JP2001321440A - 噴射式の薬液注入装置 - Google Patents

噴射式の薬液注入装置

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JP2001321440A
JP2001321440A JP2000143914A JP2000143914A JP2001321440A JP 2001321440 A JP2001321440 A JP 2001321440A JP 2000143914 A JP2000143914 A JP 2000143914A JP 2000143914 A JP2000143914 A JP 2000143914A JP 2001321440 A JP2001321440 A JP 2001321440A
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spring
tension spring
tension
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Tetsuya Ooyanai
哲也 大谷内
Masakatsu Isozaki
匡克 磯崎
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量化を図ることができ、また、使用時の衝
撃を抑えることができる噴射式の薬液注入装置を提供す
る。 【解決手段】 薬液を噴射して皮膚より注入する噴射式
の薬液注入装置であって、初張力を有する引張ばね6を
設け、当該引張ばね6が使用時に密着状態から引っ張ら
れた後、当該引張ばね6が縮む力により薬液が噴出され
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬液を皮膚より注
入する際に用いる薬液注入装置に関し、特に、薬液を噴
射して皮膚より注入する噴射式の薬液注入装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、薬液を皮膚より注入する薬液注入
装置としては、先端に針を取り付けた有針注射器が一般
的に用いられている。この有針注射器の針が皮膚内に穿
刺され、針の先端から薬液が注入される。
【0003】また、近年、針を使用せずに、薬液を噴射
して皮膚より投与することができる薬液注入装置とし
て、無針注射器が開発されてきている。この無針注射器
は、薬液容器の先端に設けられたノズルを皮膚表面上に
当てた状態で、薬液を噴射させ、角質層、生きた表皮細
胞層および真皮層を貫いて、皮下組織層あるいは筋肉組
織層に投与するものである。無針注射器の利点として
は、有針注射器に比べて、注射時の外傷が少なくて、交
互感染の虞れが少なく、また、使用済み針の誤穿刺によ
る感染事故や廃棄の問題が解消でき、さらに、針による
穿刺痛が無いので針に対する恐怖感が払拭される、等が
挙げられる。このため、無針注射器は、例えばインスリ
ン注射のように、薬液を毎日自分で注射する場合等に使
用される。
【0004】従来の無針注射器は、薬液を噴射して皮膚
より注入する駆動力を得るために、圧縮ばねや、ガスの
圧力を利用している。とりわけ、複数回繰り返して使用
可能(リユースタイプ)の無針注射器としては、圧縮ば
ねを利用した無針注射器が多数開発されてきている。
【0005】図15は、従来の無針注射器による薬液の
噴射を説明するための図であって、(A)は、薬液投与
前の状態を示す図、(B)は薬液投与後の状態を示す図
である。この圧縮ばねを利用した無針注射器101は、
圧縮ばね102が図15(A)に示す状態から図15
(B)に示す状態へと伸びる力を利用して、ガスケット
103が先端に取り付けられたプランジャー104を移
動させる。これにより、薬液容器105内の薬液106
が押し出されて、ノズル107から噴出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の圧縮ばねを利用した無針注射器にあっては、図16
に示すように、薬液の最小噴射力F1 を確保するため
