JP2001516205A - 単離された寄生体腸管生細胞 - Google Patents

単離された寄生体腸管生細胞

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JP2001516205A JP53690298A JP53690298A JP2001516205A JP 2001516205 A JP2001516205 A JP 2001516205A JP 53690298 A JP53690298 A JP 53690298A JP 53690298 A JP53690298 A JP 53690298A JP 2001516205 A JP2001516205 A JP 2001516205A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、in vitroで長期培養が可能な均質な集団の寄生体細胞(ただしその細胞は蚊細胞ではない)を提供する。また、細胞および非細胞双方の細胞由来画分も提供される。さらに、寄生体の動物との関わり治療または予防する方法であって、本発明寄生体細胞またはその細胞に由来する画分の免疫原量を動物に接触させ、それにより寄生体の動物との関わりを治療または治療することを含んでなる方法が提供される。さらに、動物において寄生体の存在を検出する方法であって、本発明の寄生体細胞もしくは細胞画分かまたは本発明の抗体のいずれかを、動物由来の抗体含有サンプルかまたは抗原含有サンプルのいずれかと接触させ、サンプル中の抗体と本発明の細胞もしくは画分との結合か、またはサンプル中の抗原と本発明の抗体との結合かのいずれかの存在を検出し、その結合の存在が動物における寄生体の存在を示す方法が提供される。更に、本発明は、in vitroで寄生体細胞集団を培養する方法であって、細胞芽を生じるような、寄生体のクチクラ層の崩壊および/または分解を考慮した条件の下、寄生体培養培地で寄生体を培養し;培養物を破壊して細胞芽をクチクラ層から切除し;次いでその寄生体細胞芽を細胞培養培地で培養することを含んでなる方法を提供する。最後に、invitroで長期培養が可能な、分化して線虫細胞集団が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 単離された寄生体腸管生細胞 発明の背景 発明の分野 本発明は、単離寄生体生細胞およびそれらの使用に関する。特に本発明は、単 離寄生体生細胞に由来する免疫物質を利用する寄生体の侵入もしくは感染の予防 または治療用ワクチンに関する。 背景技術 寄生体の感染が馬畜および畜産業に広がっている。寄生を原因とする損失は数 億ドルと見積もられている(Gibbs and Herd,1986)。寄生は臨床にまたは亜臨床 として現れ得る。臨床の寄生はより劇的な様式で現れるであろうが、亜臨床の寄 生はより勢力をふるい、給餌効率、生殖機能および疾病に対する感受性の低下を 引き起こる。これらの作用は、動物の齢、存在する寄生体の種、栄養ストレスお よび環境ストレス、管理システム、他の病状の存在、遺伝履歴、ならびに他の多 くの因子により悪化する(Gibbs and Herd,1986;Hawkins,1993)。 米国における寄生防除は、駆虫薬の使用を中心としており、事実上、かかる製 品の投与に年間数十億ドルを費やしている(Lanusse and Prichard,1993)。従来 、現存している防除は治療上および治癒上のものであり、動物は感染というより 死を逃れるために治療される。重大な疾病および死亡率は低下しているが、汚染 された放牧地または畜舎領域からの再感染の結果、治療と治療の間の亜臨床的損 失は存続している。 より最近では、線虫防除のためのより予防的なアプローチが一般的となってお り、これは駆虫薬単独を用いる戦略的治療か、または牧草地/放牧地管理実践と の組み合わせによるものである(Williams,1986;Miller,1993;Stromberg and C orwin,1993)。これらのプログラムの目的は成熟寄生体に注力することではなく 、感染力のある幼虫による放牧地の汚染を少なくし、それにより寄生体に曝され る危険性を軽減するすることである。このことは次ぎには家畜集団内の亜臨床的 寄生の作用を軽減する。駆虫薬は多くの経済的利点を与えるが、それらの使用に はいくつかの明らかに不利な点があり、それらは特に、抵抗性の発達、持続性残 留物の潜在的な危険性、および環境毒性である(Waller,1993)。 駆虫薬の効力を複雑にしているのは抵抗性の発達であり、これは反芻動物にお いて十分に論じられている。ヘモンカス・コントルタス(Haemonchusn contortus )がフェノチアジンに対して抵抗性があるということは、1957年に始めて報告さ れた(Drudge,1957)。より新しいクラスの駆虫薬を用いたとしても抵抗性が問題 であることには変わりがない。それはもともと馬や数種の反芻動物で問題であっ たが、また、畜牛寄生体でも数種の抵抗性が報告されている。オステルタギア(O stertagia)のレバミソール抵抗性(Lyons,1981;Geerts,1987;Williams,1991;W illiams,1991)、および徐放性ボーラスのモランテル抵抗性(Borgsteede 1988) 、レベバミソールの副抵抗性を伴うもの(Borgsteede 1991)、ならびにトリコス トランギルス・アクセイ(Trichostrongylus axei)およびコーペリア・オンコホ ラのオクスフェンベンダゾール抵抗性(Eagleson & Bowie,1986;Jackson,1987) が記載されている。駆虫薬抵抗性は線虫防除に使用される総てのクラスの薬剤で 起こる。交叉抵抗性、多重抵抗性および副抵抗性が報告されている(Craig,1993 )。抵抗性の発達は異なる製剤間の急速な「ローテーション」により助長される と信じられている。ひと度選択圧が除かれれば抵抗性からの復帰突然変異または 選択は緩慢になる(Kelly & Hall,1979)。 一般に、畜牛の胃腸管寄生体に対するワクチンの開発は、最適な結果には至っ ていない。反芻動物の胃腸管線虫は免疫系に関係なく成長するので、この免疫平 衡を模擬するワクチンに高い効力があるとは考えられない。理論的には、天然の 免疫を模擬するものとは異なるメカニズムを介する防御を誘導できるワクチンが より首尾よくいくであろうと考えられる(Willadsen,1993)。 それらの物理的な位置のために、腸管組織から「隠された(concealed)」抗原 は通常は、宿主の免疫系に曝されまたは「認識できる」ことはなく、従って通常 は免疫応答を惹起することはない。種々の寄生体由来の「隠された」抗原の単離 調製物で宿主にワクチン接種することで、致死的な免疫応答を誘導できる可能性 がいくらかあるころが示されている。 まず、アノフェレス属の蚊由来の腸管組織がワクチン製造用の抗原ソースとし て使用された。蚊の中腸由来の異質な細胞画分のホモジネートを注射したウサギ 由来の血粉を摂らせた蚊は、対照のウサギを与えたものよりも高い死亡率を有し ていた(Alger & Cabrera,1972)。畜牛およびモルモットが、デルマセントル・ アンデスソニ(Dermacentor andersoni)を部分的に与えたダニの腸管から抽出し た抗原を含有する異質な細胞画分のホモジネートで免疫化された。ワクチン接種 した動物を与えたダニでは、吸血および卵生産が著しく減少した(Allen & Humph reys,1979)。同様の成功がアンブリオマ・アメリカヌム(Amblyomma americanum )でワクチン接種した子牛でも達成された(McGrowan,1981)。これらの成功およ びダニのダニ駆除剤抵抗性系統の出現は、畜牛特異的なダニ、ブーフィラス・ミ クロプラス(Boophilus microplus)についての研究を奨励した。 部分的与えたダニの粗抽出物で畜牛を免疫化したところ、ダニ集団は減少した (Johnston,1986)。この防御はダニの付着部位における過敏感反応を含む自然に 獲得される抵抗性とは異なっており、これは免疫感作に対する応答には存在しな い反応である(Kemp,1986)。免疫化した畜牛を与えたダニ由来の腸管組織の組織 病理学からは、自然のダニの侵入を受けた畜牛を与えたダニにおいて損傷は明白 でなかったことが示された(Agbede & Kemp,1986)。さらに、未精製のダニ腸管 膜およびアジュバントを注射した畜牛では、自然に侵入を受けた畜牛よりも顕著 に高いレベルの抗体を有していた。未精製の腸管膜抗原でワクチン接種し、次い で寄生体を接種した畜牛は、その接種用量が、天然の動物では低いながらも有意 な抗体応答をもたらすに十分であったにもかかわらず、いずれの明らかな既往性 応答も示さなかった(Opdebeeck & Daly,1990)。これらの所見は、腸管膜でのワ クチン接種と自然のダニ侵入が同じ免疫応答に頼るものでないという主張を支持 するものである。 精製した粗ダニ抽出物で行った実験では、免疫防御抗原が寄生体の腸管膜と会 合していたことを実証した(Opdebeeck,1988;Willadsen,1988;Willadsen,1989 )。この抗原のさらなる同定により、それがBm86と呼ばれる膜結合糖タンパ ク質であることが明らかにされた。この抗原での宿主動物を免疫化すると、ダニ の生存率、吸血重および繁殖力が低下した。この抗原に対する抗体は、ダニ腸管 において、寄生体消化細胞(基底膜から離れた大きな管腔側の腸管細胞)のエン ドサイトーシス活性を迅速に阻害した。この抗原は大腸菌(E.coli)にクローン 化され、封入体として発現した。これらの封入体でワクチン接種した畜牛を与え たダニは、死滅はしないものの重大な損傷を受けた(Rand,1989)。 ブーフィラス・ミクロプラス中腸膜沈降抗原に対して作製したモノクローナル 抗体は、抗原投与試験において>99%の防御を示した。これらの抗原は慣例の SDS−PAGEを適用した際、1本の主要なバンドと5本の副次的なバンドに 分かれ、このことはこのモノクローナル抗体によって認識されるエピトープがい くつかの抗原に対して反復していることを示している。これらの抗原は、これら の抗原のワクチン接種の結果としてダニが死滅するので、Bm86とは異なると 考えられる(Lee & Opdebeeck,1991)。 抗原は寄生体の生活環の1段階以上で共通である可能性があり、共有される反 応性エピトープは種々の段階の種々のタンパク質に対して生じる可能性がある (Maizels,1987)。抗体レベルはダニ腸管抗原での免疫化によりもたらされた防 御レベルに相関しており(Opdebeeck,1988;Lee & Opdebeeck,1991)、幼虫およ び成虫抗原抽出物は抗腸管抗体を用いて精製された。幼虫および成虫双方の精製 抗原によりもたらされた防御は80%を上回っており、従って防御抗原は両段階 で共通であり得る。ダニの卵膜からの抽出物は、感染攻撃に対し免疫原性はある が、防御性はないことが判った。抗卵膜および抗腸管膜抗体は交叉感応性があり 、卵およびダニ腸管の共通の抗原を認識する(Kimaro,1993)。 ダニ腸管膜でワクチン接種した畜牛、および自然にダニの侵入を受けた畜牛の 血清中の抗ダニ抗体はダニ成虫唾液腺および腸管抗原、ならびに幼虫抗原と反応 するので、ブーフィラス・ミクロプラスの腸管抗原は真の「隠された」抗原では ないと考えられた(Opdebeeck & Daly,1990)。しかしながら、自然に侵入を受け た畜牛由来の抗血清がBm86と反応した場合、それはダニに対して有害な作用 を持たない交叉反応性炭化水素エピトープであると考えられた(Willandsen & Mc Kerma,1991)。従って、腸管抗原Bm86は「隠れて」おり、そのポリペプチド エピトープは免疫防御をもたらす一因である。 「隠された」抗原はまた、クテノセファリデス・フェリ(Ctenocephalides fer i )種をはじめとするネコノミの侵入を防除する手段として提案されている。ノミ の中腸由来の抗原を含有する細胞画分のホモジネートで免疫化したウサギで作ら れた免疫グロブリンをネコノミに与えると、有害な作用があることが示された。 未精製抗原で免疫化し、次いでノミで攻撃したイヌは、対照動物より生存してい たノミが少なく、かつ、生存していたメスはより少ない卵を有していた(Heath, 1994)。 また、ヒツジにおける経済的に重要な吸血線虫である、ヘモンカス・コントル タス種も、ワクチン開発の標的とされてきた。フロイントの完全アジュバントの 注射により誘導された非特異的免疫応答は、ヘモンカス・コントルタスに対する いくらかの防御をもたらした(Bautista-Garfias,1991)。