JP2001318082A - 構造物の非破壊検査方法およびその装置 - Google Patents

構造物の非破壊検査方法およびその装置

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JP2001318082A JP2000135074A JP2000135074A JP2001318082A JP 2001318082 A JP2001318082 A JP 2001318082A JP 2000135074 A JP2000135074 A JP 2000135074A JP 2000135074 A JP2000135074 A JP 2000135074A JP 2001318082 A JP2001318082 A JP 2001318082A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大型構造物の健全性を遠隔から高感度で計測
できる自動化が容易な非破壊検査法を実現する。 【解決手段】 パルス光11aを構造物1の表面2に照
射する光源11と、光エネルギー吸収によって励起され
た振動を検出する振動検出手段13と、検出された振動
の波形13aを基に構造物の内部構造に関する情報を生
成する演算処理手段14とを備え、光源は緩和振動を抑
制する緩和振動抑制手段を有し、パルス光のパルス幅は
10〜100μsであり、パルス光のピークパワーは1
0kW以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大型構造物の内部
構造を非破壊で検査する非破壊検査方法およびその装置
に関し、特に、構造物に非接触で検査可能な非破壊検査
方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】交通機関、発電施設、居住用建築など、
高度な信頼性が要求される大型構造物において、経年劣
化や施工不良による事故が頻発している。その原因は、
非破壊検査が行われていれば容易に発見できたと思われ
る構造物表面の剥離や構造物内部の亀裂であることが多
い。そこで大型構造物の剥離や亀裂の検査を定期的に行
うことが望まれるが、大面積の迅速な自動検査を可能に
する簡便な検査法は開発されていない。
【0003】これまで大型構造物の剥離や亀裂の検査に
は、ハンマーで表面を打撃し、その振動応答を耳または
計器で計測する打音検査が主に用いられている。しか
し、打音検査は人手に頼らなければならないため、この
方法では大面積の迅速な自動検査は困難である。また、
超音波探傷法やX線透過法についても自動化が検討され
ているが、センサを構造物に近接させる必要があるた
め、凹凸の多い表面での自動化は困難である。一方、電
磁波を用いる検査法は、非接触計測が可能であるが、そ
れでもセンサを構造物から数cm以上は離せない。ま
た、数cm以上の厚さの空洞などには感度があるが、そ
れより薄い剥離や亀裂には適用できない。
【0004】このような状況のもと、大型構造物の剥離
や亀裂の検査にレーザー超音波法を利用しようという提
案がなされている。図19は、従来から行われているレ
ーザー超音波法により物体内部の欠陥を検出するための
検査装置の一構成例を示すブロック図である。このレー
ザー超音波法では、まず、レーザー光源111で生成し
たパルスレーザー光111aを物体101の表面に照射
する。レーザー光111aが照射された領域では急激な
熱膨張によって振動が励起され、この振動に基づく超音
波104aが発生する。この超音波104aを非接触の
レーザー干渉計113で検出して、このレーザー干渉計
113の出力信号113aを演算処理装置114で演算
処理することにより、物体101内部の微小欠陥103
を計測する。
【0005】ただし、このレーザー超音波法は、精密機
械部品の品質検査などの精密検査を目的として開発され
た技術である。したがって、金属、複合材料、ファイン
セラミックスなどの検査対象の厚さ(1cm程度)や微
小欠陥(0.01〜1mm程度)103に対して高感度
であることが望まれる。このため、図20に示すような
半値幅(パルス幅)が1〜100ns(ナノ秒)の短パ
ルスのレーザー光111aを用いて、熱弾性モードで1
0MHz〜1GHzの超音波104aが発生するように
している。また、レーザー光源111には、上記の半値
幅をもつレーザー光111aを出力できるQスイッチ方
式の固体レーザー発振器が用いられている。
【0006】このレーザー超音波法を用いれば、構造物
内部の欠陥を遠隔から自動計測することも可能である。
しかし、上述したように超音波104aの周波数が10
MHz〜1GHzと高いため、大型の金属部材、コンク
リートおよび耐火煉瓦などでは超音波104aの減衰が
大きく、超音波104aの検出感度が低い。この感度低
下を防ぐには低い周波数の超音波を用いる必要があり、
最適な超音波周波数は1〜100kHzである。従来か
らあるレーザー超音波法でも、この周波数帯での振動を
計測することも可能ではあるが、振動励起効率が低いた
め、やはり計測感度は低い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来は大
型構造物の健全性を遠隔から高感度で計測できる自動化
が容易な非破壊検査法が開発されていなかった。本発明
はこのような状況下でなされたものであり、その目的は
大型構造物の健全性を遠隔計測できる自動化の容易な非
破壊検査法を実現することにある。また、他の目的は、
大型構造物の健全性を高感度で計測できる非破壊検査法