に、圧縮ばね102は、自然長の状態P0 からあらかじ
め押し縮めた状態P1 にされて(たわみ量W1 )、注射
器内部に装着されている。なお、使用時には、圧縮ばね
102は、あらかじめ押し縮めた状態P1 からさらに押
し縮めた状態P2 にされることにより、薬液の最大噴射
力F2 が決まる。
【0007】このように、従来の無針注射器は、圧縮ば
ね102をあらかじめ押し縮めた際に生じる力を、注射
器の図示しないハウジングで常時保持していなければな
らい。このばねの力は、例えば588N(60kgf)
以上に達する場合があり、このため、注射器の構造を必
要以上に強固にする必要がある。結果的に、従来の無針
注射器は、ハウジングに金属等の材料を使用したり肉厚
を大きくしたりして強固な構造にせざるを得ず、重量が
増大するとともに、かさばるという問題があった。
【0008】また、図15(B)に示すように、薬液の
注入終了時に、ばねが圧縮された状態から自然長にまで
伸びきらないで付勢力を持った状態で、ばね力をプラン
ジャー104を介してストッパ108で受ける構成とな
っているため、大きな衝撃が発生するという問題もあ
る。この衝撃は、注射器を持つ使用者の手に衝撃力を感
じさせたり、比較的大きな衝撃音を生じさせたりして、
使用者が恐怖感を抱いてしまう虞れがある。しかも外出
先で例えばインスリンを投与する場合、注射器使用時に
生じる衝撃音が周囲の人々を驚かせてしまう虞れがある
ため、使用者は、注射器の使用場所を選ばなければなら
ない。
【0009】一方、糖尿病患者の中には子供(特に女
子)や老人が多数存在しており、これら体力的あるいは
精神的に弱い人々が、インスリンを投与するために注射
器を使用することを考慮する必要がある。かかる観点か
ら見れば、従来の無針注射器は、上述のように、重い上
に、使用時の衝撃が大きく、使用しづらい面がある。
【0010】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、軽量化
を図ることができる噴射式の薬液注入装置を提供するこ
とにある。また本発明の他の目的は、使用時の衝撃を抑
えることができる噴射式の薬液注入装置を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記す
る手段により達成される。
【0012】(1) 薬液を噴射して皮膚より注入する
噴射式の薬液注入装置であって、初張力を有する引張ば
ねを設け、当該引張ばねが使用時に密着状態から引っ張
られた後、当該引張ばねが縮む力により薬液が噴出され
ることを特徴とする薬液注入装置。
【0013】(2) 薬液を噴射して皮膚より注入する
噴射式の薬液注入装置であって、薬液注入装置の外枠を
構成するハウジングと、先端にノズルが設けられ、内部
に薬液を収容する薬液容器と、前記薬液容器の軸心方向
に往復動可能なプランジャーと、ノズル側の先端部が前
記ハウジングに接続され、ノズルと反対側の後端部が前
記プランジャーに接続された初張力を有する引張ばね
と、を有し、前記引張ばねは使用時に密着状態から引っ
張られ、当該引張ばねが縮む力によって、前記プランジ
ャーを前記薬液容器のノズルの方へ移動させることによ
り、薬液が噴出されることを特徴とする薬液注入装置。
【0014】(3) 前記引張ばねが引っ張られた状態
から縮む際に生じる衝撃を緩和する緩衝部材を、さらに
有することを特徴とする上記(2)に記載の薬液注入装
置。
【0015】(4) 前記緩衝部材は、前記プランジャ
ーの後端部に取り付けられ、前記緩衝部材の後端部に、
前記引張ばねの後端部が固定されるばね固定部が取り付
けられ、前記引張ばねの後端部は、前記ばね固定部と前
記緩衝部材とを介して、前記プランジャーに接続される
ことを特徴とする上記(3)に記載の薬液注入装置。
【0016】(5) 前記緩衝部材は、前記プランジャ
ーの後端部に取り付けられ、前記緩衝部材の後端部は、
前記ハウジングに固定されていることを特徴とする上記
(3)に記載の薬液注入装置。
【0017】(6) 前記緩衝部材は、前記引張ばねを
