JP2001514843A - AP1部位でのエストロゲンレセプターERαおよびERβの弁別的なリガンド活性化 - Google Patents

AP1部位でのエストロゲンレセプターERαおよびERβの弁別的なリガンド活性化

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子活性化を活性化または抑制する能力についてテスト化合物をスクリーニングする方法を提供する。特に本方法は、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、および第一のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモータを有する構築物を含む細胞を提供することを含む。この細胞をテスト化合物と接触させ、レポーター遺伝子の発現レベルにおける変化を検出するが、この変化は、テスト化合物が転写を活性化するか、転写を不活性化するか、またはAP1部位で全く影響をもたないかを示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連発明の相互参照文献;該当物なし) 本発明は、米国立衛生研究所のグラントGM50872号により政府の支援を受
けて為された。アメリカ合衆国政府は本発明に関して一定の権利を有する。 発明の背景 エストロゲン、アンチエストロゲンおよび他の核転写因子リガンドは多様な治 療法で用いられている。したがって、例えばエストロゲンは骨粗鬆症および閉経
期の他の疾患(例えば血管運動の不安定性)の治療、低エストロゲン症の治療、
および受胎調節で用いられる。アンチエストロゲンは癌の治療に用いられる。タ
モキシフェンは、例えば乳癌の化学療法で用いられるアンチエストロゲンで、乳
房組織のエストロゲンレセプター(ER)の作用を抑制することによって抗腫瘍
薬剤として作用すると考えられている(例えば以下を参照されたい:Sutherland
et al., Cancer Treat. Revs., 15:183-194(1987))。糖質コルチコイドは赤芽
球癆、急性糸球体腎炎または血管炎による急性腎不全、リンパ球性白血病、リン
パ腫、および他の症状の治療に用いられる。プロゲスチンまたは妊娠誘導薬剤(
例えばメドロキシプロゲステロンまたは酢酸メゲストロール)は、子宮内膜の癌
および乳房の癌の治療に用いられ、さらに受胎の調節に用いられる。
【0002】 核転写因子リガンドは患者の生理的状態によって難解で互いに矛盾する作用を
示すことがこれまで知られていた。例えば、エストロゲンおよびエストロゲン作
動薬は、例えば骨粗鬆症を防止し、血清コレステロールを低下させるような有益
な作用を示す(Love et al., New England J. Med., 326:852-856(1992); Love
et al, J. Natl. Cancer Inst. 82:1327-1332(1990))。反対に作動薬活性はまた
有害でもある。例えば、タモキシフェンは時に子宮内膜腫瘍の発生率を増加させ
(Iino et al., Cancer Treat. & Res., 53:228-237(1991))、また乳房腫瘍の進
行に際してエストロゲン依存増殖を抑制から刺激へと切り換える(Parker(1994)
, Cancer Surveys 14: "Growth Regulation by Nuclear Hormone Receptors. Co
ld Spring Harbor Laboratory Pres)。
【0003】 関連性を有するベンゾチオフェン類似体ラロキシフェン(図1A)は、乳房組
織でタモキシフェンのアンチエストロゲン特性を保持し、子宮ではわずかなエス
トロゲン作用を示すことが報告され、さらに(例えば骨および心脈管組織のよう
な非生殖組織では)潜在的に有益なエストロゲン様作用をもつ(Jones et al.,
J. Med. Chem. 27:1057-1066(1984); Black et al., J. Clin. Invest., 93:63-
69(1994); Sato et al., FASEB J., 10:905-912(1996); Yang et al., Endocrin
ol., 137:2075-2084(1996); Yang et al., Science, 273:1222-1225(1996))。
【0004】 アンチエストロゲンのこれら組織特異的作用についての説明の1つは、リガン
ド結合ERは、異なるタイプのDNAエンハンサー成分と結合するとき異なるト
ランスアクチベーション特性を有するということである。エストロゲンレセプタ
ー(ER)は、古典的なエストロゲン反応成分(ERE)およびAP1エンハン
サー成分(これは転写活性化のためにリガンド並びにAP1転写因子Fosおよ
びJunを必要とする)の両方の遺伝子転写を仲介することが示された(図1B
)。トランスアクチベーション実験では、タモキシフェンは、古典的EREによ
って調節される遺伝子の転写を抑制するが、天然のエストロゲンホルモン17β
−エストラジオール〔E2(図1A)〕と同様に、タモキシフェンはAP1成分 の制御下にある遺伝子の転写を活性化する(Webb et al., Mol. Endo., 9:443-4
56(1995))。
【0005】 1995年の終りに、第二のER(ERβ)がラットの前立腺cDNAライブ
ラリーからクローニングされた(Kuiper et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
93:5925-5930(1996))。ヒト相同体(Mosselman et al., FEBS Lett., 392:49-5
3(1996))およびマウス相同体(Tremblay et al., Mol. Endocrinol., 11:353-36
5(1997))もまたクローニングされた。最初に特定されたERはERαと新たに命
名された(Kuiper et al., 上掲書(1996))。2つのERの存在は、組織特異的エ
ストロゲン調節の新規メカニズムの存在の可能性を提示するものと解釈された。
【0006】 前述したことから、核転写因子リガンド(特にエストロゲン)の活性および調
節は複雑であり、種々の転写因子リガンドの使用は、矛盾した不利な結果をしば
しばもたらすことは明らかである。したがって、治療として核転写因子リガンド
の使用を選択する場合は、対象薬剤の種々の作用態様(生物学的活性)を可能な
かぎり正確に解明することが望ましい。同様に、これまで長い間、種々の環境化
合物がエストロゲン活性およびおそらくアンチエストロゲン活性を有することが
知られていた。そのような環境性エストロゲンおよび/またはアンチエストロゲ
ンの影響を評価する場合、それらの物質が活性を示す全ての代謝経路における作
用を評価することが望ましい。
【0007】 発明の要旨 本発明は、これまで未知であった調節経路、すなわちエストロゲンレセプター ベータ(ERβ)によって仲介されるAP1経路において遺伝子転写を活性化ま
たは不活性化する能力について化合物を迅速かつ効率的にスクリーニングする方
法を提供する。本発明は、部分的に、ERβはAP1と相互反応してAP1制御
下にある遺伝子の転写を誘導することができるという驚くべき発見を前提として
いる。さらに驚くべきことには、ERβ仲介AP1相互反応はERα仲介AP1
相互反応と顕著に異なる結果を生じることが見出された。例えば、エストラジオ
ール(これはERα仲介AP1相互反応を介して遺伝子発現を活性化する)は、
実際のところERβ仲介AP1相互反応を介して遺伝子活性化を抑制する。
【0008】 ある実施態様では、本発明は、ERαおよびERβによって仲介されるAP1
部位の弁別的活性化についてテスト化合物をスクリーニングする方法を提供する
。典型的にはこの方法は、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパ
ク質、および第一のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモ
ータをもつ構築物を含む第一の細胞を提供することを含む。この第一の細胞をテ
スト化合物と接触させ、さらに第一のレポーター遺伝子の発現が、同じテスト化
合物との反応におけるAP1部位でのERα仲介による遺伝子発現と比較される
。該細胞は異種のエストロゲンレセプターベータ(ERβ)を含むことができ、
好ましいERβは配列番号:3または配列番号:5のアミノ酸配列を含む。細胞
はまた異種のAP1タンパク質を含むことができる。このアッセイで用いられる
好ましいレポーター遺伝子には、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラ
ーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)、アル
カリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HPR)、成長ホ
ルモン(GH)および緑色蛍光タンパク質(GFP)が含まれ、ルシフェラーゼ
遺伝子または緑色蛍光タンパク質(遺伝子)が好ましい。テスト化合物は、アン
チエストロゲン活性をもつことが分かっている化合物または疑わしい化合物であ
る。この方法は、AP1部位での遺伝子のERα仲介発現が、エストロゲンレセ
プターα(ERα)、AP1タンパク質、および第二のレポーター遺伝子の発現
を調節するAP1部位を含むプロモータをもつ構築物を含む第二の細胞を提供す
ることによって決定されるものでもよい。第二の細胞をテスト化合物と接触させ
、第二のレポーター遺伝子の発現を検出する。好ましい標準的エストロゲン反応
成分の1つは、ゼノプス・ヴィテロゲニン(Xenopus vitellogenin)A2遺伝子
に由来しうる。第二のレポーター遺伝子および第一のレポーター遺伝子は同じ種
のレポーター遺伝子でもよい。この細胞および第二の細胞は同じ細胞である。
【0009】 ある実施態様では、本発明は、AP1部位でのエストロゲンベータ(ERβ)
仲介による遺伝子活性化を活性化または抑制する能力についてテスト化合物をス
クリーニングする方法を提供する。この方法は典型的には、エストロゲンレセプ
ターβ(ERβ)、AP1タンパク質、および第一のレポーター遺伝子の発現を
調節するAP1部位を含むプロモータをもつ構築物を含む第一の細胞を提供する
ことを含む。この細胞をテスト化合物と接触させ、さらに第一のレポーター遺伝
子の発現を検出する。細胞は、天然または異種のエストロゲンベータ(ERβ)
を含むことができる。好ましい実施態様では、ERβは配列番号:3または配列
番号:5のアミノ酸配列を含む。第一の細胞はまた異種のAP1タンパク質(例
えばjunおよび/またはfos)を含むことができる。実際にはいずれのレポ
ーター遺伝子を用いてもよい。好ましいレポーター遺伝子には、クロラムフェニ
コールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−ガラクト
シダーゼ(β−gal)、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオ
キシダ ーゼ(HPR)、または緑色蛍光タンパク質(GFP)が含まれるが、これらに
限定されるものではない。ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質(GFP)
が最も好ましい。実際にはいずれの化合物も本発明の方法にしたがってスクリー
ニングできる。しかしながら、好ましいテスト化合物はアンチエストロゲン活性
を有することが分かっている化合物である。
【0010】 別の実施態様では、上記の方法はさらにエストロゲンレセプターα(ERα)
、AP1タンパク質、および第二のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部
位を含むプロモータをもつ構築物を含む第二の細胞を提供することを含む。第二
の細胞をテスト化合物と接触させ、第二のレポーター遺伝子の発現を検出する。
それに加えて、または別に、上記の方法は、エストロゲンレセプターα(ERα
)、および第三のレポーター遺伝子の発現を調節するエストロゲン反応成分(E
RE)を含むプロモータをもつ構築物を含む第三の細胞の提供を伴うことができ
る。第三の細胞をテスト化合物と接触させ、続いて第三のレポーター遺伝子の発
現を検出する。標準的エストロゲン反応成分の1つは、ゼノプス・ヴィテロゲニ
ン(Xenopus vitellogenin)A2遺伝子に由来しうるであろう。それに加えて、
または別に、上記の方法は、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、および第四
のレポーター遺伝子の発現を調節するエストロゲン反応成分(ERE)を含むプ
ロモータをもつ構築物を含む第四の細胞の提供を伴うことができる。第四の細胞
をテスト化合物と接触させ、第四のレポーター遺伝子の発現を検出する。標準的
エストロゲン反応成分もまた、ゼノプス・ヴィテロゲニン(Xenopus vitellogen
in)A2遺伝子に由来しうるであろう。ある実施態様では、第一の細胞および当
該第三の細胞は同じで、一方、別の実施態様では第一の細胞および当該第四の細
胞は同じ細胞である。
【0011】 上記の細胞のいずれも、ERβ仲介によるAP1遺伝子転写を活性化する化合
物を遮断する抑制物質の検出または特定のために実施できる。これは典型的には
、上記のようにアッセイを実施するが、さらに第一の細胞をテスト化合物の他に
第二の化合物と接触させることを含む。ここで当該第二の化合物は、AP1部位
でエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子活性化を介して転写を
活性化することが判明しているものとする。したがって、検出工程は、AP1部
位での当該エストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子活性化の低下
をテスト化合物が仲介するか否かを検出することを含む。特に好ましい実施態様
では、この検出は、テスト化合物および第二の化合物の存在条件下での第一のレ
ポーター遺伝子の発現を、テスト化合物非存在かつ第二の化合物の存在条件下で
の当該レポーター遺伝子の発現と比較することを含む。
【0012】 ある実施態様では、AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介
遺伝子活性化を介して転写を活性化することが分かっている第二の化合物は、エ
ストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、および第二のレポータ
ー遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモータをもつ構築物を含む第二
の細胞を提供することを含む方法によって特定される。第二の細胞を第二の化合
物と接触させ、第二のレポーター遺伝子の発現を検出するが、この場合、当該化
合物によりもたらされる第二のレポーター遺伝子の発現増加は、当該第二の化合
物がAP1部位でERβを介して転写を活性化したことを示す。
【0013】 本発明のアッセイはまた、ERβ仲介によるAP1遺伝子転写を抑制する化合
物を遮断する抑制物質を検出または特定するために用いることができる。これら
の方法は、上記のようにアッセイを実施するが、さらに第一の細胞をテスト化合
物の他に第二の化合物と接触させることを含む。この場合、当該第二の化合物は
、AP1部位でエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子活性化を
介して転写を抑制することが分かっているものとする。レポーター遺伝子の発現
