JP2002006904A - 非線形最適適応制御方法及び装置 - Google Patents

非線形最適適応制御方法及び装置

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JP2002006904A
JP2002006904A JP2000181853A JP2000181853A JP2002006904A JP 2002006904 A JP2002006904 A JP 2002006904A JP 2000181853 A JP2000181853 A JP 2000181853A JP 2000181853 A JP2000181853 A JP 2000181853A JP 2002006904 A JP2002006904 A JP 2002006904A
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Tetsuo Itami
哲郎 伊丹
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御対象の制御パラメター操作量を計算する
ための基礎方程式の計算を工夫することで計算速度を速
め、かつ精度の高い制御をリアルタイムに行える非線形
最適適応制御方法とその装置を提供すること。 【解決手段】 ハミルトン・ヤコビ方程式をできる限
り、低計算容量で近似的に(線形にして)計算すること
である。時々刻々において変動するパラメータを用い非
線形特性は、そのままの形で使用する。また、必ずしも
2乗偏差型でない評価指標であっても2乗偏差型に「線
形化」することなく、そのままの形で使用する。この
際、非線形のハミルトン・ヤコビ方程式を、対応して設
定される線形波動方程式のうち、その固有値の虚数部が
最低となるような固有関数を使って計算する。このた
め、本発明の方法であれば、非線形の多次元の偏微分方
程式を直接に計算することなく、低計算容量により対応
する行列の固有値解析をするだけで制御要求の誤差がな
い、最適操作量を計算するための関数を計算することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明による非線形最適適応
制御方法及び装置は、時々刻々その動特性が変動し、な
おかつそれが非線形であるような制御対象を最適に制御
するのに好適である。例えば動特性が運転条件によって
変動し、また非線形性が強いプラントの化学反応等の最
適制御に好適である。例えば、排煙脱硝反応装置の入口
に注入するアンモニア量を装置出口での窒素酸化物濃度
を測定することによりフィードバック制御するのに、前
記アンモニアの注入量(操作量)が最適値になるように
制御することに用いられる。
【0002】
【従来の技術】非線形最適適応制御に関して、その従来
技術になる制御方法の概要を図面と数式を用いて示す。
なお、本明細書では、従来技術も含め、制御対象の動特
性を特徴づけるパラメータは時間的に変動する量として
何らかの方法で(例えば「オブザーバ理論」等によっ
て)検出されていることを前提としており、この未知パ
ラメータの検出は既になされているものとしている。
【0003】図3に従来の非線形最適適応制御装置を示
す。制御対象600は非線形の動特性を有しており、こ
れは状態方程式が含む複数個のパラメータ100で記述
されており、パラメータ100は時々刻々変動してい
る。このため制御装置700には状態方程式のパラメー
タ100が入力される。また制御装置700での制御仕
様を決めるためのパラメータ200が入力される。さら
に制御装置700には制御対象600の状態をフィード
バックするために状態量x400(xと記すが、通常は
ベクトル量である)も入力される。
【0004】ここでパラメータ200とは、例えば被制
御量となる出力変数に上限、下限等の制限がある場合に
は、これらの制限値を示し、また操作量の制限があれ
ば、やはりその上限、下限値等を規定する量である。制
御対象600の動特性を表現するパラメータ100は時
々刻々に変動する。一方、制御仕様は通常時間によらな
い形式により記述されるのでパラメータ200は一定値
としてもよいが、本明細書ではパラメータ100、20
0は時々刻々に変動するものとして説明する。
【0005】さて制御装置700では制御対象600へ
の操作量500を計算出力するのに、制御対象600が