構成する線材に被覆されていることを特徴とする上記
(3)に記載の薬液注入装置。
【0018】(7) 前記引張ばねは、複数設けられて
いることを特徴とする上記(2)に記載の薬液注入装
置。
【0019】(8) 前記複数の引張ばねは、前記プラ
ンジャーの軸心のまわりの円周上に均等に配置されてい
ることを特徴とする上記(7)に記載の薬液注入装置。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。
【0021】図1は、本発明の一実施形態である薬液注
入装置を示す図であって、(A)は平面図、(B)は側
面図であり、図2は、注入器本体の水平断面図である。
【0022】図1に示すように、薬液注入装置1は、注
入器本体2と、カートリッジ部7とから構成されてお
り、スタートボタン55を押すことにより、薬液をカー
トリッジ部7の先端から噴射して皮膚より注入する噴射
式の薬液注入装置である。
【0023】図2に示すように、注入器本体2は、薬液
注入装置1の外枠を構成するハウジング3と、ハウジン
グ3内に設けられた軸受部31により支持され、ハウジ
ング3の長手方向に往復動可能なプランジャー4と、先
端(図中左端)部がハウジング3に接続されるとともに
後端(図中右端)部がプランジャー4に接続された引張
ばね6と、を有している。なお、プランジャー4は、引
張ばね6内に挿通されている。
【0024】ハウジング3は、図1(B)に示すよう
に、上下に2分割された一対のハウジング素子3a,3
bから構成されており、例えばプラスチック等により形
成される。両ハウジング素子3a,3bのうちの一方に
は図示しない爪部が形成され、他方には該爪部が係合す
る図示しない係合穴部が形成されている。ハウジング3
は、両ハウジング素子3a,3bの各接合端部が突き合
わされるとともに、上記した爪部が係合穴部に係合する
ことにより組み立てられる。ハウジング3の先端側に
は、ボス部32が設けられており、このボス部32の内
面には、後述する薬液容器71をねじ込むための雌螺子
部33が形成されている。
【0025】プランジャー4は、棒状を呈しており、先
端部には、後述するガスケット81を取り付けるための
リング状の突起56が形成されている。また、プランジ
ャー4の中間部には、フランジ部57が形成されてい
る。プランジャー4は、耐圧性、耐衝撃性に優れた材料
により形成されており、使用される材料としては、例え
ば、プラスチックや、金属等が挙げられる。
【0026】ハウジング3のボス部32とプランジャー
4のフランジ部57との間には、ストッパ62が、ガイ
ド部38に摺動可能に保持された状態で、配設されてい
る。ストッパ62の軸心に沿って貫通孔63が形成され
ており、この貫通孔63内にプランジャー4が所定の隙
間を有して挿通される。したがって、プランジャー4が
前方(図中左方)に移動した場合、プランジャー4のフ
ランジ部57がストッパ62を押圧するが、ストッパ6
2はハウジング3のボス部32の端面に当接して停止さ
せられることになる。このように、プランジャー4は、
薬液投与終了時にプランジャー4が前方に飛び出さない
ように、より安全を確保するために取り付けられてい
る。
【0027】プランジャー4の後端部には、緩衝部材4
1が取り付けられ、緩衝部材41の後端部には、引張ば
ね6の後端部が固定されるばね固定部45が取り付けら
れている。したがって、引張ばね6の後端部は、ばね固
定部45と緩衝部材41とを介して、プランジャー4に
接続されることになる。
【0028】緩衝部材41は、引張ばね6が引っ張られ
た状態から縮む際に生じる衝撃を緩和する役目を果た
す。つまり、緩衝部材41は、引張ばね6が縮む際の運
動エネルギーを吸収することにより、薬液注入装置1全
体に衝撃を与えない構造を有している。この緩衝部材4
1は、圧縮ばね42と、この圧縮ばね42を内部に収容
するとともにプランジャー4およびばね固定部45間に
保持するためのホルダ43とを有している。なお、緩衝
部材41としては、上記構成に限定されるものではな
く、例えばゴム、エアサスペンション、油圧ダンパ等を