を実現することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による構造物の非破壊検査方法は、パ
ルス幅が10マイクロ秒以上100マイクロ秒以下であ
り、ピークパワーが10kW以上でありかつ緩和振動が
抑制されたパルス光を生成して、このパルス光を構造物
の表面上に照射する第1の工程と、パルス光が照射され
た領域の構造物の表面および表面下の光エネルギー吸収
によって発生した振動を検出する第2の工程と、検出さ
れた振動の波形を基に構造物の内部構造に関する情報を
生成する第3の工程とを備えることによって特徴づけら
れる。パルス光の照射により熱弾性モードで励起される
振動の最高周波数は、照射されたパルス光のパルス幅の
逆数にほぼ比例する。したがって、パルス幅が10〜1
00μs(マイクロ秒)のパルス光を照射することによ
り、最高周波数10〜100KHz程度の振動を効率的
に励起できる。この周波数帯の振動は大型の金属部材な
どでの減衰が小さいので、高感度で検出できる。
【0009】また、本発明は、第1の工程において、パ
ルス光の緩和振動をピークパワーの50%以下に抑制す
るようにしてもよい。また、本発明は、第1の工程にお
いて、構造物の表面に非接触でパルス光を照射し、第2
の工程において、構造物の表面に非接触で振動を検出す
るようにしてもよい。また、本発明は、第3の工程にお
いて、検出された振動波形をフーリエ変換して振動の共
振周波数を求め、構造物の内部にできた間隙の面積およ
び構造物の厚みの少なくとも一方を振動の共振周波数か
ら推定する。また、本発明は、第1の工程において、パ
ルス光の照射位置を走査する。これにより、構造物の広
範囲にわたる振動分布を計測できる。
【0010】また、本発明による構造物の非破壊検査装
置は、パルス光を構造物の表面上に照射する光源と、パ
ルス光が照射された領域の構造物の表面および表面下の
光エネルギー吸収によって発生した振動を検出する振動
検出手段と、この振動検出手段の出力側に接続されかつ
振動検出手段で検出された振動の波形を基に構造物の内
部構造に関する情報を生成する演算処理手段とを備え、
光源は、パルス光の緩和振動を抑制する緩和振動抑制手
段を有し、パルス光のパルス幅は、10マイクロ秒以上
100マイクロ秒以下であり、パルス光のピークパワー
は、10kW以上であることによって特徴づけられる。
この場合、光源の緩和振動抑制手段は、パルス光の緩和
振動をパルス光のピークパワーの50%以下に抑制する
手段としてもよい。また、光源は、構造物の表面に非接
触でパルス光を照射する手段であり、振動検出手段は、
構造物の表面に非接触で振動を検出する手段であっても
よい。
【0011】光源の一構成例は、励起ランプからの光に
よりレーザー媒質を励起してレーザー出力を得るノーマ
ル発振固体レーザーのレーザー発振器を有する。この場
合、光源は、励起ランプに常時所定の直流電流を供給す
る予備放電回路と、励起ランプにパルス電流を供給する
高速放電回路とを具備する電源部を有する構成としても
よい。予備放電回路により励起ランプを常時放電状態に
しておくことで、高速放電回路からのパルス電流が励起
ランプで放電されるときの放電インピーダンスの変化を
小さくできる。さらに、この場合、光源が有する緩和振
動抑制手段は、高速放電回路からのパルス電流の立ち上
がりを緩やかにする手段である。
【0012】また、光源の高速放電回路のケースおよび
電源部の筐体の少なくとも一方は、非磁性体で形成され
ていてもよい。これにより、高速放電に伴って電磁力が
発生しても、ケースおよび筐体は振動しない。また、光
源は、レーザー媒質および励起ランプを冷却する冷却部
を更に有し、光源の電源部および冷却部の筐体は、防振
構造を有していてもよい。
【0013】また、上記構造物の非破壊検査装置におい
て、光源は、パルス光の広がり角を10mrad以下に
制限する広がり角制御手段を有していてもよい。これに
よりパルス光の指向性が高くなる。また、上記構造物の
非破壊検査装置は、光源の出力側に配置されかつパルス
光の照射位置を走査する走査手段を備えていてもよい。
パルス光が直線偏光である場合、走査手段を音響光学的
変調器で構成してもよい。音響光学的変調器を用いるこ
とにより、高速に走査可能となる。なお、パルス幅が1
0〜100μsの長パルスのパルス光は、Qスイッチ方
式によるレーザー光よりもピークパワーが小さいので、
音響光学的変調器の表面にアブレーションによる損傷は
起きにくい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
一実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明による
構造物の非破壊検査装置の一実施の形態の構成を示すブ
ロック図である。この図では検査対象の構造物としてト
ンネル1が例示されている。また、このトンネル1の内
部には、トンネル1の表面(壁面)2に対してほぼ平行
な亀裂(間隙)3が形成されているものとする。非破壊
検査装置10は、レーザー光源11と、音響光学的変調
器(走査手段)12と、振動検出器13と、計算機14
と、表示装置15とから構成されている。
【0015】レーザー光源11は、長パルスのレーザー
光11aを出力するノーマル発振固体レーザーのレーザ
ー発振器である。レーザー光11aは、半値幅(以下、
パルス幅ということがある)が10μs以上,100μ
s以下であり、ピークパワーが10kW以上である。ま
た、レーザー光11aの緩和振動は、そのレーザー光1