の検出は、AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝
子活性化の増加をテスト化合物が仲介するか否かを検出することを含む。この検
出は、テスト化合物および第二の化合物の存在条件下での第一のレポーター遺伝
子の発現を、テスト化合物非存在かつ第二の化合物の存在条件下での第一のレポ
ーター遺伝子の発現と比較することを含む。
【0014】 AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介転写を抑制すること
が知られている第二の化合物は、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、および
AP1タンパク質、および第二のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位
を含むプロモータをもつ構築物を含む第二の細胞を提供することによって特定さ
れる。第二の細胞を第二の化合物と接触させ、第二のレポーター遺伝子の発現を
検出する。化合物によりもたらされる当該第二のレポーター遺伝子の発現低下は
、化合物がAP1部位でERβを介して転写を抑制したことを示す。
【0015】 本発明はまた、上記または本明細書で述べる細胞のいずれも提供する。ある実
施態様では、当該細胞は、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパ
ク質(例えばjunまたはfos)、および第一のレポーター遺伝子の発現を調
節するAP1部位を含むプロモータをもつ構築物を含む。細胞はさらに核転写因
子リガンド、好ましくはエストロゲン以外の核転写因子リガンドのためのレセプ
ターを含むことができる。細胞は好ましくは異種ERβ、より好ましくは配列番
号:3または配列番号:5のアミノ酸配列を含むERβを含む。AP1タンパク
質は天然のAP1タンパク質でも異種AP1タンパク質でもよい。レポーター遺
伝子は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフ
ェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)、アルカリホスファターゼ、ホ
ースラディッシュペルオキシダーゼ(HPR)、または緑色蛍光タンパク質(G
FP)から成る群から選択されるものであるが、特に好ましい実施態様では、レ
ポーター遺伝子は、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質(GFP)をコー
ドする。細胞は、さらに第二のレポーター遺伝子の発現を調節する標準的なエス
トロゲン反応成分(ERE)含むことができる。好ましい標準的エストロゲン反
応成分の1つは、ゼノプス・ヴィテロゲニンA2遺伝子に由来する。本発明の好
ましい細胞は哺乳類細胞で、特に好ましい細胞は乳房組織または子宮組織に由来
する。細胞は新形成細胞でもよい。上記のアッセイのいずれも、ERβ仲介AP
1遺伝子転写を活性化する化合物を遮断する抑制物質の検出または特定のために
実施することができる。
【0016】 また別の実施態様では、本発明は、AP1転写部位での転写のエストロゲンレ
セプターβ仲介による活性化または不活性化を調節する能力について核転写因子
リガンドをスクリーニングする方法を提供する。この方法は、エストロゲンレセ
プターβ(ERβ)、AP1タンパク質、核転写因子リガンドのためのレセプタ
ー、および第一のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモー
タをもつ構築物を含む第一の細胞を提供することを含む。この細胞を転写因子リ
ガンドおよびAP1部位でERβ仲介による活性をもつ化合物と接触させる。第
一のレポーター遺伝子の発現を続いて検出する。
【0017】 この方法はさらに、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、核転写因子リガン
ドのためのレセプター、および第二のレポーター遺伝子の発現を調節するエスト
ロゲン反応成分(ERE)を含むプロモータをもつ構築物を含む第二の細胞を提
供することを含むことができる。この第二の細胞を転写因子リガンドと接触させ
、さらにAP1仲介エストロゲン活性をもつテスト化合物と接触させ、第二のレ
ポーター遺伝子の発現を検出する。第一の細胞および第二の細胞は同じでも異な
っていてもよい。
【0018】 さらに別には、またはそれに加えて、本方法は、転写因子リガンドの同族レセ
プター、および第二のレポーター遺伝子の発現を調節する該同族レセプターのた
めの反応成分をもつプロモータを含む第二の細胞を提供することを含むことがで
きる。第二の細胞を転写因子リガンドと接触させ、さらに当該AP1部位でエス
トロゲン仲介による活性をもつテスト化合物と接触させ、第二のレポーター遺伝
子の発現を検出する。繰り返せば第一の細胞および第二の細胞は同じでも異なっ
ていてもよい。
【0019】 上記の方法のいずれにおいても、核転写因子リガンドは、糖質コルチコイド、
プロゲスチン、ビタミンD、レチン酸、アンドロゲン、鉱質コルチコイドおよび
プロスタグランジンから成る群から選ぶことができる。同様に、同族レセプター
は、エストロゲンレセプター、糖質コルチコイドレセプター、プロゲスチンPR
−Aレセプター、およびプロゲスチンPR−Bレセプター、アンドロゲンレセプ
ター、鉱質コルチコイドレセプター、およびプロスタグランジンレセプターから
成る群から選ぶことができる。特に好ましい実施態様では、ERβは図5または
図6Aのアミノ酸配列を含む。ERβは異種ERβでもよい。同様に核転写因子
リガンドのためのレセプターは当該細胞にとって異種でもよい。細胞は異種DN
AからAP1タンパク質(例えばjunまたはfos)を発現させることができ
る。特に好ましい実施態様では、核転写因子はプロゲスチンであり、核転写因子
リガンドのための当該レセプターはプロゲスチンレセプターである。別の好まし
い実施態様では、核転写因子は糖質コルチコイドであり、当該核転写因子リガン
ドのための当該レセプターはGRレセプターである。
【0020】 本発明はまた、AP1部位での核転写因子リガンドによる転写のエストロゲン
レセプターβ(ERβ)の活性化または不活性化の調節を変更する能力について
核転写因子リガンドをスクリーニングする方法を提供する。この方法は、エスト
ロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、核転写因子リガンドのため
のレセプター、および第一のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位をも
つ構築物を含む第一の細胞を提供することを含む。この細胞を転写因子リガンド
、AP1部位でERβ仲介による活性をもつ化合物および標的と接触させ、第一
のレポーター遺伝子の発現を検出する。
【0021】 この方法はさらに、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、核転写因子リガン
ドのためのレセプター、および第二のレポーター遺伝子の発現を調節するエスト
ロゲン反応成分(ERE)を含むプロモータをもつ第二の細胞を提供することを
含む。この第二の細胞を転写因子リガンドおよびAP1仲介エストロゲン活性を
もつテスト化合物と接触させ、レポーター遺伝子の発現を検出する。第一の細胞
および第二の細胞は同じでも異なっていてもよい。核転写因子は、糖質コルチコ
イド、プロゲスチン、ビタミンD、レチン酸、アンドロゲン、鉱質コルチコイド
およびプロスタグランジンから成る群から選ぶことができる。同様に、核転写因
子リガンドは、エストロゲンレセプター、糖質コルチコイドレセプター、プロゲ
スチンPR−Aレセプター、プロゲスチンPR−Bレセプター、アンドロゲンレ
セプター、鉱質コルチコイドレセプター、およびプロスタグランジンレセプター
から成る群から選ぶことができる。また繰り返せば、ここで述べたアッセイの何
れにおいてもERβは異種ERβでもよく、好ましい実施態様では、ERβは、
配列番号:3または配列番号:5のアミノ酸配列を含むか、または配列番号:3
または配列番号:6の核酸配列によってコードされる。AP1タンパク質および
/または核転写因子リガンドのためのレセプターはまた当該細胞にとって天然で
も異種でもよい。特に好ましい実施態様では、核転写因子はプロゲスチンであり
、当該核転写因子リガンドのためのレセプターはプロゲスチンレセプターである
。一方、別の好ましい実施態様では、核転写因子は糖質コルチコイドで当該核転
写因子リガンドのためのレセプターはGRレセプターである。
【0022】 本発明はまた、AP1部位でエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による
遺伝子活性を活性化または抑制する能力について化合物をスクリーニングするた
めのキットを提供する。このキットは、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、
AP1タンパク質(例えばjunおよび/またはfos)、および第一のレポー
ター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモーターをもつ構築物を含む
細胞を収納した容器を含むことができる。キットの細胞は、さらに核転写因子リ
ガンドのためのレセプター、好ましくはエストロゲン以外の核転写因子リガンド
を含むことができる。このキットはさらにまた、本明細書で述べるいずれかのア
ッセイ方法を実施するためのプロトコルを含む指示資料を含むことができる。
【0023】 定義 本明細書で用いられる“転写を活性化する”または“転写を抑制する”という用
語は、遺伝子の転写のアップレギュレーションまたは遺伝子転写のダウンレギュ
レーションを指す。完全または部分的な“作動”または“停止”は本明細書では
それぞれ活性化または抑制とみなされることは理解されよう。転写の活性化また
は抑制は典型的にはコントロール(比較実験)と関連して測定されるが、この場
合コントロールは、問題の化合物または薬剤を欠くか、および/または標準的薬
剤(例えばE2またはタモキシフェン)を含む同様な処理を必要とする。また、 本発明のアッセイ細胞が“刺激されていない”(例えば問題のレセプターがリガ
ンドと結合していない)、すなわち外因的に供給されたリガンドがない場合にお
いても、(例えば特定のレポーター遺伝子の)基準レベルの転写が存在しえると
いうことは理解されよう。この事例では、必ずしも外因性アクチベーターを用い
ることなく抑制を観察することが可能であろう(例えば実施例1を参照)。
【0024】 本明細書で用いられるアンチエストロゲンは、エストロゲン様活性についての
アッセイ(例えばWebbら(Mol. Endocrinol., 6:157-167(1993))が記載したよう
なアッセイ)で測定したとき実質的にエストロゲン活性を抑制する化合物である
。より一般的には、“転写因子拮抗物質”は、転写因子活性についての標準的な
アッセイで測定したとき、当該転写因子活性を実質的に抑制する化合物である。
【0025】 本明細書で用いられる“核転写因子”とは、核転写因子上科に属する因子を指
す。これは細胞の核に入ることができるレセプター類で、いったん核内に入ると
1つまたは2つ以上の遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレー
ションをもたらす。“核転写因子リガンド”は、核転写因子と結合する化合物で
ある。好ましい核転写因子は典型的にはステロイドレセプターではあるが、この
群はそれに限定されるものではない。核転写因子リガンドには、エストロゲン、
プロゲスチン、アンドロゲン、鉱質コルチコイド、糖質コルチコイド、レチン酸
、ビタミンDおよびプロスタグランジンが含まれるが、これらに限定されない。
転写因子リガンドはまた、天然に存在する因子の類似体およびそのような因子の
遮断剤(拮抗物質)を含む。転写因子にはまたみなしごレセプターと結合するリ
ガンド(それらが特定されている場合)が含まれる。(みなしごレセプターとは
配列相同性によって特定されたが、そのリガンドが未だ特定されていない核転写
因子である)。エストロゲン活性の調節物の意味で用いられる場合、核転写因子
リガンドは典型的にはエストロゲン以外のもの(或いはエストロゲンまたはその
活性が調節を受けているエストロゲン作動薬以外のもの)であることは理解され
よう。核転写因子は典型的には、細胞の核内の同族レセプターの結合を介してそ
れらの活性を達成する。“同族レセプター”とは、典型的には問題の転写リガン
ドによって結合されるタイプのレセプターを指す。したがって、エストロゲンに
対する同族レセプターはエストロゲンレセプターで、糖質コルチコイドに対する
同族レセプターは糖質コルチコイドレセプターで、プロゲスチンに対するレセプ
ターはプロゲスチンレセプター等々である。同族レセプターには天然型(天然に
存在する)とともに改造レセプターも含まれる。
【0026】 “AP1部位での遺伝子転写のエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介によ
る活性化または不活性化”という語句は、リガンドと結合したERβレセプター
と当該AP1部位との相互反応によってAP1部位の制御下にある遺伝子(例え
ばレポーター遺伝子)の活性化または不活性化を指す。同様に、ERα仲介によ
る活性化または不活性化とは、ERαの相互作用によって仲介される遺伝子調節
を指す。EREでの活性化または不活性化は、EREの制御下にある遺伝子の活
性化または不活性化を指す。
【0027】 “AP1部位における弁別的ERα仲介およびERβ仲介による活性化”とは
、同じリガンドに反応してのAP1部位でのERα仲介による遺伝子活性化とE
Rβ仲介による遺伝子活性化が相違することを指す。弁別的活性化は、リガンド
がERαまたはERβのいずれと反応するかに応じて同じリガンドによる遺伝子
の活性化または不活性化のレベルにおける顕著な違いとして反映される。弁別的
活性化はまた、遺伝子活性化の“サイン”における違いを示すことができる。し
たがって、弁別的活性化は、同じリガンドに対する反応としての、AP1部位で
の転写のERβ仲介による活性化およびAP1部位での転写のERα仲介による
活性化を指すことができる。逆にいえば、弁別的活性化は、同じリガンドに対す
る反応として、AP1部位での転写のERβ仲介不活性化およびAP1部位での
転写のERα仲介不活性化を指すことができる。
【0028】 本明細書で用いられるように、AP1仲介エストロゲン様活性/作動薬活性は
、核転写因子とAP1部位との相互作用によって仲介される、AP1部位(また
AP1反応成分とも称される)の制御下にある遺伝子の活性化を指す。AP1部
位によって制御される遺伝子のER仲介による活性化を指して用いられる場合、
当該経路は間接エストロゲン反応(EREを介して仲介される古典的エストロゲ
ン反応と対照的に)と称される。AP1部位の一般的記載は以下の文献に見出さ
れる:Angel & Kann, Biochem. Biophys. Acta., 1072:129-157(1991); Angel e
t al., Cell, 49:729-739(1987))。
【0029】 “AP1仲介エストロゲン様活性をもつ化合物”とは、AP1部位およびAP
1タンパク質の制御下にある遺伝子を含む細胞内に存在する場合にAP1部位の
制御下にある遺伝子の転写を活性化する化合物を指す。
【0030】 “AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子活性
化を不活性化または抑制する能力をもつ化合物”とは、AP1部位とERβとの
相互反応(例えば結合)を介してAP1部位の制御下にある遺伝子の転写をアッ