利用することも可能である。
【0029】図3は、ばね固定部を示す図であって、
(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は左側面図で
ある。
【0030】図3に示すように、ばね固定部45には、
引張ばね6の後端部の線材が係止される一対の係止部4
6,46が設けられている。また、ばね固定部45に
は、後述するラッチ部材51の先端部が入り込んで係合
する凹溝47が形成されている。さらに、ばね固定部4
5には、使用時にばね固定部45を後方(図中右方)に
スライド移動させるための、一対のスライドボタン49
が設けられる。このスライドボタン49は、ハウジング
3に開設された開口部37内に位置されて、ハウジング
3外に露呈される。また、ばね固定部45には、プラン
ジャー4およびばね固定部45を、引張ばね6の張力に
抗して後退させるときに、ラッチ部材51の先端部を凹
溝47に導くための一対のガイド溝48が形成されてい
る。
【0031】図4は、図2のIVで示す線に沿う断面図で
ある。図4に示すように、ラッチ部材51は、アーム5
3の端部に形成された略U字形状の溝部54に保持され
る。アーム53は、ハウジング3に回動可能に支持され
たピン52に固着されている。アーム53は、板ばね5
8により、ラッチ部材51を保持した溝部54が内方に
向けて回動する方向に常時付勢される。アーム53の溝
部54と反対側の端部には、スタートボタン55が固着
されている。このスタートボタン55は、ハウジング3
に開設された開口部34内に位置される。
【0032】また、ハウジング3には、ラッチ部材51
の頭部が往復動可能に収容される凹部35が形成されて
いる。これにより、ラッチ部材51は、プランジャー4
の軸心に向けて進退可能とされている。したがって、ス
タートボタン55を押すと、アーム52を介して、ラッ
チ部材51を凹部35の底部の方、すなわち外方に移動
させることができる。
【0033】引張ばね6としては、初張力を有するばね
が使用される。初張力を有する引張ばねは、自然状態で
ばねが密着状態を保つように作用する内部応力が生じて
いる引張ばねをいう。したがって、本実施形態の引張ば
ね6は、内部応力が解除されるまでは引張力を加えても
実質的には伸びない。引張ばね6に引張力を加えて伸ば
すのに要する力が、初張力に相当する。
【0034】引張ばね6の先端部の線材は、図5に示す
ように、リテーナ61の孔62の周縁部に係止される。
リテーナ61は、約1〜2mmの厚さの板材から作られ
ている。このリテーナ61は、ハウジング3に設けられ
た所定の溝幅を有する係止溝部36に嵌着され、これに
より、引張ばね6の先端部がハウジング3に接続される
ことになる。
【0035】引張ばね6は、密着状態でハウジング3内
に装着される。したがって、薬液注入装置1の使用前に
は、引張ばね6による付勢力は外部に働かない。これに
より、従来の圧縮ばねのように最小噴出力を確保するた
めにばねをあらかじめ押し縮めた際に生じる力を注入器
本体のハウジングで常時保持する必要はなくなる。
【0036】図6は、カートリッジ部の側面図、図7
は、カートリッジ部の断面図である。図6および図7に
示すように、カートリッジ部7は、内部に薬液を収容す
る薬液容器71と、薬液容器71内にあらかじめ嵌挿さ
れたガスケット81とを備えている。なお、薬液容器7
1とガスケット81とは、最初は別々にして用意してお
いてもよい。
【0037】薬液容器71は、円筒形状を呈する容器本
体72と、容器本体72の先端側に設けられたノズル7
3とから構成される。ノズル73の先端には、細い孔径
を有するオリフィス74が形成されている。オリフィス
74の孔径は、例えば0.05〜0.4mm程度が好ま
しい。ここで、薬液注入装置1を厚い皮膚や固い皮膚に
対して使用する場合にはオリフィス74の孔径が大きい
薬液容器71を使用する等、皮膚の性状の相違によって
オリフィス74の孔径が異なるものを使用することがで
きる。
【0038】容器本体72の後端側には、ハウジング3