1aのピークパワーの50%以下に抑制されている。音
響光学的変調器12は、レーザー光源11の出力側に配
置されており、またトンネル1の表面2から1m程度離
間して配置されている。この音響光学的変調器12は、
レーザー光11aを偏向することによりトンネル表面2
における照射位置を走査する走査手段として機能する。
【0016】振動検出器13もまた、トンネル1の表面
2から1m程度離間して配置されている。音響光学的変
調器12からのレーザー光12aが照射された領域では
振動が励起され、この振動と同じ波形を有する超音波4
aが発生する。振動検出器13は、前記振動を直接検出
するか、または前記超音波4aを受信することにより前
記振動を検出するものである。この振動検出器13とし
ては、レーザー干渉計または超音波検出用のマイクロフ
ォンを利用できる。
【0017】計算機14は、振動検出器13の出力側に
接続されており、振動検出器13で検出された振動の波
形データ13aを周波数解析して、トンネル1の内部構
造に関する情報を生成する演算処理手段としての機能を
有している。また、この計算機14は、レーザー光源1
1、音響光学的変調器12、振動検出器13および表示
装置15のそれぞれの動作を制御する制御手段としての
機能も兼ね備えている。特に、レーザー光源11および
音響光学的変調器12に制御信号14sおよび14tを
それぞれ出力して、レーザー光源11および音響光学的
変調器12の動作を同期させている。表示装置15は、
振動検出器13および計算機14の両方の出力側に接続
されており、振動検出器13および計算機14のそれぞ
れから出力されたデータ13a,14aを表示するもの
である。
【0018】次に、パルスレーザー光12aの照射によ
り熱弾性モードで超音波4aが発生する原理を説明す
る。図2は、超音波4aの発生原理の説明図であり、図
1に示したトンネル1の断面が模式的に示されている。
ここでは、表面2と亀裂3との間の板状部分4の厚さは
十分薄いものとする。
【0019】図2(A)はレーザー光12aが照射され
る前の状態を示している。表面2にレーザー光12aが
照射されると、レーザー光12aの光エネルギー吸収に
よって表面2および板状部分4の温度が上昇して、図2
(B)に示すように板状部分4が急激に熱膨張する。こ
の状態でレーザー光12aの照射が停止すると、板状部
分4は冷却されて急激に収縮する。このとき板状部分4
は図2(C)に示すように過度に収縮する。その後、板
状部分4は復元力によって図2(D)に示すように再び
膨張に転ずる。以後、これを繰り返しながら、振動は徐
々に収束してゆく。このようにして板状部分4の曲げ振
動が励起される。また、板状部分4に相当する部材の形
状により、他に厚み振動、ねじり振動など様々な振動モ
ードが励起される。このようにして励起された振動に伴
って、超音波4aが発生する。
【0020】レーザー光12aの照射により熱弾性モー
ドで励起された振動の最高周波数は、レーザー光12a
のパルス幅の逆数にほぼ比例する。したがって、パルス
幅が10〜100μsの長パルスのレーザー光12aを
照射することにより、最高周波数10〜100kHz程
度の振動を効率的に励起できる。この周波数帯の振動
は、厚さ10〜100cm程度の大型の金属部材、コン
クリートおよび耐火煉瓦などでも減衰が小さい。したが
って、振動検出器13により板状部分4の振動を高感度
で検出できる。なお、レーザー光12aのパルス幅から
換算される周波数を有する弾性波の波長よりも板状部分
4の厚さが大きくなると、板状部分4の振動は励起され
ない。しかし、上述したパルス幅を有するレーザー光1
2aを用いた場合は、周波数が低く波長が長いので、通
常の大きさの構造物でも大きさが波長以下となって振動
が起こる。
【0021】レーザー光による振動の発生は、照射領域
の温度上昇によって起こる。このため、深さ方向の温度
上昇の分布が重要である。温度分布は熱伝導率κと光の
吸収係数γとにより決まるが、これらは物質に強く依存
する。特に金属と絶縁体との相違は大きい。金属では光
吸収は物体表面で起こり、物体内部の温度上昇は熱伝導
により起こると仮定できる。またレーザービームが十分
太く、物体表面方向に一様と仮定し、さらに光吸収パワ
ー密度(レーザー光の単位面積当たりのピークパワー)
が時間0<t<t0 (t0 はレーザー光のパルス幅)で
0 (一定値)、その他で0とする。この時、レーザー
の発光終了後(t0 <t)における物体内部の温度分布
T(x3,t)は、次式で与えられる。なお、x3 は物体
内部における表面からの距離である。
【0022】
【数1】
【0023】ここでκは熱伝導率、D=κ/(ρC)は
熱拡散率、ρは密度、Cは熱容量である。ただし、レー
ザーの発光中(0<t<t0 )においては(1)式の第
1項のみを採る。一方、光の透過距離が数10μm以上
ある絶縁体では、レーザー光のパルス幅程度の時間での
熱拡散距離は相対的に小さいので無視できる。この場
合、温度はレーザー光の照射時間に比例して上昇し、物
体内部の温度分布T(x3,t)は次式で与えられる。
【0024】
【数2】
【0025】続いて、パルスレーザー光を照射したとき
の物体表層の温度分布を、従来からあるレーザー超音波
法の場合と本発明の場合とで比較する。図3は、(1)
式〜(3)式より求められた下記の条件における物体表
層の温度分布を示すグラフである。このグラフの横軸は
物体表面からの距離x3 [μm]であり、縦軸はレーザ
ー照射による温度上昇T[K]である。
【0026】まず、従来法による場合を検討するにあた
り、パルス幅t0 =10nsの短パルスのレーザー光1
