JP2001520053A - 粘着集落性種およびハイフォミクロビウム種核酸 - Google Patents

粘着集落性種およびハイフォミクロビウム種核酸

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JP2001520053A JP2000517114A JP2000517114A JP2001520053A JP 2001520053 A JP2001520053 A JP 2001520053A JP 2000517114 A JP2000517114 A JP 2000517114A JP 2000517114 A JP2000517114 A JP 2000517114A JP 2001520053 A JP2001520053 A JP 2001520053A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、2つの新規の粘着集落性菌株mz1tおよびmz2tを提供する。本発明は、配列番号:1の核酸から成る単離核酸を提供する。mz1tの核酸の例としては、配列番号:2および配列番号:3が挙げられる。mz2tの核酸の例は、配列番号:4である。本発明は、配列番号:5の核酸から成る単離核酸も提供する。廃水試料中の粘着集落クラスターの存在の検出方法であって、以下の:a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのRNAを配列番号:1、2、3、4または5の核酸を包含する核酸と接触させ、そしてb)粘着集落クラスターの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出する工程から成る方法が提供される。M3と呼ばれる新しいハイフォミクロビウム種菌株が、本明細書で提供される。本発明は、ハイフォミクロビウム種M3の新規の核酸を提供する。例えば、配列番号:6および配列番号:7(M3のrDNA)、配列番号:8、9、10、11、12、13および14は、推定ハイフォミクロビウム種配列である。配列番号:15は、6m3および3m3(スラッジから単離されたハイフォミクロビウム種m3)からのコンセンサス配列である。配列番号:17の核酸を包含する核酸を用いた、前記のような廃水試料中のハイフォミクロビウム種の存在の検出方法も提供される。配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14および配列番号:15の核酸も、ハイフォミクロビウム種の検出方法において、全体でまたは断片として利用され得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の属する技術分野] 本発明は、廃水処理プラントでのスラッジ問題に関連した細菌株の検出方法に
関する。特に、本発明は、廃水処理プラントでのスラッジ問題に関連した新規の
細菌株の同定に関する。特に本発明は、スラッジ問題に関連した細菌株の検出に
用いるための核酸プローブに関する。
【0002】 [従来の技術] 廃水処理プラントでのスラッジの2つの重要な望ましい特性は、脱水性および
圧縮性である。産業廃水処理施設での顕微鏡観察は、粘着集落クラスターの存在
がスラッジ脱水性不良のエピソードと相関し、そしてハイフォミクロビウム種の
存在はスラッジ圧縮性不良と関連することが実証されている。
【0003】 3つの曝気槽のうちの1つにおいて内因性呼吸を増強するよう意図された植物
操作は、スラッジ収量の有意の低減を生じた(Bullard and Barber, 1994)。し
かしながら、スラッジ脱水性不良の周期的エピソードは、このスラッジ最小化戦
略の用途を限定した(Barber et al., 1995 )。脱水能力の低減は非晶質粘着集
落クラスターの存在と相関するが、しかしこれらのクラスターは一般に良好なス
ラッジ特質の期間中により少ない数度で存在する、ということを顕微鏡は示して
いる。
【0004】 活性スラッジ中の粘着集落クラスターを形成する生物体の同定およびモニタリ
ングは、ズーグレア属を描写する示差的な形態学的または生理学的特徴の欠乏の
ために複雑にされる(Unz, 1984 )。歴史的に、ズーグレア種としての種の同定
は、それらが廃水から単離され、フロックを形成されるという事実に主として基
づいていた(Crabtree and McCoy, 1967; Unz, 1971;Friedman and Dugan, 1968
)。示差的保存特徴の欠乏のため、顕微鏡観察が唯一の一般に利用可能なモニタ
リング法であった。
【0005】 小リボソームサブユニットに見出されるRNA(16S rRNA)の配列を
基礎にした微生物の分類および同定のための分子ベースの方法における新規の開
発は、複雑な微生物コミュニティーのより完全な且つ限定的な分析を可能にした
。しかしながら、この技法は、スラッジ微生物コミュニティーの分析に十分に利
用されたわけではなかった。
【0006】 ズーグレア種として過去に分類された株の16S rRNA配列分析は、これ
らの生物体が密接に関連しているわけではないことを示した(Shin et al., 199
3 )。Z. ramigera ATCC19623はプロテオバクテリアのαサブクラス中
に存在し、プロテオバクテリア、Z.ramigeraATCC19544およびZ. ramig
era 25935はβサブクラスの成員である。3つの主な種類の菌株(ズーグレ
ア種ATCC19623、19544および25935)のために開発された1
6S rRNAプローブによる活性スラッジのプロービングは、Z. ramigera A
TCC19544だけが粘着集落クラスターとして一般に存在することを示唆し
た(Rossello-Mora et al., 1995; Wagner et al., 1995 )。さらに別の種が粘
着集落形成および関連脱水問題に関与するか否かは、確定されていない。
【0007】 活性スラッジ中のグラム陰性糸状細菌のin-situ 検出のための蛍光プローブの
適用は、相対的に新しい(Bradford et al., 1997;Reyes et al., 1997; Wagner
et al., 1993; Wagner et al., 1994)。これらの研究者達はプロテオバクテリ
アのための種々のオリゴヌクレオチドプローブを開発したが、しかしハイフォミ
クロビウム種のための16S rDNAプローブは従来報告されていない。ハイ
フォミクロビウム種は、下水汚物処理プラントにおいて観察されており(Holm e
t al., 1996 )、そして土壌、地下水、淡水の池および湖、海洋試料ならびに過
塩性湖中におけるそれらの存在も報告されている。従来の研究は、Hyphomicrobi
um vulgareが、しばしば培養容器の壁に付着する集塊で特徴的に生育する、とい
うことを示した。ハイフォミクロビウム様細菌は一般に自然の環境に存在し、脱
窒条件下でメタノールを利用する(Amaral et al., 1995 )。ハイフォミクロビ
ウム種は、低栄養条件下では競合的である(Bergey's Manual of Determinative
Bacteriology )。
【0008】 [発明が解決しようとする課題] 本発明は、廃水処理プラントにおける粘着集落クラスターを包含する生物体の
同定およびそれらのルーチンモニタリングのための16S rRNAオリゴヌク
レオチドプローブを提供する。本発明は、ハイフォミクロビウム種のルーチンモ
ニタリングのための16S rRNAオリゴヌクレオチドプローブも提供する。
【0009】 [課題を解決するための手段] 本発明は、2つの新しい粘着集落性菌株mz1tおよびmz2tを提供する。
これらの菌株は、それらの新規の核酸および以下に記載するようなその他の特徴
により同定され得る。 本発明は、配列番号:1の核酸から成る単離核酸を提供する。この核酸は、主
として実施例に記載されているようなタウエラ属Thauera 、アゾアルクス属Azoa
rcus、ズーグレア属Zoogloeaおよびロドシクルス属Rhodocyclus の成員とハイブ
リダイズするプローブ(ロドRhodo プローブ)となり得る。
【0010】 mz1tの核酸の例としては、配列番号:2および配列番号:3のそれぞれ5
‘−3’塩基530〜1130および940〜1492が挙げられる。mz2t
の核酸の例は、配列番号:4の5‘−3’塩基1080〜1492である。本明
細書中に、そして当業界でルーチンに記載される配列比較法を用いて、これらの
核酸の多数の菌株特異的断片が得られる。
【0011】 本発明は、配列番号:5の核酸から成る単離核酸も提供する。このプローブ(
MZ1プローブ)は、mz1tおよびmz2tの両菌株、ならびにアゾアルクス
種も標的にする。したがって、MZ1プローブは、いくつかの廃水処理施設でス
ラッジ中に粘着集落クラスターを形成するタウエラ属の成員を標的にする。 以下の:a)廃水試料からのRNAを配列番号:1の核酸を包含する核酸と接
触させ、そしてb)粘着集落クラスターの存在を示すハイブリダイゼーションの
存在を検出する工程から成る廃水試料中の粘着集落クラスターの存在の検出方法
が提供される。
【0012】 前記のような、しかし配列番号:2、3、4または5の核酸を包含する核酸を
用いる廃水試料中の粘着集落クラスターの存在の検出方法も、提供される。 M3株と呼ばれる新規のハイフォミクロビウム種が、本明細書では提供される
。これらの菌株は、それらの新規の核酸および以下でさらに説明されるようなそ
の他の特徴により同定され得る。
【0013】 本発明は、ハイフォミクロビウム種M3の新規の核酸を提供する。 例えば、配列番号:6および配列番号:7は、それぞれM3複製1(6M3)
および複製2(3M3)の5‘−3’塩基30〜1490 rDNAである。配
列番号:8、9、10、11、12、13および14は、スラッジから得られる
推定上のハイフォミクロビウム種配列である(7つの部分配列−1060〜14
92)。配列番号:15は、スラッジから単離されたハイフォミクロビウム種M
3である6M3および3M3からのコンセンサス配列である。
【0014】 廃水試料中のハイフォミクロビウム種の存在の検出方法が提供される。方法は
、a)特定のハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、廃水の試料からの
DNAを配列番号:16の核酸を包含する核酸と接触させ、そしてb)ハイフォ
ミクロビウム種の存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出する工程を包
含する。
【0015】 前記のような、しかし配列番号:17の核酸を包含する核酸を用いた廃水試料
中のハイフォミクロビウム種の存在の検出方法も提供される。配列番号:6、配
列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、
配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14および配列番号:15の核酸
も、ハイフォミクロビウム種の検出方法において、全体でまたは断片として利用
され得る。 本発明の詳細な説明 本発明は、2つの新しいズーグレア株mz1tおよびmz2tを提供する。こ
れらの菌株は、それらの新規の核酸および以下にさらに記載するようなその他の
特徴により同定され得る。
【0016】 「粘着集落」という用語は、生物スラッジ中の細胞のクラスター中に見出され
る生物体を示し、クラスターそれ自体が「粘着集落」と呼ばれる。クラスターを
形成する生物体の分類学的同一性が不明である場合、生物体は「粘着集落性菌株
」と呼ばれる。 廃水処理の分野の従業者はしばしば、個々の細胞がはっきり目に見えるように
、多糖により散在されるクラスターとして増殖する生物体の群を説明するために
「粘着集落」という用語を用いる。これらのクラスターを形成する生物体がズー
グレア属の成員であるか否かは、大部分は不明であるが、しかし他の研究者達に
よって開発されたZ. ramigera ATCC19544標的化プローブ(ZRA)を
用いたプロービングは、いくつかのクラスターがこの生物体により形成されるこ
とを示す。本発明の結果は、少なくとも1つの廃水処理施設の活性スラッジ中で
観察されるクラスターがこのプローブにより陽性をプローブしないがしかし、2
つの新規の粘着集落菌株が同定された(mz1tおよびmz2t)、ということ
を実証する。菌株mz1tおよびmz2tは、実施例にさらに記載されるような
タウレア属の既知の成員と最も親密に関連する。 粘着集落菌株核酸 本発明は、配列番号:1の核酸から成る単離核酸を提供する。この核酸は、主
として実施例に記載されているようなタウエラ属Thauera 、アゾアルクス属Azoa
rcus、ズーグレア属Zoogloeaおよびロドシクルス属Rhodocyclus の成員とハイブ
リダイズするプローブ(ロドプローブ)であり得る。ロドプローブは、Z. ramig
era ATCC 19544、ならびに2つの新規の粘着集落性菌株mz1tおよ
びmz2tをともに標的にする。したがって、それは、粘着集落を群別するため
のプローブとして用いられ得る。
