JP2001508669A - 人工心肺装置における脈動流発生 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 人工心肺装置の脈動する血液流は、血液をブラダー内に一定の流量で圧送し、ブラダーそれ自体の弾性、又は人間の心拍をシミュレートするようにプログラムできる機械式圧縮機構のいずれかによって人工心肺装置の動脈ライン内にブラダーの内容物を全て周期的に送ることによって行われる。

Description

【発明の詳細な説明】 人工心肺装置における脈動流発生 発明の分野 本発明は人工心肺装置に関し、更に詳細には、人工心肺装置の血液出口で自然 の心臓の心拍パターンをシミュレートするための方法及び装置に関する。 発明の背景 自然の状態の人間の心臓は、心臓の様々な室の充填及び排出（拍動）と対応す る脈動する血液流を身体に提供する。血液の瞬間的な流量は、複雑な周期的方法 でほぼゼロから任意の最大流量まで変化し、血液の全流量は時間に基づいた平均 値である。 開心手術(open-heart surgery)で使用される人工心肺装置の心肺バイパス回路 (cardiopulmonary bypas scircuits)は、血液を循環させる動力を提供するため 、代表的には、遠心ポンプ又は容量型ポンプ（即ちローラー型）を使用する。こ れらのポンプは、回路を通して常に本質的に一定の流量で血液を提供し、瞬間的 流量と平均流量はほぼ同じである。 医学的研究によれば、脈動流は一定流よりも生理学的に正しく、体外灌注(ext racorporeal perfusion)の効力に有用な影響を及ぼす。これにより、心臓バイパ ス手術後の患者の状態が改善される結果がもたらされる。 人工心肺装置で心臓の自然の脈動流をまねるための様々な方法が提案されてき たが、これらのうち、満足のいくものは一つとして無かった。脈動流を提供する ための最も簡単な方法は、人工心肺装置の動脈ポンプの入口ライン又は出口ライ ンのクランプ−クランプ解除を周期的に行うことである。ポンプの入口をクラン プすることは、入口内に非常に高い吸引圧力を発生させ、これにより赤血球が損 傷を受けるため、又は場合によっては血流中に気泡を発生させるキャビテーショ ンを引き起こすため、望ましくない。更に、低流量期又は休止期間中にポンプの ロータが流体の滞留容積内で回転し、これによって血液細胞が機械的に傷つけら れる場合がある。ポンプの出口をクランプすることは、遠心ポンプでは、このよ うに血液細胞が傷つけられるため、望ましくない。ポンプ の出口をクランプすることは、容量型ポンプでは、ライン内の圧力の急速な上昇 により、連結部又はチューブが破裂し、収拾の付かない事態を招く可能性がある ため、望ましくない。 脈動流を発生するための適当な方法は、ポンプの速度を周期的に変化させるこ とである。これは、ポンプ制御装置によって容易に電子的に行うことができる。 しかしながら、ポンプの回転エレメントの慣性により、得られた波形は、自然の 心拍波形というよりも正弦波形となり、波の周期が自然の周期よりも長くなる。 更に、ポンプの下流にある酸素付加器や動脈フィルタ等のバイパス回路構成要素 もまた、それらの滞留容積により、脈動を減衰する。 発明の概要 本発明は、連続的に作動するポンプにより、チェックバルブを通った血液で弾 性ブラダーを充填することによって脈動流を発生する。ブラダーは、断続的に作 動できる出口バルブを通して血液出口に連結されている。出口バルブは、弾性ブ ラダーの膨張及び収縮によってトリガーされる。出口バルブは、好ましくはヒス テリシスを伴って、即ちブラダーが所定容積を越えて膨張するときに全開し、ブ ラダーが収縮して別のかなり小さい容積よりも下に容積が減少したときに全閉す るように作動する。 