11aを照射した場合の温度分布を金属と絶縁体の両方
で調べる。物体が金属の場合、熱物性定数は軟鋼を想定
して熱伝導率κ=50W/(m・K)、熱拡散率D=
1.3×10-52 /sとする。ただし、光吸収係数γ
を無限大とする。また、吸収パワー密度I0 はQスイッ
チ方式により発振されたレーザー光を想定して20MW
/cm2 (ビーム直径8mm、吸収エネルギー100m
Jに相当)とする。図3の実線aは、パルス幅t0 の1
0倍の時間t=100nsが経過したときの温度分布で
ある。温度上昇Tは表面で264Kであるが、4μm内
部では10Kと小さい。常温(293K)の場合、照射
直後の表面温度は融点(1810K)を超えるので、ア
ブレーションが起こる。
【0027】物体が絶縁体の場合、熱伝導率κおよび熱
拡散率Dは金属の場合と同じ値とし、光吸収係数γ=1
×104 [1/m]とする。また、吸収パワー密度I0
を金属の場合の10倍の200MW/cm2 とする。図
3の点線bは、レーザー発光が終了した時間t=10n
sにおける温度分布である。最表面の温度上昇Tは52
Kでアブレーションは起こらず、100μm内部でも2
0K以上温度が上昇する。
【0028】次に、本発明による場合を検討するにあた
り、パルス幅t0 =50μsの長パルスのレーザー光1
1aを照射した場合の温度分布を金属と絶縁体の両方で
調べる。吸収パワー密度I0 は1MW/cm2 とする。
物体が金属の場合、パルス幅t0 の10倍の時間t=5
00μs経過後には、図3の破線cで示すように、厚さ
100μmの表層で温度上昇Tが60Kとなった。ま
た、光が透過する絶縁体の場合、光透過と内部での吸収
とにより、レーザー発光が終了した時間t=50μsに
は、図3の一点鎖線dで示すように、100μm内部で
の温度上昇Tが50Kとなった。いずれの場合も、表面
での温度上昇Tは600K以下であり、アブレーション
は起こらない。
【0029】以上からわかるように、長パルスのレーザ
ー光11aを用いた場合、金属でも絶縁体でも、比較的
厚い表層に適度な温度上昇が起こる。したがって、比較
的厚い表層に熱膨張による振動を励起できるので、大型
構造物の内部にできた亀裂などの欠陥を検査できること
がわかる。その一方で、レーザー光11aはパルス幅t
0 が長いので大エネルギーのわりにピークパワーI0
小さく、物体表面でアブレーションが起きない。このた
め、検査対象の表面にアブレーション損傷が無い完全な
非破壊検査を行える。
【0030】また、レーザー光11aの吸収パワー密度
0 は1MW/cm2 程度であり、図1に示した音響光
学的変調器12の耐光性限度以下である。したがって、
音響光学的変調器12の表面をアブレーション損傷させ
ることなく使用できる。音響光学的変調器12を用いる
ことにより、レーザー光11aの波形を自在に制御でき
る。特に、音響光学的変調器12はレーザー光11aの
偏向を機械的でなく光学的に行うので、高速に走査可能
となる。なお、言うまでもなく、走査手段として反射ミ
ラーを用いることもできる。
【0031】次に、長パルスのレーザー光11aを出力
するレーザー光源11について更に説明する。図4は、
レーザー光源11の構成図である。レーザー光源11
は、固体レーザーであり、レーザーヘッド部20と、電
源部30と、レーザー発振制御部51と、冷却部52と
から構成されている。さらに、レーザーヘッド部20は
ノーマル発振の固体レーザー発振器であり、レーザーロ
ッド21と、フラッシュランプ22と、レーザーロッド
21およびフラッシュランプ22を収容する集光器23
と、光共振器を構成する全反射鏡24aおよび出力鏡2
4bと、集光器23の一方の鏡面と全反射鏡24aとの
間に配置されたエキスパンダー(広がり角制御手段)2
5と、集光器23の他方の鏡面と出力鏡24bとの間に
配置されたポラライザー26とを備えている。
【0032】レーザーロッド21には、Nd:YAG結
晶、Er:YAG結晶、Nd:ガラス結晶、Nd:YL
F結晶などの固体レーザー媒質が用いられる。フラッシ
ュランプ22は、レーザーロッド21に光を照射して励
起させる励起ランプであり、キセノンフラッシュランプ
などが用いられる。集光器23は、フラッシュランプ2
2からの光を効率よくレーザーロッド21上に集光する
ものである。
【0033】エキスパンダー25は、凸レンズ25aと
凹レンズ25bとから構成されている。そして、各レン
ズ25a,25bの屈折率と、各レンズ25a,25b
間の距離を調整することで、レーザーヘッド部20(す
なわち、レーザー光源11)から出力されるレーザー光
11aの広がり角を制御できる。ここでは、指向性を高
くするため、レーザー光11aの広がり角を10mra
d以下に制限する。ポラライザー26は、レーザー光1
1aを直線偏光とするための偏光素子である。このポラ
ライザー26を用いて直線偏光出力を得ることにより、
図1に示した音響光学的変調器12により高効率な変調
と偏向が可能となる。なお、この音響光学的変調器12
を用いない場合には、ポラライザー26は無くてもよ
い。
【0034】電源部30は、レーザーヘッド部20のフ
ラッシュランプ22に放電電流を供給する電源である。
レーザー発振制御部51は、電源部30に接続されてお
り、この電源部30がフラッシュランプ22に放電電流
を供給するタイミングを制御するものである。冷却部5
2は、レーザーヘッド部20のレーザーロッド21、フ
ラッシュランプ22および集光器23を冷却(例えば水
冷)するものである。
【0035】図5は、図4に示した電源部30の構成を
