JP2001342106A - ベロ毒素産生菌および抗生物質耐性菌に対する殺菌剤および感染防止方法 - Google Patents
ベロ毒素産生菌および抗生物質耐性菌に対する殺菌剤および感染防止方法Info
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- JP2001342106A JP2001342106A JP2000164035A JP2000164035A JP2001342106A JP 2001342106 A JP2001342106 A JP 2001342106A JP 2000164035 A JP2000164035 A JP 2000164035A JP 2000164035 A JP2000164035 A JP 2000164035A JP 2001342106 A JP2001342106 A JP 2001342106A
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- antibiotic
- essential oil
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ベロ毒素産生菌とくにＯ１５７、および抗生
物質耐性菌たとえばＭＲＳＡやＶＲＥに対する感染を、
イヌコウジュ属の植物ホソバヤマジソの精油を利用して
防止する方法を提供する。 【解決手段】 ホソバヤマジソの水蒸気蒸留により取得
した精油を、水やエタノールのような希釈媒体に溶解ま
たは分散させ、媒体中に０．１％以上の濃度で含有させ
た殺菌剤の液を用意する。この液を、被服、寝具および
食器の類に、浸漬、含浸、塗布、スプレーなどの方法で
適用して、短時間に殺菌を行なう。
物質耐性菌たとえばＭＲＳＡやＶＲＥに対する感染を、
イヌコウジュ属の植物ホソバヤマジソの精油を利用して
防止する方法を提供する。 【解決手段】 ホソバヤマジソの水蒸気蒸留により取得
した精油を、水やエタノールのような希釈媒体に溶解ま
たは分散させ、媒体中に０．１％以上の濃度で含有させ
た殺菌剤の液を用意する。この液を、被服、寝具および
食器の類に、浸漬、含浸、塗布、スプレーなどの方法で
適用して、短時間に殺菌を行なう。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホソバヤマジソ
（Mosla chinensis Maxim.）に含有される精油成分が示
す殺菌力を利用した、ベロ毒素産生菌および抗生物質耐
性菌殺菌剤、およびこれらの菌に対する感染防止方法に
関する。
（Mosla chinensis Maxim.）に含有される精油成分が示
す殺菌力を利用した、ベロ毒素産生菌および抗生物質耐
性菌殺菌剤、およびこれらの菌に対する感染防止方法に
関する。
【０００２】
【従来の技術】ホソバヤマジソ（Mosla chinensis Maxi
m.）は、シソ科（Labiatae）のイヌコウジュ属（Mosl
a） に属する一年草で、わが国では中国地方から九州に
かけて、また朝鮮半島および中国大陸に分布する植物で
ある。漢方薬として、夏の風邪や腹痛・下痢・湿疹の治
療に用いられている。これまでの研究で、８種のフラボ
ノイド、フェノールカルボン酸類、ステロール、脂肪酸
類、また精油成分ではチモール、カルバクロール、ｐ−
サイメンを主とする３３種の成分が含まれていることが
知られた。
m.）は、シソ科（Labiatae）のイヌコウジュ属（Mosl
a） に属する一年草で、わが国では中国地方から九州に
かけて、また朝鮮半島および中国大陸に分布する植物で
ある。漢方薬として、夏の風邪や腹痛・下痢・湿疹の治
療に用いられている。これまでの研究で、８種のフラボ
ノイド、フェノールカルボン酸類、ステロール、脂肪酸
類、また精油成分ではチモール、カルバクロール、ｐ−
サイメンを主とする３３種の成分が含まれていることが
知られた。
【０００３】発明者らの一人は、ホソバヤマジソに含ま
れる精油成分に着目し、その抗菌作用を利用することを
着想して、共同研究者とともに試験したところ、これが
タイム（タチジャコウソウThymus vulgaris L.）の精油
を超える高い抗菌力を持つこと、および抗カビ力を有す
ることを知ったので、その抗菌剤としての利用を、すで
に開示した（特開平１１−２０９２１２）。
れる精油成分に着目し、その抗菌作用を利用することを
着想して、共同研究者とともに試験したところ、これが
タイム（タチジャコウソウThymus vulgaris L.）の精油
を超える高い抗菌力を持つこと、および抗カビ力を有す
ることを知ったので、その抗菌剤としての利用を、すで
に開示した（特開平１１−２０９２１２）。
