JP2002005789A - シートベルト装置の強制劣化装置および強制劣化方法 - Google Patents

シートベルト装置の強制劣化装置および強制劣化方法

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JP2002005789A
JP2002005789A JP2000181726A JP2000181726A JP2002005789A JP 2002005789 A JP2002005789 A JP 2002005789A JP 2000181726 A JP2000181726 A JP 2000181726A JP 2000181726 A JP2000181726 A JP 2000181726A JP 2002005789 A JP2002005789 A JP 2002005789A
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dust
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retractor
winding
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Yuichi Takimizu
雄一 瀧水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実際に経時劣化したものと劣化傾向の似たサ
ンプルを、短時間で且つ高い再現性で得ることができる
シートベルト装置の強制劣化装置および強制劣化方法を
提供すること。 【解決手段】 シートベルト装置の強制劣化装置20
は、リトラクタ12、スルーアンカ14及びウェビング
11を、車輌に搭載したときと略同一の位置関係に保持
する保持手段27と、非使用状態と略同一の状態にある
ウェビング11を、乗員拘束状態と略同一の状態までリ
トラクタ12から引き出すとともに再び非使用状態と略
同一の状態までウェビング11をリトラクタ12に巻き
取らせるウェビング引出巻取手段23と、ウェビング1
1引出しの所定回数毎にウェビング11の所定位置にほ
こりを付与するほこり35付与手段30と、ウェビング
11引出しの所定回数毎にウェビング11の所定位置に
汚れ液43を付与する汚れ液付与手段40とを備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌に
搭載されるシートベルト装置の、ウェビングの巻取耐久
性を評価する等のために、シートベルト装置の劣化状態
を再現するシートベルト装置の強制劣化装置および強制
劣化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図5に、従来自動車に搭載されている3
点式シートベルト装置50を示す。3点式シートベルト
装置50において、ウェビング11は、基端部11aを
リトラクタ12に捲回され、先端部11bをセンターピ
ラー51に支持されたスルーアンカー14およびバック
ル15に着脱自在に嵌合されるスルータング16に挿通
されるとともに、車体52に固定されたアンカープレー
ト53に係止される。ウェビング11は、シートベルト
装置50の非使用時、リトラクタ12からセンターピラ
ー51に沿ってスルーアンカー14まで略垂直に導かれ
た状態(以下、非使用状態という)となり、このときス
ルータング16は概ねスルーアンカ14と隣接して位置
する。
【0003】また、ウェビング11は、シートベルト装
置50の使用時、乗員がスルータング16をバックル1
5方向に引っ張り、スルータング16をバックル15に
係合することで、リトラクタ12から所定量引き出され
る。これによりウェビング11は、シートバック54の
前方を斜め下方に横切るとともに、シートバック54の
基端に沿ってシートバック54の前方を略水平に横切っ
た状態(図5に示す状態。以下、乗員拘束状態という)
となり、シート55に着座した乗員をシート55に拘束
する。
【0004】一般に、3点式シートベルト装置50にお
いては、経時的な劣化に伴うウェビング11とスルーア
ンカー14との滑り性の低下によって、リトラクタ12
によるウェビング11の巻取り性が低下する。ウェビン
グ11とスルーアンカー14との滑り性の低下原因とし