本発明の第１実施例では、適当なトグル機構を備えた機械式出口バルブがブラ ダーに直接的に連結されている。そのため、ブラダーが一杯に膨張したときにぽ んと開き、ブラダーがほぼ空になったときにぽんと閉じる。血液は、ブラダーの 弾性により、出口バルブを通して圧送される。第２実施例では、ブラダーの膨張 によりスイッチ又はセンサがトリップし、これによって制御装置が出口バルブを 開放し、圧力機構を作動し、ブラダーを機械的に圧縮して血液を放出する。同様 の作用の他の周知の機構も使用できる。 図面の簡単な説明 第１図は、本発明を使用して人工心肺装置の概略図であり、 第２Ａ図乃至第２Ｄ図は、本発明の第１実施例の四つの動作段階を示す概略図 であり、 第３Ａ図乃至第３Ｄ図は、本発明の第２実施例の四つの動作段階を示す概略 図であり、 第４図は、第２実施例の変形態様を示す概略図である。 好ましい実施例の説明 第１図は、本発明が使用される一般的な環境を簡単な形態で示す。冠状バイパ ス手術中、人工心肺装置１０は、患者１２の血液を大静脈１４からリザーバ１６ 内に逸らす。ポンプ１８が血液をリザーバから酸素負荷器２０及びフィードバッ ク２１を通して患者１２の大動脈２２に戻す。 ポンプ１８は、代表的には、実質的に一定の速度で作動するローラーポンプで ある。これは、酸素負荷器２０の適正な機能にとって望ましい。本発明によれば 、第２ａ図乃至第４図に更に詳細に示すブラダーアッセンブリ(a bladder assem bly)２６を酸素負荷器２０と大動脈２２との間に配置することによって、自然の 心臓の脈動作用をシミュレートできる。 第２Ａ図乃至第２Ｄ図は、本発明の第１の好ましい実施例の作動を示す。弾性 ブラダー２８は、第１図の酸素負荷器２０から血液を一定の流量で受け入れる。 血液がブラダー２８に流入すると、ブラダー２８が膨張し、その内部で圧力が上 昇する。圧力が所定の値に達すると、トグル式出口バルブ３０が開放(第２Ｂ図 の矢印３２参照)し、ブラダー２８の弾性押圧力により、血液の塊(bolus of blo od)３３を動脈ライン３４内に推進する(第２Ｃ図参照)。トグル作用により、出 口バルブ３０はブラダー２８が本質的に弛緩するまで開放状態のままである。次 いで、バルブ３０が閉鎖（第２Ｄ図の矢印３６参照）し、サイクルを繰り返す。 第２Ｃ図に示す状態中の動脈ライン３４内の流れ３３は、ポンプ１８によってブ ラダー２８内に圧送される流れよりもかなり大きいということは理解されよう。 第３Ａ図乃至第３Ｄ図は、本発明の更に複雑な実施例を示す。この実施例では 、ブラダー２８は固定プレート３８上に配置されており、酸素負荷器２０からチ ェックバルブ４０をとして血液を受け取る。電気的に、空気圧により、又は機械 的に制御されるサーボ型バルブ４２は、通常は、動脈ライン３４を塞ぐ。 ブラダー２８が第３Ａ図に示すその休止状態から膨張すると、最終的には第３ Ｂ図の位置に至り、ここで、制御装置４６により作動される可動プレート４ ４と接触する。第３Ｂ図の位置では、適当な制限スイッチ又はセンサ（図示せず ）が制御装置４６を賦勢する。これにより、制御装置４６がバルブ４２を開放し 、可動プレート４４を下方に駆動し、ブラダー２８を絞る(第３Ｂ図に矢印４８ で示す)。可動プレート４４が所定の距離に亘って下方に移動した後、制御装置 ４６が出口バルブ４２を遮断し、可動プレート４４をその元の位置まで引っ込め (第３Ｃ図に矢印５０で示す)、サイクルを繰り返す(第３Ｄ図参照)。 第３Ａ図乃至第３Ｄ図の実施例の利点は、プレート４４を駆動する従来の機構 を制御するマイクロプロセッサを適当にプログラムすることによって、可動プレ ート４４の下降速度を所望の通りに変化させることができるということである。 第４図はそのような構成を例示する。第４図では、動脈ライン３４に圧力トラン スジューサ５２が設けられている。