JP2001520201A - 癒着形成の予防と処置 - Google Patents

癒着形成の予防と処置

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JP2001520201A JP2000516693A JP2000516693A JP2001520201A JP 2001520201 A JP2001520201 A JP 2001520201A JP 2000516693 A JP2000516693 A JP 2000516693A JP 2000516693 A JP2000516693 A JP 2000516693A JP 2001520201 A JP2001520201 A JP 2001520201A
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コーイストラ、ティーケ
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Abstract

(57)【要約】 哺乳類における特定の部位で、器官、器官の一部もしくは組織の癒着、ならびにそれらの間での癒着を低減するまたは予防するために、本発明はこれらの部位に存在する中皮細胞でのプラスミノーゲンアクチベータの内在化および分解を低減するための処置を哺乳類に施すことを提案する。とくに、中皮の受容体によるプラスミノーゲンアクチベータの内在化の妨害をし得る、またはこれら受容体の再使用の妨害をし得る、またはプラスミノーゲンアクチベータの結合を妨げるためのこれら受容体に対するブロッキングをし得る、または中皮におけるプラスミノーゲンアクチベータの分解の妨害をし得る活性剤を用いて、哺乳類は局部的に処置される。このような活性剤の例としては、クロロキンおよび39kdの受容体結合蛋白質がある。中皮細胞による前記受容体の発現がダウンレギュレーションされるか、または受容体を介したエンドサイトーシスを妨害するプラスミノーゲンアクチベータ変異体を用いて哺乳類は処置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の分野] 本発明は哺乳類における、とくにヒトにおける外科手術後に生じる癒着といっ
た身体器官、身体器官の一部および/または組織における癒着、ならびにそれら
のあいだでの癒着の発生を予防または低減させるための医療処置に関する。
【0002】 [発明の背景] 腹部手術または腹膜の炎症後におこる腹腔内の癒着の発生は、女性における腸
閉塞および受精障害の共通原因であり、そののちの手術を複雑にする要因になり
得る。すべての病因学的見地が知られているわけではないが、腹腔内の癒着およ
び腹膜線維症を導く一連の事象は、繊維芽細胞の移動および増殖の結果生じるフ
ィブリンの沈着、ならびに繊維芽細胞によるコラーゲン合成から始まると考えら
れている。フィブリンの沈着は、プロコグラント(procoagulant)
(フィブリン形成)と、腹膜のフィブリン溶解(フィブリン分解)の活性化との
あいだの不平衡の結果である。
【0003】 病気の進行の初期段階で平衡が回復すると、フィブリンの沈着が減少し、した
がって繊維芽細胞の応答、ならびに結果としての癒着の形成を遅延または妨害す
ると推論されている。
【0004】 腹膜表面の癒着を予防するために、塩酸キナクリン(米国特許第5、478、
837号明細書)、コルチコステロイド、非ステロイド系抗炎症剤(ホルツ(H
olz)、Fertil.Steril.37巻、582頁、1982年)、ヘ
パリン(ヤンセン(Jansen)、Surg.Gynecol.Obstet
166巻、154頁、1988年)のような抗凝固薬、イブプロフェン(米国
特許第4、346、108号明細書)、抗ヒスタミン薬、抗生物質、デキストラ
ン溶液、ポリビニルピロリドン溶液およびフィブリン溶解剤(米国特許第5、3
64、622号明細書)を含む薬理物質が研究または提案されてきた。
【0005】 動物のモデルに有効であると思われていたティッシュ型プラスミノーゲンアク
チベータ(t−PA)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ(u−P
A)およびストレプトキナーゼのようなフィブリン溶解剤を除いて、結果はこれ
まで失望的なものであった。これらのフィブリン溶解剤は、不活性なチモーゲン
プラスミノーゲンをプラスミンに変える。プラスミンはフィブリンの分解をもた
らす。フィブリンの沈着は癒着の発達における重大な要因であるので、t−PA
、u−PAまたはストレプトキナーゼの投与は、癒着形成の予防またはすでに形
成された癒着の除去につながる。
【0006】 この概念は、ラット(エヴァンズ(Evans)ら、Am.J.Surg. 65巻 、229頁、1993年;ヒル−ウェスト(Hill−West)ら、J
.Surg.Res.59巻、759頁、1995年)、ウサギ(ドゥーディー
(Doody)ら、Fertil.Steril.51巻、509頁、1989
年;メンジーズ(Menzies)およびエリス(Ellis)、J.Roya
l.Soc.Med.82巻、534頁、1989年;メンジーズおよびエリス
、Surg.Gynecol.Obstet.172巻、362頁、1991年
;ドール(Doerr)ら、Eur.J.Obstet.Gynecol.Re
prod.Biol.37巻、287頁、1990年;オリタ(Orita)ら
、Int.J.Fertil.36巻、172頁、1991年;ダン(Dunn
)およびモーラー(Mohler)、J.Surg.Res.54巻,242頁
,1993年)およびイヌ(Am.J.Obstet.Gynecol.165 巻,1539頁,1991年)を含む動物において実験的に誘導される腹膜の癒
着の予防に有効であるということを立証した。
【0007】 フィブリン溶解アクチベータの投与の限界および欠点は、比較的多くの量が必
要とされること、腔から血漿へと漏出するために一過性の作用であること(フレ
スナー(Flessner)ら、Am.J.Physiol.240巻、H15
頁、1985年)または特異的な阻害剤による阻害、およびストレプトキナーゼ
の場合は誘起された免疫応答があることである。