【０００４】その後さらに研究を進めた結果、ホソバヤ
マジソの精油成分は、抗菌性能にとどまらず、ある濃度
以上で適用することにより、特定の病原菌に対する殺菌
作用も示すことがわかった。抗菌効果と殺菌効果とはパ
ラレルな関係にはなく、抗菌効果があるからといって、
殺菌効果も期待できるとは限らない。
マジソの精油成分は、抗菌性能にとどまらず、ある濃度
以上で適用することにより、特定の病原菌に対する殺菌
作用も示すことがわかった。抗菌効果と殺菌効果とはパ
ラレルな関係にはなく、抗菌効果があるからといって、
殺菌効果も期待できるとは限らない。
【０００５】ここで、特定の病原菌とは、ベロ毒素を産
生することで知られている血清型Ｏ１５７：Ｈ７大腸菌
であり、またメチシリン耐性黄色ブドウ状球菌（ＭＲＳ
Ａ）およびバンコマイシン耐性腸球菌（ＶＲＥ）であ
る。前者の恐ろしい毒性が数年前に社会を揺るがしたこ
とは、いまだ記憶に新しく、後者は、それ以前から、と
くに院内感染との関連において問題になっている細菌群
であって、ともにその対策が求められていた。
生することで知られている血清型Ｏ１５７：Ｈ７大腸菌
であり、またメチシリン耐性黄色ブドウ状球菌（ＭＲＳ
Ａ）およびバンコマイシン耐性腸球菌（ＶＲＥ）であ
る。前者の恐ろしい毒性が数年前に社会を揺るがしたこ
とは、いまだ記憶に新しく、後者は、それ以前から、と
くに院内感染との関連において問題になっている細菌群
であって、ともにその対策が求められていた。
【０００６】
【発明が解決すべき課題】本発明の一般的な目的は、発
明者らの得た上記の新しい知見を活用し、ホソバヤマジ
ソの精油成分を使用して、上記した細菌に対する殺菌剤
を提供し、それを使用してこれらの菌の感染を防止する
方法を提供することにある。本発明の特別な目的は、ホ
ソバヤマジソの精油成分を使用して、抗生物質耐性菌の
院内感染を防止する方法を提供することにある。
明者らの得た上記の新しい知見を活用し、ホソバヤマジ
ソの精油成分を使用して、上記した細菌に対する殺菌剤
を提供し、それを使用してこれらの菌の感染を防止する
方法を提供することにある。本発明の特別な目的は、ホ
ソバヤマジソの精油成分を使用して、抗生物質耐性菌の
院内感染を防止する方法を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明の一般的な目的を
達成する殺菌剤は、ホソバヤマジソの水蒸気蒸留により
得られた精油を、希釈媒体中に０．１％以上の濃度で含
有させた溶液または分散液の形態の組成物である。
達成する殺菌剤は、ホソバヤマジソの水蒸気蒸留により
得られた精油を、希釈媒体中に０．１％以上の濃度で含
有させた溶液または分散液の形態の組成物である。
【０００８】同じく本発明の一般的な目的を達成する方
法は、被服、寝具および食器の類に、上記した殺菌剤組
成物を適用して短時間に殺菌することにより、ベロ毒素
産生菌および抗生物質耐性菌の感染を防止する方法であ
る。
法は、被服、寝具および食器の類に、上記した殺菌剤組
成物を適用して短時間に殺菌することにより、ベロ毒素
産生菌および抗生物質耐性菌の感染を防止する方法であ
る。
【０００９】本発明の特別な目的を達成する方法は、病
院において患者または患者に接する職員が使用する被
服、寝具および食器の類を、上記の方法により短時間に
殺菌することからなる、耐性菌の院内感染を防止する方
法である。
院において患者または患者に接する職員が使用する被
服、寝具および食器の類を、上記の方法により短時間に
殺菌することからなる、耐性菌の院内感染を防止する方
法である。
【００１０】
【発明の実施の形態】本発明でホソバヤマジソの精油を
溶解または分散させる希釈媒体としては、水およびエタ
ノールが最適である。それらの混合物も、もちろん使い
やすい。希釈媒体中の精油は、上記の細菌群に対して短
時間に、たとえば後記する例に見るような数分間ないし
数十分間で殺菌が完了するだけの強い殺菌力を発揮させ
るためには、すでに述べたように、濃度が０．１％以上
であることを要する。０．１％に満たない濃度では、菌
の生育を抑制する抗菌ないし制菌能力は認められるが、
殺菌まではできない。
溶解または分散させる希釈媒体としては、水およびエタ
ノールが最適である。それらの混合物も、もちろん使い
やすい。希釈媒体中の精油は、上記の細菌群に対して短
時間に、たとえば後記する例に見るような数分間ないし
数十分間で殺菌が完了するだけの強い殺菌力を発揮させ
るためには、すでに述べたように、濃度が０．１％以上
であることを要する。０．１％に満たない濃度では、菌
の生育を抑制する抗菌ないし制菌能力は認められるが、
殺菌まではできない。
【００１１】ホソバヤマジソの精油を希釈媒体に溶解ま
