JP2001514842A - グルコース応答性β細胞株 - Google Patents

グルコース応答性β細胞株

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、適当は生物工学的方法によりグルコース応答性を付与され得る不死化されたインスリン産生ヒトβ細胞を提供する。本発明は更に、調節されない不死化されたヒトインスリン分泌β細胞を選択する工程、該選択された細胞株を、グルコース応答性を遺伝的に制御するためのエレメントでトランスフェクションする工程、及びこのようにしてトランスフェクションされたβ細胞を増殖する工程を含む、不死化されたグルコース応答性インスリン産生ヒトβ細胞を作出する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、不死化されたグルコース応答性β細胞株に関する。このような細胞
株は、特にヒトにおけるI型糖尿病の治療において有用だが、他の哺乳類におけ るインスリン管理、更には交雑種(cross species)の生産及び使用が、想定され ている。
【0002】 I型(インスリン依存型)糖尿病において、主要な欠損は、膵β細胞の破壊に よるインスリン産生の結果としての喪失である。この状態は、通常インスリン投
与によって管理される。しかしインスリン送達に関して現在利用できる方法は、
グルコース代謝の正常な調節を回復させることはない。糖尿病でない者のインス
リン分泌は、食間及び夜間に生じる基本的分泌、並びに食事に反応して刺激され
る分泌によって特徴づけられる。市販の即効性(NRI-HI)及び遅効性(ultralente)
インスリン製剤は、糖尿病患者においてこのような自然の分泌パターンを模倣す
ることに失敗している。最も即効性のインスリン製剤は、刺激されたインスリン
分泌よりも、作用開始が遅く、より持続性があるのに対して、遅効性インスリン
は、基本的分泌時に認められるものよりもはるかに上昇したインスリンレベルを
生じる。最終的な結果として、インスリンを皮下注射している患者は、高血糖症
、低血糖症又は高インスリン血症の顕著なリスクを伴わずに自身の糖血をコント
ロールすることが非常に困難になる。糖尿病管理合併症試験(DCCT)の結果は、厳
密な糖血の管理は、腎障害、網膜症、神経障害、及び心臓血管系疾患のような長
期合併症の出現を顕著に減少することができることを示している。低血糖症は、
許容できるものではなく危険である一方で、高インスリン血症は、より高い粥状
硬化症のリスクに関連している。これは背景となる論文Clinical Science、92,3
21-330(1997)において考察されている。
【0003】 従って、糖尿病患者において糖血管理を改善する新規方法の開発が必要である
ことが長年にわたって明らかとなっている。改善された血中グルコース濃度の自
己監視法と組合せた、オープン−ループ式及びクローズド−ループ式の連続イン
スリン注入装置が、ほぼ正常な糖血を提供するために開発されている。しかしな
がら、これらの装置の使用は、a)いくつかの装置は外来患者について不適切であ
ること;b)装置がフェール・セーフでないこと;c)装置が正常な量のインスリン
の生理的代償を提供しないこと;及びd)装置が、患者の一部においては高度の動
機づけと集中トレーニングを必要とすることのために、妥協の産物である。
【0004】 I型糖尿病の理想的な治療は、患者の破壊されたβ細胞を移植された膵ランゲ ルハンス島で置換することであろう。しかしこの方法は、2つの大きな欠点があ
る:a)患者は移植された島の拒絶反応を防ぐために免疫抑制薬により治療されな
ければならないこと;及びb)ヒトの死体組織の利用可能性に左右されることであ
る。調製する能力に加えて、このようなドナー組織由来の純粋な島には問題が多
いことが示されている。ブタの島が、簡便な代用品として提唱されている。しか
しブタの島調製物の純度、組織の利用可能性、貯蔵、及び移植の拒絶反応のため
に問題がある。
【0005】 循環グルコース濃度の管理を改善する代わりの治療法は、in vitroにおいてイ
ンスリンを発現するように遺伝子が修飾された細胞の移植である。従って培養さ
れた細胞株は、DNAが媒介した遺伝子導入によりインスリンを発現するように操 作され、かつ細胞は封入され、患者に移植される。いくつかの方法が採用されて
いる: 1)β細胞株の操作:多くの齧歯類又はハムスターのβ細胞株が使用される。
これらは、単離されたランゲルハンス島のX-線照射、単離されたランゲルハンス
島のDNA腫瘍ウイルスによる形質転換、トンスジェニックマウスのβ細胞におけ るSV40ラージT抗原の発現、もしくはランゲルハンス島の不死化された細胞株と の細胞融合によって、作成される。これらの細胞株の問題点は、これらが連続培
養においてある期間が過ぎると分化しなくなる傾向があることである。これは、
生理的範囲(4〜10mM)から、より低いミリモルの範囲までのグルコース感受性 インスリン分泌の喪失をもたらす。更に、これらの細胞は高度に増殖性であるの
で、糖尿病患者に移植した場合に分泌されるインスリンレベルを予測する(動物
実験を基に)ことが困難である、すなわち、該細胞は動物において増殖するので
、インスリンレベルは非常に高くなり、動物は低血糖症となる。 2)非β神経内分泌系細胞の操作。マウスの副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞株
AtT20のような細胞は、インスリンで安定してトランスフェクションすることが できる。しかしながら、これらのAtT20ins細胞はプロインスリンをインスリンに
効果的にプロセシングするが、これらはグルコースに反応してインスリンを分泌
することはない。グルコース輸送体GLUT-2によりトランスフェクションすること
によりAtT20ins細胞のグルコース応答を作出する(AtT20insGLUT-2細胞を作出)
試みはうまくいかず−細胞はグルコースに対し何らかの反応を示したが、生理的
範囲以下であった。神経内分泌系細胞の使用に伴う主要な問題点は、インスリン
と同時に分泌される内因性の神経ペプチド又はホルモン(例えばACTH)が、イン
スリンの作用に拮抗するか、もしくは他方で患者の代謝バランスを混乱させ得る
ことである。従って我々は、ある程度の糖血管理が糖尿病動物へのAtT20ins又は
AtT20insGLUT-2細胞の移植により達成できるにもかかわらず、一定期間の後に、
移植された細胞から分泌されるATCHの上昇したレベルの結果として、動物がイン
スリン抵抗性になることにより、高血糖症が発生することを示した。 3)非神経内分泌系細胞の操作。筋肉、肝臓及び繊維芽細胞を用いてインスリ
ンが投与されている。これらの細胞の問題点は、これらがプロインスリンをイン
スリンにプロセシングする能力、又は循環グルコースレベルの変化を感知する能
力を有さないことである。第一の問題点は、偏在して発現されたプロテアーゼで
あるフューリンの認識配列に対するプロインスリン切断部位の変異誘導によって
克服された。非神経内分泌系細胞におけるグルコース感受性インスリン分泌の操
作に関する第二の問題点は、本発明の技術及び知識の範囲を超えている。しかし
ながら、これらの細胞からのインスリンの構成的な少しずつの放出は、特定の環
境下では治療上価値がある。 4)最後の方法は、糖尿病患者から採取した初代細胞を操作することである。
これらの細胞は、非神経内分泌系、すなわち筋肉又は繊維芽細胞を起源とするで
あろう。この目的は、フューリンにより切断されるように操作された変異体プロ
インスリン分子を用いて、インスリンの安定した少しずつの放出を得ることであ
ろう。
【0006】 前述の領域において進歩があるにも係らず、誰も今日まで、培地において良好
に増殖し、かつ生理的範囲でのグルコース濃度の変化に反応してインスリンを分
泌する細胞株を遺伝子操作もクローン化もしていない。このようなヒト膵β細胞
株が、長期にわたって求められている。我々はここで、乳児期の持続性高インス
リン低血糖症(PHHI)(膵島細胞症、膵島過形成、新生児期の持続性インスリン過
剰症、先天性インスリン過剰症、家族性インスリン過剰症(高血糖症を伴う)、
乳児の持続性インスリン過剰症、インスリン過剰血症性低血糖症、微小腺腫症、
島細胞過形成、病巣性インスリン過剰症、播種性インスリン過剰症、グルコキナ
ーゼアップレギュレーション障害、グリセルアルデヒド脱水素酵素障害、インス
リン過剰症及び高アンモニア血症症候群、小児のインスリノーマとしても公知)
の患者から、それ自身単離された操作されたβ様細胞を基にした新規方法を用い
て、多くのこのような細胞株を作出することに成功した。
【0007】 我々は、PHHI由来の細胞を使用したが、他の供給源由来の未熟細胞又は生物工
学的に操作した細胞株も、これらが最初に不死化された調節されないインスリン
分泌を生じる限りは使用することができることは理解されるであろう。不死化と
いう用語は、培地中でin vitroにおいて増殖している細胞株を意味する。一部の
PHHI患者から単離された島細胞は、in vitroにおいて自然発生的に増殖するので
、細胞株作出のためには理想的である。
【0008】 細胞株については、我々は本発明の細胞株由来で、ここで特許された細胞株由
来の細胞DNAが組込まれている細胞株を含んでいる。
【0009】 乳児期の持続性高インスリン低血糖症(PHHI)又は膵島細胞症は、調節できない
インスリン分泌及び乳幼児期の根強い低血糖症を特徴とする稀な疾患であるが、
これは小児の持続性低血糖症の最も一般的な原因である。PHHIは、膵β細胞の発
生の異常及び機能不全的異常によって生じる。本疾患を伴う新生児は、診断され
即座に治療されないならば、脳に重篤な障害を受けることがある。重篤な症例の
治療は通常、部分膵摘出、又は全摘出であることさえもある。
【0010】 本疾患の病因については議論がなされている。用語膵島細胞症(PHHI)は、分離
したランゲルハンス島への凝集に失敗したように見える管上皮にある内分泌細胞
の組織学的外観を基に作成された。しかし重篤な高インスリン血症が、明らかに
正常な島の存在する場合にも生じ、この状態が完全にβ細胞の分化の欠損による
ものであるという考え方について疑念が生じている。本疾患は、家族性に、特に
中東において、散発的に発生している。
【0011】 従って我々は、このような未熟な供給源由来のインスリン分泌細胞を産生する
ことが可能であること、その結果遺伝子操作により細胞における欠損を修復し、
グルコース応答性ヒトβ細胞株を作出するという2つの発見をした。本発明の第