【0008】 興味深い代案は、所望の期間のあいだ、制御された方法で腔の内因性フィブリ
ン溶解能を増大するようなものであるが、しかし今にいたるまで有効な戦略は述
べられていない。
【0009】 中皮細胞は、腹膜腔の内張り(lining)に関する主要な細胞群である。
培養されたヒト中皮細胞(HMC)はt−PAおよびu−PAを産生し、また培
地中のこれらプラスミノーゲンアクチベータの活性は、プラスミノーゲンアクチ
ベータ阻害剤−1(PAI−1)を含む特異的なプラスミノーゲンアクチベータ
阻害剤の付随した分泌によって中和されるということが示されている。
【0010】 本発明者らは、HMCがt−PAおよびu−PAを能動的に合成するだけでな
く、受容体介在性エンドサイトーシスを経てt−PAおよびu−PAを能率的に
内在化する(internalize)および分解することを発見した。これは
明らかにt−PAが主に排他的に1つの組織、血管内皮に由来しており、しかし
ほかの組織、肝臓、においては優勢的に取り除かれる血漿の状態と異なっている
【0011】 HMCによるt−PAおよび/またはu−PAの内在化(internali
zation)ならびに分解のブロッキングは、内因性のフィブリン溶解活性を
増大させる可能性を提供する。
【0012】 [発明の要約] 本発明は、哺乳類の特定部位における、器官、器官の一部もしくは組織の癒着
、またはそれらの間での癒着を低減するまたは予防するための方法であって、該
部位に存在する中皮細胞におけるプラスミノーゲンアクチベータの内在化および
分解を低減するための処置を該哺乳類に施すことからなる方法を提供する。好ま
しくは、該哺乳類がヒトであり、および該部位が、たとえば腹部手術の外科処置
のように局部的な繊維症を導き得る外傷にさらされている、またはさらされてき
た部位である。
【0013】 好ましい実施の態様にしたがって、該治療は、プラスミノーゲンアクチベータ
の内在化に関与する前記中皮細胞上の受容体によってプラスミノーゲンアクチベ
ータの内在化を妨害でき、および/または該受容体の再使用を妨害でき、および
/または該中皮細胞内におけるプラスミノーゲンアクチベータの分解を妨害でき
る活性剤を該哺乳類の該部位へ投与することからなる。
【0014】 好ましくは、該活性剤は、クロロキンまたはその機能的等価物のようなリソソ
モトロピック(lysosomotropic)的試薬、ロイペプチンまたはペ
プスタチンのようなリソソームプロテイナーゼ阻害剤、および受容体の再使用ま
たは内在化を妨害するコルヒチン、サイトカラシンBおよびモネンシンのような
ほかの物質から構成される群より選択される。
【0015】 ほかの好ましい実施の態様にしたがって、該治療は、プラスミノーゲンアクチ
ベータの内在化に関与する該中皮細胞上の受容体をブロッキングできる活性剤を
、該哺乳類の該部位へ投与することからなる。本明細書において「受容体のブロ
ッキング」は、受容体とプラスミノーゲンアクチベータのあいだにおける結合の
妨害を意味する。好ましくは、該活性剤は、受容体結合蛋白質(RAP)または
その機能的等価物である。該RAPまたはその機能的等価物は、それ自体投与さ
れるか、または該中皮細胞もしくは該部位に存在するほかの細胞によって、該細
胞のインビボ(in vivo)もしくはエクスビボ(ex vivo)の遺伝
的な改変を受けたあとに産生され得る。あるいは、また好ましくは、該活性剤は
、該受容体のプラスミノーゲンアクチベータ結合部位に結合する抗体、またはそ
の断片、およびプラスミノーゲンアクチベータの受容体結合部位からなるまたは
それを模倣しているペプチドから構成される群より選択される。
【0016】 本発明のほかの実施様態にしたがって、該処置は、中皮細胞内における受容体
介在性エンドサイトーシスを妨害するプラスミノーゲンアクチベータ変異体を、
該哺乳類の該部位へ投与することからなる。
【0017】 本発明のさらなるほかの実施様態にしたがって、該処置は、プラスミノーゲン
アクチベータの内在化に関与する受容体の発現をダウンレギュレーションするよ
うな、該部位に存在する中皮細胞の遺伝的変異からなる。あるいはまた、その処
置は、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に関与する該中皮細胞上の受容体
の発現をダウンレギュレーションできる活性剤を、該哺乳類の該部位へ投与する
ことからなる。
【0018】 本発明は、哺乳類の特定部位における器官、器官の一部もしくは組織の癒着、
またはそれらの間での癒着を低減するまたは予防するための医薬組成物を製造す
るために、哺乳類の中皮細胞でのプラスミノーゲンアクチベータの内在化および
分解の低減を提供できる活性剤の用途を提供する。
【0019】 前述したように、該活性剤は、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に関与
する中皮細胞上の受容体によってプラスミノーゲンアクチベータの内在化を妨害
でき、および/または該受容体の再使用を妨害でき、および/または該中皮細胞
内のプラスミノーゲンアクチベータの分解を妨害できることが好ましい。好まし
い実施様態にしたがって、該活性剤は、クロロキンまたはその機能的等価物など
のリソソモトロピックな試薬、ロイペプチンまたはペプスタチンのようなリソソ
ームプロテイナーゼの阻害剤、および受容体の再使用または内在化を妨害するコ
ルヒチン、サイトカラシンBおよびモネンシンのようなほかの物質から構成する
群より選択される。
【0020】 ほかの好ましい実施様態にしたがって、該活性剤は、プラスミノーゲンアクチ
ベータの内在化に関与する該中皮細胞上の受容体をブロッキングできる。好まし
い実施様態において該活性剤は、受容体結合蛋白質(RAP)またはその機能的
等価物である。該活性剤は該中皮細胞、もしくは該部位に存在するほかの細胞に
対する組換えトランスフェクションベクターまたは感染ベクターであり得、この
ベクターは、該細胞のインビボもしくはエクスビボの遺伝的変異および遺伝的変
異後の該細胞による受容体結合蛋白質(RAP)またはその機能的等価物の産生
を可能にするため、RAPまたはその機能的等価物をコードする発現可能な核酸