【0017】 配列番号:1の核酸を包含する単離核酸も、本発明の範囲内である。ヌクレオ
チドは、配列番号:1の5‘または3’末端に付加され、その結果生じる核酸は
、ロドプローブがハイブリダイズする生物体の少なくとも1つの群を検出するそ
の能力に関して試験される。ロドプローブは、MZ1より広範囲の生物体を標的
する(下記)。特異性はプローブと標的化核酸との間の誤対合数、ならびに温度
およびホルムアミド濃度のいずれもの影響を受けるので、とロドプローブへの塩
基の付加は、付加塩基が保存されるかまたは発散されるか否か、あるいはハイブ
リダイゼーションホルムアミド濃度または温度が増大されるか低減されるかによ
って、その特異性を増大し、それにより、いくつかの標的菌株を排除するかまた
は非標的株を含むと予測される。
【0018】 本発明は、mz1tの新規の核酸を提供する。したがって、本発明は、mz1
tと呼ばれる細菌株に特異的な核酸、またはそれと相補的な核酸を提供する。こ
れらの核酸はmz1tタンパク質をコードし得るし、あるいはそれらはrDNA
またはrRNA(例えば16S rRNA)であり得るし、あるいはそれらはm
z1tまたはmz2tの核酸と相補的であり得る(例えばプローブまたはプライ
マー)。本発明は、mz1tに特異的な核酸と特異的にハイブリダイズするその
他の非相補的核酸も提供する。mz1t特異的核酸の核酸のmz1t特異的領域
の核酸と特異的にハイブリダイズする核酸も提供される。
【0019】 mz1tの核酸の例としては、配列番号:2および配列番号:3、それぞれ5
‘−3’塩基530〜1130および940〜1492が挙げられる。これらの
核酸の多数の菌株特異的断片は、本明細書中に及び当業界でルーチンに記載され
る配列比較法を用いて得られる。 本発明は、mz2tの新規の核酸を提供する。したがって、本発明は、mz2
tと呼ばれる細菌株に特異的な核酸、またはそれと相補的な核酸を提供する。こ
れらの核酸はmz2tタンパク質をコードし得るし、あるいはそれらはrDNA
またはrRNA(例えば16S rRNA)であり得るし、あるいはそれらはm
z1tまたはmz2tの核酸と相補的であり得る(例えばプローブまたはプライ
マー)。本発明は、mz2tに特異的な核酸と特異的にハイブリダイズするその
他の非相補的核酸も提供する。mz2t特異的核酸の核酸のmz2t特異的領域
の核酸と特異的にハイブリダイズする核酸も提供される。mz2tの核酸の例は
、配列番号:4、5‘−3’塩基1080〜1492である。これらの核酸の多
数の菌株特異的断片は、本明細書中に及び当業界でルーチンに記載される配列比
較法を用いて得られる。
【0020】 本発明は、配列番号:5の核酸から成る単離核酸も提供する。このプローブ(
MZ1プローブ)も、菌株mz1tおよびmz2tならびにアゾアルクス種のい
ずれもを標的にする。したがって、MZ1プローブは、いくつかの廃水処理施設
でスラッジ中に粘着集落クラスターを形成するタウレア属の成員を標的にする。 配列番号:5の核酸を包含する単離核酸も本発明の範囲内である。ヌクレオチ
ドは、配列番号:5の5‘または3’末端に付加され、その結果生じる核酸は、
MZ1プローブがハイブリダイズする生物体の少なくとも1つの群を検出するそ
の能力に関して試験される。mz1tおよびmz2tの両方を検出するのが望ま
しい場合、mz1tおよびmz2t rRNA配列がプローブとして用いられる
配列内から外れない限りは、塩基が付加され得る(1500塩基まで)。外れる
点で、プローブはmz1tまたはmz2tに対してより特異的になる。
【0021】 実施例は、本発明のプローブが相補的である属に関して標的範囲をより明瞭に
限定する。Zoogloea ramigera として過去に分類された3つの主な種類の菌株の
16S rRNA配列に関する他の研究者により成された調査は、これらの種が
密接に関連していないことを示した。これらのうちの1つ(Z. ramigera ATC
C19544)だけが、その種類の菌株としてズーグレア属に留まると予測され
る。他の2つの菌株は、未だ確定されていない属としてその他に移されることが
予測される。
【0022】 本発明の粘着集落核酸プローブは、コード鎖またはその相補鎖のヌクレオチド
配列、あるいはセンス鎖またはアンチセンス鎖のヌクレオチド配列を包含する核
酸であり得る。したがって、本発明のプローブはDNAまたはRNAであり得る
し、生物試料中のDNAまたはRNAを結合し得る。プローブのヌクレオチド配
列は、種々のハイブリダイゼーション条件下で生物試料中の標的核酸(単数また
は複数)とのプローブのハイブリダイゼーションを可能にするのに十分なスラッ
ジ試料中の核酸配列との相補性を有する任意の配列であり得る。理想的には、プ
ローブは試料中の当該核酸標的(単数または複数)とのみハイブリダイズし、試
料中の非標的核酸とは非特異的にはハイブリダイズしない。ハイブリダイゼーシ
ョン条件は、特定のハイブリダイゼーションプロトコールにおいて望ましい緊縮
程度(例えば、in-situ 溶液ハイブリダイゼーション、ブロット等)によって、
変わり得る。例えば、ハイブリダイゼーション条件が、高温および低塩条件を用
いる高緊縮に対してである場合、プローブはそれが非常に高度の相補性を有する
試料中の核酸配列とだけ結合する。低温および高塩を用いる低緊縮ハイブリダイ
ゼーション条件は、多少の相補性を有するがしかし高緊縮性で生じるためのハイ
ブリダイゼーションに必要とされるのと同様に高度にプローブ配列と相補的であ
るわけではない試料中の核酸配列とのプローブのハイブリダイゼーションを可能
にする。ハイブリダイゼーション条件は、生物試料、プローブの種類および標的
(単数または複数)によって変わる。本発明の核酸の特定の適用のためのハイブ
リダイゼーション条件の最適化方法を、当業者は知っている。ハイブリダイゼー
ション条件の例は、本明細書中に提示される実施例に記載されている。
【0023】 プローブは、所望の特異性を達成するよう設計されている。プローブ標的に隣
接する領域が保存領域である場合、塩基の付加はプローブ特異性を低減する傾向
があり、即ち、識別を付与する塩基の割合は低減される。識別を成し遂げること
はできる一方、より大きい割合の識別を提供しない塩基で選択性を達成すること
は難しくなる。さらに、in-situ ハイブリダイゼーション実験では、長さが増大
した場合、プローブは透過性化細胞にあまり入りそうにない。隣接領域が非常に
可変性である場合には、プローブ長の増大はそれをより特異的にする。この場合
、プローブの「群別化機能」は危うくされ、そしていくつかの所望の標的配列は
ハイブリダイズし得ない。好ましい場合には、本発明に開示されたオリゴヌクレ
オチドを包含する核酸は長さが約16〜22ヌクレオチドの範囲であることが予
測される。
【0024】 標的配列は、DNAシーケンシングにより天然細菌の16S rDNAにおい
て同定される配列である。生物体間の関係は、それらの類似性をともに基礎にし
た標的配列の群別化により確定される。オリゴヌクレオチドプローブ配列は、標
的配列間の関係の分析を基礎にした推定配列である。オリゴヌクレオチドプロー
ブは、先ず単一または一群の標的配列中に見出される塩基対を補足し、次に合成
のために3‘−5’から5‘−3’に塩基の順序を逆にすることにより作製され
る。標的配列とオリゴヌクレオチドプローブとの関係を、表1に示す。ヌクレオ
チドプローブを設計する場合、関連細菌単離体の標的配列における同一ストレッ
チの知見はきわめて重要である。オリゴヌクレオチドプローブにおける単一塩基
の付加、控除または変化は、プローブにより検出される生物体の範囲を変えると
思われる。
【0025】
【表1】
【0026】 本発明は、本明細書中に記載したハイブリダイゼーション条件下で、配列番号
:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4または配列番号:5として記
載される配列と選択的にまたは特異的にハイブリダイズする単離核酸を提供する
。例えば、ハイブリダイズする核酸は、1つ又はそれ以上の例示菌株のRNAと
ハイブリダイズするプローブであり得る。ハイブリダイズする核酸は、既述の条
件下でハイブリダイゼーションを妨げない非現実的塩基置換も含み得る。
【0027】 核酸配列(オリゴヌクレオチド、RNA、DNA、プローブ、プライマー等)
を説明するために本明細書中で用いる場合、「特異的」とは、核酸が任意の他の
供給源中では全く同じには見出されない核酸を意味する。特異性の確定は、コン
ピューター処理配列データベースの利用可能性のためにルーチンにされ、この場
合、ほとんどの任意の長さの核酸配列は、同一配列の存在に関して迅速且つ確実
に検査され得る。同一配列が見出されない場合、核酸は列挙源に対して「特異的
」である。核酸は、rDNA/rRNA特異的(即ち、任意の供給源からのrD
NA/rRNAに見出されるが、しかし他の遺伝子には見出されない)、属特異
的(例えば、ハイフォミクロビウム属の多数の種のrRNA/rDNAには見出
されるが、しかし任意のその他の属には見出されない)、種特異的(例えば、特
定のハイフォミクロビウム種のrRNA/rDNAには見出されるが、しかし任
意のその他の種では見出されない)、あるいは菌株特異的(即ち、特定の粘着集
落性菌株に見出されるが、しかし異なる粘着集落性菌株のrRNAまたはrDN
Aには見出されない)であり得る。rRNA/rDNA配列が高度に保存される
場合、それはそうでなければ関連のない多数の供給源で見出され得る。
【0028】 核酸を説明するために本明細書中で用いる場合、「選択的にハイブリダイズす
る」という用語は、時折無作為にハイブリダイズする核酸を除外し、そして背景
ハイブリダイゼーションとして当業界で認識されるものをさらに区別する。本明
細書中で用いる場合、「特異的」ハイブリダイゼーションとは、核酸が参照核酸
とだけ高緊縮度でハイブリダイズすることを意味する。本発明のハイブリダイズ
する核酸は、それがハイブリダイズする配列のセグメントおよび鎖との少なくと
も90%、91%、92%、93%、94%95%、96%、97%、98%、
99%および100%相補性を有し得る。プローブとして用いられる核酸は、典
型的には、長さが18、19、20、21または22ヌクレオチドである。しか
しながら、核酸がプライマーとしてまたはその他の目的のために用いられるか否
かによって、それはより長かったり、より短かったりし得る。典型的には、16
S rRNAプローブは、長いプローブは、それらが透過性化細胞に容易に入る
ことができないようにin-situ (全細胞)ハイブリダイゼーションには有効でな
いので、20塩基の範囲で保持される。プライマーとして用いられる場合、本発
明は、所望の領域を増幅するために異なる領域と選択的にハイブリダイズする少
なくとも2つの核酸を含む組成物を提供する。プローブまたはプライマーの長さ
によって、それは、90%相補性〜完全相補性の範囲であり得るし、緊縮条件下
でなおハイブリダイズする。例えば。粘着集落性菌株の存在を検出する目的のた
めには、ハイブリダイズする核酸(プローブまたはプライマー)とそれがハイブ
リダイズする配列(試料からのDNAまたはRNA)との間の相補性度は、少な
くとも無関係細菌からの核酸とのハイブリダイゼーションを除外するのに十分で
あるべきである。本発明は、緊縮条件下で非選択的にハイブリダイズする核酸か
ら選択的にハイブリダイズする核酸を識別するのに必要な相補性度が各核酸に関
して明瞭に確定され得るように、これらの核酸の例を提供する。
【0029】 「緊縮条件」とは、ハイブリダイゼーションプロトコールに用いられる洗浄条
件を指す。特定レベルの緊縮度を得るのに必要な温度および塩条件は、フィルタ
ー上で固定化された参照RNAの試料またはガラススライド上に固定化された透
過性化全細胞が当該プローブとハイブリダイズされ、次に異なる緊縮度の条件下
で洗浄される実験で経験的に容易に確定される。緊縮条件の例を以下に説明する
。 粘着集落性菌株の検出 プラントの始動中の不十分なスラッジ圧縮および脱水には、そして粘性塊形成
のエピソードには、粘着集落クラスターが伴う。しかしながら、それらは選別機
を用いる処理系でも一般に観察され、必ずしもスラッジ特質問題と関係があると
いうわけではない。異なる廃水処理プラントにおける比較プロービングは、いく
つかの粘着集落性菌株が他のものより問題となる傾向がある、ということを示す
ことはあるかもしれない。改良型モニタリング法は、活性スラッジ法性能問題の
より特異的診断をもたらし得るし、そして工程制御戦略におけるさらなる柔軟性
を可能にし得る。
【0030】 以下の:a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、廃水の試
料からのRNAを、配列番号:1の核酸を包含する核酸と接触させ、そしてb)
粘着集落クラスターの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出する工程
から成る廃水試料中の粘着集落クラスターの存在の検出方法が提供される。 前記のような、しかし配列番号:5の核酸を包含する核酸を用いる、廃水試料
中の粘着集落クラスターの存在の検出方法も提供される。