の雌螺子部33に螺合される雄螺子部75が形成されて
いる。本実施形態では、後述するように、薬液注入時に
おける容器本体72のボス部32へのねじ込み量によっ
て、薬液の注入量を調整することが可能となっている。
容器本体72の後端側の外周面には、例えば円周方向複
数箇所に、外周面より内方に位置された平担部76が形
成されており、この平担部76に薬液の注入量を把握す
るための目盛り77が付けられている。また、容器本体
72の先端側に近い外周面には、薬液を容器本体72に
充填させる際に使用するアダプタ91(図10参照)を
軽く係止するための突起78が設けられている。
【0039】薬液容器71は、薬液の所定の高い噴射圧
力に耐えられる材料により形成されており、使用される
材料は、例えば、ガラス、プラスチック、金属、または
2種以上の材料からなる複合材料のなかからから選択さ
れるのが望ましい。但し、耐圧性の低い素材であって
も、容器の周囲を金属等の補強材料で被覆することによ
って使用することができる。なお、透明なプラスチック
やガラス等の材料より薬液容器71を形成すれば、内部
に収容された薬液を目視で確認することができるので好
ましい。
【0040】ガスケット81は、容器本体72の内面に
密着して薬液を後方に漏らさないようにシールする役目
を果たす。ガスケット81の内部には、プランジャー4
の先端部が挿入される穴部82が形成されており、さら
に、プランジャー4の突起56が嵌着される係合溝部8
3が形成されている。ガスケット81の材料としては
は、例えばゴムや、エラストマー等が使用される。
【0041】次に、このように構成された薬液注入装置
の作用について説明する。
【0042】図8は、引張ばねの張力に抗しつつプラン
ジャーを後方に所定距離移動させて保持した状態を示す
注入器本体の水平断面図、図9は、図8の状態の注入器
本体にカートリッジ部をねじ込んだ状態を示す薬液注入
装置の水平断面図、図10は、アダプタを示す断面図、
図11は、アダプタを介して薬液容器内に薬液を充填さ
せる様子を示す断面図、図12は、薬液注入装置の薬液
投与前の状態を示す水平断面図、図13は、薬液注入装
置の薬液投与後の状態を示す水平断面図、図14は、本
発明の引張ばねのたわみと薬液の噴射力との関係を示す
図である。
【0043】薬液注入装置1を使用する場合にあって
は、まず、図8に示すように、注入器本体2のばね固定
部45に設けられたスライドボタン49を後方にスライ
ド移動させ、ラッチ部材51の先端部をばね固定部45
の凹溝47に入り込ませて係合させる。これにより、引
張ばね6が密着状態(図14のQ1 )から引っ張られつ
つ、プランジャー4が後方に所定距離移動させられた状
態(図14のQ2 )で保持される。なお、ストッパ62
は、プランジャー4の後方への移動に伴って移動するこ
とはない。
【0044】そして、図9に示すように、カートリッジ
部7を注入器本体2のハウジング3に形成されたボス部
32に、一杯までねじ込む。これにより、容器本体72
内で、プランジャー4の先端部にガスケット81が装着
される。かつ、ストッパ62がカートリッジ部7により
後方に押され、ガイド部38に当接する。
【0045】一方、図10に示すように、薬液8が満た
されているバイアル85に、アダプタ91を取り付け
る。アダプタ91は、軸心に沿う通路93が内部に形成
された針部92を備えており、針部92の先端は、バイ
アル85のゴム栓86を貫通して薬液8に達する。薬液
注入装置1で使用される薬液8は、薬剤を含有する溶
液、ゲルまたは懸濁液である。使用可能な薬剤は、経皮
的な投与に適さない薬剤以外であるならば、実質的に制
限されない。
【0046】次いで、図11に示すように、薬液注入装
置1のカートリッジ部7をアダプタ91内に挿入する
と、薬液容器71のノズル73の先端がアダプタ91の
シール部材95に当接されるとともに、薬液容器71の
突起78がアダプタ91の内面に形成された微小な突起
94を乗り越えて、軽く係止される。この状態でカート
リッジ部7をボス部32にねじ込むときとは逆に回す。