を含む。あるいは、好ましい実施様態において、該活性剤は、該受容体のプラス
ミノーゲンアクチベータ結合部位に結合する抗体、またはその断片、ならびにプ
ラスミノーゲンアクチベータの受容体結合部位からなるもしくはそれを模倣して
いるペプチドから構成される群より選択される。
【0021】 本発明にしたがって、活性剤は、該中皮細胞における受容体介在性エンドサイ
トーシスを妨害するプラスミノーゲンアクチベータ変異体でもあり得る。
【0022】 本発明はさらに、活性剤が該中皮細胞に対する組換えトランスフェクションベ
クターまたは感染ベクターであり、このベクターは、プラスミノーゲンアクチベ
ータの内在化に関与する中皮細胞の受容体のアンチセンスmRNAをコードする
核酸を含み、該受容体の発現をダウンレギュレーションするような該中皮細胞の
インビボもしくはエクスビボの遺伝的変異を可能にするものである。
【0023】 本発明は、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に関与する該中皮細胞上の
受容体の発現をダウンレギュレーションできる活性剤の用途をも含む。
【0024】 [発明の詳細な説明] 広範囲にわたる研究の結果として、本発明者らはつぎの発見を確立した。
【0025】 HMCにおけるt−PAおよびu−PAの内在化および分解は、とくにクロロ
キンでのように、リソソモトロピックな試薬の存在下において、強く阻害される
【0026】 39−kDの組換え受容体結合蛋白質(RAP、低濃度リポ蛋白質受容体関連
蛋白質(low−density−lipoprotein receptor
−related protein)[LRP]および超低密度リポ蛋白質[V
LDL]受容体の阻害剤)を加えると、t−PAおよびu−PAの分解をほぼ完
全にブロッキングする。
【0027】 クロロキンまたはRAPの存在下でHMCをインキュベーションすると、調整
培地内におけるt−PAおよびu−PAのレベルが増大する。
【0028】 炎症性メディエータである腫瘍壊死因子α(TNFα)は、t−PA合成の低
減およびPAI−1合成の増加によって、HMCのフィブリン溶解能を減少させ
る。t−PAレベルの低落は、クロロキンまたはRAPのいずれかによるt−P
A(およびu−PA)分解の阻害によって、中和される。さらに、クロロキンは
、TNFαが誘導するt−PAの低減およびPAI−1発現(抗原およびmRN
Aのレベルで)の増加を抑制する。
【0029】 RAPアデノウイルスによる感染は、またHMCの調整培地中のt−PA(お
よびu−PA)レベルを高める。
【0030】 本発明はフィブリン溶解アクチベータの分解をブロッキングすることにより体
腔の内因性フィブリン溶解能を増加するという新しい概念を提案し、また癒着形
成の予防に適用するものである。
【0031】 本発明は、さまざまな状況で組成および/または器官の(切り口の(sect
ions of))癒着を防ぐためさまざまな方法で適用され得る。
【0032】 要するに、 手術の場合: ・t-PAおよび/またはu-PAの受容体介在性エンドサイトーシス阻害剤、たとえば
、クロロキンまたはRAPを、手術中あるいは手術終了直後に、外科的介入領域に おいて局所的に適用してもよい。 ・中皮細胞を含む腹膜腔の内張り細胞は、手術中あるいは手術後直ちに、RAP− アデノウイルス(またはほかのトランスフェクションシステムもしくは感染シス
テム)で感染させてもよい。 ・細胞、たとえば中皮細胞を、上記のように、しかしエクスビボで感染させても
よい。ついで、その遺伝子的に変異された細胞が、手術中あるいは手術終了後に
腹膜表面に再置床される。 ・t-PAおよび/またはu-PAの取り込みおよび分解に関与するレセプターの発現を
、たとえば、薬理学的に、あるいはアンチセンス技術によって(手術前、手術中
または手術後に)ダウンレギュレーションしてもよい。 ・受容体介在性エンドサイトーシスを妨害するt-PAおよび/またはu-PAの変異体
を、手術中あるいは手術終了直後に、外科的介入領域において局所的に適用して
もよい。
【0033】 ほかの場合、たとえば、CAPD中の炎症プロセスの場合: ・本発明による化合物または組成物は、介入部位に達したカテーテルを通して適
用してもよい。
【0034】 腹膜腔以外の腔: ・本発明の適用は腹膜に限定されず、生きた動物の任意の関連する部分を含むも
のとする。そのような関連の部分には、肺および心臓が含まれるが、これらに限
定されない。
【0035】 本発明による組成物および方法は、その最も一般的な原因が前手術に存在して
いる癒着形成を減少させ、抑制し、または予防することにおいて有用である。本
発明による組成物および方法は、器官表面間での癒着形成、とくに、手術後の腹
膜における癒着形成の防止においてとくに有用であることが明らかにされている
。しかし、本発明はまた、たとえば、癒着形成を予防することが重大な関心事で
ある心臓血管、整形外科、胸部、目、中枢神経系およびほかの使用などのほかの
状況において有用性が見出されている。下記の議論においては、腹膜の癒着形成
を阻害することにおいて有用な組成物および方法の記述に主として注意が向けら
れているが、開示された様々な可能性および好ましい実施の態様は、本発明が適
用され得るすべてのほかの状態に適用される。
【0036】 本明細書中において使用されている用語「医薬組成物」は、活性剤の単独、お
よび薬学的に許容し得る担体、稀釈剤または賦形剤とともに活性剤を含有してな
る組成物の両方を含むものとする。
【0037】 本発明の1つの実施の態様にしたがって、クロロキンが、癒着形成が考えられ
る部位に効果的な濃度で投与される。投与は、1回の用量として、あるいは断続
的な一連の様々な用量として、あるいは実質的な組織修復、とくに再上皮化また
は中皮の修復を可能にするのに充分な期間にわたって連続的に行なうことができ
る。活性剤は、典型的には、手術を行なっているときから、その終了後のしばら
くの期間投与される。投与は、手術前または手術の直前に開始することさえもし
てもよい。連続投与の場合、投与の継続期間は、当業者により容易に理解されて
いる多数の要因に依存して変化してもよい。一般に、本発明による組成物の投与