【0031】 配列番号:5の標的特異性のために、廃水試料中のタウエラ種単離物mz1t
またはmz2tの存在の検出方法が提供される。その方法は、以下の:a)特異
的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、廃水の試料からのRNAを、
配列番号:5の核酸を包含する核酸と接触させ、そしてb)タウエラ種単離物m
z1tまたはmz2tの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出する工
程から成る。
【0032】 ロドプローブを用いて検出されるある種の細菌がスラッジ脱水問題と関連する
ために、スラッジ脱水問題と関連するスラッジ中の細菌の検出方法が提供される
。その方法は、以下の:a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下
で、細菌からのDNAを、配列番号:1の核酸を包含する核酸と接触させ、そし
てb)スラッジ脱水問題に関連する細菌の存在を示すハイブリダイゼーションの
存在を検出する工程から成る。
【0033】 MZ1プローブにより検出されるある種の細菌はスラッジ脱水問題と関連があ
るため、前記のような、しかし配列番号:5の核酸を包含する核酸を用いるスラ
ッジ脱水問題と関連があるスラッジ中の細菌の検出方法も提供される。 本発明は、以下の:a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で
、細菌からのDNAを、配列番号:1の核酸および配列番号:5の核酸と接触さ
せ、そしてb)スラッジ脱水問題に関連する細菌の存在を示すハイブリダイゼー
ションの存在を検出する工程から成る、スラッジ脱水問題に関連したスラッジ中
の細菌の検出方法も提供する。
【0034】 前記の方法は、配列番号:2、配列番号:3および配列番号:4の核酸を用い
て、スラッジ脱水問題に関連した粘着集落性細菌およびその他のある種の細菌の
存在を検出し得る。 本明細書中に記載した蛍光プロービングおよびドットブロットハイブリダイゼ
ーションのために用いられ得る条件は、実施例に記載されている。ロドおよびM
Z1プローブの両方に関するプローブと標的間の単一誤対合識別のための実験的
に確定されるホルムアミド濃度は、40%である。特異的ハイブリダイゼーショ
ン溶液中の塩濃度によって、これには多少の変動性が存在し得る。実施例に示し
たように、最高緊縮度でハイブリダイゼーションを実行するのが常に望ましいわ
けではない。それは、主要目標が何であるかによる。例えば、いくつかの場合に
は、シグナル強度が特異性より重要である。特に、未だ同定されていない小(1
塩基)配列差を有するタウエラ種が存在し得る。一般的に、緊縮度の問題は、シ
グナル強度の論議に関する。これはより一般的論点である。一誤対合識別を成し
遂げるのに必要な緊縮は、標的菌株に対するシグナルをより弱くさせ得る。強力
で容易に検出可能なシグナルを有することがしばしば望ましく、特異性のわずか
な損失は問題でない。
【0035】 ドットブロットハイブリダイゼーションは、実施例で参照される標準プロトコ
ールの後に続く。単一誤対合識別に関して確定される温度条件は、およそ60〜
65℃である。in-situ (全細胞)ハイブリダイゼーションにおける特異性の主
要制御因子はホルムアミド濃度であるが、一方ドットブロットハイブリダイゼー
ションにおける制御因子は温度である。
【0036】 粘着集落クラスターは脱水問題を引き起こし得るが、しかし常に問題を引き起
こすわけではない。問題がクラスターを形成する異なる種に関連があるか、クラ
スターの総量に関連があるか、または多糖合成の発現レベルに関連があるかは分
からない。粘着集落は、クラスター(非晶質形態)または指様突起を形成し得る
。どちらの場合も、識別特徴は、個々の細胞がゼラチン状マトリックス中で容易
に目に見えることである。典型的スラッジフロックでは、個々の細胞は見にくく
、マトリックスはより不透明である。両方の種類の粘着集落(非晶質および指様
)が、脱水問題を引き起こし得る。脱水問題は、流入廃水中の窒素またはリン不
足とも関連し得る。この場合、粘着集落クラスターまたは指様物は存在しないこ
とがある。 新規のハイフォミクロビウム種 M3と呼ばれる新しいハイフォミクロビウム種が、本明細書中で提供される。
これらの菌株は、以下でさらに説明するように、それらの新規の核酸およびその
他の特徴により同定され得る。 ハイフォミクロビウム種核酸 本発明は、ハイフォミクロビウム種M3の新規の核酸を提供する。M3と呼ば
れる細菌株に特異的な核酸またはそれと相補的な核酸も提供される。これらの核
酸はM3タンパク質をコードし得るか、またはそれらはrDNAまたはrRNA
(例えば16S rRNA)であり得るか、またはそれらはM3の核酸と相補的
であり得る(例えばプローブまたはプライマー)。M3特異的核酸のM3特異的
領域の核酸と特異的にハイブリダイズする核酸も提供される。
【0037】 例えば、配列番号:6および配列番号:7は、それぞれM3複製1(6M3)
および複製2(3M3)の5‘−3’塩基30〜1490 rDNAである。配
列番号:8、9、10、11、12、13および14は、スラッジから得られる
推定上のハイフォミクロビウム種配列である(7つの部分配列−1060〜14
92)。配列番号:15は、スラッジから単離されたハイフォミクロビウム種M
3である6M3および3M3からのコンセンサス配列である。本発明は、M3に
対して特異的な核酸と特異的にハイブリダイズするその他の非相補的核酸も提供
する。
【0038】 配列番号:16の核酸から成る単離核酸も提供される。配列番号:17の核酸
から成る単離核酸も提供される。これらの核酸は、縮重ハイフォミクロビウム種
プローブ−5'-GCTGC(C/G )CATTGTCACCGCC-3'を提供する。これは、実際には2
つのプローブ:配列番号:16−GCTGCCCATTGTCACCGCC ;および配列番号:17
−GCTGCGCATTGTCACCGCC である。細菌試料は、標的器官が標的領域の1つ又はそ
れ以上の塩基位置で何らかの変動性を有する場合に、両プローブでプロービング
され得る。あるいは、塩基類似体がCまたはGの代わりに用いられて、この位置
での変動性の影響を最小限にし得る。別の代替的戦略は、同一効果を達成するた
めにあるプローブが用いられる場合に、緊縮度を下げることである。このプロー
ブは、Hyphomicrobium vulgaris およびH.菌株Hyp353(Illinois16S
rRNA活性スラッジデータベース)、処理プラントから単離されるハイフォミ
クロビウム種、および同一処理プラントでスラッジから抽出されるDNAからの
16S rRNAの直接増幅により得られる16S rDNA配列由来のハイフ
ォミクロビウム様RNA配列を含むよう設計された。データベースハイフォミク
ロビウム種は、縮重位置に(C)のみを用いることによってより特異的に標的化
される。その他のある種のハイフォミクロビウム種単離物およびスラッジ配列は
、同一位置に(G)を用いることによってより特異的に標的化される。したがっ
て、それぞれ配列番号:3および配列番号:4の核酸は、ハイフォミクロビウム
属の核酸と特異的にハイブリダイズする。
【0039】 配列番号:16の核酸を包含する単離核酸も提供される。ヌクレオチドは、配
列番号:16の5‘または3’末端に付加され、その結果生じる核酸は、配列番
号:16プローブが特異的にハイブリダイズする生物体の群の少なくとも1つを
検出するその能力に関して試験され得る。 配列番号:17の核酸を包含する単離核酸も提供される。ヌクレオチドは、配
列番号:17の5‘または3’末端に付加され、その結果生じる核酸は、配列番
号:17プローブが特異的にハイブリダイズする生物体の群の少なくとも1つを
検出するその能力に関して試験され得る。
【0040】 本発明のハイフォミクロビウム核酸およびプローブは、コード鎖またはその相
補的鎖のヌクレオチド配列、あるいはセンス鎖またはアンチセンス鎖のヌクレオ
チド配列を包含する核酸であり得る。したがって、本発明のプローブは、DNA
またはRNAであり得るし、そして生物試料中のDNAまたはRNAを結合し得
る。プローブのヌクレオチド配列は、種々のハイブリダイゼーション条件下で生
物試料中の標的核酸(単数または複数)とのプローブのハイブリダイゼーション
を可能にするのに十分なスラッジ試料中の核酸配列との相補性を有する任意の配
列であり得る。理想的には、プローブは試料中の当該核酸標的(単数または複数
)とのみハイブリダイズし、試料中の非標的核酸とは非特異的にはハイブリダイ
ズしない。ハイブリダイゼーション条件は、特定のハイブリダイゼーションプロ
トコールにおいて望ましい緊縮程度(例えば、in-situ 溶液ハイブリダイゼーシ
ョン、ブロット等)によって、変わり得る。例えば、ハイブリダイゼーション条
件が、高温および低塩条件を用いる高緊縮に対してである場合、プローブはそれ
が非常に高度の相補性を有する試料中の核酸配列とだけ結合する。低温および高
塩を用いる低緊縮ハイブリダイゼーション条件は、多少の相補性を有するがしか
し高緊縮性で生じるためのハイブリダイゼーションに必要とされるのと同様に高
度にプローブ配列と相補的であるわけではない試料中の核酸配列とのプローブの
ハイブリダイゼーションを可能にする。ハイブリダイゼーション条件は、生物試
料、プローブの種類および標的(単数または複数)によって変わる。本発明の核
酸の特定の適用のためのハイブリダイゼーション条件の最適化方法を、当業者は
知っている。ハイブリダイゼーション条件の例は、本明細書中に提示される実施
例に記載されている。
【0041】 プローブは、所望の特異性を達成するよう設計されている。プローブ標的(単
数または複数)に隣接する領域が保存領域である場合、塩基の付加はプローブ特
異性を低減する傾向があり、即ち、識別を付与する塩基の割合は低減される。識
別を成し遂げることはできるがしかし、より大きい割合の識別を提供しない塩基
で選択性を達成することは難しくなる。さらに、in-situ ハイブリダイゼーショ
ン実験では、長さが増大した場合、プローブは透過性化細胞にあまり入りそうに
ない。隣接領域が非常に可変性である場合には、プローブ長の増大はそれをより
特異的にする。この場合、プローブの「群別化機能」は危うくされ、そしていく
つかの所望の標的配列はハイブリダイズし得ない。好ましい場合には、本発明に
開示されたオリゴヌクレオチドを包含する核酸は長さが約16〜22ヌクレオチ
ドの範囲であることが予測される。
【0042】 本発明は、本明細書中に記載したハイブリダイゼーション条件下で、配列番号
:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号
:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、
配列番号:16または配列番号:17のとして記載される配列と選択的または特
異的にハイブリダイズする単離核酸も提供する。例えば、ハイブリダイズする核
酸は、1つ又はそれ以上の例示鎖のRNAとハイブリダイズするプローブであり
得る。ハイブリダイズする核酸は、前記の条件下でハイブリダイゼーションを妨
げない非現実的塩基置換も含み得る。
【0043】 核酸を説明するために本明細書中で用いる場合、「選択的にハイブリダイズす
る」という用語は、時折無作為にハイブリダイズする核酸を除外する。それは、
背景ハイブリダイゼーションとして当業界で認識されるものも除外する。本明細
書中で用いる場合、「特異的」ハイブリダイゼーションとは、核酸が参照核酸と
だけ高緊縮度でハイブリダイズすることを意味する。本発明のハイブリダイズす
る核酸は、それがハイブリダイズする配列のセグメントおよび鎖との少なくとも
90%、91%、92%、93%、94%95%、96%、97%、98%、9
9%および100%相補性を有し得る。プローブとして用いられる核酸は、典型
的には、長さが18、19、20、21または22ヌクレオチドである。しかし
ながら、核酸がプライマーとしてまたはその他の目的のために用いられるか否か
によって、それはより長かったり、より短かったりし得る。典型的には、16S
rRNAプローブは、長いプローブは、それらが透過性化細胞に容易に入るこ
とができないようにin-situ (全細胞)ハイブリダイゼーションには有効でない
ので、20塩基の範囲で保持される。プライマーとして用いられる場合、本発明
は、所望の領域を増幅するために異なる領域と選択的にハイブリダイズする少な
くとも2つの核酸を含む組成物を提供する。プローブまたはプライマーの長さに
よって、それは、90%相補性〜完全相補性の範囲であり得るし、緊縮条件下で
なおハイブリダイズする。例えば。ハイフォミクロビウム種の存在を検出する目
的のためには、ハイブリダイズする核酸(プローブまたはプライマー)とそれが
ハイブリダイズする配列(試料からのDNAまたはRNA)との間の相補性度は
、少なくとも無関係細菌からの核酸とのハイブリダイゼーションを除外するのに
十分であるべきである。本発明は、緊縮条件下で非選択的にハイブリダイズする
核酸から選択的にハイブリダイズする核酸を識別するのに必要な相補性度が各核
