JP2002071908A - マイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた表示装置 - Google Patents

マイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイを用いた表示装置

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JP2002071908A JP2000265691A JP2000265691A JP2002071908A JP 2002071908 A JP2002071908 A JP 2002071908A JP 2000265691 A JP2000265691 A JP 2000265691A JP 2000265691 A JP2000265691 A JP 2000265691A JP 2002071908 A JP2002071908 A JP 2002071908A
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Hiroshi Egawa
寛 江川
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Comoc Kk
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  • Stereoscopic And Panoramic Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小レンズを多数配列したマイクロレンズア
レイを介して二次元表示画像を立体感のある画像として
表示する表示装置において、これまで以上に強い奥行き
感を発現する。 【解決手段】 微小レンズの配列場所の変化量に対する
微小レンズの焦点距離の変化の割合が微小レンズの配列
場所により異なるマイクロレンズアレイを用い、このマ
イクロレンズアレイ介して見る表示画像の全体像を奥行
き方向に歪ませることで、奥行き感のより強い立体的な
表示を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋内あるいは屋外
に置かれる看板、案内板、表示塔等の表示装置をはじめ
テレビ受像機、パーソナルコンピュータのモニターなど
の電子ディスプレイおよび映画などを含む映像システム
に関し、特に、2次元画像を遠近感のある立体的な像と
して表示せしめる表示装置に関する。また、本発明は、
この表示装置に用いる多数のレンズを配列してなるマイ
クロレンズアレイに関する。
【0002】
【従来の技術】写真、印刷物などの2次元画像を立体的
な画像として見る方法としてすでに幾つかの方法が周知
で、大越孝敬著「三次元画像工学」に整理して提示され
ている。代表的な例としては、対象とする物体を異なる
2方向から撮影した写真(あるいは描画像)をそれぞれ個
別に左眼と右眼でみるもので、両眼視差により立体感を
感じ取るものがある。この方法では左右の眼でそれぞれ
別の画像が見て取れるように作られた装置を覗き込む
か、メガネを用いる等の必要があり、通常の看板、案内
板としては適性に欠けている。
【0003】また、別の例としてレンチキュラ板を用い
た三次元画像がある。これは、かまぼこ状(半円柱状)
の縦長のレンズを横方向に多数配列したレンチキュラ板
の焦点面である裏面に、複数の異なる方向から見た2次
元画像を短冊状(細長い長方形)に切って、横方向に並
べた不連続な図柄の表示画像を配置して、右眼と左眼が
それぞれ別の方向から見た画像が見えるようにして、三
次元画像として認識する方法である。
【0004】このレンチキュラ板を用いる立体表示方式
では、特殊な画像を作る必要があること、画像とレンズ
との位置合わせに厳しい条件が課せられるなどで、高価
であり、取り替えも容易ではない等の欠点がある。以上
説明したメガネによる方法、レンチキュラ板による方法
に変わる第三の手段として、通常の手段で撮られた写
真、あるいは通常の方法で描かれた絵などの連続した図
柄からなる表示画像をそのまま用いて立体的に表示する
ことのできる表示装置が日本国特許として特願平11−
218313号、特願平11−319176号、特願2
000−53954号、特願2000−156608
号、特願2000−162231号、特願2000−2
25557号、および特願2000−232564号
で、本出願人により出願されている。また、特許協力条
約に基づく国際出願として、PCT/JP00/050
84で本発明者および本出願人により出願されている。
なお、以下の説明ではこれらの出願中の特許を先願発明
と呼称する。
【0005】上記出願中の特許で提示されている表示装
置は、表示画像に対向して表示有効領域の一辺の長さよ
り充分小さい微小なレンズからなるマイクロレンズアレ
イを配置し、表示画像を拡大も縮小もすることなく、表
示画像の全体像を表示画像から離れた位置に形成するこ
とにより、一種の錯覚によって奥行き感のある立体的な
表示を行う。
【0006】この先願発明による立体表示では、通常の
絵、写真などの普通に見られる2次元画像を表示画像と
して使用でき、メガネなど等も必要でない。特に、特願
2000−232564号とPCT/JP00/050
84では、マイクロレンズアレイを構成する微小レンズ
の焦点距離を一定でなく、マイクロレンズアレイにおけ
る微小レンズの配列場所によって微小レンズの焦点距離
を変えることにより非常に強い立体感が発現することが
提案されている。また、特願2000−53954号で
は微小なレンズからなるマイクロレンズアレイを比較的
容易に製造する事のできる製造方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特願2000−232
564号で提案した微小レンズの焦点距離が一定で無い
マイクロレンズアレイを用いて、表示画像を奥行き感の
ある立体的な表示を行うに際して、表示特性に微小レン
ズの焦点距離の分布状態とマイクロレンズアレイと表示
画像との位置関係が大きく影響をする。
【0008】これらの表示特性としては、奥行き感を強
く発現するものから、むしろ奥行き感を或る程度抑え
て、優雅さを強調して表示するものまで要求される表示
特性は多様である。本発明の第1の目的は、奥行き感の
強く発現できるマイクロレンズアレイを提供することに
ある。
【0009】本発明の第2の目的は、これら表示特性に
優れる改良されたマイクロレンズアレイの製造方法を提
供することである。本発明の第3の目的は、これら表示
特性に優れる改良されたマイクロレンズアレイを用い
て、より奥行き感に優れた表示特性を呈する表示装置を
提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、以下の手段を採用した。請求項1の発明
は、有効領域の一辺の長さに対して充分小さい微小レン
ズを配列してなるマイクロレンズアレイであって、該微
小レンズの配列場所の変化量に対する該微小レンズの焦
点距離の変化の割合が該微小レンズの配列場所により異
なることを特徴とするマイクロレンズアレイである。
【0011】請求項1の発明によれば、各微小レンズの
像は、2次元画像が微小レンズに対して同じ位置にあっ
ても、当該の微小レンズの焦点距離に応じて、マイクロ
レンズアレイからの距離が異る位置にできる。しかも、
微小レンズの配列場所の変化量に対する微小レンズの焦
点距離の変化の割合が微小レンズの配列場所により異な
るので、マイクロレンズアレイを介して見る2次元画像
の全体像は、2次元画像が平面であっても、奥行き方向
に歪みをもつことになる。しかし、意識として見える全
体像はこの奥行き方向の歪みはほとんど感じられない。
また、微小レンズの像を画素として全体像が構成される
ので、全体像は拡大も縮小もされない。
【0012】請求項2の発明は、有効領域の一辺の長さ
に対して充分小さい複数の微小レンズを配列してなるマ
イクロレンズアレイであって、該微小レンズの配列場所
に対応したマイクロレンズアレイ面上の座標点を通り、
該マイクロレンズアレイ面に垂直な直線上にあり、該マ
イクロレンズアレイ面からの距離が該座標点に対応する
微小レンズの焦点距離に等しくする点を連ねた面が曲面
であるであることを特徴とするマイクロレンズアレイで
ある。
【0013】請求項2の発明によれば、微小レンズの焦
点距離は一様ではなく、微小レンズの配列場所の変化と
ともに変化している。しかも、微小レンズの配列場所の
変化量に対する微小レンズの焦点距離の変化の割合が微
小レンズの配列場所により異なるので、マイクロレンズ