一の態様に従って、不死化されたインスリン産生ヒトβ細胞株が提供される。こ
の細胞株は、その後グルコース応答性となるように生物工学的に操作される。こ
の細胞株は更に、クローン化され、さもなければその後増殖される。
【0012】 この細胞株は、胎児又は小児のドナーから得た未熟なランゲルハンス島に由来
することが好ましく、かつPHHI患者から簡便に得ることもできる。その後このよ
うな細胞株は遺伝子操作され、4〜10mMの生理的範囲でグルコース応答性が誘発 される。これを作出するひとつの方法は、インスリン産生クローン化されたヒト
β細胞株を、ホメオドメイン因子PDHI(IUF1とも称す)でトランスフェクション
し、その後得られる産物を、SUR1及び任意にKir 6.2(KATPチャネルの成分)を コードしているcDNAで安定して同時トランスフェクションすることである。得ら
れる産物をその後、例えばカプセル封入のような、移植可能な形状にするか、も
しくは、PHHI又は他のグルコース調節障害を標的とする新薬のスクリーニングに
使用する。特に本発明の細胞株は、以下の少なくともひとつのために適合させる
ことができる: (a)陽イオン又は陰イオン選択性のイオンチャネルのスクリーニング; (b)細胞内及び/又は細胞質ゾルのカルシウム濃度の変更; (c)分泌顆粒のエキソサイトーシス又はエンドサイトーシスの方法のスクリーニ ング; (d)細胞分裂及び/又は分化の方法のスクリーニング; (e)脱分極応答性カップリング事象(depolarization-response coupling event) 、又は増量経路(augmentation pathway)によるグルコース誘発性インスリン放出
の方法のスクリーニング; (f)グルコース誘発性インスリン遺伝子転写又は糖尿病、PHHIもしくはインスリ ノーマに関連した遺伝子転写の方法のスクリーニング; (g)β細胞に特異的なイオンチャネル又はそれらの受容体の解明法のスクリーニ ング;及び (h)イオンチャネル変調タンパク質の薬理の解明法のスクリーニング。
【0013】 本発明の更なる態様において、調節されない不死化されたヒトインスリン分泌
β細胞株を選択する工程、該選択された細胞株をグルコース応答性を遺伝的に制
御するためのエレメントでトランスフェクションする工程、及びトランスフェク
ションされた細胞株を増殖する工程を含む、不死化されたグルコース応答性イン
スリン産生ヒトβ細胞株を作出する方法が提供される。このような細胞は、得ら
れる細胞株を生理的範囲においてグルコース応答性であるように、PDX1によりト
ランスフェクションし、引き続き得られる産物をSUR1及びKir6.2の両方をコード
しているcDNAで安定して同時トランスフェクションすることにより遺伝的に操作
し、NISK9細胞株を作出するという更なる工程を施すことができる。
【0014】 このようにして作出されたNISK9細胞株は、ブダペスト条約の条項に基づいて 、寄託番号第9709106として、1997年9月1日に、European Collection of Cell C
ulture;Center for Applied Microbiology and Research, Salisbury, Wiltshi
re, 英国に寄託されている。
【0015】 NES2Y細胞株は、ブダペスト条約の条項に基づいて、寄託番号第98081006号と して、1998年9月14日に、European Collection of Cell Culture;Center for A
pplied Microbiology and Research, Salisbury, Wiltshire, 英国に寄託されて
いる。
【0016】 本発明の他の実施態様に従って、PHHIのヒトの体の治療法、糖尿病のヒトの体
の治療法、及び異常なインスリン分泌によって生じる状態のヒトの体の治療法が
提供されている。この局面において、治療法は、グルコース応答性である不死化
されたインスリン産生ヒトβ細胞株をin vitroにおいて作出すること、その後の
細胞株から得た細胞をヒトの体に移植することを含むことができる。
【0017】 便宜上細胞株は、未熟なランゲルハンス島、すなわち胎児又は若年小児(young
er child)のランゲルハンス島から得た。未熟なランゲルハンス島は、治療が行 われる体から得ることが好ましい。未熟なランゲルハンス島が、移植されるもの
と同じ体から得られるならば、それが拒絶される可能性が減る。
【0018】 好ましい実施態様において、ランゲルハンス島は、PHHIの胎児又は小児から得
る。このようなランゲルハンス島は、不死で安定した細胞株を作出する。
【0019】 あるいは、この細胞株は調節されないインスリン分泌をもたらすように生物工
学的に操作された細胞株に由来するものであってもよい。
【0020】 この細胞株は、4〜10mMの生理的範囲においてグルコース応答性であるように 遺伝子操作されることが好ましい。このような応答性細胞株を作出する方法のひ
とつは、細胞をPXD1でトランスフェクションし、その後SUR1及び任意にKir6.2を
コードしているcDNAで同時にトランスフェクションすることである。
【0021】 本発明は、添付されている図面及びそれに続く本発明の実施例を参照としての
み詳細に説明されるであろう。
【0022】 図1:NES 2Y細胞からのインスリン分泌に対するグルコースの作用を示す。な
お、NES 2Yは、PHHI患者由来の細胞株の名称である。
【0023】 NES 2Y細胞を、0.5mMグルコースを含有する培地において180分間プレインキュ
ベーションした。その後この培地を指定量のグルコースを含有する培地と交換し
、更に60分間インキュベーションした後、培地の試料をインスリンについてラジ
オイムノアッセイにより測定した。データは、2つの実験について示し、6個の個
別の測定の平均±標準偏差を示す。データは、NES 2Y細胞が、多量のインスリン
を分泌し、かつこの分泌がグルコースレベルに対し応答性であることを示してい
る。
【0024】 図2:トランスフェクションされたMIN6及びNES 2Y細胞におけるpGL-LUC200に
対するグルコースの作用を示す。
【0025】 NES 2Y細胞又はMIN6細胞は、ホタルのルシフェラーゼにヒトインスリン遺伝子
の-50から-250bp断片が挿入されたpGL-LUC200でトランスフェクションした。24 時間後、細胞を、0.5mMグルコースにおいて3時間再度インキュベーションし、そ
の後低(0.5mM)又は高(16mM)グルコース中で24時間インキュベートした。値 は、蛋白含量に対して標準化した相対フシフェラーゼ活性として示されている。
データは、2つの実験について示し、4個の個別の測定の平均±標準偏差を示して
いる。データは、LUC200構築体は、MIN6細胞においてはグルコースに対して応答
性であるが、NES 2Y細胞株に対しては非応答性であることを示している。
【0026】 図3:NES 2Y細胞(N)及びMIN細胞(M)における転写因子結合活性のEMSA分析( 電気泳動移動度シフト分析)を示す。
【0027】 NES 2Y及びMIN6細胞を16mMグルコース中において1時間インキュベーションし 、EMSAによって、IUF1使用オリゴヌクレオチドB[13](レーン1及び2)、USF(
オリゴヌクレオチドUSF[20]、レーン5及び6)、並びにIEF1使用オリゴヌクレ オチドJr1[20](レーン3及び4)の結合活性を測定した。IUF1 DNA結合活性は 、NES 2Y細胞においては検出されなかった。
【0028】 図4:NES 2Y、MIN6、AiαTC及びBHK細胞におけるIUF1のウェスタンブロット 分析を示す。
【0029】 指定した細胞株を、IUF1タンパク質について、特異的IUF1抗体を用いて分析し
た。矢印は、分子量が46kDaであるIUF1を示している。全てのβ細胞において、 トラック2及び3に分子量が比較的高いバンドが認められ、IUF1は示されなかっ
た。レーン1は、レインボー(rainbow)分子量マーカーを含んでいる。IUF1は、N
ES 2Y細胞においてはウェスタンブロットでは検出することができなかった。
【0030】 図5:IUF1、インスリン及びUSFのmRNAレベルの定量的RT-PCRを示す。 IUF1(NES 2Y、レーン1-6、MIN6、レーン7-12)、インスリン、及びUSFについ
て特異的なプライマーによる定量的PCRで比較を行った。レーン1-6及び7-12は、
それぞれ、鋳型としての総cDNAの10%、5%、2.5%、1%、0.1%及び0.01%を示
している。Mは、キロベースサイズマーカーを示している。増幅されたIUF1断片 のサイズは850塩基対、USFは900塩基対、及びインスリンは350塩基対であると考
えられる。IUF1 mRNAは、NES 2Y細胞において検出することができるが、非常に 低いレベルでのみであった。従ってPHHIは、損なわれたIUF1発現に関連している
【0031】 図6:IUF1は、トランスフェクションされたNES 2Y細胞におけるインスリンプ
ロモーターのグルコース応答調節を回復する。
【0032】 NES 2Y細胞は、記したように、pGL-LUC200でトランスフェクションするか、も
しくはpGL-LUC200及びpCR3-IUF1で同時トランスフェクションした。その後細胞 を24時間、0.5mMグルコース又は16mMグルコース中においてインキュベーション した。値は、蛋白含量に対して標準化した相対フシフェラーゼ活性として示され
ている。データは、2つの実験について示し、4個の個別の測定の平均±S.D.を 示している。インスリン遺伝子転写のグルコース応答性コントロールの欠損は、
IUF1によるNES 2Y細胞の安定したトランスフェクションによって修復することが
できる。下記の請求項11も参照のこと。
【0033】 図7:NES 2Y由来のNISKクローンからのインスリン分泌に対するグルコースの
作用を示す。
【0034】 NES 2Y細胞は、IUF1、Sur1、及びKir6.2で安定してトランスフェクションし、
NISKクローンを作出した。クローンNISK5、NISK7及びNISK9は、親NES 2Y細胞と 共に、0.5mMグルコースを含有する培地において180分間プレインキュベーション
した。その後この培地を16mMグルコースを含有する培地と交換し、更に60分間イ
ンキュベーションした後、培地の試料をインスリンについてラジオイムノアッセ
イにより測定した。生理的範囲におけるそれらのグルコースに反応したインスリ
ン分泌を基に、3種のNISK細胞株を選択した。