プレギュレートするかまたはダウンレギュレートすることができる化合物を指す
【0031】 “エストロゲン活性化を調節する”または“エストロゲン活性化調節”という
語句は、特定の遺伝子のエストロゲン誘導発現の変更を指す。前記語句がさらに
“AP1部位での、またはEREでの”という語句を含む場合、当該語句は、そ
れぞれAP1部位またはERE部位の制御下にある1つまたは2つ以上の遺伝子
のエストロゲン誘導発現のレベル変更を指す。レポーター遺伝子について用いら
れる場合、“発現を検出する”という語句は、レポーター遺伝子の発現の有無の
検出またはレポーター遺伝子の発現レベルの定量を指す。当該定量は絶対的測定
または相対的測定(例えば別の発現遺伝子との比較)のいずれかであろう。
【0032】 “機能的に連結されて”とは、核酸発現制御配列(例えばプロモータ、シグナ
ル配列、または転写因子結合部位)と第二の核酸配列との間の機能的な連結を指
し、この場合、発現制御配列は第二の配列に一致する核酸の転写および/または
翻訳に影響を与える。
【0033】 細胞に関連して用いられる場合“組換え体(リコンビナント)”という用語は
、細胞が異種核酸を複製するか、または異種核酸によってコードされるペプチド
またはタンパク質を発現させることを指す。リコンビナント細胞は、当該細胞の
天然型(非組換え体)では見出されない遺伝子を発現させることができる。リコ
ンビナント細胞はまた、当該細胞の天然型で見出される遺伝子を改造し人工的手
段によって再び細胞に導入した場合これを発現させることができる。リコンビナ
ント発現とは、そのようなリコンビナント細胞による異種核酸の発現を指す。
【0034】 本明細書で用いられる“異種核酸”とは、外来供給源(または他の種)に由来
するか、または同じ種の場合はその本来の形態を改造されたものである。該機能
的にプロモータに連結された異種DNAとは、該プロモータと由来が同一でないも のであるか、またはもし由来が同一であるなら、その本来の形態を改造されたも
のである。異種配列の改造は、例えばDNAを制限酵素で処理してプロモータに
機能的に連結することができるDNAフラグメントを生成させることによって達
成することができる。位置特異的変異誘導のような技術もまた異種配列の改造に
役立つ。同様に、“異種タンパク質”とは、外来供給源(例えば異なる細胞また
は種)に由来するか、または同じ種の場合はその本来の形態を改造されたタンパ
ク質、または異種核酸から発現されたものである。
【0035】 “リコンビナント発現カセット”または単に“発現カセット”とは組換えまた
は合成によって生成された核酸構築物で、そのような配列に適合したホストで構
造遺伝子の発現を達成できる核酸成分を有するものである。発現カセットは、少
なくともプロモータおよび場合によって転写終止シグナルを含む。典型的には、
リコンビナント発現カセットは、転写されるべき核酸(例えば所望のポリペプチ
ドをコードする核酸)およびプロモータを含む。発現を達成するために必要また
は有用な付加的因子もまた本明細書に記載するように用いることができる。例え
ば、発現カセットはまた、発現されたタンパク質をホスト細胞から直接分泌させ
るシグナル配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0036】 ゼノエストロゲンとは本明細書では、本明細書で開示するアッセイでエストロ
ゲン様活性を有する任意の化合物であって、人体外の供給源に由来するものを包
含すると規定される。本明細書で用いられる環境化合物は、植物、土壌、水、食
物を含む多様な供給源に由来する。それらにはまた、塩素付加有機物、多環式芳
香族炭化水素、除草剤、殺虫剤、医薬品などの合成化合物も含まれる。
【0037】 アンチエストロゲンは、乳癌の治療およびおそらくは予防のための治療薬であ
る。例えば、タモキシフェン(図1A)は、乳癌の化学療法で用いられるアンチ
エストロゲンで、乳房組織のエストロゲンレセプター(ER)の作用を抑制する
ことによって抗腫瘍剤として機能すると考えられている(Grainger et al., Nat
ure Med., 2:381-385(1996))。矛盾するが、タモキシフェンは、子宮組織ではエ
ストロゲン様リガンドとして機能するようで、この組織特異的医原性作用は、タ
モキシフェン療法が長期に渡ると認められる子宮癌のリスクの増加を説明できよ
う(Kedar et al., Lancet, 343:1318-1321(1994))。
【0038】 関連するベンゾチオフェン類似体ラロキシフェン(図1A)は、乳房組織での
タモキシフェンのアンチエストロゲン特性を保持し、さらに子宮では最少のエス
トロゲン作用を示すことが報告された。その上、この物質は非生殖組織(例えば
骨および心脈管組織)では有益なエストロゲン様作用をもつらしい(Jones et a
l., J. Med. Chem., 27:1057-1066; Black et al., J. Clin. Invest., 93:63-6
9(1994); Sato et al., FASB J., 10:905-912(1996); Yang et al., Endocrinol
., 137:2075-2084(1996); Yang et al., Science, 273:1222-1225(1996))。アン
チエストロゲンのこれら組織特異的作用の説明の1つは、リガンド結合ERは、
異なるタイプのDNAエンハンサー成分と結合したとき異なるトランスアクチベ
ーション特性をもつのであろうというものである。
【0039】 古典的エストロゲン反応成分(ERE)は、2つの逆方向の6ヌクレオチドリ
ピートで構成され、リガンド結合ERは同種二量体としてEREと結合する(図
1B)。ERはまた、リガンドおよびAP1転写因子(FosおよびJun)を
転写活性化のために必要とするAP1エンハンサー成分から発生する遺伝子転写
を仲介する(図1B)(Umayahara et al., J. Biol. Chem., 269:16433-16442(
1994))。トランスアクチベーション実験では、タモキシフェンは、古典的ERE
によって調節される遺伝子の転写を抑制するが、天然のエストロゲンホルモン1
7b−エストラジオール〔E2(図1A)〕のように、タモキシフェンはAP1 成分の制御下にある遺伝子の転写を活性化する(Webb et al., Mol. Endocrinol
., 9:443-456(1995))。
【0040】 1995年の終りに、第二のER(ERβ)がラットの前立腺のcDNAライ
ブラリーからクローニングされた(Kuiper et al., Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 93:5925-5930(1996))。ヒト相同体(Mosselman et al., FEBS Lett., 392:49
-53(1996))およびマウス相同体(Tremblay et al., Mol. Endocrinol., 11:353-
365(1997))もまたクローニングされた。最初に特定されたERはERαと新たに
命名された(Kuiper et al., (1996)上掲書)。ERβは、特にAP1部位を介し
て仲介される組織特異的エストロゲン調節のまた別の供給源を与えることが本発
明で見出された。特に、ERαとERβはAP1成分においてある種のリガンド
と異なる態様で反応するということが本発明で見出された。本明細書で開示する
結果は、2つのERサブタイプについて異なる調節機能が存在することを示唆し
た。したがって、本発明は、化合物の活性がERαを介して仲介されるかERβ
を介して仲介されるかによって異なる活性を示す化合物をスクリーニングするた
めの材料および方法を提供する。さらに、本発明は、ある化合物がAP1部位で
のエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子活性化を活性化するの
か、抑制するのかを決定するための材料および方法を提供する。
【0041】 I.スクリーニングの方法および組成物 AP1部位の制御下にある遺伝子の発現(例えば転写)を活性化または不活性下
するために、このERβがAP1と相互作用することを、我々は見出した。さら
にまた、推定的エストロゲンが実際にERβ/AP1経路で“アンチエストロゲ
ン様”作用を示すことができることは特に驚くべき発見であった(本明細書のア
ンチエストロゲン様活性は古典的ERα/ERE経路のエストロゲン活性に匹敵
するものである)。したがってエストロゲンがERα/ERE経路で転写を活性
化する場合、このエストロゲンはERα/AP1経路での転写を不活性化する。
反対に、推定的アンチエストロゲンはERβ/AP1経路でエストロゲン様活性
を示すことができる。したがって、本発明は、推定的エストロゲンのアンチエス
トロゲン様活性を検出する方法、または推定的アンチエストロゲンのエストロゲ
ン様活性を検出する方法を提供する。より普遍的には下記で説明するように、本
発明は、AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子
活性化を活性化または不活性化する能力について化合物をスクリーニングする方
法を提供する。これは、以前には疑いをもたれなかった環境性エストロゲンまた
はアンチエストロゲンの特定を可能にし、またエストロゲン様もしくはアンチエ
ストロゲン様活性所有の有無について化合物をスクリーニングすることを可能に
する。そのような化合物は、種々の癌(例えば乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌)およ
び他の疾患(子宮内膜炎)の治療または予防に有用であると期待される。
【0042】 A)ERβ仲介AP1活性化または抑制のスクリーニング 本発明は、AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝
子活性化を活性化または抑制する能力について大量のテスト化合物を効率的にス
クリーニングする方法を提供する。ある実施態様では、この方法は、エストロゲ
ンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、およびAP1部位とのERβ相
互作用がレポーター遺伝子の発現(例えば転写)を増加または抑制することがで
きるようにプロモータおよびAP1制御下のレポーター遺伝子を含む構築物を有
する細胞を利用する。AP1部位でのERβ活性を評価したい1つまたは2つ以
上の化合物とこの細胞を接触させる。好ましい実施態様では、化合物と接触させ
た細胞内のレポーター遺伝子の発現レベルは、コントロール(例えばテスト化合
物を欠くか、および/または参照化合物(例えばエストラジオールまたはタモキ
シフェン)を含む同一の培養条件物)と接触させた細胞の発現レベルと比較され
る。レポーター遺伝子の発現レベルの低下は、このテスト化合物がAP1部位で
のERβ仲介発現(転写)を抑制することを示し、一方、レポーター遺伝子の発
現レベルの増加は、このテスト化合物がAP1部位でのERβ仲介発現(転写)
を活性化することを示している。
【0043】 このアッセイおよび本明細書で述べる他のアッセイでレポーター遺伝子の発現
レベルにおける変化を評価するために用いられる基準は、当技術分野で標準的な
ものである。したがって例えば、テストとコントロール実験との間の発現レベル
の統計的有意差は有効な変化としてスコアを付される。好ましい実施態様では、
発現レベルは、係数1.5またはそれ以上、好ましくは係数2またはそれ以上、
より好ましくは係数4またはそれ以上、最も好ましくは係数5または10または
それ以上の違いを有する。
【0044】 B)弁別的ERαおよびERβ仲介による活性のスクリーニング 本発明の方法を用いてAP1部位でのERβ仲介転写を活性化または抑制する 化合物の能力を、ERE部位でのERβ仲介による活性を活性化または抑制する
それら化合物の能力、またはAP1もしくはEREでのERα仲介による活性を
活性化または抑制するそれら化合物の能力と比較することができることは理解さ
れるところであろう。この態様では、広範囲の組織で非常に特異的な活性態様を
もつ化合物、または極めて変動しやすい活性態様をもつ化合物を特定できる。
【0045】 4つの好ましいエストロゲンレセプターによるアッセイを表1に示す。これら
は、ERα仲介ERE活性、ERα仲介によるAP1活性、ERβ仲介によるE
RE活性、およびERβ仲介によるAP1活性と一致する。本発明で、種々の化
合物がこれら種々のアッセイで弁別的活性を示すことが見出された。
【0046】 表1.エストロゲンレセプターを基にしたアッセイ ERα ERβ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ERE/レポーター遺伝子 古典的経路 β古典的経路 AP1/レポーター遺伝子 間接的経路 β間接的経路 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− これを表2に示すが、この表では、ERαによって相互反応が仲介されるとき
エストロゲンは古典的反応(EREで)および間接的反応(AP1で)の両方で
転写を活性化することが分かる。反対に、相互反応がERβによって仲介される
ときエストロゲンはAP1で転写の抑制物質として作用する。対照的に、エスト
ロゲン拮抗薬のタモキシフェンは、EREでは抑制物質として常に作用するよう
であるが、AP1部位では転写の活性化物質として作用するようである。さらに
また、ERβの活性は組織限定的ではないようである。
【0047】 表2.各ERアッセイにおけるエストラジオール(E2) およびエストロゲン拮抗薬(タモキシフェン)の活性 ERα ERβ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ERE/レポーター遺伝子 エストラジオール 活性化 活性化 タモキシフェン 抑制 抑制 AP1/レポーター遺伝子 エストラジオール 活性化 抑制 タモキシフェン 活性化 活性化 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ERβ仲介AP1活性のアッセイは上記で述べた。その他のアッセイは類似の
態様で実施される。したがって、ERα仲介による活性のアッセイは単にERα
をERβで置き換え、ERE活性のアッセイは単にERE/レポーター遺伝子構
築物をAP1レポーター遺伝子構築物と置き換えることを含む。ERαアッセイ
(EREおよびAP1活性のための両アッセイ)は、USSN08/41080
7号、USSN60/051309号およびWebb et al., Mol. Endo., 9:443-4
56(1995)に詳細に記載されている。
【0048】 ERβ仲介ERE活性のためのアッセイは、エストロゲンレセプターβ(ER
β)、およびERβとERE部位との相互反応がレポーター遺伝子の発現(例え
ば転写)を増加または抑制させることができるようにプロモータおよびERE部
位制御下にある遺伝子を含む構築物を有する細胞を利用する。この細胞をERE
でのERβ活性を評価しようとする1つまたは2つ以上の化合物と接触させる。
好ましい実施態様では、化合物と接触させた細胞内のレポーター遺伝子の発現レ
ベルは、コントロール(例えばテスト化合物を欠くか、および/または参照化合
物(例えばエストラジオールまたはタモキシフェン)を含む同一の培養条件物)
と接触させた細胞の発現レベルと比較される。レポーター遺伝子の発現レベルの
低下は、このテスト化合物がERE部位でのERβ仲介発現(転写)を抑制する
ことを示し、一方、レポーター遺伝子の発現レベルの増加は、このテスト化合物
はERE部位でのERβ仲介発現(転写)を活性化することを示している。
【0049】 好ましい実施態様では各アッセイは別々の細胞で実施されるが、一方、AP1
およびEREアッセイをまとめてただ1つの細胞で実施できることは理解されよ