示す回路図である。フラッシュランプ22の陽極はダイ
オード33および抵抗32を介してシマー電源31の+
端子に接続され、陰極はこのシマー電源31の−端子に
接続されている。また、フラッシュランプ22の陽極は
スイッチング素子40aを介して放電用コンデンサー3
9aの一端に接続され、陰極はこの放電用コンデンサー
39aの他端に接続されている。さらに、フラッシュラ
ンプ22の陽極はインダクター41およびスイッチング
素子40bを介して放電用コンデンサー39bの一端に
接続され、陰極はこの放電用コンデンサー39bの他端
に接続されている。
【0036】放電用コンデンサー39a,39bはケー
ス39cに収容されている。スイッチング素子40a,
40bのそれぞれのゲートはレーザー発振制御部51に
接続されている。そして、放電用コンデンサー39a,
39bのそれぞれの一端はインダクター38a,38b
を介して充電用主電源37の+端子に接続され、それぞ
れの他端はこの充電用主電源37の−端子に接続されて
いる。また、電源部30は、トリガートランス35を介
して電極36よりフラッシュランプ22にトリガーパル
スを印加するトリガーパルス発生器34を有している。
【0037】シマー電源31は、フラッシュランプ22
に常時所定の直流電流を供給する予備放電回路を構成す
る。このシマー電源31の両端子(+,−)間の電圧
は、充電用主電源37の両端子(+,−)間の電圧より
も低く設定してある。放電用コンデンサー39aとスイ
ッチング素子40aとにより、フラッシュランプ22に
パルス電流を供給する高速放電回路が構成される。ここ
で、スイッチング素子40aは、通常はアノード電流の
通過を阻止するが、ゲートに発光指令信号51aが印加
されるとアノード電流を通過させる素子である。また、
放電用コンデンサー39aの容量は、パルス電流の半値
幅が10〜100μsとなるように設定される。
【0038】放電用コンデンサー39bとスイッチング
素子40bとインダクター41とレーザー発振制御部5
1とにより、レーザー光11aの緩和振動を抑制する緩
和振動抑制手段が構成される。ここで、スイッチング素
子40bは、通常はアノード電流の通過を阻止するが、
ゲートに発光指令信号51bが印加されるとアノード電
流を通過させる素子である。また、レーザー発振制御部
51は、スイッチング素子40a,40bのゲートに、
それぞれ発光指令信号51a,51bを所定のタイミン
グで印加する回路である。なお、スイッチング素子40
a,40bとしては、サイリスター、ゲートターンオフ
サイリスター、IGBTなどを使用できる。
【0039】次に、電源部30の動作を説明する。ま
ず、シマー電源31を動作させる。シマー電源31がフ
ラッシュランプ22の両極間に印加した電圧が約500
〜1000Vとなった時点で、トリガーパルス発生器3
4がトリガーパルスを出力する。トランス35で増幅さ
れた電圧5kV以上のトリガーパルスが電極36よりフ
ラッシュランプ22に印加されると、トリガーパルスの
電圧によりフラッシュランプ22の両極間の絶縁が破
れ、シマー電流が放電される。これにより、フラッシュ
ランプ22の両極間の電圧は約100〜200Vに低下
する。シマー電流は約100mAの直流電流であり、こ
の後もフラッシュランプ22の両極間で放電され続け
る。
【0040】一方、スイッチング素子40a,40bは
通常、ゲートに発光指令信号51a,51bが印加され
ておらず、阻止状態となっている。この状態で、充電用
主電源37は放電用コンデンサー39a,39bのそれ
ぞれを充電する。そして放電用コンデンサー39bに充
電された電圧が約300V以上となると、レーザー発振
制御部51はスイッチング素子40bのゲートに発光指
令信号51bを印加する。これによりスイッチング素子
40bは導通状態となり、放電用コンデンサー39bに
充電された電圧はインダクター41およびフラッシュラ
ンプ22に印加される。このとき、インダクター41の
積分作用により、フラッシュランプ22に供給される電
流Ibの立ち上がりは、図6(A)の点線で示すように
緩やかになる。上述したようにフラッシュランプ22の
両極間の電圧は約100〜200Vに低下しているの
で、この電流Ibはフラッシュランプ22の両極間で放
電される。
【0041】続いて、レーザー発振制御部51はスイッ
チング素子40aのゲートに発光指令信号51aを印加
する。これによりスイッチング素子40aは導通状態と
なり、放電用コンデンサー39aに充電された電圧はフ
ラッシュランプ22に印加される。これにより、フラッ
シュランプ22の両極間で、図6(A)に実線で示すよ
うな立ち上がりが急峻なパルス電流Iaが放電される。
このときのフラッシュランプ22の放電電流(シマー電
流を除く)Icは、図6(B)に示すように電流Ia,
Ibを合成したものとなる。この電流Icは放電用コン
デンサー39aからのパルス電流Iaよりも立ち上がり
が緩やかになっている。
【0042】フラッシュランプ22の放電電流の立ち上
がりが急峻であるほど、レーザーヘッド部20から出力
されるレーザー光11aの緩和振動が大きくなる。そこ
で、まず立ち上がりが緩やかな電流Ibをフラッシュラ
ンプ22に印加する。このときレーザー光11aに発生
する緩和振動は小さい。そして、この電流Ibによる緩
和振動がおさまった時点で、パルス電流Iaをフラッシ
ュランプ22に印加するようにする。これによりレーザ
ー光11aの緩和振動を極めて小さくできる。
【0043】また、電源部30では、フラッシュランプ
22でシマー電流が常時放電させているが、これにより