は、手術時から、手術終了後の少なくとも1日間または2日間にわたって行なわれ
るべきである。大抵の場合には約2週間以内に治癒するので、一般には、本発明 による組成物の投与を2週間よりもさらに長く続ける必要はない。好ましくは、 本発明による組成物は、ほぼ手術時から、約1日間から約2週間の期間にわたって
、より詳細には、たとえば、約2日間から約1週間の期間にわたって投与される。
【0038】 活性剤の投与用量は、非常に広い範囲にわたって変化し得る。投与することが
できるクロロキンの濃度は、下限での効き目および上限での化合物の溶解性によ
って制限される。特定の患者に対する最適な用量(1回または複数回)は、よく 知られている関連する要因(患者の状態、体重および年齢など)および癒着の実
際の程度または予想される程度などを考慮して担当の医師または医療専門家によ
り決定されることが望ましく、そしてそのように行なうことできる。
【0039】 活性剤は、たとえば、リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)などの適切な賦形剤 (vehicle)において直接的に投与することができる。しかし、本発明の
好ましい実施の態様にしたがって、活性剤は、充分な組織修復のために充分な期
間にわたって活性剤の必要とされる濃度が維持されることを可能にする薬物送達
システムを使用する単回用量送達により投与される。好適な薬物送達システムは
、薬理学的に、不活性であり、あるいは少なくとも許容できる。好適な薬物送達
システムは、好ましくは、免疫原性でなく、炎症反応を引き起こさないことが望
ましく、そして所望する期間にわたってクロロキンの効果的なレベルが維持され
るようにクロロキンの放出を可能にする。非常に多くの様々な代替法が、持続放
出のために好適であるとしてこの分野で知られており、これらは本発明の範囲に
含まれるものとする。好適な送達賦形剤はつぎのものを含むが、これらに限定さ
れない:マイクロカプセルまたはマイクロスフィア(microspheres
);リポソームおよび脂質に基づくほかの放出システム;粘性の滴注物(ins
tillates);吸収性および/または生分解性の機械的バリア(mech
anical barriers)およびインプラント(implants);
およびポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー、
ポリエステル、架橋ポリビニルアルコール、ポリ無水物、ポリメタクリレートお
よびポリメタクリルアミドヒドロゲル、アニオン性の炭水化物ポリマーなどのポ
リマー状の送達物質。有用な送達システムはこの分野ではよく知られている。
【0040】 活性剤を放出させるのに非常に好適な処方(informulation)に
は、ポリ(dl−ラクチド)、ポリ(dl−ラクチド−co−グリコリド)、ポリカプ
ロラクトン、ポリグリコリド、ポリ乳酸−co−グリコリド、ポリ(ヒドロキシ酪
酸)、ポリエステルまたはポリアセタールなどのような、生分解性ポリマーから
作製される注入可能なマイクロカプセルまたはマイクロスフィアが含まれる。直
径が約50マイクロメートルから約500マイクロメートルのマイクロカプセルまた はマイクロスフィアからなる注入可能なシステムは、ほかの送達システムを上ま
わる利点をもたらす。たとえば、そのようなシステムは、一般に、活性がほとん
どない薬剤を使用しており、そして医療補助者によって投与されることができる
。さらに、そのようなシステムは、投与されるマイクロカプセルまたはマイクロ
スフィアのサイズ、薬物負荷および投薬量を選択することによって、異なる薬物
放出の持続期間および割合を設計することにおける自由度を本質的に有している
。さらに、そのようなシステムは、γ線照射による滅菌を問題なく行なわれるこ
とができる。
【0041】 マクロカプセルおよびマイクロスフィアの設計、調製および用途は、充分に当
業者の範囲であり、そしてこれらの点に関する詳細な情報は文献から得ることが
できる。
【0042】 生分解性ポリマー(ラクチドポリマー、グリコリドポリマーおよびカプロラク
トンポリマーなど)もまた、マイクロカプセルおよびマイクロスフィアとは異な
る処方において使用することができる;たとえば、活性剤を含有するこのような
ポリマーの予備形成されたフィルムおよび噴霧されたフィルムは、本発明にした
がう用途に好適である。活性剤を含むファイバー(fibers)またはフィラ
メント(filaments)もまた、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0043】 本発明にしたがう活性剤の単回用量送達に関して非常に好適な別の処方にはリ
ポソームが含まれる。リポソームまたは多層小胞(vesicles)での活性
剤のカプセル化は、標的化した薬物の送達および薬物滞留時間の延長に関して充
分に知られている技術である。薬物を含むリポソームの調製および用途は、充分
に当業者の範囲であり、そして文献に充分に説明されている。
【0044】 本発明にしたがうクロロキンの単回用量送達に関して好適なさらに別の方法に
は、粘性の滴注物の使用が含まれる。この技術では、高分子量の担体が活性剤と
の混合で使用され、高粘度の溶液である構造体を生成する。好適な高分子量担体
には、つぎのものを含むが、これらに限定されない:デキストラン類およびシク
ロデキストラン類;ヒドロゲル類;(架橋した)粘弾性物質を含む(架橋した)
粘性物質;カルボキシメチルセルロース;ヒアルロン酸;およびコンドロイチン
硫酸塩。薬物を負荷する粘性滴注物の調製および用途は、当業者には充分に知ら
れている。
【0045】 さらに別の方法にしたがって、活性剤は、酸化された再生セルロースのような
吸収性の機械的バリアと組み合わせて投与することができる。活性剤は、そのよ
うなバリアに、共有結合的または非共有結合的(すなわち、イオン的)に結合さ
せることができ、または、活性剤は、そのようなバリアに単に分散させることが
できる。
【0046】 クロロキンの投与に関する上記の方法は、一般に、本発明にしたがって、任意
の活性剤に適用される。本発明は、任意のリソソモトロピック的薬剤に、または