酸に関して明瞭に確定され得るように、これらの核酸の例を提供する。
【0044】 「緊縮条件」とは、ハイブリダイゼーションプロトコールに用いられる洗浄条
件を指す。特定レベルの緊縮度を得るのに必要な温度および塩条件は、フィルタ
ー上で固定化された参照DNAまたはRNAの試料が当該プローブまたは16
rRNAコード核酸とハイブリダイズされ、次に異なる緊縮度の条件下で洗浄さ
れる実験で経験的に容易に確定される。 ハイフォミクロビウム種の検出方法 廃水試料中のハイフォミクロビウム種の存在の検出方法が提供される。方法は
、以下の:a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、廃水の試
料からのDNAを、配列番号:16の核酸を包含する核酸と接触させ、そしてb
)ハイフォミクロビウム種の存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出す
る工程を包含する。
【0045】 前記のような、しかし配列番号:17の核酸を包含する核酸を用いた廃水試料
中のハイフォミクロビウム種の存在の検出方法も提供される。配列番号:6、配
列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、
配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14および配列番号:15の核酸
も、ハイフォミクロビウム種の検出方法において、全体でまたは断片として利用
され得る。
【0046】 本発明のハイフォミクロビウム種プローブを用いるハイブリダイゼーション条
件は実施例で提供される。特異的ドットブロットハイブリダイゼーションのため
の温度は、55℃である。特異的in-situ ハイブリダイゼーションのためのホル
ムアミド濃度は45%である。 ハイフォミクロビウム種がスラッジ圧縮問題と関連があるため、スラッジ圧縮
問題と関連があるスラッジ中の細菌の検出方法が適用される。方法は、以下の:
a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、細菌からのDNAを
、配列番号:3の核酸を包含する核酸と接触させ、そしてb)スラッジ圧縮問題
と関連する細菌の存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出する工程を包
含する。
【0047】 前記のような、しかし配列番号:4の核酸を包含する核酸を用いたスラッジ圧
縮問題に関連があるスラッジ中の細菌の検出方法も提供される。 スラッジフロックの主体から伸びるフィラメント(ハイフォミクロビウム種は
クラスターとしてよりむしろフィラメントとして増殖する)はスラッジフロック
を離して保持するので、ハイフォミクロビウム種は、浄化器中のスラッジの圧縮
に伴う問題に関連がある。これは糸状塊形成(スラッジ中の多の生物体によって
も引き起こされる)と呼ばれ、薄い嵩高のスラッジで満たされる浄化器(沈澱池
)を生じる。未精留の場合、スラッジブランケット(浄化器の底)はついには浄
化器の上部に延びて、スラッジは上部から流出し、流出液が捨てられている受入
れ水(局所性の川)に入る。 粘着集落とハイフォミクロビウムの平衡の保持 典型的には、粘着集落クラスターとハイフォミクロビウムにより引き起こされ
る問題は、別々に起きる。しかしながら、ある場合には、これら2つの集団は2
つの極端な条件を代表するように見えるし、プロセス制御決定は、中間的立場の
発見に連動されるべきである。両方の種類の菌株に対する適切なプラントプロセ
ス制御応答が知られており、そこで両者に対するプローブによるモニタリングが
有益である。同一ハイブリダイゼーション混合物中の両菌株に対してプローブを
用いることも可能であるべきであり、特に異なるマーカーは異なるプローブに用
いられる。
【0048】 実施例1 粘性スラッジ中の粘着集落クラスターの分子分析 要約 16S rRNAオリゴヌクレオチドプローブ(ZRAおよびZBE)による
プロービングは、ある処理プラントにおける粘着集落クラスターを形成する微生
物が、他の廃水処理系から単離され、これまでに分類されたZoogloea ramigera
株(プロテオバクテリウムのβサブクラスの成員)と同一でないことを示した。
【0049】 マイクロマニピュレーター分離、培養および16S rRNA分析を用いて、
粘着集落クラスター形成に関与する微生物を同定した。単離菌株のディスタンス
マトリックスツリー分析は、mztおよびmzLと呼ばれる2つの種類の微生物
の存在を明示した。mzt単離物は、タウエラ属の成員と最も密接に集団を成し
た。mzL単離物は、ブラキモナス属の成員とより密接に集団を成した。入れ子
式プローブアプローチを用いて、2つの16S rRNAプローブを設計した。
プローブMZ1は、mzt菌株を標的にし、タウエラ属の成員と相補的である。
プローブロドは、mzt単離物からZ. ramigera 型菌株ATCC19544まで
の範囲の種を標的にし、タウエラ属、ズーグレア属、アゾアルクス属およびロド
シクルス属の成員と相補的である。フルオレセイン標識化16S rRNAプロ
ーブおよびエピ蛍光顕微鏡を用いた全細胞ハイブリダイゼーションは、これらの
プローブの両方が廃水バイオソリッド中に存在する粘着集落クラスターとハイブ
リダイズすることを示した。 廃水処理プラント特性 化学会社廃水処理施設から、活性スラッジ混合液を得た。流入廃水有機基層は
、主に短鎖アルコールおよび低分子量有機酸から成る。プラントは3つの別々の
曝気槽を直列で包含し、変法段階供給流形状で操作される。第一、第二および第
三曝気槽間の典型的流入流分流は、それぞれ0/80/20または50/30/
20パーセントである(Bullard and Barber, 1994)。試料は、第三曝気槽から
の混合液体懸濁固体(MLSS、即ちバイオマス)を絶えず循環させる、処理プ
ラント実験室中でサンプリングバルブにより動かされる連続サンプリングループ
から採取した。 粘着集落クラスターの単離および培養 オリンパス倒立顕微鏡(Tokyo )上に載せたマイクロマニピュレーター(Nari
shige MN−151型、Tokyo )を用いて、廃水処理施設から得られた活性スラ
ッジから、粘着集落クラスターを分離した。プラント流入廃水と同一の基本無機
構成成分を含有する滅菌合成廃水媒質(EASM)1滴中にスラッジ1滴を入れ
ることにより、滅菌ガラス顕微鏡スライド上で活性スラッジを希釈した。培地は
以下のものを含有する(mg/L):CaSO4 ・2H2 O、740;Na2
4 、320;NaCl、80;MgSO4 ・7H2 O、100;3−N−モル
ホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、50;KH2 PO4 、4;K2 HPO 4 、14;FeEDTA、13;(NH4 2 SO4 、220;MnSO4 ・H 2 O、10;Na2 EDTA、025;Na2 MoO4 ・2H2 O、0.05;
CoCl2 ・6H2 O、0.001;ZnSO4 ・7H2 O、0.05;CuS
4 ・5H2 O、0.01。
【0050】 個々の粘着集落クラスターをガラスミクロピペット中に吸い取り、ピペットの
外側を95%エタノールで洗浄して、クラスターを滅菌合成廃水の新鮮な一滴中
に射出した。次にミクロピペットを95%エタノールおよび滅菌蒸留水で濯いだ
後、クラスターをミクロピペット中に吸い戻した。合計3回、分離手順を反復し
た後、クラスターを、EASM液体培地を含有するエッペンドルフ管中に射出し
た。合計7つの粘着集落クラスターを単離した。粘着集落クラスターを含有する
エッペンドルフ管を、目で見える濁りが出現するまで、室温でインキュベートし
た。単純有機酸およびアルコールを添加したR2A寒天平板(Americal Public
Health Association, 1989. Standard Methods for Examination of Water and
Wastewater 17th Edition, Clesceri, L.S., A.E. Greenberg, and R. Rhodes T
russell (eds.)Washington, D.C.)に培養を画線し(R2A/S培地)、16
S rDNA分析の前に純度のために個々のコロニー型を再画線した。 系統発生分析およびプローブ設計 16S rDNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のために、寒天平板
上の個々のコロニーを接種ループを用いて無菌的にエッペンドルフ管に移した。
増幅は、AmpliTaqDNAポリメラーゼならびにプライマー27fおよび
1492rを含有するパーキン−エルマーGeneAmp PCR試薬キットを
用いて実行した(Lane, 1991)。緩衝剤、ヌクレオチドプライマーおよび単一細
菌コロニーを含有するPCR試料を100℃で5分間加熱して、DNAポリメラ
ーゼを付加し、以下のプロトコールを用いて30サイクル、PCR増幅を実施し
た:94℃で1分、45℃で1分および72℃で1分。全長PCR生成物を確保
するための最終延長を、72℃で10分間実施した。1.5kbバンドの存在を
示すアガロースゲル電気泳動により、首尾よく増幅されたことが立証された。
【0051】 メーカーのプロトコールにしたがって、TAクローニング系(Invitrogen Cor
poration, San Diego, CA )を用いて増幅16S rDNAをクローン化した。
アンピシリンまたはカナマイシンを含有するLB培地中に、白色コロニーが増殖
し、Promega Technical Bulletin .009 (Promega, Madison, WI)に記載されて
いるような基本的アルカリ溶解手法を用いてプラスミドを抽出した。DNA抽出
物をRNアーゼ処理し、等容量のクロロホルムで抽出して、イソプロパノールで
沈澱させた。ペレットを70%エタノールで洗浄して、乾燥させた。EcoRI
消化およびゲル電気泳動により、プラスミド挿入物を立証した。
【0052】 全長挿入物を含有する精製TAクローニングベクターから、16S rDNA
をシーケンシングした。プライマー配列1492rおよび単一プライマー延長部
分を用いて、16S rDNA領域1100〜1492に、約400塩基対をシ
ーケンシングした。付加的配列は、プライマー配列530fまたは907rを用
いて領域500〜900で確定された(Lane, 1991)。シーケンシングは、Retr
ogen, Inc.(San Diego, CA )およびMolecular Biology Resource Facility at
the University of Tennessee(Knoxville, TN )により実施された。
【0053】 マイクロマニピュレーター単離物の配列を、プログラム類似性等級Similarity
Rank (Maidak et al., 1994 )を用いてイリノイ16Sリボソームデータベー
スプロジェクト(RDP)における他の16S rRNA配列と、そしてBla
stNプログラム(Altshul et al., 1990)を用いてNCB1 GenBank
の配列と比較した。GCG分析プログラムを用いてディスタンスマトリックスツ
リーを構築して、活性スラッジ単離物の互いとの、Similarity Rank 分析により
示されるような密接に関連する菌株との、そして前記の活性スラッジ粘着集落性
菌株からの16S rDNA配列との関連性を確定した。
【0054】 マイクロマニピュレーター単離物と既知の粘着集落性菌株の16S rRNA
配列の可視的比較により、プローブを設計した。廃水処理プラントからの活性ス
ラッジから、ならびに以前に報告された粘着集落性菌株から、マイクロマニピュ
レーター単離物間または群を区別するために、入れ子式プローブアプローチを用
いてプローブ配列を設計した。プログラムプローブチェックProbe Check を用い
てプローブ配列を分析して、選定配列が16S rRNA配列が利用可能である
他の既知の微生物を標的にするか否かを確定した。
【0055】 全細胞ハイブリダイゼーション実験のために、DNA合成機を用いてオリゴヌ
クレオチドプローブを合成し、フルオレセインで5‘末端標識して、逆相HPL
C(Genosys, The Woodlands, TX)により精製した。プローブを使用前にTE緩
衝液中に再懸濁し、−20℃で保存した。スロットブロットハイブリダイゼーシ
ョン実験のために、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Life Technologies, Gaith
ersburg, MD )および[γ−32P]dATPを用いて、オリゴヌクレオチドを
それらの5’末端で標識化した。標識化プローブを、Stratagene(La Jolla, CA
)Nuctrapプッシュカラムを用いて精製した。 16S rRNAプロービング 蛍光16S rRNAプローブを用いる全細胞ハイブリダイゼーション実験の
ための手法を、IgepalCA−630をNonidet P−40の代わりに置換し、パラ
