【発明の詳細な説明】
再使用可能なトランスポンダを有する識別装置
本発明は、無線周波数式識別装置に係り、更に詳細には無線周波数式識別装置
が固定された人や物に関する情報を伝送することができるよう設計された無線周
波数式識別装置に係る。
本発明の無線周波数式識別装置は個人の識別や個人に関する適当な情報をマス
タ送受信ステーションに対し伝送することに関し特定の用途を有し、マスタステ
ーションが特定の個人について無線周波数式識別装置をアドレスすると、状態や
状況に関する適当なデータ又は個人に関する情報の種々の項目を確認することが
できる。
勿論識別装置より情報を受信することができ、場合によっては識別装置のメモ
リーに記憶されるよう情報を伝送することができる手持ち式のリーダーが、上述
のマスタステーションに代えて使用されてもよい。発明の背景
現在のところ、リストバンドの如き識別装置は、患者を識別したり患者に関す
る情報を提供するために病院に於いて広く使用されている。またリストバンドは
収監人の識別や群集の制御を含む他の種々の用途に於いても使用されている。初
期に於けるリストバンドは患者の氏名や患者の病気の特徴程度しか提供すること
ができなかった。最近ではリストバンドにはバーコードの如き形態にて符号化さ
れた情報が与えられており、これにより治療や患者の状態等に関するデータを含
む患者に関するかなりの量の情報を確認することができる。
かかるリストバンドを使用する場合には、バーコードリーダーが看護婦や他の
従事者に与えられ、看護婦や他の従事者は治療を行ったり医療処置を行う前にバ
ーコードを読み取る。
バーコードや他の符号化された材料を使用することによりかなりの進歩が達成
されたが、バーコードが識別用リストバンドに適用されると、リストバンドに与
えられた情報を変更するためにはリストバンドを新しいリストバンドに変更しな
ければならない。更に物理的制約により、バーコード等によって与えられる情報
は必然的に制限される。
バーコード等にて符号化された識別用リストバンドの欠点を解消する一つの可
能な方法は、トランスポンダを携帯する看護婦や他の従事者がリストバンドのR
F回路に問い合せして従来のリストバンドに於いては得られない広範囲の情報を
引き出すことができるよう、論理回路、メモリ回路を備えた半導体回路を含むR
F回路をリストバンドに組み込み、情報を送受信し得るアンテナにRF回路を接
続することである。
残念なことに、現在使用可能な無線周波数回路は比較的高価であり、また従来
のリストバンドは使用後に廃棄されるので、無線周波数回路がリストバンドの一
体的な構成要素である場合には無線周波数回路も廃棄されてしまう。発明の目的及び利点
本発明の一つの目的は、識別されるべき人や物体に無線周波数式識別装置を取
り付けるための取り付け装置と、該取り付け装置のための固定装置とを含み、取
り付け装置が人や物体に対し作動関係をなす状態に維持される無線周波数式識別
装置を提供することである。例えば病院の患者に使用される取り付け装置はリス
トバンドの形態をなし、リストバンドはそれを患者の手首や足首等に保持する固
定装置により患者の手首に対し作動関係をなす状態に維持される。
無線周波数回路は固定装置内に配置され、リストバンドが廃棄される場合にも
固定装置を殺菌して再度使用することができ、これにより無線周波数回路を再使
用することができ、従って経済性が向上される。
本発明の他の一つの目的は、上述の如き特徴を有する無線周波数式識別装置で
あって、取り付け装置が内部にアンテナを有し、固定装置によって取り付け装置
が保持された人又は物に関する情報を送受信し得るよう、固定装置がアンテナに
接続されたトランスポンダを内部に有する無線周波数式識別装置を提供すること
である。
本発明の更に他の一つの目的は、取り付け装置が識別用リストバンドのストラ
ップにより構成され、固定装置がストラップを識別されべき人又は物体に対し作
動関係をなす状態に維持する無線周波数式識別装置を提供することである。
本発明の更に他の一つの目的は、無線周波数式識別装置が組み込まれた識別用
リストバンドであって、細長いストラップにより構成された取り付け部と、該取
り付け部を識別されるべき物体又は人に対し作動関係をなす状態に維持する固定
装置とを有し、ストラップはアンテナを内蔵し、固定装置はアンテナに接続され
たトランスポンダを内蔵し、これによりリストバンドは人又は物体に関する情報
を与える信号を送受信することができる識別用リストバンドを提供することであ
る。
本発明の更に他の一つの目的は、上述の如き特徴を有するリストバンドであっ
て、ストラップを廃棄することができると共に固定装置を再使用することができ
、これにより固定装置内のトランスポンダを繰り返し使用することができるよう