アレイを介して見る2次元画像の全体像は、2次元画像
が平面であっても、奥行き方向に歪みをもつことにな
る。しかし、意識として見える全体像はこの奥行き方向
の歪みはほとんど感じられない。また、微小レンズの像
を画素として全体像が構成されるので、全体像は拡大も
縮小もされない。
【0014】請求項3の発明は、有効領域の一辺の長さ
に対して充分小さい複数の微小レンズを配置してなるマ
イクロレンズアレイであって、焦点距離が極大値である
か、極小値であるかの何れかの一方あるいは両方の微小
レンズが存在することを特徴とするマイクロレンズアレ
イである。
【0015】請求項3の発明によれば、焦点距離が極大
値か極小値になる微小レンズが存在するので、その近く
に焦点距離が微小レンズの配列場所とともに増加する部
分と減少する部分が存在し、これらの部分は焦点距離が
微小レンズの配列場所の変化とともに一様でない割合で
変化をする。したがって、マイクロレンズアレイを介し
て見る2次元画像の全体像は、2次元画像が平面であっ
ても、奥行き方向に歪みをもつことになる。しかし、意
識として見える全体像はこの奥行き方向の歪みはほとん
ど感じられない。また、微小レンズの像を画素として全
体像が構成されるので、全体像は拡大も縮小もされな
い。
【0016】請求項4の発明は、有効領域の一辺の長さ
に対して充分小さい複数の微小レンズを配置してなり、
焦点距離が同等の微小レンズの密集する密集領域が存在
するマイクロレンズアレイであって、互いに焦点距離の
異なる少なくとも2種類以上の密集領域が混在すること
を特徴とするマイクロレンズアレイである。
【0017】請求項4の発明によれば、焦点距離が同等
の微小レンズの密集した2種類以上の密集領域があっ
て、それぞれの種類の密集領域における微小レンズの焦
点距離が異なるので、密集領域毎に像のできる位置が異
なる。したがってマイクロレンズアレイを介して見る2
次元画像の全体像は、2次元画像が平面であっても、奥
行き方向に歪みをもつことになる。しかし、意識として
見える全体像はこの奥行き方向の歪みはほとんど感じら
れない。また、微小レンズの像を画素として全体像が構
成されるので、全体像は拡大も縮小もされない。
【0018】請求項5の発明は、有効領域の一辺の長さ
に対して充分小さい複数の微小レンズを配置してなり、
焦点距離が同等の微小レンズの密集する密集領域が存在
するマイクロレンズアレイであって、該微小レンズの密
集する領域と微小レンズの存在しない領域が混在するこ
とを特徴とするマイクロレンズアレイである。
【0019】請求項5の発明によれば、微小レンズの存
在しない領域は焦点距離が無限大の微小レンズが密集す
る領域とみなすことができ、この領域を介して見る像は
画像の位置に形成されると考えることができる。一方、
微小レンズの密集する領域を介して見る画像の像は画像
から離れた位置にできるので、マイクロレンズアレイを
介して見る2次元画像の全体像は、2次元画像が平面で
あっても、奥行き方向に歪みをもつことになる。しか
し、意識として見える全体像はこの奥行き方向の歪みは
ほとんど感じられない。また、微小レンズの像を画素と
して全体像が構成されるので、全体像は拡大も縮小もさ
れない。
【0020】請求項6の発明は、請求項1及至5のいず
れか1項記載のマイクロレンズアレイと、2次元表示画
像が、該マイクロレンズアレイに対面して、前記微小レ
ンズの最小の焦点距離の2倍の距離よりも該微小レンズ
のレンズ曲面に近い位置に配置されるように、2次元表
示画像と、該2次元表示画像を所定の位置に支持するた
めの画像支持体のうち、少なくとも一方あるいは両方
と、を具備することを特徴とする表示装置である。
【0021】請求項6の発明によれば、マイクロレンズ
アレイはいずれも微小レンズの焦点距離が微小レンズの
配列場所により、微小レンズの配列場所の変化量に対す
る微小レンズの焦点距離の変化の割合が異なる。したが
って、マイクロレンズアレイを介してみる2次元表示画
像の全体像は奥行き方向に歪みをもつことになる。しか
し、意識として見える全体像にはこの奥行き方向の歪み
をほとんど感じない。また、微小レンズの像を画素とし
て全体像が構成されるので、全体像は拡大も縮小もされ
ない。
【0022】2次元表示画像は、微小レンズの最小の焦
点距離の2倍の距離よりも微小レンズのレンズ曲面に近
い位置に配置される。したがって微小レンズが凸レンズ
である場合は、微小レンズの像は拡大像となることが保
証され、微小レンズが凹レンズである場合は、微小レン
ズの像は正立の縮小像となり、その倍率は1/3より大
きいことが保証される。
【0023】請求項7の発明は、請求項1及至5のいず
れか1項記載のマイクロレンズアレイであって、該マイ
クロレンズアレイの微小レンズが凸レンズであるマイク
ロレンズアレイと、2次元表示画像が、該マイクロレン
ズアレイに対して、該微小レンズの最小の焦点距離より
も離れ、該微小レンズの最大の焦点距離よりも近くに位
置するように、2次元表示画像と、該2次元表示画像を
所定の位置に支持するための画像支持体のうち、少なく
とも一方あるいは両方と、を具備することを特徴とする
表示装置である。
【0024】請求項7の発明によれば、マイクロレンズ
アレイと2次元表示画像との距離より大きい焦点距離の
微小レンズと小さい焦点距離の微小レンズとが存在す
る。この大きい焦点距離の微小レンズの像はマイクロレ
ンズアレイより2次元表示画像側で、2次元表示画像よ
り遠く離れた位置に形成され、一方、小さい焦点距離の
微小レンズの像は2次元表示画像と反対側のマイクロレ
ンズアレイの向こう側に形成される。この結果、マイク
ロレンズアレイを介してみる2次元表示画像の全体像は
奥行き方向に大きな歪みをもつことになる。しかし、意
識として見える全体像にはこの奥行き方向の歪みをほと
んど感じることはない。また、微小レンズの像を画素と
して全体像が構成されるので、全体像は拡大も縮小もさ
れない。
【0025】請求項8の発明は、有効領域の一辺の長さ
に対して充分小さい複数の微小レンズを配置してなるマ
イクロレンズアレイであって、相対的に小さい焦点距離
の微小レンズの密集する第1の密集領域と相対的に大き
い焦点距離の微小レンズの密集する第2の密集領域とか
らなる複数のマイクロレンズアレイを、第1の密集領域
と第2の密集領域とが対面する位置関係で、間隔を隔て
て、対向して配置してなることを特徴とする複合マイク
ロレンズアレイである。
【0026】請求項8の発明によれば、複合マイクロレ
ンズアレイを介してみる2次元画像の像は、画像と微小
レンズとの距離がマイクロレンズアレイの場所により異
なる結果、画像の全体像に奥行き方向の歪みが生じる。
しかし、意識として見える全体像はこの奥行き方向の歪
みはほとんど感じられない。また、微小レンズの像を画
素として全体像が構成されるので、全体像は拡大も縮小
もされない。
【0027】請求項9の発明は、請求項8記載の複合マ
イクロレンズアレイと、2次元表示画像から最も近い位
置にある前記微小レンズのレンズ曲面からの距離が、該
マイクロレンズアレイの相対的に小さい焦点距離の微小
レンズと相対的に大きい焦点距離の微小レンズが前記間
隔を隔てて重なった複合レンズの焦点距離よりも長く、
該複合レンズの焦点距離に該間隔の長さを加えた距離よ
りも短い位置に、該マイクロレンズアレイに対面して、
2次元表示画像が配置されるように、該2次元表示画像
と、該2次元表示画像を所定の位置に支持するための画
像支持体のうち、少なくとも一方あるいは両方と、を具
備することを特徴とする表示装置である。
【0028】請求項9の発明によれば、2次元表示画像
はある場所では複合レンズの焦点距離より近くに、ある
場所では遠くに置かれることになって、それそれの像が
複合マイクロレンズアレイの前側と後側の位置にでき、
2次元表示画像の全体像に奥行き方向に大きな歪みが生
じる。しかし、意識として見える全体像にはこの奥行き
方向の歪みをほとんど感じない。また、微小レンズの像
を画素として全体像が構成されるので、全体像は拡大も
縮小もされない。
【0029】請求項10の発明は、柔軟性を有する第1
のシートと熱軟化性を有する第2のシートとを積層し、
該第2のシートを加熱しながら、凹凸面を有するローラ
対して相対的に移動する該積層した積層材を、該凹凸面
を有するローラによって該第1のシートの積層面でない
方の面から加圧するマイクロレンズアレイの製造方法に
おいて、該積層した積層材と該凹凸面を有するローラと
の相対的な移動中に、該第2のシートと該凹凸面を有す
るローラとの相対的移動速度を変える手段か、該第1の
シートの積層面でない方の面から加圧する単位面積当た
りの加圧力を変える手段かのうち、何れか一方あるいは