クチクラコラーゲンの ワクチン接種は免疫原ではあったが、防御性はなかった(Boisvenue,1991)。こ れに対し、成虫および第3段階の幼虫由来の可溶性抗原は、低い免疫原であるこ とが判った(Cuquerella,1991)。 コントルチンは、線虫腸管上皮原形質膜の管腔表面と弱く会合した細胞外、高 分子タンパク質である。全虫体ホモジネートから調製したコントルチン豊富な抽 出物のワクチン接種は幼ヒツジで防御的である。ワクチン接種した動物における 線虫集団の数は、対照動物で見られるものより少なくなる(Munn,1987)。血清抗 体は、コントルチン豊富な抽出物のいくつかの成分を沈降させた。 成虫線虫および第3段階(L3)の幼虫由来の腸管組織の粗抽出物のワクチン 接種は、ヤギにおいても同様の防御をもたらした(Jasmer & McGuire,1991)。虫 の数および産卵の双方における減少が免疫化群で達成された。免疫血清由来の抗 体は数種の腸管タンパク質を認識し、そのいくつかは内在性膜タンパク質であっ た。この抗原調製物はかなりの量のコンドルチンを含んでいる可能性がある(Mun n,1993b)。免疫組織化学により、この抗原は寄生体の腸管細胞集団に起源して いたことが確認され、オステルタギア・オステルタギ(Ostertagia ostertagi)お よび数種のウマ小円虫の微絨毛タンパク質との交叉反応が証明された。ヘモンカ ス・コントルタス腸管抽出物で免疫化した後に回収された線虫の数が減少するこ とは、Suffolk種の幼ヒツジでSmith(1993)により確認された。ヘモンカス・コン トルタスに対し自然免疫を示すヒツジ由来の血清は、腸管膜タンパク質と反応せ ず、このことはこれらのタンパク質の「隠された」性質を確実にするものである 。ワクチン接種したヒツジ由来の免疫血清の受動移入すると、受容動物において 産卵数が低下した。これらの動物から回収した線虫の微絨毛を覆う宿主抗体の存 在は、エフェクター機構としての抗体を示唆するものであった。腸管膜に病変部 は認められなかった。微絨毛の被覆は必要なタンパク質(例えば酵 素)無効にし、その結果虫の死滅させる可能性があり、または栄養素の吸収を機 械的に遮断して、効果的に線虫を飢餓状態にさせる可能性がある。 ヘモンカス・コントルタスの第4段階(L4)および第5段階(L5)の幼虫 の双方に存在する抗原H11は、主要な微絨毛ヘモンカス・コントルタスの内在 性膜タンパク質である。Merino種の幼ヒツジにH11およびH11豊富な調製物 (少量の表在性膜タンパク質、P1を含有する)をワクチン接種した結果、線虫 の平均数および線虫の産卵数が減少し、卵生産の開始が遅延することが注目され 、このことはエフェクター機構が寄生体の成虫前段階で作用する可能性があるこ とを示唆している(Munn,1993a)。虫の数および産卵数の減少はH11の血清抗 体価と相関していた(Smith,1993;Tavernor,1992a,b)。H11の酵素の性質が DNA配列決定から推定され、アッセイおよび特異的阻害実験により確認された (Munn,1993)。H11の活性はワクチン接種した動物由来の血清抗体により阻害 される。生産されたほとんどの抗体はH11を標的としており(Munn,1993)、阻 害レベルは防御レベルと相関している(Munn,1993)。コントルチン同様、宿主の 免疫グロブリンはエフェクター機構であると思われる。宿主抗体は、感染後7日 という早さで寄生体の腸管に結合し、7〜14日の間で線虫の致死が見られる。 感染後7日より早い幼虫は免疫応答に対して感受性がないように見受けられる。 抗原H11で免疫化した子ヒツジに少量接種で抗原投与したところ、抗原投与対 照で見られた貧血症および産卵数が顕著に防御された。それらは非感染対照と同 等に有効に増殖し、少量感染の過程の間に自然免疫を獲得した。ヘモンカス・コ ントルタスのベンズイミダゾール抵抗性または感受性系統いずれかで攻撃した動 物は、H11ワクチン接種によるものと同等に防御された(Smith & Smith,1993 )。メスの寄生体はオスよりも迅速に消滅し、このことは産卵数の減少で説明さ れる。 H11豊富な全虫抽出物画分でのワクチン接種は、その防御活性が主にH11 と会合していることを示した。また、別の画分P1またはH45も、H11より もずっと多量においてではあるが防御的であった。H11豊富な抽出物(P1を 含有)での免疫化は、Dorset種の子ヒツジおよびClun Forest種のヒツジにおい て防御を与えたが(Tavernor,1992a;Munn,1993b)、Clun Forest種のヒツジでは より顕著な線虫の減少が見られた。防御におけるこの差は品種、抗原の量、また は子ヒツジの齢によるものと考えられた。H11豊富なコントルチンフリー抗原 のワクチン接種により付与された防御(Munn,1987)とコントルチン豊富な抗原の ワクチン接種により付与された防御(Munn,1987)との直接比較すると、H11豊 富なコントルチンフリー調製物で達成された平均的な防御(すなわち虫の数およ び卵生産が低下)は、より少量のH11タンパク質を用いた場合でさえ、コント ルチン豊富な調製物で達成された最高の防御と同等であった。このように、H1 1はコントルチンよりもさらに効果的である。十分な防御は100mgのH11 抗原を用いた免疫化で達成され、より高い抗原用量を用いてもより高い防御は証 明されなかった(Tavernor,1992a)。95%の純度のH11でのワクチン接種は 、線虫数を93%まで低下させ、94.6%では卵生産が減少した。 オステラギア・シルカムシンクタ(Ostertagia circumcincta)およびネマトデ ィラス・バタス(Nematodirus battus)での接種実験では交叉防御は証明されなか った。これは抗原の違いの影響か、または線虫の宿主免疫グロブリンの食作用が 致死的な損傷を誘導するのに十分な量であったためであると考えられる(Smith, 1993)。また、ヘモンカス・コントルタスの腸管表面エピトープと同定されたエ ピトープに対して作製されたモノクローナル抗体も、オステルタギア・オステル タギ、トリコストロンギラス・コルブリフォルミス(Trichostrongylus colubrif ormis )、ウマ科小ストロンギルスおよびケノルハブディティス・エレガンス(Cae norhabditis elegans)の腸管および組織においてと同様、体壁、すなわち第3段 階(L3)の幼虫のクチクラ領域および内部器官に位置していた (Jasmer,1992)。 別の防御成分が、リガンドとしてレクチンを用い、腸管細胞の内在性膜画分か ら単離され、全虫抽出物由来の微絨毛糖タンパク質が精製された。この画分、糖 タンパク質複合体を含有するヘモンカスのガラクトース、すなわちH−gal− GPは、SDS−PAGE、そのレクチン結合特異性およびその低い等電点によ りH11またはP1から容易に分離される。並行比較実験では、卵生産における 減少は同等であったが、H−gal−GPはH11よりも防御性が低く、線虫数 の減少はH11の場合ほど顕著でなかった。H11同様、H−gal−GPはオ スの虫よりもメスの虫に対してより効果的である。文献を比較すると、H−ga l−GPはH45複合体よりさらに効果が高いことが判る。H−gal−GPと H45により誘導された防御における違いは、用いられた特殊な免疫化プロトコ ールによるものと考えられる。 植物寄生体(毛虫の段階)由来の異質な細胞系統の確立が記載されている(Man ousis & Ellar,1990)。これらの著者は、線虫を用いてかかる技術が上手く達成 されたのはこれが初めてであると記載している。異質(非特異的)細胞集団3ヶ 月より長くは生存しなかった。増殖培地へのウシ胎児血清(FBS、10%V/ V)の添加すると、ほぼ5ヶ月より長い期間の間、細胞集団の増殖が助けられた 。Kurti et al.(1988)は、選択的実験技術により特異な細胞系統を増殖させる 試みはなかったが、10%FBSを含有する増殖培地でのダニ(デルマセントル ・バリアビリス(Dermacentor variabilis)、ルイピセファラス・アペンディカラ タス(Rhipicephalus appendiculatus)、ルイピセファラス・サンギネウス(Rhipi cephalus sangineus)およびブーフィラス・ミクロプラス(Boophilus microplus) 胚由来の異質な細胞系統の調製について記載している。寄生体細胞系統の増殖に 関する別の記載では、出発材料として全寄生体をホモジネートし、同様に特異な 細胞系統を選択的に増殖させるための試みはなされなかった(Hobbs et al.,1993)。寄生体ホモジネートは、バッファローラット肝臓「フィーダー 」細胞層を含有する組織培養プレートのウェルに移し、血清「フリー」増殖培地 を使用した。DMEMと類似の増殖培地を低濃度のKClおよびグルコースを含 むよう改良すると、4週間以上、生細胞系統の維持が可能であった。照射したバ ッファローラット肝臓(BRL)細胞のフィーダー層上に若い虫の細胞を置床す ると、数週間から6ヶ月もの間細胞塊の生存力が延長された。ウシ内皮またはマ ウス胚(3T3)細胞のフィーダー層の効果は低かった。Kurtti and Munderloh (1984)は、蚊の幼虫組織、成虫卵巣および胚形成組織由来の細胞培養物の作出し た結果、数年間蚊の細胞の異質混合物が培養できたことを記載している。Munder loh et al.(1994)は、胚を有するダニの卵由来の異質な細胞集団の増殖につい て記載している。これらの研究者らは、長期間の液体窒素中で細胞を保存するこ との難しさを記載している。細胞はウシ胎児血清(FBS20%V/V)を含有 する組織培養増殖培地で増殖させた。初代培養の開始からい1回目の継体培養ま での期間は6〜12ヶ月の範囲である。 前記の研究から判るように、寄生体細胞によって発現される抗原はヒツジおよ び畜牛において防御免疫をもたらす可能性が示された。残念なことに、これらの 画分は顕微解剖により手で採取された寄生体腸管に由来するものであった。従っ て、十分な量の免疫原タンパク質得るには集中的かつコストのかかる大変な労力 を要する。さらに、十分な純度の抗原を得ること、およびワクチンに有用である と考えられる抗原を同定することが困難である。寄生体から確立された細胞系統 は、異質な未分化の集団であり、これは長期間組織培養環境で維持することが困 難であった。従って、長期間培養で維持できる均質な集団の寄生細胞の必要性が 存在する。 本発明は、長期間培養で維持できる均質な集団の寄生細胞およびかかる均質集 団を作出する方法を提供することによりこの必要性を満たすものである。発明の概要 本発明はin vitroで長期培養が可能な均質な集団の寄生体細胞(但し蚊細胞を 除く)を提供する。細胞および非細胞性の双方のこの細胞由来の画分もまた提供 される。また、この細胞または細胞の部分画分に特異的に結合する抗体および抗 イディオタイプ抗体も提供される。 また、寄生体の動物との関わりを治療するまたは予防する方法であって、本発 明の寄生体細胞、またはその細胞に由来する画分の免疫原量を動物に投与し、そ れにより寄生体の動物との関わりを治療するまたは予防することを含んでなる方 法が提供される。 本発明はまた、化合物を駆虫薬活性に関してスクリーニングする方法であって 、化合物を本発明の細胞と接触させ、次いでこの化合物が細胞に対して有害な作 用を有するか否かを決定することを含んでなる方法を提供する。 さらに、動物において寄生体の存在を検出する方法であって、本発明の寄生体 細胞またはその細胞に由来する画分を、動物由来の抗体含有サンプルと接触させ 、次いでサンプル中の抗体の、細胞または画分との結合の存在を検出ることを含 んでなり、その結合の存在が動物における寄生体の存在を示す方法が提供される 。 更に、動物における寄生体の存在を検出する方法であって、本発明の抗体と寄 生体抗原を含有する可能性のある動物由来のサンプルと接触させ、次いで抗体の 抗原との結合の存在を検出することを含んでなり、その結合の存在が動物におけ る寄生体の存在を示す方法が提供される。 さらに、本発明は、in vitroで寄生体細胞集団を培養する方法であって、細胞 芽を生じるような、寄生体のクチクラ層の崩壊および/または分解を考慮した条 件の下、寄生体培養培地で寄生体を培養し;培養物を破壊して細胞芽をクチクラ 層から切除し;次いでその寄生体細胞芽を細胞培養培地で培養することを含んで なる方法を提供する。 本発明はまた、細胞芽を生じるような、寄生体のクチクラ層の崩壊および/ま たは分解を考慮した条件の下、寄生体培養培地で寄生体を培養し;培養物を破壊 して細胞芽をクチクラ層から切除し;次いでその寄生体細胞芽を細胞培養培地で 培養する方法で生産された、蚊細胞を含まない、in vitroで長期培養が可能な寄 生体細胞集団を提供する。 