、固定装置にストラップが取り外し可能に設けられたリストバンドを提供するこ
とである。
本発明の更に他の一つの目的は、上述の如き特徴を有するリストバンドであっ
て、無線周波数式識別装置を別のアンテナに固定する必要がないよう、固定装置
がアンテナを内蔵する完全な無線周波数式識別タグを含むリストバンドを提供す
ることである。
本発明の他の目的及び利点は以下の説明及び添付の図面より明らかとなる。図面の簡単な説明
図1は固定装置に取り外し可能に接続されたリストバンドのストラップ、即ち
本体の部分断面図である。
図2はリストバンドのストラップが固定装置により固定された状態にてリスト
バンドのストラップ及び固定装置を示す部分断面図である。
図3は他の固定装置及びその構造を示す斜視図である。
図4は取付け装置の両端に対し作動関係をなすよう配置された固定装置の断面
図である。発明の好ましい実施形態
添付の図面、特に図1及び図2には、取り付け装置12及び固定装置14を含
む識別用リストバンド10の一部が図示されている。固定装置14はボス16に
より取り付け装置12に取り外し可能に固定される。ボス16は僅かに拡大され
た上端を有し、該上端はリストバンド10の隣接する端部に設けられた係合用の
孔17よりも大きい。
従ってボス16の僅かに拡大された上端に対しリストバンド10の孔17を押
し込むことにより、固定装置14によってリストバンドを作動位置に保持するこ
とができる。また患者又は他の人によるリストバンドの使用が終了する際には、
リストバンド10の端部をボス16より持ち上げてボス16との係合を解除させ
ることにより、リストバンドをボス16より解放することができる。
取り付け装置12はリストバンド10のストラップ、即ち本体部18により構
成されており、本体部は二つのラミネート24と26との間に空間22を有して
いる。
リストバンド10の構造及び作動が米国特許第5,479,797号に詳細に
記載されており、本明細書に於いては添付の図1及び図2に於いて破線にて示さ
れたRF回路30の固定装置14に固定される場合について説明する。固定装置
14は合成プラスチック材料にて任意の好適な方法により製造される。例えばボ
ス16が一体的な構成要素として形成された固定装置14を射出成形により製造
すべく高密度ポリエチレンが使用されてよい。射出成形中にICチップ30、即
ちRFIDモジュールが固定装置14内に鋳包まれる。
或いは固定装置14に受け入れ部分が形成され、ICチップ30、即ちRFI
Dモジュールがそれを固定装置14との関連で再度使用し得るよう受け入れ部分
内に配置されてもよい。
ラミネート24と26との間の空間22にはアンテナ33が形成されており、
アンテナ33はそれに設けられた対応する導電体(図示せず)に係合する導電ボ
ス32によりICチップ30に電気的に接続されてよい。またアンテナ33はフ
ォイルストリップ、導電性インキ又は導電性ワイヤを使用する方法の如き種々の
方法によりリストバンド10の製造時に形成されてよい。アンテナ33の所要の
長さはICチップ30、即ちRFIDモジュールの特性により決定されるので、
図1の図面はアンテナ33の所要の長さを示すものではない。
導電性ボス32は任意の好ましい形態にて形成されてよく、添付の図面に示さ
れたボスの形態に限定されるものではない。例えば従来の円柱形の接点がバスバ
ーの形態に置き換えられてもよい。
かくして取り付け装置12のストラップ、即ち本体部18をボス16より取り
外すことにより、固定装置14を取り付け装置のストラップ、即ち本体部より取
り外すことができる。取り付け装置12のストラップ、即ち本体部18は廃棄さ
れてよく、固定装置14は受付の如きリストバンドが使用される位置へ殺菌され
た後に戻されてよい。受付に於いては、患者が受け入れられると、ICチップ3
0に適当なデータが与えられ、固定装置14のボス16に対し取り付け装置12
の孔17が押し込まれ、これによりアンテナの接点(図示せず)がICチップ、
即ちRFIDモジュール30の対応する接点32と係合した状態にもたらされる
。
従って固定装置14及びICチップ30が繰返し連続的に使用されることによ
り、一人の患者当りの無線周波数式識別装置10のコストが低減される。RFI
Dモジュール30との関連でアンテナ33を使用することについて説明したが、
それ自身のアンテナが組み込まれた自蔵式のRFIDモジュールが使用され、こ
れによりリストバンド10に設けられたアンテナ33の如きアンテナを設ける必
要性が排除されてもよい。
アンテナ33とチップ30との間の導電手段以外に、1997年3月10日付
にて出願された本願出願人の出願にかかる米国特許出願第60/040,143
号明細書及び図面に記載された容量性回路を使用することも可能である。この米