両方の手段によるマイクロレンズアレイの製造方法であ
る。
【0030】請求項10の発明によれば、第2のシート
を加熱しながら、凹凸面を有するローラによって、第1
のシートの積層面でない方の面から積層材を加圧するの
で、熱軟化性を有する第2のシートが溶け、凹凸面を有
するローラ表面の凸面である突起部分により積層材が押
され、第2のシートの溶けた部分がローラの凹面である
溝の中央方向に移動すると共に、ローラの表面に接して
いる第1のシートも、凸部の突起に対応した部分が沈
み、凹部の溝の中央部が浮き上がった形状の曲面に変形
される。この状態で加熱を止めると、温度が低下して溶
けた第2のシートは固まり始める。温度が冷める過程
で、変形してできた曲面は第1のシートの材質が有する
バネ性などにより元の平面の形状に戻ろうとする力が作
用し、曲がりが緩和される。このようにして出来あがる
曲面はローラの溝の形状がそのまま転写されるのでは無
く、一度受けた積層材の変形の一部はまた元に戻るが、
この変形量によって出来あがるレンズ曲面の曲率半径が
決まる。この変形量は積層材に加わる単位面積当たりの
圧力と積層材とローラとの相対的移動速度で変化する。
【0031】しかも、積層材に加わる単位面積当たりの
圧力あるいは積層材とローラとの相対的移動速度は時間
とともに変化させることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明
の第1の実施の形態における表示装置の断面図である。
図1において、表示装置は、多数の微小レンズ4が配列
されたマイクロレンズアレイ1と、表示する図柄を描い
た表示画像を支持する画像支持体2とを備える。図1に
示す第1の実施の形態のマイクロレンズアレイ1は8個
の領域(1−1乃至1−8)に分割され、焦点距離f1
の微小レンズが密集する領域(1−1,1−3,1−
5,1−7)と焦点距離f0の微小レンズの密集する領
域(1−2,1−4,1−6,1−8)とが交互に並ん
でいる。焦点距離f0と焦点距離f1の微小レンズはいず
れも、そのレンズ曲面は円柱面であり、紙面を貫通して
上から下の方向に長い形状をしている。この焦点距離の
違いを図1では曲率半径の異なる曲面で表している。
【0033】図2は図1に示す第1の実施の形態である
表示装置に用いるマイクロレンズアレイ1の微小レンズ
の焦点距離の分布状態を示している。焦点距離f0の微
小レンズが密集する領域は斜線で示す領域で、焦点距離
1の微小レンズが密集する領域は無地で示す領域であ
る。また、焦点距離f0と焦点距離f1はそれぞれ異なっ
た値であり、どちらが大きくても良いが、以下の説明で
は、焦点距離f0は焦点距離f1より小さいものとして説
明する。
【0034】表示画像は、画像支持体2の表面に直接描
くか、あるいはすでに紙などに描かれた表示画像を画像
支持体2に固定する。この第1の実施の形態において
は、画像支持体が板状であり、表示画像がマイクロレン
ズアレイ1に対面する側の面に描かれている。なお、表
示画像そのものは図1では省略されているが、通常の写
真あるいは印刷物などで周知の連続した図柄からなる2
次元画像である。
【0035】表示画像を観察する観察者3は、画像支持
体2に支持されている表示画像あるいは画像支持体2に
直接描かれている表示画像を、マイクロレンズアレイ1
を介して見る。図1中に示す直線gは観察者3の視線で
ある。なお、マイクロレンズアレイ1と画像支持体2と
の間は空気で満たされた通常の空間である。
【0036】ここで、多数の微小レンズ配列したマイク
ロレンズアレイを介して見る2次元表示画像の見え方に
ついて説明する。以下、2次元表示画像を単に表示画像
と呼称して説明する。なお、「位置」と「場所」を次の
ように分けて説明する。「位置」はマイクロレンズアレ
イと表示画像との位置関係であり、観察者から見て奥行
き方向の位置のことである。「場所」は表示画像の部
分、あるいはマイクロレンズアレイを介して表示画像を
見るときの全体像の部分を指す場所である。これらの部
分も一般には「位置」を用いて表すことがあるが、ここ
では混乱を避けるため「場所」とする。また、マイクロ
レンズアレイを構成する微小レンズのマイクロレンズア
レイ上の場所を「配列場所」と呼称することがある。
【0037】表示画像の全体像は、個々の微小レンズの
像が画素となって、この画素の集まりとして表示され
る。個々の微小レンズの像は表示画像の置かれる位置に
よって拡大/縮小され、表示画像から離れた位置にでき
る。しかし、この画素の大きさは微小レンズの大きさそ
のものであり拡大も縮小もされないので、画素の集まり
である全体像は拡大も縮小もされず、位置だけが表示画
像の位置からずれる。この表示画像から離れた位置に全
体像ができることで奥行き感のある立体的な画像として
見ることができる。この全体像が表示画像から一様に同
じ距離だけ離れた位置にできるよりは、全体像の部分部
分がそれぞれ奥行き方向に表示画像から異なった位置に
形成されると、さらに強い奥行き感が現れる。それも表
示画像とその全体像との距離が全体像の場所の変化とと
もに同じような割合で変化するより、その場所によって
変化の度合いが異なり、場所によって大きく変化したり
小さく変化したり、急激に全体像の位置が変わったりし
て全体像に奥行き方向に複雑で強い歪みが生じているよ
うな場合に、より強い立体感が現れる。この全体像の場
所による奥行き方向の位置の変化は意識として全体像の
歪みとしてほとんど感じられない。この奥行き方向の位
置の変化を無意識に脳の中でのみ感じ取って強い立体感
を発現するものと推定される。見える全体像に歪みをほ
とんど感じることなく非常に強い立体感が得られるのが
大きな特徴である。
【0038】以上に説明した「全体像に奥行き方向の歪
みを生じさせると、強い立体感が現れ、しかも意識とし
て見える表示画像の全体像には歪みとなって現れない」
ことが本発明の根源をなす発見である。なお、この立体
感は微小レンズが凸レンズであっても、凹レンズであっ
ても発現する。
【0039】全体像に生じる奥行き方向の位置の変化
は、意識として全体像の歪とは感じられないので、必ず
しも適切で無いかもしれないが、「全体像の奥行き方向
の歪み」と呼称して説明する。本発明において、以上に
説明した像の見え方は、マイクロレンズアレイを介して
表示画像を見る際の基本的なものである。したがって以
後において、マイクロレンズアレイを介して見えるこの
像の基本的な見え方については改めて説明しない。
【0040】図1に示す第1の実施の形態では、焦点距
離の異なる微小レンズを配列したマイクロレンズアレイ
1により、全体像を奥行き方向に歪ませることで奥行き
感の強い立体的な表示を行う。ここで、表示画像のレン
ズに対する位置とその像の関係について説明する。
【0041】微小レンズについて、表示画像と像の位置
の関係は、レンズの焦点距離をfとすると、次式で与え
られる。 1/S−1/P=1/f ……… (1) ここで、Pは表示画像面のレンズからの距離を、Sは像
のレンズからの距離を表す。Pは常に正値であり、Sが
正値の場合は像の位置がレンズよりも表示画像面側に、
Sが負値の場合は像の位置がレンズより表示画像面と反
対側にあることを示す。また、焦点距離fは凸レンズの
場合は正値、凹レンズの場合は負値となる。
【0042】レンズからの距離を、焦点距離fを単位と
して、その倍数で表すと便利である。そこで、表示画像
面の位置Pを焦点距離fのk倍(kは凸レンズでは正値
に、凹レンズでは負値とする)とすると、 P=k・f ……… (2) と表され、像の位置Sは次式で与えられる。なお、kは
表示画像面の位置を表す係数であり、位置係数と呼称す
ることにする。
【0043】 S=f・k/(1−k) ……… (3) 像の倍率mは、 m=S/P=1/(1−k) ……… (4) で与えられる。
【0044】式(3)から明らかなように、表示画像の
位置がレンズ曲面から等しい位置にあっても、焦点距離
fが異なれば、像の位置Sが異なる。したがって、平ら
な表示画像に対向して平らなマイクロレンズアレイを設
置しても、マイクロレンズアレイを構成する微小レンズ
の焦点距離が微小レンズの位置によって異なる場合は、
表示画像の全体像に奥行き方向の歪みをもたらし、奥行
き感の強い立体感を発現する事ができる。
【0045】一般的な傾向として、全体像の奥行き方向
の歪みが大きいほど奥行き感が強く現れる傾向がある。
この全体像の奥行き方向の歪みは微小レンズの焦点距離
の分布状態だけではき決まらず、表示画像の置く位置に
よっても影響されることは式(3)から明らかである。
【0046】ここで、微小レンズについて表示画像の位
