JP2001502323A - 成長因子の送達を増強する方法 - Google Patents

成長因子の送達を増強する方法

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Abstract

(57)【要約】 脳中および脳周辺での成長因子の拡散は、成長因子レセプターとの同時注入によって増強される。このことは、因子が、より広い範囲の組織にわたって生物学的影響を及ぼすことを可能にする。特定の実施態様において、BDNF拡散は、可溶性trkBレセプターの同時投与によって増強される。

Description

【発明の詳細な説明】 成長因子の送達を増強する方法 序論 本出願は、1996年10月16日に出願された米国特許暫定出願第60/028,566号の優 先権を請求し、それはその全体が本明細書中で参考として援用される。本発明は 、成長因子、特にニューロトロフィンのような神経栄養成長因子の、組織を通っ て拡散し、それによってより広いまたはより狭い範囲の組織にわたってその生物 学的影響を及ぼす能力を制御する方法に関する。それは、一部には、TrkBレセプ ターがBDNFのキャリアとして作用し、それによって組織を通って拡散する能力を 増強し得るという出願人らの発見に基づく。 発明の背景 栄養因子は、分化したニューロンの維持に加えて、発生間のニューロン生存お よび成長において重要な役割を果たす。そのような因子はまた、中枢神経系なら びに末梢神経系における損傷したニューロンの生存および再生において役割を果 たすようである。 構造的に関連する神経栄養因子である、神経成長因子(NGF)(Levi-Montalcini ,1987 Science 237:1154-1162)、脳由来神経栄養因子(BDNF)(Bardeら、1982,E MBO J.1:549-553;Leibrockら、1989,Nature 341:149-152)、ニューロトロフィ ン-3(NT-3)(Hohnら、1990;Nature 344:2339-341;Maisonpierreら、1990,Scie nce 247:1446-1451)、およびニューロトロフィン-4(NT-4)(Ipら、1992、Proc .Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,89:3060-3064)は、成長している末梢神経系およ び中枢神経系におけるニューロンの生存、成長、および分化に影響を及ぼす(Lin dsayら、1991,Restorative Neurol.Neurosci.2:211-220;Longoら、1993,Neu trotrophic Factors(S.E.LoughlinおよびJ.H.Fallon(編):209-256)。未成熟 ニューロンに対する内因性ニューロトロフィンのこれらの効果は、本発明者らが 、外因性ニューロトロフィンでの処置が、動物の損傷または疾患モ デルにおける成熟ニューロンに対する有利な効果を及ぼし得るか否かを決定する ための調査を促進した。BDNFおよびNGFの両方は、感覚ニューロンにおける軸索 再生を増強し(Lindsay,1988,J.Neurosci.8:2394-2405)、そしてBDNF(NGF ではない)は、外傷または疾患によって影響を受けた運動ニューロンの生存およ び完全性を促進する(Sendtnerら、1992,Nature 360:757-759;Yanら、1992,Na ture 360:753-755;Friedmanら、1994,Neuron 9:295-305;Mitsumotoら、1994,S cience 265:1107-1110)。BDNFおよびNGFの両方は、軸索切除した基底前脳コリ ン作用性ニューロンを維持し得る(Hefti,1986,J.Neurosci.8:2155-2162;Wi lliamsら、1986,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:9291-9235;Kro USA 88:961-965;Morseら、1993,J.Neurosci.13:4146-4156;Widmerら、1993, NeuroReport 4:363-366)。NGFはまた、線条体コリン作用性介在ニューロンを、 グルタミン酸レセプターアゴニストの注射の興奮毒性効果から保護し得る(Aloe ,1987,Bio/Technology 5:1085-1086;DaviesおよびBeardsall,1992,Neurosc i.Lett.140:161-164;Veneroら、1994,Neuroscience 61:257-268)。BDNFおよ びNT-3のそれぞれは、網膜光受容体を、連続的な光への曝露によって誘導される 変性から保護し得(LaValiら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:11249-112 53)、そしてBDNFは、軸索切除した網膜神経節細胞の生存を促進する(Mansour-R obaeyら、1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1632-1636)。 ニューロンの完全性および生存を促進するニューロトロフィンの能力、ならび にニューロトロフィンのレベルにおける減少が特定の疾患におけるニューロンの 損失の原因の根底にあり得るという可能性(Appel,1981,Ann.Neurol.10:499- 505;Phillipsら、1991,Neuron 7:695-702)は、神経変性疾患の処置のためのニ ューロトロフィン誘引性(attractive)治療的候補を作っている(DiStefano,199 3,Exp.Neurol.124:56-59;Lindsayら、1993,Neurotrophic Factors.(S.E.L oughlinおよびJ.H.Fallon(編):257-284,Lindsayら、1994,TINS 17:182-190 ;Altarら、1994,Alzheimer's and Parkinson's Diseases:Recent Advances(I. Hanin,M.YoshidaおよびA.Fisher(編))。BDNFまたはNGFでの処置は、それ らの生存促進特性に加えて、他の潜在的に望ましい効果を有し得 る。NGFでの処置は、損傷を受けていない線条体および基底前脳コリン作用性ニ ューロンにおけるコリンアセチルトランスフェラーゼ活性を上昇させる(Gnahnら 、1983,Dev.Brain Res.9:45-52;Heftiら、1984,Brain Res.293:305-311;Ga geら、1989,Neuron 2:1177-1184)。