最後に、本発明は、in vitroで長期培養が可能な分化した線虫細胞の集団を提 供する。 本発明のその他の種々の目的および利点は以下の説明から明らかとなろう。 図面の簡単な説明 図1は、組織培養(in vitro)環境で増殖した寄生体細胞を示す。 A:クラスターは幼虫の細胞鞘から突出した寄生体細胞芽を示す。B:細胞クラ スターは個々の幼虫より大きな直径であり、これは幼虫からの突出後の細胞芽の in vitro増殖を示す。 発明の詳細な説明 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、かかる実施例は単に説 明のためのものであって、その多くの変形や変更が当業者にとって容易に理解さ れよう。請求の範囲で用いられるように、「a」は複数も含み得る。 本発明は、in vitroで長期培養が可能な均質な集団の寄生体細胞(ただし蚊細 胞ではない)を提供する。「均質」とは、その細胞が実質的にただ1種であるこ とを意味する。例えば、均質な集団は1種の細胞の100〜80%の範囲内のい ずれの数からなってもよく、例えば100%、>95%、>90%、>85%、 >80%、>79%、好ましい範囲では特に90%、91%、92%、93%、 94%、95%、96%、97%、98%、99%および100%である。均質 な集団における1細胞種の細胞のパーセンテージは当技術分野において標準的な 方法、例えば蛍光活性化細胞選別により決定できる(Harlow and Lane,1988)。 「長期培養が可能な」とは、細胞を無期限の期間均質な集団として維持可能なよ うに、細胞を継代および凍結および再構成することが可能なことを意味する。例 えば、本発明の細胞は3年間を超えて均質な集団の細胞として維持されてきた。 これらの細胞は懸濁培養として維持されるので、これらの細胞は、組織培養フ ラスコの底が実質量の細胞沈降物を含むことが観察可能な場合、最良に継代され る。本発明の細胞は、1培養フラスコ中の細胞をさらなる組織培養フラスコに「 分割する」か、または既存のフラスコにさらなる細胞培養培地を添加するかのい ずれかにより継代可能である。加えて、本発明の細胞は培養細胞の極低温保存に 関する当技術分野で公知の標準的プロトコールに従い生細胞としての長期保存の ため冷凍できる。例えば、細胞を含有する培地を遠心分離して細胞をペレットと し、上清を廃棄することができる。次いでこの細胞ペレットは、例えば10%( V/V)DMSOを含有し、アミカシン(2.5mg/ml)およびオキサシリ ン(2.5mg/ml)を添加した冷凍培地(例えばIPL−41またはSF− 900培地またはIPL−41とSF−900の50/50混合物)中に再懸濁 させることができる。次いで、培地および細胞を極低温バイアルに移し、−96 ℃で1時間置く。次いでこの極低温バイアルを液体窒素中に移し、再構成までそ こでずっと維持した。 細胞を再構成するには、例えば、細胞を含有する極低温バイアルを液体窒素か ら取り出し、バイアルの外側をアルコールで滅菌する。このバイアルを室温(R T;25℃)の水浴中に置くことで細胞を解凍する。バイアルに2mlの細胞培 養培地を加えてDMSOを希釈し、次いで低速(200〜300xg)で細胞を ペレットにする。上清をデカントし、新鮮培地を加え、細胞を再びペレットにす る。上清を再びデカントし、細胞を組織培養培地に再懸濁し(約90%新鮮培地 と10%使用済み培地)、組織培養フラスコに移す。幼虫から培養した細胞集団 または極低温保存後に再構築した細胞集団は無限回継体培養することができ、 無期限に(すなわち数年間)生細胞として維持できる。 本発明で誘導される、または使用される寄生体細胞は、成虫または幼虫寄生体 に見られるいずれの細胞種であってもよい。例えば、かかる細胞には、限定され るものではないが、腸管、食道分泌腺、筋肉、神経および子宮細胞などの生殖細 胞が含まれる。寄生体の関わりを治療または予防するのに特に有用なのは腸管細 胞である。 以下により詳細に説明するように、この細胞は、例えば、治療、予防および診 断目的に使用することができる。これらの目的のいずれのためにも、この細胞は そのまま、部分的にまたは完全に溶解して、ならびにその細胞を培養した培地を 含んでまたは含まずに使用することができる。このように種々の細胞画分が寄生 体細胞から誘導できる。例えば、膜結合抗原は膜画分として培養物の残部および 細胞成分から分離して、種々の目的のために使用できる。他の細胞画分としては 、限定されるものではないが、全細胞画分、部分細胞オルガネラ画分、酵素画分 、遺伝物質(例えば、RNA、DNA)などが挙げられる。さらに、細胞のある 種の細胞成分は非細胞画分として回収および分析できる培地中に放出されている であろうと考えられるので、細胞を培養した培地を使用することもできる。細胞 および/または溶解したもしくは溶解していない細胞を含む、および含まない培 地を、治療、予防または診断アッセイに使用して、培地に対する細胞の比率およ び非溶解細胞に対する溶解細胞の比率を至適化することができる。至適化は、最 適な治療、予防または診断結果を得ることができる培地:細胞比、および溶解細 胞:非溶解細胞比を決定、確認するため、当技術分野で標準的なプロトコールに 従い、in vitroおよび/またはin vivo効力試験を行うことを含む(Smith,1993) 。 本発明の細胞は、界面活性剤による可溶化や機械的破壊(Travenor et al.,19 92)など、当技術分野で標準的ないずれの手段によって溶解させてもよい。例え ば、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニ ティークロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)など当技 術分野で十分に公知の標準的な細胞分画技術により、この細胞溶解液から種々の 細胞画分を分離することができる(例えば、Travenor et al.,1992;Munn et al. ,1993;McKerrow et al.,1990;Gambel et al.,1990)。 別法として、ドデジル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤、またはTr itonX−100(平均C34611)もしくはエチルフェニル−ポリエチレ ングリコール(NP−40、Shell Oil Company)などの非イオン性界面活性剤で 細胞を処理することにより、寄生体細胞のタンパク質画分を得ることもできる。 このようにして得られたタンパク質画分は、前記に記載したように免疫原、特異 性および生化学的酵素活性に関して試験することができる。例えば前記に記載し たように、標準的な方法によって寄生体細胞の他の免疫原として特異的な抗原決 定基を得ることもできる。 本発明の細胞によって作製したタンパク質およびタンパク質断片は単離、精製 可能で、これらのタンパク質およびタンパク質断片のアミノ酸配列および核酸配 列は、当技術分野で標準的な方法に従い決定できる。このタンパク質およびタン パク質断片をコードする核酸は、当業者に十分公知の分子遺伝学的プロトコール に従い、ベクター中にクローン化し、細胞および/またはトランスジェニック動 物で発現させることができる(Sambrook et al.,1989を参照)。 他の成分を溶解または非溶解細胞、細胞由来の細胞画分、または細胞培養物か ら採取した培地に加えることもできる。従って本発明は、これらの成分を含んで なる組成物を提供し、これは医薬上許容される担体と組み合わせた有効量の細胞 、その画分または非細胞画分を含んでもよく、加えて、他の医療薬、医薬、担体 、アジュバント、賦形剤などを含んでもよい。「医薬上許容される」とは、生物 学的にまたはその他の点で望ましくないものではない物質、すなわち本質的に望 ましくないいずれの生物学的作用も引き起こすことなく、またはそれが含まれる 医 薬組成物の他のいずれの成分とも有害な形で相互作用することなく選択された化 合物とともに個々に投与してよい物質を意味する。投与形を調剤する実用上の方 法は当業者には公知である、または明らかであろう(例えば、Martin,最新版:A rnon,1987を参照)。担体は本質的に、有効成分のいかなる分解をも最少にする よう、かつ被験体におけるいずれの有害な副作用も最少にするように選択されよ う。 もう1つの具体例では、組成物は有効成分の治療または予防効果を増強するた めのアジュバントを含んでもよい。アジュバントは使用する特定の抗原、投与様 式および被験体に基づいた標準的な基準により選択できる(Arnon,1987)。例え ば、組成物はフロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント 、水酸化アルミニウム、または抗原の免疫原性を助長する他の公知のアジュバン トを含んでもよい。 本発明の均質な集団の寄生体細胞を作出するために使用可能な寄生体の例とし ては、限定されるものではないが、線虫、吸虫、蠕虫、環形動物、および条虫、 ならびに節足動物および蛛形種(例えば、ダニ類(ticks,mites)、シラミおよび ノミ)が挙げられる。特に有用なホモ寄生体細胞系統は線虫に由来するものであ る。本発明において有用な線虫の例としては、限定されるものではないが、クー ペリア(Cooperia)、オエソファゴストマム(Oesophagostomum)、オステルタギア(Ostertagia )、ヘモンカス(Haemonchus)、ジロフィラリア・イミティス(Dirofila ria immitis)およびジクチオコーラス(Dictyocaulus)が挙げられる。本発明に使 用できる経済的に重要な寄生体としては、例えばクーペリア・ビソニス(Cooperi a bisonis)、クーペリア・クチセイ(Cooperia cuticei)、クーペリア・マクマス テリ(Cooperia mcmasteri)、クーペリア・オンコフォラ(Cooperia oncophora)、 クーペリア・ペクチナタ(Cooperia pectinata)、クーペリア・パンクタタ(Coope ria punctata)、クーペリア・スパチュラタ(Cooperia spatulata)、クーペリア ・サルナバダ(Cooperia surnabada)、ジクチオコーラス・ビビパラス(Dictyocau lus viviparus)、ヘモンカス・コントルタス(Haemonchus contortus)、ヘモンカ ス・プラセイ(Haemonchus placei)、ヘモンカス・シミリス(Haemonchus similis )、オエソファゴストマム・ラジアタム(Oesophagostomum radiatum)、オステル タギア・ビソニス(Ostertagia bisonis)、オステルタギア・オルロッフィ(Oster tagia orloffi)、オステルタギア・オステルタギ(Ostertagia ostertagi)、トリ コストロンギラス・アクセイ(Trichostrongylus axei)、トリコストロンギラス ・コルブリホルミス(Trichostrongylus colubriformis)、トリコストロンギラス ・ロンギスピクラリス(Trichostrongylus longispicularis)、ファシオラ・マグ ナ(Fasciola magna)、ファシオラ・ヘパチカ(Fasciola hapatica)、アンブリオ ーマ・アメリカナム(Amblyomma americanum)、アンブリオーマ・カジェネンス(A mblyomma cajermense)、アンブリオーマ・マクラタム(Amblyomma maculatum)、 ブーフィラス・アンヌラタス(Boophilus armulatus)、デルマセントル・アルボ ピクタス(Dermacentor albopictus)、デルマセントル・アンデルソニ(Dermacent or andersoni)、デルマセントル・オシデンタリス(Dermacentor occidentalis) 、デルマセントル・バリアビリス(Dermacentor variabilis)、イクソデス・コッ ケイ(Ixodes cookei)、イクソデス・パシフィカス(Ixodes pacificus)、イクソ デス・スカプラリス(Ixodes scapularis)、コリオプテス・ボビス(Chorioptes b ovis )、ソレルガテス・ボス(Psorergates bos)、ソロプテス・オビス(Psoroptes ovis)、サルコプテス・スカビエイ(Sarcoptes scabiei)、オエソファゴストマ ム・コラムビアナム(Oesophagostomum columbianum)、オエソファゴストマム・ ベヌロサム(Oesophagostomum venulosum)、オステルタギア・サーカムシンクタ(Ostertagia circumcincta)、オステルタギア・オシデンタリス(Ostertagia occi dentalis )、オステルタギア・トリフルカータ(Ostertagia trifurcata)、トリコ ストロンギラス・カプリコーラ(Trichostrongylus capricola)、ネマトジ レラ・ロンギスピクラータ(Nematodirella longispiculata)、ネマトジラス・ア ブノルマリス(Nematodirus abnormalis)、ネマトジラス・ダブチアニ(Nematodir us davtiani)、ネマトジラス・フィリコリス(Nematodirus filicolis)、ネマト ジラス・ヘルベチアナス(Nematodirus helvetianus)、ネマトジラス・ランセオ ラタス(Nematodirus lanceolatus)、ネマトジラス・スパチゲル(Nematodirus sp athiger )、アスカリス・サム(Ascaris suum)、ヒヨストロンギラス・ラビダス(H yostrongylus rubidus)、オエソファゴストマム・ブレビコーダム(Oesophagosto mum brevicaudum)、オエソファゴストマム・デンタタム(Oesophagostomum denta tum )、オエソファゴストマム・ジョージアナム(Oesophagostomum georgianum)、 オエソファゴストマム・カードリスピヌラタム(Oesophagostomum quadrispinula tum )、ストロンギロイデス・ランソミ(Strongyloides ransomi)、ストロンギロ イデス・ウェステリ(Strongyloides westeri)、トリクリス・スイス(Trichuris suis )、ストロンギラス・エデンタタス(Strongylus edentatus)、ストロンギラ ス・エキナス(Strongylus equinus)、ストロンギラス・ブルガリス(Strongylus vulgaris )、ストロンギラス・ウェステリ(Strongylus westeri)、ジロフィラリ ア・イミテイス(Dirofilaria immitis)およびアスカリス・カニス(Ascaris cani s )が挙げられる。 本発明はまた、本発明の寄生体細胞または細胞画分と特異的に結合する抗体ま たはリガンドを提供する。本明細書で用いる抗体としては、免疫反応性抗体断片 を挙げることができる。これらの抗体は、当技術分野で十分に公知の標準技術に より作製できる(例えば、Harlow & lane,1988を参照)。抗原に対して作製し たモノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば、本全細胞に由来、または 細胞溶解液から精製した細胞画分に由来する)を診断試薬として用いて、動物の 組織または体液における抗原を検出することもできるし、またアフィニティー・ キャプチャーやその他の抗原精製技術の使用を通じて寄生体抗原を精製すること もできる。また本発明の抗体を治療適用に使用して、寄生体の動物との関わりを 治療または予防することもできる。 免疫化した動物から抗体を直接精製することもできるし、またはハイブリドー マ生産用の動物から抗体産生脾臓細胞を得ることもできる。この脾臓細胞は不死 細胞系統と融合させ、抗体分泌用のハイブリドーマとして維持する。同様に、抗 原と特異的に反応する精製ポリクローナル抗体も、本発明の範囲内にある。この ようなポリクローナル抗体は、標準的な免疫化および精製プロトコールにより得 ることができる(Harlow and Lane,1988)。 リガンドまたは抗体の抗原との反応の検出は、検出可能な部分に結合させたリ ガンドまたは抗体に使用により助長され得る。かかる検出可能な部分により、沈 降物もしくは色の変化の視覚的検出、顕微鏡による視覚的検出、または分光測定 法、放射測定による自動検出などが可能となる。検出可能部分の例としては、フ ルオレセイン、およびローダミン(蛍光顕微鏡観察用)、西洋ワサビペルオキシ ダーゼ(光学顕微鏡観察または電子顕微鏡観察および生化学的検出用)、ビオチ ン−ストレプトアビジン(光学または電子顕微鏡観察用)、ならびにアルカリ性 ホスファターゼ(変色による生化学的検出用)が挙げられる。使用する検出法お よび検出可能部分は、前記の一覧から、またはかかる選択に適用される標準的な 基準に従う他の好適な例から選択することができる(Harlow and Lane,1988)。 また、抗体と特異的に結合する抗イディオタイプ抗体も提供される。もうちろ ん、かかる抗イディオタイプ抗体も、寄生体に対して治療または予防効果を提供 するために免疫原として使用することができると考えられる。抗イディオタイプ 抗体は一次抗体に画像を与え、ワクチン製剤に作用して病原性抗原に対する免疫 応答を誘導し、それにより病原体または病原性抗原自身による免疫感作を回避す ることができる(Harlow & Lane,1988)。 本発明はまた、ヒトを含む寄生体の動物との関わりを治療するまたは予防する 方法であって、寄生体細胞または寄生体細胞に由来する画分の免疫原量を動物に 投与し、それにより寄生体の動物との関わりを治療または予防することを含んで なる方法を提供する。「寄生体と動物との関わり」とは、それにより寄生体が動 物に感染する、または侵入し、動物に付着する、またはその動物が生存していよ うと死に至っていようとも、その動物から血液もしくは他の組織もしくは体液を 摂取する、寄生体と動物との間の相互作用または関係を意味する。 寄生体細胞、細胞画分または非細胞画分は、当技術分野で公知の方法により、 免疫原性に関して試験することができる(Harlow & Lane,1988,Armon,1987)。 便宜には、種々の濃度の可能性ある免疫原細胞または特異的細胞画分を調製し、 種々の濃度で動物に投与し、次いで標準的なプロトコールにより、各濃度に対す る動物の免疫応答(例えば、抗体生産または細胞媒介免疫)を測定する。投与す る免疫原の量および種類は、動物の種、大きさおよび状態に依存するであろう。 その後、このようにして免疫原を接種した動物を寄生体に曝し、特異的な免疫原 のワクチン作用の可能性を試験することができる。可能性ある免疫原の特異性は 、接種した動物由来の血清、および他の体液、ならびにリンパ球を、他の密接に 関連する寄生体との交叉反応性に関して試験することにより確認することができ る。ひと度免疫原性が確立されれば、特定の動物に投与すべき免疫原の量が、当 技術分野で公知の標準技術に従い至適化することができる(Harlow & Lane,1987 )。 好ましい具体例では、免疫原は、寄生体上または寄生体内に位置する寄生体に より生産される抗原である「隠れた抗原(hidden antigen)」を含んでもよく、寄 生体のヒトを含む動物との関わりの典型的な環境の下、このような解剖学的な位 置では、動物の免疫系は抗原(例えば、寄生体腸管細胞上で発現する抗原)に直 接接近することはない。動物が寄生体の「隠れた抗原」である免疫原で有効に攻 撃されれば、免疫原に対し、ゆえに寄生体に対し治療効果または予防効果がある 動物における細胞性および/または体液性免疫応答を誘導することができる。例 えば、寄生体腸管細胞由来の抗原が好適に動物に提供され、体液性および/また は細胞性免疫応答が誘導されれば、次いで寄生体に対する直接的な細胞傷害作用 か、または抗体結合による寄生体の腸管の栄養素吸収の妨害のいずれか、または 両メカニズムの組み合わせを通じて、抗原を寄生体の食作用が致死的な結果を誘 導し得る。 また好ましい具体例では、本発明の免疫原または抗原は、種々の種の寄生体の 免疫原または抗原と交叉反応する、すなわち、これらの抗原または免疫原は種々 の寄生体種で「共通」である。このように共通な抗原または免疫原は、交叉反応 性抗体の同定に関して当技術分野で標準的な血清学的プロトコールに従い、多種 由来の抗原または免疫原と免疫学的に交叉反応するものと確認することができる 。これら交叉反応研究で使用される抗体は、本明細書に記載された方法に従って 製造できる。抗原は、本明細書に提供された方法に従い、分子量、Con−A結 合親和性、酵素活性などにおける類似性を基にそれらの免疫学的交叉反応力を決 定するために選択できる。 免疫原の投与様式は、動物の種、大きさおよび状態に大きく依存し得る。本発 明の治療または予防用免疫原は典型的には、皮下注射または筋肉内注射のいずれ かで非経口投与される。もちろん、免疫原量は分割用量で与えるかまたは動物の 複数の部位に投与することができる。例えば、免疫原は単回で投与してもよいし 、または種々の間隔の2回(例えば1、2または4週間)で投与してもよい。ま た、所望の治療または予防効果を維持するのに必要とされる追加抗原刺激も種々 の間隔(例えば2週間間隔)で与えてよい。また免疫化では、例えば約50〜1 00μgの免疫原を被験体に14〜30日の期間で1日おきに皮下または筋肉内 のじうれかで投与することによるなど、「少量接種」として被験体に投与しても よい。 非経口投与は一般に注射によることを特徴とする。注射可能ものとしては、液 体の水剤または懸濁剤、注射前に液体に溶解または懸濁するのに好適な個体形態 、 またはエマルジョンのいずれかの通常の形態に調剤できる。さらに最近修正され た非経口投与の試みは、一定レベルの免疫原が維持されるような徐放(slow rele ase or sustained release)系の使用を含む。例えば、米国特許第3,710, 795号を参照。 動物は寄生体の関わりを治療または予防する必要性があり得る、または存在す るいずれの動物であってもよい。典型的な動物は例えば、ヒト、ウシ、ウマ、ブ タ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコおよび鳥類種からなる群より選択され得る。これ に関連して、動物は、例えば野生動物が維持される動物学的環境で、および/ま たは寄生対が野生動物から家畜やヒトへ伝播し得る状況で寄生体を防除すること が望まれる野生動物種であってもよい。 本発明はまた、本発明の抗体を動物に投与することを含んでなる、寄生体と動 物との関わりを治療または予防する方法を提供する。これに関連して、本発明は 、本発明の抗体に対する抗イディオタイプ抗体を動物に投与することを含んでな る、寄生体の動物との関わりを治療または予防する方法を提供する。明示すれば 、本明細書で提供される方法に従い、本発明の寄生体細胞集団から全細胞または 抗原画分を採集し、次いで精製することができる。これらの抗原は、抗体分泌ハ イブリドーマを作製するための十分公知のプロトコールに従いモノクローナル抗 体を作製するのに、ならびに動物(例えばマウス、ウサギ)をこの抗原で免疫化 し、次いで得られた抗体を、アフィニティークロマトグラフィーなどの十分公知 のプロトコールにより動物の血清から精製することによりポリクローナル抗体を 作製するのに使用できる。次いで本明細書に記載した同様のプロトコールに従い 、これらの抗体を二次抗体の供給源として使用して抗イディオタイプ抗体を作製 することができる。 さらに本発明は、化合物を本発明の細胞と接触させ、その化合物が細胞に有害 な作用を有するか否かを決定することを含んでなる、駆虫薬活性に関して化合物 をスクリーニングする方法を提供する。化合物のスクリーニングの成功のための 唯一の必要条件は、定量可能な数の均質な寄生体細胞培養由来細胞に活性があり 、それにより化合物によって影響を受けた細胞数が測定可能であるということで ある。このように、この組成物はさらに均質な寄生体細胞集団に由来しない細胞 を含んでなる。「有害な作用」とは、本明細書で用いる場合、例えば病原性があ る寄生細胞の状態または外観の変化(例えば、細胞病理学、シンシチウム形成、 生物学的機能変化、抗原生産または発現不全、組織培養支持体へ付着するしない 、細胞が球形か扁平か、単球の崩壊、細胞の異常な凝集、多層増殖、異常な細胞 封入など)または寄生体細胞の死滅などの、組織培養において生理学的に正常な 細胞が典型的ではないということが判る、観察され得る作用のいずれをも含み得 る。 スクリーニング方法においては、化合物は抗体または合成的、有機的もしくは 天然に製造される分子を含む他の分子であってよい(Baron et al.,1989;DeCler cq,1989)。かかる有機分子はin vitroまたはin vivoで寄生体を阻害する活性の ある位置指定性を有し得る。さらに、寄生体の生活環のいずれの段階をも阻害す るいずれの分子も本方法に従い同定およびスクリーニングすることができる。 