置と像との関係を、式(4)を基に整理して説明する。
なお、像のレンズからの距離S、焦点距離f、位置係数
kは上記の各式においては条件により負値になることが
ある。しかし、一般には絶対値である正値として表現す
るのが常である。したがって式に当てはめる場合以外で
は絶対値を用いることにする。
【0047】微小レンズが凸レンズの場合、表示画像が
微小レンズのレンズ曲面から焦点距離より近い位置にあ
る場合は、倍率が1より大きい正立の拡大像となる。焦
点距離より遠く、焦点距離の2倍の距離よりも近い場合
は倍率が1より大きい倒立の拡大像となる。さらにこれ
より遠くの位置にあると倒立の縮小像となる。
【0048】微小レンズが凹レンズの場合、表示画像が
微小レンズのレンズ曲面から離れた位置にあれば、どの
位置にあっても正立の縮小像でレンズ曲面から離れれば
離れるほど像は縮小される。焦点距離の位置にある場合
は1/2に縮小され、焦点距離の2倍の距離の位置にあ
る場合は1/3に縮小される。
【0049】全体像の表示品質は、微小レンズの像が正
立であるか倒立であるか、拡大像であるか縮小像である
かにより影響される。微小レンズが充分小さく、全体像
の画素でもある微小レンズの像が点として見なせるよう
な場合では、微小レンズの像が正立像か倒立像であるか
は全体像の表示品質にほとんど影響はない。もちろん微
小レンズが比較的大きくその像が全体像の点とみなされ
ず、像の内部の図形が認識される状態で全体像を見るよ
うな場合は、正立か倒立かは大きく影響され、正立像の
場合が画素と画素の連続性に優れ、表示品質も良い。し
かし、これも程度問題である。一方、倒立像では反転し
た像が並ぶので表示品質は悪い。
【0050】一方、微小レンズの像が拡大像か縮小像か
は表示品質に直接影響する。拡大像では、微小レンズの
面積より狭い表示画像の部分が微小レンズの大きさに拡
大されるので、全体像がボケるようなことは無い。しか
し、縮小像では、微小レンズの対応する面積範囲を越え
た広い範囲の表示画像の部分が微小レンズの大きさの像
となる。このため表示画像のそれぞれの場所が複数の微
小レンズの像となるので、全体像がぼける。したがっ
て、縮小像では縮小率を一定の範囲に抑えて画像品質の
劣化を抑える必要がある。
【0051】たとえば、表示画像を微小レンズのレンズ
曲面から焦点距離の2倍までの範囲に設置するように限
定すれば、微小レンズが凹レンズの場合、倍率は1/3
より大きいので、当該の微小レンズ像として縮小表示さ
れる範囲は、長さにして自らのレンズ径の3倍、すなわ
ち高々両隣りの微小レンズの対応する部分までにとどま
り、ボケの度合いを制限できる。微小レンズが凸レンズ
の場合では、倍率が1以上であるから、隣の微小レンズ
に対応する表示画像の情報が混ざることが無く、全体像
にボケが生じることは無い。
【0052】第1の実施の形態の表示装置について、表
示画像とマイクロレンズアレイとの位置関係で、表示画
像の全体像の見え方について説明する。表示画像が微小
レンズの焦点距離f0の2倍の距離よりもレンズ曲面に
近い位置に配置される場合について説明する。
【0053】微小レンズが凸レンズの場合では、微小レ
ンズの像は全て拡大像であり、全体像がボケることも無
く、また焦点距離f0の微小レンズと焦点距離f1の微小
レンズの像の位置が異なるため、全体像に奥行き方向に
段階的な歪みが生じ、強い奥行き感が現れる。
【0054】微小レンズが凹レンズの場合では、微小レ
ンズの像は全て縮小像であり、全体像にボケが生じる。
像の倍率は最小でも1/3であり、微小レンズの配列ピ
ッチが同じ場合では、上下、左右、斜めの隣の微小レン
ズに対応する表示画像の部分までしか当該微小レンズの
像にならず、ボケの程度が限定される。この程度のボケ
であれば、微小レンズを或る程度小さくすることにより
表示品質を目立つほどに低下させることなく表示でき
る。この凹レンズの場合も、焦点距離f0の微小レンズ
と焦点距離f1の微小レンズの像の位置が異なるため、
全体像に奥行き方向に段階的な歪みが生じ、強い奥行き
感が現れる。
【0055】次に、表示画像が、該マイクロレンズアレ
イに対して、該微小レンズの最小の焦点距離f0よりも
離れ、該微小レンズの最大の焦点距離f1よりも近くに
位置する場合について説明する。微小レンズが凸レンズ
の場合では、焦点距離f1の微小レンズで作られる像
は、表示画像が焦点距離f1よりも近い位置に置かれる
ことになり、マイクロレンズアレイの表示画像側で表示
画像よりもさらに遠くの離れた位置に、正立像として形
成される。一方、焦点距離f0の微小レンズで作られる
像は、表示画像が焦点距離f0より遠い位置に置かれる
ことになり、マイクロレンズアレイの表示画像と反対側
で焦点よりも遠くマイクロレンズアレイから離れた位置
に、倒立像として形成される。
【0056】この結果、焦点距離f1の微小レンズが密
集する領域によって作られる像の部分と焦点距離f0
微小レンズが密集する領域によって作られる像の部分は
互いにマイクロレンズアレイを挟んで反対側に形成さ
れ、全体像が奥行き方向に大きく歪む。この結果表示画
像は奥行き感の強い立体像として見ることができる。
【0057】さらに、表示画像の位置が焦点距離f0
2倍の距離よりレンズ曲面に近い位置にある場合は、微
小レンズの像の全てが拡大像となり、全体像がボケるこ
とがない。以上説明した焦点距離f0より遠く、焦点距
離f1より近い位置に表示画像を置くことは、マイクロ
レンズアレイを表示画像に近接して置くような場合に、
全体像に大きな奥行き方向の歪みを生じさせる極めて有
効な手段である。
【0058】焦点距離f0と焦点距離f1との差Δを焦点
距離f0に対して充分小さくとり、焦点距離f0より遠
く、焦点距離f1より近い位置に表示画像を置くことに
より表示画像を焦点距離f0の微小レンズに対しても焦
点距離f1の微小レンズに対しても焦点の比較的近い位
置に置くことが出来、焦点距離f1の微小レンズの像は
表示画像よりも非常に遠く、焦点距離f0の微小レンズ
の像はマイクロレンズアレイの手前側でマイクロレンズ
アレイから遠く離れた位置に形成することが出来、全体
像に大きな歪みを形成できる。
【0059】微小レンズが凹レンズの場合、マイクロレ
ンズアレイを表示画像から離せば離すほど表示画像の全
体像のボケがひどくなる。像の倍率を最小でも1/3に
制限して、微小レンズの配列ピッチが同じ場合では、上
下、左右、斜めの隣の微小レンズに対応する表示画像の
部分までしか当該微小レンズの像にならないように、マ
イクロレンズアレイを焦点距離f0の2倍程度に以下に
抑えるのが望ましい。
【0060】この凹レンズの場合でも、全体像に歪みを
形成できる。以上で第1の実施の形態の表示装置につい
ての表示画像の全体像の見え方についての説明を終え
た。図1の第1の実施の形態は、焦点距離f0と焦点距
離f1の2種類の領域からなる場合であった。さらに多
くの焦点距離の異なる領域が混在している場合でも、最
も小さい焦点距離と最も大きい焦点距離を第1の実施の
形態の焦点距離f0と焦点距離f1に対応させれば、図1
の第1の実施の形態についての全体像の見え方の説明が
同じように適用できることは容易に理解される。なお、
この際最も小さい焦点距離にも最も大きい焦点距離にも
対応しない焦点距離の微小レンズは、微小レンズから表
示画像までの距離よりも短い焦点距離か長い焦点距離か
により、最も小さい焦点距離の範疇か最も大きい焦点距
離の範疇に属すと理解すれば良い。なお、マイクロレン
ズアレイと表示画像の距離が焦点距離と一致するような
微小レンズが少なからず存在すると、微小な振動で、こ
の微小レンズの像の位置が大きく変わり、全体像にちら
つき等の表示品質上好ましくない現象が生じる。これを
避ける必要がある場合は、微小レンズの焦点距離と一致
するような位置に配置しないことである。逆に、このよ
うな焦点距離の微小レンズの存在しないマイクロレンズ
アレイを用いることである。
【0061】なお、第1の実施の形態である表示装置に
用いたマイクロレンズアレイは、図2に示すように図の
手前から奥の方向に8個の矩形の領域に分割されて、焦
点距離f0と焦点距離f1の微小レンズの領域が交互に並
んでいるが、横方向に分割して二つの領域が交互に並ん
でいてもよい。当然、縦と横に分割されて交互に並んで
いても良い。分割の数もまた任意で良い。しかし、あま
りにも多くに分割するとその差を識別できなくなり、あ
まりにも少ない分割、たとえば、表示画像が充分大きい
場合にこれを2分する程度だと妥当性を欠く場合もあ
る。また、矩形に分割する必要は無く焦点距離を等しく
する領域の形は任意の形状で良い。
【0062】また、マイクロレンズアレイの全面に微小
レンズが配列されているものとして説明してきたが、焦