外因性BDNFは、大脳皮質、海馬、および線 条におけるいくつかの神経ペプチドの発現に示差的に影響し得る(Crollら、1994 ,Eur.J.Neurosci.6:1343-1353;Nawaら、1994,J.Neurosci.14:3751-3756; Sauerら、1994,Brain Res.626:37-44)。BDNFまたはNT-3での処置は、ドパミン およびセロトニン代謝を増強し(Altarら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:11347-11351,Altarら、1993,J.Neurochem.61(Suppl.):S7C;Martin-Ivers onら、1994,J.Neurosci.14:1262-1270)、そしてBDNFまたはNT-3の中脳への投 与は、無痛を誘導する(Siuciakら、1994,Brain Res.633:326-330)。進行中の 臨床試験は、動物モデルにおいて、外傷または疾患によって影響される運動ニュ ーロンの生存および完全性を促進するBDNFの能力(Sendtnerら、1992,Nature 3 60:757-759;Yanら、1992,Nature 360:753-755;Mitsumotoら、Science,1994,2 65:1107-1110)に基づいた、運動ニューロン疾患である筋萎縮側索硬化症(ALS;L ou Gehrlg's Disease)の進行を緩慢するBDNFの能力を評価するために行われてい る。これらの見込みのある最初の調査は、脳における外因性ニューロトロフィン の効果を試験するより多くの研究を刺激している。 ニューロトロフィンは、約27kDの天然に存在するホモ二量体として存在するタ ンパク質である(Radziejewskiら、1992,Biochemistry 31:4431-4436)。このサ イズのほとんどの分子のように、ニューロトロフィンは血液−脳障壁を横切らず 、全身性投与を介する天然のタンパク質の脳への送達を妨げる。NGFの脳室内注 入の前脳コリン作用性ニューロンに対する明白な効果は、現在までに十分に確立 されているが(総説については、SniderおよびJohnson,1989,Ann.Neurol.26 :489-506を参照のこと)、脳に送達される神経栄養因子の実際の分布に関する情 報は、ほとんど利用可能ではない(FergusonおよびJohnson,1991,J.Comp.Neu rol.313:693-706;Fergusonら、1991,J.Comp.Neurol.313:680-692;Kordower ら、1993,Exp.Neurol.124:21-30;Morseら、1993,J.Neurosci.1 3:4146-4156;Yanら、1994,Exp.Neurol.127:23-36)。これらのわずかの研究さ え、異なる因子が、ICV送達後に根本的に異なるパターンの分布を示し得る(こ れは、生物学的効果における明らかな差異に貢献し得る)ことを示す。従って、 種々の態様の直接的な大脳内または大脳外送達後の、脳内でのこれらの物質の分 布の詳細な理解は、中枢神経系における外因性ニューロトロフィンの効果の調査 の実行および解釈を非常に容易にする。 密接に関連するタンパク質の相対的な分布でさえ、物理化学的因子および生物 学的因子の両方によって影響され得る。例えば、ニューロトロフィンはすべて、 比較的高い等電点(9.4〜10.1)を有し、細胞膜および細胞外マトリックスに対す るそれらの非特異的結合を潜在的に増加させる。おそらく、より有意に、組織内 での因子の分布は、これらの因子についての高親和性レセプターの分布および存 在比によって影響を及ぼされることが予想され得る。それぞれBDNFおよびNT-3に ついての高親和性レセプターである、TrkBまたはTrkCをコードするメッセンジャ -RNAは、脳全体の多くの細胞集団によって発現され(Kleinら、1990,Cell 61:64 7-656;Lamballeら、1991,Cell 66:967-979;Merlioら、1992,Neuroscience 51( 3):513-532;Valenzuelaら、1993,Neuron 10:963-974;Altarら、1994,Eur.J. Neurosci.6:1389-1405)、一方NGFについての高親和性レセプターであるTrkAを コードするmRNAは、いくつかの分散した集団におけるニューロンに制限される(V azquesおよびEbendal,1991,NeuroReport 2:593-596;Merlioら、1992,Neurosc ience 51(3):513-532;GibbsおよびPfaff,1994,J.Comp.Neurol.341:325-339 )。これらの知見と一致して、BDNFおよびNT-3についての高親和性結合部位(Alta rら、1993,J.Neurosci.13(2):733-743,Altarら、1994,Eur.J.Neurosci. 6:1389-1405)は脳において、NGFについての高親和性結合部位よりも、かなりよ り密にかつ広範に分布される(Richardsonら、1986,J.Nerurosci.6:2312-2321 ;RaivichおよびKreutzberg,1987,Neuroscience 20:23-36;Altarら、1991,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA 88:281-285)。 Andersonら、1995,(J.Comparative Neurology357:296-317)は、大脳内送達 後の、脳におけるBDNF、NGF、NT-3の示差分布を比較し、そしてNGFは脳室のまわ りの組織および脳の表面に広く浸透するが、BDNFの拡散は非常に限定され、そ してNT-3の分布は、上記2つの間の中間のレベルであることを決定した。Anders onらは、脳におけるTrkBおよび短縮型TrkB、ならびにtrkCの高レベル(trkAと比 較して)は、それぞれBDNFおよびNT-3の制限された拡散を説明し得ることを仮定 した。 現在まで、ニューロトロフィンの制限された拡散を扱う唯一示唆された機構は 、因子の総投与量を増強することである。リガンドタンパク質と組み合わせた可 溶性レセプターは、タンパク質分解を減少させるか、または血清半減期を増加さ せるという複合体の能力におそらく基づいて、静脈内同時投与のために提案され ている。[公開されたPCT出願WO 94/21282(1994年9月29日公開)]。しかし、大 脳内または大脳外拡散を増強するための、脳におけるリガンドおよびレセプター の同時投与を使用するという提案はなされていない。なぜなら、おそらく、レセ プターが、脳中の天然のレセプター保有細胞と競合し、それによって因子自体の 効力を低減させると予期されるからである。 