ては、ウェビング11自体が、高温・低温・紫外線・車
内有害雰囲気等の影響によって経時的に劣化し、ウェビ
ング11とスルーアンカ14との摩擦抵抗が増加するこ
とが挙げられる。また、ウェビング11の良好な滑り性
を確保するための表面処理剤が、車内有害雰囲気による
汚れ等の影響によって剥離し、剥離した表面処理剤がウ
ェビング11表面の摩擦抵抗を増加することが挙げられ
る。また、この剥離した表面処理剤(表面油剤)がスル
ーアンカー14のウェビング11との摺動面に付着し
て、ウェビング11のスルーアンカー通過抵抗を増加さ
せることも挙げられる。このようなウェビング11の巻
取り性低下が一般的であるとしても、極力その低下率が
小さいことが望ましい。そこで、ウェビングやスルーア
ンカーに種々の改良を加えた上で、そのシートベルト装
置を人工的に劣化させて、巻取り性の低下に関わる解析
を行っている。
【0005】例えば、従来、高温・低温・紫外線・車内
有害雰囲気等によって経時的にウェビングを劣化させ
て、劣化前後のウェビングの巻取り性を比較すること
で、シートベルト装置のウェビング巻取り耐久性の評価
を行っていた。しかしこの方法では、評価結果を得るま
でに数日ないし数週間の長時間を要するという問題があ
る。
【0006】そこで、3点式シートベルト装置のウェビ
ング巻取り耐久性の評価のために、実際に試験員がシー
トベルトの着脱を短時間に集中して繰り返し、巻取余力
の低下の度合いを測定するという試験が一般的に行われ
ている。ここで巻取余力とは、乗員拘束状態と略同一の
状態まで引出したウェビングを、スルーアンカとの摩擦
に打ち勝ってリトラクタに巻き取らせるときの、リトラ
クタの巻取力のうち、前記摩擦による抵抗力を超える力
(余裕力)をいう。この試験(人力耐久試験)におい
て、巻取余力が低下するのは次の理由による。試験員が
ウェビングを掴んだ時、手の汚れがウェビングに付着
し、この付着物が雰囲気中の埃塵等と混じってスラッジ
状の汚れを形成してウェビング表面あるいはスルーアン
カのウェビングとの摺動面に付着する。このスラッジ状
の汚れの摩擦係数はかなり高いため、スルーアンカとウ
ェビングとの摩擦抵抗を大きくし、巻取余力を低下させ
る。
【0007】図6に、巻取余力を測定する装置の一例を
示す。この測定装置60は、その下部にウェビング巻取
用リトラクタ12が取り付けられ、上部にスルーアンカ
14が取り付けられる保持架台61を有している。測定
装置60に取り付けられたウェビング11は、その基端
部11aがリトラクタ12に捲回され、その先端部11
bがスルーアンカ14に挿通されるとともに折り返され
て、スルーアンカ14の約750mm下方に設けられた
ウェビング固定用のアンカ62に固定されている。この
ウェビング11の、スルーアンカ14の摺動面14aか
ら先端部11bに向かって約150mmの位置に、スル
ータング(図示せず)と重り63とが取り付けられてい
る。この状態(初期状態)で、試験員がウェビング11
を掴んで図中二点鎖線で示すように真下に約300mm
引き出し、静かに放し、ウェビング11をリトラクタ1
2に巻き取らせる。重り63を増減して、リトラクタ1
2がウェビング11を初期状態まで巻き取り得る重り6
3の最大重さを測定する。図7に、人力耐久試験におけ
る引出巻取回数(着脱回数)250回毎に巻取余力を測
定し、着脱回数3000回まで巻取余力を測定する試験
を2回行った結果を示す。いずれの試験結果でも、最終
的には、巻取余力が急激に低下しない平衡状態に達して
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら人力耐久
試験では、試験員がウェビング11の引出し巻取りを3
000回も行うことになり大変な労力を必要としてい
た。また、図7に示すように、試験結果のばらつきが大
きく、信頼性の高い巻取り耐久性の評価結果を得るため
には試験回数を増やすなどの必要があった。
【0009】図7に示すように試験結果にばらつきが生
じる直接の原因として次の2点が考えられる。 (1)手の汚れに個人差があること 人の手の汚れは、汗、皮脂、角質層、一般のほこり、水
系および油系の汚れ等からなり、これらの量と質に個人
差があるため、巻取余力の低下の主原因であるスラッジ
状の汚れの発生量も試験を行う試験員によって異なる。 (2)作業動作に個人差があること 試験条件の一つとして、シートベルトの着脱の標準作業