フラッシュランプ22でパルス電流Iaが放電されると
きの放電インピーダンスの変化を小さくできる。これに
より、パルス放電の繰り返しが容易に高速化できると共
に、発光効率が高まる、フラッシュランプ22の寿命が
延びるといった利点を併せて得られる。
【0044】前述したように、大型構造物を非破壊検査
するには最高周波数10〜100kHzの振動を励起す
ることが望ましく、そのためにはパルス幅が10〜10
0μsのレーザー光を照射する必要がある。しかし、従
来からあるレーザー超音波法で使用されていたQスイッ
チ方式の固体レーザー発振器では、このような長パルス
のレーザー光を得られない。
【0045】図7は、Qスイッチ方式の固体レーザー発
振器でQスイッチを使用せずにノーマル発振させて得ら
れたレーザー光の波形を示す図である。横軸は時間であ
り、縦軸は光強度である。図7に示したレーザー光の包
絡線の半値幅は40μsであるが、このレーザー光には
緩和振動によるスパイク状のパルスが多数発生してい
る。緩和振動の強度はピークパワーの90%以上と大き
く、また各パルスの半値幅は数nsと極めて短い。この
ように、従来からレーザー超音波法で使用されていたQ
スイッチ方式の固体レーザー発振器を転用したのでは、
長パルスのレーザー光を得られない。
【0046】図8は、図4および図5に示した構成を有
するレーザー光源11で得られたレーザー光11aの波
形を示すグラフである。横軸は時間t[μs]であり、
縦軸は光強度[a.u.]である。図8に示したレーザー
光11aは、半値幅が50μsであり、しかも緩和振動
の強度がピークパワーの50%以下に抑制されている。
図1に示した非破壊検査装置ではこのようなレーザー光
11aを使用するので、最高周波数10〜100kHz
程度の低周波振動を効率的に励起できる。
【0047】次に、レーザー光源11の防振構造につい
て説明する。図9は、レーザー光源11の電源部30お
よび冷却部52の外部筐体の側面図である。レーザー光
源11では、放電用コンデンサー39aの高速放電によ
りフラッシュランプ22を発光させる。このとき放電用
コンデンサー39aから強い電磁力が発生する。従来か
らあるレーザー超音波法で使用されていたレーザー光源
111aは床にキャスターなどで設置されており、特別
な防振構造を有していなかった。しかし、これではレー
ザー光源111aが高速放電に伴う電磁力により大きく
振動してしまう。この振動は床や空気を介してレーザー
干渉計113に伝わり、レーザー干渉計113の出力信
号のノイズとなるという問題があった。
【0048】そこで、図1に示した非破壊検査装置のレ
ーザー光源11では、以下のような防振構造とした。ま
ず、放電用コンデンサー39aを収容するケース39c
および電源部30の筐体30aは従来は鉄などで形成さ
れていたが、このケース39cおよび筐体30aを真鍮
などの非磁性体で形成した。これにより、高速放電に伴
って電磁力が発生しても、ケース39cおよび筐体30
aは振動しない。また、図9に示すように、電源部30
の筐体30aおよび冷却部52aの筐体52aを床55
上に配置する際に、防振ゴム54を介在させている。こ
れにより、筐体30a,52aが振動したとしても、そ
の振動は床55に伝わらない。レーザー光源11はこの
ような防振構造を有しているので、高速放電に伴う電磁
力による振動は抑制される。したがって、振動検出器1
3で検出された振動波形にのるノイズが小さくなるの
で、検査精度が高くなる。
【0049】次に、図1に示した装置による構造物の非
破壊検査に関する実験について説明する。まず、レーザ
ー光源11として、図4および図5に示した構成を有す
る長パルスYAGレーザーのプロトタイプを試作した。
このレーザー光源11は、大容量コンデンサー39aの
高速放電によるフラッシュランプ発光を用いて、パルス
幅50μs、エネルギー2.5Jの発振を行うことがで
きた。これと同時に、レーザー光11aの広がり角を1
0mrad以下に制限できた。このレーザー光源11を
用いた予備実験で、周波数1〜50kHzの振動を効率
的に発生させることができ、210×100×30mm
のレンガブロックや100×100×5mmのタイルの
明瞭な共振スペクトルを非接触で検出できることを初め
て確認した。また、レーザー光11aはパルス幅が長い
ので大エネルギーのわりにピークパワーが小さく、部材
表面にアブレーション損傷が生じない完全な非破壊検査
を行えた。
【0050】各実験毎に詳細に説明する。実験1.従来
からあるレーザー超音波法と本発明とのS/N比に関す
る比較:試料として210×100×30mmのレンガ
ブロックを用意した。このレンガブロックの100×3
0mmの面を下にして平面上に置く。このときレンガブ
ロックは平面に接着されておらず、完全剥離の状態とな
っている。この状態で、レンガブロックの210×10
0mmの面にパルスレーザー光を照射する。このとき励
起された振動に基づく超音波を照射位置から1m遠隔で
受信し、周波数分析を行って共振スペクトルを得る。
【0051】まず、従来からあるレーザー超音波法で用
いられているパルス幅8nsのレーザー光111aを照
射した。図10は、このときのレンガブロックの振動波
形を示すグラフであり、図10(A)にはレーザー干渉
計113による検出波形が示されており、図10(B)
にはレーザー干渉計113による検出波形をフーリエ変
換して得られたパワースペクトルが示されている。図1
0(A),(B)には、レーザー光111aのエネルギ
ーを116mJ,87.8mJ,57.5mJ,35.