【0035】 図8:NISK9細胞はグルコースに対して用量−反応性を示す。 NISK9細胞(NES 2Y細胞はIUF1、Sur1、及びKir6.2で安定してトランスフェク ションされる)は、0.5mMグルコースを含有する培地において180分間プレインキ
ュベーションした。その後この培地を指定された濃度のグルコースを含有する培
地と交換し、更に60分間インキュベーションした後、培地の試料をインスリンに
ついてラジオイムノアッセイにより測定した。データは、2つの実験について示 し、6個の個別の測定の平均±標準偏差を示している。NISK9細胞株は、生理的濃
度の範囲においてグルコースの変化に反応してインスリンを分泌することが示さ
れる。
【0036】 図9:NES 2Yβ細胞にはKATPチャネル活性が存在しない状態を示す。
【0037】 全てのデータは、パッチクランプ法を用いて、パネルAの細胞が接着した配置 、又はパネルBの“細胞が遊離した”裏返し(inside-out)の配置から得た。ヒト β細胞から得た対照データは、自然発生的KATPチャネルの開放は、ジアゾキシド
(500μM)によって活性化され、スルホニル尿素トルブタミド(200μM)によっ
て阻害されることを、パネルAで明らかにした。パネルBにおいて、ヌクレオチド
、フッ化カリウム(KF)及びジアゾキシドの“カクテル”を、膜の内側表面に直接
添加すると、KATPチャネル活性の顕著な上昇が認められた。(示された記録にお
いて、同時に開いたイオンチャネル事象の最大数は、3から30に増大している。 )。NES 2Yβ細胞においては、同じ実験条件下で、これらの薬剤はいずれもイオ
ンチャネル事象に作用しなかった。同様のデータが、他の対照実験4(パネルA )及び18(パネルB)において得られ、ここでは合計N=10(パネルA)及びn=10(
パネルB)のNES 2Yβ細胞を実験した。上向きの振れが外向きの電流事象をあら わしていること、及び破線は全てのK+チャネルの閉鎖に相当するゼロの電流レベ
ルを示していることに注意せよ。示された各実験プロトコールについては、同じ
イオン勾配を用い、全てのデータは各パネルに同じスケールでプロットした。
【0038】 図10:NES 2Yβ細胞機能を示す。 パネルAは、NES 2Yβ細胞において、対照データ(マウスの島から得た)と比 較した場合に、細胞のKCl(40mM, n=23)、トルブタミド(0.2mM, n=24)又はグルコ
ース(20mM, n=17)によるチャレンジの結果、[Ca2+]iの上昇がないことから、細 胞質ゾルCa2+([Ca2+]i)シグナル伝達の調節が厳密に折衷されていることを例 示している。NES 2Yβ細胞での代表的実験及びいくつかの実験から得られたデー
タの平均を示した。パネルBは、対照(MIN6β細胞)及びNES 2Yβ細胞から得た インスリン放出データを示した。NES 2Yβ細胞が、対照組織と比較して、刺激が
無い場合にいかに高いインスリン放出の構成的速度を有するか、NES 2Yβ細胞の
グルコース応答性が貧弱であること、及びこれらが40mM KCl又は0.2mMトルブタ ミドでチャレンジされた場合にはインスリンの放出に失敗することに注意せよ。
更に下記の請求項11を参照のこと。
【0039】 図11:パネルAは、対照(BRIN BD11細胞、レーン1)、NES 2Yβ細胞(レー
ン2)及びNISK9β細胞(レーン3)におけるSUR1抗体を用いるウェスタンイム ノブロッティングのデータを示している。比較的大きい分子量の種(175KDal)の 出現に注目せよ:対照およびトランスフェクションされた細胞の両方において。
これは組換えチャネル複合体のグリコシル化に一致する。データは更に2つの実 験について示している。
【0040】 パネルBは、NES 2Y及びNISK9細胞における、IUF1、SUR1及びKir6.2のノーザン
ブロット分析である。総RNAは、NES 2Y(A)及びNISK細胞(B)から調製し、1.5%ア
ガロース/ホルムアルデヒドゲル上で分離し、Hybond-N+ニトロセルロース膜に 移した。フィルターを、32P-標識したアクチン(対照)、IUF1(PDX1)、SUR1及び
Kir6.2をコードしているcDNAでプローブした。結果は、3種類全ての導入遺伝子
が、NISK9細胞において発現されることを示した。NISK9のSUR1 mRNAは、NES 2Y 細胞の内因性mRNAと比べて大きく、それはbicstronicベクターmRNA(IRESベクタ
ー)から発現されたことが理由である。
【0041】 図12:トランスフェクションされたNES 2Yβ細胞におけるK+チャネルの出現
を示す。
【0042】 パネルAは、厳密に同じ実験条件下でヒトβ細胞、NES 2Yβ細胞及びNISK9β細
胞から得られたデータを示す。細胞膜のパッチが無傷の細胞から単離されるとい
う手順を用いて、KATPチャネルの出現を、細胞内ATPを洗浄した後に“アッセイ ”することができる。対照及びNISKβ細胞の両方において、パッチ遊離時の電流
に関連したKATPチャネルの顕著な上昇があり、機能的チャネルの数はパッチ毎の
若干の変動があるにもかかわらず(パネルA参照)、全体として対照及びNISKβ 細胞中のKATPチャネルの密度は非常に類似している(パネルB)。NES 2Yβ細胞 中にはいずれの機能的KATPチャネルも存在しないことに注意。
【0043】 図13:NISKβ細胞における組換えKATPチャネルの特性を示す。
【0044】 パネルAにおいて、全てのデータは、同じ裏返しパッチの記録から得た。ATPに
よるチャネルの阻害、それに続くADPの閉鎖からの可逆的回復に注意。(このデ ータの意味は、ATP:ADP比の変化が、グルコース−誘発性インスリン放出を支え
る細胞膜電位のKATPチャネル依存型の変化と因果関係があることである)同様の
知見が、他のいくつかのパッチにおいても認められ、チャネルの開放状態の変化
の可能性が分析された(パネルB参照)。パネルBは更に、ATP濃度の上昇による 、平均濃度−依存型のKATPチャネル阻害を示している。チャネルの50%阻害が5 〜10μM ATPの間で生じること、及び類似のデータが対照のヒトβ細胞の記録に おいて得られた(示さず)ことに注意。パネルCは、NISK9β細胞において発現さ
れた組換えKATPチャネルに関する、典型的な電流−電圧相関プロットを示してい
る。細胞膜のいずれかの側に対称的な140mM KClの豊富な溶液を用いて記録した 場合、チャネルは内部へと整流される関係(inwardly-rectifying relationship)
を有し、推定される内向き電流コンダクタンスはおよそ70psであった。下記の請
求項11も参照のこと。
【0045】 図14:NISK9β細胞における組換えKATPチャネルの薬理特性を示す。
【0046】 パネルA及びBは、図9に詳述したものと同じ条件下で得た。両パネルは、組換
えKATPチャネルがジアゾキシドによって活性化され、トルブタミドによって阻害
されることを示している(n=4、パネルA;n=5、パネルB)。パネルBにおいて、 トルブタミドは、裏返しパッチにおいて、ジアオキシドが活性化したKATPチャネ
ルを阻害することを示している;この配置が使用される場合は、ジアゾキシド誘
発性K+チャネル活性化を促進するために、ATPは細胞膜の内側に添加されなけれ ばならないことに注意。パネルA及びBにおいては、数回の実験からの平均のデー
タも示している。下記の請求項11も参照のこと。
【0047】 図15:NES 2Yβ細胞における操作されたKATPチャネルの薬理を示す。
【0048】 全てのデータは同じ膜の記録から得た:NISK9β細胞から得た裏返しパッチの 記録。このデータは、細胞内へのATP(500μM)の添加によるK'チャネルブロッ ク、ATP存在下におけるジアゾキシド(500μM)による活性化、並びにトルブタ ミド(250μM)及びエファロキサン(200μM)の両方によるチャネル阻害を示し
ている。KATPチャネルの閉鎖も、細胞質ゾルの濃度([Ca2+]i)の上昇に関連し ているが、これは示していない。従って、トルブタミドに関するΔ[Ca2+]iは、 平均158±24nM(n=22)、及びエファロキサンについては195±40nM(n=12)であるこ
とがわかった。下記の請求項11も参照のこと。
【0049】 図16:NISK9β細胞の機能的特徴を示す。
【0050】 パネルA及びBは、NES 2Yβ細胞(図10A参照)とは異なり、NISK9β細胞は、細
胞質ゾルCa2+濃度の上昇を通じてグルコース刺激に応答することを示している。
[Ca2+]iの上昇は、過分極しているKATPチャネルのアゴニストであるジアゾキシ ドによって阻害される(n=5)。グルコースのように(n=8)、トルブタミド(パネル
A及びB;100-200mM、n=22)及びKCl(パネルB;40mM、n=22)の両方とも[Ca2+]i
を上昇している。平均では、NES 2Y及びNISK9β細胞における基準[Ca2+]iレベル
は、各々、98±7nM(n=24)及び78±5nM(n=55)であることがわかった。パネルCに おいて、KATPチャネル操作及びCa2+シグナル伝達の回復の結果は、グルコース(0
.5-16mM)、KCl(40mM)及びトルブタミド(0.2mM)に反応した調節されたインスリン
分泌の出現に関連していることがわかった。分泌の基準速度がNES 2Yβ細胞にお
いてよりも著しく低いことに注意(図10B参照)。パネルCは、対照及びトランス
フェクションされた細胞の両方において、グルコースが、インスリン遺伝子転写
速度の顕著な上昇を引き起こすことを記している。下記の請求項11も参照のこと
【0051】 図17:NES 2Yβ細胞における電圧で等級化された(voltage-rated)イオンチ ャネル及びKATPチャネル活性の不在を示す。
【0052】 データは、パッチクランプ法により、全細胞及び裏返しパッチのバリエーショ
ンを用いて得た。パネルAは、ヒトβ細胞株NES 2Y及びNISK9から得た典型的電圧
で等級化された電流を示している。NISK9β細胞と比べて、NES 2Yβ細胞におい ては、いずれの全細胞でも内向き電流が存在しないことに注意。更にパネルAは 、いくつかの記録からの図示したパッチクランプピペットホールディング電位と
標準化した全細胞電流の典型的相関関係を図示している(I=全細胞電流;Cm=細 胞のキャパシタンス)。これらのデータは、(1) NES 2Yβ細胞には、電圧で等級
化されたCa2+チャネル及び電圧で等級化されたNa+チャネルが存在しないこと(n=
5);(2)テトロドトキシンにより電圧で等級化された電流が阻害されること(Ttx;