ホルムアルデヒド中での固定後に氷水浴中での5分間の音波処理を付加すること
により、Amann 等(1990a,b )の方法から変更した。音波処理の前にスラッジ試
料を10mMのEDTA中に再懸濁してプローブ浸透に対するフロックの透過性
を増強した。フルオレセイン標識化プローブとのハイブリダイゼーション後、エ
ピ蛍光のために高圧水銀球およびフィルターセットを装備したNikonオプチ
フォト顕微鏡およびNikon Fエクス−35Aカメラを用いて、試料を検査した。
以下でさらに説明するように、Hertel等(1991)およびRossello-Mora 等(1995
)の方法にしたがって、核酸抽出、ナイロン膜上での固定化およびドットブロッ
トハイブリダイゼーションを実施した。
【0056】 それぞれ、スロットブロットまたは全細胞ハイブリダイゼーション実験におけ
る単一塩基誤対合識別を成し遂げるのに必要な温度またはホルムアミド濃度を確
定することにより、プローブ特異性を最適化した。標的配列との0、1、2およ
び3つの誤対合を有する菌株を、プログラムプローブチェックProbe Check を用
いて同定した。対照菌株は、アメリカ培養細胞コレクション(ATCC;Rockvi
lle, Md )から得た。Zoogloea ramigera ATCC19544、Z. ramigera A
TCC25935および菌株mz1tをストークス培地上で培養した(Wagner,
1995)。ATCCの推奨にしたがって、シュードモナス属のPseudomonas fluore
scenseATCC13525、コマモナス属のComamonas testosteroniATCC1
1996およびアルカリゲネス属のAlcaligenes eutrophus ATCC17697
を培養した。活性スラッジ試料を用いる全てのハイブリダイゼーション実験に、
陽性および陰性対照菌株を用いた。 既知の粘着集落性菌株に関するプロービング 32P標識化ZRAを用いたスロットブロットハイブリダイゼーション実験、
またはフルオレセイン標識化ZBEおよびZRAを用いた全細胞ハイブリダイゼ
ーションにおける活性スラッジ試料からのRNA抽出物のプロービング(Rossel
lo-Mora et al., 1995)は、検出可能なハイブリダイゼーションを生じなかった
。32P標識化EUB338(全ての真正細菌に特異的な対照プローブ。Wagner
et al., 1993, Appl. Environ. Microbiol. 59:1520-1525 )との陽性反応は、
RNA抽出手法が有効であることを示し、そしてフルオレセイン標識化EUB3
38でプローブ処理された粘着集落クラスターの顕微鏡検査は、プローブの侵入
およびクラスターを形成する生物体とのハイブリダイゼーションがうまくいった
ことを示した。 粘着集落クラスターの単離および培養 活性スラッジのマイクロマニピュレーションから得られた粘着集落クラスター
は、サイズにより識別可能な2つの主な種類のコロニーを産生した。mzt菌株
はR2A/S寒天平板上に小コロニーを形成して、EASMおよびR2A/S液
体培地中でフロックとして増殖したが、一方mzLはR2A/S寒天平板上に大
型コロニーを形成し、EASM培地中では不十分に増殖し、そしてR2A/S中
では分散細胞として増殖した。大型の種類のコロニーの3つの代表からの16S
rDNA遺伝子(mz1L、mz2Lおよびmz3L)ならびに2つの小型の
種類(mz1tおよびmz2t)が増幅され、クローン化されて、塩基対領域1
100〜1492でシーケンシングされた。以前に開発されたZoogloea種プロー
ブの標的領域との直接比較のために、これらの塩基対領域500〜900でのm
z1t16S rDNAの付加的シーケンシングを実施した。 系統発生分析およびプローブ設計 mz1tのシーケンシング化16S rRNA領域の両方とプログラムSimila
rity Rank を用いたイリノイ大学16Sリボソームデータベースプロジェクト(
RDP)における配列との比較(June 9, 1997, 20:05:02)は、シュードモナス
種菌株K172、クローンK1との最も近い対合(0.82)を生じた(Thauer
a aromatica; Anders et al., 1995)。GenBank との比較は、菌株mXyN1(
未分類。Rabus and Widdel, 1995)およびThauera aromaticaからのプロテオバ
クテリウム16S rDNA遺伝子との97%類似性を生じた。16S rRN
A領域1100〜1492におけるmz2Lに関する類似性等級分析は、Brachy
monas denitrificans 菌株AS−P1(Hiraishi et al., 1995 )との最も近い
対合(0.84)を生じた。ディスタンスマトリックスツリー分析は、mzt株
(mz1tおよびmz2t)は、mzL株(mz1L、mz2Lおよびmz3L
)より密接にZ. ramigera ATCC19544に関連しており、そしておそらく
はタウエラ属の成員であろうということを示す。mz1tおよびZ. ramigera A
TCC19544 16S rRNA配列の比較は、ZRAプローブ標的領域に
おける3つの塩基対誤対合を示す。
【0057】 領域1100〜1492を用いて、Z. ramigera ATCC19544およびm
zt菌株を包含するよう、プローブを設計した(ロド:5'-ATCCGGACTACGATCGGC-
3')。プログラムProbe Check を用いたRDPのプロービングは、ロドプローブ
が、主としてタウエラ属、アゾアルクス属、ズーグレア属およびロドシクルス属
の成員を含めた28の列挙した配列の16S rRNA領域と相補的である、と
いうことを示した。Z. ramigera プローブZRA(塩基対647〜664)によ
り標的化される領域でも、mzt菌株に関してプローブを設計した。このプロー
ブ(MZ1;5'-TCTGCCGTACTCTAAGCCTT-3')は、標的領域にZ. ramigera ATC
C19544との3つの塩基対誤対合を有する(表2参照)。このプローブとR
DPにおける既知の配列とのProbe Check を用いた比較は、4つの相補的16S
rRNA配列が存在することを示した。これらは、アゾアルクス属の一成員(
A.種BH72;Hurek et al., 1993)、タウエラ属の2つの既知の代表菌(T. s
elenatisおよびT. aromatica)、および未分類菌株(env. AX39)を含む。
過去にシーケンシングされたアゾアルクス種の多くが、このプローブと1つの誤
対合を有する。
【0058】
【表2】
【0059】 プログラムProbe Check を用いて、プローブZRA、ロドおよびMZ1との0
、1および3つの誤対合を伴う16S rRNA配列を有する菌株を同定した(
表3参照)。個々の標的菌株および各々がプローブする誤対合の数は、表2に示
されている。蛍光標識化プローブを用いた全細胞ハイブリダイゼーションは、1
0%のホルムアミド濃度が2つの誤対合識別を生じ、一方、誤対合識別1つを成
し遂げるには40%の濃度が必要であることを示した。
【0060】
【表3】
【0061】 蛍光プローブを用いた全細胞ハイブリダイゼーション 40%のホルムアミド濃度で、フルオレセイン標識化プローブEUB、ZRA
、MZ1およびロドを用いて、活性スラッジの全細胞(in-situ )ハイブリダイ
ゼーションを実施した。顕微鏡検査は、可視的粘着集落クラスターが蛍光プロー
ブEUB、MZ1およびロドにより強陽性をプローブすることを示した。これら
は、フロックと結合する化またはその中に包埋される粘着集落クラスター、なら
びに廃水中の別個のクラスターとして見出されるものを包含した。MZ1および
ロドプローブを用いていくつかの大型糸状形態から、弱蛍光が観察された。ZR
Aプローブとのハイブリダイゼーションは観察されなかった。EUBによるプロ
ービングは、フロック構造内の粘着集落クラスター、フィラメントおよび個々の
細胞からの強蛍光ハイブリダイゼーションシグナルを生じた。 新規の粘着集落性菌株 選択的濃厚化および分離技法は、一般に、活性スラッジ中に粘着集落クラスタ
ーを形成すると考えられる微生物を単離するために利用されてきた(Unz and Do
ndero, 1967; Unz and Farrah, 1972; Unz, 1984)。これらのアプローチの大き
な限界は、単離された生物体が元の試料中でクラスターを形成しているものであ
ることを立証するのが難しいことである。これは、Zoogloea属の成員を識別する
ために用いられる生化学的特性の欠乏、フロックとして増殖する微生物の能力、
培養条件に影響されるフロック形成傾向、ならびに原因生物が容易に培養できな
い可能性のためである。個々の種の16S rRNA配列は、増殖形態(クラス
ター、フィラメントまたは分散細胞)または培養条件とは無関係に保存され、そ
して標的株がうまく単離されたことを立証するために用いられ得る。このアプロ
ーチは、粘着集落クラスター形成に関与する生物体の単離および同定のために、
本試験において用いられ、観察された2つの種類の生物体(mztおよびmzL
菌株)間を識別するのに重要であった。
【0062】 活性スラッジ試験に一般的に利用される3つのZoogloea種のうち、Z. ramiger
a ATCC19544だけが、共通発生を示すことが立証されており、高有機負
荷と関連する傾向がある(Rossello-Mora et al., 1995)。しかしながら、個々
に提示した結果は、粘着集落クラスターを形成するいくつかの菌株が今までのと
ころ同定されていない、ということを示す。mz1t菌株は、比較16S rR
NA配列分析により確定した場合、前記のZoogloea種とは有意に異なり、タウエ
ラ属に入るべきであると思われる。前記のタウエラ種は2つだけ、即ちT. selen
atis(Macy et al., 1993 )およびT. aromatica(Anders et al., 1995 )が存
在する。T. aromaticaは、非常に種々の有機酸および芳香族化合物を、電子受容
体としての硝酸塩とともに、好気的に利用し得る。密接に関連する菌株mXyN
1は、脱窒条件下で、トルエン、m−キシレン、フェニルアセテートおよびアセ
テート上で増殖する(Rabus and Widdel, 1995)。これらの生物体が活性スラッ
ジ中で粘着集落クラスターを形成することは、従来報告されていない。 粘着集落形成クラスターの貧排水可能性との関連 粘着集落クラスターの存在の、貧スラッジ脱水性との相関、ならびに全細胞ハ
イブリダイゼーションを介したクラスター形成生物体としてのmzt菌株の蛍光
プローブによる立証は、これが、少なくとも1つの廃水処理プラントで観察され
たスラッジ排水問題における原因生物体である、ということを示す。全試験期間
を通して、脱水能力が菌株mz1tの存在と相関し得るか否かを確定するための
保管スラッジ試料のRNA抽出、ならびにMZ1およびロドプローブを用いたス
ロットブロットハイブリダイゼーションにより、さらなる確証が可能である。m
z1tは完全に特性化されてはおらず、相対的非特性化タウエラ属の一成員であ
ると思われるが、同定だけからは、その増殖に関与する環境または操作条件、な
らびにその存在に関連した脱水問題を確定することはできない。プラント操作条
件により確定した場合に粘着集落クラスター普及が単純有機酸上での競合的増殖
により専ら確定されるか否か、あるいは好気性条件下での芳香族分解のためのさ
らなる属特異的能力が関与因子であるか否かは、分からない。しかしながら、原
因生物体の純粋培養を得ることができることが、観察されたスラッジ特質問題の
生態学的基礎を説明するためのさらなる実験の実行を可能にする。 プロービング戦略 ズーグレア種プローブロドおよびMZ1を設計するに際しては、入れ子式アプ
ローチを用いた。粘着集落クラスターを包含する種の同一性が不明である場合、
考え得る最も広範なプローブを用いるのが望ましい。ロドプローブは、ともに活
性スラッジ中でのクラスター形成に関与することが目下実証されているズーグレ
ア型菌株Z. ramigera ATCC19544およびmz1tとハイブリダイズする
。しかしながら、それが同一または類似の配列を有する非標的種(即ち、クラス
ターを形成しない種)とハイブリダイズし得るのは、その広範な特異性によると
考えられる。MZ1プローブはなおさら特異的であり、結果は、必要な場合には
、単一誤対合識別が達成され得ることを示す。しかしながら、このレベルの緊縮
は、標的菌株からの蛍光シグナルの減少を生じ得る。単一誤対合非標識菌株の存
在は、大半の廃水処理プラントにおける問題ではあり得ず、可能性のある単一誤
対合標的としては、主に、密接に関連するアゾアルクス属の成員が挙げられる(
Zhou et al., 1995 )。使用するための適切なプローブおよび所望レベルの緊縮
は、結局、用途による(Stahl and Amann, 1991 )。 その他の新規のスラッジ菌株 mzL菌株からの16S rRNA配列は、この廃水処理プラントからの全D
NA抽出物からのPCR増幅16S rDNAから得られるその他の16S r
RNA配列に類似する(データは示されていない)。これらの菌株の役割は、今