方法を決めていても、試験員によって、例えばウェビン
グの掴み方や引き出す時の力の入れ方などに個人差があ
るため、ウェビング表面あるいはスルーアンカのウェビ
ングとの摺動面に生じる汚れの量および位置が試験員に
よって異なる。
【0010】同一人物が試験を行えば試験条件の再現性
は改善されるが、1人で多くの試験回数を処理するの
は、試験員にとって大きな負担となる。また、同一人物
でもばらつきが生じることがあった。本発明は、前記課
題に鑑みてなされたものであって、その目的は、実際に
経時劣化したものと劣化傾向の似たサンプルを、極めて
短時間で且つ高い再現性で得ることができるシートベル
ト装置の強制劣化装置および強制劣化方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の前記目的は、リ
トラクタ、スルーアンカ及びウェビングを、車輌に搭載
したときと略同一の位置関係に保持する保持手段と、前
記ウェビングと連結され、非使用状態と略同一の状態に
ある前記ウェビングを、乗員拘束状態と略同一の状態ま
で前記リトラクタから引き出すとともに、引き出した前
記ウェビングを再び非使用状態と略同一の状態まで前記
リトラクタに巻き取らせるウェビング引出巻取手段と、
前記ウェビング引出巻取手段によるウェビング引出しの
所定回数毎に、前記ウェビングの所定位置にほこりを付
与するほこり付与手段と、前記ウェビング引出巻取手段
によるウェビング引出しの所定回数毎に、前記ウェビン
グの所定位置に汚れ液を付与する汚れ液付与手段とを備
えたことを特徴とするシートベルト装置の強制劣化装置
によって達成することができる。
【0012】また本発明の上記目的は、リトラクタ、ス
ルーアンカ及びウェビングを、車輌に搭載したときと略
同一の位置関係に保持し、非使用状態と略同一の状態に
ある前記ウェビングを、乗員拘束状態と略同一の状態ま
で前記リトラクタから引き出すとともに、引き出した前
記ウェビングを再び非使用状態と略同一の状態まで前記
リトラクタに巻き取らせ、前記ウェビング引出しの所定
回数毎に、前記ウェビングの所定位置にほこりと汚れ液
とを付与することを特徴とするシートベルト装置の強制
劣化方法によって達成することができる。
【0013】以上のような構成のシートベルト装置の強
制劣化装置および方法によれば、ウェビングの所定位置
に、所定量のほこり及び汚れ液を付着させることで、巻
取余力を低下させる主原因となるスラッジ状の汚れを、
成分一定で規則的な形成速度で発生させることができ
る。したがって、実際に経時劣化したものと劣化傾向の
似たサンプル(ウェビング及びスルーアンカーのサンプ
ル)を、極めて短時間で且つ高い再現性で得ることがで
きる。例えば、同一形状、同一材質のウェビング及びス
ルーアンカーを備えた同一設計のシートベルト装置を2
個用意し、これらシートベルト装置を本発明の強制劣化
装置あるいは方法により劣化させ、引出し巻取りの所定
回数毎にそれぞれ巻取余力を測定した場合、極めて類似
した巻取余力の低下傾向を示すデータが得られる。
【0014】ほこり付与手段を設けたことにより、短時
間で実際に経時劣化したものと劣化傾向の似たサンプル
を得ることが可能となった。すなわち、ほこりはウェビ
ングに付着しにくく、単に空気中で汚れ液を付与しつつ
ウェビングの引出し巻取りを短時間で繰り返したので
は、実際に経時劣化したものと同等なほこりをウェビン
グに付着させることができない。ほこりとしては、車内
に浮遊するものが実使用時にウェビングに付着するた
め、これに近いものとして、極端に太い或いは長い繊維
屑を有しない、均質性が高いほこりを用いることが好ま
しい。
【0015】そして、汚れ液付与手段によって汚れ液を
ウェビングに付与することで、試験員による個人差がな
い、一定した劣化傾向のサンプルを得られるようになっ
た。汚れ液を付与するタイミングは、ほこりを付与する
タイミングと同時であることが好ましいが、異ならせて
もよい。汚れ液としては、例えば、オレイン酸、トリオ
レイン、オレイン酸コレステロール、流動パラフィン、
スクアレン、コレステロール、泥(関東ローム)、カー
ボンブラックを含むものを採用できる。ここで、オレイ
ン酸35〜50重量部、トリオレイン10〜15重量