点距離f0の微小レンズの領域と微小レンズがまったく
存在しない領域とが交互に存在するような場合でも、全
体像に奥行き方向の歪みが生じる結果、強い奥行き感が
現れる。この場合は焦点距離f0と焦点距離f1の微小レ
ンズの領域が交互に並んでいる場合で、焦点距離f1
無限大になった場合に相当し、焦点距離f0と焦点距離
1の微小レンズの領域が交互に並んでいる場合のこれ
までの説明をそのまま適用できる。
【0063】以上説明したマイクロレンズアレイの微小
レンズの焦点距離は、段階的に急激に変化して暫く一定
の値が続くような分布であった。この焦点距離の変化が
段階的ではなく複数の微小レンズに渡って変化するよう
な緩やかな変化の場合でも全体像に奥行き方向の歪みが
生じるので、奥行き感の強い立体感が現れるのは同様で
ある。
【0064】次に、図3により本発明に係わる第2の実
施の形態のマイクロレンズアレイを説明する。図3は第
2の実施の形態のマイクロレンズアレイの微小レンズの
焦点距離の分布の状態を示している。
【0065】図3においては、白黒画像の濃淡で焦点距
離の大小を表しており、図中に線aで表す配列場所に焦
点距離が極大値となる微小レンズが存在し、図中b1
2で表す配列場所に焦点距離が極小値となる微小レン
ズが存在する。極大値を示す配列場所が線となっている
のは、この線上にある微小レンズは焦点距離が同じで極
大値となることを示している。
【0066】線aで示す配列場所にある微小レンズの焦
点距離が最も大きく、線aから離れるにしたがって微小
レンズの焦点距離は小さくなっている。したがって線a
上にある微小レンズの焦点距離は最大値でもあり、極大
値でもある。このように極大値あるいは最大値は1点に
限ってある必要は無く、複数の微小レンズの焦点距離が
同じ値となる微小レンズが連続するような場合では、極
大値あるいは最大値となる微小レンズが線状に並んだ
り、2次元的な広がりを持つ場合がある。このことは極
小値、最小値の場合も同じである。
【0067】マイクロレンズアレイの点b1と点b2にあ
る微小レンズの焦点距離が極小値となる。また、焦点距
離が最小値となる微小レンズの配列場所はb1とする。
次に、図4により本発明に係わる第3の実施の形態のマ
イクロレンズアレイを説明する。
【0068】図4は第3の実施の形態のマイクロレンズ
アレイの微小レンズの焦点距離の分布の状態を示してい
る。図4においては、白黒画像の濃淡で焦点距離の大小
を表しており、図中の点a 1、a2、a3は焦点距離が極
大値である微小レンズの配列場所を示し、図中の点
1、b2、b3、b4は焦点距離が極小値である微小レン
ズの配列場所を示している。この実施の形態は焦点距離
の分布の状態が複雑な例である。工学的には微小レンズ
の焦点距離がここまで複雑に分布するマイクロレンズア
レイを作ることは返って難しいが、微小レンズの焦点距
離が微小レンズの配列場所とともに複雑に変化する場合
が、単調な変化をする場合に比較してより強い奥行き感
が現れ優れた立体表示ができることから、あえて実施の
形態として示した。
【0069】第2と第3の実施の形態のマイクロレンズ
アレイの微小レンズの形状は任意であり、球面レンズで
も良く、円柱面レンズでも良い。例えば、第3の実施例
において、微小レンズは線aに平行な方向に細長い曲率
半径が軸方向に一定の円柱面レンズが線aに直交する方
向に一定のピッチで配列されている。細長い円柱面レン
ズの替わりに小さな球面レンズを線状に並べたものに置
き換えても同じである。
【0070】第4の実施の形態であるマイクロレンズア
レイにおいても、縦と横の寸法比が比較的似た微小レン
ズを配列しても、また細長い円柱面レンズを配列しても
良い。例えば、図4において、左右方向に細長い円柱面
レンズを微小レンズとして奥から手前方向に一定のピッ
チで配列する場合では、微小レンズである円柱面レンズ
のレンズ曲面の曲率半径が軸方向の場所にしたがって変
化している。このようなレンズは円柱面レンズと云わな
いかもしれないが、線状に長い微小レンズを長さ方向に
小さなレンズが連なったものと見なせば、一つ一つの小
さなレンズは近似的に曲率半径の一定な円柱面レンズと
見なせるので、ここではこのようなレンズも円柱面レン
ズと呼称する。なお、円柱面レンズのように線状に長い
微小レンズは長さ方向に小さなレンズが連なったものと
見なせば焦点距離の分布の状態の理解を容易にする。
【0071】図3と図4のそれぞれで示す第2の実施の
形態と第3の実施の形態のマイクロレンズアレイを図1
に示す第1の実施の形態の表示装置のマイクロレンズア
レイ1の替わりに用いれば、第1の実施の形態の表示装
置と同じように、全体像の奥行き方向に歪みが生じ、強
い奥行き感は現れる。最も小さい焦点距離と最も大きい
焦点距離をそれぞれ第1の実施の形態の微小レンズの焦
点距離f0と焦点距離f1に対応させ、表示画像が最も小
さい焦点距離と最も大きい焦点距離の中間の距離に相当
する位置にある場合は、微小レンズの焦点距離が表示画
像までの距離より短いか長いかに応じて、最も小さい焦
点距離の範疇か最も大きい焦点距離の範疇に属すと見な
せば、図1に示す第1の実施の形態での全体像の見え方
の説明が同じように当てはまることは容易に理解され
る。当然、これらの実施の形態で極大値が無限大となっ
た場合は微小レンズの存在しない場合に相当する。この
微小レンズの存在しない領域が存在する場合、この領域
を焦点距離が無限大の微小レンズが配列されている領域
と見なせば、図1に示す第1の実施の形態での全体像の
説明が同じように当てはまる。
【0072】第1〜第3の実施の形態のマイクロレンズ
アレイにおいて、微小レンズの焦点距離は同じではな
く、マイクロレンズアレイの微小レンズの配列場所によ
り微小レンズの焦点距離は変化しており、しかも配列場
所の変化に対する焦点距離の変化の割合は一定ではな
く、微小レンズの配列場所とともに大きく変化したり小
さく変化したり、あるいは急激に変わったりしている。
【0073】ここで、配列場所の変化と焦点距離の変化
について説明する。ある二つの微小レンズが、xy平面
上でΔx、Δyだけ隔てた位置にあれば、微小レンズの
配列場所の変化量Δは(Δx2+Δy21/2である。両
微小レンズの焦点距離の差をδとすると、微小レンズの
配列場所の変化量Δに対する両微小レンズの焦点距離の
差δの割合δ/Δが定義できる。
【0074】該微小レンズの配列場所がどこであっても
微小レンズの焦点距離は変わらず、δが零、当然でδ/
Δも零となる場合は微小レンズの焦点距離はマイクロレ
ンズアレイ上のどこでも等しく、一様な分布になる。該
微小レンズの配列場所がどこであってもδ/Δが一定で
ある場合は、微小レンズの焦点距離は変化するが、微小
レンズの配列場所の変化に対して比例して変化する。こ
のようなマイクロレンズアレイに対して平行して配置さ
れた平面状の表示画像を見ると、マイクロレンズアレイ
に対して傾いた平面の像になり、全体像に奥行き方向の
歪みは生じない。
【0075】該微小レンズの配列場所によって、微小レ
ンズの配列場所の変化量Δに対する両微小レンズの焦点
距離の差δの割合δ/Δが異なると、マイクロレンズア
レイ上で、微小レンズの焦点距離が一様な変化ではない
ので、その変化の微小レンズの配列場所の変化量Δに対
する割合が変わるので、このようなマイクロレンズアレ
イに対して平行して配置された平面状の表示画像は、奥
行き方向に歪みを持った像となる。このような微小レン
ズの焦点距離の変化により、全体像に奥行き方向の複雑
な歪みを生じさせ、より強い奥行き感を発現する。
【0076】例えば、第1の実施の形態でのマイクロレ
ンズアレイでは、図2の焦点距離の分布に見られるよう
に、図の左右方向に対しては焦点距離の変化は見られな
い。しかし、これと直交する手前から奥に向けての方向
では焦点距離が階段状に変化して、その後暫くは焦点距
離が一定の領域が続く。この焦点距離の階段状の変化と
一定の領域の繰り返しとなっている。このように微小レ
ンズの配列場所により、微小レンズの配列場所の変化量
Δに対する両微小レンズの焦点距離の差δの割合δ/Δ
が変化している。このような変化は第2と第3の実施の
形態でも見られる。また、第1の実施の形態のマイクロ
レンズアレイでは、焦点距離が同等の微小レンズの密集
する密集領域が存在し、しかも互いに焦点距離の異なる
少なくとも2種類以上の密集領域が混在して、微小レン
ズの焦点距離が微小レンズの配列場所により変化してお
り、しかもその変化の割合は一様ではない。
【0077】第2の実施の形態でのマイクロレンズアレ
イでは、微小レンズの焦点距離に極大値および極小値が
存在している。これら極大値あるいは極小値の近くに焦