313nM、n=11);(3)Ttx-無感応性電流がニフェジピン(5μM、n=6)により更に阻害
されること;及び(4) Ttx-無感応性電流が(±)BAY K-8644(1μM、n=4)により 活性化されることを明らかにしている。Ttxは電圧で等級化されたNa+チャネルを
阻害し、かつ電圧で等級化されたCa2+チャネルがニフェジピンによって阻害され
、かつ(±)BAY K-8644により活性化されるので、これらのデータは、KATPチャ
ネルによりトランスフェクションされたNES 2Yβ細胞における電圧で等級化され
たCa2+及びNa+チャネルが存在することを確認している。パネルBは、NISK9β細 胞におけるKATPチャネルの出現を示している。下記の請求項11も参照のこと。
【0053】 図18:ヒトβ細胞における電圧で等級化されたイオンチャネル及びKATPチャ
ネルを示す。
【0054】 データは、パッチクランプ法により、全細胞及び裏返しパッチのバリエーショ
ンを用いて得た。パネルAは、ヒトβ細胞において記録された典型的電圧で等級 化された電流を示し、いくつかの記録から図示したピペットホールディング電位
と標準化した全細胞電流の典型的相関関係を図示している(I=全細胞電流;Cm= 細胞のキャパシタンス)。これらは、(1)ヒトβ細胞には電圧で等級化されたイ オンチャネル電流が存在すること(n=22)、(2)テトロドトキシンにより電圧で等 級化された電流が阻害されること(Ttx;313nM、n=10);及び、(3) Ttx-無感応性 電流がBAY K-8644(1μM、n=10)により活性化されることを明らかにしている。パ
ネルBは、ヒトβ細胞における平均KATPチャネル電流、NES 2Yβ細胞にKATPチャ ネルが存在しないこと、及びNISK9β細胞株においてトランスフェクション後にK ATP チャネルが出現することを示している。下記の請求項11も参照のこと。
【0055】 実施例1 我々は、播種性膵島細胞症を呈している新生児患者の膵臓を選択した。ランゲ
ルハンス島を、常法に従いコラゲナーゼ消化を用いて単離し、かつ非組織培養の
ペトリ皿(Sterilin)に播種した。7日後、島を、T25培養フラスコに移し、集密 な状態を得るようにした。その後細胞を、トリプシン/EDTAで収集し、再度Ster
ilin皿に播種した。7日後に細胞をT25培養フラスコに移し、細胞株を連続継代 培養により得た。培養液を、ヒトインスリン産生についてモニタリングし、活性
集団を得る助けとした。島を、11mMグルコースを含有し、10容量%ウシ胎仔血清
及び2mM L-グルタミンを補充したGibco RPMI 1640培地を用いて、10cmのNuncペ トリ皿に播種した。MIN6は、ラットのインスリンプロモーターの制御下でSV40ラ
ージT抗原を発現しているトランスジェニックマウスに由来するβ細胞株である が、これを、5mMグルコースを含有し、15%熱不活性化ミオクローン(myoclone) ウシ胎仔血清(Sigma)及び2mM L-グルタミンを補充したDMEM中で増殖した。MIN6 細胞は、全ての実験において26から30継代の間で使用した。
【0056】 対照構築物pGL-LUCは、プラスミドpGL2(Promega)を基にし、単純ヘルペスウイ
ルス由来のチミジンキナーゼプロモーター(Tkp)がホタルのルシフェラーゼ遺伝 子の5'にクローン化されている。構築物pGL-LUC200は、これとヒトインスリン遺
伝子プロモーターの-50から-250塩基対の断片が、Tkpの上流にクローン化されて
いる点が異なる。Taq DNAポリメラーゼ(Promega)によるPCR増幅の自然の帰結で ある突出しているA'により、IUF1 cDNAを、pCR3ベクター(Invitrogen)にクロー ン化した(pCR3-IFU1を作成)。
【0057】 ウェスタンブロット分析のために、核抽出物の試料5μgを、SDS-PAGEにより分
画し、かつECL-ニトロセルロース膜(Amersham)上にブロットし、10mM Tris-HCl 、0.05容量%Tween 20、0.5M NaCl、及び1:1000に希釈した抗-IUF1抗体を含有す
るバッファー中で60分間インキュベーションした。次に、膜を更に1:5000に希釈
したホースラディッシュペルオキシダーゼに結合した抗ウサギIgG二次抗体(ECL-
Amersham)を含有するバッファー中で60分間インキュベーションすることにより 、抗体−抗原複合体を検出した。
【0058】 総RNAは、4Mグアニジンイソチオシアネート、0.25Mクエン酸ナトリウム、5重 量/容量%サルコシルナトリウム、0.2M酢酸ナトリウム、pH4.0の中での細胞の 溶解により単離した。cDNA合成については、RNA試料を、65℃で10分間加熱し、 転写反応を、下記を含む混合液中で、37℃で60分間行った:1×逆転写反応バッ ファー(Promega, サウサンプトン、英国)、20ユニットRnasin(Promega)、40pmol
e起動プライマー、0.25mM dATP、dCTP、dTTP及びdGTP、25mMジチオスレイト
ール、0.5μg RNA、並びに50ユニットAMV逆転写酵素(Promega)。定量的RT-PCRに
ついては、総cDNAの10%、5%、2.5%、1%、0.1%及び0.01%を、下記のプライ
マーを用いて、アニーリング温度60℃で、35サイクルPCRを行い増幅した。その 後PCR産物の20%を、臭化エチジウム染色した1%アガロースゲル上を流した。
【0059】 IUF1、IEF1及びUSFのためのEMSAに使用されたオリゴヌクレオチドは公知であ る。IFU1 mRNAの定量に使用したPCRプライマーは、各々マウスのIPF1配列5'-ACC
ATGAATAGTGAGGAGCA-3'及び 5'-TCACCGGGGTTCCTGCGGTCGCAGTGGGATCGC-3'に相当した。インスリンmRNAの定量 に使用したプライマーIns1及びIns2は、各々、ヒトインスリン配列5'-GCGGGCTGC
GTCTAGTTGCAGTAG-3'及び5'-ATGGCCCTGTGGATGCGCCTCCTG-3'に相当し、USF mRNAの
定量に使用したプライマーUSF1及びUSF2は、各々、USF配列の 5'-ATGAAGGGGCAGCAGAAAACAGC-3'及び 5'-TTAGTTGCTGTCATTCTTGATGAC-3'に相当した。
【0060】 インスリンは、抗モルモットインスリン抗体及び123Iヒトインスリン(Amersha
m)を用いるラジオイムノアッセイより測定した。
【0061】 NES 2Y細胞は、親が近親婚でなくかつ他に罹患した兄弟がいない散発性のPHHI
を呈する患者に由来した。細胞株は、連続継代培養により得た。培養物中のPHHI
島のインスリン分泌の特徴と同じで、NES 2Y細胞からのインスリンの分泌は、グ
ルコース刺激にあまり応答しなかった(図1)。グルコース−刺激したインスリ
ン転写も、NES 2Y細胞においては欠損していた(図2)。これは、NES 2Y又はMI
N6細胞への、ヒトインスリン遺伝子プロモーターの-50から-250断片を含むプラ スミドpGL-LUC200のトランスフェクションによって示される。MIN6細胞において
は、pGL-LUC200構築物は、16mMグルコースでの活性は、0.5mMグルコースと比べ て5倍の増強をもたらした。NES 2Y細胞において、pGL-LUC200構築物に対するグ
ルコースの作用はなかった。インスリンレポーター配列を伴わない対照ベクター
pGL-LUCは、両方の細胞種においてグルコースによって影響を受けなかった。
【0062】 最近の研究は、グルコースが、転写因子IUF1のリン酸化状態を変調することに
よって、インスリン遺伝子の転写を活性化することを明らかにしている。従って
IUF1の結合は、NES 2Y細胞においてEMSAによって試験した(図3)。同様の条件
下で、IUF1結合活性が、MIN6細胞において検出された。インスリンプロモーター
と結合することが公知の他の転写因子、すなわちIEF1及びUSFの活性は、MIN6及 びNES 2Y細胞の両方において容易に検出できるので、これは、核抽出物の品質の
差異に起因するものではない(図3、IUF1タンパク質は、NES 2Y細胞のウェスタ
ンブロット分析によっては検出されなかった(図4))。46kDaのIUF1が、MIN6 細胞に存在するが、前述のように、非インスリン発現細胞株α-TC及びBHKには存
在しない。トラック2及び3に認められた高分子量のタンパク質(55kDa)は、β 細胞株において常に認められるが、IUF1は示さなかった。
【0063】 NES 2Y細胞は、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT/PCR)によって示される
ように、MIN6細胞と比較して、わずかに上昇したインスリンmRNAレベルを有する
一方で、USF mRNAレベルは両方の細胞種で類似していた(図5)。しかしながら
、NES 2Y細胞において、IUF1 mRNAレベルは、USF mRNAの1/10と少なく、インス リンmRNAの約1/1000と少なかった。MIN6細胞において、IUF1及びUSF mRNAレベル
は同様であり、両方ともインスリンmRNAレベルの1/100と少なかった。これらの 結果は、IUF1遺伝子が、NES 2Y細胞において発現されるが、非常に低いレベルで
あることを確認している。NES 2Y mRNAからのIUF1 cDNA合成配列は、公知のヒト
IUF1配列と同一であった。
【0064】 NES 2Y細胞におけるインスリンプロモーターのグルコース調節の欠損が、IUF1
によって補正されるかどうかを調べるために、IUF1 cDNAを保持する哺乳類の発 現ベクターを、pGL-LUC及びpGL-LUC200構築物によりNES 2Y細胞へとトランスフ ェクションした。IUF1は、対照ベクターに対して何ら作用を有さなかった。IUF1
が存在しないならば、グルコースは、pGL-LUC200ベクターに対する特異的作用を
有さなかったが、IUF1が存在するならば、グルコースは、pGL-LUC200活性を5倍
刺激した(図6)。従って、グルコースに対する十分な転写応答は、IUF1によっ
てNES 2Y細胞をトランスフェクションすることにより回復される。
【0065】 実施例2 IUF1、SUR1、Kir6.2をコードしているcDNAによる安定した同時トランスフェクシ
ョン。 SUR1及びKir6.2をコードしているcDNAを、pIRESベクター(Clonetech Laborat