非線形の動特性を有しているために制御対象600の状
態量x400をSなるスカラーの実関数として計算(S
=S(x))し、さらにそのx偏微分を行うことで操作
量u500(これをuと記すが、これもベクトル量であ
る)を計算出力する。
【0006】図4は、図3の制御装置700の中身の詳
細を示すものであるが、これはS関数のソルバ300か
ら構成される。ソルバ300ではパラメータ100、2
00を受けて状態量x400についての偏微分方程式が
S関数偏微分方程式計算部350で計算され、具体的に
は数値的な有限差分法等によりS関数が計算され、操作
量u500を計算出力する。
【0007】この従来技術における非線形最適適応制御
においては、ソルバ300を受けてS関数偏微分方程式
計算部350において非線形偏微分方程式を数値的に計
算するという特徴がある。
【0008】従って、従来技術においては、状態量xや
操作量uの次元数が大きくなると、またそれらの取り得
る範囲が拡がってくるにつれて計算メッシュが爆発的に
増大し、計算時間がやはり爆発的に増大するものとな
る。すなわち、この従来制御によるS関数を計算する方
法では時々刻々のパラメータ変動には到底対応できな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来技術の問題
点とは、要するに、動特性が時々刻々変動する制御対象
を制御するのに変動に適応して最適制御を実行しようと
すると制御パラメータも時々刻々変動するので、従来技
術の状態方程式の計算方法では莫大な計算時間が掛かる
ことである。
【0010】すなわち、最適制御を実行しようとする
と、その時々刻々変動するパラメータ値を当該時点の値
に固定した上で状態方程式としては非線形で多次元のハ
ミルトン・ヤコビ偏微分方程式を計算しなければなら
ず、このハミルトン・ヤコビ偏微分方程式が非線形であ
ることから、これを正確に数値的に解こうとすると莫大
な計算時間が必要とされ、このためリアルタイムでの制
御は到底望み得ないことになる。
【0011】すなわち、操作量を計算するためにはハミ
ルトン・ヤコビ偏微分方程式が基礎方程式となるが、こ
れは非線形方程式である。従って、非線形方程式は収束
計算をして解を求めることになり、収束の精度と収束に
必要な計算回数は互いに背反し、ディレンマに陥ること
になる。解の精度を追求するためには収束判定を厳密に
する必要があるが、このため収束回数は増大してしま
う。逆に制御のリアルタイム性を重視して収束判定を甘
くすると、収束回数は減少するが解の精度が保証されな
い。このため制御結果がハンチングする、あるいは発振
する等の問題が発生することになる。
【0012】そこで、本発明の課題は、前記従来技術の
問題点を解決し、制御対象の操作量を計算するための基
礎方程式の計算を工夫することで計算速度を速め、かつ
精度の高い制御をリアルタイムに行える非線形最適適応
制御方法とその装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記従来技術の問題点を
解決するための選択肢としては二つがあり得て、一つは
時々刻々変動する動特性を状態方程式を線形化すること
で近似的に表現し、ハミルトン・ヤコビ方程式を計算す
ることを回避することであり、もう一つはハミルトン・
ヤコビ方程式をできる限り、低計算容量で近似的に(線
形にして)計算することである。
【0014】しかし、第一の選択肢においては、問題が
二つ発生する。すなわち、一つには、状態方程式の線形
化が近似として妥当であるか否か、を常にチェックして
おく必要があると言うことである。もう一つには、こち
らがより深刻な問題であるが、状態方程式だけを線形化
しただけでは最適操作量の計算ができないことである。
すなわち、最適操作量の計算を行うには評価指標の時間
積分の最小化が必要であって、評価指標が偏差の2乗の
関数形でない場合にはハミルトン・ヤコビ方程式を計算
することが避けられない。従って評価指標を「線形化」
すなわち2乗偏差型に近似する必要が発生するが、これ
は制御仕様が2乗偏差型でない場合には全く意味のない
近似になってしまう。
【0015】本発明では、後者のハミルトン・ヤコビ方
程式の出来る限り低容量での近似計算を実施する。すな
わち、本発明においては、時々刻々において変動するパ
ラメータを用い非線形特性は、そのままの形で使用す