たは分散させた液を、殺菌を行なうべき被服や寝具、食
器などの対象物に適用する手段は、任意に選択できる。
代表的な手段としては、対象物を液に浸漬すること、繊
維質のものであれば液を含浸させること、塗布するこ
と、スプレーすることなどが挙げられる。手洗い用の水
に用いることや、うがい薬にすることもまた、適用手段
のひとつである。精油のもつ匂いは快い芳香であるか
ら、これらの適用法も好適なものである。
たは分散させた液を、殺菌を行なうべき被服や寝具、食
器などの対象物に適用する手段は、任意に選択できる。
代表的な手段としては、対象物を液に浸漬すること、繊
維質のものであれば液を含浸させること、塗布するこ
と、スプレーすることなどが挙げられる。手洗い用の水
に用いることや、うがい薬にすることもまた、適用手段
のひとつである。精油のもつ匂いは快い芳香であるか
ら、これらの適用法も好適なものである。
【００１２】
【実施例】兵庫県で栽培したホソバヤマジソを６〜８月
の開花期に採取し、常法にしたがって水蒸気蒸留を行な
い、精油を得た。この精油を蒸留水で希釈し、検体の濃
度が１，０００μｇ／ｍｌの試験液を用意した。
の開花期に採取し、常法にしたがって水蒸気蒸留を行な
い、精油を得た。この精油を蒸留水で希釈し、検体の濃
度が１，０００μｇ／ｍｌの試験液を用意した。
【００１３】別に、下記３種の細菌を、それぞれ記載の
培地上、温度３５＋１℃で１６〜２０時間培養した。
培地上、温度３５＋１℃で１６〜２０時間培養した。
【００１４】 Escherichia coli ATCC 43895(血清型O157:H7) (普通寒天培地) Staphylococcus aureus IID 1677(MRSA) (同 上) Enterococcus faecium NCTC 12204(VRE) (トリプトソイ寒天培地) 培養後の菌体を滅菌精製水に均一に分散させて、１ｍｌ
当たりの菌数が約１０8個である菌液を用意した。
当たりの菌数が約１０8個である菌液を用意した。
【００１５】上記の試験液に、菌液を添加し、１０分
後、１時間後および６時間後に、試験液中の生菌数を測
定して、殺菌力を調べた。希釈溶剤として用いたジメチ
ルスルホキシドの１％溶液を用意し、対照とした。結果
は表１に示すとおりであって、ホソバヤマジソの精油
が、高い殺菌力を示した。
後、１時間後および６時間後に、試験液中の生菌数を測
定して、殺菌力を調べた。希釈溶剤として用いたジメチ
ルスルホキシドの１％溶液を用意し、対照とした。結果
は表１に示すとおりであって、ホソバヤマジソの精油
が、高い殺菌力を示した。
【００１６】 表 １ 試験菌 試験液 生 菌 数（ｍｌ当たり） 試験開始時 １０分後 １時間後 ６時間後 E.coli(O157:H7) 精油 3.8×106 ＜10 ＜10 ＜10 対照 3.8×106 − − 2.3×106 Staph.aureus(MRSA) 精油 3.5×106 ＜10 ＜10 ＜10 対照 3.5×106 − − 3.6×106 Enter.faecium(VRE) 精油 1.7×106 ＜10 ＜10 ＜10 対照 1.7×106 − − 1.8×106 ＜10：検出せず
【００１７】
【発明の効果】本発明のベロ毒素産生菌および抗生物質
耐性菌に対する感染を防止の方法は、植物から採取した
有効成分を利用して、副作用を伴わない、強い殺菌力を
利用することができる。
耐性菌に対する感染を防止の方法は、植物から採取した
有効成分を利用して、副作用を伴わない、強い殺菌力を
利用することができる。
【００１８】精油がもたらす芳香は、殺菌処理後の被
服、寝具、食器の類にとって、一般に好ましいものであ
るし、医療の効果を高める。
服、寝具、食器の類にとって、一般に好ましいものであ
るし、医療の効果を高める。
【００１９】原料のホソバヤマジソは天然に産し、また
栽培も容易な植物であるから、その精油の製造コストは
低廉で済み、本発明の感染防止法は高い費用を要するこ
となく実施できる。このようにして本発明は、Ｏ１５７
の脅威から大衆を守り、耐性菌がはびこること、とくに
院内感染を防止するのに役立つ。
栽培も容易な植物であるから、その精油の製造コストは
低廉で済み、本発明の感染防止法は高い費用を要するこ
となく実施できる。このようにして本発明は、Ｏ１５７
の脅威から大衆を守り、耐性菌がはびこること、とくに
院内感染を防止するのに役立つ。
Claims (6)
- 【請求項１】 ホソバヤマジソ（Mosla chinensis Maxi
m.）の水蒸気蒸留により得られた精油を、希釈媒体中に
０．１％以上の濃度で含有させた溶液または分散液であ
る、ベロ毒素産生菌および抗生物質耐性菌に対する殺菌
剤。 - 【請求項２】 被服、寝具および食器の類に、ホソバヤ