までのところ不確実である。蛍光プローブを用いてスラッジフロック中のそれら
の位置を確定し、それらが粘着集落クラスターに関連があるか否かを確定し得る
【0063】 実施例2 粘性スラッジ中のハイフォミクロビウム種の分子分析 DNAの抽出および精製 変法Ogram DNA抽出法により、スラッジからのDNAを抽出した(Ogram et
al., 1987)。スラッジ試料(150ml)を、J−21シリーズベックマン遠
心分離器のJA−14固定角ローター中で6000xgで10分間、回転させた
。得られたペレットを50mlの0.12Mピロリン酸ナトリウム緩衝液(Na 4 2 7 ・H2 O)、pH8.0および2.5mlの5%(w/v)ドデシル
硫酸ナトリウム(C1225OSO3 Na)で処理した後、70℃水浴中に1時間
入れて、10分毎に手で反転させた。次に、2分間オン、1分間オフそして2分
間オンのパターンで5分間、ビーズビーター中の5gの0.1mmガラスビーズ
を用いて、細菌を機械的に粉砕した。次に試料を氷上で冷却し、試料/ガラスビ
ーズ混合物を10°Cで25分間、6000xgで遠心分離し、上清を回収した
。50mlの緩衝液の付加および前記のような遠心分離により、0.12Mピロ
リン酸ナトリウム、pH8.0で沈渣を連続抽出して、DNAのさらなる回収を
実行した。上清をプールした。抽出物を、0.1容量の2M酢酸ナトリウム(N
aC2 3 2 ・3H2 O)および0.8容量のイソプロパノールを用いて、−
20℃で沈澱させた。 Savant Speed Vac 濃縮機を用いて沈殿物を遠心分離(1
0,000xg、4℃で30分間)し、乾燥して、残留アルコールを除去した。
乾燥試料をトリスエチレンジアミン四酢酸(TE)[10mMトリス、1mM
EDTA(pH7.5〜8.0)]緩衝液で再懸濁し、1X(TE)緩衝液に対
して透析管(mol重量カットオフ6000〜8000)中で一夜透析し(塩の
ような不純物を除去するため)、フェノールで、その後クロロホルム/イソ−ア
ミルアルコール(24:1)で抽出して、タンパク質を変性した。酢酸ナトリウ
ム(0.1容量の2M溶液)を付加し、試料を−20℃でインキュベートして、
ほとんどの腐植土物質を沈澱させた(Ogram et al., 1987)。遠心分離後、上清
を除去し、2容量の無水エタノールを付加して、精製DNAを沈澱させた。Spee
d Vac 中で試料を遠心分離(10,000xg、4℃で30分間)し、乾燥して
、エタノールを除去した。乾燥試料を1mlの滅菌TE緩衝液中に再懸濁した。
Elu-Quick DNA精製キット(Schleicher and Schuell, New Hampshire )を用
いて、DNAをさらに精製した。精製DNAをRNアーゼで処理し、その後、P
CR増幅のために用いた。
【0064】 50μg/mlでの二重鎖DNAの精製溶液の、260nmでの光学密度は、
1.0である(Becker et al., 1990 )。したがって、Beckman DU−70分光
光度計を用いて260nmでの吸光度を測定することにより、DNA濃度を概算
した。 元々褐色であった試料は、ビーズビーティング後は暗褐色に代わったが、これ
は、SDSとビーズビーティング中に遊離された熱との組合せにより有機炭素が
放出されたためであると思われる(Ogram et al., 1987)。フェノール−クロロ
ホルムによりDNAをさらに抽出し、そしてエタノール沈澱により濃縮した。暗
褐色の色は劇的に低減されたが、しかしDNA試料は依然として淡褐色の色を有
しており、これは夾雑物、おそらくは腐植土物質の存在を示す。したがって、El
u-Quick DNA精製キットを用いてDNAをさらに精製して、260nmおよび
280nmで許容可能比の吸光度を得た。分光光度計を用いてDNAを定量する
前に、RNアーゼ処理により試料中のRNAを除去した(Becker et al., 1990
)。1月および11月スラッジ試料に関するDNA収量は低く、A260/A2
80比は1.5以下であったが、これは試料中の不純物の存在またはサンプリン
グ後の期間中のDNAの分解のいずれかを示す。 総DNAの精製のためのQiagenプロトコール: 凍結乾燥法によりスラッジ試料から抽出したDNAを、Qiagenプロトコール(
Qiagen, Chatsworth, CA)により精製した。NaCl、750mM;MOPS、
50mM;エタノール、15%;トリトンX−100、0.15%、pH7.0
を含有する平衡緩衝液(QBT)10mlを、Qiagenかラムに通した。10ml
のTE緩衝液中に再懸濁したDNAを、次にカラムに通した。次にカラムを15
mlの洗浄1緩衝液( NaCl、50mM;MOPS、50mM;エタノール
、15%;pH7.0)で3回、15mlの洗浄2緩衝液( NaCl、100
0mM;MOPS、50mM;エタノール、15%;pH7.0)で1回、そし
て15mlの洗浄3緩衝液( NaCl、1600mM;MOPS、50mM;
エタノール、15%;pH7.0)で1回、洗浄した。各洗浄工程後に溶出液を
保存し、0.7容量のイソプロパノールを用いてDNAを沈澱させ、30分間遠
心分離した。ペレットを70%エタノールで洗浄し、乾燥して、さらなる分析の
ために1mlのTE緩衝液中に再懸濁させた。精製の前と後に、200〜300
nmの吸光度範囲でDNA濃度を測定した。 16S rDNAのPCR増幅: ほとんどの生物体の16S rRNA遺伝子の5‘および3’領域中の保存領
域に相補的なプライマーを用いて、PCRにより活性スラッジ試料の精製ゲノム
DNAから、16S rRNAをコードするDNAを増幅した。Oligo 1000DN
A合成機(Beckman, Fullerton, CA)を用いて、プライマー27f:5'-AGA GTT
TGA TCM TGG CTC AG-3'(配列番号:21)および1492r:5'-TAC GGY TAC
CTT GTT ACG ACT-3' (配列番号:22)を合成し、そして反応器カラムの固体
支持体から合成プライマーを切り離した。オリゴマーの反応性ホスホリルおよび
アミノ基を遮断する保護基を、DNAUltra Fasi切断および脱保護キットを用い
て除去した。99℃で5分間、試料を変性し、その後38サイクルの変性(94
℃/1分)、アニーリング(45℃/1Y分)および伸張(72℃/1分)+7
2℃で最終10分間の伸張による付加サイクルによって、自動熱サイクル機(Pe
rkin Elmer-Cetus)中の100μlの反応混合物中で増幅を実施して、PCR生
成物の収量を増大し、PCR生成物の真下のゲル(Promega, Madison,WI )上に
観察される微量のスミアを低減した。増幅試料を4℃で保存した。鋳型DNAを
付加しない陰性対照も含まれた。 表4:16S rRNAシーケンシングプライマーおよびそれらの特異性。m1
3f(−40)およびm13rに関する配列は、Invitrogenマニュアルから再生
された。他の配列はすべて、Nucleic Acid Techniques in Bacterial Systemati
cs(Stackebrandt et al., 1991 )から再生された。プライマー27f、149
2rおよび1525rは、総DNAからの16S rDNAの増幅のために用い
られた。プライマー530f、907r、926f、1492r、m13f(−
40)およびm13rは、16S rDNAシーケンシングのために用いられた
【0065】
【表4】
【0066】 PCR生成物のアガロースゲル電気泳動 PCR増幅生成物(20μl)および2.5μlの体質染料[50%グリセロ
ール、1mMのEDTA(pH8.0)、0.25%ブロモフェノールブルーお
よび0.25%キシレンシアノール]をウエルに入れて、1XTBE[10XT
BEストック溶液(トリス塩基108g;ホウ酸、55g;EDTA、二ナトリ
ウム塩(C10148 2 Na2 ・2H2 O)、0.5M;および蒸留水、1リ
ットル;pH8.0)から調製]中の1%(w/v)アガロースゲル上を、80
Vで焼く2時間走行させて(Sambrook et al., 1989 )、それを同一ゲル上を走
行させたDNA分子量マーカーと比較することにより、約1500bpの16S
rDNA断片の存在に関して検査した。次にゲルを臭化エチジウム(0.5μ
g/ml)で20分間染色し、脱イオン水で20〜30分間脱色した。次に、脱
色ゲルをFotoUV300DNAトランスイルミネーター(Fotodyne, New Berlin
, WI)で可視化して、臭化エチジウム−DNA複合体をポラロイドカメラで撮影
した。以下に記載するように、増幅16S rDNAのさらなる精製のために、
いくつかのアプローチを比較した。 PCR増幅16S rDNAの精製のためのAgarACE プロトコール: AgarACE プロトコール(Promega, Madison,WI )により、PCR増幅16S
rDNAをさらに精製した。1X TBE溶液中の1%(w/v)アガロースゲ
ル上を、80Vで約2時間、PCR増幅生成物を走行させた。1500bpの1
6S rDNA断片の正面にスロットを切り、スロットを1.8%LMPアガロ
ースで充填した。必要なバンドがLMPアガロースに入り込むまで80Vでゲル
を再び走行させて、これを切断し、65℃でエッペンドルフ管中で溶融させた。
1単位のAgarACE (5μl)を溶融アガロースに付加し、一夜インキュベートし
た。AgarACI 処理PCR生成物をフェノール/クロロホルム抽出により精製し、
0.1容量の酢酸ナトリウムおよび2容量のエタノール中で2時間、沈澱させた
。沈澱生成物を14,000rpmで20分間遠心分離(4℃)して、Speed Va
c で20分間乾燥した。乾燥試料を200μlのTE緩衝液中に再懸濁し、さら
なる分析のために用いた。 PCR増幅16S rDNAの精製のためのスピンカラムプロトコール: 1X TBE溶液中の1%(w/v)アガロースゲル上を、80Vで約2時間
、PCR増幅生成物を走行させた。1500bpの16S rDNA断片を切り
取り、上面にフィルターを備えたバイアル中で冷蔵庫で一夜保存した。次に、P
CR生成物を14,000xgで4℃で15分間遠心分離した。管の底の液体を
収集後、上面フィルターを除去した。酢酸カリウム(0.1容量)およびエタノ
ール(3容量)を管の底の概算容量に付加し、少なくとも30分間、冷凍庫中で
保存した。次に沈澱試料を14,000xgで15分間遠心分離(4℃)して、
70%エタノールで洗浄し、Speed Vac で乾燥した。乾燥試料を10μlの滅菌
TE緩衝液中に再懸濁し、さらなる分析のために用いた。 PCR増幅16S rDNAの精製のための電気溶離プロトコール: 並んだ2つのウエル中で0.8%アガロースゲル上を、80Vで、PCR増幅
生成物(各々35μl)を走行させた。1500bpバンド周囲のゲルを切り取
り、1mlのTE緩衝液を含有する透析袋中に移した。切り出したゲル中の所望
のバンドがTE緩衝液中に移動するまで、ゲルを再び走行させた。PCR生成物
を含有するTE緩衝液は、さらなる分析のために用いられた。 16S rRNA遺伝子のクローニング: Original TA クローニングキット(Invitrogen, San Diego, CA )を用いるこ
とにより、PCRで増幅された16S rDNA断片をプラスミドベクターに結
紮した。蒸留水、5μl;結紮緩衝液、1μl;ベクター、2μl;鋳型DNA
、1μl;およびDNAリガーゼ、0.5μlから成る反応混合物(10μl)
を12℃で一夜インキュベートし、一段階TAクローニング戦略を用いてプラス
ミドでINVαF‘コンピテント細胞を形質転換した。凍結ワンショットコンピ
テント細胞(50μ)を2μlの0.5Mβ−メルカプトエタノールおよび2μ
lの結紮反応物と混合した。反応混合物を氷上で30分間インキュベートし、4
2℃水浴中で正確に45秒間(その後メーカーにより30秒に変更された)、熱
ショック処理を細胞に施し、次に細胞懸濁液を氷上に2分間置いた。250μl
のSOC培地(室温)中の細胞懸濁液のアリコートを、アンピシリン(50μg
/ml)および25μの40mg/ml X−Galを含有するルリアベルター
ニ(LB)寒天培地(トリプシン、10g/l;酵母菌抽出物、5g/l;Na
Cl、10g/l;寒天17%蒸留水1リットル、pH7.5)上に載せて、3
7℃で30分間平衡させ、37℃で一夜インキュベートした。適正な発色のため
に寒天平板を4℃に2〜3時間移した後、分析のためにコロニーを選択した。 クローンからの16S rDNAのPCR増幅: 滅菌爪楊枝を用いて摘み取った白色コロニーを、アンピシリンを含有するLB
寒天上に画線した。次に画線化コロニーを、SP6およびT7プライマーを用い
て16S rDNAのPCR増幅により全長(1500bp)16S rDNA
挿入物を含有するプラスミドに関してスクリーニングして、TAクローニング挿
入物と大腸菌からの16S rDNAとを区別した。前記のようにプライマーを
合成し、精製した。増幅生成物を、前記のように1%(w/v)アガロースゲル
上を走行させて、陽性クローンが16S rDNAプラスミド挿入物を有するこ