これにより、ガスケット81がプランジャー4に固定さ
れた状態で、カートリッジ部7の薬液容器71のみが結
果的に前方に移動することになるので、薬液容器71内
に負圧が発生する。この負圧により、バイアル85内の
薬液8は吸い上げられ、通路93を通って、薬液容器7
1内に入る。また、カートリッジ部7の移動に伴い、ス
トッパ62がガイド部38から離れ、前方に移動可能と
なる。
【0047】なお、アダプタ91のカートリッジ部7を
挿入する側の内面には、ゴム製の回転防止部材96が貼
着されている。この回転防止部材96により、薬液8の
充填時にカートリッジ部7を回すとき、薬液容器71と
アダプタ91とを一緒に回転させることができ、薬液8
の薬液容器71への吸い上げが良好に行われる。
【0048】このとき、薬液容器71に付された目盛り
77を利用して、必要な量の薬液8を薬液容器71に吸
い上げることができる。所定量の薬液8が薬液容器71
に充填されると、アダプタ91からカートリッジ部7を
引き抜いて外す。
【0049】このようにして、図12に示すように薬液
投与の準備が整った薬液注入装置1を、カートリッジ部
7の先端が薬液注入部位に位置されるように、皮膚表面
に押し付け、スタートボタン55を押す。これにより、
ラッチ部材51がばね固定部45の凹溝47から外れ、
密着状態から引っ張られた状態で保持されていた引張ば
ね6が縮む。このようにラッチ部材51と凹溝47との
係合および解除を行うラッチ機構部が設けられているの
で、薬液注入の際の使用者による操作が容易となる。
【0050】引張ばね6が縮む力によって、プランジャ
ー4は、前方へ移動させられる。これにより、図13に
示すように、ガスケット81が薬液容器71内の薬液8
を押圧し、ノズル73のオリフィス74から薬液が噴出
されて、体内に注入される。そして、ストッパ62がカ
ートリッジ部7の後端に当接し、プランジャー4のフラ
ンジ部57がストッパ62の後端に当接することによ
り、プランジャー4が停止される。このとき、薬液を体
内へ注入するために、引張ばね6が引っ張られた状態か
ら縮む際に衝撃が生じるが、この衝撃は、緩衝部材41
により緩和される。
【0051】ここで、図14に示すように、ラッチ部材
51をばね固定部45の凹溝47に係合させる場合、引
張ばね6は、ばねのたわみ量がゼロである密着状態Q1
から、ばねのたわみ量がW2 となる引っ張られた状態Q
2 で保持され、薬液の最大噴射力F2 が決まる。一方、
ラッチ部材51をばね固定部45の凹溝47から外す場
合、引張ばね6が、ばねのたわみ量がW2 である引っ張
られた状態Q2 から、ばねのたわみ量がゼロである密着
状態Q1 になるまで縮むように設定することができ、薬
液の最小噴射力F1 を確保することができる。
【0052】このように本実施形態によれば、初張力を
有する引張ばね6を使用時に密着状態から引っ張り、当
該引張ばね6が縮む力を利用して薬液を噴出させるよう
にしたので、従来のように圧縮ばね102(図15参
照)をあらかじめ縮めた際に生じる力を常時保持するた
めの強固な構造を採る必要が無くなるため、装置全体の
軽量化を図ることができる。
【0053】また、図16と図14とに示されるよう
に、本実施形態の薬液注入装置1を従来と同等な薬液の
噴射力範囲(最小噴射力F1 、最大噴射力F2 )に設定
した場合、薬液注入中におけるばねのたわみ変化量は、
従来の圧縮ばね102ではW2−W1 であるのに対し、
本実施形態の引張ばね6ではW2 となるので、本実施形
態の方が従来に比べて大きくなる。したがって、プラン
ジャー4のストローク長を大きく取ることができ、より
多量の薬液を噴射させることが可能となる。
【0054】さらに、従来のような圧縮ばね102を利
用した場合には、薬液の注入終了時に、ばねが圧縮され
た状態から伸びきらないで付勢力を持った状態で停止さ
せられるため、ストッパに大きな衝撃力が加わるが、本
実施形態のような引張ばね6を利用した場合には、薬液
の注入終了時に、ばねが密着するようにカートリッジの
ねじ込み量によって設定することができるので、ストッ