点距離が微小レンズの配列場所とともに増加する部分と
減少する部分が存在し、これらの部分は焦点距離が微小
レンズの配列場所の変化とともに一様でない割合で変化
をする。
【0078】これまで説明をしてきたマイクロレンズア
レイを微小レンズの焦点距離の分布の概念で説明すると
次ぎのようになる。マイクロレンズアレイに配列されて
いる微小レンズの配列場所をマイクロレンズアレイに対
応する面、すなわちマイクロレンズアレイ面の1点に対
応させ、ある微小レンズAに対応するマイクロレンズア
レイ面の1点をaとする。この点aを通り、マイクロレ
ンズアレイ面に垂直な直線上に在って、マイクロレンズ
アレイ面からの距離が当該の微小レンズの焦点と等しい
点をbとする。すなわち、マイクロレンズアレイ上に配
列される微小レンズの配列位置をxy平面の1点に対応
させ、このxy平面に垂直なz軸方向の高さを当該微小
レンズの焦点距離に対応させる。このxyzの3次元空
間の1点bを座標(xb、yb、zb)で表すと、zbは座
標(xb、yb)を配列場所とする微小レンズの焦点距離
を表す。b点に相当する点を連ねた面は焦点距離の分布
状態を表すことになる。この分布状態を表す面が、第1
〜第3の実施の形態におけるマイクロレンズアレイにあ
っては、平面ではなく、曲面である。
【0079】本発明に係わるマイクロレンズアレイは、
微小レンズの配列場所に対応したマイクロレンズアレイ
面の座標点を通り、マイクロレンズアレイ面に垂直な直
線上にあって、マイクロレンズアレイ面からの距離が座
標点に対応する微小レンズの焦点距離に等しくする点を
連ねた面が曲面である。
【0080】これまでに説明をしたマイクロレンズアレ
イは、いずれも微小レンズの配列場所により微小レンズ
の焦点距離が変化し、しかも微小レンズの配列場所の変
化量Δに対する両微小レンズの焦点距離の差の割合が一
様でない平面状のマイクロレンズアレイである。このマ
イクロレンズアレイを平面状の表示画面に平行に対向さ
せることで、マイクロレンズアレイを介して見える全体
像に奥行き方向の歪みを生じさせ、強い奥行き感が発現
する。
【0081】次に、少なくとも2つのマイクロレンズア
レイを対向して、間隔を隔てて配置して構成する複合マ
イクロレンズアレイについて説明する。複合マイクロレ
ンズアレイは、相対的に小さい焦点距離f0の微小レン
ズが密集する第1種の密集領域と相対的に大きい焦点距
離f1の微小レンズの密集する第2種の密集領域とから
なるマイクロレンズアレイを2枚で構成される。2枚の
マイクロレンズアレイは、第1種の密集領域と第2種の
密集領域とが対面する位置関係で、間隔dだけ隔てて、
対向して配置されている。ここで、小さい焦点距離f0
と大きい焦点距離f1は互いに相対的なものでる。これ
ら2種類の微小レンズが間隔dを隔てて重なった複合レ
ンズの焦点距離fmは相対的に小さい焦点距離f0より
は小さくなる。ここで、相対的に小さい焦点距離と相対
的に大きい焦点距離の違いは、相対的に小さい焦点距離
0と複合レンズの焦点距離fmとの差が、間隔dより
充分小さくなる程度の違いである。すなわち、複合レン
ズの焦点距離fmは相対的に小さい焦点距離の方で支配
され、相対的に大きい焦点距離の微小レンズの影響は充
分小さいと見なせるような関係である。したがって、複
合レンズの位置も焦点距離の相対的に小さい方のレンズ
の位置にあると近似的に見なして良い。
【0082】相対的に大きい焦点距離f1を無限大とす
れば、微小レンズが存在しない領域となり、この場合の
焦点距離fmは小さい焦点距離f0に一致する。以上、
2枚のマイクロレンズアレイで構成する例で説明をした
が、相対的に小さい焦点距離の領域が相対的に大きい焦
点距離の領域より充分小さい場合は、2枚より多くのマ
イクロレンズアレイで構成しても良い。
【0083】この複合マイクロレンズアレイを介して2
次元の画像をみると、画像と微小レンズとの距離がマイ
クロレンズアレイの場所により異なる結果、画像の全体
像に奥行き方向の歪みが生じて、強い奥行き感のある像
として見える。特に、微小レンズが凸レンズの場合で、
画像を最も近いレンズ曲面から複合レンズの焦点距離f
mよりも長く、相対的に大きい焦点距離fmに間隔dの
長さを加えた距離よりも短い位置に置くと、複合レンズ
の焦点距離fmより近くに位置する複合レンズと、複合
レンズの焦点距離fmより遠くに位置する複合レンズと
で画像をみることになり、それそれの像が複合マイクロ
レンズアレイの前側と後側にでき、画像の全体像に奥行
き方向に大きな歪みが生じる。その結果、奥行き感の強
い立体的な像となって見える。
【0084】次に、微小レンズの焦点距離が微小レンズ
の配列場所により変化するマイクロレンズアレイの製造
方法について詳しく説明する。第1の最外層と第2の最
外層となるシートの間に内側層となるシートを挟んだ積
層材を、二つのローラで構成されるレンズ面形成装置を
通過させることにより微小レンズが形成される。
【0085】図5はレンズ面形成装置の構成を説明する
ための概念図である。レンズ面形成装置は二つのローラ
から構成され、上記レンズ面形成装置と上記積層材とが
相対的に移動することにより、上記積層材は二つのロー
ラの間に形成される間隙を通過しながら移動する。10
は表面に溝の付いた溝付きローラで、図中ローラ表面部
にハッチで溝のあることを示している。11は溝の無い
平滑ローラであり、平滑ローラは軸受けを介してフレー
ムに固定され、自由に回転する事ができる。溝付きロー
ラは上下方向に動く事のできる軸受けによりフレームに
取りつけられ、自由に回転されると共に上下方向にも動
く事ができる。この溝付きローラはローラの芯部分にロ
ッド状のヒータを内蔵しており、外部から供給される電
力量を制御する事でローラ表面の温度を制御する事がで
きる。また、溝付きローラは平滑ローラの方向に、すな
わち図中上から下にバネなどで加圧され、その加圧量を
必要に応じて時間とともに変える事ができる構造になっ
ている。なお、フレーム、軸受け、ヒータ、およびロー
ラを加圧する加圧機構は図では省略している。
【0086】図6は溝付きローラの中心軸を通る面で切
断した溝付きローラの一部を示す断面図である。各溝の
断面は半径rの凹面で、この凹面がピッチpでリング状
に並んでローラの表面が形成されている。図5で、第1
の最外層12、第2の最外層13、内側層14からなる
積層材はローラのごく近くで全ての層が積み重ねられて
ローラの間隙に入る。積層材は予め全ての層が積み重ね
られた状態であっても、図5のように一部の層だけが積
層されていてもよい。当然、ローラの間隙に入る前まで
は全てが分れていても良い。
【0087】ローラの間隙を通過中に、溝付きローラに
より加熱・加圧され、熱軟化点の低い内側層が溶け、凹
凸面を有するローラ表面の凸面である突起部分により積
層材が押され、内側層の溶けた部分がローラの凹面であ
る溝の中央方向に移動すると共に、ローラの表面に接し
ている第1の最外層シートも、凸部の突起に対応した部
分が沈み、凹部の溝の中央部が浮き上がった形状の曲面
に変形される。この状態でローラの部分を通過して抜け
ると、温度が低下して溶けた内側層は固まり始める。温
度が冷める過程で、変形してできた曲面は第1の最外層
の材質が有するバネ性などにより元の平面の形状に戻ろ
うとする力が作用し、曲がりが緩和される。このよう
に、レンズ曲面はローラの溝の形状がそのまま転写され
るのでは無い。ローラの突起部に押されて第1の最外層
と内側層が変形を受ける。この変形の一部はまた元に戻
るが、温度が冷める前の変形量によって最終的なレンズ
曲面の曲率半径が決まる。この温度が冷める前の変形量
は積層材に加わる単位面積当たりの圧力と加熱温度で変
化する。以上の説明から明らかなように、ローラに付け
る凹凸の形状は必ずしも微小レンズのレンズ曲面に合わ
せる必要はない。たとえば、ローラの断面が矩形の狭い
突起と矩形の広い窪みからなる凹凸であっても良い。
【0088】積層材がローラの間隙を通過中に、時間と
共に溝付きローラから積層材に加わる単位面積当たりの
圧力を変化させると、内側層および第1の最外層の変形
量が変化し、微小レンズの曲率半径が変化する。このよ
うにして溝付きローラの各溝に対応して円柱状の細長い
レンズが形成され、このレンズは細長いレンズの長さ方
向の場所によってレンズ曲面の曲率半径が変化してい
る。
【0089】なお、平滑ローラに接する第2の最外層に
は曲面は形成されない。また、積層材がローラの間隙を
通過中に、積層材の走行速度を変化させることによって
も、場所により曲率半径が変わるかまぼこ形の微小レン
ズがローラの各溝毎に形成される。加熱されたローラへ
の接触時間が変わり、内側層および第1の最外層の温度