う。この場合は、AP1/レポーター遺伝子構築物は好ましくはERE/レポー
ター遺伝子とは異なるレポーター遺伝子を利用し、それによってAP1活性化ま
たは不活性化はERE活性化または不活性化と区別できる。
【0050】 C)抑制物質の活性のスクリーニング 上記のアッセイはまた、EREまたはAP1部位でERα仲介またはERβ仲 介活性を有する他の化合物を抑制する化合物の特定(スクリーニング)のために
も用いることができる。これらのアッセイは上記の態様と同じ態様で実施される
。しかしながらこの例では、細胞は、2つの化合物(抑制活性についてスクリー
ニ ングされるテスト化合物およびその抑制物質が(または別の選択肢として作動薬
が)求められている第二の化合物)と接触させられる。
【0051】 したがって、例えばAP1部位でのERβ仲介によるエストロゲン抑制活性を
もつテスト化合物を特定することを所望する場合、ERβ、AP1タンパク質、
およびAP1の制御下にあるレポーター遺伝子を含む細胞をエストロゲンおよび
テスト化合物と接触させる。この化合物が、AP1部位での特徴的なERβ仲介
によるエストロゲン活性を抑制する場合、この化合物は抑制物質である。この場
合、AP1でのERβ仲介エストロゲン活性は転写を抑制し、したがってこの場
合のエストロゲン抑制物質は実際にはAP1でのERβ仲介転写を増加させるこ
とは留意されるべきである。これは実施例1で詳述するが、本実施例ではタモキ
シフェンがそのような抑制物質の1つであることが示されている。
【0052】 EREまたはAP1におけるERβによる仲介またはERαによる仲介エスト
ロゲン様またはアンチエストロゲン様活性の抑制物質または作動薬は類似の態様
でスクリーニングできる。
【0053】 D)環境性エストロゲンまたはアンチエストロゲンのスクリーニング 上記で示したように、本発明は、EREまたはAP1部位でのERβまたはE Rα仲介によるエストロゲン様またはアンチエストロゲン様テスト化合物のスク
リーニングを可能にする。このアッセイは、環境性化合物のエストロゲン様また
はアンチエストロゲン様活性についてスクリーニングするために特に有用である
。エストロゲン様活性をもつ環境性化合物を本明細書ではゼノエストロゲンと称
する。ゼノエストロゲンには人体外の供給源に由来し、細書で述べるアッセイで
エストロゲン様活性を有する全ての化合物が含まれる。本明細書で用いられる環
境性化合物は、植物、土壌、水、食物を含む多様な供給源に由来する。それらに
はまた合成化合物、例えば塩素添加有機物、多環式芳香族炭化水素、除草剤、殺
虫剤、医薬なども含まれる。
【0054】 環境性エストロゲンは活性が弱いことがしばしばであることは理解されよう。
結果として、エストロゲン様またはアンチエストロゲン様活性について環境性化
合物をテストする場合は特にアッセイの感度を最大限にすることが望ましい。こ
れは、高レベルのヒトエストロゲンレセプター(ERαまたはERβ)を産生す
る培養細胞を含む細胞を用いることによって達成できる。そのような細胞には、
MCF−7細胞(ATCC#HTB22)、MDA453細胞(ATCC#HT
B131)、ZR−75−1細胞(ATCC#CRL1500)またはERC1
細胞(Kushner et al., Mol. Endocrinol., 4:1465-1473(1990))並びにERC2
およびERC3細胞(Webb et al., Mol. Endocrinol., 6:157-167(1993))が含
まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0055】 環境性エストロゲンは合体して相乗作用を示すことはまた知られている。した
がってある実施態様では、2つまたはそれ以上の疑わしい環境性エストロゲンを
まとめて上記の方法にしたがってアッセイする。しかしながら、そのような混合
検査は単に環境性エストロゲンに限らないで、むしろいずれの薬剤もまとめて同
時にスクリーニングできる。
【0056】 E)AP1でのERβ活性の転写因子調節についてのスクリーニング 種々の核転写因子(例えばプロゲステロン、糖質コルチコイドなど)は、AP1
部位でERα仲介エストロゲン様活性と相互作用することが示された(例えば USSN60/051309号を参照)。ERβはまたAP1でそのように相互
反応することができると考えられている。したがって、別の実施態様では、本発
明は、AP1部位でのERβ仲介転写活性化または不活性化を調節する能力につ
いて、核転写因子リガンド、および推定的もしくは既知の転写因子リガンド作動
薬または拮抗薬のためのアッセイ方法(スクリーニング方法)を提供する。
【0057】 これらのアッセイは上記で述べたアッセイと同じ態様で実施されるが、しかし
ながらこのアッセイ細胞は、さらに第二の核転写リガンド(好ましくはエストロ
ゲン以外のリガンド)のためのレセプターを含む。したがって、細胞は、エスト
ロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、第二の核転写因子リガンド
のレセプター、およびレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロ
モーターを有する構築物を含む。この細胞をスクリーニングされるべき転写因子
リガンドとAP1部位でのERβ仲介による活性をもつ化合物の両方と接触させ
る。
【0058】 スクリーニングされる化合物(前記転写因子リガンド)の存在によってAP1
部位でのERβ仲介による活性を有する化合物の典型的な活性(AP1調節レポ
ーター遺伝子発現のレベル)が変化することは、スクリーニングされた化合物が
、AP1部位でのERβ仲介による活性をもつ化合物のERβ仲介によるAP1
反応を調節することができることを示す。好ましい第二の核転写因子リガンドに
は、糖質コルチコイド、プロゲスチン、ビタミンD、レチン酸、アンドロゲン、
鉱質コルチコイドおよびプロスタグランジンが含まれるが、これらに限定される
ものではない。
【0059】 同様に、テスト化合物の抑制物質または作動薬も、スクリーニングされるべき
抑制物質の存在下で同じアッセイを実施してスクリーニングすることができる。
【0060】 II.細胞タイプ 本発明のアッセイ方法は、転写因子レセプター(例えばエストロゲンレセプタ ー)との相互作用を介して転写を活性化または抑制するテスト化合物またはコン
トロール化合物の能力を検定する方法を提供する。したがって、好ましい実施態
様では、本発明のアッセイで用いられる細胞は、好ましくは少なくとも1つの転
写因子レセプターを含む。
【0061】 例えば、エストロゲンレセプターα(ERα)によって仲介される化合物の活
性についてスクリーニングすることを所望する場合は、好ましくはERαを含む
細胞が提供され、エストロゲンレセプターβ(ERβ)によって仲介される化合
物の活性についてスクリーニングすることを所望する場合は、好ましくはERβ
を含む細胞が提供される。
【0062】 AP1部位での転写のエストロゲンレセプター(αまたはβ)仲介による活性
化または不活性化を調節する核転写因子リガンドの能力についてスクリーニング
することを所望する場合は、細胞は、好ましくは個々のERαまたはERβの他
に少なくとも第二の核転写因子リガンド(例えば糖質コルチコイドレセプター(
GR))を含むことが好ましい。天然に存在する1つまたは2つ以上の所望のレセ
プタータイプを発現する細胞を本発明のアッセイで用いることができる。また別
の選択肢として、(例えばリコンビナントDNA技術によって)細胞を改造し、
ERαおよび/またはERβおよび/または選択した転写因子レセプターを発現
させることができる。
【0063】 本発明の方法を実施するために適した細胞には、子宮頸管腺癌(HeLa)、
視床下部細胞株(GT1−1(Mellon et al., Neuron, 5:1-10(1990)、MCF
−7細胞(ATCC#HTB22)、MDA453細胞(ATCC#HTB13
1)、ZR−75−1細胞(ATCC#CRL1500)またはERC1細胞(
Kushner et al., Mol. Endocrinol., 4:1465-1473(1990))並びにERC2および
ERC3細胞(Webb et al., Mol. Endocrinol., 6:157-167(1993))が含まれる
が、ただしこれらに限定されない。本発明は、哺乳類細胞での実施に限定されず
、適切な遺伝子およびリコンビナント構築物をトランスフェクトした例えば酵母
細胞および昆虫細胞でも実施できることは理解されよう。
【0064】 A)天然に2つまたはそれ以上のレセプタータイプを発現している細胞 エストロゲンレセプター(ER)の他に第二の転写因子レセプターを発現する 多くの細胞が当業者にはよく知られている。したがって、例えば子宮については
、ERおよび糖質コルチコイドレセプター(GR)が子宮内膜に同時に存在する
証拠がある(Prodi et al., Tumor, 65:241-253(1979))。脳のERおよびGR免
疫反応性およびmRNA局在性によって、視床下部の傍脳室核、視床弓状核およ
び扁桃中央核のような一定の大脳核に同時に局在することが示唆される(Fuxe e
t al., Endocrinol., 118:1803-1812(1985); Simerly et al., J. Comp. Neurol
., 294:76-95(1990))。骨については、ERおよび糖質コルチコイドデキサメタ
ゾン(Dex)が培養骨芽球細胞で見出された(Liesegang et al., J. Andorol
ogy, 14:194-199(1994))。ERはまた破骨細胞でも認められ(Oursler et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:5227-5231(1994))、これらのデータは、糖質
コルチコイドデキサメタゾン(Dex)がこれらの細胞で代謝を調節することが
示唆され(Wong, J. Biol. Chem., 254:6337-6340(1979))、破骨細胞は同様に機
能的なGRをも含む可能性が生じた。さらに、多くの腫瘍細胞株がERおよびG
Rの両方をもつことが示された(Ewing et al., Int. J. Cancer, 44:744-752(1
989))。
【0065】 B)2つまたはそれ以上のレセプタータイプを発現するように組換えによって
改造した細胞 ERαもしくはERβまたは他の転写因子の同族レセプターを通常欠いている 細胞を組換えによって改造し、1つまたは2つ以上の所望のレセプターを発現さ
せることができる。典型的には、これは、問題のレセプターをコードする核酸を
含む発現カセットを細胞にトランスフェクトし、当該レセプターが発現する条件
下で(例えばレセプターのプロモータ調節発現が誘導性であるならば適切な誘導
物質の存在下で)細胞を培養することを含む。典型的には、カセットはレセプタ
ーの構造的発現を提供するように選択される。
【0066】 天然に1つのレセプターを発現する細胞は第二のレセプターを発現するように
改造することを必要とするだけである。しかしながら、細胞がいずれのレセプタ
ーも発現していない場合には、両方のレセプターを発現させるカセットをトラン
スフェクトすることができる。細胞が一方または両方のレセプターを天然に発現
している場合でも、組換えによって(例えば発現レベルを高めることを所望する
レセプターをコードする発現カセットを導入することによって)高レベルでこれ
らのレセプターを発現するように改造できる。
【0067】 細胞は“天然の”レセプターを含む必要はないが、アッセイの親和性および/
または感度を高めるために切り縮めたレセプターまたはキメラレセプターを提供
するように改造できる。したがって例えば、Berry et al.(EMBO J., 9:2811-281
8(1990))は、切り縮めたレセプターまたはキメラERレセプターを含む細胞の製
造を開示している。
【0068】 特定のレセプターを発現するように細胞を改造する方法は当業者にはよく知ら
れている。したがって、例えば、高レベルのエストロゲンレセプターを発現する
ように改造された細胞は文献に記載されている(Kushner et al., Mol. Endocri
nol., 4:1465-1473(1990); Hirst et al., Mol. Endocrinol., 4:162-170(1990)
)。ERαを発現させるために細胞にトランスフェクトすることについては、下
記実施例およびUSSN08/410807号に詳述されている。ERβを発現
させるために細胞にトランスフェクトすることについては本明細書で、さらに糖
質コルチコイドレセプター(GR)、プロゲスチンレセプター(PR)および他
のレセプターを発現させるために細胞にトランスフェクトすることについてはと
もに係属中のUSSN60/043059号に記載されている。
【0069】 C)AP1タンパク質を含む細胞 AP1での転写の転写因子レセプター仲介による活性化または不活性化のスクリ
ーニングを含むアッセイでは、細胞は、転写因子レセプターの他に好ましくは1
つまたは2つ以上のAP1タンパク質(JunもしくはFosまたはそのタンパ
ク質族の他の因子、Bohmaan et al., Science, 238:1386-1392(1987))を含む。
【0070】 細胞は天然のAP1タンパク質を発現しているか、または異種AP1タンパク
質を発現させるために(例えば適切な発現カセットをトランスフェクトして)細
胞を改造してもよい。AP1タンパク質を発現させる方法は当業者には周知であ
る(Turner et al., Science, 243:1689-1694(1989); Cohen et al., Genes & D
ev., 3:173-184(1989);および実施例1を参照されたい)。天然に1つまたは2
つ以上のAP1タンパク質を発現している細胞も細胞内junおよび/またはf
osレベルを増加させるために改造することができる。
【0071】 III.核転写因子レセプターの発現 上記で説明したように、本発明のアッセイは、1つまたは2つ以上の核転写因 子レセプター(例えばERα、ERβ、GR、PRなど)、エストロゲンレセプ
ター、および核転写因子(典型的にはエストロゲン以外の転写因子)のためのレ
セプターを含む細胞を利用する。この因子は、細胞によって内因的に発現される
ものか、また別の選択肢として、レセプターを発現することができるように細胞
を改造することができる(例えばリコンビナント細胞)。
【0072】 A)エストロゲンレセプターアルファ(ERα) 本明細書で用いられるエストロゲンレセプターにはその天然型(天然に存在する
形態)のエストロゲンレセプターアルファ(ERα)とともに改造エストロゲン
レセプターも含まれる。多くのエストロゲンレセプターの改造が当業者に知られ
ている。これらには、VP16−ER、V−ER、ERのアミノ末端に連結され
た強力なVP16転写活性化ドメインを含むキメラレセプター、ERのDNA結
合ドメイン(DBD)が欠失しているV−ER、H11、DNA結合ドメインを
欠くERなどが含まれる(例えば以下を参照のこと:Kumar et al., Cell, 51:9
41-951(1987); Elliston et al., J. Biol. Chem. 265:11517-21(1990))。
【0073】 組換えによってエストロゲンレセプターアルファ(ERα)を発現させる手段
は当業者には周知である(例えばUSSN08/410807号およびWebb et
al., Mol. Endocrinol., 9:443-456(1995)を参照のこと)。
【0074】 B)エストロゲンレセプターベータ(ERβ) エストロゲンレセプターベータ(ERβ)は、ラットの前立腺cDNAライブ ラリーからクローニングされた第二のエストロゲンレセプター(ER)である(