、より一般的には、中皮細胞上のそのレセプターによるプラスミノーゲンアクチ
ベーターの内在化を妨害することができる任意の物質、またはそれらが内在化さ
れた後でそのレセプターの再使用を妨害することができる任意の物質、またはそ
の両方の物質に適用される。たとえば、本発明は、コルヒチン、サイトカラシン
Bおよびモネンシンのような化合物、ならびにロイペプチンおよびペプスタチン のようなリソソームプロテイナーゼの阻害剤に適用される。本発明は、さらに、
プラスミノーゲンアクチベーターの内在化に関与する中皮細胞上の受容体をブロ
ッキングできる(組換え)RAPおよびほかの物質に適用される。そのような物質 には、受容体上のプラスミノーゲンアクチベーターの認識部位に結合できる抗体
(またはそのフラグメント)、プラスミノーゲンアクチベーターの受容体結合部
位を含むペプチドまたはそのような受容体結合部位を模倣するペプチド、および
、より一般的には、相互作用を妨げ、そしてスクリーニング手順によって見出す
ことができるすべての化合物が含まれる。本発明は、HMCによるt-PAおよび/ま たはu-PAの内在化および分解を低減または阻害することができる任意のほかの薬
剤に対して、ならびにt-PAおよび/またはu-PAの取り込みおよび分解に関与する
受容体発現のHMCにおけるダウンレギュレーションを行なうことができる活性剤 に対して、ならびにMHCにおける受容体介在性エンドサイトーシスを妨害するt-P
Aおよびu-PAの変異体に対して適用される。
【0047】 39kDの受容体結合タンパク質のRAPは、遺伝子治療技術を使用することによっ て代替的に投与されることができる。遺伝子治療技術にしたがって、好適なトラ
ンスフェクションシステムまたは感染システムは、RAPをコードする発現可能な 核酸を、処置すべき患者の中皮細胞に導入するために使用される。好適なトラン
スフェクションシステムまたは感染システムは当業者に充分に知られており、た
とえば、アデノウイルスよりなる。RAPをコードする核酸は、この分野で得るこ とができる。トランスフェクションされたHMCにおけるRAPの発現を可能にするよ
うな、RAPをコードする核酸を含有する組換えアデノウイルスの構築が、ヤー・ ヘルツ(J.Herz)(サイエンス(Science)264巻、1471頁、1994年)により記載さ
れている。
【0048】 トランスフェクションまたは感染手順は、HMCがその本来の位置にあるインサ イチュ(in situ)で、あるいはHMCを患者身体から取り出して、その遺 伝子的改変を行なった後で再置床するエクスビボで行なうことができる。
【0049】 遺伝子工学の現代の技術はまた、プラスミノーゲンアクチベーターの内在化お
よび分解に関与しているHMC上の受容体発現をダウンレギュレーションするため に使用されることができる。このような目的に関して好適でよく知られている技
術は、いわゆる、アンチセンス技術である。この技術にしたがって、関係するMH
C細胞は、前記受容体の発現を担う遺伝子またはmRNAをブロッキングすることが できるアンチセンスメッセンジャーが得られるように遺伝子的に変異させること
ができる。
【0050】 本明細書中に提供された実施例は単に説明を表わしており、以下の添付のクレ
ーム中に定義されている発明の範囲を限定する意味でみられるべきではない。
【0051】 [実施例] t−PAおよび/またはu−PAの受容体介在性エンドサイトーシスのブロッ
キングが、ヒト中皮細胞(HMC)の調整培地におけるt−PAおよび/または
u−PAレベルの増大を導くことを証明するために、多くの研究が行なわれた。
使用されたモデルは、選択的な手術を受けている同意患者の腹膜組織から単離さ
れ、培養されたヒト腹膜中皮細胞からなる。細胞は、フィブロネクチンをコート
したディッシュ内において、20mmol/Lのヘペス(HEPES)(pH7
.4)、10容量%のヒト血清、10容量%の熱により不活化された新生仔ウシ
血清、150μg/mL内皮細胞増殖補助剤、2mmol/LのL−グルタミン
、5IU/mLヘパリン、100U/mLペニシリン、および100μg/mL
ストレプトマイシンで補われているM199で、5%CO2/95%空気雰囲気 下で37℃で増殖された。培地は2日から3日ごとにとりかえられた。継代培養
は、融合した一層(confluent monolayers)のトリプシン
/EDTA処理により1:3の分割率で得られた。腹膜組織由来の細胞は、集合
して均一な丸石形(appearance at confluence)によ
って、ヴォンウィルブランド(von Willebrand)因子の欠如によ
って、ならびにサイトケラチン8および18に対する一定のポジティブ染色法お
よびビメンチン(ヴァンハインスベルグ(Van Hinsbergh)ら、血
液(Blood)、75巻、1490頁、1990年)に対するポジティブ染色
法によって判断された、単一の中皮細胞であった。実験としては、融合培養(c
onfluent culture)は2または3代目の継代で使用されており
、細胞は常に、実験される前日にインキュベーション培地(20mmol/Lの
ヘペス(pH7.4)、10容量%ヒト血清、2mmol/LのL−グルタミン
、および抗生物質を補ったM199)とともに再培養された。調整培地は、適当
な濃度のテスト化合物または標準溶媒(stock solvent)を含む0
.5mLインキュベーション培地を用いて、37℃で2cm2ディッシュ内で、 細胞をインキュベーションすることによって得られた。細胞および細胞の破片を
とり除くために、調整培地はマイクロヒュージ遠心機で8,000rpmで5分
間遠心された。調整培地は使用するまで−20℃で保存された。
【0052】 実施例1 中皮細胞によるt−PAおよびu−PAの急速な取り込みを妨げるための1つ
の方法は、LRPの特異的阻害剤、たとえば受容体結合蛋白質(RAP)(モス
トラップ(Moestrup)およびグリーマン(Gliemann)J.Bi
ol.Chem.266巻、21232頁、1991年;ウィリアムズ(wil
liams)ら、J.Biol.Chem.267巻、9035頁、1992年
;ワルシャウスキー(Warshawsky)ら、J.Clin.Invest