る。また、必ずしも2乗偏差型でない評価指標であって
も2乗偏差型に「線形化」することなく、そのままの形
で使用する。この際、非線形のハミルトン・ヤコビ方程
式を、対応して設定される線形波動方程式のうち、その
固有値の虚数部が最低となるような固有関数を使って計
算する。このため、本発明の方法であれば、非線形の多
次元の偏微分方程式を直接に計算することなく、低計算
容量で行列の固有値解析をするだけで最適操作量を計算
するための関数を計算することができる。
【0016】本発明は次の構成からなる。 (1)動特性が時々刻々変動する非線形特性を有する制
御対象を最適に制御するために時間ゼロからプラス無限
大までの評価指標の積分を最小化することによって操作
量を状態量の関数として時々刻々変動するパラメータ値
に適応するように計算出力する非線形最適適応制御方法
において、操作量をその状態量についての偏微分係数と
して演算する状態関数を、非線形のハミルトン・ヤコビ
偏微分方程式に対応する線形波動方程式の複素数関数解
の位相関数部に比例する量である状態関数Sとして計
算する非線形最適適応制御方法。
【0017】ここで、前記線形波動方程式は、ハミルト
ン・ヤコビ方程式の含むシステム及び評価指標のパラメ
ータ全てと、それに加えて一つの実数値Hとをパラメ
ータとして含む事ができる。また、ハミルトン・ヤコビ
方程式に対応する線形波動方程式の複素数関数解である
波動関数ψの位相関数の単位が前記実数値Hであるこ
と、すなわち波動関数ψの位相がarg(ψ)=S
であることとする。また、実数値Hをゼロに近づ
けることによって必要となる任意の精度で請求項1のハ
ミルトン・ヤコビ方程式の解関数Sを近似すること(す
なわちS→S(H→0において))ができる。
【0018】(2)動特性が時々刻々変動する非線形特
性を有する制御対象600と、該制御対象600の動特
性を表現する(状態方程式が含む)複数個のパラメータ
100と制御仕様を決めるパラメータ200と制御対象
600の状態量x400と正の実数からなる制御定数H
800を入力して、前記制御対象600の状態量x4
00のスカラーの実関数を計算し、その偏微分として制
御対象600の操作量u500を計算出力する非線形最
適制御装置700を備えた非線形最適適応制御装置。
【0019】前記制御装置700は、パラメータ10
0、200及び新しいスカラーの制御定数H800を
入力して偏微分にパラメータ100、200に関係した
関数係数を乗じた演算子である(波動関数と呼ばれる複
素数関数に作用する)線形演算子が構成されるハミルト
ニアン演算子構成部1010と、前記構成部1010か
らのハミルトニアン演算子の虚数部が最低となる固有系
につき、その固有値と複素数である固有関数を計算し、
固有関数を絶対値と位相に分解し、位相に前記制御定数
800を乗じて関数を得る最低固有系計算部102
0と、最低固有系計算部1020は得られた関数を制御
対象600の状態量x400で偏微分する最低固有関数
偏微分作用部1030とを備えている。
【0020】
【発明の実施の形態】以下図面と数式を用いて、本発明
になる非線形最適適応制御方法及び装置について説明す
る。本発明の制御系の構成を図1に示す。図1に示す本
発明の制御系と図3に示す従来制御系の各構成の相違
は、制御装置700に新しく制御定数H800として
なる正の実数が入力されていることである。この非
線形最適制御装置700への入力は従って状態方程式の
パラメータ100、制御仕様のパラメータ200及び制
御定数H800である。図2に図1の制御装置700
の中身を詳細に示す。
【0021】パラメータ100、200及び新しいスカ
ラーの制御定数H800を受けてハミルトニアン演算
子構成部1010では波動関数と呼ばれる複素数関数に
作用する線形演算子が構成される。これは偏微分にパラ
メータ100、200に関係した関数係数を乗じた演算
子であるが偏微分は実行されない。このハミルトニアン
演算子を用いて最低固有系計算部1020では、このハ
ミルトニアン演算子の虚数部が最低となる固有系につ
き、その固有値と固有関数を計算する。この固有関数は
複素数であって、これを絶対値と位相に分解し、位相に
制御定数H800を乗じた量をSとする。この関数
を最低固有関数偏微分作用部1030で偏微分すること
で制御対象600の操作量u500が演算される。
【0022】以上の演算の流れの中で非線形方程式を解