Kuiper et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:5925-5930(1996))。続いて、
ヒト相同体(Mosselman et al., FEBS Lett., 392:49-53(1996))およびマウス相
同体(Tremblay et al., Mol. Endocrinol., 11:353-365(1997))がクローニング
された。したがって、最初のエストロゲンレセプター(ER)はERαと新たに
命名された(Kupier et al.(1996) 上掲書)。
【0075】 既知の配列情報を用いて、当業者は、適切なホスト細胞にトランスフェクトし
たときにERβを発現するベクターを容易に構築できるであろう。ERβベクタ
ーの調製のための詳細なプロトコルは以下の文献に記載されている:Kuiper et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:5925-5930(1996);WO97/09348
号。
【0076】 種々のスプライス変形種、変異などを含む多数の種々のエストロゲンベータレ
セプターが存在することは理解されよう。本明細書で用いられるERβは全ての
ERβ変形種を包含しようとするものであることは理解されよう。しかしながら
、好ましい実施態様では、本発明で用いられるERβ変形種は、いわゆる“中間
の長さ”のERβ変形種(WO97/09348号に記載されたようなもの)に
一致する。特に好ましいERβ変形種は配列表3、4および5に示されており、
これらは図1並びにWO97/09348号の13Aおよび13Bに一致する。
【0077】 C)核転写因子リガンドおよび同族レセプター 上記で述べたように、エストロゲンレセプター(ERαおよび/またはERβ )の他に、細胞は、核転写因子リガンドのための同族レセプター、好ましくはエ
ストロゲンレセプター以外のレセプターを含むことができる。本明細書で用いら
れる“同族レセプター”という用語は、典型的には問題の転写因子リガンドと結
合するタイプのレセプターを指す。したがって、エストロゲンの同族レセプター
はエストロゲンレセプターで、糖質コルチコイドの同族レセプターは糖質コルチ
コイドレセプターで、プロゲスチンの同族レセプターはプロゲスチンレセプター
、等々である。エストロゲンレセプターに関しては、同族レセプターには天然形
(天然に存在する形態)とともに改造レセプターも含まれる。
【0078】 核転写因子リガンド、特にステロイド核転写因子のための天然および改造同族
レセプターは、当業者には周知である。これらには、糖質コルチコイドレセプタ
ー、プロゲスチンレセプター(例えばPR−A、PR−B(例えば以下を参照:
Law et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:2877-2881(1987); Wei et al.,
Mol. Endo., 2:62-72(1988); Kushner et al., Mol. Endocrinol., 4:1465-1473
(1990))、ビタミンDレセプター、鉱質コルチコイドレセプター、アンドロゲン
レセプターおよび甲状腺ホルモンレセプター(Mangelsdorf, Cell, 83:835-839(
1995))が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0079】 IV.EREおよびAP1レポーター構築物 本発明の細胞は、好ましくは反応成分(AP1部位またはエストロゲン反応成分
(ERE)のどちらか)の制御下にある1つまたは2つ以上のレポーター遺伝子
を含む核酸構築物を(例えばトランスフェクションによって)含む。2つの異な
る反応成分を1つの細胞内で追跡する場合は、2つの異なるレポーター遺伝子が
用いられる。したがって、例えば1つの遺伝子が古典的エストロゲン反応系(E
RE)によって誘導されるレポーターの転写を表示し、他方の遺伝子は間接AP
1エストロゲン反応によって誘導される転写を示す。2つのレポーター遺伝子お
よび反応成分は典型的には別々の細胞に配置されるが、この方法はまた両構築物
が同じ細胞内にある場合にも用いることができる。
【0080】 A)AP1/レポーター構築物 ある実施態様では、本発明の方法は、エストロゲンレセプター(ERαまたは ERβ)、およびレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位(本明細書では
間接的エストロゲン反応経路のためのレポーター遺伝子とも称される(例えば以
下 を参照:USSN08/410807号およびWebb et al., Mol. Endocrinol.,
9:443-456(1995))をもつプロモータを含む細胞を提供することを含む。
【0081】 間接的エストロゲン反応経路のためのレポーター遺伝子は、好ましくは標的プ
ロモーターの上流で、かつそのプロモーターを調節できるように(すなわち機能
的に連結されて)、AP1部位を含む。AP1部位は、AP1(JunおよびF
osタンパク質)または当該タンパク質族の他のものと結合する部位である。好
ましい実施態様では、コンセンサスAP1部位(またはAP1反応成分)はTG
A(C/G)TCA(配列番号:1)である。
【0082】 使用される個々のAP1部位は本発明の決定的な特徴ではないことは当業者に
は理解されよう。AP1または当該族に属するものが結合してプロモーターを調
節することができる配列のいずれも適切である。これには、天然に存在するAP
1部位を包含するプロモーターが含まれるであろう。典型的なプロモーターとし
ては、メタロプロテアーゼ遺伝子(例えばストロメリシン)、ゲラチナーゼ、マ
トリリシンおよびヒトコラゲナーゼ遺伝子が含まれるが、これらに限定されない
【0083】 別の選択肢として、天然には存在しないAP1または関連する結合部位を含む
プロモーターを構築することができる。これは、典型的にはAP1の制御下には
見出されないレポーター遺伝子系の作出を促進する。さらに、多数のAP1部位
のコピーを含み、それによって感度を高め、またおそらくはレポーター遺伝子系
の反応を調節できるプロモーターを構築できる。
【0084】 B)ERE/レポーター構築物 本発明の方法はまた、レポーター遺伝子(本明細書ではまた直接または古典的 エストロゲン反応経路のためのレポーター遺伝子(例えば以下を参照されたい:
USSN08/4108907号およびWebb et al., Mol. Endo., 9:443-456(1
995) と称される)の発現を調節するエストロゲン反応成分をもつプロモーター を含む細胞を提供することを含む。これによって、“直接”(古典的)エストロ
ゲン反応の検出および核転写因子リガンドによる古典的反応の相互作用および調
節の評価が可能になる。
【0085】 典型的には、エストロゲン反応成分(ERE)は標的プロモータの上流にあっ
て当該プロモータを調節することができる。好ましい実施態様では、EREは、
ゼノプス・ビテロゲニン(Xenopus vitellogenin)A2遺伝子に由来するコンセ
ンサスエストロゲン反応成分AGGTCACAGTGACCT(配列番号:2)
であろう。この細胞で用いられる個々のEREは本発明の重要な特徴ではなく、
本発明は特定のEREの使用に限定されない。適切なEREは当業者には周知で
ある。例えば、他の天然に存在するERE供給源には、ビテロゲニンB2遺伝子
、ニワトリ卵白アルブミン遺伝子およびPS2遺伝子が含まれる。また別には、
天然に存在しないEREを特定のプロモーターに挿入してもよい。ゼノプス・ビ
テロゲニンA2遺伝子に由来するコンセンサスEREはこの目的のために広く用
いられるが、他のEREも同様に使用することができる。
【0086】 C)レポーター遺伝子 本発明は、特定のレポーター遺伝子に限定されない。容易にアッセイできる生 成物を発現するいずれの遺伝子も本アッセイのために適切な表示物質を提供する
であろう。適切なレポーター遺伝子は当業者には周知である。レポーター遺伝子
の例にはCAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)(Alton
& Vapnek, Nature, 282:864-869(1979))、ルシフェラーゼ、および他の酵素検出
系、例えばベータガラクトシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ(deWet et al., Mo
l. Cell. Biol., 7:725-737(1987))、細菌ルシフェラーゼ(Engebrecht et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1:4154-4158(1984); Baldwin et al., Biochemi
stry, 23:3663-3667(1984))、アルカリフォスファターゼ(Toh et al., Eur. J
. Biochem., 182:231-238(1989); Hall et al., J. Mol. Appl. Gen., 2:101(19
83))および緑色蛍光タンパク質が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0087】 AP1部位を含む種々のリコンビナント構築物を、使用する細胞に適合した任
意のプロモータおよびレポーター遺伝子と併用して用いることができることは、
当業者には理解されるところである。プロモータは好ましくはAP1部位による
調節を受けやすいものであろう。
【0088】 D)プロモータ/レポーター発現カセットの構築 プロモータ/レポーター発現カセットおよび本明細書で述べる他の発現カセット
(構築物)は、当業者に周知の通常の方法にしたがって構築できる。これらカセ
ットの構築は実施例1、USSN08/410807号、Webb et al., Mol. En
do., 9:443-456(1995)、および本明細書で引用した他の参考文献で様々に実証さ
れている。
【0089】 これらの構築物は全て当業者に周知の標準的増幅およびクローニング手法で作
製することができる。これらの技術の例および多くのクローニング実施例によっ
て当業者に役立つ十分な説明は以下の文献で見出されるであろう:Berger & Kim
mel, Guide to Molecular Cloning Techniques: Methods in Enzymology, 152 A
cademic Press, Inc., San Diego, CA; Sambrook et al., Molecular Cloning--
A Laboratory Manual(2nd ed.) Vol.1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Col
d Spring Harbor Press, NY (1989); Current Protocols in Molecular Biology
, Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Green
e Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., (1994 Supple
ment)(Ausubel);米国特許第5017478号(Cashion et al.);および欧州特 許第246864号(Carr)。in vitro増幅について当業者に十分な説明を提供
する技術の例は以下の文献で見出される:Berger, 上掲書;Sambrook, 上掲書;
;Ausubel,上掲書;米国特許第4683202号(Mullis et al.);Innis et a
l.(1990) PCR Protocols A Guide to Methods and Applications, Academic Pre
ss inc. San Diego, CA; Arnheim & Levinson(1999年10月1日) C&EN 36-47; The
Journal of NIH Research(1991)3:81-94; Kwoh et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i. US A, 86:1173(1989); Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:1874(1
990); Lomell et al., J. Clin. Chem., 35:1826(1989); Landegren et al., Sc
ience, 241:1077-1080(1988); Van Brunt, Biotechnology, 8:291-294(1990); W
u & Wallace, Gene, 4:560(1989); Barringer et al., Gene, 89:117(1990)。
【0090】 V.連結コアクチベータによるERβ仲介による活性化 また別の実施態様では、ERβは、連結転写因子コアクチベータ法を用いるこ とによって実質的に任意の反応成分を介して遺伝子活性化を仲介できる。この方
法は、反応成分に機能的に連結された問題の遺伝子を含む核酸を連結コアクチベ
ータと接触させることを含む。連結コアクチベータは、転写コアクチベータに由
来する活性化機能を含むポリペプチド、および特異的に反応成分と結合すること
ができるDNA結合部分で構成されている。この連結コアクチベータを、転写因
子に由来する活性化機能を含む活性化された転写因子ポリペプチド(例えばER
β)と接触させる。連結コアクチベータと活性化された転写因子ポリペプチドと
の接触は遺伝子の発現を刺激する。転写因子は例えば、核ホルモンレセプター(
例えばエストロゲンレセプターまたはエストロゲンレセプターベータ)、または
AP1転写因子であるが、好ましい実施態様では転写因子はERβである。連結
転写因子活性化法についての詳細なプロトコルは同時係属中のUSSN60/0
43059号で提供されている。
【0091】 VI.レポーター遺伝子の検出 本発明のレポーター遺伝子の検出は当業者に周知の標準的方法による。レポータ
ー遺伝子がその酵素活性を介して検出される場合は、これは典型的には当該発酵
に適切なその基質を提供し、反応生成物(例えばルシフェラーゼによって生成さ
れる光)を検出すること含む。この検出は、単純にレポーター遺伝子生成物の有
無を検出することを含むか、また別にはレポーター遺伝子生成物の発現レベルの
定量を伴う。この定量は絶対的定量でも相対的(例えば1つまたは2つ以上の“
ハウスキーピング”遺伝子の発現レベルに関して)でもよい。特定のレポーター
遺伝子の発現レベルを定量する方法は当業者には周知である。そのような検出は
“手動”で実施してもよいし、または例えば高処理スクリーニングシステムで自
動化してもよい。
【0092】 遺伝子発現の有無または定量のための高処理アッセイ(例えば転写核酸(mR
NA)の検出または遺伝子発現(タンパク質生成)の検出を介して)は、当業者
には周知である。したがって例えば、米国特許第5559410号はタンパク質
についての高処理スクリーニング法を開示し、米国特許第5585639号は核
酸結合についての高処理スクリーニング法(すなわちアレー式)を開示し、一方
、米国特許第5576220号および5541061号はリガンド/抗体結合に
ついての抗処理スクリーニング法を開示する。
【0093】 さらに、抗処理スクリーニングシステムは市販ルートで入手できる(例えば、
Zymark Corp., Hopkinton, MA; Air Technical Industries, Mentor, OH; Beckm
