させることが、本件発明者によっ
て知見された。
【0050】さらには、紫外線照射部としての反応器3
に至る前に、測定対象微生物もしくは対象外微生物のど
ちらかを抑制する加熱処理もしくは冷蔵処理を行うこと
が有効である。例えば、ヒータによる加熱処理を併用し
て最適生育温度の違いを利用することにより、選別が加
速され得る。あるいは、冷蔵処理を併用することによっ
ても、選別の効率向上が可能である。
【0051】また、測定対象水を濃縮あるいは希釈する
ことにより、微生物の生存もしくは死滅に関連する化学
特性を測定する化学特性測定手段の測定範囲を実質的に
拡大することが可能である。
【0052】例えば、測定対象水、阻害物質添加の測定
対象水、紫外線照射水、阻害物質添加紫外線照射水のい
ずれか1つ以上を濃縮する手段と、当該濃縮の濃縮率を
算出する手段と、を更に備え、微生物濃度演算手段が、
微生物濃度を前記濃縮率で除するようになっていること
が好ましい。
【0053】このような例を、図11を用いて説明す
る。図11において、41は限外ろ過膜(濃縮手段)で
あり、測定対象水13はポンプ8を駆動することにより
限外ろ過膜41を透過し、透過液45が管44を介して
排出される一方、透過しない液すなわち濃縮液がある一
定の比率(濃縮率R1)で管42を介して反応器3内に
供給される。
【0054】この反応器3内では、前記と同様に微生物
濃度が計測されるが、その値をR1で除した値が真が微
生物濃度として算出される。
【0055】 R1=Q1/Q2..............(12)式 X4 =X3 /R1..............(13)式 R1:濃縮率 Q1:流入量(ポンプ8の流量) Q2:透過流量 X3 :大腸菌群濃度 X4 :真の大腸菌群濃度 濃縮によって検出感度を上昇させることにより、測定対
象水13中の測定対象微生物の濃度が低くて測定が困難
である場合であっても、容易に測定が可能となる。
【0056】なお、限外ろ過膜41の代わりに、精密ろ
過、中空糸、逆浸透のいずれか1つ以上の膜を使用する
ことにより、対象微生物の各種の粒子径に対応すること
が可能となる。
【0057】さらに、図12に示すように、予め濃縮槽
51(濃縮手段)において測定対象水13を重力濃縮し
て、開閉弁52をONにして、濃縮部分から濃縮液を反
応器3へ供給することも有効である。この場合、自然沈
降作用が利用されるので、ポンプなどの運転が不要とな
り、効率的な濃縮が可能である。また、重力濃縮の他
に、遠心濃縮を使用することも可能である。
【0058】あるいは、測定対象水、阻害物質添加の測
定対象水、紫外線照射水、阻害物質添加紫外線照射水の
いずれか1つ以上を希釈する手段と、当該希釈の希釈率
を算出する手段と、を更に備え、微生物濃度演算手段
が、微生物濃度を前記希釈率で積するようになっている
ことが好ましい。
【0059】例えば、図13に示すように、測定対象水
13のみならず、純水61を反応器3に供給して混合す
ることにより、測定対象水13を一定の比率(希釈率R
2)で希釈する。この場合、(12)式及び(14)式
に示すように、真の大腸菌群濃度X4 を演算処理により
算出する。
【0060】 R2=(Q1+Q3)/Q1.........(12)式 X4 =X3 *R2..............(14)式 R2:希釈率 Q1:流入量(ポンプ8の流量) Q3:純水流量 X3 :大腸菌群濃度 X4 :真の大腸菌群濃度
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、下水管内水、雨水貯留
施設内水、下水処理場流入水、反応タンクや沈殿池など
の下水処理場内工程水、下水処理場処理水などの水中
の、大腸菌群、一般細菌、従属栄養細菌、一般細菌、硝
化細菌、脱窒細菌、リン蓄積細菌、放線菌、糸状細菌、
原生動物、後生動物、クリプトスポリジウム、大腸菌O
−157などの微生物濃度や、浄水場における取水原水
もしくは処理水(送水)中の、藻類、大腸菌群、一般細
菌、クリプトスポリジウム、大腸菌O−157などの微
生物濃度や、産業排水処理設備の流入水もしくは、処理
水中の上記種類、もしくは産業工程で使用、生成する微
生物の濃度や、河川、湖沼、海域などの公共用水におけ
る上記種類の微生物濃度などを1分〜1時間以内に迅速
かつ高精度に計測して、かつ、そのメンテナンス性を容
易に維持して、上記微生物濃度を適正に維持もしくは抑
制する下水処理場、浄水場、産業排水処理設備などのプ
ラントの運転管理もしくは運転制御に利用できる微生物
計測センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微生物計測センサの測定原理を示
す図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の微生物計測センサ
の構成概略図。
【図3】図2の微生物計測センサの作用を示すフローチ
ャート。
【図4】図2のDO計の計測結果の一例を示す図。
【図5】紫外線ランプを気相部に設けた場合の微生物計
測センサの配置概略図。
【図6】測定対象水が非密閉状態にある場合の微生物計
測センサの配置概略図。
【図7】DO計及びORP計の計測結果の一例を示す
図。
【図8】吸光度の計測結果の一例を示す図。
【図9】濁度計の計測結果を利用する場合の微生物計測
センサの構成概略図。
【図10】測定対象水の抗生物質を供給する場合の微生
物計測センサの概略構成図。
【図11】測定対象水を濃縮する場合の微生物計測セン
サの概略構成図。
【図12】測定対象水を濃縮する他の場合の微生物計測
センサの概略構成図。
【図13】測定対象水を希釈する場合の微生物計測セン
サの概略構成図。
【図14】従来の微生物培養法の装置概略図。
【図15】従来の微生物培養法の測定フロー図。
【図16】従来の免疫センサの装置構成図。
【符号の説明】
1 紫外線ランプ 2 DO計 3 反応器 13 測定対象水 16 呼吸速度演算部 17 微生物濃度演算部 31 濁度計 32 微生物濃度補正演算部 35 抗生物質 41 限外ろ過膜 51 濃縮槽 61 純水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/59 G01N 33/18 C 21/64 D 27/416 F 33/18 1/28 K J Z 27/46 341M (72)発明者 原 口 智 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 (72)発明者 林 巧 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 (72)発明者 初 鹿 行 雄 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 Fターム(参考) 2G043 AA01 BA16 CA03 DA01 EA01 EA13 GA02 GA07 GB07 GB21 KA03 LA01 NA01 2G059 AA01 AA05 BB04 BB05 DD04 DD05 DD16 EE01 EE07 FF04 HH03 KK01 MM01 4B029 AA07 BB01 FA11