く手間は一切不要であり、従って収束計算も不要であ
る。さらに固有値解析で必要になるのは唯一虚数部の最
低となる固有関数のみである。
【0023】この2つのこと、すなわ線形方程式を計算
すること、及び固有系として必要なものは一つだけであ
ることにより、従来制御のような非線形方程式を収束計
算等で数値的に計算することと比べ飛躍的に計算のスピ
ードを上げることが可能である。さらに、また新制御定
数Hの値のとり方により、いかようにも高い精度で解
を得ることができるので、数値的な解を使う従来制御よ
り精度的にも優れている。
【0024】以上を制御された量の状態空間内での軌跡
の考え及び非線形制御系に対応する線形制御による近似
スキームの考えの2点から説明する。 <制御された量の状態空間内での軌跡>非線形特性を有
する対象を最適にフィードバック制御することは先述の
ようにハミルトン・ヤコビ方程式を解かないと不可能で
あるが、この最適フィードバック制御が仮にできたもの
とする。このとき時点tでの状態が時点tにどのよ
うに推移していくかを示すのが図5の軌跡Poである。
【0025】たとえば非線形の特性をもつ制御対象とし
て脱硝反応装置を考えた場合、最適に制御される量とし
ては、例えば出口NOx値(xと記す)とリークNH
量(x)が考えられる。時点tで座標(x(t
)、x(t))から出発して軌跡は座標(x
(t)、x(t))まで推移する。この際、軌
跡Poには最適フィードバック制御がかかっており、操
作量uで駆動されている。操作量uとしては、たとえば
注入NH量が考えられる。
【0026】図5では3時点でのuを示した。なお、こ
の例では、uの矢印の方向には意味はなく、uはスカラ
ー量である。ここで強調すべき点は、この軌跡Poはあ
くまで頭の中で仮に構成したものであって、制御系とし
て実装するには、すなわち制御装置として実際に実現す
るにはハミルトン・ヤコビ方程式のソルバを実装せねば
ならない。従って普通は、このような軌跡Poを実際に
構成することは不可能なことである。
【0027】次に、この状態空間内は何らかの波が充満
していると想定する。ここで波は重ね合わせることがで
きるから、線形方程式によって記述できることに注意し
なければならない。図5と同じ座標点(x(t)、
(t))と(x(t )、x(t))を結
ぶ軌跡を考えたものが図6である。図6では操作量はu
+δuになっており、δuは前記想定した波が軌跡に及
ぼす操作量に他ならない。そしてuがu+δuに変化し
ていることにより、軌跡PoもP’oに変化する。もと
の軌跡、すなわち波が存在しない場合の軌跡はPoで、
これは図5の軌跡である。
【0028】ここで強調すべきは以下の2点である。 (1)軌跡PoはP’oにおいてδuを十分に小さくす
ることにより得られる、(2)軌跡P’oは線形方程式
の解として計算できる、すなわち、非線形のハミルトン
・ヤコビ方程式を解かない限り計算できない軌跡Po
を、いったん線形方程式の解として軌跡P’oを求め、
その極限として計算できる、すなわち制御系として実装
できることになる。
【0029】<非線形制御系に対応する線形制御系によ
る近似スキーム>以上を、非線形制御系に対応して線形
制御系を想定し、それにより(線形制御系により)近似
する方法論として概念的に示すと図7のようになる。先
の図6での操作量の増分(あるいは減少分)δuは想定
する波の強さに比例し、その強さをHという正数で代
表させる。このとき、与えられた非線形制御系に対して
先づ「波」を想定し、その波の「強さ」がHであると
考える。波により表現した制御系は、波が線形方程式で
記述されることにより、線形制御系に帰着する。そして
波の強さHをゼロに近づけていけば、波という本来余
分な量は消滅していき、もともとの非線形制御系が得ら
れる。この意味でもともとの非線形制御系をH= 0
として特徴づけた。
【0030】次に、以上の本発明になる非線形制御を適
用すれば、どのような効果が生ずるかについて説明す
る。例として排煙脱硝反応装置を考え、出口NOx値が
設定値No[ppm]に対し、上限No+α[pp
m]、下限No−β[ppm]に収めることが制御仕様
であったとする。
【0031】これは本発明の方法であれば、図8のよう
に出口NOxが x=No−β(下限)、 x=No+α(上限) の点で急速に立ちあがり、 No−β<x<No+α ではゼロであるような「井戸型」のペナルティ関数Vc