92巻、937頁、1993年)を投与することである。本発明者らは、グル
タチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−RAPおよびD−マンノースの
存在下で、放射線ラベルしたt−PAおよび放射線ラベルしたu−PAの分解な
らびに細胞への結合を測定した。GST−RAPは、親切にもヤー・ヘルツ博士
(Dr.J.Hertz)(テキサスサウスウェスタン医療センター、ダラス(
Dallas)、TX)(ハルツら、J.Biol.Chem.266巻、21
232頁、1991年)によって提供されたサルモネラジャポニカム(the
Salmonella japonicum)グルタチオン−S−トランスフェ
ラーゼ(GST)−RAP発現プラスミドを使用している本発明者らの研究室で
用意された。
【0053】 図1Aに示されたその結果は、インキュベーションされた細胞にGST−RA
Pを加えると濃度依存的に125I−t−PAおよび125I−U−PAの分解を阻害
することを証明している。最も高い濃度(100nmol/L)で、125I−t −PAの分解に対するGST−RAPの競合効果は、ラベルをしていない過剰の
t−PAを加えたときと同等の強さであった(89%対91%阻害)。125I− u−PAの分解に対するGST−RAPの効果はそれほど観察されず、分解は最
大35%に低減された。細胞に結合している放射線ラベルしたt−PAおよびu
−PAの量の同様な測定は、非常に比較可能な図(図B)を示した。GST−R
APの最も高い濃度(100nmol/L)で、細胞に結合した125I−t−P Aの低減は、ラベルしていないt−PAの過剰(200nmol/L)存在下で
みられるもの(84%)と類似していた。分解に関する研究と一致して、GST
−RAPは、125I−u−PAのHMCへの結合を低減(76%の低減)する際 にはほとんど効果がなく、一方ラベルしていないu−PA(200nmol/L
)はu−PAの結合を4%に低減した。この不一致は、GST−RAPによって
明らかにブロッキングされることができないような、HMCにおけるさらなるu
−PA除去システムの存在を提起する。100nmol/Lの濃度でさえ、D−
マンノースはt−PAまたはu−PAのいずれかの分解をブロッキングすること
ができず(データは示されていない)、HMCにおける重要なマンノース受容体
発現の欠如を示している。肝内皮細胞を用いた同様な実験では、D−マンノース
のこの濃度がt−PAの分解を妨げるために充分であることを示している。
【0054】 実施例2 本発明者らは、GST−RAP(100nmol/L)またはクロロキン(3
00μmol/L)の存在下で24時間培養後、HMCの調整培地におけるt−
PA抗原蓄積を測定した(図2A)。t−PAの分解低減の結果として、未処理
のコントロールの培養培地に対して、GST−RAPまたはクロロキンとともに
インキュベーションされた細胞の培地では、抗原レベルはほぼ2倍高くなってい
た。PAI−1抗原レベルはGST−RAP存在下で大きく変わらず、クロロキ
ンではわずかだけ減少しており、t−PAレベルにおける増大は蛋白質合成の普
遍的な促進の結果ではなかったことを示している。
【0055】 コントロールの0.04±0.04ng/105細胞から、クロロキンおよび u−PA受容体ブロッキング抗体H−2の各存在下における1.08±0.13
ならびに1.86±0.11ng/105細胞までの比較実験において、クロロ キン(300μmol/L)またはH−2(5μg/mL)のいずれかの添加で
u−PAレベルは増大する(図2B)。これらの発見は、u−PA分解に関する
u−PA受容体の重要な役割を立証しているだけでなく、HMCの強力なu−P
A分解能をも説明している。クロロキンと同様に効果的にt−PA蓄積を増大さ
せるGST−RAPは(図2Aも参照)、u−PA分解をさらに低い程度にまで
妨害し、このようにHMCにおける補足的な、u−PA受容体依存性u−PA除
去システムの存在をひきおこした。
【0056】 実施例3 本発明者らは以前、TNFαがHMCのフィブリン溶解活性を、PAI−1を
増加することによって、およびt−PA合成を減少することによって低減するこ
とを示した(シッター(Sitter)ら、Am.J.Physiol.271
巻、R1256頁、1996年)。GST−RAPまたはクロロキンによる分解
の阻害が、HMCにおいてTNFα誘導性のt−PA合成の減少を克服できるか
どうかを調べるために、本出願人らは、t−PA分解のほかに、クロロキンもま
たTNFαの作用を抑えることを発見した。TNFα(1000U/mL)とと
もに同時に加えると、クロロキンは濃度依存的(100−300μmol/L)
に、TNFαに喚起されるt−PA産生の減少およびTNFα誘導性のPAI−
1産生の増大を阻害する(図3)。TNFα誘導性のt−PA抗原の減少を、分
解を阻害することによって、中和するだけのGST−RAPでは、このような効
果はみられない(データは示されていない)。
【0057】 実施例4 本出願人らは、LRPを不活性化するために、およびt−PA(およびu−P
A)を培地中に蓄積するために、培養したヒト中皮細胞の中にRAPのcDNA
を導入するための全長ラットRAPcDNAを発現する組換えアデノウイルス(
AdCMV−RAP)(ヤー・ヘルツ博士(Dr.J.Herz)、サイエンス
(Science)、264巻、1471頁、1994年)を用いている。組換
えアデノウイルスは効果的な遺伝子輸送ベクターであることが証明されている。
【0058】 ヒト中皮細胞への感染は24穴ディッシュ(2cm2)のなかで行なわれた。 1ml中に1×106から1×109プラーク形成ユニット(pfu)のあいだの
割合の濃度のAdCMV−RAPを含む200μlのM199培地/2容量%の
新生仔ウシ血清を用いて、細胞はインキュベーションされた。1時間後、細胞は
M199で2回洗浄され、培養培地、すなわち20mmol/Lのヘペス(pH
7.4)、10容量%ヒト血清、10容量%の熱により不活化した新生仔ウシ血
清、150μg/mLの内皮細胞増殖補助剤、2mmol/LのL−グルタミン
、5IU/mLヘパリン、100U/mLのペニシリンおよび100μg/mL
