JP2002085423A - 有床義歯の製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】臨床上利点の多い注入一括埋没方式を採用して
石膏模型粘膜に均一に合致して、加熱重合され適合精度
の高い変形しない有床義歯の製造法と量産法の確立。 【解決手段】本発明の有床義歯の製造法は終始し一貫し
たフラスコ底面加熱方式であり、あらかじめ加熱してお
いた熱板上で注入一括埋没したフラスコ底面から加熱
し、模型表面温度がもち状レジンの仮重合に必要な温度
に達するまで行う。初期充填後、冷却補填棒と耐圧縮密
封材を補填材として持続加圧補填を特徴とする補填器を
用いることにより、高精度の高い変形しない有床義歯を
量産できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、終始一貫したフラスコ
底面加熱で、持続加圧補填を特徴とする有床義歯の製造
法に関するものである。

【０００２】有床義歯は口腔粘膜との適合精度が最も重
要である。レジン重合するときには重合収縮を伴い、収
縮を少なくするためには重合の進行を方向づける必要が
あり、重合開始した部分の精度は良くなる。したがって
もち状のレジンの重合は模型面から人工歯側へと重合が
進行するのがよい。

【０００３】

【従来の技術】従来、口腔粘膜に接する適合精度の高い
有床義歯の製造法は理論上あったが、臨床上不完全であ
ればその技法を疑問視せざるを得ない。

【０００４】上輪、下輪に別れる注入分割方式であり、
模型加熱については別々の温度設定を必要とし、初期充
填レジン、補填レジン共に冷却して用いる方法はあっ
た。

【０００５】また従来法では重合後最良の適合精度であ
るが、時として未重合層が発現し経時的安定に欠け不適
合義歯となる嫌いがあった。又、冷却した補填棒と耐圧
縮密封材を補填材として用いる方法と、初期充填圧と同
圧に持続加圧補填する方法はなかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】臨床上利点の多い注入
一括埋没方式を採用して石膏模型粘膜面に均一に合致し
て、加熱重合され適合精度の高い変形しない有床義歯の
製造法と量産法の確立。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の有床義歯の製造
法は終始し一貫したフラスコ底面加熱方式であり、あら
かじめ加熱しておいた熱板上で注入一括埋没したフラス
コ底面から加熱し、模型表面温度がもち状レジンの仮重
合に必要な温度に達するまで行う。初期充填後、冷却補
填棒と耐圧縮密封材を補填材として持続加圧補填を特徴
とする補填器を用いることにより、高精度の高い変形し
ない有床義歯を量産できる。

【０００８】流ろう後の石膏模型表面温度が人工歯側表
面温度を常に上回る温度差の存在域を保つ方法は、熱板
上にフラスコを底面加熱する仕様を有利に利用できる。

【０００９】

【作用】本発明に係る上記製造法をとることによって、
所期の課題の達成がみられた。

【００１０】フラスコを上下一対として、もち状レジン
の仮重合に必要な温度になるまで下輪の底面を熱板上で
加熱する。これにもち状レジンを充填すると、重合に方
向性を与えることとなり高い精度のものとなる。

【００１１】レジン床の粘膜面の精度は複製した石膏型
表面温度が、人工歯側表面温度を常に上回る温度差の存
在域にしておくと、初期重合方向が決定され底面加熱下
で初期充填圧と同圧に持続加圧補填しつつ重合、放冷、
することにより粘膜面の精度は最良なる。

【００１２】本発明において、冷却された補填棒と耐圧
縮密封材を補填材として用いることにより初期充填レジ
ンの重合の遅延と、補填の永続性を得ることができる。
このことにより、高精度のレジン床義歯が製造できる。

【００１３】

【実施例】本発明の、実施例を、注入方式を採用した分
割埋没法、無分割一括埋没法の２法のうち、後法を例に
図面について説明する。

【００１４】フラスコ（１）に埋没されたろう完成義歯
の流ろう（空洞化部分を義歯成形空間部）（２）分離剤
塗布後、放冷又は強制冷却することによりフラスコ全体
の温度を低下さす。その後、予め加熱していた熱板上
（３）で、フラスコ底面を加熱することにより（図
１）、模型表面温度（Ａ）が人工歯側表面温度（Ｂ）を
常に上回る温度差存在域をたもちながら、もち状レジン
（９）の仮重合に必要な温度まで加熱する。その後所要
の内部表面温度差存在域と仮重合温度をフラスコ一端の
温度データ分析で制御する。底面加熱下で注入口（８）
よりもち状レジンを初期充填加圧保持（図２）、冷却さ
れた補填棒（１０）をレジンに圧入、耐圧縮密封材（１
５）を補填材として補填充填部（１８）に填入する。
（図４）。補填材充填部（１８）、バネ（１９）、加圧
部（２０）、外輪（２１）からなる補填器（２２）（図
３）を初期充填レジンの圧入圧と同圧に加圧、その後底
面加熱下で使用するレジンの違いにより、（図４・５）
等の重合法を選択して重合、放冷と持続加圧を持続す
る。