とを立証した。 挿入物を有する菌株からのMidprep プラスミド調製 16S rDNAのその後の配列分析に必要な大量のプラスミドDNAを調製
した。プラスミドを含有する細菌を大規模(125ml)に増殖させて、収穫し
、変法Promega midiprepプラスミド調製法(Promega, Madison, WI)により溶解
した。
【0067】 振盪インキュベーター(Labline Instruments Inc., Melrose Park, IL)中で
、37℃でカナマイシン(25μg/ml)の存在下で125mlのLBブロス
中で、細菌を一夜増殖させた。−80℃で30%滅菌グリセロール0.5mlを
有する極低温管中に細胞(0.5ml)を保存し、残りの試料を、10°Cで1
0分間、8,000xgで遠心分離した。得られたペレットを3mlの冷溶解緩
衝液中に再懸濁した。6mlの新たに調製した0.2N水酸化ナトリウム(Na
OH)、1%ドデシル硫酸ナトリウム(C1225OSO3 Na)および3.75
mlの5M酢酸カリウム(KC2 3 2 )を付加し、混合物を10,000x
gで30分間遠心分離した。等容量のイソプロパノールを上清に付加し、試料を
10,000xgで30分間遠心分離した。ペレットを70%エタノールで洗浄
し、Speed Vac で乾燥した。乾燥ペレットをRNアーゼ処理し、フェノールクロ
ロホルム抽出により精製した。精製プラスミドを乾燥し、200μlのTE緩衝
液中に再懸濁して、−80℃で保存した。 16S rDNAシーケンシング: 1492rプライマーを用いて、単一プライマー伸長法により、約400bp
の1.5kb 16S rDNA分子に関して、挿入物を含有するプラスミド3
0μlをシーケンシングした(表4)。活性スラッジ単離物から増幅された全長
(1500bp)16S rDNA配列を、プライマーm13f(配列番号:4
1)、530f(配列番号:30)、907r(配列番号:33)およびm13
r(配列番号:42)を用いて確定した(表4)。プライマーはすべて、Oligo
1000DNA合成機を用いて合成した。 16S rDNA配列分析: 異なるソフトウエアパッケージを用いて、16S rDNA配列を分析した。
リボソームデータベースプロジェクトRibosomal Database Projectに利用可能な
SIMILARITY RANK ソフトウエアを用いて、小サブユニット原核細胞(SSU −Prok
)rRNAデータベース中の全生物体に対して、配列を等級分けした(Maidak e
t al., 1997, Van de Peer et al., 1997 )。Genetics Computer Group (GC
G)配列分析ソフトウエアパッケージ(UNIXでバージョン8.1)を用いて、類
似性により配列を群分けして、系統樹を作った。積み上げ関数を用いて、漸進的
対方式整列を用いた関連配列の一群からの多配列整列を作製した。次に、多配列
フォーマット(msf)ファイルを分析して、所望の標的菌株に特異的なオリゴ
ヌクレオチドプローブを作製した。
【0068】 ディスタンスマトリックス法を基礎にした系統発生樹を整列配列から構築した
。α、β、γおよびδサブクラスのプロテオバクテリウム、サイトファガレス/
フラボバクター/フレキシバクター群、ならびに低(G+C)含量を有するグラ
ム陽性生物から成る細菌領域の種族に属する生物体が、活性スラッジの分析した
3つの試料すべてに見出された。分析した月別試料中の細菌集団に差異が見出さ
れた。4月は、プロテオバクテリウムのαサブクラスに属する生物体(50%)
が、βサブクラス(23%)、γサブクラス(3.85%)、サイトファガレス
(11.54%)、低G+C(3.85%)、ならびに未知の生物体(7.7%
)より優勢であった。しかしながら、1月は、βサブクラスのプロテオバクテリ
ウム(44%)を示すクローンが、α(20%)およびγ(20%)サブクラス
、サイトファガレス群(4%)、δサブクラス(4%)および未知群(8%)よ
り優勢であった。11月は、プロテオバクテリウムのαサブクラスの成員(31
.25%)が、β(18.75%)およびγ(3.85%)サブクラス、サイト
ファガレス群(25%)、低G+C群(12.5%)および未知群(12.5%
)より優勢であった。
【0069】 データベース中の既知の16S rRNA配列のいずれかと同一のクローンは
なかった。 ハイフォミクロビウム種プローブ設計: 積み上げ関数を用いて、漸進的対方式整列を用いた関連配列の一群からの多配
列整列を作製した。置換/100塩基として表される整列化配列間の対方式進化
距離を、GCGパッケージの距離関数から得た。次に、16S rDNAスラッ
ジライブラリー中のクローン化配列のすべての多配列整列を含有する多配列フォ
ーマット(msf)ファイルを分析して、オリゴヌクレオチドプローブを作製し
た。RDPから回収されたHyphomicrobium vulgareおよびハイフォミクロビウム
様生物体16S rDNA配列に関する特徴ヌクレオチド[5' GCT GC (C/G )
CAT TGT CAC CGC C 3']を同定した。活性スラッジの試料から作製された16S
rDNAライブラリー中、ならびに多配列整列により確定されたようなRDP
配列で観察されたようなハイフォミクロビウム菌株の縮重を包含するよう、プロ
ーブの縮重を設計した。 ハイフォミクロビウム種からの16S rDNAの配列分析 配列結果をさらに確認するために、活性スラッジから単離したハイフォミクロ
ビウムM3の3つの同一試料から、16S rDNAを増幅した。最初に、陽性
クローンからの16S rDNAを、 m13f(配列番号:41)、926f
(配列番号:34)およびm13r(配列番号:42)プライマーを用いて、部
分的にシーケンシングした。配列は、ほんの45%の類似性で、Hyphomicrobium
vulgareを整列させた。
【0070】 ハイフォミクロビウムプローブの考え得る標的部位の後ろに926fプライマ
ーを用いて得られた配列を欠失することにより、配列を編集し、この配列を、1
492コンセンサス領域までm13rプライマーを用いて得られた配列の相補的
鎖と置き換えた。これは、同一単離物からの複製配列間の(75%から99%に
)、そしてRDPデータベース[ハイフォミクロビウム様生物体(US353菌
株)とHyphomicrobium vulgareの両方に対して70%を上回る]中の発表済みの
配列とも、類似性%の猛烈な増大をもたらした。
【0071】 次に、530fおよび907rシーケンシングプライマーを用いて2つの陽性
クローン(3M3および6M3)をシーケンシングして、16S rDNAの完
全(〜1500bp)配列を得た。これらのクローンのRDPデータベース中の
参照細菌との比較は、 ハイフォミクロビウム様生物体US353菌株およびHy
phomicrobium vulgareとのそれらの関連性を示した。 蛍光in-situ ハイブリダイゼーション 生物体: ハイフォミクロビウムM3株を活性スラッジから単離した。ハイフォミクロビ
ウムMC−750(ATCC27500)およびZoogloea ramigera (ATCC
25935)はアメリカ培養細胞コレクション(ATCC)から、Sphingomonas
capsulatea (ATCC14666)はCenter for Environmental Biotechnolo
gy, University of Tennessee, Knoxvilleから入手した。Bradyrhizobium japon
icum(USDA110)は、Dept. of Microbiology, University of Tennessee
, Knoxville から入手した。スフィンゴモナス種A8AN3株および大腸菌は、
Center for Environmental Biotechnology, University of Tennessee, Knoxvil
leの培養コレクションから入手した。本発明のハイブリダイゼーション法は、そ
の他の細菌に適用可能である。 細胞の培養: ATCC培地656[KH2 PO4 、1.36g/l;Na2 HPO4 、2.
15g/l;(NH4 2 SO4 、0.5g/l;MgSO4 ・7H2 O、0.
2g/l;微量元素溶液(CuCl2 、0.15g;FeSO4 ・7H2 O、0
.1g;MnSO4 ・H2 O、0.035g;Na2 MoO4 ・2H2 O、0.
05g;蒸留水、100ml)5.0ml/l;フィルター滅菌処理塩酸メチル
アミン、3.38g/l;Agar Noble(Difco 0142)、18.0g/l;蒸留水
、1リットル;pH7.1]上で、30℃でハイフォミクロビウム菌株を、RD
Y培地[酵母菌抽出物、1g/l;K2 HPO4 、0.12g/l;MgSO4 、0.1g/l;微量元素(H3 BO3 、3g/l;MnSO4 ・4H2 O、2
.23g/l;ZnSO4 ・7H2 O、0.29g/l;CuSO4 ・5H2
、0.125g/l;CoCl2 、0.065g/l;Na2 MoO4 ・2H2 O、0.12g/l;1mMのFeCl3 )、1ml/l;L−グルタメート、
1.0g/l;Na−グルコノエート、5.0g/l;蒸留水、1リットル;p
H7.0]上で30℃でBradyrhizobium japonicumを増殖させた。Sphingomonas
capsulateおよびスフィンゴモナスA8AN3株は、栄養ブロス(8.0g/l
のペプトン)、pH7.0上で、室温で増殖させた。Zoogloea ramigera 259
35株は、ストークス培地[ペプトン、5g;100Xストック(MgSO4
7H2 O、20g;NH4 SO4 、7.5g;クエン酸ナトリウム、10g;C
aCl2 、5g;MnSO4 、5g;FeCl3 ・6H2 O、1g;FeSO4 、7.5g;蒸留水、1リットル)、2rnl;pH7.2]上で30℃で増殖
させた。大腸菌は、LB寒天上で37℃で増殖させた。 培養細胞の固定: 指数増殖期中に細胞を収穫して、rRNA含量を最適化した。培養細胞(1.
7ml)を14,000xgで5分間回転させた。750μlの上清を取り出し
て、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の等容量の4%パラホル
ムアルデヒド(Sigma, MO )を用いて4℃で3〜24時間、細菌細胞を固定した
(Amann et al., 1990)。
【0072】 インキュベート処理細胞を氷水浴中で5分間音波処理し、6,000xgで5
分間回転させた。ペレットを900μlの1XPBS(30mMのNaPO4
衝液、pH7.2中の130mMのNaCl)および100μlの0.1I%イ
ゲパル中に再懸濁し、6,000xgで5分間回転させた。細胞を500μlの
0.1%イゲパル中に再び再懸濁し、かき混ぜて、6,000xgで5分間回転
させた。ペレットを200μlの2X保存緩衝液[40mMのトリス、pH7.
5、0.2%イゲパルCA−630(Sigma, MO )]中に再懸濁し、少なくとも
1分間掻き混ぜて、等容量の96%エタノールと混合し、−20℃で保存した。 スラッジ試料の固定: 活性スラッジ試料(10ml)を滅菌corex 管中で20,000xgで5分間
遠心分離した。1mlの上清を1.7mlのエッペンドルフ管中にピペット分取
して、14,000xgで5分間遠心分離した。上清(750μl)を除去し、
0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の等容量(750μl)の4
%パラホルムアルデヒド(Sigma, MO )と置き換えて、細胞を固定した。ホルム
アルデヒド処理細胞を1分間掻き混ぜて、4℃で3〜24時間、インキュベート
した。
【0073】 インキュベート処理細胞を14,000xgで5分間遠心分離し、上清を10
mMのEDTAと置き換えた。次に、氷水浴中で10分間、細胞を音波処理し、
3,000xgで5分間回転させた。ペレットを900μlの1XPBS(30
mMのNaPO4 緩衝液、pH7.2中の130mMのNaCl)および100
μlの0.1%イゲパル中に再懸濁し、3,000xgで5分間回転させた。細
胞を500μlの0.1%イゲパル中に再び再懸濁し、かき混ぜて、3,000
xgで5分間回転させた。ペレットを200μlの2X保存緩衝液中に再懸濁し
、少なくとも1分間掻き混ぜて、等容量の96%エタノールと混合し、−20℃
で保存した。 ハイブリダイゼーション: 固定細胞の各試料3mlをポリリシン被覆スライド上に載せ、風乾して、エタ
ノールシリーズ(50、80および100%)中で各々3分間脱水して、風乾し
た。5MのNaCl、1Mのトリス、pH7.2、10%SDSおよび蒸留水、
pH7.2から成り、種々の濃度(0、10、25、30、35、45および7
5%)のホルムアミド[ホルムアミドのストック溶液は、ホルムアミド(40m
l)と5gの混合床イオン交換樹脂(25〜50メッシュ、Bio-Rad AG 501-X8
)とを室温で30分間攪拌して調製した。樹脂処理ホルムアミドをWhatman No
.1濾紙に2回通して濾過した]を含有するハイブリダイゼーション溶液(9μ
l)を付加した。平衡緩衝液[30%ホルムアミド、0.9MのNaCl、0.