パにかかる衝撃力を小さくすることが可能となる。
【0055】また、緩衝部材41を設けることにより、
薬液の注入終了時の衝撃をより一層緩和することがで
き、使用者等に与える衝撃力や衝撃音を軽減することが
可能となる。
【0056】なお、以上説明した実施形態は、本発明を
限定するために記載されたものではなく、本発明の技術
的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【0057】上述した実施形態では、緩衝部材41は、
プランジャー4とばね固定部45との間に設置したが、
本発明はこのような構成に限定されるものではなく、引
張ばね6が縮む際に生じる衝撃を緩和できる任意の構成
を採ることができる。例えば、緩衝部材は、プランジャ
ー4のノズルと反対側の後端部と、ハウジング3の壁部
内面との間に接続された例えば圧縮ばねであってもよ
い。また、緩衝部材は、ゴム材料やエラストマー材料等
が引張ばね6を構成する線材に被覆されて形成されたも
のであってもよい。
【0058】また、上述した実施形態では、引張ばね6
は、プランジャー4が内部に挿通される1本のばねで構
成したが、本発明はこのような構成に限定されるもので
はなく、引張ばねを複数設けるようにしてもよい。この
ようにすれば、引張ばねの両端に係止用のフックを形成
することにより、ハウジングやプランジャーとの接続を
容易に行うことができる。また、この場合、複数の引張
ばねをプランジャーの軸心のまわりの円周上に均等に配
置するのが、プランジャーに対して軸心に沿う力を加え
て滑らかに移動させることができる観点から好ましい。
【0059】また、上述した実施形態では、先端に針を
有しない噴射式の薬液注入装置1について説明したが、
本発明はこのような構成に限定されるものではなく、本
発明は、皮下、筋肉注射用の金属注射針、多孔質金属に
より形成された多孔質針、皮内針、あるいは非常に小さ
くて細い微小針等を、先端に取り付けた噴射式の薬液注
入装置として構成することも可能である。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1,2に記
載の発明によれば、初張力を有する引張ばねを使用時に
密着状態から引っ張り、当該引張ばねが縮む力を利用し
て薬液を噴出させるようにしたので、従来のように圧縮
ばねをあらかじめ縮めた際に生じる力を常時保持するた
めの強固な構造を採る必要が無くなるため、装置全体の
軽量化を図ることができる。
【0061】また、薬液注入中におけるばねのたわみ変
化量が従来に比べて大きくなるので、薬液を押し出すた
めのストローク長を大きく取ることができ、より多量の
薬液を噴射させることが可能となる。
【0062】さらに、従来のような圧縮ばねを利用した
場合には、薬液の注入終了時に、ばねが圧縮された状態
から伸びきらないで付勢力を持った状態で停止させられ
るため、停止用の部材に大きな衝撃力が加わるが、本発
明のような引張ばねを利用した場合には、薬液の注入終
了時に、ばねが密着するように設定することができるの
で、停止用の部材にかかる衝撃力を小さくすることが可
能となる。
【0063】請求項3〜6に記載の発明によれば、薬液
の注入終了時の衝撃をより一層緩和することができ、使
用者等に与える衝撃力や衝撃音を軽減することが可能と
なる。
【0064】請求項7に記載の発明によれば、引張ばね
の両端に係止用のフックを形成することにより、ハウジ
ングやプランジャーとの接続を容易に行うことができ
る。
【0065】請求項8に記載の発明によれば、プランジ
ャーに対して軸心に沿う力を加えて滑らかに移動させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態である薬液注入装置を示
す図であって、(A)は平面図、(B)は側面図であ
る。
【図2】 注入器本体の水平断面図である。
【図3】 ばね固定部を示す図であって、(A)は平面
図、(B)は側面図、(C)は左側面図である。
【図4】 図2のIVで示す線に沿う断面図である。
【図5】 リテーナの軸方向から見た図である。