ost(x)で表現することができる。概略的には本発
明での操作量、いまの例であれば注入NH量uはこの
ペナルティ関数のx微分である。このためx=xのよ
うに仕様を満たしていれば、∂Vcost/∂x≒0で
操作はほとんどかからない。一方、x=xやx=x
のような仕様からの逸脱のおそれの有るときはuやu
のように強い引き戻し操作がかかる。すなわちx=x
のような仕様充足のときは無駄に操作をかけて注入N
を無駄に消費するようなことが回避される。
【0032】次に、これを従来制御で考えると次のよう
になる。従来制御では「線形化」しなければ制御をアル
ゴリズムとして実装できない。従って非線形の制御対象
を線形化するのは当然として、さらに制御仕様を表わす
ペナルティ関数は図9のように放物線型に採らざるを得
ない。これは放物線をxで微分するとxの1次(線形)
式になることに由来する。
【0033】この場合、設定値Noを中心に放物線を
採るか、或いはNo+α、No−βの中点に中心を採
るかのいずれかが素直に想定される。これら、のい
ずれの場合でも、x=x、x、xいずれに対し
てもu≒u≒uとほぼ同じ大きさの操作がかかる
ことになる。これはxに対しては無駄であり逆にx
やxに対しては操作が小さく制御仕様を満足しなくな
る(上下限逸脱)おそれが生じる。
【0034】以上のように、本発明になる制御では、従
来の線形制御のように制御仕様を無理に放物型に採る必
要がなく仕様を素直に任意非線形関数のペナルティ関数
で表現できる。もちろん、非線形特性をそのまま使える
ことは言うまでもない。
【0035】図10は本発明になる制御を使い、石炭焚
きボイラの排煙脱硝反応器出口NOxを制御した結果で
ある。操作量は注入NH量であり、図10ではボイラ
負荷が100%から50%に負荷が降下する時の制御結
果トレンドを示している。
【0036】図10に対応する従来制御による結果を図
11に示す。図11ではボイラ負荷降下に伴う排煙脱硝
反応器出口NOx濃度の上昇傾向を抑制するために注入
NH量が多目に使われ、このため、NHの注入効果
が時間遅れで効いてきて、図11の円内に示すように、
排煙脱硝反応器出口NOx濃度が下限を大幅逸脱してし
まっている。
【0037】すなわち従来制御では先の図9に示したよ
うに排煙脱硝反応器出口NO濃度の上限厳守を重視して
制御するので、注入NH量が過剰気味となる。これに
対して本発明の図10では排煙脱硝反応器出口NOx濃
度の上下限値を厳守する仕様の両方を考慮に入れている
ので、注入NHは適正値をキープし、結果として排煙
脱硝反応器出口NOx濃度値もほぼ上下限値内にキープ
されている。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば以下の効果が得られる。 1.制御対象のパラメータを線形化せず、そのまま用
い、また評価指標についても特に2乗偏差型にせず、そ
のまま用いるので、線形化による誤差、あるいは評価指
標を2乗偏差型に近似することによる制御要求の誤差、
がなく、時々刻々最適な操作量を状態量の関数として計
算演算することができる。 2.この最適操作量をその状態量についての偏微分係数
として算出する場合の状態関数を、線形波動方程式の固
有値解析によって実施することができ、しかも必要とな
るのがその虚数部が最小となる固有値のみであることに
より計算容量を大幅に低減できる。 3.上記2.における計算で与えられたる関数が、制御
定数Hのゼロ極限をとることで任意の精度で本来のハ
ミルトン・ヤコビ方程式の解に接近、近似することがで
きる。
【0039】以上1.〜3.から本発明を、例えば排煙
脱硝反応器に適用した場合には、注入NHは適正値を
キープし、結果として排煙脱硝反応器出口NOx濃度値
もほぼ上下限値内にとどめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になる非線形最適適応制御系統の構成
を示す。
【図2】 図1の詳細を示す。
【図3】 従来技術になる非線形最適適応制御系統の構
成を示す。
【図4】 図3の詳細を示す。
【図5】 本発明になる非線形最適適応制御系統の構成
で非線形特性を有する対象を最適にフィードバック制御
ができたとしたときの、時点tでの状態が時点t
推移していく軌跡Poを示す。
【図6】 実装する制御装置により想定される波により