an Instruments, Inc. Fullerton, CA; Precision Systems, Inc., Natick, MA
など)。これらのシステムは典型的には、サンプルおよび試薬の全てのピペット
分注、液体分配、所定時間の保温、およびアッセイに適した検出器による最後の
マイクロプレートの結果の読み取りを含む全工程が自動化されている。これらの
構成組立が可能なシステムは、高処理で迅速な始動を提供するとともに高い融通
性と顧客対応性を提供する。
【0094】 スクリーニングされる化合物 実際のところいずれの化合物も本発明の方法によってスクリーニングできること
は理解されよう。そのような化合物には、上記に述べた環境性エストロゲンまた
は環境性アンチエストロゲンを含む既知のまたは疑いのあるエストロゲンまたは
アンチエストロゲンが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0095】 化合物は、細胞の核に侵入し、転写因子レセプター(例えばERαまたはER
β)に結合できる場合、最も強くエストロゲン様またはアンチエストロゲン様活
性を示すことが期待できることは理解されよう。そのような化合物はしばしば親
油性であるか、或いは孔もしくはゲートを通って受動的に、またはエンドサイト
ーシスによる能動的輸送によって細胞に侵入することができる。特に好ましい化
合物にはステロイド化合物またはステロイド類似体が含まれるが、これらに限定
されるものではない。
【0096】 VIII.アッセイキット 別の実施態様では本発明の方法を実施するためにキットが提供される。このキッ
トは好ましくは、本発明のアッセイを実施するために本明細書で開示した細胞を
収納する1つまたは2つ以上の容器を含む。したがって例えば、これらの細胞に
は、エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、および第一のレ
ポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモータを有する構築物を
含む細胞、またはそれらに加えてエストロゲン以外の核転写因子リガンドのため
のレセプターを含む細胞が含まれるが、ただしこれらに限定されない。AP1/
レポーター遺伝子およびERE/レポーター遺伝子構築物は別々の細胞内にあっ
ても、または同じ細胞内に一緒にあってもよい。細胞はさらに高レベルのAP1
タンパク質(例えばfosおよび/またはjun)を発現していてもよい。別の
選択肢として、または上記に加えて、キットは、本明細書に開示したAP1/レ
ポーター遺伝子および/またはERE/レポーター遺伝子構築物および/または
、ERα、ERβ、または他の核転写因子レセプターベクターを含むことができ
る。キットは場合によって、本発明の方法を実施するために有用な任意の緩衝液
、試薬、培養液、培養プレート、レポーター遺伝子検出試薬などを含むことがで
きる。
【0097】 さらにまた、キットは、本発明のアッセイ方法を実施するために指示(すなわ
ちプロトコル)を含む説明資料を含むことができる。指示資料は典型的には印刷
された資料を含むが、そのようなものに限定されない。そのような指示を保存し
さらにそれらを最終ユーザーに伝達することができるいずれの媒体も本発明に包
含される。そのような媒体には電子記録媒体(例えば磁気ディスク、テープ、カ
ートリッジ、チップ)、光学的媒体(例えばCDROM)などが含まれるが、こ
れらに限定されるものではない。そのような媒体は、そのような説明資料を提供
するインターネットサイトのアドレスを含むことができる。
【0098】 実施例 以下の実施例は説明のために提供するもので、本発明を限定しようとするもの ではない。
【0099】 実施例1 ERαとERβのトランスアクチベーション特性の比較 本実施例は、EREまたはAP1成分のどちらかの制御下にあるレポーター遺 伝子を用い、5つのERリガンドに関する表を以って、ERαおよびERβのト
ランスアクチベーション特性の研究を述べる。ここに提示した結果は、ERαお
よびERβが、AP1部位においてある種のリガンドと異なる態様で反応するこ
とを示し、この2つのERサブタイプについて異なる調節機能が存在することを
示唆する。
【0100】 スクリーニング方法: 古典的エストロゲン反応成分(ERE)またはAP1成分のどちらかの制御下に
あるレポーター遺伝子を用い、5つのエストロゲンレセプター(ER)リガンド
についてERαおよびERβのトランスアクチベーション特性を比較した。ER
EおよびAP1駆動ルシフェラーゼレポータープラスミド(それぞれEREII
−LucG145およびΔcoll78)およびERα発現プラスミド(pSG
5−HEO)を文献の記載にしたがって用いた(Webb et al., Mol. Endocrinol
., 9:443-456(1995);およびUSSN08/410807号(米国特許第 号として発行)。
【0101】 ラットERβ発現ベクターは以前に報告した(Kuiper et al., Proc. Natl. A
cad. Sci. USA, 93:5925-5930(1996))。完全な長さのヒトERβcDNA(これ
は卵巣cDNAライブラリーから単離され、先に報告された部分的cDNAクロ
ーンと同一であることが分かった(Mosselman et al., FEBS Lett., 392:49-53(
1996)))は、pCMV5真核細胞発現ベクターでクローニングし、生じたERβ
発現ベクターをこれらの実験で用いた(以下の文献を参照されたい:Kuiper et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:5925-5930(1996))。ERαおよびERβ
のトランスアクチベーション特性を比較するために用いたリガンドは、エストロ
ゲンとしてβ−エストラジオール(E2)およびジエチルスチルベストロール( DES)およびアンチエストロゲンとしてインペリアルケミカルインダストリー
ズ(Imperial Chemical Industries, ICI)164384、タモキシフェンお
よびラロキシフェンであった。ラロキシフェンは公表された方法(Jones et al.
, J. Med. Chem., 27:1057(1984))にしたがって合成した。構造および純度は1 H核磁気共鳴(NMR)、18CNMR、紫外線薄層クロマトグラフィーおよび高
解析質量分析法によって立証した。ICI164384は個人的供給源から入手
し、他の化合物は市販供給源から得た。
【0102】 実験は、ERαまたはERβ発現プラスミドのどちらかをエストロゲン反応成
分(ERE)の転写制御下にあるルシフェラーゼ遺伝子を含むレポータープラス
ミドとともにHeLa細胞にトランスフェクトすることによって実施した。
【0103】 細胞をナンクデルタサーフィス(Nunc Delta Surface)組織培養プレートで5
x104/cm2を越えない密度に増殖させた。細胞を0.1μmの滅菌フィルタ
ーでろ過したDME−F−12クーン改良培養液(Coon's Modified Medium)中
で増殖させた。上記培養液は、15mMHepes、0.438g/LのL−グ
ルタミン、1.338g/LのNaHCO3、10%Seru−Max4(鉄を 補充した処方せんにしたがって飼育された新生児仔牛血清、検査によってエスト
ロゲン様活性が低いロットから得られた、Sigma Cell culture)、0.05mg
/mLのゲンタマイシン、100mg/mLのストレプトマイシンSO4および 100単位/mLのペニシリン“G”を含んでいた。
【0104】 Ishikawa細胞は100nMのタモキシフェンを含む培養液で増殖させ、MCF
−7細胞は10nMのエストラジオールを含む培養液で増殖させた。
【0105】 トランスフェクションアッセイのためには、細胞を、0.4cmのギャップ電
気穿孔キュベット(BioRad)中の0.5mlの電気穿孔緩衝液に106から2x 106/キュベットで浮遊させた。電気穿孔緩衝液は、500ml燐酸緩衝食塩 水(PBS)、5mlの10%グルコース、および50μLのビオブレン(Biob
rene)の溶液として調製した。5μgのレポータープラスミドおよび6μgのE
R発現プラスミドを添加し、キュベットを激しく震盪して、キュベット中の溶液
の混合と均質な細胞分布を促進した。続いて直ちに細胞をバイオラドジーンパル
サー(BioRad GenePulser)電気穿孔装置で0.25kVの電圧および960μF
の静電容量で電気穿孔によってトランスフェクトした。電気穿孔キュベットに1
MLの増殖培地(上記のとおり)を加えた。
【0106】 1つの実験のためにトランスフェクトした細胞をまとめ、増殖培地に8x10 4 から1.6x105細胞/mLの濃度で注意深く再浮遊させた。十分に混合して
細胞を均質に分布させた後、細胞をナンクの6ウェル培養皿に2mL/ウェルで
平板培養した。2時間保温した後、ホルモンを添加し穏やかにかき混ぜて培養液
を混合した。続いて細胞をホルモンの存在下で40〜48時間保温した。
【0107】 培養液をウェルから除去し、細胞をMg2+およびCa2+を含まないPBSで洗
浄し、続いて0.2%のトリトンX−100および1mMEDTAを含む100
mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)0.2mLで化学的に細胞を溶解させ
た。その後、プレートを−80℃に凍結して融解し、ゴム製かき取り棒でこすっ
てほぐし、細胞フラグメントに分解した。溶解物をマイクロフュージで2分間遠
心し、0.1mLの上清を0.3mLのルシフェラーゼアッセイ溶液と混合して
、直ちに化学発光を10秒間測定した。
【0108】 ルシフェラーゼアッセイ溶液は、25nMグリシルグリシン、15mMのMg
SO4、4mMのEGTA、15mMリン酸カリウム(pH7.8)から成り、 さらにアッセイ開始の直前にDTTを最終濃度1mM、ATPを最終濃度2mM
、ルシフェリン(Analytical Luminescence Laboratories)を最終濃度200μ
Mで添加した。発光の測定はモノライト1500(Analytical Luminescence La
boratories)で実施した。ここで報告する相対的光単位は統一のために目盛り1
00に調節した。
【0109】 データはHEO ER変種を用いて収集した。HEOは、より明瞭なリガンド 誘 発トランスアクチベーションを生じる野性型ERと比較すると低い、リガンド非
結合レセプターからもたらされるトランスアクチベーション反応を示す。ERα
による各実験もまた野性型ER(HEGO)でチェックし、一般的リガンド誘導
傾向はHEOで得られたものと同じであることが分かった。わずかな違いは、リ
ガンド誘導トランスアクチベーション反応は、コントロール(リガンド無添加)
よりもHEGOで低いことであった。
【0110】 トランスアクチベーション実験はラットおよびヒトのERβで実施され、リガ
ンドの反応で同一の傾向および同様な誘導レベルがHeLa細胞で両方のERβ
について認められた。図2Bおよび図4に示したデータはラットERβ発現プラ
スミドで得られた。
【0111】 実験と結果: エストロゲンのE2およびジエチルスチルベストロール(DES)並びにアン チエストロゲンのインペリアルケミカルインダストリーズ(ICI)16438
4、タモキシフェン、およびラロキシフェンに対する反応における、古典的ER
EでのERαおよびERβのトランスアクチベーション特性を先ず調べた。ER
α(18)およびERβ(図2)はともにリガンド一式について同じトランスア
クチベーション経過を示した。E2およびDESは、ICI164384、ラロ キシフェン、タモキシフェンおよびコントロール(リガンド無添加)と較べてル
シフェラーゼ産生を10倍刺激した。アンチエストロゲンは、リガンド競合実験
でE2刺激を遮断した。
【0112】 次に、AP1部位でのERαおよびERβのリガンド誘導トランスアクチベー
ションの態様を調べた。ERαに関しては、アンチエストロゲンのICI164
384、タモキシフェン、およびラロキシフェンを含む5つのリガンド全てがル
シフェラーゼ転写を刺激した(図3)。レポータープラスミドのみをトランスフ
ェクトされた細胞はレポーターの転写誘導を示さなかったので、この刺激はトラ
ンスフェクトされたERに依存するものであった。5つのリガンドのうち、ラロ
キシフェンの転写誘導はもっとも低く、E2およびタモキシフェンで典型的に観 察される6倍の誘導と比較して2倍の誘導を示した。ラロキシフェン誘導トラン
スアクチベーションは用量依存性を示し、1/2最大活性化に必要な濃度値(E
50)は約1nMであった。さらに、ラロキシフェンは、E2によって惹起され る活性化をラロキシフェン単独で認められる値まで用量依存性態様で低下させ、
ラロキシフェン誘導はE2による誘導よりも弱く、さらにラロキシフェン誘導ト ランスアクチベーションはERαとの結合で生じることを明らかにした。E2が 、AP1成分でのERαの完全な活性化物質として分類されるならば(ERα−
AP1)、ラロキシフェンは部分的活性化物質として機能し、タモキシフェンは
完全な活性化物質として機能する。
【0113】 ERα−AP1で認められた結果と対照的に、AP1成分でのERβのリガン
ド活性化経過(ERβ−AP1)における違いが観察された。ERβをトランス
フェクトされた細胞では、エストロゲンのE2およびDESによる処理はコント ロールを越えるルシフェラーゼ転写の増加をもたらさなかったが、アンチエスト
ロゲンであるICI164384、ラロキシフェンおよびタモキシフェンはルシ
フェラーゼ転写を増加させた(図4A)。この転写活性化はERβのトランスフ
ェクションを必要とした。なぜならば、レポータープラスミドのみをトランスフ
ェクトされたウェルはアンチエストロゲンによる転写活性化を示さなかったから
である。ラロキシフェンによって惹起される転写活性化は用量依存性で、EC50 は約50nMであった(図4B)。リガンド競合実験では、E2およびDESは ともにラロキシフェン誘導を遮断することができ、さらにこの2つのエストロゲ
ンリガンドは用量依存性態様でラロキシフェン誘導を転写の基準レベルにまで減
少させることができ、1/2最大抑制に必要な濃度値は1から10nMであった
(図4C)。
【0114】 別のリガンド競合実験では、E2の処理によって生じる転写に対する抑制効果 は、より高濃度のラロキシフェンによって用量依存性態様で克服できた(図4D
)。したがって、ERリガンドの薬理作用はERβ結合AP1成分で逆転するよ
うである。ERβ−AP1では、アンチエストロゲンは転写活性化物質として作
用し、エストロゲンは転写抑制物質として作用する。
【0115】 次に、ERβ−AP1の作用が、エストロゲン標的組織(例えば子宮および乳
房)に由来する細胞株で認められるか否かを調べた。ERβ−AP1についての
トランスアクチベーションアッセイをIshikawa細胞(ヒト子宮細胞株) (図5)
並びにMCF7(図5B)およびMDA453(図5C)ヒト乳癌細胞で実施し
た。(ヒトERβをこれらの細胞でのトランスアクチベーションのために用いた
)。これらの細胞株の各々で、リガンドはそれらがHeLa細胞で作用したよう
に作用した。すなわち3つのアンチエストロゲンはAP1部位からERβ依存転
写を活性化し、エストロゲンは抑制した(図5)。ERβ発現プラスミドをトラ
ンスフェクトされなかった細胞では誘導は認められず、アンチエストロゲン誘導
はERβを必要とすることを示した。乳房細胞株におけるアンチエストロゲン誘
導は、HeLa細胞で認められたものよりも高かった。トランスフェクトし、ラ
ロキシフェンで処理したMCF7細胞はコントロール(リガンド無添加)の20
倍から80倍のトランスアクチベーション反応を示した。さらに、ラロキシフェ
ンおよびICI164384は、乳房細胞株でタモキシフェンよりも高い転写を
誘導した(図5BおよびC)。