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定対象水を紫外線照射部へ供給する供給
    手段と、 測定対象微生物を対象外微生物から選別するための適正
    な紫外線照射条件に基づいて、紫外線照射部における測
    定対象水に紫外線を照射する紫外線照射手段と、 微生物の生存もしくは死滅に関連する紫外線照射水中の
    化学特性値を測定する化学特性測定手段と、 紫外線照射水中の化学特性値から微生物濃度を算出する
    微生物濃度演算手段と、を備えたことを特徴とする微生
    物計測センサ。
  2. 【請求項2】化学特性測定手段は、紫外線照射前の測定
    対象水中の前記化学特性値をも測定するようになってお
    り、 微生物濃度演算手段は、紫外線照射前の測定対象水中の
    化学特性値と紫外線照射水中の化学特性値との差分値に
    基づいて、微生物濃度を算出するようになっていること
    を特徴とする請求項1に記載の微生物計測センサ。
  3. 【請求項3】紫外線照射手段は、紫外線照射時間または
    紫外線照射強度が可変であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の微生物計測センサ。
  4. 【請求項4】紫外線照射手段は、複数の紫外線ランプを
    含んでおり、作動する紫外線ランプの数が可変であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の微生物計測センサ。
  5. 【請求項5】紫外線照射手段は、1以上の紫外線ランプ
    を含んでおり、 紫外線ランプは、測定対象水の液相部以外の気相部もし
    くは固相部に配置されていることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれかに記載の微生物計測センサ。
  6. 【請求項6】前記化学特性測定手段は、呼吸速度を測定
    するDO計もしくはORP計であることを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれかに記載の微生物計測センサ。
  7. 【請求項7】前記化学特性測定手段は、吸光度を測定す
    る手段であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれ
    かに記載の微生物計測センサ。
  8. 【請求項8】前記化学特性測定手段は、蛍光強度を測定
    する手段であることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載の微生物計測センサ。
  9. 【請求項9】前記化学特性測定手段は、DNA、RN
    A、リボゾームのいずれか1つ以上の核酸の塩基配列ま
    たは塩基組成を測定する手段であることを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれかに記載の微生物計測センサ。
  10. 【請求項10】微生物濃度演算手段には、微生物濃度演
    算手段によって算出される微生物濃度の値を紫外線照射
    効率に影響を与える因子によって補正する微生物濃度補
    正演算手段が接続されていることを特徴とする請求項1
    乃至9のいずれかに記載の微生物計測センサ。
  11. 【請求項11】紫外線照射効率に影響を与える因子は、
    濁度、SS量、UV値、pH、水温、COD、TOCの
    いずれか1つ以上であることを特徴とする請求項10に
    記載の微生物計測センサ。
  12. 【請求項12】測定対象微生物もしくは対象外微生物の
    どちらかを抑制する化学物質もしくは当該化学物質を溶
    解した水が、紫外線照射部へ供給されるようになってい
    ることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載
    の微生物計測センサ。
  13. 【請求項13】前記化学物質は、色素物質であることを
    特徴とする請求項12に記載の微生物計測センサ。
  14. 【請求項14】紫外線照射部に至る前に、測定対象微生
    物もしくは対象外微生物のどちらかを抑制する加熱処理
    もしくは冷蔵処理が行われるようになっていることを特
    徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の微生物計
    測センサ。
  15. 【請求項15】測定対象水、阻害物質添加の測定対象
    水、紫外線照射水、阻害物質添加紫外線照射水のいずれ
    か1つ以上を濃縮する手段と、 前記濃縮の濃縮率を算出する手段と、を更に備え、 微生物濃度演算手段は、算出した微生物濃度を前記濃縮
    率で除するようになっていることを特徴とする請求項1
    乃至13のいずれかに記載の微生物計測センサ。
  16. 【請求項16】前記濃縮手段は、精密ろ過、限外ろ過、
    中空糸、逆浸透のいずれか1つ以上の膜を有することを
    特徴とする請求項15に記載の微生物計測センサ。
  17. 【請求項17】前記濃縮手段は、重力濃縮手段または遠
    心濃縮手段のいずれか1つ以上を有することを特徴とす
    る請求項15に記載の微生物計測センサ。
  18. 【請求項18】測定対象水、阻害物質添加の測定対象
    水、紫外線照射水、阻害物質添加紫外線照射水のいずれ
    か1つ以上を希釈する手段と、 前記希釈の希釈率を算出する手段と、を更に備え、 微生物濃度演算手段は、算出した微生物濃度を前記希釈
    率で積するようになっていることを特徴とする請求項1
    乃至13のいずれかに記載の微生物計測センサ。
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