0mJとしたときの波形、およびバックグラウンドの波
形が上から順に示されている。図10(A)から分かる
ように、このときのレンガブロックの振動速度vの振幅
は0.005mm/s以下と小さい。また、図10
(B)では5kHz付近に共振スペクトルが見られる
が、この共振スペクトルの振幅が小さく、バックグラウ
ンドノイズに埋没している。
【0052】次に、上記レーザー光源11のプロトタイ
プによるパルス幅50μsのレーザー光11aを照射し
た。図11は、このときのレンガブロックの振動波形を
示すグラフであり、図11(A)には振動検出器13に
よる検出波形が示されており、図11(B)には振動検
出器13による検出波形を計算機14でフーリエ変換し
て得られたパワースペクトルが示されている。図11
(A),(B)には、レーザー光11aのエネルギーを
2.08J(ピークパワー42kW),1.25J(ピ
ークパワー25kW)としたときの波形、およびバック
グラウンドの波形(図11(B)のみ)が上から順に示
されている。
【0053】図11(A)から分かるように、このとき
のレンガブロックの振動速度vの振幅は0.03〜0.
05mm/sであり、振動速度vの振幅が従来の10倍
程度となっている。また、図11(B)では5kHz付
近に明瞭な共振スペクトルが見られる。この共振スペク
トルはレンガブロックが剥離状態となっていることを示
すものである。したがって、長パルスのレーザー光11
aを用いることで、検査対象である構造物の状態を高感
度で検出できることが分かる。
【0054】図12は、図11(A)を基に作成された
レーザー光11aのピークパワーI 0 とレンガブロック
の振動速度vの振幅との関係を示すグラフである。明瞭
な共振スペクトルを得るには、振動検出器13によって
検出された振動速度vの振幅は0.01mm/s以上で
あることが望ましい。したがって、検査対象に励起され
た振動を照射位置から1m遠隔で検出する場合には、ピ
ークパワーI0 が10kW以上のレーザー光11aを用
いればよいことが図12から分かる。このようなレーザ
ー光11aを用いることで、遠隔検査を正確に行える。
【0055】実験2.剥離の検出:図13は、この実験
の試料の構造を説明するための断面図である。300×
300×60mmのコンクリート板61の上に、98×
98×5mmの磁器タイル(内装用タイル 100角)
62が、100×100×3mmの樹脂配合セメント6
3によって接着されている。ただし、タイル62とセメ
ント63の界面には、30×30×0.3mmのナイロ
ンシート64があらかじめ挟み込まれており、人工剥離
が形成されている。ここではナイロンシート64が挟み
込まれている部分を剥離部、ナイロンシート64が挟み
込まれていない部分を健全部と呼ぶ。
【0056】まず、健全部のタイル62表面に、上記レ
ーザー光源11のプロトタイプによるパルス幅50μs
のレーザー光11aを照射した。図14は、このときの
健全部の振動波形を示すグラフであり、図14(A)に
は振動検出器13による検出波形が示されており、図1
4(B)には振動検出器13による検出波形を計算機1
4でフーリエ変換して得られたパワースペクトルが示さ
れている。続いて、剥離部のタイル62表面に同じくレ
ーザー光11aを照射した。図15は、このときの剥離
部の振動波形を示すグラフであり、図15(A)には振
動検出器13による検出波形が示されており、図15
(B)には振動検出器13による検出波形を計算機14
でフーリエ変換して得られたパワースペクトルが示され
ている。
【0057】図14(B)と図15(B)とを対比する
と、図15(B)には15kHz付近に強い共振スペク
トルが現れていることが分かる。この共振スペクトル
は、剥離と表面との間のタイル部分の熱膨張によって誘
起された振動に基づくものである。この共振スペクトル
の有無により、剥離の有無を知ることができる。
【0058】次に、ナイロンシート34による人工剥離
の大きさが異なる5種類の試料を用意した。表1は、人
工剥離の大きさと、人工剥離の面積率Raを示す表であ
る。ここで、人工剥離の面積率Raは、(人工剥離の面
積)/(タイル62の面積)により求められたものであ
る。
【0059】
【表1】
【0060】そして、各試料の剥離部のタイル62表面
に、上記レーザー光源11のプロトタイプによるパルス
幅50μsのレーザー光11aを順次照射した。図16
は、このときの各試料の剥離部の振動波形をフーリエ変
換して得られたパワースペクトルを示すグラフである。
このグラフには、人工剥離が小さい試料のパワースペク
トルが下から順に示されている。このグラフの横軸は周
波数f[kHz]、縦軸は強度である。ただし、人工剥