マジソ（Mosla chinensis Maxim.）の水蒸気蒸留により
得られた精油を、希釈媒体中に０．１％以上の濃度で含
有させた溶液または分散液を適用して短時間に殺菌を行
なうことからなる、ベロ毒素産生菌および抗生物質耐性
菌の感染防止方法。 - 【請求項３】 病院において患者または患者に接する職
員が使用する被服、寝具および食器の類を、請求項２に
記載の方法により殺菌することからなる、耐性菌の院内
感染を防止する方法。 - 【請求項４】 希釈媒体として、水、エタノールまたは
それらの混合物を使用して実施する請求項２または３の
感染防止方法。 - 【請求項５】 ベロ毒素産生菌が、血清型Ｏ１５７：Ｈ
７大腸菌である請求項２ないし４のいずれかの感染防止
方法。 - 【請求項６】 抗生物質耐性菌が、メチシリン耐性黄色
ブドウ状球菌またはバンコマイシン耐性腸球菌である請
求項２ないし４のいずれかの感染防止方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000164035A JP2001342106A (ja) | 2000-06-01 | 2000-06-01 | ベロ毒素産生菌および抗生物質耐性菌に対する殺菌剤および感染防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000164035A JP2001342106A (ja) | 2000-06-01 | 2000-06-01 | ベロ毒素産生菌および抗生物質耐性菌に対する殺菌剤および感染防止方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001342106A true JP2001342106A (ja) | 2001-12-11 |
Family
ID=18667704
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2000164035A Pending JP2001342106A (ja) | 2000-06-01 | 2000-06-01 | ベロ毒素産生菌および抗生物質耐性菌に対する殺菌剤および感染防止方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2001342106A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN103341196A (zh) * | 2013-06-17 | 2013-10-09 | 马氏兄弟科技（北京）股份有限公司 | 一种抑菌型清新空气的组合物及其制备方法和用途 |
| JP2015504854A (ja) * | 2011-12-06 | 2015-02-16 | ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ | 抗菌性組成物 |
| CN108567814A (zh) * | 2018-04-27 | 2018-09-25 | 江西中医药大学 | 一种香薷挥发油用于杀菌和或抑菌、抗耐药菌的应用及其制备方法 |
-
2000
- 2000-06-01 JP JP2000164035A patent/JP2001342106A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2015504854A (ja) * | 2011-12-06 | 2015-02-16 | ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ | 抗菌性組成物 |
| CN103341196A (zh) * | 2013-06-17 | 2013-10-09 | 马氏兄弟科技（北京）股份有限公司 | 一种抑菌型清新空气的组合物及其制备方法和用途 |
| CN108567814A (zh) * | 2018-04-27 | 2018-09-25 | 江西中医药大学 | 一种香薷挥发油用于杀菌和或抑菌、抗耐药菌的应用及其制备方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041108 |
|
| A977 | Report on retrieval |
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|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080422 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081111 |