化合物は、種々の濃度の注目する化合物を本発明の細胞と接触させることによ りスクリーニングできる。濃度は経験的に選択することもできるし、または他の 適用に対するその化合物の使用に関する当技術分野の技術から外挿することもで きる。化合物を組織培養環境において細胞に加えるとすれば、pH、温度および 添加化合物などの変数はまた、当技術分野で標準的なプロトコールに従い評価し て、細胞における有害な作用をもたらすための研究の下で化合物の効力に対する それらの影響を測定することができる。化合物を細胞と接触させてから適当な時 間の後、細胞病理、細胞死などのような有害作用に関して細胞を検定することが できる。次いで、本発明の細胞に対して有害な作用を証明する化合物は、全寄生 体で全生物に対する有害な作用に関して試験することもできるし、または動物に 投与して、寄生体の動物との関わりを治療または予防する化合物の能力に関して 試験することもできる。 さらに本発明は、動物において寄生体の存在を検出する方法であって、本発明 の寄生体細胞または寄生体抗原を含む細胞に由来する画分を、動物由来の抗体含 有サンプルと接触させ、次いでサンプル中の抗体と細胞または画分中の抗原との 結合の存在を検出し、その結合の存在が動物中の寄生体の存在を示す方法を提供 する。 免疫蛍光アッセイ(IFA)、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELIS A)およびウエスタンブロッティングなどの十分公知の検出方法を適用して、そ れと特異的に反応する寄生体抗原または抗体のいずれかの検出が容易に達成する ことができる。本明細書に記載される検出方法および類似の免疫検定に使用する ための特殊な試薬およびプロトコールは、標準的な基準に基づき当技術分野で利 用可能なものから選択できる(Harlow and Lane,1988)。 寄生体細胞および細胞画分と特異的に反応する抗体を検出する方法の一例は、 被験体由来の抗体含有サンプルを本発明の寄生体細胞または細胞画分の一定量と 接触させ、次いで抗体の寄生体抗原との反応を検出することにより達成できる。 本発明の抗体検出法特殊な具体例は、ELISAであり得る。便宜には、精製寄 生体細胞または細胞溶解液を支持体(例えば、膜、ビーズ、プレート)と結合さ せ、非特異的タンパク質を好適なブロッキング剤でブロックし、次いで寄生体抗 原による抗体の捕捉のため被験体由来のサンプルと接触させる。次いで抗原によ って捕捉された抗体に結合する二次抗体を加える。この二次抗体は、適当な酵素 基質を加え、有色反応生成物を観察および/または測定することにより検出可能 な有色反応生成物を産生できる酵素部分を含んでよい。 本発明はまた、動物において寄生体の存在を検出する方法であって、本発明の 抗体を寄生体抗原を含有する可能性のある動物由来のサンプルと接触させ、次い で抗体と寄生体抗原との結合の存在を検出し、その結合の存在が動物における寄 生体の存在を示す方法を提供する。 寄生体抗原を検出する方法に一例は、被験体由来の体液または組織サンプルを 一定量の本発明の精製抗体と接触させ、次いで抗体と寄生体抗原との反応を検出 することによるものである。本発明の抗原検出法の特殊な具体例は、ELISA であってよい。便宜には、抗体を支持体(例えば、膜、ビーズ、プレート)と結 合させ、非特異的タンパク質を好適なブロッキング剤でブロックし、次いで抗体 による寄生体抗原の捕捉のため被験体由来のサンプルと接触させる。次いで抗体 によって捕捉された抗原に結合する二次抗体を加える。この二次抗体は、適当な 酵素基質を加え、有色反応生成物を観察および/または測定することにより検出 可能な有色反応生成物を産生できる酵素部分を含んでよい。 本明細書で意図されるように、抗体は寄生体抗原と結合するいずれのリガンド 、例えば全抗体、抗体断片、または寄生体抗原と反応性のある他のいずれの試薬 もしくは化合物をも含み得る。本方法の被験体サンプルは、生検材料、血液、血 漿、血清、唾液および尿など、寄生体抗原を含み得る組織もしくは体液、または 寄生体抗原を含有する細胞のいずれを含んでなってもよい。他の可能性のある体 液の例としては、唾液、粘液、精液、胃液、関節液、管腔液などが挙げられる。 さらに本発明は、in vitroで寄生体細胞集団を培養する方法であって、細胞芽 を生じさせるよう、寄生体のクチクラ層の崩壊および/または分解を考慮した条 件の下で、寄生体培養培地(例えば、抗生物質を含むIPL−41培地)中で寄 生体を培養し;培養物を破壊して細胞芽をクチクラ層から切除し;次いでその寄 生体細胞芽を細胞培養培地(例えば、抗生物質を含むIPL−41/SF900 の混合培地、または抗生物質を含むSF900培地単独)で培養することを含ん でなる方法を提供する。この方法はさらにパーコール(Percol)密度勾配にて細胞 芽を精製し、細胞をPBS中ですすぎ、次いでその細胞を細胞培養培地へ接種す ることを含んでなる。この細胞芽は、寄生体のクチクラ層の内部および/または 外部で細胞芽が形成し始めてから短い期間でパーコール密度勾配で精製でき、次 いでその細胞芽を勾配から取り出し、細胞培養培地に置床することができる。ま たこの細胞芽は寄生体用培地から細胞培養培地へ移行した後にパーコール密度勾 配で精製することもできる。これらの密度勾配精製工程のいずれかまたは双方を 行うことができる。また、パーコール密度勾配では、細胞芽が部分的にしか形成 しない寄生体、および細胞芽がまだ形成しない寄生体からなる層が形成され得る 。これらの寄生体は勾配から取り出し、寄生体培養培地へと再び戻し、培養のた めに採集可能な細胞芽を形成させることができる。この工程は、細胞芽を形成で きる総ての寄生体が細胞芽を形成するまで繰り返すことができる。本発明の寄生 体細胞培養法はまた、細胞芽を細胞培養培地から新鮮な細胞培養培地へと移行す ることを含んでなる。 この培養方法では、破壊工程に先立ち、寄生体当たり平均少なくとも2つの外 生細胞芽が形成されることが好ましい。また、破壊は穏やか、例えばコニカル管 中での低速遠心分離(200〜400xg)の後、手動ピペットにより何回か吸 引するなどすることが好ましい。さらに、徐々に分解すること、例えば寄生体ク チクラ層の分解または破壊は直接顕微鏡観察によって監視しながら2〜3週間に わたって起こることが好ましい。しかしながら、いくつかの寄生体種はより短い またはより長い分解期間を必要とし、直接の顕微鏡観察により分解過程を評価す ることによって至適化することができる。 寄生体、特に幼虫の培養に使用される培地は、抗生物質が少なくとも50〜1 00mg/mlの濃度で添加されたIPL−41培地または同様の組成の他の培 地であってよい。例えば、寄生体用培地は、アミノグリコシド抗生物質(例えば アミカシン)が少なくとも約50〜100mg/mlの濃度で添加され、かつ、 βラクタムおよび/またはセファロスポリン抗生物質(例えばオキサシリン)が 少なくとも約50〜100mg/mlの濃度で添加されたIPL−41培地であ ってよい。また抗真菌剤を培地に加えてもよい(例えば約50μg/mlのフン ギゾン)。また寄生体用培地は非血清性のタンパク質として源酵母抽出物を含ん でもよい。 細胞培養培地は、抗生物質が少なくとも2.5mg/mlの濃度で添加された IPL−41、SF900、いずれかの比率のIPL−41/SF900混合物 、または同様の組成の他の培地であってよい。例えば、細胞培養培地はアミカシ ンを約2.5mg/mlの濃度まで添加し、かつ、オキサシリンを約5.0mg /mlの濃度まで添加したSF900培地であってよい。また抗真菌剤を培地に 加えてもよい(例えば約50μg/mlのフンギゾン)。また寄生体用培地は非 血清性のタンパク質として源酵母抽出物を含んでもよい。 本発明の細胞を含有する組織培養フラスコは、総容積測定容量の約33〜80 %まで培地で満たすことができる。このフラスコを密閉し、培地補給時(すなわ ちおよそ1週間おき)には手で振盪(曝気)してもよい。 本発明の方法はまた、当技術分野で公知の器官摘出プロトコールに従い、L1 〜L5のいずれかの段階の幼虫から器官を摘出し、次いで摘出器官を細胞芽を形 成させることを考慮した条件下の培養培地(例えば、抗生物質を含むIPL−4 1培地)に置床し;培養物を破壊して摘出器官から細胞芽を切除し;次いで細胞 培養培地(例えば、抗生物質を含むIPL−41/SF900混合培地または抗 生物質を含むSF900培地)でその細胞芽を培養することを含んでなる。寄生 体由来の均質な寄生体細胞集団の培養に適用できるとして本発明明細書に記載さ れた同様の考慮、改良および付加的工程は摘出器官に対しても同様に当てはまる 。 本発明の均質集団の細胞の生命力は、例えば本実施例に記載されたMTT(3 −[4,5−ジメチルチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテト ラゾリウムブロミド;Sigma)染色プロトコール当技術分野で十分公知の活力染 色プロトコール(Coyne et al.,1993(a);Coyne et al.,1993(b))などの、活性 染色プロトコールを用いて測定できる。均質な寄生体細胞集団の細胞種は、当技 術分野で十分公知の種々の方法により確認できる。例えば、培養細胞は顕微鏡観 察により集団中の総ての細胞が同種であるか形態学的に決定できる。細胞種はさ らに膜抗原または酵素などの細胞特異的マーカーの発現を測定するまたは検出す ることにより同定可能である。細胞表面抗原の発現は、例えば免疫蛍光、フロー サイトメトリー(蛍光活性化細胞選別)、免疫染色、イムノブロッティングなど のような当技術分野で十分公知の種々の免疫組織化学的プロトコールにより検出 可能である。細胞種はまた、酵素特異的基質を利用する細胞特的酵素の生化学ア ッセイにより、また電子顕微鏡観察により同定することもできる。また、ポリメ ラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールを使用して細胞特異的核酸の存在により 細胞種を同定することもできる。いかにして本発明の寄生体細胞集団を細胞種に 関して同定し得るかという特殊な例は、本明細書に提供される実施例に見出すこ とができる。 本発明はまた、限定されるものではないが、フラスコ内の細胞内容物の破壊を 防ぐこと、組織培養フラスコをキャップで密閉すること、組織培養増殖培地へ液 体抽出物を補給すること、組織培養環境では37℃でインキュベーションを継続 すること、および/または弱塩基性の増殖培地の補給を継続することを含む種々 のメカニズムを通じて組織培養寄生体細胞集団の組織培養フラスコの表面への付 着を増強する方法を考案する。これらの方法の適用の可能性は付着性寄生体細胞 を生物学的手段として用いて新規医薬および従来の医薬(例えば、駆虫製剤)の 効力をスクリーニングすることを含むであろう。 本発明はさらに、細胞芽を生じるような、寄生体のクチクラ層の崩壊および/ または分解を考慮した条件の下、寄生体培養培地(例えば、抗生物質を含む IPL−41培地)で寄生体を培養し;培養物を破壊して細胞芽を寄生体クチク ラ層から切除し;次いでその寄生体細胞芽を細胞培養培地(例えば、抗生物質を 含むIPL−41/SF900混合培地または抗生物質を含むSF900培地単 独)で培養することを含んでなる方法を提供する。この方法により作出された寄 生体細胞の集団は、本明細書で定義されたように寄生体細胞が実質的に1つの細 胞種である均質集団の寄生体細胞か、または寄生体細胞が実質的に1つの細胞種 ではない異質集団の寄生体細胞のいずれであってもよい。この方法により作出さ れた寄生体細胞の集団は、いずれの細胞種の寄生体細胞であってもよく、寄生体 腸管細胞が好ましい。これらの細胞を溶解、分画し、次いで/または本明細書に 記載したものと総て同じ条件の下、医薬上許容される担体中で提供することがで きる。さらに、これら細胞由来の抗原を、本明細書に記載したように単離、精製 して、本明細書に記載したようにワクチン製剤において、また抗体および抗イデ ィオタイプ抗体の生産のために免疫源として使用することができる。これらの細 胞のタンパク質のアミノ酸および核酸配列は、本明細書に記載したように決定す ることができ、またこれらの細胞のタンパク質の遺伝子を適当な発現系でクロー ン化して発現させることも可能である。 細胞集団が本明細書に記載された方法により得られる寄生体は、前記のような 寄生体のいずれに由来していてもよいが、線虫が好ましく、クーペリア、オエソ ファゴストマス、オステルタルギア、ヘモンカス、ディロフィラリアおよびディ クチオコーラス種からなる群より選択される線虫が最も好ましい。 最後に、特定の具体例では、本発明はin vitroで長期培養が可能な分化した線 虫細胞集団を提供する。