【図6】 カートリッジ部の側面図である。
【図7】 カートリッジ部の断面図である。
【図8】 引張ばねの張力に抗しつつプランジャーを後
方に所定距離移動させて保持した状態を示す注入器本体
の水平断面図である。
【図9】 図8の状態の注入器本体にカートリッジ部を
ねじ込んだ状態を示す薬液注入装置の水平断面図であ
る。
【図10】 アダプタを示す断面図である。
【図11】 アダプタを介して薬液容器内に薬液を充填
させる様子を示す断面図である。
【図12】 薬液注入装置の薬液投与前の状態を示す水
平断面図である。
【図13】 薬液注入装置の薬液投与後の状態を示す水
平断面図である。
【図14】 本発明の引張ばねのたわみと薬液の噴射力
との関係を示す図である。
【図15】 従来の無針注射器による薬液の噴射を説明
するための図であって、(A)は、薬液投与前の状態を
示す図、(B)は薬液投与後の状態を示す図である。
【図16】 従来の圧縮ばねのたわみと薬液の噴射力と
の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…薬液注入装置、 2…注入器本体、 3…ハウジング、 4…プランジャー、 41…緩衝部材、 45…ばね固定部、 6…引張ばね、 7…カートリッジ部、 71…薬液容器、 73…ノズル、 8…薬液。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬液を噴射して皮膚より注入する噴射式
    の薬液注入装置であって、 初張力を有する引張ばねを設け、当該引張ばねが使用時
    に密着状態から引っ張られた後、当該引張ばねが縮む力
    により薬液が噴出されることを特徴とする薬液注入装
    置。
  2. 【請求項2】 薬液を噴射して皮膚より注入する噴射式
    の薬液注入装置であって、 薬液注入装置の外枠を構成するハウジングと、 先端にノズルが設けられ、内部に薬液を収容する薬液容
    器と、 前記薬液容器の軸心方向に往復動可能なプランジャー
    と、 ノズル側の先端部が前記ハウジングに接続され、ノズル
    と反対側の後端部が前記プランジャーに接続された初張
    力を有する引張ばねと、を有し、 前記引張ばねは使用時に密着状態から引っ張られ、当該
    引張ばねが縮む力によって、前記プランジャーを前記薬
    液容器のノズルの方へ移動させることにより、薬液が噴
    出されることを特徴とする薬液注入装置。
  3. 【請求項3】 前記引張ばねが引っ張られた状態から縮
    む際に生じる衝撃を緩和する緩衝部材を、さらに有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の薬液注入装置。
  4. 【請求項4】 前記緩衝部材は、前記プランジャーの後
    端部に取り付けられ、前記緩衝部材の後端部に、前記引
    張ばねの後端部が固定されるばね固定部が取り付けら
    れ、 前記引張ばねの後端部は、前記ばね固定部と前記緩衝部
    材とを介して、前記プランジャーに接続されることを特
    徴とする請求項3に記載の薬液注入装置。
  5. 【請求項5】 前記緩衝部材は、前記プランジャーの後
    端部に取り付けられ、前記緩衝部材の後端部は、前記ハ
    ウジングに固定されていることを特徴とする請求項3に
    記載の薬液注入装置。
  6. 【請求項6】 前記緩衝部材は、前記引張ばねを構成す
    る線材に被覆されていることを特徴とする請求項3に記
    載の薬液注入装置。
  7. 【請求項7】 前記引張ばねは、複数設けられているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の薬液注入装置。
  8. 【請求項8】 前記複数の引張ばねは、前記プランジャ
    ーの軸心のまわりの円周上に均等に配置されていること
    を特徴とする請求項7に記載の薬液注入装置。
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