部、オレイン酸コレステロール10〜20重量部、流動
パラフィン1.5〜2.5重量部、スクアレン1.5〜
2.5重量部、コレステロール1〜1.5重量部、泥
(関東ローム)20〜30重量部、カーボンブラック
0.4〜0.6重量部とすることができる。
【0016】ほこり付与手段と汚れ液付与手段とは、ウ
ェビング上の同じ位置にほこり及び汚れ液を付与するも
のでもよいが、汚れ液よりもほこりをウェビング先端部
側に付与するものがより好ましい。こうすることで、ほ
こりと汚れ液とをウェビング上に容易に付着させること
ができ、実際に経時劣化したものによる劣化傾向に似た
サンプルを得ることができる。ほこり及び汚れ液の付与
は、引出し巻取りの約50回毎に実施することが好まし
い。汚れ液は、ウェビングの全幅、かつ長手方向に約8
0mmの範囲に、5〜10mm間隔で点状に、一回につ
き約10mg付与し、ほこりはウェビングに一回につき
約2mg付与することが好ましい。ウェビングの往復回
数は、ストローク約500mmで約20回/分とし、引
出し巻取りの速度は約10m/分とすることが好まし
い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態にお
いて、すでに説明した部材等と同様の構成・作用を有す
る部材等については、図中に同一符号または相当符号を
付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0018】図1は、本発明の一実施形態であるシート
ベルト装置の強制劣化装置20を示す概略側面図であ
る。シートベルト装置の強制劣化装置20は、ベース2
1上に固定されたエアシリンダ支持架台22と、エアシ
リンダ支持架台22に支持されたウェビング引出巻取手
段としてのエアシリンダ23と、エアシリンダ支持架台
22と所定の位置関係をもってベース21上に固定され
た保持手段としてのシートベルト保持架台27とを備え
ている。
【0019】エアシリンダ23は、エアシリンダ支持架
台22に所定の姿勢で支持されている。エアシリンダ本
体23bから突出したシリンダロッド23aの先端に
は、取付プレート24が設けられている。取付プレート
24には更に、固定部材25が設けられている。シート
ベルト保持架台27には、下部に、2個のシートベルト
装置10のリトラクタ12(手前の一方のみ図示)が配
設され、リトラクタ12からベース21に対して鉛直方
向上方に所定距離をおいた箇所にスルーアンカ14が配
設されている。シートベルト装置10のウェビング11
は、その基端部11aがリトラクタ12に捲回され、そ
の先端部11bがスルーアンカ14に挿通されるととも
に、エアシリンダ23の固定部材25に取り付けられて
いる。スルーアンカ14を頂点としたウェビング11の
基端部11aと先端部11bとがなす角は、図1に示す
側面視で70°に設定され、図示しない上面視で45°
に設定されている。このようにして、シートベルト装置
10は、図5に示す車輛搭載時と略同一の位置関係に保
持される。
【0020】図2は、シートベルト保持架台27からシ
リンダー支持架台22へと架け渡されたウェビング11
の先端部11bがエアシリンダ23に取り付けられた様
子を示す平面図である。ウェビング11の先端部11b
は、固定部材25(スルータング16の代用)に挿通さ
れて折り返され、折り返された先端部11bとウェビン
グ11とが、固定治具26によって固定されている。
【0021】図1に示すように、スルーアンカ14と固
定部材25との間のウェビング11には、ウェビング往
復区間A、ほこり付与区間B、汚れ液付与区間C、巻取
余力測定区間Dが画定されている。それぞれの区間は、
本実施形態においてAは500mm、Bは300mm、
Cは80mm、Dは400mmとなっている。ウェビン
グ往復区間Aは、エアシリンダ23による引出し巻取り
に伴って、スルーアンカー14の摺動面14a上を摺動
する。ほこり付与区間Bは、汚れ液付与区間Cよりウェ
ビング先端部11b側に位置している。ほこり付与区間
Bと汚れ液付与区間Cとは重なっていない。ほこり付与
区間B、汚れ液付与区間C及び巻取余力測定区間Dは、
ウェビング往復区間A内に含まれている。ウェビング往
復区間A、ほこり付与区間B及び巻取余力測定区間D
の、それぞれのウェビング先端部11b側の端部は同位