本明細書で使用する場合、「分化した」とは、その細胞 が幼虫および成虫寄生体によってのみ発現することが知られている抗原および/ または酵素活性の発現によって決定される、発達した寄生体(例えば、L1〜L5 段階の幼虫および/または成虫寄生体)由来の器官/組織系に起源していること を意味する。かかる抗原および/または酵素活性の発現は、本明細書の実施例で 提供されるプロトコールに従い検出することができる。 線虫細胞集団は、本明細書で定義されたように、線虫細胞が実質的に1つの細 胞種である均質な集団の線虫細胞か、または線虫が実質的に1つの細胞種ではな い異質な集団の線虫細胞のいずれであってもよい。この方法により作出された線 虫細胞の集団は、いずれの細胞種の線虫細胞であってもよく、線虫腸管細胞が好 ましい。これらの細胞を溶解、分画し、次いで/または本明細書に記載したもの と総て同じ条件の下、医薬上許容される担体中で提供することができる。さらに 、これら細胞由来の抗原を、本明細書に記載したように単離、精製して、本明細 書に記載したようにワクチン製剤において、また抗体および抗イディオタイプ抗 体の生産のために免疫源として使用することができる。さらに、これらの細胞の タンパク質のアミノ酸および核酸配列は、本明細書に記載したように決定するこ とができ、またこれらの細胞のタンパク質の遺伝子を適当な発現系でクローン化 して発現させることも可能である。 線虫細胞集団が得られる線虫はいずれの線虫であってもよいが、クーペリア、 オエソファゴストマス、オステルタルギア、ヘモンカス、ディロフィラリアおよ びディクチオコーラス種からなる群より選択される線虫が最も好ましい。 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、かかる実施例は単に説 明のためのものであって、その多くの変形や変更が当業者にとって容易に理解さ れよう。 実施例 寄生体細胞集団の作製、精製および増殖:クーペリア、ヘモンカス(例えば、 ヘモンカス・コントルタス)、オエソファゴストマム、オステルタギア(例えば 、オステルタギア・オステルタギ)、ジクチオコーラス(例えば、ジクチオコー ラス・ビビパロウス)およびジロフィラリア(例えば、ジロフィラリア・イミテ ィ ス)線虫類の種由来の寄生L3期の幼虫を、in vitroで均質な寄生体細胞集団を 作出するためのソースとして用いた。この発達段階では、生物体の他の器官系が まだ非常に未熟であるため、寄生体の胃腸管細胞が他の細胞種より優勢であるこ とに基づき、L3段階の幼虫を選択した。従って、実質上L3段階の幼虫の細胞芽 から得られた細胞が腸管細胞であるという可能性が増大する。しかしながら、い ずれの段階(例えば、L1、L2、L4、L5)の寄生体幼虫も本発明の出発材料と して用いてよい。 開始幼虫の調製物:細菌による浄化および、糞便植物残渣の除去:生幼虫集団 は、宿主の消化器の腸管から栄養源として細菌叢および植物残渣を摂取する。こ のため、組織培養法に先立ち生幼虫調製物を抗生物質および抗菌製剤(アンピシ リン、オキザシリン、ファンジゾン)を添加した生理食塩水に懸濁し、4℃で2 4時間〜48時間インキュベートして調製物を浄化した。幼虫を処理した抗生物 質を無菌リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中ですすぎ、パーコ ール密度勾配(比重1.025,1.050,1.075,1.100)で糞便 残渣から分離した。層状のバンドに凝縮された幼虫集団をピペットで回収し、そ れらの同一性を光学顕微鏡で確かめた。次いで、回収した幼虫をPBS中に懸濁 し、低速(200xg)で遠心分離した。得られた残留パーコール密度勾配培地 を含有する上清をピペットで除去し、廃棄した。それが組織培養培地の配合物に 悪影響を及ぼす場合、幼虫をすすいで総てのパーコール密度勾配培地を除去する ことが必要である。汚染糞便植物質のない、純粋な幼虫豊富な調製物をもっと得 る必要がある場合には、パーコール密度勾配による分離法を繰り返す。しばしば 、パーコール密度勾配精製単独では幼虫から分離できない最少量の残渣がある。 幼虫調製物をさらに低速(200−300xg)遠心分離を用いる示差遠心およ び/または重力沈降により精製することができる。 糞便植物残渣からの生幼虫集団の分離および回収に有効な別法としては、細目 金網分配または多層クロスの利用を挙げることができる。この手法で、細目金網 またはクロス層のもう一方の側に能動的に移動した幼虫を培養様として回収する (Baerman technique;Ivens et al.,1978)。 組織培養環境(in vitro)における寄生体細胞集団の増殖:残留するパーコール 密度勾配培地の除去に加え、細菌叢および糞便植物質について浄化した幼虫をG raceのIPL−41(クーペリア、ヘモンカス、オエソファゴストマム)、 またはアミカシン(50−100mg/ml)、オキザシリン(50−100m g/ml)およびファンジゾーン(50μg/ml)を添加したSF−900( オステルタジア)組織培養培地などの血清フリー増殖培地を含有する組織培養フ ラスコに接種する。抗生物質および抗菌剤の添加の後、幼虫培地は、5.9%C O2および吸湿空気条件で最終pH約4.5を有する。組織培養フラスコは定期 的に緩やかな攪拌にて通気する。幼虫培養物を37℃で14ないし21日間イン キュベートし、その期間中幼虫のクチクラ層を徐々に分解し、個々の幼虫のクチ クラ層の欠如により細胞の突出(細胞の「出芽」)が認められる。抗生物質の濃 度および培地のpHレベルは、この工程の程度およびこの工程の進行速度に直接 的に影響を及ぼすと思われる。 最適な細胞の「出芽」は、評価した他の配合物に比べてIPL−41組織培養 培地を用いた場合に示された。この修正組織培養培地の比較的低いpHは、多く の幼虫集団が順応した皺胃の環境を刺激するであろう。無傷の寄生体がかかる生 物体を栄養源として摂取することに基づき、細菌叢は組織培養環境における寄生 体細胞集団(例えば、腸管細胞)の増殖を潜在的に高めるであろう。組織培養フ ラスコが細菌増殖で過度に「汚染された」状態にある場合、さらに抗生試薬を培 養フラスコに加えてもよい。次いで、MacConkey's、Mueller-Hintonおよび血液 寒天プレート上への培地の接種により、増殖培地を汚染細菌の増殖に対しスクリ ーングする。 幼虫のクチクラ層の欠如による細胞の「出芽」を検出するために、倒立顕微鏡 で通常の基準に基づきフラスコを検査する。「出芽」が達成された場合、低速遠 心分離と組み合わせた一連のピペット操作により、幼虫培養物を穏やかに破壊す る。この手法は細胞「芽」を穏やかに「剪断」するようであり、クチクラ層をわ ずかに破壊する。この結果、寄生体細胞は円柱形のクチクラ層の管腔内から「絞 り出される」または押し出される。このアプローチは過度の分離をせず、in situで増殖した寄生体細胞の緩慢な回収を可能にする。クチクラからの生細 胞および他の非生存残渣のさらなる分離は、パーコール密度勾配による幼虫培養 物質の層状化、他の物質から細胞芽を分離するための勾配の遠心分離、勾配から の細胞芽の分離、細胞芽のPBS中でのすすぎ、およびアミカシン(2.5mg /ml)、オキザシリン(5.0mg/ml)およびファンジゾン(アンホテリ シンB)(50μg/ml)を補給した細胞培養培地(例えば、IL−41/S F−900混合培地またはSF900培地単独)を含有する組織培養フラスコへ の細胞芽の再接種により行うことができる。 寄生体細胞は、定期的に組織培養フラスコに新鮮培養培地を注入する場合、in vitroで最も望ましい増殖をするようである。それゆえ、培地の添加は、通常約 1週間の間隔で、倒立顕微鏡での直視観察および検査により評価される増殖の現 レベルに従って必要に応じて行う。例えば、最初に細胞芽を75cm2組織培養 フラスコに移し、細胞培養基約15mlを加える。約1週間の間隔で少量の新鮮 な培地を加え、そのフラスコを攪拌により通気する。培地容量が約50mlに達 するまでこれを繰り返し、その時点で細胞および培地を250cm2組織培養フ ラスコに移し、新鮮な培地を約60mlの初期容量に加える。約1週間の間隔で 、培地容量が約225mlに達するまで培地を振盪しながら加える。次いでその 細胞および培地を500cm2組織培養フラスコに移し、約1週間の間隔で、培 地容量が約450mlに達するまで振盪しながら新鮮な培地を加える。この時 点で細胞を本明細書に記載の複数のフラスコに分割する。 培地容量および組織培養フラスコ底部の実質細胞沈降量の顕微鏡的観察により 決定されるように、一度、組織培養フラスコの収容能力を超過したら、その細胞 をフラスコから無菌的に「廃棄」し、より大きな組織培養フラスコに移す(継代 培養する)かまたは2または3つのフラスコ間に50/50または33/33/ 33に「分割」する。いずれの「分割」の場合でも、さらに新鮮な細胞培養基を 各々の組織培養フラスコに加える。寄生体細胞を継代培養(これは哺乳動物組織 培養で典型的になされることである)する場合、組織培養フラスコの総ての培地 を新鮮な細胞培養培地で置き換えれば、その寄生体細胞は増殖および抗原発現の 遅滞または終結を示すことが認められてきた。従って、細胞を継体培養する場合 、「使用済み」培地のパーセンテージが少なくとも10〜15%である限り、新 鮮な細胞培養培地に対するのいずれの割合の使用済み培地も使用できるが、典型 的には33〜55%の間の使用済み細胞培養培地と67〜50%の間の新鮮な細 胞培養培地の割合で、新鮮な細胞培養基を組織培養フラスコに加える。 遅延した増殖速度の刺激:寄生体細胞集団は時折増殖および増殖速度の遅延傾 向を示すことがある。このような場合、細胞分裂および増殖を刺激するためにい くつかの手法を用いることができる。有効である手法の例として、(a)低速遠 心分離を行い、次いで同一の「使用済み」増殖培地中にペレットを再懸濁させる こと;(b)液体窒素中での短時間(例えば、少なくとも48時間)の極低温結 保存し、次いで新鮮な細胞培養培地で再び培養すること;(c)組織培養フラス コ表面からの細胞の無菌的「剥離」;(d)数日間組織培養フラスコを大気に曝 すのを避けること;(e)組織培養フラスコを傾斜スラント状に置くこと;およ び(f)低速(200−300xg)遠心分離の後の「使用済み」培地へ遊離さ せた細胞ペレットを接種することが挙げられる。細胞溶解、分画および抗原サンプルの調製:寄生体細胞を200xgで遠心分 離し細胞ペレットを形成し、培地を廃棄し、細胞ペレットをEDTA(2〜5m M)およびアプロチニン(3mg/ml)を添加したTritonX−100( 1〜5%)中に0℃ないし4℃(氷浴)で再懸濁した。細胞を25℃で1時間定 期的に緩慢な攪拌をしながらインキュベートし、次いで500xgで遠心分離し た。得られた上清抽出物を回収した。 寄生体細胞ペレットの過度の処理はそれらの完全性を損ない、および/または 重要な抗原および/または酵素画分の回収が変化する可能性がある。原則的には 、寄生体細胞集団のペレット形成は4℃で比較的短時間に、ただ1回の低速遠心 分離(例えば、200xg)により行うべきである。寄生体細胞集団を回収する 遠心分離は1回だけ行うべきである。寄生体細胞を単一のペレット集合体として 回収するために2回目の遠心分離が必要であれば、得られた「第2の」上清は分 析用に回収し、廃棄すべきではない。この予防措置の基礎は、膜結合抗原(例え ば、アミノペプチダーゼ−M)が明らかに寄生体細胞外面から容易に「浸出」さ れるという所見にある。 in vitroで寄生体細胞を懸濁および回収する遠心分離法の際には、「使用済み 」または新鮮な細胞培養培地のみを使用すべきである。従来、哺乳類細胞集団に 対し生理的に緩やかであると考えられてきたPBSおよびTris−HClなど の緩衝系の適用では過度に破壊され、回収される細胞質量が実質上減少するよう である。 細胞生存能力の確認およびin vitroでの増殖速度の評価:寄生体細胞のアリコ ート(300μl)を48−ウェルマイクロタイタープレートの個々の区画に移 した。MTT(Sigma)活性染色試薬の60μlアリコートを各ウェルに加え、そ のプレートを加湿したインキュベーター中で、37℃にて12時間インキュベー トした。次いでマイクロタイタープレートを遠心分離し、得られた上清をピペッ トで除去し、その後寄生体細胞を酸イソプロピルアルコールで25℃で20分間 脱色した。得られた上清をピペットで96−ウェルマイクロタイタープレートに 移し、コンピューター制御のマイクロタイターリーダーを用い、それぞれのウェ ルの吸光度を450nmで読み取った。アッセイを数回繰り返し、組織培養環境 で増殖した寄生体細胞のおよその増殖速度(世代時間)を評価した。 