発明の要旨 本発明の目的は、神経栄養因子に結合する可溶性レセプターまたはレセプター 複合体と組み合わせた因子の同時投与によって、神経栄養因子の生物学的活性を 増強させる方法を提供することである。本発明はさらに、神経栄養因子、および リガンドに結合する可溶性レセプターを含む薬学的組成物を提供する。好ましい 実施態様において、BDNFの生物学的活性は、キャリアとしてのTrkBIgGとの同時 注入によって増強される。 図面の簡単な説明 図1.ヒトfcについて免疫染色した、A)12ug/日 TrkBIgGを注入した海馬および 皮質、B)PBSを注入した海馬および皮質、C)12ug/日 TrkBIgGの注入部位の頭側 の海馬および皮質、D)12ug/日 TrkBIgGの注入部位の尾側の海馬および皮質。 図2.BDNFについて免疫染色した、A)PBSのみを注入した海馬および皮質(カニ ューレトラクト(tract)の両方はこの写真において可視であることに注意する) 、 B)12ug/日 BDNFおよびPBSを注入した海馬および皮質、C)12ug/日 BDNFおよび1 2ug/日 TrkIgGを注入した海馬および皮質。 図3.BDNFについて免疫染色した、A)12ug/日 BDNFおよびPBSの注入部位の頭側 の海馬および皮質、B)12ug/日 BDNFおよび12ug/日 TrkBIgGの注入部位の頭側の 海馬および皮質、C)12ug/日 BDNFおよびPBSの注入部位の尾側の海馬および皮質 、D)12ug/日 BDNFおよび12ug/日 TrkBIgGの注入部位の尾側の海馬および皮質。 図4.神経ペプチドYについて免疫染色した、A)PBSを注入した海馬および皮質 、B)12ug/日 TrkBIgGを注入した海馬および皮質、C)12ug/日 BDNFを注入した 海馬および皮質、D)12ug/日 BDNFおよび12ug/日 TrkBIgGを注入した海馬および 皮質。 図5.神経ペプチドYについて免疫染色した、A)12ug/日 BDNFの注入部位の頭 側の海馬および皮質、B)12ug/日 BDNFおよび12ug/日 TrkBIgGの注入部位の頭側 の海馬および皮質、C)12ug/日 BDNFの注入部位の尾側の海馬および皮質、D)12 ug/日 BDNFおよび12ug/日 TrkBIgGの注入部位の尾側の海馬および皮質。 図6.BDNFおよびTrkBIgGを、10:1、2:1、および1:2の比で連続的に注 入した、海馬中のBDNF免疫染色の量。 図7.BDNFおよびTrkBIgGを、10:1、2:1、および1:2の比で連続的に注 入した、海馬中のNPY免疫染色の量。 図8.BDNF単独、またはTrkBと組み合わせたBDNF(2:1 TrkB:BDNF)の坐骨 注射を受けた後の、ラットの4番目および5番目のDRGにおけるBDNFレベルの定 量。 図9.BDNF単独、またはTrkBもしくはTrkB-IgGと組み合わせたBDNF(0.7、2.1、 および7.0というTrkB:BDNFの比;0.5、1.7、5.0、および17というTrkB-IgG:BD NFの比)の坐骨注射を受けた後の、ラットの4番目および5番目のDRGにおけるB DNFレベルの定量。 図10.PCA損傷後の皮質内の5HT免疫染色。上側のパネルは、BDNF単独での処置後 の脳を示す。下側のパネルは、TrkB-Fcと同時注入したBDNFでの処置後の脳切片 を示す。 図11.PBS、BDNF単独、またはTrkB-Fcと同時注入したBDNFでの処置後のCA1海馬 損傷。白棒:PBS(n=15);陰影を付けた棒:BDNF(n=14)、および黒棒:BDNF+ TrkB-Fc(n=13)。 発明の詳細な説明 本発明は、神経栄養因子の生物学的効果を制御または増強するための方法を提 供する。これは、それらの可溶性レセプターと組み合わせた神経栄養因子の使用 は、神経栄養因子のためのキャリアとして作用する可溶性レセプターによって、 神経栄養因子の増強した活性を生じ得るという、本出願人の発見に基づく。従っ て、例えば以下により詳細に実証されるように、TrkB-IgGはBDNFのためのキャリ アとして作用し得、その活性を妨害することなく、BDNFが脳において通常見られ るより遠くに分布するようにする。さらに、レセプターは、因子を投与部位から 離れたところに輸送し得、それによって、有害な効果を生じ得る因子の濃縮され た領域を除去し得る。 本明細書中に記載されるように、レセプターの同時注入の効果は、インタクト な脳においてだけではなく、神経線維および/または神経細胞体の欠失を通常生 じる種々の種類のニューロン損傷の状況においてもまた観察された。従って、以 下の実施例において記載されるように、キャリアの使用は、いくつかの型のニュ ーロン(ペプチド性ニューロン、セロトニン性ニューロン、およびグルタミン酸 性ニューロンを含む)上の神経栄養因子の保護効果を増強することが実証された 。さらに、これは、脳の種々の領域(皮質、海馬、線条体、中脳)に位置するニ ューロンに対する保護効果を増強した。 本発明は、ニューロトロフィンファミリーのメンバーと、その同族のレセプタ ーとの同時投与を提供する。ニューロトロフィンは、現在公知の因子である神経 成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3) 、およびニューロトロフィン-4(NT-4/5)、ならびに成熟ポリペプチドにおいて、 1つ以上の公知のファミリーメンバーとの少なくとも50パーセントのアミノ酸配 列相同性の存在によって規定される未公知のファミリーメンバーを含む。ニュー ロトロフィンの生成の方法は、十分に実証されている(上記の参照を参考のこと )。 ニューロトロフィンはTrkとして公知のレセプターのファミリーを使用し、そ れは、伝統的な成長因子によって利用されるレセプターチロシンキナーゼと類似 している。[これらのレセプターの良好な総説は、Bothwell,M.1995,Annu.Re v.Neurosci.18:223-253に見い出され得る]。TrkAはNGFに幾分特異的であり、 そしてTrkCはNT-3によってのみ活性化されるが、TrkBはBDNFおよびNT-4の両方に よって活性化され、そしてまた高濃度かつ特定の細胞においてNT-3によって活性 化される。本明細書中で使用される「可溶性レセプター」は、ニューロトロフィ ンに結合するが、膜貫通ドメインおよびレセプターの細胞内部分またはシグナリ ング部分を欠くレセプターの部分をいう。レセプターの可溶性形態は、それらが 存在する天然の供給源から調製され得るか、またはレセプターの可溶性部分をコ ードするDNA)を用いて調製され得、これらは、可溶性レセプターを単量体また は多量体形態として調製するために用いられ得る。 本明細書中に使用される場合、「レセプター」は、純粋形態またはレセプター の形態の、レセプターの可溶性形態、またはその活性部分またはフラグメントを 含む。可溶性レセプターの産生のために一般に使用されるストラテジーは、オリ ゴヌクレオチドプライマーの使用を含み、その内の一方は、タンパク質のN末端 にわたり、他方は、タンパク質の疎水性セグメントのすぐ上流の領域にわたる。 