ories, パロアルト、CA, USA)にサブクローン化し、インターナルリボソームエ
ントリーサイト(IRES)を用いて発現させた。ヒトIUF1 cDNAを、真核細胞pCR3発 現ベクター(Promega)を用いてトランスフェクションした。細胞はリボソームで トランスフェクションし、クローンを最小細胞密度で単離し、かつ800μg/ml G4
18を用いて選択した。192の当初のクローンのうち40を拡張し、最終的には20の 強力に増殖しているクローンを、再度拡張し、かつインスリン放出のグルコース
感受性(ラジオイムノアッセイ)及び活性IUF1の存在(電気泳動移動度シフト分
析、及びウェスタンブロット分析)についてアッセイした。これらのクローンの
うちNISK5、NISK7及びNISK9がIUF1について陽性であり、良好なグルコース感受 性インスリン分泌を示した(NES 2Y親クローンとの比較)(図7及び9)。これ
らの3種のクローンをその後拡張し、培養物を、10%ウシ胎仔血清、及び800μg
/ml G418を補充したRPMI培地で維持した。
【0066】 一部のPHHI患者においては、本疾患は最近、スルホニル尿素受容体(SUR)遺伝 子の変異について地図作成されている。実際に遺伝的連関が、スルホニル尿素受
容体のひとつであるKATPチャネルサブユニットをコードしている第11染色体の領
域にPHHIに関する感受性のある座が同定された;SUR1はATP-結合カセットタンパ
ク質である。更にKATPチャネルは、少なくともK+チャネル孔Kir6.2も含んでいる
。β細胞内でグルコースが代謝される機序において重要な役割を果たすKATPチャ
ネルは、インスリン分泌に関連している。KATPチャネル機能の喪失の意味は、イ
ンスリンのCa2+依存型放出に密接に関連しているCa2+イオンの調節された侵入を
、β細胞が最早適切に制御することができないということである。従って、KATP チャネルは、グルコースが誘発した電気的応答の制御にとって重要であり、調節
されないCa2+流入は、Ca2+依存型のエキソサイトーシスを刺激し、これはインス
リンの過剰分泌を説明している。本疾患が異常なKATPチャネル活性に関連してい
る証拠が、PHHIの親から単離された細胞は、機能的チャネル活性を喪失し、グル
コース誘発性インスリン分泌の喪失をもたらすという所見から得られる。SUR1又
はKir6.2のいずれかの変異がPHHIの発症をもたらすことは注目される。
【0067】 しかし、インスリン分泌の刺激に加え、グルコース代謝も、インスリン遺伝子
の転写を、リン酸化状態、並びにホメオドメイン転写因子IUF1のDNA結合活性の 変調を通じて調節するが、ここでIUF1はIPF1、IDX1、STF1又はPDX1としても公知
である。成人において、IUF1の発現は、膵β細胞及び十二指腸のソマトスタチン
分泌細胞に限定される。これは、ヒトインスリン遺伝子プロモーターの4部位(-
77、-129、-210及び-313のAボックス)に位置したコンセンサス配列C(T/C)TAAG に結合する。IUF1(PDX1)は更に、発生している膵における系統の決定においても
重要な役割を果たす。胎児の発達段階のβ細胞過形成はPHHIに関連することがあ
るので、かつIUF1は、インスリン遺伝子へのグルコース代謝の関連のみではなく
、胚発生時のβ細胞分化の主要レギュレータでもあるので、これらの両プロセス
の欠損は、PHHIに関連した病因のいくつかを説明するであろうと我々は結論した
。我々は、IUF1の発現がPHHIにおいて損なわれていることを示すことができる。
従って、PHHI患者由来の細胞(NES 2Y細胞)は、IUF1が欠損し(しかし少量のIU
F1 mRNAが、非常に感度の高いRT/PCRを用いて検出された。)、インスリン遺伝 子はグルコースに対し応答しなかった。そこで我々は、IUF1でNES 2Y細胞を安定
してトランスフェクションすることにより、NES 2Y(NesIUF1)においてグルコー スに対するインスリン遺伝子の完全な刺激応答を回復することができた。このNe
sIUF1細胞は、グルコースに応答してインスリンを分泌しなかった。我々は現在 、NesIUF1細胞を、SUR1(スルホニル尿素受容体)及びATP感受性Kチャネル(Kir6
.2)をコードしているcDNAで安定して同時トランスフェクションすることによっ て、NesIUF1細胞にグルコース感受性インスリン分泌を操作することができるこ とを発見した。いくつかのクローンが得られ(Nes、IUF1、Sur及びK ATP からNis
kと称される)、そのうちの3種、Nisk5、Nisk7及びNisk9は、生理的範囲でグル
コースに反応してインスリンを分泌することがわかった。
【0068】 本発明の概念の用途で可能性のあるものは以下を含む: 1)PHHIの治療。特定の患者から作出された細胞を前述のように操作して、グル
コース感受性インスリン分泌の欠損を修復し、かつ当初の患者に移植し戻す。こ
の同族移植は、組織の拒絶反応の問題を成功させ、かつ本疾患の遺伝子治療の新
規方法を構築する。 2)ヒトグルコース応答性インスリン分泌β細胞株を作出する能力は、β細胞の
研究において積極的な意味合いがある。それらの使用は、HeLa細胞と同様に広ま
る可能性がある。これらは、医薬創出プログラム及びβ細胞増殖の誘導に関連し
た因子の発見において使用することができる。 3)これらの細胞は、更に、糖尿病患者に移植することができるであろう。これ
は、これらの細胞及びこれらの細胞を作出する方法において重大な価値がある。
【0069】 従って本発明は、インスリン産生クローン化されたヒトβ細胞株、並びに生理
的範囲でグルコース応答性であるように遺伝子操作された細胞株、それらの作出
法、及び本発明の方法により作出されたNISK細胞株に関する。
【0070】 実施例3 対照実験を、前述のように調製された単離されたヒト又はマウスの島細胞を用
いるか、もしくはグルコース応答性インスリン分泌細胞株MIN6及びBRIN BD11に おいて行った;NES 2Y細胞は前述のように維持した。
【0071】 レポーター構築物pGL-LUC及びpGL-LUC200、並びにpCR3-PDX1構築物は、前述の
ものであった。pBK-Kir6.2は、Dr. Frances Ashcroft(オックスフォード大学)
のご好意により、pSK-SUR1同様得た。SUR1コード領域は、平滑末端であり、NES
2Y細胞で発現するためにpIRESneo(Clontech, USA)にサブクローニングした。DNA
は、Qiagenエンドトキシンフリーマキシプレップ法を用いて調製し、分光測定法
により定量した。
【0072】 細胞を、6ウェルプレート上で、80%の集密度まで増殖し、DNA 4μgを、無血 清Optimen(Gibco, 英国)1ml中にジオレイル-L-α-ホスファチジルエタノルアミ ン(DOPE)(Sigma)とジメチルジオクタデシル臭化アンモニウム(DDAB)(Fluka, 独 国)の2:1混合物を含有する1nM脂質懸濁液54μlと混合することによってトランス
フェクションした。脂質DNA複合体は、室温で20分間形成させ、その後洗浄した 細胞に加えた。5時間インキュベーションした後、30%熱で失活したミオクロー ンウシ胎仔血清を含む完全培地1mlを、細胞に添加した。12時間後、培地/DNA複
合体を、完全培地で置換え、細胞を更に24時間静置した。レポーター遺伝子構築
物の一過性のトランスフェクションのために、次に細胞を収集し、前述のように
アッセイした。pCR3-PDX1、pBK-Kir6.2及びpIRES-SUR1で3回トランスフェクシ ョンされた細胞株について:トランスフェクション後48時間で、細胞を、800μg
/ml G418(Fermentas,英国)が存在する10cmのペトリ皿に10%の細胞密度になるよ
うにわけた。この用量は、12時間以内にトランスフェクションされていない細胞
の毒物による細胞死を促進するものであった(データは示さず)。48時間後、G4
18耐性細胞の生存している個々のクローンを取り出し、96ウェルプレートに移し
、細胞の個々のクローンは、そこから6ウェルプレートに、その後標準10cm組織 培養プレートへと、生存力に従って拡張した。この段階でクローンを、インスリ
ン分泌についてアッセイし、グルコース応答性クローンを選択し、培地(800μg
/ml G418)で維持した。NISK9β細胞は、192の選択された細胞集団から単離され
た3つのグルコース応答性NISKクローンのひとつであった。
【0073】 いずれかの初代培養したヒト島細胞(対照)又はNES 2Yβ細胞(トランスフェ
クション有又は無)から、パッチクランプ法により、全てのデータを得た。
【0074】 擬似生理的陽イオン勾配を提供するために、標準のKCl及びNaClが豊富な溶液 を全ての電気生理学的記録に用い、かつデータの収集と分析に使用した方法につ
いては先に言及している。全ての電流の追跡は、上向きの振れを示し、これは外
向き電流事象を示している。
【0075】 Ca2+微量蛍光分析実験は、既報のように、フラ-2-負荷した細胞及び無傷の島 で行った。
【0076】 インスリンは、既報のように、抗ヒトインスリン抗体(Linco, 英国)及び125I-
ヒトインスリンを用いる、ラジオイムノアッセイにより測定した。
【0077】 ノーザンブロッティングは、Quiagen RNeasyシステムを製造業者の指示に従っ
て用いて、NES 2Y細胞及びNISK9細胞から総RNAを調製して行った。試料当たり3m
gの総RNAを変性し、1.5%アガロース/ホルムアルデヒドゲル上で分離し、20 x
SSC(3M NaCl、0.3Mクエン酸ナトリウム)中でHybond-N+ニトロセルロース膜(Amer
sham)上に移した。フィルターを80℃で2時間加熱し、その後5 x SSC、5 x Denha
rdts液、0.5%SDS及び20mg/ml音波処理したサケ精巣DNA中で、65℃で1時間予備 ハイブリダイズした。適当なプローブを添加した後、フィルターを、65℃で一晩
ハイブリダイズした。アクチン、PDX1、SUR1及びKir6.2のcDNAプローブを、Prim
e-A-Geneシステム(Promega, 英国)を製造業者の指示に従って用いて標識した。3 2 P-dCTP(Amersham,英国)50mCiを用いて、各プローブを標識した。ハイブリダイ ゼーション後、フィルターを洗浄した:2 x SSC、0.1%SDS、室温で10分間(2 回);1 x SSC、0.1%SDS、65℃で15分間;0.1 x SSC、0.1%SDS、65℃で15分間
(2回)。その後フィルターをSaranラップで包み、オートラジオグラムにかけ た。