が変わる結果、これらの変形量の変化となり、微小レン
ズの曲率半径の変化となって現れる。
【0090】積層材を走行させる方法としては、溝付き
ローラか平滑ローラのいずれかの一方を回転駆動させる
方法、あるいはもう一組のローラ対を上記溝付きローラ
と平滑ローラの後側に配置してこのローラを回転させ、
積層材挟み込んで引っ張り走行させる等の方法がある。
【0091】なお、内側層を加熱するヒータは、溝付き
ローラの芯部分に内蔵されているとしたが、別に独立し
た発熱体として、ローラを外から加熱しても良く、また
走行する積層材の近くに配置して、積層材を直接加熱し
ても良い。この場合も積層材とローラの相対的移動速度
を変えることにより、積層材の温度を変えることができ
る。
【0092】積層材は、上記第1の最外層と内側層との
2層により構成されていても良い。この場合、上記平滑
ローラの代わりに平滑版を用いても良い。すなわち、平
滑版の上に、柔軟性を有する第1のシート(上記第1の
最外層に相当)と熱軟化性を有する第2のシート(上記
内側層に相当)とを積層し、第2のシートを加熱しなが
ら、凹凸面を有するローラを転がすことによって、積層
した積層材を、第1のシートの積層面でない方の面から
加圧しても良い。このような条件で、積層した積層材と
凹凸面を有するローラとの相対的な移動中に、該第2の
シートと該凹凸面を有するローラとの相対的移動速度を
変えるか、該第1のシートの積層面でない方の面から加
圧する単位面積当たりの加圧力を変えることにより、場
所とともに微小レンズの焦点距離が一定で無い割合で変
化するマイクロレンズアレイを作ることができる。
【0093】印刷された紙が雨などの水に濡れるのを防
止するためにのラミネート・シートと呼ばれるプラスチ
ックシートが周知である。この紙を被うためのラミネー
ト・シートを用いてマイクロレンズアレイを作ることが
できる。このラミネート・シートは2層構造になってお
り、数十ミクロンの厚さのプラスッチクシートの表面に
熱軟化点の比較的低い接着層が塗布された2層の構造を
している。
【0094】このシート2枚を接着層を内側にして向か
い合う状態で重ね、前記レンズ面形成装置を通過させる
ことによりマイクロレンズアレイを形成する。この場
合、レンズ面形成装置を通過させる前は、内側層は2層
であるが、通過後は二つの層が一体となり一つの層にな
る。
【0095】内側層としては、加熱によって変形をする
層、層間の接着の働きをする層などを複合させても良
く、必ずしも一層である必要は無く、多くの層から形成
されても良い。また最外層と内側層を予め接着し、一体
とした積層シート材を積層材としても良い。
【0096】ここでは、第1の最外層と第2の最外層も
共にシート状の薄い素材を用いる例で説明したが、レン
ズ曲面を形成するために変形をする必要のある第1の最
外層は内側層の変形にある程度追従する柔軟性が必要
で、シート状の比較的薄い素材とする必要があるが、第
2の最外層は板状の厚くて硬いものであっても良い。
【0097】以上の説明では、溝付きローラの溝は、断
面形状が半径rの凹面で、この凹面がピッチpでリング
状に並び、出来あがる微小レンズを円筒状の細長い凸レ
ンズとする例であったが、凹面をした半径rの球面の溝
をローラ表面上の一面に敷き詰めたローラであれば、微
小レンズは球状の凸レンズとして、これらを複数配列し
たマイクロレンズアレイを得ることができる。またロー
ラ表面の凹面を凸面に変えれば、微小レンズは凹面レン
ズとする事もできる。このように溝付きローラの表面は
必ずしも細長い溝を持つ必要は無く、色々の形状、色々
の大きさの窪みまたは突起をもつ凹凸面とすることで多
様なレンズ曲面を持ち、その場所によって焦点距離の異
なる微小レンズからなるマイクロレンズアレイを容易に
作ることができる。
【0098】ここで説明をした製造方法によるマイクロ
レンズアレイの例について説明する。矩形の積層材の対
角線がローラの軸に対して平行になるように、すなわち
積層材をローラに対して斜めにしてローラの間隙を通過
させる。この際ローラは加圧バネにより常に一定の圧力
が加えられ、積層材にも同じ圧力がローラから加えられ
る。矩形の積層材が斜めにローラを通過するので、場所
によって積層材のローラに接触している面積が変化し、
積層材に加わる単位面積当たりの圧力が変わる。これに
より、角に近いほど焦点距離の小さい円柱面レンズにな
る。これは、図3で示した第2の実施の形態のマイクロ
レンズアレイの焦点距離の大小を反転させたものに相当
する。
【0099】同じように積層材をローラに対して斜めに
してローラの間隙を通過させながら、積層材の角に近い
場所ほどローラの圧力を強く、積層材の中央部に近い場
所ほどローラの圧力を弱くすると、図3で示した第2の
実施の形態のマイクロレンズアレイと同じような焦点距
離の分布となる。
【0100】矩形の積層材をローラに対して平行にして
ローラの間隙を通過させながら、ローラの圧力を周期的
に変えると、焦点距離の分布が周期的に変化するマイク
ロレンズアレイが得られる。また、一定間隔の間は一定
の圧力を加え、次の一定間隔の間は他の一定の圧力を加
えることを繰り返すと第1の実施の形態のマイクロレン
ズアレイが得られる。一定間隔の間は圧力を加え、次の
一定間隔の間は圧力を加えないことを繰り返すと、微小
レンズの存在しない領域と存在する領域画繰り返すマイ
クロレンズアレイが得られる。この圧力の有無を繰り返
すことはローラの上げ下げで実現でき、マイクロレンズ
アレイの製造を容易にする。また、型などを用いて作る
場合などでも、レンズ曲面を連続的に変える場合より、
型の形成が容易になるなど製造が一段と容易になる。
【0101】また、平滑ローラの表面をシリコンゴム等
の弾力のある素材として、外周の直径を軸方向にかえる
と、直径の大小によりゴムの変形の大小が生じ、溝付き
ローラから積層材に加わる単位面積当たりの圧力が変わ
り、ローラの場所によって焦点距離の異なるレンズが得
られる。
【0102】以上、積層材に加わる単位面積当たりの圧
力変える方法を説明したが、積層材と凹凸面を有するロ
ーラとの相対的移動速度を時間とともにを変える方法で
も、積層材の場所によって温度を変えることができるの
で、場所により微小レンズの焦点距離の異なるマイクロ
レンズアレイを作ることができる。
【0103】
【発明の効果】以上説明してきたように,本発明には、
以下のような効果がある。請求項1の発明は、マイクロ
レンズアレイを介して見る画像の全体像が奥行き方向に
歪みをもつので、2次元画像を奥行き感の強い立体的な
像として見ることができる。しかも、この立体的に見え
る全体像は拡大も縮小もされず、歪みもほとんど感じら
れない。
【0104】請求項2の発明は、マイクロレンズアレイ
を介して見る全体像が奥行き方向に歪みをもつので、2
次元画像を奥行き感の強い立体的な像として見ることが
できる。しかも、この立体的に見える全体像は拡大も縮
小もされず、歪みもほとんど感じられない。
【0105】請求項3の発明は、マイクロレンズアレイ
を介して見る全体像が奥行き方向に歪みをもつので、2
次元画像を奥行き感の強い立体的な像として見ることが
できる。しかも、この立体的に見える全体像は拡大も縮
小もされず、歪みもほとんど感じられない。
【0106】請求項4の発明は、マイクロレンズアレイ
を介して見る全体像が奥行き方向に歪みをもつので、2
次元画像を奥行き感の強い立体的な像として見ることが
できる。しかも、この立体的に見える全体像は拡大も縮
小もされず、歪みもほとんど感じられない。
【0107】また、領域を区切って微小レンズの焦点距
離を変えれば良く、マイクロレンズアレイの製造が比較
的容易になる。請求項5の発明は、マイクロレンズアレ
イを介して見る全体像が奥行き方向に歪みをもつので、
2次元画像を奥行き感の強い立体的な像として見ること
ができる。しかも、この立体的に見える全体像は拡大も
縮小もされず、歪みもほとんど感じられない。
【0108】また、微小レンズの密集する領域と微小レ
ンズの存在しない領域とで構成されるので、マイクロレ
ンズアレイの製造が容易になる。請求項6の発明は、マ
イクロレンズアレイを介して見る全体像が奥行き方向に
歪みをもつので、2次元表示画像を奥行き感の強い立体
的な像として見ることができる。しかも、この立体的に
見える全体像は拡大も縮小もされず、歪みもほとんど感
じられない。しかも、微小レンズが凸レンズである場合
は、微小レンズの像は拡大像となるので、全体像がボケ
ることが無い。また、微小レンズが凹レンズである場合
は、微小レンズの像は正立の縮小像となり全体像がボケ
るが、その倍率は1/3より大きいことが保証されるの