動脈ライン３４内の血液の圧力を示す信号を マイクロプロセッサ５４に加える。このマイクロプロセッサは、フィードバック ループ内の検出圧力を予めプログラムされた時間−振幅パターンと比較し、予め プログラムされたパターンに従ってプレート駆動装置５６を作動する。このよう にして、第４図の装置は(安価であるが信頼性が高く、血液出力が常に減少指数 曲線に従う第２Ａ図乃至第２Ｄ図の装置とは異なり)、プレート４４の機構の機 械的慣性が許す限り自然の拍動に近付くようにプログラムできる。 本明細書中に説明し且つ添付図面に示す人工心肺装置で脈動する血液流を発生 するための例示の装置は、本発明の現在の好ましい実施例を表すに過ぎないとい うことは理解されよう。確かに、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、 このような実施例に様々な変更及び追加を行うことができる。他の変更及び追加 は当業者には明らかであり、本発明を様々な異なる用途で使用するように行うこ とができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．脈動する血液流を人工心肺装置で発生するための装置において、 ａ）膨張可能なブラダーと、 ｂ）血液を前記ブラダーに実質的に一体の流量で供給するため、前記ブラダ ーに連結された血液入口と、 ｃ）前記ブラダー用血液出口と、 ｄ）前記ブラダー内の血液の容積が第１の所定レベルまで上昇したときに前 記ブラダー出口を開放し、前記ブラダー内の血液の容積がかなり低い第２レベル まで降下したときに前記ブラダー出口を閉鎖するように構成されたバルブと、 を有することを特徴とする、脈動する血液流を人工心肺装置で発生するための装 置。 ２．前記ブラダーは弾性を有し、前記バルブの開放時に前記弾性により血液を前 記血液出口内に排出するための押圧力を提供するように構成された、請求項１に 記載の装置。 ３．ｅ）間に置いた前記ブラダーを絞ることができる固定プレート及び可動プレ ートと、 ｆ）前記バルブを作動し、前記可動プレートを移動し、前記バルブが開放し ている場合に前記ブラダーを絞るように構成された制御装置と、 を有する、請求項１に記載の装置。 ４．ｇ）前記制御装置と関連して、前記ブラダーを所定のパターンで絞るように 前記可動プレートの絞り移動を制御するように構成されたマイクロプロセッサを 有する、請求項３に記載の装置。 ５．ｈ）前記血液出口に配置された圧力センサを有し、前記圧力センサは、前記 血液出口での血液圧力が所定の時間−振幅パターンと一致するように前記マイク ロプロセッサにフィードバックループで連結されている、請求項４に記載の装置 。 ６．脈動する血液流を人工心肺装置で発生させるための方法において、 ａ）血液を実質的に一定の流量で膨張自在のブラダーに供給する工程と、 ｂ）前記ブラダーから血液の塊を排出するように前記ブラダーを周期的に収 縮させる工程と、 を有することを特徴とする、脈動する血液流を人工心肺装置で発生させるための 方法。 ７．前記周期的に収縮する工程は、前記ブラダーを弾性に製作し、前記ブラダー の前記出口の開閉を周期的に行い、前記出口が塞がれていない場合に前記血液の 塊を排出するための押圧力として前記ブラダーの前記弾性を使用することによっ て行われる、請求項６に記載の方法。 ８．前記収縮工程は、前記ブラダーの外部にある圧縮部材によって前記ブラダー を周期的に圧縮することによって行われる、請求項６に記載の方法。 ９．前記圧縮部材の前記圧縮作用は、予めプログラムされた動作パターンに従っ て前記圧縮作用を実施するように構成された制御装置によって制御される、請求 項８に記載の方法。 １０．前記パターンは人間の心拍のシミュレーションである、請求項９に記載の 方法。