これは、タンパク質のGPI結合認識ドメインまたは膜貫通ドメインのいずれかを 示す。C末端の領域にわたるオリゴヌクレオチドは、疎水性ドメインの前の停止 コドンを含むように改変される。この2つのオリゴヌクレオチドは、結合される 膜のかわりに分泌されるタンパク質をコードする遺伝子の改変型を増幅するため に使用される。あるいは、ベクター中の好都合な制限部位は、GPI結合認識ドメ インまたは膜貫通ドメインを除去する変化した配列を挿入するために使用され得 、従って、分泌された形態のタンパク質を発現し得るベクターを生じる。 レセプター体は以下のように調製され得る:ヒトIgG1のFc部分(ヒンジ領域か ら始まり、分子のカルボキシ末端まで伸長する)は、ヒトIgG1の公開された配列 に対応するオリゴヌクレオチドを用いるPCRを用いて胎盤cDNAからクローンされ る。好都合な制限部位は、発現ベクターへのPCRフラグメントのクローニングを 可能にするようにオリゴヌクレオチドに取り込まれる。全長レセプターを含有す る発現ベクターは、制限酵素消化、またはこれらの部位にヒトIgG1フラグメント をクローニングすることを可能にする制限部位で膜貫通ドメインおよび細胞内ド メインを置換するようにPCRストラテジーのいずれかによって改変される。これ は、そのアミノ末端としてレセプター外部ドメインを、そしてそのカルボキシ末 端としてヒトIgG1のFc部分を有する融合タンパク質を産生するような方法で行わ れる。レセプター体を調製するための代替法は、Goodwinら、1993,Cell 73:447 -456に記載されている。 ニューロトロフィンおよびそのレセプターは、独立的または連続的な投与のい ずれかを介して同時に投与され得、またはそれらは複合体として予め混合され、 そして送達され得る。薬学組成物は、大脳内、大脳外(脳表面上またはその周辺 )、脳室内(icv)、実質内、またはクモ膜下腔内のいずれかに送達される。一 般に、ニューロトロフィン/レセプター複合体は、薬学的に受容可能なビヒクル とともに送達される。理想的には、このようなビヒクルは、安定性および/また は送達特性を増強する。本発明はまた、活性化因子またはそのフラグメントまた は誘導体を含有する薬学組成物を提供し、これは、リポソーム、微粒子またはマ イクロカプセルのような適切なビヒクルを用いて投与され得る。本発明の種々の 実施態様において、活性化成分の持続放出を達成するためにこのような組成物を 使用することは有用であり得る。 特定の障害または状態の処置に効果的である因子の量は、疾患または状態の性 質に依存し、そして標準的臨床技術によって決定され得る。実施例では、約12μ g/日を成体ラットの脳に注入した。ヒトについての匹敵する用量は、比較組織 重 量および決定された有効用量に基づいて計算され得る。BDNFの輸送を増強するた めのTrkBの使用に関する好ましい実施態様において、約2:1〜約1:10のBDNF対Trk Bのモル比が、BDMF輸送において最大の効果を有することが見出された。 本明細書中に提供される実施例は、ニューロトロフィンの送達を増強するため のTrkの使用に関して具体的に論じているが、出願人は、他の成長因子および/ま たはサイトカインの増大された拡散についての彼らの発見の利用性を意図する。 例えば、ニューロトロフィンとはかなり異なる別の神経栄養性因子は、毛様体神 経栄養因子(CNTF)であり、これは、坐骨神経から最初に精製され、そして運動 ニューロンの成長およびまたは生存を促進する。さらに、CNTFは、ハンチントン 舞踏病の動物モデルにおいて線条体ニューロンを保護することが示された(Ande rsonら、1996.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7346-7351)。CNTFは、Masiakowski ら、1991,J.Neurosci.57:1003-1012および1991年4月4日に公開された国際公 開番号WO91/04316(これらはその全体が参考として本明細書中に援用される)に よって記載されるように細菌発現系においてクローン化され、そして合成された 。 CNTFのレセプター(「CNTFRα」と呼ばれる)は、クローン化され、配列決定 され、そして発現された(例えば、Davisら、(1991)Science 253:59-63)。シ グナル伝達にレセプターチロシンキナーゼを利用するニューロトロフィンとは異 なり、CNTFは、CNTFRαとして知られる成分を特異的に決定することによって膜 に膜に結合される。CNTFRα成分への結合において、次いでCNTF/CNTFRα複合体 は最初に結合し、次いで第2のβ成分が結合し、その結果、β成分の二量体化は 細胞シグナル伝達を生じる。本明細書中に記載されるように、CNTFまたはアクソ カインのようなCNTFの改変体と組み合わせた可溶性CNTFセプターの大脳内または 大脳外投与は、脳におけるCNTFまたは改変体の分布を増強するために使用され得 、それによってこの因子の治療的有用性を増強する。 同様に、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)は、中脳におけるドーパミン作 動性ニューロンに対する生存因子として作用する(Lin L.ら、1993 Science 260: 1130-1132)。CNTF系と同様に、細胞外gpi結合GDNR-αは、GDNFに結合し、従って Retによる引き続く結合を可能にし、これは、リン酸化を受け、続いてシグナル 伝達する(Truppら、1996,Nature 381:785-789;Durbecら、1996,Nature 381: 789-793;Treanor,J.,1996,Nature 382:80-83;Jingら、1996,Cell 85:1113-1 124)。脳内投与の使用によるパーキンソン病の処置のためのGDNFの使用が現在 研究されている。本発明は、パーキンソン病のようなCNS疾患について脳におけ るGDNFの分布を制御するための、GDNFの脳内投与と組み合わせたGDNFレセプター の使用を意図する。 さらに、本明細書中に提供される1つの実施例は、末梢神経系におけるBDNFの 逆行性輸送を増強するTrkBレセプター体の使用を示す。従って、本発明は、末梢 性神経障害のような状態の処置のために、末梢への送達を増強する可溶性レセプ ターの使用を意図する。 実施例1 BDNF およびTrkB-IgGの同時注入 TrkB-IgGを、BDNFとともに、海馬および皮質に同時注入し、ニューロペプチド Y(NPY)のBDNFのアップレギュレーションにおけるその効果を評価した。要旨 12μgのBDNFおよび12μgのTrkBIgGを成体ラットの海馬に同時注入した。