【0078】 SDS-PAGE及びウェスタンブロッティングのための溶解物を得るために、NES 2Y
β細胞、NISK9β細胞及びBRIN BD11β細胞の単層培養物を、氷冷したPBSで3回 すすぎ、その後阻害剤(1.2mM Pefabloc、1mMオルトバナジン酸塩、5μl/mlプロ
テアーゼ阻害剤カクテル(Sigma, Chem. Co.))を補充した低張バッファー(10mM
Tris-HCl、pH7.4、10mM EDTA)の4ml/T25フラスコを用い、4℃で30秒間インキ ュベーションした。得られた細胞溶解液をCostar 50mlチューブに移し、19ゲー ジ針を通すことによりDNAを切断した。この溶解液に、別の低張バッファーと阻 害剤16mlを加え、引き続きこれを300g、4℃、5分間遠心分離し、破壊されていな
い細胞を除去した。上清をBeckman 50.2 TIローター用のチューブに移し、40000
rpm、4℃、30分間遠心分離した。ペレットを、1.5mM Pefabloc及び1mMオルトバ ナジン酸塩を含有するPBSを溶媒とする2%Triton X-100中で再構築した。Biorad
界面活性剤相溶性タンパク質アッセイを用いて、上清のタンパク質濃度を測定し
た。電気泳動用の試料を調製するために、2 x 濃縮負荷バッファー(250mM Tris
(pH10.9)、2%2-メルカプトエタノール、2%SDS、20%グリセロール、0.01%ブ ロモフェノールブルー)を添加し、5分間煮沸した。Laemmliに従い、各レーンに
タンパク質15μgで、7%ゲル上で電気泳動した後、タンパク質を孔径0.45μmで あるニトロセルロース膜に移した。ブロットを、PBSを溶媒とする5%粉乳溶液及
び0.1%Tween(PBS-T)中で、室温で1時間ブロックした。その後、抗SUR1抗体(Su
sumu Seino教授より寄贈、1:3000、4℃で一晩):抗ウサギホースラディッシュ ペルオキシダーゼ結合抗体(1:2500、1時間、Amersham、英国)と共にインキュ ベートし、1%粉乳を含むPBS-Tで洗浄した。抗体結合は、ブロットをECL(Amers
ham、英国)で処理し、これをハイパーフィルムECL(Amersham、英国)に曝露す
ることにより可視化した。
【0079】 NES 2Y細胞中に機能的KATPチャネルがないことは、無傷の細胞及び単離された
細胞膜のパッチから電気的活性を直接記録することによって示した(図9)。従
って、ヒトβ細胞の対照の記録とは著しく異なる(n=143)、無傷の細胞において は、自然発生的KATPチャネル活性も、KATPチャネルアゴニストであるジアゾキシ
ド(0.5mM、n=10)に対する細胞の応答もなかった(図9A)。同様に、NES 2Yβ細 胞から単離された膜の細胞非含有パッチ(対照のβ細胞の記録と比較)において
も、自然発生的KATPチャネル活性はなく(n=19)(図9B及び図12B)、ヌクレオチ ド、フッ化カリウム(KF)及びジアゾキシドの“カクテル”に対する応答もなかっ
た(図9B、n=10)。対照細胞において、ADP(0.1mM)、GDP(0.5mM)、ジアゾキシド
(0.2mM)、UDP(0.1mM)及びKF(10mM)の同時添加は、KATPチャネル活性を6±1.7(n=
5)倍上昇した(図9B)。最後に、KATPチャネル機能の喪失も、単離されたパッチ
形成が、細胞内ATPは失ったにもかかわらず、KATPチャネルの出現をもたらさな かったことにより示された(詳細は図12を参照のこと)。
【0080】 NES 2Yβ細胞のKATPチャネルの喪失の結果は図10A、Bに示した。対照β細胞と
は異なり、NES 2Yβ細胞は、グルコース(20mM)(n=17)又はスルホニル尿素トルブ
タミド(0.1-0.2mM)(n=24)のいずれかでチャレンジした場合に、細胞質ゾルCa2+ 濃度([Ca2+]i)の上昇を通じての応答に失敗した(図10A)。これに加えて、我
々は、[Ca2+]iに対する高い外部KCl(40mM)の作用を認めず(n=23)、このことはNE
S 2Yβ細胞が、PHHIβ細胞において示されているように、調節された電圧依存型
のCa2+流入を起動することができないことを示している。PHHIβ細胞においては
、我々は先にβ細胞機能のイオン制御の喪失とインスリン過剰分泌の間に思いが
けない(casual)関係があることを示した。これはNES 2Yβ細胞においても同様の
ことが観察され、これは対照細胞と比べ、刺激が存在しない状態で上昇したイン
スリン放出速度を有している(図10B)。NES 2Yβ細胞においては、KCl(40mM)も
トルブタミド(0.2mM)も、両薬剤とも細胞質ゾルCa2+を上昇することができない ので、インスリン放出を刺激しなかったが、しかしこの細胞は、上昇したグルコ
ース濃度(11-16mM)には、ごくわずかではあるが応答した。まとめると、これら の各所見は、NES 2Yβ細胞のKATPチャネルの機能が喪失され、かつその結果β細
胞からの調節されたインスリンの分泌が喪失されることを確認している。
【0081】 我々は先に、ウェスタンブロット及び定量的RT-PCRによりNES 2Yβ細胞中の転
写因子PDX1の発現が損なわれていることを示した。この結果としてのグルコース
感受性インスリン遺伝子転写の喪失は、ヒトインスリン遺伝子プロモーターの-5
0から-250領域を有するLUC200レポーター遺伝子構築物の活性を比較することに よって測定した。
【0082】 SUR1抗体によるウェスタンイムノブロッティングはNES 2Yβ細胞中のSUR1タン
パク質の存在を明らかにしたので(図11A)、KATPチャネル機能の喪失は恐らく 、形質膜での活性チャネル複合体へのSUR1及びKir6.2サブユニットの不適切な不
当な出入り(trafficking)又は不正確な構造のいずれかの結果であろう。K+チャ ネル機能における遺伝的欠損及び損なわれたインスリン遺伝子転写因子を修正す
るために、NES 2Yβ細胞を、SUR1、Kir6.2及びPDX1をコードしているcDNAでトラ
ンスフェクションした。これらの細胞は、NISK9β細胞と称した。ノーザンブロ ッティングは、これら3種の導入遺伝子が、各々を発現していることを確認し(
図11B)、対照及びNISK9β細胞において、我々は以下を発見した:(i)SUR1との ウェスタンイムノブロッティングは、明確な性質のタンパク質(結合した“スメ
ア”の出現は恐らくグリコシル化された遺伝子産物の結果であろう)の存在を示
した;及び(ii) 形質膜のK+チャネルの自然発生的出現(図12)。発生した電流 の全体の大きさは、対照ヒトβ細胞において記録されたKATPチャネル電流と類似
していて(図12B)、かつ組換えチャネルの分子レベルで、天然のβ細胞のKATP チャネルと同じ特性を有することがわかった(図13、14)。従って、(i)これら は自然発生的流れの枯渇(run-down)を生じ(図12A)、(ii)ATPの上昇した濃度(0
.005-1mM)が、チャネル開放数の濃度依存型の減少を引き起こす(チャネルの50 %阻害は、ヒトβ細胞対照データ(n=4、示さず)と同様に、5-10μM ATP(n=4) において生じる)(図13)、(iii)チャネルは阻害濃度のATPが存在する場合、AD
Pによって活性化される(n=4、図13A、B)、(iv)電流電圧−相関プロファイルは
、直線ではなく、内向き電流コンダクタンスはおよそ70psである(これはヒトβ
細胞(66ps)に類似している)(図13C)、並びに(v)これらのチャネルの薬理特
性は、β細胞の天然のKATPチャネルと同じであり、すなわちこれらは、アゴニス
トジアゾキシドにより活性化され(無傷の細胞又は単離されたパッチのいずれも
)、トルブタミドのようなスルホニル尿素により阻害される(図14)。(更に我
々は、単離されたパッチにおいて、0.25mMトルブタミドがKATPチャネルを対照値
の40.8±8.5%(n=3)、0.2mMエファロキサンが直前の対照値の8.5±5.6%(n=3)を
阻害することを発見した)。
【0083】 これらのチャネルが良好に発現されることよりもより注目すべき重要なことは
(図12-14)、この方法がPHHI由来のβ細胞の機能に関するものであるという結 論である。NES 2Yβ細胞とは異なり、NISK9β細胞は、グルコース(n=6)、トルブ
タミド(n=21)又はKCl(n=20)のいずれかがチャレンジされた場合に、細胞質ゾルC
a2+の上昇に応答し(図16A、B)、かつこれが調節されたインスリン分泌に思い がけなく関連している(図16C)ことである。NES 2Yβ細胞と比べて、NISK9β細
胞は、刺激されない状態では、上昇した速度でインスリンを構成的に放出せず(
0.9±0.1ng/ml/106細胞/時、対、0.1±0.05ng/ml/106細胞/時(各々、図10B対16
B))、トランスフェクション事象の結果として、これらの細胞は、生理的に関 連のあるグルコース濃度範囲において十分にグルコース応答性である(図16C) 。最後に、KATPチャネルの回復及びPDX1の発現の結果を、インスリン遺伝子転写
レベルで分析し、NES 2Yβ細胞と比較し、NISK9β細胞が、正常なグルコース応 答性インスリン遺伝子の転写を示すことがわかった(図6)。
【0084】 このことから、PHHI由来のβ細胞におけるSUR1、Kir6.2及びPDX1のトランスジ
ェニックな発現は、以下を示すNISK9β細胞の生成につながる:(i)正常なKATP
ャネル活性、(ii)正常な脱分極−応答性カップリング、(iii)細胞質ゾルCa2+の シグナル伝達の回復は、調節されたグルコース誘発性インスリン分泌をもたらす
こと、及び(iv)インスリン遺伝子のグルコース応答性転写。
【0085】 これらの研究は、グルコース応答性ヒトβ細胞株の最初の特徴づけを提供し、
かつ乳児の持続性高インスリン低血糖症のin vitro遺伝子治療の実現可能性を明
らかにしている。この研究で重要なことは、PHHI患者由来の増殖しているβ細胞
の利用可能性である。NES 2Yβ細胞は、膵摘出後のPHHI患者から単離されたイン
スリン分泌細胞(組織提供する患者を含む)の特性及び本質的特徴を反復する(r
ecapitulate)。従って、NES 2Yβ細胞は:(1)操作できるKATPチャネルがなく、(
2)著しく損なわれた細胞質ゾルCa2+のシグナル伝達機構を有し、(3)刺激されな い場合に上昇した速度でインスリンを構成的に放出し、及び(4)インスリンの放 出によって脱分極−依存型アゴニストに反応しない。これらと同じ特性が、最近
、β細胞において欠損したKATPチャネルを発現しているトランスジェニックマウ