MTT試薬は生細胞のサイトソル内で濃紺色のホルマゾン結晶へと還元され、 次いでこれを450nmでの分光光度吸光度の測定に先立ち、酸イソプロピルア ルコールで可溶解する。哺乳類細胞および細菌はそれぞれ約3〜4時間および1 5分で、MTT試薬をホルマゾン結晶へと還元する。寄生体細胞は8〜12時間 にわたり、MTT試薬を細胞内ホルマゾン結晶へと還元した。 in vitro 細胞集団の均質性の確認:寄生体細胞集団を倒立顕微鏡で検査し、形 態学的に評価し、細胞集団の均質性を決定した。その細胞を形および大きさの均 質性、細胞内微細粒子の外観、および培養フラスコ内の多様な大きさの細胞塊ま たは凝集塊の存在を検査した。本発明の寄生体細胞は総て同一の大きさおよび形 であり、総て微細粒子を含み、観察した総ての細胞は類似の外観が認められた。 このように、本発明の細胞の形態学的特徴についてのこれらの観察に基づき、総 ての細胞が単一の細胞種であることが明らかになり、このことは培養中の寄生体 細胞が均質な細胞集団で構成されていることを証明するものである。 生存力の確認および増殖速度の評価:本明細書に記載のin vitroで増殖したオ ステルタジアおよびヘモンカス細胞の増殖速度をMTT活性染色試薬の使用によ り下記のように決定した: オステルタジア:フラスコ1:8.9倍増加/6日 フラスコ2:3.5倍増加/14日 ヘモンカス:フラスコ1:1.5倍増加/6日 フラスコ2:1.49倍増加 フラスコ3:1.90倍増加 これらのデータにより、本発明の寄生体細胞が生存しており、本明細書に記載 の培地条件下で増殖していたことが証明される。 SDS−PAGEによる表面膜抗原の解析:「使用済み」増殖培地および寄生 体細胞TritonX−100(1〜5%)洗剤溶解抽出物のサンプルを標準的 技術(Laemmli,1970)に従い、非変性SDS−PAGE(10%アクリルアミ ド、定電圧20ボルト、4℃)により解析した。そのゲルを標準的方法により銀 染色し、均質な細胞集団の寄生体細胞により産生された膜結合抗原を同定した。 SDS−PAGE解析:in vitroで増殖した寄生体細胞により発現した膜結合 抗原分子量(kDa)の実測評価を下記に示す。 MW(kDA) 12 14 18 20 29 32 40 50 60 70 80 寄生体 オステルタジア M H L L L H M H M ― ― ヘモンカス M M M M − H M H M M H オエソファゴストマム H − M ― ― ― ― H − L − クーペリア M M L L H L L L H M H H=同一レーン(サンプル)内で同定された他のタンパク質画分に関連する高 レベルの発現。 M=同一レーン(サンプル)内で同定された他のタンパク質画分に関連する中 程度のレベルの発現。 L=同一レーン(サンプル)内で同定された他のタンパク質画分に関連する低 レベルの発現。 さらに、本発明の寄生体細胞により発現した膜結合抗原には下記: ヘモンカス、クーペリア 120kDa ヘモンカス、クーペリア、オエソファゴストマム 180kDa が挙げられる。 これらの試験の結果は、(a)現在in vitroで増殖している細胞系統が同一で あることある程度確認すること;(b)in vitroで長期間増殖させた寄生体細胞 集団では膜結合抗原発現の損失が比較的最小化されているという証明:(c)本 明細書に記載された4種の属のウシ寄生体の各々により発現される抗原が「共通 な」ものである可能性のある膜結合タンパク質/糖タンパク質の同定に役に立つ 。かかる「共通な」膜結合抗原は、攻撃された宿主細胞のこれらの寄生体に対す る「交差反応性」の防御免疫を誘導する方法をもたらし得る。 ミクロフィラリア膜結合抗原のウエスタンブロット解析:洗剤(例えば、Tr itonX−100、Thesit)での抽出により膜結合抗原をミクロフィラリア細 胞集団から回収した。画分中のタンパク質をSDS−PAGEを用い、分子量に より分離した。標準的ブロッティングプロトコール(Harlow and Lane,1988;Bio Rad catalog and manual)に従い、タンパク質をニトロセルロース膜に移した。 成体イヌ心臓蠕虫(ジロフィラリア・イミタス)により発現された抗原に対する モノクロナール抗体(Catalog#DFI 023-40470;Capricorn Products,Inc.,Scarb orough,ME)をニトロセルロース膜に加えた。次いで西洋ワサビペルオキシダー ゼ(HRPO)(Pierce Chemicals)に結合させた抗マウス第2抗体を膜に加え 、検出可能な呈色反応の発現のために膜にH22を加えた。 SDS−PAGEウエスタンブロット解析:成体イヌ心臓蠕虫(ジロフィラリ ア・イミタス)により発現された抗原に対するモノクロナール抗体は、ミクロフ ィラリア細胞集団から溶解した膜結合抗原を含む画分に対して結合活性を示した 。これらの実験の結果は、ミクロフィラリア幼虫から培養した細胞が組織培養環 境で首尾よく増殖し、培養細胞がモノクロナール抗体により結合した抗原を発現 し続けるマイクロフィラリア細胞であることを示す。ゼラチンSDS−PAGEによるタンパク質分解酵素画分の検出:「使用済み 」増殖培地および寄生体細胞のTritonX−100洗剤抽出物のサンプルを 非変性(非還元)ゼラチンSDS−PAGE(0.1%ゼラチン、10%アクリ ルアミド、定電圧20ボルト、4℃)(McKerrow et al.,1990;Gambel et al., 1996)によりタンパク質分解酵素活性を解析した。ゲルをTritonX−10 0(2.5%)中ですすぎ(20分x3)、CaCl2(1mM)を添加したT ris−HCl(0.1M、pH7.0)中で37℃で24〜48時間インキュ ベートした。ゼラチンSDS−PAGEゲルをクーマシーブリリアントブル−4 50(0.1%)(Sigma)を用い、25℃で3時間染色し、次いで水中メタノー ル−酢酸(35:10v/v)で脱色した。 タンパク質分解酵素は、ゼラチンマトリックスの酵素分解を示すクーマシーブ リリアントブルー450で明確に染色されたゼラチンSDS−PAGEゲルバッ クグラウンドに対する透明ゾーンとして検出された。オステルタギア・オステル タギ細胞では、おおよその分子量、>200kDa、116〜150kDa、6 3〜75kDa、および45kDaを有するタンパク質画分でタンパク質分解酵 素活性が検出された。116〜150kDa、63〜75kDaに位置するタン パク質分解画分は外観は非常にとらえにくいものであった。ヘモンカス・コント ルタス細胞では、おおよその分子量30kDaを有するタンパク質画分でタンパ ク質分解酵素活性が検出された。これらの結果は既知の全寄生体幼虫のゼラチン SDS−PAGEプロフィールに適合し、このことは本発明のオステルタギアお よびヘモンカス細胞が幼虫細胞であり、培養中の細胞がタンパク質分解酵素を産 生していることを示している。アミノペプチダーゼ−Mタンパク質分解活性のアッセイ:アミノペプチダーゼ −Mは寄生体腸管細胞で産生される酵素であり(McMichael-Phillips et al.,19 95)、従ってアミノペプチダーゼ−M活性のアッセイにより、さらに均質寄生体 細胞集団の細胞種についての同定を行った。この酵素は処理中に膜外へ「浸出」 すると思われたので、アミノペプチダーゼ−M活性のアッセイのための寄生体細 胞集団の処理において予防措置を行った。 使用済み培地、すすいだ全細胞および機械的に破壊した全細胞または細胞ペレ ットのTritonX−100抽出物の試験サンプル(50μl)を、MOPS 緩衝液(50mM、pH7.0、100μl)と合し、25℃で15分、96− ウェルマイクロタイタープレートでインキュベートし、この緩衝液中で酵素を平 衡化した。インキュベート期間の終わりに、酵素特異的基質試薬、ロイシン−パ ラニトロアナリド(pNA)およびメチオニン−pNA(2mM、100μl) を個々のウェルに加えた。プレートを加湿したインキュベーターを用い、種々の 時間(0〜48時間)で37℃にてインキュベートし、405nmでの分光光度 吸光度により検出されるタンパク質分解により遊離するpNAを測定することに よりアミノペプチダーゼ−Mの存在を確認した。さらに、前記に記載のように使 用済み培地およびTritonX−100サンプルを微細濾過装置(Amicon,Inc .,Beverly,MA)で分子量により分画、調製した。アミノペプチダーゼ酵素は亜 鉛メタロプロテアーゼとして分類されるため、負の対照としては、試験サンプル 、緩衝液および酵素基質を含有するウェルへの金属(亜鉛)キレート化剤、1, 10フェナントロリン(10mM、4μl)の適用を含んだ。正の対照としては 、ブタアミノペプチダーゼ−M(Sigma,StLois,MO)、緩衝液および酵素基質 を含んだ。アミノペプチダーゼ−Mの発現:アミノペプチダーゼ−Mに関する分光光度ア ッセイの結果は、この酵素活性が全細胞調製液、「使用済み」培地サンプルおよ び本発明のオステルタギア・オステルタギおよびヘモンカス・コントルタス、オ エソファゴストマム、ジロフィラリア・イミタスおよびクーペリアの寄生体細胞 集団の膜結合抗原画分を溶解洗浄剤中に存在することを証明した。アッセイに先 立ちサンプルを分子量により分画する実験からの結果は、アミノペプチダーゼ活 性が約45〜50kDaおよび>100kDaの分子量を有する画分中に存在す ることを証明した。金属キレート化剤、1,10フェナントロリンの存在下にお いては、いずれの試験サンプルからもアミノペプチダーゼ−M活性は検出されな かった。 これらのデータは、これらの細胞がアミノペプチダーゼ活性を有するタンパク 質を発現し、この活性を発現するタンパク質がアミノペプチダーゼ−M活性を発 現することが知られている寄生体腸管細胞から抽出されたタンパク質と同等の分 子量を有する(McMichael-Phillips et al.,1995)ことに基づいて、本発明のオ ステルタギアおよびヘモンカス細胞が腸管細胞であることを証明するものである 。 ホスホリラーゼ活性のアッセイ:アミノペプチダーゼ−Mに加え、寄生体腸管 細胞で産生されることが公知であるもう1つの酵素であるホスホリラーゼ(ホス ホリルヒドロラーゼ)(Gambel et al.,1996;Knowles and Oakes,1979;Gambel & Mansfield,1996;Gambel et al.,1996;Barrett,1981)に関するアッセイを行 い、さらにこの均質な細胞集団の細胞が寄生体腸管細胞であることを確認した。 本発明の寄生体細胞におけるホスホリラーゼ活性を検出するために、前記のアミ ノペプチダーゼ−Mの検出に関するプロトコール(ただし、アミノペプチダーゼ −M基質を、ホスホリラーゼ特異的基質であるパラニトロフェニルホスフェイト に置き換えることを除く)を行った。405nmでの吸光度測定により検出され る基質からの発色部分の酵素的遊離を表す黄色の発色によりホスホリ ラーゼ活性を有する試験サンプルを同定した。負の対照としては、ホスホリラー ゼ阻害剤としての酒石酸(1mM)を含んだ。 ホスホリラーゼ発現:ホスホリラーゼ活性を培養中のオステルタギア・オステ ルタギ、ジクチオコーラス・ビビパロウス、ヘモンカス・コントルタス・クーペ リア、オエソファゴストマムおよびジロフィラリア・イミタス細胞由来の試験サ ンプルで検出した。この酵素は寄生体細胞により発現することが公知であるため 、これらのデータはさらに本発明の寄生体細胞が腸管細胞であることを支持する ものである。 他の酵素マーカーのアッセイ:また、腸管細胞以外の種の寄生体細胞で産生さ れることが知られている酵素に関するアッセイも前記のプロトコールに従って行 い、本発明の培養寄生体細胞をさらに同定した。例えば、ホスホリパーゼ−C、 キモトリプシン、カテプシンC、ジペプチジルペプチダーゼおよびN−アセチル グリコサミダーゼは総て第4段階の幼虫の排泄一分泌産物で検出されたが(Gambe l & Mansfield,1996)、寄生体腸管細胞では検出されなかった。スクリーニング を行った他の酵素および用いた特異的基質は下記の通りであった:酵素マーカー酵素特異的基質: ホスホリパーゼ−C パラ−ニトロフェニルホスホリルクロリン キモトリプシン サクシニル−フェニルアラニン パラニトロアニリド カテプシンC グリシン−フェニルアラニン パラニトロアニリド ジペプチジルペプチダーゼ グリシン−プロリン パラニトロアニリド N−アセチル−β パラニトロフェニル−N−アセチル −グルコサミダーゼ −β−グルコサミド他の寄生体細胞の酵素マーカーの検出:本発明のオステルタジアおよびヘモン カス細胞を、それぞれ前記に挙げた酵素特異的基質を用い、ホスホリパーゼ−C 、キモトリプシン、カテプシンC、ジペプチジルペプチダーゼIVおよびN−ア セチルグリコサミダーゼの発現に関してアッセイしたところ、総て陰性の結果が 得られた。