国特許出願の二つの実施形態の容量性回路が無線周波数回路、即ちチップ30に
適用されてもよい。
更に回路の設計パラメータが許せば、アンテナ33が固定装置14内に組み込
まれてもよい。
他の一つの形態の無線周波数式識別装置40が図3及び図4に図示されており
、この無線周波数式識別装置は内部に内室46を有する細長い管状のストリップ
、即ちバンド44により構成された取り付け装置42を含んでいる。この実施形
態に使用されるバンド44及び固定装置60の構造及び作動モードは、1997
年1月28日付にて出願された本願出願人の出願にかかる米国特許出願第08/
787,757号明細書及び図面に詳細に記載されている。
固定装置60は適当な合成プラスチックにて形成され、RFIDチップモジュ
ール62を内蔵しており、バンド、即ち本体44の内室46内に配置されたアン
テナ66の一つ又はそれ以上の導電体と係合するよう、固定装置60の表面には
導電体の接点64が設けられている。
チップ62は、本体44の両端68が固定装置60の両端に固定された状態に
て図4に図示されている。
アンテナ66が使用される場合には、アンテナは内室46の一方の端部内に配
置され、該端部にはアンテナが組み込まれた本体44の端部68の位置を表示す
べく目印が付けられる。またもし必要ならば、アンテナ66は内室46の壁に印
刷又は他の手段によって適用されてもよい。チップ62は固定装置60の内部に
配置され、アンテナ66の対応する導電体(図示せず)と係合可能な接点64を
有している。
従って固定装置60及び取り付け装置42が図4の要領にて組み立てられると
、チップ62はアンテナ66に電気的に接続され、チップ62及びアンテナは適
宜に設計されたリーダーに応答して信号を送受信する。患者が病院より退院する
際には、本体44は衛生上の理由から廃棄されるが、固定装置60を殺菌して再
使用することができ、これによりチップ62を再使用することができることによ
って経済性が達成される。
本発明の他の一つの実施形態に於いては、チップは取り付け装置42の管状の
ストリップ、即ちバンド44の内室46内に挿入される。チップには1997年
1月28日付にて出願された本願出願人の出願にかかる上述の米国特許出願第0
8/787,757号明細書及び図面に記載されている如く、内室46内に従来
より配置されている識別カードが設けられてよい。他の一つの実施形態に於いて
は、アンテナを備えた完全なRFIDタグが固定装置60内に組み込まれてよい
。
更に米国特許第5,581,924号公報に記載されている如きポケット型の
リストバンドのポケット内にRFIDチップが組み込まれてもよい。リストバン
ドの使用が完了すると、チップがポケットより取り出され、しかる後リストバン
ドが廃棄される。本発明の上述の他の実施形態に於けるチップの場合と同様の要
領にてチップは殺菌され再使用される。
識別用リストバンドの重要な構成部分を再使用することに関する本発明の開示
内容が、同一性や他の重要なデータが種々の理由から検出されなければならない
物体や人に取り付けられる広範囲の種々の装置に同様に適用されてよい。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年2月19日(1999.2.19)
【補正内容】
請求の範囲
1. 識別されるべき物体又は個人に無線周波数装置を配置するための使い捨て
の取り付け装置であって、前記取り付け装置は両端を有するリストバンドである
取り付け装置と、
前記リストバンドを前記物体又は個人と作動関係をなす状態に維持し得るよう
前記リストバンドの両端に係合可能であり、前記リストバンドが廃棄される際に
は前記両端より取り外し可能である固定装置と、
元のリストバンドが廃棄された後に前記固定装置と共に新しいリストバンドに
再使用し得るよう前記固定装置内に配置された無線周波数式識別回路装置と、
を含む無線周波数装置。
2.前記リストバンド内にアンテナが配置されており、該アンテナは前記固定装
置が前記リストバンドに接続されると前記無線周波数式識別回路装置と通信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線周波数装置。
3. 両端を有する使い捨ての取り付け装置と、
前記取り付け装置の前記両端に取り外し可能に接続され、識別されるべき物体
又は個人に対し前記取り付け装置を作動関係にもたらす固定装置と、
前記固定装置内に収容され、後に新しい取り付け装置に使用されるよう前記固
定装置と共に前記取り付け装置より取り外し可能な無線周波数式識別回路装置と
、
とを含む無線周波数式識別装置。
4. 前記取り付け装置は識別用リストバンドであり、該リストバンドの両端は
前記固定装置に取り外し可能に固定されており、前記固定装置及び前記無線周波