【００１５】以下、本発明の根幹である温度変化が及ぼ
す影響について詳述する。熱板上でフラスコ底面から加
熱するとき、流ろうで空洞化された部分を境界としてフ
ラスコから熱伝導が寸断され、模型表面温度より人工歯
側表面の点Ｂ、点Ａに隣接する点をＣとすると、ＡＢ間
の温度変化の方が大きく重合方向を決定とする要因であ
る。点Ａの上昇率と点Ｂの上昇率がほぼ同じであること
は、重合方向、速度、収縮等の変化率がほぼ同じである
ことが推測できる。充填後、底面加熱を継続することよ
りＡＢ間の温度変化が重合完予迄存在することが理解で
きる。この表面間の関係は別々に加熱する方法、また
（図１）の模型表面に傾斜（０〜９０度）を与え埋没し
たフラスコの側面及び底面から加熱する方法には存在せ
ず、図１によるフラスコ底面からの加熱法のみである。
初期充填レジンと補填棒は、初期充填レジンの重合の遅
延、温度差の存在域の経時的拡大、初期充填レジンと補
填材の隔壁、取り出し時スプルーと注入器の分離を容易
にするものである。耐圧縮密封材としての補填材は補填
器の注入器の効果を阻害しないものであり、初期充填レ
ジンに加圧材として働くかどうかであり、レジンにとら
われることなく材質、形状等なんら限定するものではな
い。

【００１６】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、適用温度範囲も広く模型粘膜面に均一に合致した
完全重合で高適合精度なものとして有床義歯を製造でき
る効果をもたらす。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の底面加熱の一例

【図２】 もち状レジン（初期）充填時の断面図

【図３】 補填器の説明図

【図４】 補填器つき持続加圧補填重合中の断面図
（大気中）

【図５】 補填器つき持続加圧補填重合中の断面図
（温湯中）

【図６】 本発明の底面加熱時のフラスコ内部（点
Ａ．Ｂ）の経時的変化グラフ

【符号の説明】

１ フラスコ ８ 注入口
１６ ベント ２ 義歯成形空間部 ９ もち状（初期充填レシ゛
ン）１７ ベントキャプ ３ 熱板 １０ 補填棒
１８ 補填用注入器 ４ 上面板 １１ 人工歯
１９ バネ ５ 底面板 １２ 注入スプルー
２０ 加圧部 ６ 注入器 １３ 模型
２１ 外輪 ７ 上蓋 １４ 石膏埋没
２２ 補填器 １５ 補填材 ２３ 重合槽 Ａ 模型表面の点 Ｂ 人工歯側表面の点 Ｃ 点Ａに隣接する点

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】注入方式を採用して石膏模型を下輪に埋没
   したろう義歯の脱ろう、分離剤塗布を終えたフラスコを
   上下一対として、もち状レジンの仮重合に必要な温度に
   なるまで下輪の底面を熱板上で加熱する。これにもち状
   レジンを底面加熱下で初期充填保持する。つづいて底面
   加熱下で補填棒と補填材をプレス機または補填器にて持
   続加圧補填しつつ重合、放冷することを特徴とする有床
   義歯の製造法
2. 【請求項２】粘膜面を複製した石膏模型表面温度が、人
   工歯側表面温度を常に上回る温度差の存在域を保ちなが
   ら、もち状レジンの仮重合に必要な温度に達するまで、
   加熱しておくことを特徴とする請求項１記載の有床義歯
   の製造法
3. 【請求項３】フラスコ内のレジン床形成空間部にレジン
   充填して、この初期充填レンジの持続加圧保持重合中に
   おいて、冷却された補填棒と耐圧縮密封材を補填材とし
   て重合、放冷、取り出しまで持続加圧補填することによ
   り、初期充填レジンの重合の遅延と温度差の存在域の経
   時的拡大、重合収縮を皆無にすることを特徴とする請求
   項２記載の有床義歯の製造法
4. 【請求項４】初期充填レジン圧入圧と同圧に保持する補
   填材充填の補填器にバネ、圧縮空気、プレス器等の外圧
   を与え、持続加圧補填するよう構成したことを特徴とす
   る請求項３記載の有床義歯の製造法