BDN Fが単独で注入される場合、それは、カニューレから約1.5mm拡散し、そしてその 拡散の範囲内でニューロペプチドY(NPY)の劇的なアップレギュレーションを 引き起こす(Crollら、1994,Eur.J.Neurosci.6:1343-1353)。より最近では、 本発明者らは、単独で注入されたTrkBIgGが、カニューレから少なくとも3〜4m m拡散し、そしてNPY免疫反応性に効果を有さないことを見出した。BDNFおよびTr kBIgGがともに注入された場合、NPYにおけるBDNFの効果は、より広範になり、カ ニューレ管から3〜4mmで観察された。それゆえ、BDNFのキャリアとして作用す るTrkBIgGは、その生物学的活性を損なうことなく、組織を介して拡散する能力 を大いに増強することが可能である。材料および方法 16匹の雄性Sprague-Dawleyラット(注入の開始時に350g)を、海馬の2つのカ ニューレに片方だけに移植した。内側のカニューレを、本発明者らがニューロペ プチド実験におけるBDNF注入ために通常使用する注入部位の近くに配置し(ブレ グマから3.8mm後方、2.6mm外側、そして4mm腹側)、そして12μg/日のBDNF(n =8)またはPBS(n=8)のいずれかを含有するAlzet Model 2002浸透圧ミニポン プに付着させた。第2のカニューレを、海馬のより外側に配置し(ブレグマから 3.8mm後方、4.2mm外側、そして4mm腹側)、そして12μg/日TrkBIgG(n=8)、 4μg/日ヒトfc(n=4)、またはPBS(n=4)のいずれかでミニポンプ注入に付 着させた。後方カニューレに関してfc群とPBS群との間には差異は検出されなか った。そこで、データを、両方を一緒に統合したコントロール群(n=8)と見な した。 注入の12日後、ラットを、ヘパリン処理した0.9%生理食塩水で心臓経由で放 血し、次いで酢酸緩衝液中の4%パラホルムアルデヒド、続いてホウ酸緩衝液中 の4%パラホルムアルデヒドの連続的灌流で固定化した。脳を取り出し、そして ホウ酸緩衝液中の30%スクロースに移す前に一晩合釘固定化した。3〜7日後、 脳を、40μmで冠状に薄切した。脳を、NPY、ヒトfc、およびBDNFについてのア ビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体反応ならびにジアミノベンジジン可 視化を用いて免疫染色した。結果 TrkB-IgGは、BDNF免疫染色およびFc染色によって測定されたように、BDNFの拡 散を増大した(図1〜3)。以前に示されたように、BDNFは、PBSコントロール と比較して皮質および海馬においてNPYの免疫反応性の劇的なアップレギュレー ションを引き起こした(図4および5)。このアップレギュレーションは、カニ ューレ管から約1.5mmに及んだ。TrkBIgG単独は、NPYレベルにおいて明らかな効 果を有さなかった。TrkBIgGおよびBDNFの同時注入は、主として、アップレギュ レーションを示す組織の容積を拡張することによって、NPY染色をさらに増強し た(図4)。TrkBIgGと同時注入される場合、NPYレベルにおけるBDNFの効果は、 カニューレ管から少なくとも3〜4mm拡張した。この拡散の領域は、fc-免疫反 応性を示した領域と類似していた。実際、BDNF拡散の範囲を通常超えるが、fc染 色によって決定されたようなTrkBIgG拡散の範囲内にある切片を検証する場合に 、この効果は最も明らかになる。図5AおよびBは、2つの拡散区域内にある皮質 のより吻側の領域を示す。図5の同時注入した脳は、BDNFを注入した脳よりも大 いなるNPY染色を明白に示す。図5CおよびDはまた、それぞれ、BDNF注入した脳お よびBDNF+TrkBIgG注入した脳の皮質のより尾側の図を示す。 この向上した拡散は、BDNFのクモ膜下腔内送達または脳室内送達をより好適に し、ならびに霊長類の脳の大きな領域の適用範囲に必要とされる実質内注射部位 の数を減少し得る。 詳細には、現在の実験において、2つの物質の濃度は重量では等しいが、TrkB IgGがBDNFよりも約10倍重いので、BDNFとTrkBとの間のモル比は約10:1であった 。それゆえ、BDNFは、TrkBに対してモル過剰であり、そしてこの過剰さのために その生物学的活性を維持し得る。 実施例2 BDNF およびTrkB-IgGの同時注入 方法 BDNFおよびTrkB-IgGを、浸透圧ミニポンプを介して成体の雄性Sprague-Dawley ラットの海馬に12日間持続的に注入した。ラットを灌流固定し、そして脳をNPY 、BDNF、およびTrkB-IgGのfc部分について免疫染色した。以下の用量および注入 経路を用いた:BDNF 用量 TrkB-IgG 用量 おおよその分子比 投与 12μg/日 12μg/日 10:1(BDNF:TrkB-IgG) 分離 カニューレ 12μg/日 12μg/日 10:1 予め混合 12μg/日 60μg/日 2:1 分離 カニューレ 12μg/日 60μg/日 2:1 予め混合 6μg/日 6μg/日 10:1 予め混合 3μg/日 3μg/日 10:1 予め混合結果 TrkB-IgGは、BDNF免疫染色によって測定したようにBDNFの拡散を増大した。BD NF免疫染色は、fc免疫染色によってTrkB-IgGについて測定した拡散に匹敵し、そ してBDNF拡散の正常距離の少なくとも2倍であった。さらに、BDNFによるNPYア ップレギュレーションは、試験した全ての条件におけるBDNF単独の注入で通常見 られる1.5平方mmを大いに超えて拡張した。このことは、TrkB-IgGが、その生物 活性に影響することなくBDNFの分布を増強することを示す。実際に、より低い用 量では、注入部位付近でのTrkB-IgGの同時投与は、BDNF注入後に通常見られるNP Yアップレギュレーションを増大することが実際に見られた。TrkB-IgG単独の注 入は、海馬または皮質における構成的NPYレベルにおける明白な効果を有さなか った。 ポンプにおけるBDNFおよびTrkBIgGの予めの混合および同じカニューレによる 送達は、BDNF分布におけるTrkBIgGの効果に干渉しないようであった(これは少 なくとも、別々のカニューレによってそれらを注入するのと同じぐらい有効であ った)。NY染色は、2:1のBDNF:TrkBIgG比が、10:1の比よりもはるかに広範にNPY アップレギュレーションを示すことを示した。さらに、アップレギュレーション は、さらに低用量のBDNF(3または6μg/日)でさえ増強され、そして拡散した 。 このデータに基づき、本発明者らは、TrkB-IgGがBDNFについてのキャリアとし て作用し得、これによりBDNFをその活性に干渉することなく成体ラット脳に通常 見られるよりもさらに分布させることが可能になると結論付けた。 