数式識別回路装置は前記リストバンドに対する作動関係の状態より解除された後
に再使用可能であることを特徴とする請求項3に記載の無線周波数式識別装置。
5. 前記取り付け装置は両端を有する細長いリストバンドであり、前記リスト
バンド、前記固定装置及び前記無線周波数式識別回路装置を識別されるべき物体
又は個人に対し作動関係をなす状態に維持し得るよう、前記固定装置は前記リス
トバンドの前記両端に受け入れ可能な両端を有していることを特徴とする請求項
3に記載の無線周波数式識別装置。
6. アンテナ装置が前記リストバンド内に配置され、前記無線周波数式識別回
路装置と通信することを特徴とする請求項5に記載の無線周波数式識別装置。
7. 固定部分を備えた本体を有し、前記固定部分は使い捨ての取り付け装置を
物体又は個人に維持し得るよう前記取り付け装置の両端と係合可能であり、前記
本体内には無線周波数式識別回路装置が配置されていることを特徴とする再使用
可能な固定装置。
8. 前記本体は前記取り付け装置の前記両端と係合可能な両端を有しているこ
とを特徴とする請求項7に記載の固定装置。
9. 前記本体は前記取り付け装置の前記両端を受け入れるための窪みを有して
いることを特徴とする請求項7に記載の固定装置。
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月28日(1999.12.28)
【補正内容】
請求の範囲
1. 識別されるべき物体又は個人に無線周波数装置を配置するための使い捨て
の取り付け装置であって、前記取り付け装置は両端を有する使い捨てのリストバ
ンドである取り付け装置と、
前記リストバンドを前記物体又は個人と作動関係をなす状態に維持し得るよう
前記リストバンドの両端に係合可能であり、前記リストバンドが廃棄される際に
は前記両端より分離可能である再使用可能な固定装置と、
使い捨てのリストバンドが廃棄された後に前記固定装置と共に新しいリストバ
ンドに再使用し得るよう前記固定装置内に配置された無線周波数式識別回路装置
と、
を含む無線周波数装置。
2.前記リストバンド内にアンテナが配置されており、該アンテナは前記固定装
置が前記リストバンドに接続されると前記無線周波数式識別回路装置と通信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線周波数装置。
3. 両端を有する使い捨ての取り付け装置と、
前記取り付け装置の前記両端に分離可能に接続され、識別されるべき物体又は
個人に対し前記取り付け装置を作動関係にもたらす固定装置と、
前記固定装置内に収容され、後に新しい取り付け装置に使用されるよう前記固
定装置と共に前記取り付け装置より取り外し可能な無線周波数式識別回路装置と
、
とを含む無線周波数式識別装置。
4. 前記取り付け装置は使い捨ての識別用リストバンドであり、該リストバン
ドの両端は前記固定装置に取り外し可能に固定されており、前記固定装置及び前
記無線周波数式識別回路装置は前記リストバンドに対する作動関係の状態より分 離
された後にリストバンドの取り換えにより再使用可能であることを特徴とする
請求項3に記載の無線周波数式識別装置。
5. 前記取り付け装置は両端を有する細長いリストバンドであり、前記リスト
バンド、前記固定装置及び前記無線周波数式識別回路装置を識別されるべき物体
又は個人に対し作動関係をなす状態に維持し得るよう、前記固定装置は前記リス
トバンドの前記両端に受け入れ可能な両端を有していることを特徴とする請求項
3に記載の無線周波数式識別装置。
6. アンテナ装置が前記リストバンド内に配置され、前記無線周波数式識別回
路装置と通信することを特徴とする請求項5に記載の無線周波数式識別装置。
7. 固定部分を備えた本体を有し、前記固定部分は使い捨ての取り付け装置を
物体又は個人に維持し得るよう前記取り付け装置の両端と取り外し可能に係合可
能であり、前記本体内には無線周波数式識別回路装置が配置されていることを特
徴とする再使用可能な固定装置。
8. 前記本体は前記取り付け装置の前記両端と取り外し可能に係合可能な両端
を有していることを特徴とする請求項7に記載の固定装置。
9. 前記本体は前記取り付け装置の前記両端を受け入れるための窪みを有して
いることを特徴とする請求項7に記載の固定装置。
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フロントページの続き
(72)発明者 ベイジェル,マイケル エル
アメリカ合衆国 91720 カリフォルニア
州 コロナ セイジ アヴェニュー 1980
(72)発明者 マホニー,トーマス ピー
アメリカ合衆国 92660 カリフォルニア
州 ニューポート ビーチ ニューポート
センター ドライヴ 660 スイート
710