これらの結果は、ホスホリパーゼ−C、キモトリプシン、カテプシン C、ジペプチジルペプチダーゼIVおよびN−アセチルグリコサミダーゼ活性の いずれを示す細胞もなく、このことは腸管細胞で予測されるであろうことと一致 し、さらにこれらの細胞で検出されるアミノペプチダーゼ−Mおよびホスホリラ ーゼ活性が排泄−分泌産物に結びついてないことに基づき、本発明のオステルタ ジアおよびヘモンカス寄生体細胞が腸管細胞であるということさらに支持するも のである。またこれらのデータは、本発明の細胞集団がこれらの酵素を発現する 細胞種を含まないことを示し、このことはさらに本発明の細胞集団が均質である ことを証明している。コンカナバリンAレクチンを用いるリガンド結合解析:「使用済み」組織培養 培地およびTritonX−100洗剤可溶化抽出物の試験サンプルを負圧を併 用する96−ウェルドットブロット装置(BioRad)を用い、ニトロセルロース膜へ 塗布した。ニトロセルロース膜をブロッキング緩衝液(Tris100mM、p H7.4)としてウシ血清アルブミン(BSA)または脱脂乳中で25℃で2時 間インキュベートすることにより、非特異的結合を最小にした。ニトロセルロー ス膜をTris−HCl(50mM、pH7.0)中ですすいだ(20分3回) 。ビオチン化コンカナバリンA(Con−A;10μg/ml)(EYLabs)を25 ℃で90分間ニトロセルロース膜に加えた。残留したビオチン化Con−AをT ris−HCl(50mM、pH7.0)中でのすすぐことにより(20分3回 )により除去した。Tris−HCl(50mM、pH7.0)中のストレプト アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(ストレプトアビジン−HRPO; 原料0.5mg/mlにつき2μl/ml)(Pierce Chemical Co.)を25℃で 90分間ニトロセルロース膜に加えた。膜を再びTris−HCl中ですすぎ( 20分3回)、検出可能な反応の最終の展開を西洋ワサビペルオキシダーゼの酵 素活性に対する触媒として作用するH22(30%溶液2μl/ml)の添加に より行った。 レクチン(ビオチン化Con−A)ドットブロット解析:Con−Aの使用済 み培地およびTritonX−100画分由来の試験サンプルとの結合は、ニト ロセルロース膜上の視覚的な反応生成物の発生により検出された。これら試験の 結果により、使用済み増殖培地およびin vitroで増殖する寄生体細胞のTrit onX−100洗浄剤抽出物の双方に含まれるタンパク質がビオチン化Con− A試薬に対し正の結合活性を示すことが証明された。 「使用済み」増殖培地および膜結合抗原のリガンド親和性ゲル抽出物:「使用 済み」増殖培地および膜結合抗原の試験サンプルを、酢酸ナトリウム(5mM) 、塩化マンガン(1mM)、塩化カルシウム(1mM)、塩化ナトリウム(0. 1mM)およびアジ化ナトリウム(0.02%)からなる緩衝液A(pH5.2 )でセファロース結合Con−Aに塗布した。セファロースCon−AゲルをA 緩衝液で十分にすすいだ後、メチル−α−D−グルコピラノシド(0.5M)お よびメチル−マンノシド(0.2M)からなる緩衝液B(pH5.2)を用い、 結合したタンパク質画分をゲルから脱離し、次いで得られた上清中に回収した。 これらのサンプルの一部を還元条件下でSDS−PAGEにより解析し、寄生体 細胞中のCon−A結合タンパク質のおよその分子量を測定した。 さらに、Con−A結合活性を有するタンパク質画分を前記のプロトコールに 従い、アミノペプチダーゼ−M活性に関してアッセイした。Con−A結合タンパク質のSDS−PAGE:Con−A結合活性を有する オステルタギア・オステルタギおよびヘモンカス・コントルタス細胞由来のタン パク質のおよその分子量は、>200kDa、100〜116kDa、50〜5 5kDa、40〜45kDaおよび29〜33kDaであった。さらにこれらの Con−A結合画分は、アミノペプチダーゼ−M活性を有することが示された。 このデータの重要な点は、寄生体腸管細胞から回収されるものと同等の分子量を 有する類似タンパク質がアミノペプチダーゼ−M活性とCon−A結合活性の双 方を有することである(McMichael-Phillips et al.,1995)。 ファシオラ・ヘパチカおよびファシオラ・マグナ細胞集団の増殖:また、本発 明の方法を用いて、ファシオラ・ヘパチカおよびファシオラ・マグナ・メタセル カリアに起源する、in vitroで長期培養が可能な細胞集団を作出した。これらの 細胞集団を増殖させ、ウシ胎児血清(10%〜20%v/v)または酵母タンパ ク質抽出物のいずれかを添加したPRMI−1640増殖培地で維持した。この ように、本発明により、in vitroで長期培養が可能な均質なファシオラ・ヘパチ カ細胞集団およびin vitroで長期培養が可能な均質なファシオラ・マグナ細胞集 団が得られる。 以上、特定の具体例を参照して本発明を詳しく記載してきたが、請求の範囲に 含まれる限りにおいて、本発明の範囲に対する限定を意図するものではない。 この本出願中様々な刊行物が参照されている。本発明が属する技術水準を十分 に説明するため、これらの刊行物の開示はそのまま引用されることにより本明細 書の一部とされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 33/10 C07K 16/18 C07K 16/18 16/42 16/42 G01N 33/569 A G01N 33/569 C12N 5/00 E // C12N 15/02 15/00 C

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. in vitroにおいて長期培養が可能な均質な集団の寄生体細胞(ただし蚊 細胞を除く)。 2. 寄生体細胞が腸管細胞である、請求項1記載の細胞。 3. 細胞の少なくとも一部が溶解されている、請求項1記載の細胞。 4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞を含んでなる組成物。 5. さらに医薬上許容される担体を含んでなる、請求項4記載の組成物。 6. 請求項4記載の組成物に由来する実質的に細胞ではない画分。 7. 請求項1記載の細胞に由来する細胞画分。 8. 請求項7記載の画分と医薬上許容される担体とを含んでなる組成物。 9. 実質的に膜結合抗原である、請求項7記載の細胞画分。 10. 寄生体が線虫である、請求項1記載の細胞。 11. 線虫がクーペリア(Cooperia)、オエソファゴストマス(Oesophagostom um )、オステルタルギア(Ostertagia)、ヘモンカス(Haemonchus)、ディロフィラ リア(Dirofilaria)およびディクチオコーラス(Dictyocaulus)種からなる群より 選択される、請求項10記載の細胞。 12. 寄生体がファスシオラ・ヘパティカ(Fasciola hepatica)およびファ スシオラ・マグナ(Fasciola magna)からなる群より選択される、請求項1記載の 細胞。 13. 請求項1記載の細胞と特異的に結合する抗体。 14. 請求項13の抗体と特異的に結合する抗イディオタイプ抗体。 15. 請求項7記載の画分と特異的に結合する抗体。 16. 請求項15記載の抗体と特異的に結合する抗イディオタイプ抗体。 17. 寄生体の動物との関わりを治療または予防する方法であって、請求項 1記載の寄生体細胞またはその細胞に由来する画分の免疫原量を動物に投与し、 それにより寄生体の動物との関わりを治療または予防することを含んでなる方法 。 18. 寄生体細胞が腸管細胞である、請求項17記載の方法。 19. 寄生体の動物との関わりが動物への侵入または感染である、請求項1 7記載の方法。 20. 寄生体の動物との関わりが血液または体液の摂取である、請求項17 記載の方法。 21. 寄生体が線虫である、請求項17記載の方法。 22. 線虫がクーペリア、オエソファゴストマス、オステルタルギア、ヘモ ンカス、ディロフィラリアおよびディクチオコーラス種からなる群より選択され る、請求項21記載の方法。 23. 寄生体がファスシオラ・ヘパティカおよびファスシオラ・マグナから なる群より選択される、請求項17記載の方法。 24. 動物がヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコおよび鳥 類の動物からなる群より選択される、請求項17記載の方法。 25. 請求項13または15の抗体を動物に投与することを含んでなる、寄 生体の動物との関わりを治療または予防する方法。 26. 請求項14または16の抗イディオタイプ抗体を動物に投与すること を含んでなる、寄生体の動物との関わりを治療または予防する方法。 27. 化合物を請求項1記載の細胞と接触させ、その化合物が細胞に対して 有害な作用を有するか否かを決定することを含んでなる、化合物を駆虫薬に関し てスクリーニングする方法。 28. 細胞が組成物中にある、請求項27記載の方法。 29. 組成物が均質な集団に由来するものではない、請求項28記載の方法 。 30. 有害な作用が細胞の死滅である、請求項27記載の方法。 31. 動物における寄生体の存在を検出する方法であって、請求項1記載の 寄生体細胞またはそ細胞に由来する画分を、動物由来の抗体含有サンプルと接触 させ、サンプル中の抗体の細胞または画分との結合の存在を検出し、その結合の 存在が動物における寄生体の存在を示す方法。 32. 動物における寄生体の存在を検出する方法であって、請求項13また は15のいずれかの抗体を、寄生体抗原を含有する可能性のある動物由来のサン プルと接触させ、抗体の抗原との結合の存在を検出し、その結合の存在が動物に おける寄生体の存在を示す方法。 33. in vitroで寄生体細胞集団を増殖させる方法であって、 (a)細胞芽を生じるような、寄生体のクチクラ層の崩壊および/または分解 を考慮した条件の下、寄生体培養培地で寄生体を培養し; (b)培養物を破壊して細胞芽をクチクラ層から切除し;次いで (c)その寄生体細胞芽を細胞培養培地で培養する ことを含んでなる方法。 34. さらにパーコール密度勾配で寄生体細胞を精製し、その細胞をリン酸 塩緩衝生理食塩水ですすぎ、次いでその細胞を細胞培養培地へ接種することを含 んでなる、請求項33記載の方法。 35. 寄生体細胞が腸管細胞である、請求項33記載の方法。 36. 工程(c)の後にさらに細胞芽を細胞培養培地から新鮮細胞培養培地 へ移すことを含んでなる、請求項33記載の方法。 37. 請求項33記載の方法によって作出されたin vitroで長期培養が可 能な寄生体細胞(ただし蚊細胞を除く)集団。 38. 寄生体細胞が腸管細胞である、請求項37記載の細胞。 39. 細胞の少なくとも一部が溶解されている、請求項37記載の細胞。 40. 請求項37〜39のいずれか1項に記載の細胞を含んでなる組成物。 41. さらに医薬上許容される担体を含んでなる、請求項40記載の組成物 。 42. 請求項40記載の組成物に由来する実質的に細胞ではない画分。 43. 請求項37記載の細胞に由来する細胞画分。 44. 請求項43記載の画分と医薬上許容される担体とを含んでなる組成物 。 45. 実質的に膜結合抗原である、請求項43記載の細胞画分。 46. 寄生体が線虫である、請求項37記載の細胞。 47. 線虫がクーペリア、オエソファゴストマス、オステルタルギア、ヘモ ンカス、ディロフィラリアおよびディクチオコーラス種からなる群より選択され る、請求項46記載の細胞。 48. 寄生体がファスシオラ・ヘパティカおよびファスシオラ・マグナから なる群より選択される、請求項37記載の細胞。 49. in vitroで長期培養が可能な分化した線虫細胞の集団。 50. 線虫細胞が腸管細胞である、請求項49記載の細胞。 51. 細胞の少なくとも一部が溶解されている、請求項49記載の細胞。 52. 請求項49〜51のいずれか1項に記載の細胞を含んでなる組成物。 53. さらに医薬上許容される担体を含んでなる、請求項52記載の組成物 。 54. 請求項52記載の組成物に由来する実質的に細胞ではない画分。 55. 請求項49記載の細胞に由来する細胞画分。 56. 請求項55記載の画分と医薬上許容される担体を含んでなる組成物。 57. 実質的に膜結合抗原である、請求項55記載の細胞画分。 58. 線虫がクーペリア、オエソファゴストマス、オステルタルギア、ヘモ ンカス、ディロフィラリアおよびディクチオコーラス種からなる群より選択され る、請求項49記載の細胞。
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