置にある。巻取余力測定区間Dのウェビング基端部11
a側の端部と、汚れ液付与区間Cの中央とが同位置にあ
る。
【0022】図3に、ほこり付与装置30の縦断面図を
示す。ほこり付与装置30は、円筒状の筒31aの下端
を複数の小さな孔31cを有する底板31bで閉じた容
器31と、容器31の内部空間を上下に分割する金網3
3と、容器31の上端を塞ぐ蓋32とを有している。本
実施形態における容器31は、底板31bの直径が10
0mm、筒31aの高さが100mmで、孔31cが直
径5mmの円形で且つ10mm間隔で底板31bに設け
られている。金網33は0.5mmの隙間を有し、茶漉
し程度の網目になっている。容器31内の金網33で仕
切られた上部空間には、ほこり35と金属片34とが収
容されている。ここでは金属片34として、2個のM1
0ナットが採用されている。本実施形態は、金網(網部
材)33と金属片(転動部材)34とからなるほぐし手
段を備えているといえる。
【0023】汚れ液付与装置40は、図1に示すよう
に、入浴時の洗髪用道具のような形態であり、基台41
の上面に多数の細い棒状の突起42を設けたものであ
る。本実施形態における汚れ液付与装置40は、突起4
2が、直径1〜2mm、先端半径0.5mm、長さ10
mmで、基台41上に5〜10mmの間隔で設けられ、
これら突起42の先端が同一平面内に配置されている。
【0024】本実施形態のシートベルト装置の強制劣化
装置20を用いて、シートベルト装置10を強制的に劣
化させるには、エアシリンダ23を作動させて、シート
ベルト装置10のウェビング11を、ウェビング往復区
間Aのウェビング基端部11a側の端部がスルーアンカ
ー14の摺動面14aに接触した状態(図1に示す状
態。乗員拘束状態)と、ウェビング往復区間Aのウェビ
ング先端部11b側の端部がスルーアンカー14の摺動
面14aに接触した状態(非使用状態)とへ、交互に移
動させる。このとき、ウェビング11のウェビング往復
区間Aにおける下面(一方の面)11dは、スルーアン
カ14の摺動面14a上を摺動する。そしてウェビング
11には、エアシリンダ23による引出し巻取りの所定
回数毎に、ほこり付与区間B及び汚れ液付与区間Cにそ
れぞれ、ほこり35及び汚れ液43が付与される。
【0025】汚れ液付与装置40による汚れ液の付与
は、次のように行われる。先ず、少量の汚れ液43を例
えば塩化ビニール等で形成された二つ折りのプラスチッ
クフィルムで挟み、フィルム面上で押し広げ、これを開
いてフィルム表面に略均一な厚みを有する汚れ液43の
膜を作る。次いで汚れ液付与装置40を用い、スタンプ
の要領で先に準備した汚れ液43の膜に突起42の先端
を接触させ、この突起42の先端をウェビング11の下
面(一方の面)11dに接触させて汚れ液43をウェビ
ング11に付着させる。
【0026】ほこり付与装置30によるほこりの付与
は、次のように行われる。先ず、ウェビング11を裏返
して、ほこり付与区間Bの下面11dを上に向けて水平
とする。この状態で、ほこり付与区間Bの下面11d
の、両側と中央の3箇所にほこりを付与する。すなわ
ち、ほこり35を、汚れ液43を付与した面と同じ面で
ある、ウェビング下面11dに付与する。例えば、ほこ
り付与装置30の容器31の底板31bをウェビング1
1の下面11dに接触させ、容器31の蓋32の上を弾
くことで、容器31内のほこりをウェビング下面11d
上に落下させる。この動作を上記の3箇所で1回ずつ行
う。このとき、容器31内のほこりと一緒に入れた金属
片34は、容器31内でころころと転がる。そして、塊
になっているほこり35の金属片34と当たった部分の
ほこりがほぐれる。これにより、ほこり量のむらを少な
くして、試験条件の再現性を高める。
【0027】ほこり35及び汚れ液43の付与は、満足
な結果を得ながら試験員の負担を軽減する観点から、引
出し巻取りの約50回毎に行うことが好ましい。しか
し、必要に応じて、ほこり35及び汚れ液43の付与頻
度を高めてもよく、例えば、ウェビング11を引き出す
度にほこり及び汚れ液を付与することもできる。
【0028】こうして、ウェビング11の引出し巻取り
動作を繰り返していくと、ほこり付与手段30と汚れ液
付与手段40とにより別個にウェビング11の下面11
dに付与されたほこり35及び汚れ液43により、ウェ