のストレプトマイシンを補われているM199で再培養された。
【0059】 細胞は、5%CO2/95%空気雰囲気下で37℃に保たれた。調整培地は2 4時間ごとに回収され、新鮮な調整培地にとりかえられた。図4に示されたよう
に、Ad CMV−RAP感染細胞の調整培地内におけるt−PAの蓄積は、コ
ントロール細胞と比較して明らかに増大している。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 HMCは、2nmol/Lの125I−t−PAまたは125I−u
−PA、および異なる濃度のGST−RAPとともに37℃で3時間インキュベ
ーションされた。GST−RAPによるt−PA(●)およびu−PA(○)分
解の阻害は、6.25nmol/L以上から統計学的に有意であった(P.0
5)。データはコントロールに対する百分率値として表わされており、3組のう
ちの1つにおける3つの独立した実験のSD±平均値である。
【図1B】 HMCは、2nmol/Lの125I−t−PAまたは125I−u
−PA、および異なる濃度のGST−RAPとともに37℃で3時間インキュベ
ーションされた。GSTによるt−PA(●)およびu−PA(○)の細胞との
結合の阻害は、6.25nmol/L以上から統計学的に有意であった(P
05)。データはコントロールに対する百分率値として表わされており、3組の
うちの1つにおける3つの独立した実験のSD±平均値である。
【図2A】 HMCの調整培地におけるt−PAおよびPAI−1の蓄積に
対する、100nmol/LのGST−RAPまたは300μmol/Lのクロ
ロキンの効果。HMCは、GST−RAPもしくはクロロキンを用いて、または
用いずに、24時間インキュベーションされ、t−PA抗原(■)およびPAI
−1(□)の存在に関してその調整培地を検定した。データは、コントロールに
対する百分率値で表わされており、2組のうちの1つにおける3つの独立した実
験のSD±平均値である。
【図2B】 HMCの調整培地のu−PAの蓄積に対する、1μmol/L
のGST−RAP、300μmol/Lのクロロキンおよび5μg/mLのu−
PA受容体をブロッキングするH−2抗体の効果。HMCは、GST−RAP、
クロロキンまたはH−2とともに24時間インキュベーションされ、u−PA抗
原の存在に関してその調整培地を検定した。示されたデータは、行なわれた3つ
のうちの1つの実験を代表しており、3組の実験の±SD平均として表わされて
いる。
【図3A】 1000U/mlのTNFαを用いて、もしくは用いずに、お
よびTNFαよりも30分前に加えるクロロキンの濃度を増加(100−300
μmol/L)させ、HMCを37℃で24時間インキュベーションした。調整
培地は、t−PA抗原に関して評価分析された。示されたデータは、行なわれた
3つのうちの1つを代表しており、エラーバーにより範囲を示しており、2組の
実験の平均値として表わされている。
【図3B】 1000U/mlのTNFαを用いて、もしくは用いずに、お
よびTNFαよりも30分前に加えるクロロキンの濃度を増加(100−300
μmol/L)させ、HMCを37℃で24時間インキュベーションした。調整
培地は、PAI−1抗原に関して評価分析された。示されたデータは、行なわれ
た3つのうちの1つを代表しており、エラーバーにより範囲を示しており、2組
の実験の平均値として表わされている。
【図4】 AdCMV−RAPの1mlに対して3×107プラーク形成単 位(pfu)を含む200μlのM199培地/2容量%の新生仔ウシ血清を用
いてHMC(2cm2)をインキュベーションした。1時間後、細胞はM199 を用いて2回洗浄され、その細胞を培養培地で再培養した。HMCを図示時間イ
ンキュベーションし、コントロール(非感染)細胞および感染細胞の調整培地を
、t−PA抗原に関して検定した。示されたデータは、行なわれた3つのうちの
1つの実験を代表しており、3組の実験のSD±平均値として表わされている。

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳類の特定の部位における器官、器官の一部または組織の
    癒着ならびにそれらのあいだでの癒着を低減ならびに予防するための方法で、該
    部位に存在する中皮細胞でのプラスミノーゲンアクチベータの内在化および分解
    を低減するための処置を該哺乳類に施すことからなる方法。
  2. 【請求項2】 前記哺乳類がヒトである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記部位が局部繊維症を導き得る外傷にさらされているまた
    はさらされてきた請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記外傷が外科手術、たとえば腹腔の手術である請求項3記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 前記処置が、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に関与
    する前記中皮細胞上の受容体によるプラスミノーゲンアクチベータ内在化の妨害
    、および/または該受容体の再使用(recycling)の妨害、および/ま
    たは該中皮細胞内のプラスミノーゲンアクチベータの分解の妨害をなし得る活性
    剤の前記哺乳類の前記部位への投与からなる請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記活性剤が、クロロキンまたはその機能的等価物のような
    リソソモトロピック(lysosomotropic)的試薬、ロイペプチンま
    たはペプスタチンのようなリソソームプロテイナーゼ(lysosomal p
    roteinase)阻害剤、ならびに受容体の再使用または内在化を妨害する
    コルヒチン、サイトカラシンBおよびモネンシンのようなほかの物質から構成さ
    れる群から選択される請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記処置が、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に関与