スにおいて示されている。従って、PHHIは稀な症状であるが、NES 2Yβ細胞の利
用可能性は、現在進行中のこの状態の分子病態生理学的研究にとって重要である
【0086】 NES 2Yβ細胞におけるKATPチャネルの喪失は、調節されたインスリン放出に対
して大きい影響を有するが、上昇したグルコース濃度がインスリン放出を引き起
こすことは、図10Bに示したデータから明らかである。この所見は、やや予想外 であるように思われるが、グルコース誘発性分泌の“KATPチャネル−依存型”経
路、最初に齧歯類のβ細胞において説明されごく最近ヒトβ細胞において説明さ
れたグルコース“増量(augmentation)”経路のひとつにより容易に説明がつく。
この経路は、正常なβ細胞ではKATPチャネルのβ細胞の操作に対する寄与を排除
するような医薬品の対象とされていないが、正常な細胞ではグルコース代謝及び
随伴するCa2+の流入に左右される第二相のインスリン放出を考慮している。従っ
て、操作できるKATPチャネルが失われたPHHI由来の細胞においては、図10Bに示 されたように、調節されないCa2+の流入が、グルコース誘発性分泌を進行させる
(fuel)。類似の所見が、最近PHHI患者から確実に単離されたβ細胞において認め
られた。
【0087】 トランスジェニックNISK9β細胞において発現されたKATPチャネルの特徴は、 天然の組織において報告されるものと厳密に類似している。従って、この組換え
チャネルは、内部へと整流され、細胞質ゾルATPによって濃度依存型で阻害され 、ATP存在下ではADPによって活性化され、単離されたパッチでは自然発生的流れ
の枯渇を生じ、かつジアゾキシド、スルホニル尿素及びイミダゾリン全てによっ
て加減される。更にこれらのKATPチャネルの操作は、NISK9β細胞の機能におい ても明らかに重要である。このトランスフェクション事象は、生理的に関連のあ
る濃度範囲内でのグルコース応答性の出現を確実にするのみではなく(図16C) 、KCl-及びトルブタミドの両方が誘導した細胞質ゾルCa2+濃度及びインスリン放
出の増加を支配し(図16)、かつジアゾキシドによる細胞質ゾルCa2+のグルコー
ス誘発性上昇を阻害を制御する(図16A)。
【0088】 対照の記録と比較して、NES 2Yβ細胞では、機能的KATPチャネル又は電圧で操
作されるCa2+又はNa+チャネルは示されていない。図9、17、18を参照のこと。こ
の結論は、NES 2Yβ細胞は、グルコース(20mM, n=17)又はスルホニル尿素トルブ
タミド(0.1-0.2mM, n=24)がチャレンジされた場合に、細胞質ゾルCa2+濃度([Ca 2+ ]i)の上昇に反応できないことを示している(図10)。これに加えて、我々は
、脱分極濃度である高い外部KCl(40mM)の、[Ca2+]iに対する作用が無い(n=23)こ
とを認め、このことは、NES 2Yβ細胞が、調節された電圧依存型のCa2+の流入を
支配できないことを示している(図10A)。確実に単離されたPHHIβ細胞におい て、β細胞機能のイオン制御の喪失とインスリン過剰分泌の間に思いがけない関
係がある。これはNES 2Yβ細胞においても同様のことが観察され、これは対照細
胞と比べ、刺激が存在しない状態で上昇したインスリン放出速度を有し(図10)
、かつKCl(40mM)もトルブタミド(0.2mM)両薬剤とも細胞質ゾルCa2+を上昇するこ
とができないので、これらはインスリン放出を刺激しなかった(図10)。しかし
、NES 2Y細胞は、上昇したグルコース濃度(11-16mM)には、グルコース増量のKAT P チャネル依存型経路を通じて、ごくわずかではあるが応答した。これらの所見 は、NES 2Yβ細胞のKATPチャネルの機能が喪失され、かつその結果調節されたイ
ンスリンの分泌が喪失されることを実証している。
【0089】 トランスフェクションされたNES 2Yβ細胞において、KATPチャネルは、形質膜
において自然発生的に機能し(図12-13)、かつ発生した電流の全体の大きさは 対照ヒトβ細胞で記録されたKATPチャネル電流と同様である(図12)ことがわか
った。驚くべきことに、NES 2Yβ細胞のトランスフェクションは、β細胞におけ
る電圧で等級化されたNa+チャネルの出現ももたらす。電圧で等級化された電流 の出現は、ホールディング電位-80mVから脱分極段階の膜電位の変化の適用によ って示されている。これらの条件下で、微視的全細胞の内向き電流は、電圧で等
級化されたCa2+チャネル及び電圧で等級化されたNa+チャネルの両方から記録さ れた。これらの電流をテトロドトキシン(TTx)により阻害することは、電圧で等 級化されたNa+チャネルの存在を確証するが(図17)、ニフェジピンによる更な るTTx感受性電流の阻害及びそれに続くアゴニストBAY K-8644による活性化は、N
ISK9β細胞における電圧で等級化されたCa2+チャネルの機能を確証している(図
17)。NISK9β細胞の結果に関する同様のデータも、対照ヒトβ細胞の記録から 得られた(図18)。
【0090】 まとめると、このデータは、KATPチャネルサブユニットの遺伝子操作を通じて
、β細胞において電圧で等級化されたイオンチャネルを出現することを示唆して
いて、これはインスリン放出を伴う細胞内Ca2+の変化に相関する機能データによ
って裏付けられている。従って、NES 2Y細胞とは異なり、NISK9β細胞は、グル コース(n=6)、トルブタミド(n=21)又はKCl(n=20)がチャレンジされた場合に、細
胞質ゾルCa2+濃度の上昇に反応できず、かつこれは調節されたインスリン分泌に
思いがけず関連していることがある。従って、PHHI由来のβ細胞において、SUR1
、Kir6.2及びPDX1のトランスジェニック発現は、(i)正常なKATPチャネル活性、(
ii)正常な脱分極応答性カップリング事象、及び(iii) 細胞質ゾルCa2+シグナル 伝達の回復を示すNISK9β細胞を生じることにつながり、これは電圧で等級化さ れたCa2+チャネル及び電圧で等級化されたNa+チャネルの操作を通じて調節され たグルコース誘発性インスリン分泌をもたらす。
【0091】 このデータは、まずPHHIのin vitroでの遺伝子治療がうまくいくことを示す。
それに加えて、このデータは、β細胞におけるインスリン放出に関する刺激−分
泌カップリングの機序に関する新たな洞察を提供する。グルコースが誘発したKA TP チャネルの閉鎖は、細胞膜電位の脱分極を開始することが長い間認められてい
る。我々のデータは、KATPチャネルの存在が更に、電圧で等級化されたイオンチ
ャネルの操作に機能的に関係していることも示している;NES 2Yβ細胞は、電圧
で等級化されたイオンチャネルが存在しないのに対して、KATPチャネルサブユニ
ットでトランスフェクションされたNES 2Yβ細胞は、機能的電圧で等級化された
Ca2+チャネル及び電圧で等級化されたNa+チャネルを発現する。これらのデータ が暗示するもののひとつは、SUR1及び/又はKir6.2のいずれかとβ細胞の電圧で
等級化されたイオンチャネルの間には生理的連関又はカップリングがあること、
及びこれがKATPチャネルサブユニットの欠損が、他のイオンチャネルの機能に対
して、関連した影響よりもむしろ直接影響する可能性を高めることである。この
新規の機能の相互依存性は、インスリン放出の調節、及び代謝関連疾患の発症を
確実にする事象に関する理解だけではなく、PHHI及び糖尿病の治療によるβ細胞
の機能の医薬による管理についても重要な意味がある。従って、これらの知見の
結果、我々はβ細胞のKATPチャネルの変調が、電圧で等級化されたCa2+チャネル
及び電圧で等級化されたNa+チャネルの機能に対し直接作用することを示唆する 。
【0092】 従って、NES 2Yβ細胞は、乳児における持続性高インスリン低血糖症の研究及
びKATPチャネル操作の存在しないβ細胞の操作のためのin vitroモデル細胞にお
いて重要である。更に、我々のデータは、代謝関連疾患のin vitro遺伝子治療の
成功を最初に明らかにし、我々の所見は、今後の、膵摘出後にPHHI患者から確実
に単離されたβ細胞を同様に操作し自己移植する可能性もほのめかしている。NE
S 2Yβ細胞の遺伝子導入操作により、我々は、最初に完全なグルコース応答性ヒ
トインスリン分泌細胞株を作出した。これらの細胞において、我々は、インスリ
ン分泌の“KATPチャネル−依存型”(図16C)及び“KATPチャネル−非依存型” (図10B)経路の両方の操作に加え、転写レベルでのグルコースの作用を操作す ることによって、インスリン遺伝子のグルコースに起因した転写を回復すること
を示した(図10C、16C)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 NES 2Y細胞からのインスリン分泌に対するグルコースの作用を示す図である。
【図2】 トランスフェクションされたMIN6及びNES 2Y細胞におけるpGL-LUC200に対する
グルコースの作用を示す図である。
【図3】 NES 2Y細胞(N)及びMIN細胞(M)における転写因子結合活性のEMSA分析(電気泳 動移動度シフト分析)を示す図である。
【図4】 NES 2Y、MIN6、AiαTC及びBHK細胞におけるIUF1のウェスタンブロット分析を 示す図である。
【図5】 IUF1、インスリン及びUSFのmRNAレベルの定量的RT-PCR IUF1(NES 2Y、レーン1-6、MIN6、レーン7-12)、インスリン、及びUSFについ
て特異的なプライマーによる定量的PCRで比較を行った状態を示す図である。
【図6】 IUF1は、トランスフェクションされたNES 2Y細胞におけるインスリンプロモ
ーターのグルコース応答調節を回復する状態を示す図である。
【図7】 NES 2Y由来のNISKクローンからのインスリン分泌に対するグルコースの作用を
示す図である。
【図8】 NISK9細胞はグルコースに対して用量−反応性を示す図である。
【図9】 NES 2Yβ細胞にはKATPチャネル活性が存在しない状態を示す図である。
【図10】 NES 2Yβ細胞機能を示す図である。
【図11】 パネルAは、対照(BRIN BD11細胞、レーン1)、NES 2Yβ細胞(レーン2)
及びNISK9β細胞(レーン3)におけるSUR1抗体を用いるウェスタンイムノブロ ッティングのデータを示す図である。
【図12】 トランスフェクションされたNES 2Yβ細胞におけるK+チャネルの出現を示す
図である。
【図13】 NISKβ細胞における組換えKATPチャネルの特性を示す図である。