実施例3 BDNF およびTRKB-IgGの種々の比での同時注入 TrkB-IgGを、神経ペプチドY(NPY)のBDNFアップレギュレーションへの効果 の用量応答を試験するために、BDNFとともに海馬及び皮質へ、種々の比で同時注 入した。方法 BDNFおよびTrkB-IgGを、浸透圧ミニポンプを介して成体雄性Sprague-Dawleyラ ットの海馬へ12日間連続的に注入した(n=5/群)。ラットを灌流固定し、そ して脳をNPYおよびBDNFについて免疫染色した。すべての組合せの注入をポンプ 中で予備混合し、そして同一のカニューレを介して送達した。BDNFは、つねに3 μg/日で送達した。「BDNFのみ」群に加えて、TrkB-IgGをBDNFに、10:1、2:1お よび1:2のおよそのモル比(BDNF:TrKB-IgG)が得られる用量で加えた。スライ ドの視覚的試験の後、BDNFおよびNPYについての免疫染色の容量を定量した。カ メラルシダ図面を、海馬および皮質を通ずる冠状切片から作製し、そして面積を Jandel SigmaScan Image Analysis Programを用いて定量した。容量を連続面積 から計算した。結果 以前の結果と一致して、BDNF免疫染色により測定される場合、TrkB-IgGがBDNF の分散を増加させた(図6)。さらに、BDNFによるNPYのアップレギュレーショ ンの容量もまた、TrkB-IgGの添加によって増加しており、これは、生物活性の損 失がなかったことを示唆する(図7)。用量応答は、10:1の比が、BDNF単独に対 してBDNFおよびNPY免疫染色の容量において、少ないが、有意ではない増加を生 じることを示した。2:1の比は、BDNFおよびNPY容量において大きくかつ有意な増 加を生じ、そして1:2の比は、両方の容量においてさらに大きな有意な増加を生 じた。これらのデータに基づき、本発明者らは、1:2 BDNF:TrkB-IgGのモル比ま では、TrkB-IgGが、BDNF免疫染色によって測定される場合、NPYをアップレギュ レートするBDNFの能力に悪影響を与えることなく、BDNFの分散において用量依存 的な増加を生じると結論づけた。TrkB-IgGが、1:2よりも高い比で使用される場 合、BDNFの分散をさらに増強し得ることもあり得る。 実施例4 コントロール同時注入 上記の効果が、TrkB-IgG自身またはTrkB外部ドメイン(ectodomain)もしくは IgG単独によって生じるか否かを決定するために、以下のコントロール実験を行 った。方法 BDNF、およびTrkB-IgG、TrkB外部ドメイン、またはヒトFcのいずれかを、浸透 圧ミニポンプを介して成体雄性Sprague-Dawleyラットの海馬へ12日間連続的に注 入した(n=4/群)。ラットを潅流固定して、そして脳をNPYおよびBDNFにつ いて免疫染色した。すべての組合せの注入をポンプ内で予備混合し、そして同一 のカニューレを介して送達した。BDNFは、常に3μg/日で送達した。BDNFのみ の群に加えて、TrkB-IgG、TrkB外部ドメイン、およびヒトFcを、約2:1のBDNF:Tr kBの比(Fcについては、TrkB-IgGを用いて、2:1の比で存在するように同量を加 えた)で、BDNFに加えた。結果 以前の結果と一致して、TrkB-IgGは、BDNF免疫染色によって測定される場合、 BDNFの分散を増加させた。さらに、BDNFによるNPYアップレギュレーションの容 量はまた、TrkB-IgGの添加により増加し、これは、生物活性の損失がなかったこ とを示唆する。TrkB外部ドメインがBDNFに添加される場合、BDNF分散もまた、増 加したが、TrkB-IgGで観察された増強ほどは劇的ではないようであった。TrkB-I gGに関しては、TrkB外部ドメインは、NPYアップレギュレーションによって測定 される場合、生物活性を阻害することなく分散を増強させた。FcのBDNFへの添加 は、BDNFまたはNPY染色のいずれでも見かけ上の変化は生じなかった。 実施例5 ICV 注入 TrkB-IgGを、側脳室にBDNFとともに同時注入して、TrkB-IgGで観察されるBDNF 分散の増強が、脳室系からBDNFを効率的に移動させるか否かを決定した。方法 BDNFおよびTrkB-IgGを、浸透圧ミニポンプを介して成体雄性Sprague-Dawleyラ ットの側脳室に12日間にわたって連続的に注入した(n=4/群)。12日間の間 、動物を秤量し、そして尾部を軽打した。BDNFのICV注入は、以前に、ラットに おいて体重減少および痛覚脱失を生じることが示されている。注入の終わりに、 ラットを灌流固定し、そして脳をBDNF、NPYおよびヒトFcについて免疫染色した 。組合せの注入をポンプ中で予備混合し、2:1のBDNF:TrkB-IgG比で調製し、そし て同一のカニューレを介して送達した。BDNFを、「BDNFのみ」およびBDNF+TrkB -IgGの両方の群について、12μg/日で送達した。結果 「BDNFのみ」群は、以前に示されたように、脳室上衣内層に位置する濃いBDNF 免疫染色のパターンを示した。BDNF+TrkB-IgG群は、上衣内層においてより薄い 、より限定的な染色を示した。より薄い染色は、より少ない量のBDNFが、BDNFを TrkB-IgGと同時注入した場合に、短縮型TrkBが豊富な脳室上衣内層に「捕捉」さ れ始めていることを示唆した。不幸なことに、BDNF抗体の限定的な感度のため、 残りのBDNFがどこに配置されているかを決定することは不可能であった。NPYお よびFcの免疫染色は、BDNFの位置についてはなんら手掛かりを与えなかった。BD NF は、実質中により深く広がっており、TrkB-IgGによって上衣内層を超えて首尾良 く運搬された可能性がある。体重減少のデータによっては、TrkB-IgGがBDNF誘導 性体重減少を増強することは示されなかった。 実施例6 BDNF の逆行性輸送における可溶性TrkBおよびTrkB-IgGの効果 125I-BDNFとともに種々の比で投与される場合の、BDNFの逆行性輸送におけるT rkBおよびTrkB-IgGの効果を評価した。方法 125I-BDNFをラクトペルオキシダーゼ法により3000〜4000cpm/fmolの比活性に までヨウ素化した。組換えTrkBおよび組換えTrkB-IgGをバキュロウイルスにおい て発現させ、そして均質にまで精製した。1μlの125I-BDNFを1μlのTrkB溶 液(PBS中)とともに、成体ラット(250グラム)坐骨神経に同時注入した。ラッ トを、注射後18時間後に屠殺し、そして腰椎の第四DRGおよび第五DRG(L4,5 DRG )を取り出し、そしてガンマ計測器で計数した。右(注射した)DRGを左と比較し た。結果: 初期の実験において、通常量の125I-BDNFの腰椎DRGへの輸送は、10倍過剰量の 非標識BDNFによってブロックされたが、2:1の比(TrkB:125I-BDNF)で同時注入 したTrkBは、輸送を90%増加させた(図8)。