    する前記中皮細胞上の受容体をブロッキングすることができる活性剤の前記哺乳
    類の前記部位への投与からなる方法。
  8. 【請求項8】 前記活性剤が受容体結合蛋白質(RAP)またはその機能的
    等価物である請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記RAPまたはその機能的等価物が、前記中皮細胞または
    前記部位に存在するほかの細胞によって、該細胞のインビボ(in vivo)
    またはエクスビボ(ex vivo)の遺伝的変異(genetic modi
    fication)を受けたあとに、産生される請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記活性剤が前記受容体のプラスミノーゲンアクチベータ
    結合部位に結合する抗体、またはその断片、およびプラスミノーゲンアクチベー
    タの受容体結合部位からなるまたはそれを模倣しているペプチドからなる群から
    選択される請求項7記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記処置が、中皮細胞における受容体介在性エンドサイト
    ーシスを妨害するプラスミノーゲンアクチベータ変異体の前記哺乳類の前記部位
    への投与からなる請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記処置が、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に関
    与する受容体の発現をダウンレギュレーションするような、前記部位に存在する
    中皮細胞の遺伝的変異からなる請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記処置が、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に関
    与する前記中皮細胞上の受容体の発現をダウンレギュレーションできる活性剤の
    前記哺乳類の前記部位への投与からなる請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 哺乳類の中皮細胞におけるプラスミノーゲンアクチベータ
    の内在化および分解の低減、また該哺乳類の特定の部位における器官、器官の一
    部または組織の癒着ならびにそれらのあいだでの癒着を低減または予防するため
    の医薬組成物の製造に提供することができる活性剤の用途。
  15. 【請求項15】 前記哺乳類がヒトである請求項14記載の用途。
  16. 【請求項16】 前記部位が、たとえば局部繊維症を導き得る外科手術のよ
    うな外傷にさらされているまたはさらされてきた請求項14記載の用途。
  17. 【請求項17】 前記活性剤が、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に
    関与する前記中皮細胞上の受容体によって、プラスミノーゲンアクチベータ内在
    化の妨害、および/または該受容体の再使用の妨害、および/または該中皮細胞
    におけるプラスミノーゲンアクチベータの分解の妨害をなし得る請求項14記載
    の用途。
  18. 【請求項18】 前記活性剤が、クロロキンまたはその機能的等価物のよう
    なリソソモトロピック的試薬、ロイペプチンまたはペプスタチンのようなリソソ
    ームプロテイナーゼの阻害剤、ならびに受容体の再使用および内在化を妨害する
    クロロキン、サイトカラシンBおよびモネンシンのようなほかの物質からなる群
    から選択される請求項17記載の用途。
  19. 【請求項19】 前記活性剤が、プラスミノーゲンアクチベータの内在化に
    関与する前記中皮細胞上の受容体をブロッキングすることができる請求項14記
    載の用途。
  20. 【請求項20】 前記活性剤が受容体結合蛋白質(RAP)またはその機能
    的等価物である請求項19記載の用途。
  21. 【請求項21】 前記活性剤が、前記中皮細胞または前記部位に存在するほ
    かの細胞に対する組換えトランスフェクションベクターまたは感染ベクターであ
    り、該ベクターは受容体結合タンパク質(RAP)またはその機能的等価物をコー ドしている発現可能な核酸を含み、前記細胞のインビボまたはエクスビボでの遺
    伝的変異、およびそれら遺伝的変異後の該細胞による該RAPまたはその機能的等 価物の産生を可能にするベクターである請求項19記載の用途。
  22. 【請求項22】 前記活性剤が、前記受容体のプラスミノーゲンアクチベー
    タの結合部位に結合する抗体、またはその断片、およびプラスミノーゲンアクチ
    ベータの受容体結合部位からなるまたはそれを模倣しているペプチドからなる群
    から選択される請求項19記載の用途。
  23. 【請求項23】 前記活性剤が、前記中皮細胞における受容体介在性エンド
    サイトーシスを妨害するプラスミノーゲンアクチベータの変異体である請求項1
    4記載の用途。
  24. 【請求項24】 前記活性剤が、前記中皮細胞に対する組換えトランスフェ
    クションベクターまたは感染ベクターであり、該ベクターはプラスミノーゲンア
    クチベータの内在化に関与する中皮細胞の受容体に対するアンチセンスmRNAを コードしている核酸を含み、該受容体の発現をダウンレギュレーションするよう
    な該中皮細胞のインビボまたはエクスビボでの遺伝的変異を可能にするベクター
    である請求項14記載の用途。
  25. 【請求項25】 前記活性剤がプラスミノーゲンアクチベータの内在化に関
    与する前記中皮細胞上の受容体の発現をダウンレギュレーションすることができ
    る請求項14記載の用途。
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