ビング11の下面11dとスルーアンカ14の摺動面1
4aとの間に、スラッジ状の汚れが堆積する。このスラ
ッジ状の汚れは、成分一定で、規則的な形成速度で発生
する。
【0029】以上のような構成のシートベルト装置の強
制劣化装置10によれば、ウェビング11の所定位置
に、所定量のほこり35及び汚れ液43を付着させるこ
とで、巻取余力を低下させる主原因となるスラッジ状の
汚れを成分一定で、規則的な形成速度で発生させること
ができる。特に、ほこり35及び汚れ液43を、上述し
たような位置関係にあるほこり付与区間B及び汚れ液付
与区間Cに、上述したような量、頻度でウェビング11
に付与することにより、ほこりや汚れが自然に付着した
ウェビング及びスルーアンカーに極めて近いものを短時
間で得ることができる。したがって、このシートベルト
装置の強制劣化装置10により、実際に経時劣化したも
のと劣化傾向の似たサンプルを、極めて短時間で且つ高
い再現性で得ることができる。また、このサンプルから
得られる巻取余力の耐久性の評価結果は、試験員による
ばらつきが少なく、信頼性が高い。すなわち、このシー
トベルト装置の強制劣化装置10により、ウェビングや
スルーアンカーに改良を加えた際の、その改良の巻取り
性への影響を正確に知ることができる。
【0030】
【実施例】前述したシートベルト装置の強制劣化装置1
0を用いて劣化させたシートベルト装置の、巻取余力の
低下の傾向を図4に示す。試験は5回行った。なお、ウ
ェビング11の往復頻度は、20回/分とし、引出し巻
取りの速度は10m/分とした。汚れ液には、オレイン
酸44.3重量%、トリオレイン12.2重量%、オレ
イン酸コレステロール14.3重量%、流動パラフィン
2重量%、スクアレン2重量%、コレステロール1.3
重量%、泥(関東ローム)23.4重量%、カーボンブ
ラック0.5重量%からなるものを用いた。このような
組成とすることによって、この人工汚れ液を濃い泥水状
としてあるため、各成分の比重差があっても、使用時に
比重差による分離がほとんどなく、常にほぼ一定の割合
の組成で使用することができる。これにより、再現性の
高いデータ及び劣化サンプルを得ることができる。そし
て、巻取り余力の測定には、図6に示した測定装置を用
い、スルーアンカ14からウェビング固定用のアンカ6
2までの距離を750mm、スルーアンカ14からスル
ータング(図示せず)及び重り63までの距離を150
mmとし、ウェビング11を引き出す距離は300mm
とした。図4から明らかなように、試験結果は全てばら
つきがなく安定しており、巻取余力の低下傾向の再現性
が極めて高い。また、早い段階で平衡状態に達してい
る。
【0031】なお、本発明は前述した実施形態及び実施
例に限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが
可能である。例えば、シートベルト保持架台に、ウェビ
ング固定用のアンカを設けて、巻取余力測定装置として
の機能を持たせてもよい。ウェビング往復区間Aは、実
車における引出量に準じてAは500mmに設定した
が、実用上Aは1000mm程度であってもよく、適用
車種等に対応してそれ以上又はそれ以下の引出量として
もよい。
【0032】また上記実施形態では、2本のウェビング
11を、エアシリンダ23の取付プレート24に連結し
たが、これに限らない。例えば、4本のウェビング11
を、取付プレート24に連結してもよく、1本のウェビ
ング11だけを、取付プレート24に連結してもよい。
2本のウェビングとして異なる種類のウェビングを使用
すれば、種類の異なる2本のウェビングの比較を簡単に
行うことができる。また、ウェビングを同一にしてスル
ーアンカーを2種類にすれば、種類の異なる2つのスル
ーアンカーの比較も可能となる。
【0033】ほこり付与装置30及び汚れ液付与装置4
0を用いてほこり及び汚れ液をウェビング11に付与す
る作業を自動化することもできる。また、ほこりや汚れ
液を噴射等によってウェビング11に付着させてもよ
く、ウェビング11を手で掴んで汚れを付与してもよ
い。また、ウェビング引出巻取手段は、エアシリンダに
限定されない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシートベ
ルト装置の強制劣化装置および方法によれば、ウェビン