TrkBに対する抗体であるRG222は 、輸送に対する効果を有さなかった。第二の実験において、TrkBを、0.7、2.1、 7.0(TrkB:125I-BDNF)の比で試験した。図8における結果と同様の結果が、得 られた。ここで、2.lおよび7.0の比は、PBSコントロールと比べて有意に増加し た輸送(80〜90%)を与えた(図9)。TrkB-IgGもまた、この実験で0.5、1.7、 5.0、および17の比(TrkB-IgG:125IBDNF)での実験で比較した。1.7:1の比は、 輸送を115%増加させたが、一方0.5および5.0は、わずかにより効果的でなかっ たが、なお有意であった。17:1の比は、有意には輸送を増加させなかった(図9 )。 これらの結果は、1)組換えTrkBおよびTrkB-IgGが外因的に投与したBDNFのDR Gニューロンへの輸送を増加し得、そして2)TrkB-IgGではこの効果に対して比 の依存関係であるようであるがTrkBではそうではないことを示す。この結果は、 BDNFの末梢感覚ニューロンまでの送達が、レセプターまたはレセプター体の使用 によって増強され得ることを示唆する。これは、BDNFの末梢ニューロパシーを改 善する能力を増強し得る。これが起きる機構は、TrkBの「キャリア」効果を通し てであり得る。これは、短縮型TrkBにおける蓄積というよりはむしろニューロン への直接のBDNFの輸送を可能にする。これは、末梢神経におけるシュワン細胞に よって発現されることが公知である。 実施例7 神経傷害の動物モデルにおけるBDNFおよびTrkB-Fcの同時注入 BDNFの小脳内投与は神経損失を予防し、神経突起の出芽を増強し、そして神経 学的疾患または傷害の多数の動物モデルの脳損傷後の機能的回復を容易にする。 しばしば、BDNFのこれらの利益ある効果は、直接の小脳内への送達後に影響を受 けた脳組織内のかなり限定的なBDNFの分布に起因して、局所的に制限されている 。さらに、いくつかのモデル系において、BDNFの神経保護効果は、BNDFの注入点 の最も近接した領域で得られない。これは、非常に高い組織レベルのこの因子は 、利益効果を実行し得ない(すなわち、用量応答曲線は逆U字型に類似する)こ とを示唆する。 本発明者らは、以前に、TrkB-FcおよびBDNFの正常ラットの脳への同時注入がB DNFの組織分布を著しく増強したことを実証した。さらに、TrkB-Fcの同時注入は 、BDNFの生物学的作用をブロックしない。これは、NPYのアップレギュレーショ ンによって反映される。対照的に、ニューロンがNPYをアップレギュレートして いることが見い出されている脳組織の容積は増加し、因子自身の身体的分布にお ける増加と比例する。 以下の実施例において実証されるように、本発明者らは、今や、TrkB-Fcの同 時注入が、同様に、神経傷害の2つの動物モデルにおけるBDNFの分布を、この因 子の神経保護作用を妨害することなく、増強することを示す。以前に観察された ように、BDNF単独の神経保護効果は、組織のいくらか小さい容量に制限されてお り、そして罹患したニューロンの保護は、注入点に直に隣接した組織においては 顕著ではなかった。しかし、TrkB-Fcとの同時注入される場合、BDNFの神経保護 効果は、BDNF分散の拡大領域を通じて顕著であり、これには、注入点に直接結合 した領域を含む。従って、TrkB-FcのBDNFとの注入は、この因子の有効量が分布 する組織の容量を有意に拡大させるばかりか、注入点に最も近位の組織における BDNFの過剰濃度の蓄積をも予防する。パラクロロアンフェタミン(PCA)の投与による前脳セロトニン線維の破壊 方法 成体雄性Sprague-Dawleyラットに麻酔をかけ、そしてカニューレを大脳皮質、 海馬、線条体、または側脳室に片側移植した。他の動物において、カニューレを 正中線の近く、脳梁膨大の後ろの大脳外のCSF空間に配置した。カニューレを浸 透圧ミニポンプ(Alzet 2002)に接続し、BDNF(12μg/日)、BDNF(12μg/日 )およびTrkB-Fc(120μg/日;約1:1モル比)、またはPBSビヒクルを注入した (12μl/日の定常流速で)。6日後、ほとんどの動物にPCA(10mg/kg、sc)を 注射した。これは、セロトニン作動性の線維の選択的破壊を生じる。皮質内注入 を受ける動物について、各群からの代表的な動物にPCAの代わりにPBSを皮下注射 し、その結果セロトニン作動性の神経支配の正常なパターンにおける処置の効果 が決定され得る。注入をPCAの投与後に15日間継続し、その時点で実験を終結す る。代表的な一連の脳切片を、セロトニンまたはBDNFについて免疫染色する。実 験条件を知らない観察者が、各脳におけるセロトニン含有神経線維の保護の程度 を評価した。結果 PBSの皮下注射を受ける動物において、皮質におけるセロトニン神経支配の正 常パターンは、BDNFの単独またはTrkB-Fcといっしよでの皮質内注入によって実 質的に影響を受けなかった。PCA処置動物において、BDNF単独の皮質への注入は 、セロトニン作動性線維の適度な保護を生じた。以前に観察されるように(Mamo unasら、1995)、残りのセロトニン作動性線維は、カニューレの先端から約1〜 1. 5mmの距離でセロトニン作動性線維の「環」を形成した(図10、上部パネル)。B DNF免疫染色は、注入カニューレの先端付近で極めて濃密であり、そして染色の 密度は、注入部位の縁で急激に落ちていた。この末梢のBDNF染色強度の遷移帯は 、セロトニン作動性線維が保護される領域に正確に対応していた。セロトニン線 維は、この帯の外側、またはカニューレに直接隣接する最も濃度の濃いBDNF免疫 反応性の領域内では保護されなかった。TrkB-FcおよびBDNFの同時注入は、BDNF 免疫反応性を含む皮質組織の容量における顕著な増大を生じ、そしてセロトニン 作動性線維は、BDNF分布のこの拡張領域を通じて保護されていた(図10、下のパ ネル)。具体的には、セロトニン線維は、カニューレを取り囲む組織のより大き な球において保護されており、これは、すべての皮質層を通じて拡大され、そし てカニューレに直接隣接する組織を含んでいた。TrkB-Fcと同時注入される場合 、BDNF免疫反応性およびセロトニン線維はまた、皮質のより遠い領域(これは、 対側の皮質の内側部分を含む)および同側の前頭皮質および頭頂皮質の多くを通 じての浅層(これは、注入部位の内側、外側、および腹側の領域を含む)に見い 出される。 TrkB-FcをBDNFとともに前脳(上記に列挙)における他の部位で同時注入する 場合、同様の結果が得られた;すなわち、l)BDNFの組織分布は同一用量のBDNF 単独が注入される場合に見られる分布と相対的に顕著に増強され、そして2)セ ロトニン作動性線維の保護は、BDNF分布の全体の拡張領域内で見られた。 