【0116】 MCF7細胞は、高濃度の内因性ERβmRNAを含んでいるようには見られ
なかったが(Kuiper et al., Endocrinol., 138:553(1997))、上記の結果は、E
Rβ−AP1機能のために必要とされる更なる転写機構がこれらの細胞で存在す
ることが示唆される。これら標的組織細胞株のうち2つに関して、E2処理はコ ントロール(リガンド無添加)で認められるよりも低い値に転写を低下させた。
MDA453(図5C)およびIshikawa細胞(図5A)では、E2処理は、コン トロールと比較してレポーター転写レベルを一貫して40−75%低下させた。
この作用はまたリガンド競合実験(図5AおよびC)でも観察された。すなわち
、E2およびDESはラロキシフェン誘導を遮断し、コントロールで認められる よりも低い値に転写を低下させた。したがって、エストロゲンホルモンE2また は合成エストロゲンDESがERβに結合するとき、ERβはER依存性AP1
成分によって制御される遺伝子のマイナスの調製物質として機能する。
【0117】 ERは、種々のサブタイプを有する核レセプターのステロイド性下位ファミリ
ーに属するただ1つの既知物質である(Mangeldorf et al., Cell, 83:835-839(
1996))。種々の既知サブタイプを有する非ステロイドホルモンと反応する核レセ
プターには、甲状腺レセプター(TRαおよびTRβ)、レチン酸レセプター(
RARα、RARβおよびRARγ)、およびレチノイドXレセプター(RXR
α、RXRβおよびRXRγ)が含まれる(Mangelsdorf et al., Cell, 83:841
-850(1996))。本明細書で提示した結果は、2つの核レセプターサブタイプは、
天然のホルモンに対して反対の調節態様で同じDNA反応成分から反応すること
ができることを示している。さらにまた、AP1部位でのERβによるリガンド
誘導反応は、天然のホルモンによるマイナスの転写調節および合成アンチエスト
ロゲンによる強力なプラスの調節例を提供した。形質転換増殖因子およびキノン
レダクターゼの遺伝子は、非古典的ERE(これはアンチエストロゲンによって
活性化される)を含むプロモータによって制御されるER調節遺伝子である。し
かしながら、これらプロモータのどちらかでのERβの作用はこれまで報告され
ていない。キノンレダクターゼ遺伝子に対するERαの作用は、AP1部位での
ERβのそれと同様なリガンド像を示している。すなわち、アンチエストロゲン
は転写活性化物質で、E2は転写抑制物質である。
【0118】 ER依存AP1成分からのシグナル発生がエストロゲン標的組織で生じる場合
、ERαおよびERβがAP1部位で異なる態様でリガンドと反応する、という
本 明細書に開示した発見は、エストロゲン反応性遺伝子の転写調節のための潜在的
な制御メカニズムを提示し、アンチエストロゲン治療の薬理作用の分析において
一層の複雑性を付加する。ERβと複合体を形成したE2の役割はこれら遺伝子 の転写を停止させることであろう。一方、アンチエストロゲンのラロキシフェン
、タモキシフェンおよびICI164384はこの遮断を乗り越え、遺伝子の転
写 を活性化できるのであろう。エストロゲン標的組織でAP1部位でERβによっ
て転写が調節される遺伝子を探索し、これらの遺伝子が活性化される細胞の表現
型の性状を調べることは極めて有用であろう。
【0119】 本明細書で述べた実施例および実施態様は単に説明を目的とし、当業者によっ
て種々の改造および変更が可能で、さらにそれらは本発明の範囲内に含まれるこ
とは理解されよう。本明細書に引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、
参照により本明細書に含まれる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 以下の5つのエストロゲンレセプター(ER)リガンドの構造を示す:エスト
ラジオール(E2)、ジエチルアスチルベストロール(DES)、ICI184 384、ラロキシフェン(Ral)おびタモキシフェン(Tam)。
【図1B】 2つのエストロゲンレセプター(ER)反応成分を示す:単純(古典的)エス
トロゲン反応成分(ERE)およびER依存AP1成分(USSN08/410
807号、USSN60/051309号、およびWebb et al., Mol. Endo., 9
:443-456(1995)にもまた記載されている)。
【図2】 エストロゲン反応成分(ERE)でのERβの作用を示す。HeLa細胞に、
本明細書で開示するERE−調節ルシフェラーゼレポータープラスミドおよびラ
ットERβのための発現ベクターを核酸感染(トランスフェクト)させた。トラ
ンスフェクトした細胞をリガンド(E2、0.1μM;DES、1μM;Ral 、1μM;タモキシフェン、5μM;およびICI、1μM)またはエチルアル
コール(EtOH)賦形剤コントロールで処理した。全てのアッセイは少なくと
も3組のトランスフェクションで実施した。誤差バーは1度の代表的トランスフ
ェクションの培養穴(ウェル)間での偏差を示す。
【図3】 AP1成分でのERαの作用を示す。HeLa細胞にAP1レポータープラス
ミドおよびERα発現プラスミドをトランスフェクトし、5つのリガンド(図2
参照)で処理した。リガンド濃度はE2、0.1μM;DES、1μM;Ral 、1μM;Tam、5μM;およびICI、1μMである。誤差バーは図2と同
様である。
【図4A】 AP1でのERβ活性化および抑制を示す。 AP1反応成分でのERβ作用。HeLa細胞にAP1レポータープラスミド
およびラットERβ発現プラスミドを本明細書で開示するようにトランスフェク
トした。トランスフェクトした細胞を以下のリガンド濃度で処理した:E2、0 .1μM;DES、1μM;Ral、1μM;Tam、5μM;およびICI、
1μMである。
【図4B】 AP1成分でのERβによるラロキシフェン誘導のドースレスポンス。Aで述
べたようにトランスフェクトしたHeLa細胞を表示のラロキシフェン濃度範囲
で処理した。
【図4D】 E2およびDESによるラロキシフェン誘導の抑制比較。HeLa細胞を(A )で述べたようにトランスフェクトし、リガンドで処理した。左の図は、ラロキ
シフェン(1μM)によるトランスアクチベーションの誘導、E2(0.1μM )による誘導が見られず、コントロール(リガンド無添加)で認められる誘導量
を示す。右の図は、DES(実線)およびE2(点線)によるラロキシフェン( 1μM)誘導抑制の用量依存性を示す。
【図4D】 ラロキシフェンを越えるE2抑制。HeLa細胞を(A)について述べたよう にトランスフェクトし、リガンドで処理した。左の図は、賦形剤コントロール(
EtOH)、Ral(1μM)+E2(10nM)、およびE2(10nM)単独
により得られた転写誘導を示す。右の図は、E2(10nM)の存在下でのラロ キシフェン誘導の用量依存性を示す。
【図5A】 3つの細胞タイプ(Ishikawa細胞、MCF7細胞およびMDA453細胞)に
おけるリガンド依存ERβ活性を示す。 Ishikawa細胞におけるAP1成分でのリガンド依存ERβ作用。Ishikawa細胞
にAP1調節ルシフェラーゼレポータープラスミドおよびERβ発現プラスミド
をトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を表示のように1つまたは2つ
以上のリガンドで処理した(E2、0.1μM;DES、1μM;Ral、1μ M;Tam、5μM;およびICI、1μM;またはEtOH賦形剤(コントロ
ール))。
【図5B】 MCF7細胞におけるAP1成分でのリガンド依存ERβ作用。MCF7細胞
を(A)について述べたように処理し分析した。
【図5C】 MDA453細胞におけるAP1成分でのリガンド依存ERβ作用。MDA4
53細胞を(A)について述べたように処理し分析した。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月3日(2000.3.3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1A
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1A】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 クイペル、ゲオルゲ ジー. ジェイ. エム. スウェーデン国 エス−141 48 フッデ ィンゲ 6ティーアール ルンフゲン 10 (72)発明者 ニルソン、ステファン スウェーデン国 エス−141 64 ロンニ ンゲ グンネボワーゲン 15 (72)発明者 ピーチ、コルジャ アメリカ合衆国 94720 カリフォルニア 州 バークリー ピードモント アベニュ ー 2299 ルーム 630 (72)発明者 スキャンラン、トーマス エス. アメリカ合衆国 94122 カリフォルニア 州 サンフランシスコ モラガ 2525 (72)発明者 ウェッブ、ポール アメリカ合衆国 94122 カリフォルニア 州 サンフランシスコ アービング スト リート 1300 ナンバー21

Claims (71)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のa)〜c)の工程を含む、AP1部位での弁別的E
    Rα仲介による活性化およびERβ仲介による活性化についてテスト化合物をス
    クリーニングする方法: a)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、および第
    一のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモーターを有する
    構築物を含む第一の細胞を提供し; b)前記第一の細胞を前記テスト化合物と接触させ;さらに c)前記第一のレポーター遺伝子の発現をAP1部位での遺伝子のERα
    仲介による発現と比較する。
  2. 【請求項2】 前記第一の細胞が異種のエストロゲンレセプターベータ(
    ERβ)を含む請求の範囲第1項の方法。
  3. 【請求項3】 前記ERβが配列番号:3または配列番号:4のアミノ酸
    配列を含む請求の範囲第1項の方法。
  4. 【請求項4】 前記細胞が異種のAP1タンパク質を含む請求の範囲第1
    項の方法。
  5. 【請求項5】 前記レポーター遺伝子が、クロラムフェニコールアセチル
    トランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ(β−
    gal)、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP
    )、成長ホルモン(GH)および緑色蛍光タンパク質(GFP)から成る群から
    選ばれる請求の範囲第1項の方法。
  6. 【請求項6】 前記レポーター遺伝子がルシフェラーゼまたは緑色蛍光タ
    ンパク質(GFP)をコードする請求の範囲第5項の方法。
  7. 【請求項7】 前記テスト化合物がアンチエストロゲン様活性を有するこ
    とが既知のテスト化合物である請求の範囲第1項の方法。
  8. 【請求項8】 前記AP1部位でのERα仲介による遺伝子発現が下記の
    d)〜f)によって決定される請求の範囲第1項の方法: d)エストロゲンレセプターα(ERα)、AP1タンパク質、および第
    二のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモーターを有する
    構築物を含む第二の細胞を提供し; e)前記第二の細胞を前記テスト化合物と接触させ;さらに f)前記第二のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  9. 【請求項9】 前記標準的エストロゲン反応成分がゼノプス・ビテロゲニ
    ン(Xenopus vitellogenin)A2遺伝子に由来する請求の範囲第8項の方法。
  10. 【請求項10】 前記第二のレポーター遺伝子および前記第一のレポータ
    ー遺伝子が同じレポーター遺伝子である請求の範囲第8項の方法。
  11. 【請求項11】 前記第一の細胞および前記第二の細胞が同じ細胞である
    請求の範囲第8項の方法。
  12. 【請求項12】 以下のa)〜c)の工程を含む、AP1部位でのエスト
    ロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子活性化を活性化または抑制する
    能力についてテスト化合物をスクリーニングする方法: a)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、および第
    一のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモーターを有する
    構築物を含む第一の細胞を提供し; b)前記第一の細胞を前記テスト化合物と接触させ;さらに c)前記第一のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  13. 【請求項13】 前記第一の細胞が異種のエストロゲンレセプターβ(E
    Rβ)を含む請求の範囲第12項の方法。
  14. 【請求項14】 前記ERβが配列番号:3または配列番号:5のアミノ
    酸配列を含む請求の範囲第12項の方法。
  15. 【請求項15】 前記細胞が異種のAP1タンパク質を含む請求の範囲第
    14項の方法。
  16. 【請求項16】 前記レポーター遺伝子が、クロラムフェニコールアセチ
    ルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ(β
    −gal)、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HR
    P)、成長ホルモン(GH)および緑色蛍光タンパク質(GFP)から成る群か
    ら選ばれる請求の範囲第12項の方法。
  17. 【請求項17】 前記レポーター遺伝子がルシフェラーゼまたは緑色蛍光
    タンパク質(GFP)をコードする請求の範囲第16項の方法。
  18. 【請求項18】 前記テスト化合物がアンチエストロゲン様活性を有する
    ことが既知のテスト化合物である請求の範囲第12項の方法。
  19. 【請求項19】 さらに以下のd)〜f)の工程を含む請求の範囲第12
    項の方法: d)エストロゲンレセプターα(ERα)、AP1タンパク質、および第
    二のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモーターを有する
    構築物を含む第二の細胞を提供し; e)前記第二の細胞を前記テスト化合物と接触させ;さらに f)前記第二のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  20. 【請求項20】 さらに以下のd)〜f)の工程を含む請求の範囲第12
    項の方法: d)エストロゲンレセプターα(ERα)、および第三のレポーター遺伝
    子の発現を調節する標準的エストロゲン反応成分(ERE)を含むプロモーター
    を有する構築物を含む第三の細胞を提供し; e)前記第三の細胞を前記テスト化合物と接触させ;さらに f)前記第三のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  21. 【請求項21】 前記標準的エストロゲン反応成分がゼノプス・ビテロゲ
    ニン(Xenopus vitellogenin)A2遺伝子に由来する請求の範囲第20項の方法