【図14】 NISK9β細胞における組換えKATPチャネルの薬理特性を示す図である。
【図15】 NES 2Yβ細胞における操作されたKATPチャネルの薬理を示す図である。
【図16】 NISK9β細胞の機能的特徴を示す図である。
【図17】 NES 2Yβ細胞における電圧で等級化された(voltage-rated)イオンチャネル 及びKATPチャネル活性の不在の状態を示す図である。
【図18】 ヒトβ細胞における電圧で等級化されたイオンチャネル及びKATPチャネルを
示す図である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月6日(2000.3.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項17】 PHHI又はインスリノーマの治療に適合した、請求項12乃
至16のいずれか1項記載の細胞株。
【手続補正書】
【提出日】平成13年4月4日(2001.4.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (71)出願人 ユニバーシティ カレッジ ロンドン イギリス国 ロンドン WC1N 1EH グィルフォード ストリート 30 (72)発明者 アインスレー グリーン アルバート イギリス国 ロンドン N1 ORA ア イリントン ギブソン スクウェア 54 (72)発明者 リンドリー キース イギリス国 サリー RH1 4AP レ ッドヒル ヒルフィールド ロード 100 ヒルフィールドハウス (72)発明者 ドーチャティ ケビン イギリス国 アバデーンシェア AB21 OYA ハットンオブフィントレー ハッ トン コート 14 (72)発明者 ダン マーク イギリス国 シェフィールド S8 9R A アルバート ロード 118 (72)発明者 ジェイムス ロジャー フランク レバー イギリス国 レイチェスター LE5 1 EB ハンバーストーン スタンレー ド ライブ 25 (72)発明者 マックファーレン ウェンディ イギリス国 ニューキャッスル‐アポン- ティン NE3 4XN ゴスフォース アッシュバートン ロード 17A Fターム(参考) 4B024 AA20 BA80 CA04 DA03 EA04 GA23 HA17 HA20 4B065 AA93X AA93Y AB01 AC20 BA02 BA06 CA44 CA46 4C084 AA13 NA05 ZC352 4C087 AA01 AA02 AA04 BB51 CA12 NA14 ZC35

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不死化されたインスリン産生ヒトβ細胞株。
  2. 【請求項2】 グルコース応答性が付与された、請求項1記載の細胞株。
  3. 【請求項3】 PHHIドナー由来、又は調節されないヒトインスリン分泌を産生す
    るように生物工学的に操作された細胞株由来の、請求項1又は2記載の細胞株。
  4. 【請求項4】 未熟なランゲルハンス島由来の、請求項1乃至3のいずれか1項
    記載の細胞株。
  5. 【請求項5】 前記ランゲルハンス島が胎児又は若年小児に由来する、請求項4
    記載の細胞株。
  6. 【請求項6】 生理的範囲である4〜10mMにおいてグルコースに応答する、請求 項1〜5のいずれか1項記載の細胞株。
  7. 【請求項7】 PDX1でトランスフェクションされ、かつSUR1をコードしているcD
    NAで安定して同時にトランスフェクションされる、請求項6記載の細胞株。
  8. 【請求項8】 Kir6.2をコードしているcDNAで安定して同時にトランスフェクシ
    ョンされる、請求項7記載の細胞株。
  9. 【請求項9】 移植又は封入に適合した、請求項1乃至8のいずれか1項記載の
    細胞株。
  10. 【請求項10】 PHHI又はインスリノーマの治療に適合した、請求項1乃至9の
    いずれか1項記載の細胞株。
  11. 【請求項11】 以下の少なくともひとつに適合した、請求項1乃至10のいず
    れか1項記載の細胞株: (a)陽イオン又は陰イオン選択性のイオンチャネルのスクリーニング; (b)細胞内及び/又は細胞質ゾルのカルシウムイオン濃度のスクリーニング; (c)分泌顆粒のエキソサイトーシス又はエンドサイトーシスの方法のスクリーニ ング; (d)細胞分裂及び/又は分化の過程のスクリーニング; (e)脱分極応答性カップリング事象又は増量経路によるグルコース誘発性インス リン放出の方法のスクリーニング; (f)グルコース誘発性インスリン遺伝子転写又は糖尿病、PHHIもしくはインスリ ノーマに関連した遺伝子転写の方法のスクリーニング; (g)β細胞に特異的なイオンチャネル又はそれらの受容体の解明法のスクリーニ ング;及び (h)イオンチャネル変調タンパク質の薬理の解明法のスクリーニング。
  12. 【請求項12】 PHHIドナーに由来する不死化されたインスリン産生ヒトベータ
    細胞株、それらへの生理的範囲でのグルコース応答性を回復するための遺伝的情
    報の挿入により生物工学的に操作されたその機能的同等物。
  13. 【請求項13】 未熟なランゲルハンス島に由来する、請求項12記載の細胞株。
  14. 【請求項14】 生物工学的な挿入が、PDX1によるトランスフェクション、及び
    SUR1をコードしているcDNAによる安定した同時トランスフェクションにより達成
    される、請求項12又は13記載の細胞株。
  15. 【請求項15】 挿入が、Kir6.2をコードしているcDNAにより安定して同時トラ
    ンスフェクションされる、請求項14記載の細胞株。
  16. 【請求項16】移植又は封入に適合した、請求項12乃至15のいずれか1項記
    載の細胞株。
  17. 【請求項17】 PHHI又はインスリノーマの治療に適合した、請求項12乃至1
    6のいずれか1項記載の細胞株。
  18. 【請求項18】 以下の少なくともひとつに適合した、請求項1乃至10のいず
    れか1項記載の細胞株: (a)陽イオン又は陰イオン選択性のイオンチャネルのスクリーニング; (b) 細胞内及び/又は細胞質ゾルのカルシウムイオン濃度のスクリーニング; (c)分泌顆粒のエキソサイトーシス又はエンドサイトーシスの方法のスクリーニ ング; (d)細胞分裂及び/又は分化の過程のスクリーニング; (e)脱分極応答性カップリング事象又は増量経路によるグルコース誘発性インス リン放出の方法のスクリーニング; (f)グルコース誘発性インスリン遺伝子転写又は糖尿病、PHHIもしくはインスリ ノーマに関連した遺伝子転写の方法のスクリーニング; (g)β細胞に特異的なイオンチャネル又はそれらの受容体の解明法のスクリーニ ング;及び (h)イオンチャネル変調タンパク質の薬理の解明法のスクリーニング。
  19. 【請求項19】 以下の工程を含む、不死化されたグルコース応答性インスリン
    産生ヒトβ細胞の製造法: (a)調節されない不死化されたヒトインスリン分泌β細胞を選択する工程; (b)前記選択された細胞をグルコース応答性を遺伝的に制御するエレメントでト ランスフェクションする工程;及び (c)前記トランスフェクションされた細胞株を増殖する工程。
  20. 【請求項20】 前記調節されない不死化された細胞株が、胎児又は若年小児由
    来の未熟なランゲルハンス島から選択される、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記細胞株がPHHIドナーに由来する、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記細胞株を、PDX1によるトランスフェクション及びSUR1をコ
    ードしているcDNAによる引き続きの同時トランスフェクションにより、生理的範
    囲でグルコース応答性であるように遺伝的に操作する工程を含む、請求項19乃
    至21のいずれか1項記載の方法。
  23. 【請求項23】 得られる産物が、Kir6.2により安定して同時トランスフェクシ
    ョンされる、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 寄託番号第9709106として、1997年9月1日に、European collec
    tion of Cell Cultures;Center for Applied Microbiology and Research, Sal
    isbury, Wiltshire, 英国に寄託されているNISK9細胞株。
  25. 【請求項25】 記載なし
  26. 【請求項26】 請求項9乃至23のいずれか1項記載の方法で調製された、低
    血糖症治療のための医薬組成物。
  27. 【請求項27】 In vitroにおいてグルコース応答性である不死化されたインス
    リン産生β細胞を作出する工程、それに続くヒトの体にこの細胞を移植する工程
    を含む、PHHIのヒトの体の治療法。
  28. 【請求項28】 前記細胞株が、未熟なランゲルハンス島に由来する、請求項2
    7記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記ランゲルハンス島が、PHHIである胎児又は小児のドナーに
    由来する、請求項27記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記細胞株が調節されないインスリン分泌をもたらすように生
    物工学的に操作されることによって作出される、請求27記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記細胞株が、生理的範囲(age)4〜10mMにおいてグルコース応
    答性であるように遺伝的に操作される、請求項27乃至30のいずれか1項記載
    の方法。
  32. 【請求項32】 前記細胞株が、PDX1によりトランスフェクションされ、かつSU
    R1をコードしているcDNAにより安定して同時トランスフェクションされる、請求
    項27乃至31のいずれか1項記載の方法。
  33. 【請求項33】 更にKir6.2をコードしているcDNAにより安定して同時トランス
    フェクションされる、請求項31記載の方法。
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