カイニン酸誘導性の海馬ニューロン欠損 方法 成体雄性Sprague-Dawleyラットに麻酔をかけ、そしてカニューレを海馬歯状回 の門内に移植した。カニューレを浸透圧ミニポンプ(Alzet 2002)に接続し、そ してPBS、BDNF(12μg/日)、またはBDNF(12μg/日)およびTrkB-Fc(120μ g/日、約1:1モル比)を、12μl/日の流速で連続的に注入した。注入の5日 目に、動物にカイニン酸(12mg/kg、ip)を注射した。動物を観察し、そしてそ の後の発作の重篤度を8ポイントスケールで評価した。カイニン酸の注射後2.5 時間、または1時間の癇痕重積持続状態の後のいずれかで、動物に10mg/kgのジ アゼパ ムを腹腔内に注射して実験を停止させた。注入をその後7時間継続し、この時点 で実験を終結させた。海馬を通じて得た代表的な一連の切片をチオニン(thioni n)で染色し、そして海馬のCA3またはCA1におけるニューロン欠損は、4ポイン トスケールで、実験条件を知らない観察者によって評価された(0、損傷無し、 および4、>85%ニューロン欠損)。結果 本発明者らは、以前に、BDNAの歯状回の門への注入がCA3(カニューレ先端付 近に位置する錐体細胞群)における細胞損失を悪化させるが、CA1(BDNF注入点 からさらに遠くに位置する)においてニューロン欠失を改善する傾向があること を実証した(Rudgeら、提出済)。 本研究において、BDNFは、以前に記載のようにCA3損傷を悪化させたが、CA1に おけるニューロンの保護を増強した。対照的に、BDNFおよびTrkB-Fcの同時注入 は、BDNF単独で認められるより小さな効果と比べて、CA1ニューロンの保護を有 意に増強した(図11)。さらに、BDNFおよびTrkB-Fcの同時注入は、BDNFの投与 後に見られるCA3における細胞損失の悪化を改善する傾向を呈した。BDNF単独の 注入またはBDNFおよびTrkB-Fcの同時注入のいずれでも、PBS処置に比べて、明ら かな発作行動における変化を何も生成しなかった。 本明細書に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物 、特許または特許出願の各々があたかも具体的に、および個別に、参考として援 用されることが指示されているかのように、これによって参考として援用される 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ウィーガンド,スタンレー ジェイ. アメリカ合衆国 ニューヨーク 10562, オシニング,オーバートン ロード 21 (72)発明者 リンセイ,ロナルド エム. アメリカ合衆国 ニューヨーク 10510, ブライアークリフ マノール,チャパカ ロード 479

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.医薬の製造における、可溶性形態の成長因子レセプターの使用であって、該 医薬は、該成長因子と該可溶性形態の成長因子レセプターとを同時投与すること によって、該成長因子の大脳内、大脳外、実質内、脳室内、またはクモ膜下腔内 送達を増強するためのものである、使用。 2.前記成長因子がニューロトロフィンである、請求項1に記載の使用。 3.前記成長因子が、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニュー ロトロフィン3(NT-3)、ニューロトロフィン−4/5(NT-4/5)、毛様体神経栄養因 子(CNTF)、またはグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)である、請求項1に記載の 使用。 4.前記可溶性レセプターがレセプター体の形態である、請求項1〜3のいずれ か1項に記載の使用。 5.前記成長因子がBDNFまたはNT-3であり、そして前記可溶性レセプターがTrkB またはTrkCの細胞外ドメインである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用 。 6.前記成長因子がBDNFであり、そして前記可溶性レセプターがTrkBIgGレセプ ター体である、請求項5に記載の使用。 7.成長因子;該成長因子の可溶性形態のレセプター;および薬学的に受容可能 なビヒクルを含む、薬学的組成物。 8.前記成長因子がニューロトロフィンである、請求項7に記載の薬学的組成物 。 9.前記成長因子が、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BONF)、ニュー ロトロフィン3(NT-3)、ニューロトロフィン−4/5(NT-4/5)、毛様体ニューロト ロフィン因子(CNTF)、またはグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)である、請求項 7に記載の薬学的組成物。 10.前記可溶性レセプターがレセプター体の形態である、請求項7〜9のいず れか1項に記載の薬学的組成物。 11.前記成長因子がBDNFまたはNT-3であり、そして前記可溶性レセプターがTr kBまたはTrkCの細胞外ドメインである、請求項7〜10のいずれか1項に記載の 薬学的組成物。 12.前記成長因子がBDNFであり、そして前記可溶性レセプターがTrkBIgGレセ プター体である、請求項11に記載の薬学的組成物。 13.前記成長因子と前記可溶性形態の成長因子レセプターとを同時投与するこ とによって、該成長因子の大脳内、大脳外、実質内、脳室内、またはクモ膜下腔 内送達を増強するための方法。 14.前記成長因子がニューロトロフィンである、請求項13に記載の方法。 15.前記成長因子が、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニュ ーロトロフィン3(NT-3)、ニューロトロフィン−4/5(NT-4/5)、毛様体神経栄養 因子(CNTF)、またはグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)である、請求項13に記 載の方法。 16.前記可溶性レセプターがレセプター体の形態である、請求項13〜15の いずれか1項に記載の方法。 17.前記成長因子がBDNFまたはNT-3であり、そして前記可溶性レセプターがTr kBまたはTrkCの細胞外ドメインである、請求項13〜16に記載の方法。 18.前記成長因子がBDNFであり、そして前記可溶性レセプターがTrkBIgGレセ プター体である、請求項17に記載の方法。 19.実質的に本明細書中に記載されるような、請求項1に記載の使用。 20.実質的に本明細書中に記載されるような、請求項7に記載の薬学的組成物 。 21.実質的に本明細書中に記載されるような、請求項13に記載の方法。
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