図5に示す軌跡Poが変化した軌跡P’oを示す。
【図7】 本発明になる非線形制御系とそれに対応した
線形制御系を想定して、それにより(線形制御系によ
り)近似する方法論を概念的に示す。
【図8】 本発明になる非線形ペナルティ関数を示す。
【図9】 従来技術での放物線型ペナルティ関数を示
す。
【図10】 本発明になる制御を使用した石炭焚きボイ
ラの排煙脱硝反応器出口NOxを制御した結果を示す。
【図11】 図10に対応する従来制御による結果を
示す。
【符号の説明】
100 状態方程式のパラメータ 200 制御仕様
のパラメータ 300 S関数のソルバ 350 S関数偏
微分方程式計算部 400 状態量x 500 操作量u 600 制御対象 700 制御装置 800 制御定数H 1010 ハミルトニアン演算子構成部 1020 最低固有系計算部 1030 最低固有関数偏微分作用部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動特性が時々刻々変動する非線形特性を
    有する制御対象を最適に制御するために時間ゼロからプ
    ラス無限大までの評価指標の積分を最小化することによ
    って操作量を状態量の関数として時々刻々変動するパラ
    メータ値に適応するように計算出力する非線形最適適応
    制御方法において、 操作量をその状態量についての偏微分係数として演算す
    る状態関数を、非線形のハミルトン・ヤコビ偏微分方程
    式に対応する線形波動方程式の複素数関数解の位相関数
    部に比例する量である状態関数Sとして計算すること
    を特徴とする非線形最適適応制御方法。
  2. 【請求項2】 線形波動方程式が、ハミルトン・ヤコビ
    方程式の含むシステム及び評価指標のパラメータ全て
    と、それに加えて一つの実数値Hとをパラメータとし
    て含むことを特徴とする請求項1記載の非線形最適適応
    制御方法。
  3. 【請求項3】 ハミルトン・ヤコビ方程式に対応する線
    形波動方程式の複素数関数解である波動関数ψの位相関
    数の単位が請求項2の実数値Hであること、すなわち
    波動関数ψの位相がarg(ψ)=S/Hであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の非線形最適適応制御方
    法。
  4. 【請求項4】 実数値Hをゼロに近づけることによっ
    て必要となる任意の精度で請求項1のハミルトン・ヤコ
    ビ方程式の解関数Sを近似することを特徴とする請求項
    2及び3記載の非線形最適適応制御方法。
  5. 【請求項5】 動特性が時々刻々変動する非線形特性を
    有する制御対象600と、 該制御対象600の動特性を表現する、状態方程式が含
    む複数個のパラメータ100と制御仕様を決めるパラメ
    ータ200と制御対象600の状態量x400と正の実
    数からなる制御定数H800を入力して、前記制御対
    象600の状態量x400のスカラーの実関数を計算
    し、その偏微分として制御対象600の操作量u500
    を計算出力する非線形最適制御装置700を備えたこと
    を特徴とする非線形最適適応制御装置。
  6. 【請求項6】 制御装置700は、パラメータ100、
    200及び新しいスカラーの制御定数H800を入力
    して偏微分にパラメータ100、200に関係した関数
    係数を乗じた演算子であり、波動関数と呼ばれる複素数
    関数に作用する線形演算子で構成されるハミルトニアン
    演算子構成部1010と、 前記構成部1010からのハミルトニアン演算子の虚数
    部が最低となる固有系につき、その固有値と複素数であ
    る固有関数を計算し、固有関数を絶対値と位相に分解
    し、位相に前記制御定数H800を乗じて関数を得る
    最低固有系計算部1020と、 最低固有系計算部1020は得られた関数を制御対象6
    00の状態量x400で偏微分して制御対象600の操
    作量u500を出力する最低固有関数偏微分作用部10
    30と、を備えたことを特徴とする請求項5記載の非線
    形最適適応制御装置。
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