グの所定位置に、所定量のほこり及び汚れ液を付着させ
ることで、巻取余力を低下させる主原因となるスラッジ
状の汚れを成分一定で、規則的な形成速度で、ウェビン
グとスルーアンカとの間に発生させることができる。し
たがって、実際に経時劣化したものと劣化傾向の似た、
巻取余力の低下傾向データおよび劣化したウェビングと
スルーアンカーのサンプルを、極めて短時間で且つ高い
再現性で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すシートベルト装置の強
制劣化装置20の概略側面図である
【図2】図1の強制劣化装置20の要部を拡大した平面
図である。
【図3】ほこり付与装置の容器30の縦断面図である。
【図4】本発明により劣化させたシートベルト装置の巻
取余力の低下を示す図である。
【図5】3点式シートベルト装置の車輌搭載時の乗員拘
束状態を示す概略斜視図である。
【図6】ウェビングの巻取り余力測定装置60の概略側
面図である。
【図7】人力耐久試験による、シートベルト装置の巻取
余力低下を示す図である。
【符号の説明】
10 シートベルト装置 11 ウェビング 11a 基端部 11b 先端部 12 リトラクタ 14 スルーアンカ 20 シートベルト装置の強制劣化装置 22 エアシリンダ支持架台 23 エアシリンダ(ウェビング引出巻取手段) 24 取付プレート 25 固定部材 26 固定治具 27 シートベルト保持架台(保持手段) 30 ほこり付与装置(ほこり付与手段) 40 汚れ液付与装置(汚れ液付与手段) A ウェビング往復区間 B ほこり付与区間 C 汚れ液付与区間 D 巻取余力測定区間

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リトラクタ、スルーアンカ及びウェビン
    グを、車輌に搭載したときと略同一の位置関係に保持す
    る保持手段と、 前記ウェビングと連結され、非使用状態と略同一の状態
    にある前記ウェビングを、乗員拘束状態と略同一の状態
    まで前記リトラクタから引き出すとともに、引き出した
    前記ウェビングを再び非使用状態と略同一の状態まで前
    記リトラクタに巻き取らせるウェビング引出巻取手段
    と、 前記ウェビング引出巻取手段によるウェビング引出しの
    所定回数毎に、前記ウェビングの所定位置にほこりを付
    与するほこり付与手段と、 前記ウェビング引出巻取手段によるウェビング引出しの
    所定回数毎に、前記ウェビングの所定位置に汚れ液を付
    与する汚れ液付与手段とを備えたことを特徴とするシー
    トベルト装置の強制劣化装置。
  2. 【請求項2】 リトラクタ、スルーアンカ及びウェビン
    グを、車輌に搭載したときと略同一の位置関係に保持
    し、 非使用状態と略同一の状態にある前記ウェビングを、乗
    員拘束状態と略同一の状態まで前記リトラクタから引き
    出すとともに、引き出した前記ウェビングを再び非使用
    状態と略同一の状態まで前記リトラクタに巻き取らせ、 前記ウェビング引出しの所定回数毎に、前記ウェビング
    の所定位置にほこりと汚れ液とを付与することを特徴と
    するシートベルト装置の強制劣化方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104614177A (zh) * 2015-02-15 2015-05-13 北京中汽寰宇机动车检验中心有限公司 安全带粉尘试验多角度智能试验台
CN104963368A (zh) * 2015-07-09 2015-10-07 安徽省建筑工程质量监督检测站 大直径多根钢筋抗浮锚杆承载力检测系统及其安装方法
CN105865803A (zh) * 2016-04-14 2016-08-17 浙江吉利控股集团有限公司 用于安全带动态试验的安装夹具
CN109708858A (zh) * 2018-12-05 2019-05-03 合肥百川自动化科技有限公司 一种安全带卷收力综合性能试验台
CN109781430A (zh) * 2018-12-05 2019-05-21 合肥百川自动化科技有限公司 一种汽车安全带紧急锁止试验台

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