1%SDS、100mMのトリス、pH7.2]で早期に平衡させた1MのWhat
man 濾紙を含有するハイブリダイゼーション小室にスライドを映した。スライド
を、37℃で30分間インキュベートした(Poulsen et al., 1993)。 Whatman
濾紙を用いてハイブリダイゼーション工程中の乾燥を防止した。次に、予備ハイ
ブリダイズ化細胞を、フルオレセイン(Genosys, The Woodlands, TX)で標識し
た1μlの25〜50ng/μl縮重ハイフォミクロビウムプローブ[5'GCT GC
(C/G )CAT TGT CAC CGC C 3']に曝露して、37℃で一夜インキュベートした
。0、10、25、30、35、45および75%のホルムアミド濃度を用いて
、所望のプローブ特異性を達成するのに必要な適切なホルムアミド濃度を確定し
た。 洗浄: ハイブリダイズ化細胞を蒸留水で濯ぎ、適切な濃度のハイブリダイゼーション
溶液(37℃に予熱した)100mlを入れたcoplinジャー中で20分間インキ
ュベートし、蒸留水で濯遺伝子、100mlの洗浄溶液[4mlの5M NaC
l、10mlの0.5M リン酸ナトリウム緩衝液(ストック:28mlの0.
5M NaH2 PO4 および72mlの0.5M Na2 HPO4 )、1mlの
10%SDS、1mlの0.5M EDTAおよび84mlの蒸留水]を含有す
るcoplinジャー中で37℃で15分間インキュベートした。洗浄済みスライドを
100mlの蒸留水に浸漬し、風乾した。
【0074】 1滴の曇り防止溶液(蛍光用Vectashield マウント媒質、H−1000、Vect
or Laboratories, Inc., Burlingame, CA )をハイブリダイズ化細胞に付加し、
細胞をカバーガラスで被覆した。油浸対物レンズ(1000x)を用いて、細菌
細胞を可視化した。蛍光顕微鏡検査用に取り付けた顕微鏡で蛍光を検出し、写真
を撮った。曝露時間は、位相差顕微鏡に関しては0.01〜0.05秒、蛍光顕
微鏡に関しては20〜40秒であった。 光学顕微鏡検査: Reichertウルトラミクロトームを用いて、ガラスナイフで切断することにより
、包埋試料から厚い切片(1μm)を得た。次に切片を、ゼラチン被覆ガラスス
ライド上で1滴の10%アセトンで処理した。スライドウォーマー上でスライド
を乾燥し、1%ボラックス中の1%トルイジンブルーで染色し、光学顕微鏡下で
観察した。 陰性染色 グロー放電カーボン被覆formvar グリッド上に1分間、スラッジ試料を置き、
次に0.25%ホスホタングステン酸(KOHでpH7.0)および2%酢酸ウ
ラニル、pH4.5を含有する染色液1滴で処理して、乾燥し、日立H−600
透過型電子顕微鏡で観察した。 蛍光in-situ ハイブリダイゼーション結果: スラッジからの従来の未報告ハイフォミクロビウム種M3、およびATCCか
ら入手したHyphomicrobium vulgareの培養菌株を用いて、標的配列とハイブリダ
イズする縮重蛍光ハイフォミクロビウムプローブの能力を調べた。縮重プローブ
は、スラッジ中のハイフォミクロビウム種も標的にした。プローブの結合は、す
べてのホルムアミド濃度で観察された。標的配列内に既知の誤対合を有する形態
学的に別個の菌株の混合物とのハイブリダイゼーションにより、プローブの特異
性および感受性をさらに評価した。RDDデータベースのCheck Probe 用具から
確定した場合のプローブ標的領域中の0、1、2、4および8つの誤対合を有す
る生物体を選択して、プローブ特異性を検査した。プローブ標的領域内に誤対合
を有する生物体間を弁別するためのハイブリダイゼーションの緊縮度は、温度を
37℃で一定に保持しながら、ハイブリダイゼーション緩衝液中のホルムアミド
濃度を増大することにより確定した。プローブのハイフォミクロビウムM3およ
びHyphomicrobium vulgareとの有効な結合は、すべてのホルムアミド濃度で観察
された。誤対合識別実験の結果を表5に要約する。 表5:種々の緊縮度レベルでの16S rRNAの5‘GCT GC(C/G)
CAT TGT CAC CGC C 3’領域を標的化するハイフォミクロビ
ウムプローブとの対照菌株のゲノムDNAのハイブリダイゼーション
【0075】
【表5】
【0076】 プローブは、10%ホルムアミド濃度で、スフィンゴモナスA8AN3および
大腸菌をハイフォミクロビウムM3から識別した。Zoogloea ramigera およびBr
adyrhizobium japonicumは、それぞれ30%および70%のホルムアミド濃度で
ハイフォミクロビウム種から識別された。意外になことに、10%のホルムアル
デヒド濃度では、プローブは、8つの不適正を有するZoogloea ramigera と結合
したが、4つの不適正を有するスフィンゴモナスA8AN3とは結合しなかった
。結合プローブの量は、予測通り、ホルムアルデヒド濃度の増大により次第に減
少したが、しかしプローブは、70%のホルムアルデヒド濃度で、依然としてHy
phomicrobium vulgareおよびSphingomonas capsulataとの結合を示した。 活性スラッジの顕微鏡検査 16S rRNA分析により得られた系統発生樹の正統性(ハイフォミクロビ
ウム種の存在)をさらに確証するために、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡(TE
M)、および走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、形態学的特性に関する電子
顕微鏡的検査を実行した。
【0077】 種々の形態を有する生物体を観察した。光学顕微鏡下で観察されにくい細胞隔
膜は、透過型電子顕微鏡下では見ることができた。ハイフォミクロビウムに似た
生物体[尖端を有する棒状、卵形または豆形の形状で、種々の長さの一極性また
は双極性のフィラメント状派生物(突起物)または菌糸)を生じ、そして増殖の
ためにメタンのようなある炭素化合物を利用できる細胞(0.5〜1.0x1.
3μm)から成るグラム陰性(Holm et al., 1996 )生物体の一群]、ズーグレ
ア種および糸状細菌が観察された。出芽およびプロステーカ細菌(ハイフォミク
ロビウム、ハイフォモナス、ペドミクロピウム)としての単離物の同定は、出芽
形態および突起物を生じるそれらの能力を基礎にした(Staley et al., 1988 )
【0078】 参考文献
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
【表11】
【0084】
【表12】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA C12R 1:01) C12R 1:01) (72)発明者 レイトン,アリス シー. アメリカ合衆国,テネシー 37922,ノッ クスビル,コロネード ロード 1620 (72)発明者 セイラー,ゲイリー エス. アメリカ合衆国,テネシー 37709,ブレ イン,マックキンニー ロード,ボックス 60,ルート 2 (72)発明者 ステープルトン,レイモンド アメリカ合衆国,テネシー 37921,ノッ クスビル,サリバン ロード 5033

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1の核酸を包含する単離核酸。
  2. 【請求項2】 配列番号:2の核酸を包含する単離核酸。
  3. 【請求項3】 配列番号:1の核酸から成る単離核酸。
  4. 【請求項4】 配列番号:2の核酸から成る単離核酸。
  5. 【請求項5】 廃水試料中の粘着集落クラスターの存在の検出方法であって
    、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項1の核酸と接触させ、そして b)粘着集落クラスターの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出す
    る 工程から成る方法。
  6. 【請求項6】 廃水試料中の粘着集落クラスターの存在の検出方法であって
    、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項2の核酸と接触させ、そして b)粘着集落クラスターの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出す
    る 工程から成る方法。
  7. 【請求項7】 廃水試料中のタウエラ種単離物mz1tの存在の検出方法で
    あって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項2の核酸と接触させ、そして b)タウエラ種単離物mz1tの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を
    検出する 工程から成る方法。
  8. 【請求項8】 廃水試料中のタウエラ種単離物mz2tの存在の検出方法で
    あって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項2の核酸と接触させ、そして b)タウエラ種単離物mz2tの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を
    検出する 工程から成る方法。
  9. 【請求項9】 スラッジ脱水問題に関連があるスラッジ中の細菌の検出方法
    であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で細菌からのDNAを
    請求項1の核酸と接触させ、そして b)スラッジ脱水問題に関連がある細菌の存在を示すハイブリダイゼーション
    の存在を検出する 工程から成る方法。
  10. 【請求項10】 スラッジ脱水問題に関連があるスラッジ中の細菌の検出方
    法であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で細菌からのDNAを
    請求項2の核酸と接触させ、そして b)スラッジ脱水問題に関連がある細菌の存在を示すハイブリダイゼーション
    の存在を検出する 工程から成る方法。
  11. 【請求項11】 スラッジ脱水問題に関連があるスラッジ中の細菌の検出方
    法であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で細菌からのDNAを
    配列番号:1の核酸および配列番号:2の核酸と接触させ、そして b)スラッジ脱水問題に関連がある細菌の存在を示すハイブリダイゼーション
    の存在を検出する 工程から成る方法。
  12. 【請求項12】 廃水試料中の粘着集落クラスターの存在の検出方法であっ
    て、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項3の核酸と接触させ、そして b)粘着集落クラスターの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出す
    る 工程から成る方法。
  13. 【請求項13】 廃水試料中の粘着集落クラスターの存在の検出方法であっ
    て、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項4の核酸と接触させ、そして b)粘着集落クラスターの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検出す
    る 工程から成る方法。
  14. 【請求項14】 廃水試料中のタウエラ種単離物mz1tの存在の検出方法
    であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項4の核酸と接触させ、そして b)タウエラ種単離物mz1tの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を
    検出する 工程から成る方法。
  15. 【請求項15】 廃水試料中のタウエラ種単離物mz2tの存在の検出方法
    であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項4の核酸と接触させ、そして b)タウエラ種単離物mz2tの存在を示すハイブリダイゼーションの存在を
    検出する 工程から成る方法。
  16. 【請求項16】 スラッジ脱水問題に関連があるスラッジ中の細菌の検出方
    法であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で細菌からのDNAを
    請求項3の核酸と接触させ、そして b)スラッジ脱水問題に関連がある細菌の存在を示すハイブリダイゼーション
    の存在を検出する 工程から成る方法。
  17. 【請求項17】 スラッジ脱水問題に関連があるスラッジ中の細菌の検出方
    法であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で細菌からのDNAを
    請求項4の核酸と接触させ、そして b)スラッジ脱水問題に関連がある細菌の存在を示すハイブリダイゼーション
    の存在を検出する 工程から成る方法。
  18. 【請求項18】 配列番号:3の核酸から成る単離核酸。
  19. 【請求項19】 配列番号:4の核酸から成る単離核酸。
  20. 【請求項20】 核酸がハイフォミクロビウム属の核酸と特異的にハイブリ
    ダイズする請求項18の核酸。
  21. 【請求項21】 核酸がハイフォミクロビウム属の核酸と特異的にハイブリ
    ダイズする請求項19の核酸。
  22. 【請求項22】 廃水試料中のハイフォミクロビウム種の存在の検出方法で
    あって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項18の核酸と接触させ、そして b)ハイフォミクロビウム種の存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検
    出する 工程から成る方法。
  23. 【請求項23】 廃水試料中のハイフォミクロビウム種の存在の検出方法で
    あって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で廃水の試料からのD
    NAを請求項19の核酸と接触させ、そして b)ハイフォミクロビウム種の存在を示すハイブリダイゼーションの存在を検
    出する 工程から成る方法。
  24. 【請求項24】 スラッジ圧縮問題に関連があるスラッジ中の細菌の検出方
    法であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で細菌からのDNAを
    請求項18の核酸と接触させ、そして b)スラッジ圧縮問題に関連がある細菌の存在を示すハイブリダイゼーション
    の存在を検出する 工程から成る方法。
  25. 【請求項25】 スラッジ圧縮問題に関連があるスラッジ中の細菌の検出方
    法であって、以下の: a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で細菌からのDNAを
    請求項19の核酸と接触させ、そして b)スラッジ圧縮問題に関連がある細菌の存在を示すハイブリダイゼーション
    の存在を検出する 工程から成る方法。
JP2000517114A 1997-10-17 1998-10-02 粘着集落性種およびハイフォミクロビウム種核酸 Pending JP2001520053A (ja)

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