で、当該の微小レンズ像としてで縮小表示される範囲
は、長さにして自らのレンズ径の3倍、すなわち高々両
隣の微小レンズの対応する部分までにとどまり、ボケの
度合いを制限できる。微小レンズの大きさを充分小さく
することにより実用上の表示品質を確保できる。
【0109】請求項7の発明は、マイクロレンズアレイ
を介して見る全体像が奥行き方向に大きな歪みをもつの
で、2次元表示画像を奥行き感の強い立体的な像として
見ることができる。しかも、この立体的に見える全体像
は拡大も縮小もされず、歪みもほとんど感じられない。
請求項8の発明は、マイクロレンズアレイを介して見
る画像の全体像が奥行き方向に歪みをもつので、2次元
画像を奥行き感の強い立体的な像として見ることができ
る。しかも、この立体的に見える全体像は拡大も縮小も
されず、歪みもほとんど感じられない。
【0110】請求項8の発明は、マイクロレンズアレイ
を介して見る全体像が奥行き方向に歪みをもつので、2
次元表示画像を奥行き感の強い立体的な像として見るこ
とができる。しかも、この立体的に見える全体像は拡大
も縮小もされず、歪みもほとんど感じられない。
【0111】請求項9の発明は、第1のシートは、ロー
ラの凸部で凹み、ローラの凹部で飛出すような曲面が複
数形成される。この曲面はローラを介して加えられる単
位面積当たりの加圧力、あるいは積層材とローラとの相
対的移動速度が時間とともに変化するので、場所ととも
に微小レンズの焦点距離が一定で無い割合で変化するマ
イクロレンズアレイを容易に作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における表示装置の
断面図である。
【図2】第1の実施の形態である表示装置に用いるマイ
クロレンズアレイの微小レンズの焦点距離の分布状態を
示す図である。
【図3】第2の実施の形態であるマイクロレンズアレイ
の微小レンズの焦点距離の分布状態を示す図である。
【図4】第3の実施の形態であるマイクロレンズアレイ
の微小レンズの焦点距離の分布状態を示す図である。
【図5】場所により焦点距離が変化するマイクロレンズ
アレイを形成するレンズ面形成装置を説明するための概
念図である。
【図6】図5に示すレンズ面形成装置の構成要素である
溝付きローラの中心軸を通る面で切断した断面図であ
る。
【符号の説明】
1 マイクロレンズアレイ 2 画像支持体 3 観察者 4 微小レンズ 10 溝付きローラ 11 平滑ローラ 12 第1の最外層 13 第2の最外層 14 内側層 g 観察者の視線

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効領域の一辺の長さに対して充分小さ
    い微小レンズを配列してなるマイクロレンズアレイであ
    って、 該微小レンズの配列場所の変化量に対する該微小レンズ
    の焦点距離の変化の割合が該微小レンズの配列場所によ
    り異なることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
  2. 【請求項2】 有効領域の一辺の長さに対して充分小さ
    い複数の微小レンズを配列してなるマイクロレンズアレ
    イであって、 該微小レンズの配列場所に対応したマイクロレンズアレ
    イ面上の座標点を通り、該マイクロレンズアレイ面に垂
    直な直線上にあり、該マイクロレンズアレイ面からの距
    離が該座標点に対応する微小レンズの焦点距離に等しく
    する点を連ねた面が曲面であるであることを特徴とする
    マイクロレンズアレイ。
  3. 【請求項3】 有効領域の一辺の長さに対して充分小さ
    い複数の微小レンズを配置してなるマイクロレンズアレ
    イであって、 焦点距離が極大値であるか、極小値であるかの何れかの
    一方あるいは両方の微小レンズが存在することを特徴と
    するマイクロレンズアレイ。
  4. 【請求項4】 有効領域の一辺の長さに対して充分小さ
    い複数の微小レンズを配置してなり、焦点距離が同等の
    微小レンズの密集する密集領域が存在するマイクロレン
    ズアレイであって、 互いに焦点距離の異なる少なくとも2種類以上の密集領
    域が混在することを特徴とするマイクロレンズアレイ。
  5. 【請求項5】 有効領域の一辺の長さに対して充分小さ
    い複数の微小レンズを配置してなり、焦点距離が同等の
    微小レンズの密集する密集領域が存在するマイクロレン
    ズアレイであって、 該微小レンズの密集する領域と微小レンズの存在しない
    領域が混在することを特徴とするマイクロレンズアレ
    イ。
  6. 【請求項6】 請求項1及至5のいずれか1項記載のマ
    イクロレンズアレイと、 2次元表示画像が、該マイクロレンズアレイに対面し
    て、前記微小レンズの最小の焦点距離の2倍の距離より
    も該微小レンズのレンズ曲面に近い位置に配置されるよ
    うに、 2次元表示画像と、該2次元表示画像を所定の位置に支
    持するための画像支持体のうち、少なくとも一方あるい
    は両方と、 を具備することを特徴とする表示装置。
  7. 【請求項7】 請求項1及至5のいずれか1項記載のマ
    イクロレンズアレイであって、該マイクロレンズアレイ
    の微小レンズが凸レンズであるマイクロレンズアレイ
    と、 2次元表示画像が、該マイクロレンズアレイに対して、
    該微小レンズの最小の焦点距離よりも離れ、該微小レン
    ズの最大の焦点距離よりも近くに位置するように、 2次元表示画像と、該2次元表示画像を所定の位置に支
    持するための画像支持体のうち、少なくとも一方あるい
    は両方と、 を具備することを特徴とする表示装置。
  8. 【請求項8】 有効領域の一辺の長さに対して充分小さ
    い複数の微小レンズを配置してなるマイクロレンズアレ
    イであって、相対的に小さい焦点距離の微小レンズの密
    集する第1の密集領域と相対的に大きい焦点距離の微小
    レンズの密集する第2の密集領域とからなる複数のマイ
    クロレンズアレイを、 第1の密集領域と第2の密集領域とが対面する位置関係
    で、間隔を隔てて、対向して配置してなることを特徴と
    する複合マイクロレンズアレイ。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の複合マイクロレンズアレ
    イであって、前記微小レンズが凸レンズであるマイクロ
    レンズアレイと、 2次元表示画像から最も近い位置にある前記微小レンズ
    のレンズ曲面からの距離が、該マイクロレンズアレイの
    相対的に小さい焦点距離の微小レンズと相対的に大きい
    焦点距離の微小レンズが前記間隔を隔てて重なった複合
    レンズの焦点距離よりも長く、該複合レンズの焦点距離
    に該間隔の長さを加えた距離よりも短い位置に、該マイ
    クロレンズアレイに対面して、2次元表示画像が配置さ
    れるように、 該2次元表示画像と、該2次元表示画像を所定の位置に
    支持するための画像支持体のうち、少なくとも一方ある
    いは両方と、 を具備することを特徴とする表示装置。
  10. 【請求項10】 柔軟性を有する第1のシートと熱軟化
    性を有する第2のシートとを積層し、 該第2のシートを加熱しながら、凹凸面を有するローラ
    対して相対的に移動する該積層した積層材を、該凹凸面
    を有するローラによって該第1のシートの積層面でない
    方の面から加圧するマイクロレンズアレイの製造方法に
    おいて、 該積層した積層材と該凹凸面を有するローラとの相対的
    な移動中に、該第2のシートと該凹凸面を有するローラ
    との相対的移動速度を変える手段か、該第1のシートの
    積層面でない方の面から加圧する単位面積当たりの加圧
    力を変える手段かのうち、何れか一方あるいは両方の手
    段によるマイクロレンズアレイの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007298762A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Casio Comput Co Ltd 表示装置
WO2016080150A1 (ja) * 2014-11-20 2016-05-26 富士フイルム株式会社 撮像装置、撮像方法及び画像処理プログラム

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