  22. 【請求項22】 さらに以下のd)〜f)の工程を含む請求の範囲第12
    項の方法: d)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、および第四のレポーター遺伝
    子の発現を調節する標準的エストロゲン反応成分(ERE)を含むプロモーター
    を有する構築物を含む第四の細胞を提供し; e)前記第四の細胞を前記テスト化合物と接触させ;さらに f)前記第四のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  23. 【請求項23】 前記標準的エストロゲン反応成分がゼノプス・ビテロゲ
    ニン(Xenopus vitellogenin)A2遺伝子に由来する請求の範囲第22項の方法
  24. 【請求項24】 前記第一の細胞と前記第三の細胞が同じ細胞である請求
    の範囲第20項方法。
  25. 【請求項25】 前記第一の細胞と前記第四の細胞が同じ細胞である請求
    の範囲第22項方法。
  26. 【請求項26】 さらに前記テスト化合物に加えて、第二の化合物を前記
    第一の細胞と接触させることを含み、前記第二の化合物が、AP1部位でのエス
    トロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子活性化によって転写を活性化
    することが判明していて、前記検出が、テスト化合物によるAP1部位での前記
    エストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による遺伝子の活性化の低下を検出す
    ることを含む、請求の範囲第12項の方法。
  27. 【請求項27】 前記検出が、テスト化合物および第二の化合物の存在条
    件下での前記第一のレポーター遺伝子の発現を、テスト化合物非存在かつ第二の
    化合物の存在条件下での前記第一のレポーター遺伝子の発現と比較することを含
    む、請求の範囲第26項の方法。
  28. 【請求項28】 AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲
    介による遺伝子活性化によって転写を活性化することが分かっている第二の化合
    物を、以下のa)〜c)の工程を含む方法によって特定する請求の範囲第26項
    の方法: a)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、および第
    二のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモーターを有する
    構築物を含む第二の細胞を提供し; b)前記第二の細胞を第二の化合物と接触させ;さらに c)前記第二のレポーター遺伝子の発現を検出するが、この場合、前記化
    合物によって生じる前記第二のレポーター遺伝子の発現の増加は、前記AP1部
    位でERβを介して前記第二の化合物が転写を活性化させたことを示す。
  29. 【請求項29】 さらに、前記テスト化合物に加えて、第二の化合物を前
    記第一の細胞と接触させることを含み、前記第二の化合物が、AP1部位でのエ
    ストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による活性によって転写を抑制すること
    が判明していて、さらに、前記検出が、AP1部位でのエストロゲンレセプター
    β(ERβ)仲介による遺伝子活性化の増加をテスト化合物が仲介したことを検
    出することを含む、請求の範囲第12項の方法。
  30. 【請求項30】 前記検出が、テスト化合物および第二の化合物の存在条
    件下での前記第一のレポーター遺伝子の発現を、テスト化合物非存在かつ第二の
    化合物の存在条件下での前記第一のレポーター遺伝子の発現と比較することを含
    む、請求の範囲第29項の方法。
  31. 【請求項31】 AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲
    介による遺伝子活性化によって転写を抑制することが分かっている前記第二の化
    合物を、以下のa)〜c)の工程を含む方法によって特定する請求の範囲第29
    項の方法: a)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、および第
    二のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモーターを有する
    構築物を含む第二の細胞を提供し; b)前記第二の細胞を第二の化合物と接触させ;さらに c)前記第二のレポーター遺伝子の発現を検出するが、この場合、前記化
    合物によって生じる前記第二のレポーター遺伝子の発現の低下は、前記AP1部
    位でERβを介して前記第二の化合物が転写を抑制したことを示す。
  32. 【請求項32】 エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク
    質、および第一のレポーター遺伝子の発現を調節するAP1部位を含むプロモー
    ターを有する構築物を含む細胞。
  33. 【請求項33】 さらに前記細胞が、エストロゲン以外の核転写因子リガ
    ンドのためのレセプターを含む請求の範囲第32項の細胞。
  34. 【請求項34】 前記細胞が、異種のエストロゲンレセプターβ(ERβ
    )を含む請求の範囲第32項の細胞。
  35. 【請求項35】 前記細胞が、異種のAP1タンパク質を含む請求の範囲
    第32項の細胞。
  36. 【請求項36】 前記異種のAP1タンパク質がc−junである請求の
    範囲第32項の細胞。
  37. 【請求項37】 前記第一のレポーター遺伝子が、クロラムフェニコール
    アセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダー
    ゼ(β−gal)、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ
    (HRP)、成長ホルモン(GH)および緑色蛍光タンパク質(GFP)から成
    る群から選ばれる請求の範囲第32項の細胞。
  38. 【請求項38】 前記レポーター遺伝子がルシフェラーゼまたは緑色蛍光
    タンパク質(GFP)をコードする請求の範囲第37項の細胞。
  39. 【請求項39】 前記細胞が、さらに第二のレポーター遺伝子の発現を調
    節する標準的エストロゲン反応成分(ERE)を含むプロモータを有する構築物
    を含む請求の範囲第38項の細胞。
  40. 【請求項40】 前記標準的エストロゲン反応成分(ERE)がゼノプス
    ・ビテロゲニン(Xenopus vitellogenin)A2遺伝子に由来する請求の範囲第3
    9項の細胞。
  41. 【請求項41】 前記細胞が哺乳類細胞である請求の範囲第32項の細胞
  42. 【請求項42】 前記細胞が、乳房組織または子宮組織に由来する請求の
    範囲第41項の細胞。
  43. 【請求項43】 以下のa)〜c)の工程を含む、AP1部位での転写の
    エストロゲンレセプターβ(ERβ)仲介による活性化または不活性化を調節す
    る能力について核転写因子リガンドをスクリーニングする方法: a)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、前記核転
    写因子リガンドのためのレセプター、および第一のレポーター遺伝子の発現を調
    節するAP1部位を含むプロモーターを有する構築物を含む第一の細胞を提供し
    ; b)前記第一の細胞を前記転写因子リガンドおよび前記AP1部位でのE
    Rβ仲介による活性を有する化合物と接触させ;さらに c)前記第一のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  44. 【請求項44】 さらに以下のd)〜f)の工程を含む請求の範囲第43
    項の方法: d)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、前記核転写因子リガンドのた
    めのレセプター、および第二のレポーター遺伝子の発現を調節するエストロゲン
    反応成分(ERE)を含むプロモーターを有する構築物を含む第二の細胞を提供
    し; e)前記第二の細胞を前記転写因子リガンドおよびAP−1仲介エストロ
    ゲン活性を有する前記化合物と接触させ;さらに f)前記第二のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  45. 【請求項45】 前記第一の細胞と前記第二の細胞が同じ細胞である請求
    の範囲第44項の方法。
  46. 【請求項46】 さらに以下のd)〜f)の工程を含む請求の範囲第43
    項の方法: d)前記核転写因子リガンドの同族レセプター、および第二のレポーター
    遺伝子の発現を調節する前記同族レセプターのための反応成分を含むプロモータ
    ーを有する第二の細胞を提供し; e)前記第二の細胞を前記転写因子リガンドおよび前記AP1でのERβ
    仲介による活性を有する前記化合物と接触させ;さらに f)前記第二のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  47. 【請求項47】 前記第一の細胞と前記第二の細胞が同じ細胞である請求
    の範囲第46項の方法。
  48. 【請求項48】 前記核転写因子リガンドが、糖質コルチコイド、プロゲ
    スチン、ビタミンD、レチン酸、アンドロゲン、鉱質コルチコイドおよびプロス
    タグランジンから成る群から選ばれる請求の範囲第43項の方法。
  49. 【請求項49】 前記同族レセプターが、エストロゲンレセプター、糖質
    コルチコイドレセプター、プロゲスチンPR−Aレセプター、プロゲスチンPR
    −Bレセプター、アンドロゲンレセプター、鉱質コルチコイドレセプターおよび
    プロスタグランジンレセプターから成る群から選ばれる請求の範囲第46項の方
    法。
  50. 【請求項50】 前記ERβが配列番号:3または配列番号:5のアミノ
    酸配列を含む請求の範囲第43項の方法。
  51. 【請求項51】 前記エストロゲンレセプターERβが前記細胞にとって
    異種である請求の範囲第43項の方法。
  52. 【請求項52】 前記核転写因子リガンドのための前記レセプターが前記
    細胞にとって異種である請求の範囲第43項の方法。
  53. 【請求項53】 前記細胞が異種DNAからAP1タンパク質を発現させ
    る請求の範囲第43項の方法。
  54. 【請求項54】 前記AP1タンパク質がc−junである請求の範囲第
    53項の方法。
  55. 【請求項55】 前記核転写因子がプロゲスチンであり、かつ前記核転写
    因子リガンドのための前記レセプターがプロゲスチンレセプターである請求の範
    囲第43項の方法。
  56. 【請求項56】 前記核転写因子が糖質コルチコイドであり、かつ前記核
    転写因子リガンドのための前記レセプターがGRレセプターである請求の範囲第
    43項の方法。
  57. 【請求項57】 以下のa)〜c)の工程を含む、核転写因子リガンドに
    よるAP1部位での転写のエストロゲンレセプターβ(ERβ)活性化または不
    活性化の調節を変更する能力について薬剤をスクリーニングする方法: a)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、AP1タンパク質、前記核転
    写因子リガンドのためのレセプター、および第一のレポーター遺伝子の発現を調
    節するAP1部位を含むプロモーターを含む第一の細胞を提供し; b)前記第一の細胞を前記転写因子リガンド、AP1部位でのERβ仲介
    による活性を有する化合物、および前記薬剤と接触させ;さらに c)前記第一のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  58. 【請求項58】 さらに以下のd)〜f)の工程を含む請求の範囲第57
    項の方法: d)エストロゲンレセプターβ(ERβ)、前記核転写因子リガンドのた
    めのレセプター、および第二のレポーター遺伝子の発現を調節するエストロゲン
    反応成分(ERE)を含むプロモーターを有する第二の細胞を提供し; e)前記第二の細胞を前記転写因子リガンドおよびAP−1仲介によるエ
    ストロゲン様活性を有する前記化合物と接触させ;さらに f)前記第二のレポーター遺伝子の発現を検出する。
  59. 【請求項59】 前記第一の細胞と前記第二の細胞が同じ細胞である請求
    の範囲第58項の方法。
  60. 【請求項60】 前記核転写因子が、糖質コルチコイド、プロゲスチン、
    ビタミンD、レチン酸、アンドロゲン、鉱質コルチコイドおよびプロスタグラン
    ジンから成る群から選ばれる請求の範囲第57項の方法。
  61. 【請求項61】 前記核転写因子リガンドのための前記レセプターが、エ
    ストロゲンレセプター、糖質コルチコイドレセプター、プロゲスチンPR−Aレ
    セプター、プロゲスチンPR−Bレセプター、アンドロゲンレセプター、鉱質コ
    ルチコイドレセプターおよびプロスタグランジンレセプターから成る群から選ば
    れる請求の範囲第57項の方法。
  62. 【請求項62】 前記細胞が異種エストロゲンレセプターβ(ERβ)を
    含む請求の範囲第57項の方法。
  63. 【請求項63】 前記細胞が、前記核転写因子リガンドのための異種レセ
    プターを発現する請求の範囲第57項の方法。
  64. 【請求項64】 前記細胞が異種AP1タンパク質を含む請求の範囲第5
    7項の方法。
  65. 【請求項65】 前記AP1タンパク質がc−junである請求の範囲第
    64項の方法。
  66. 【請求項66】 前記核転写因子がプロゲスチンであり、かつ前記核転写
    因子リガンドのための前記レセプターがプロゲスチンレセプターである請求の範
    囲第57項の方法。
  67. 【請求項67】 前記核転写因子が糖質コルチコイドであり、かつ前記核
    転写因子リガンドのための前記レセプターがGRレセプターである請求の範囲第
    57項の方法。
  68. 【請求項68】 AP1部位でのエストロゲンレセプターβ(ERβ)仲
    介による遺伝子活性化を活性化するかまたは抑制する能力について化合物をスク
    リーニングするキットであって、前記キットが、エストロゲンレセプターβ(E
    Rβ)、AP1タンパク質、および第一のレポーター遺伝子の発現を調節するA
    P1部位を含むプロモーターを有する構築物を含む細胞を収納する容器を含む、
    前記スクリーニングキット。
  69. 【請求項69】 請求の範囲第1項、第9項、第12項、第16項、また
    は第18項のアッセイ方法を実施するためのプロトコルを含む指示資料をさらに
    含む請求の範囲第68項のキット。
  70. 【請求項70】 前記細胞が、さらにエストロゲン以外の核転写因子リガ
    ンドのためのレセプターを含む請求の範囲第68項のキット。
  71. 【請求項71】 請求の範囲第29項、第30項、第32項、第42項、
    または第43項のアッセイ方法を実施するためのプロトコルを含む指示資料をさ
    らに含む請求の範囲第68項のキット。
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