離の大きさが50×50mm,69.3×69.3m
m,84.9×84.9mmの各試料のパワースペクト
ルの強度は、それぞれ1/100,1/200,1/4
00に圧縮されている。
【0061】各パワースペクトルにおいて、矢印を付し
た共振スペクトルが、剥離と表面との間のタイル部分に
誘起された振動に基づくものである。剥離が大きいほ
ど、その剥離に基づく共振周波数が小さくなることが分
かる。図17は、各試料の人工剥離の面積率Ra[%]
と、その人工剥離に基づく共振周波数f[kHz]との
関係を示すグラフである。このグラフを基に、得られた
共振周波数から剥離の面積率を推定できる。この実験2
はタイル62とコンクリート板61との間に人工的に剥
離を設けた試料を用いた実験であるが、大型構造物の表
面にほぼ平行な剥離状の亀裂も同様に検出でき、また共
振周波数から亀裂の面積率も推定できる。
【0062】実験3.厚さの検出:300×300×6
0mmおよび250×250×50mmの2個のコンク
リート板を用意する。これらのコンクリート板の上に1
00×100×3mmの樹脂配合セメントで98×98
×5mmの磁器タイル(内装用タイル 100角)を接
着させて、試料(イ),(ロ)を作成した。ただし、い
ずれの試料(イ),(ロ)においても、タイルとコンク
リート板の間に剥離は存在しない。これらの試料
(イ),(ロ)のタイル表面に、上記レーザー光源11
のプロトタイプによるパルス幅50μsのレーザー光1
1aを照射した。図18は、このときの試料(イ),
(ロ)の振動波形を示すグラフであり、図18(A),
(B)にはそれぞれ試料(イ),(ロ)の振動波形が示
されており、図18(C),(D)にはそれぞれ試料
(イ),(ロ)の振動波形をフーリエ変換して得られた
パワースペクトルが示されている。
【0063】図18(C)に示されるように、試料
(イ)の熱膨張によって誘起された振動の共振周波数
は、5.3kHzおよび6.0kHzである。また、図
18(D)に示されるように、試料(ロ)の熱膨張によ
って誘起された振動の共振周波数は、6.2kHzおよ
び7.5kHzである。この共振周波数の違いは、試料
(イ),(ロ)のコンクリート板の厚さの違いによるも
のである。したがって、得られた共振周波数からコンク
リート板の厚さを推定できる。この技術は大型構造物に
対しても応用できる。例えば、同じ方法でトンネルの壁
の厚さなどを推定できる。
【0064】以上の実験1〜3の実験結果から明らかな
ように、パルス幅が10〜100μsであり緩和振動が
抑制されたレーザー光11aを用いることで、大型構造
物に対しても、励起された振動を高感度で検出できる。
また、レーザー光11aのピークパワーI0 を10kW
とすることで、照射位置から1m遠隔でも励起された振
動を高感度で検出できる。したがって、図1に示した装
置により、大型構造物の健全性を遠隔から高感度で非破
壊検査できる。しかも、図1に示した装置による非破壊
検査は、人手によらず、しかも非接触で行えるので、自
動化が容易である。なお、図1に示した非破壊検査装置
は、トンネルに限らず、交通機関、発電施設、居住用建
築などの大型構造物の非破壊検査に広範囲に適用でき
る。
【0065】また、例えば壁の内部が奥行き方向に2層
構造となっている場合には、図1に示した装置により、
両層の界面の接着が不完全である部分を検出できる。こ
のような部分に長パルスのレーザー光12aを照射する
と、表層には熱膨張により応力が発生して両層の界面が
剥離し、上述したのと同様の原理で照射領域に振動が励
起されるからである。これは、柱の内部に鉄筋が埋設さ
れており、柱のコンクリートと鉄筋との接着が不完全で
ある場合も同様である。また、2層構造を有する大型構
造物の表層の厚さが1cm程度である場合には、両層の
界面が完全に密着していても、表層の厚さを正確に計測
できる。1J程度の長パルスレーザー光12aを照射し
て表層の温度が数10℃程度上昇すると、両層の界面の
接着が一時的に弱まり、両層の界面が剥離したときと同
様に表層の照射領域が振動するからである。
【0066】以上のように図1に示した非破壊検査装置
により、大型構造物の内部構造として、構造物の表面と
ほぼ平行にできた1〜50cm程度の亀裂、10〜10
0cm程度の構造物の厚さ、多層構造を有する構造物あ
るいは他の部材が埋設された構造物における界面の接着
が不完全である部分、1cm程度の構造物の表層の厚さ
などを計測できる。また、図1に示した非破壊検査装置
は、数m以上のコンクリート劣化、亀裂などの有無とそ
の形状を迅速かつ精密に計測できる移動型検査システム
にも応用できる。これは現在各方面で問題となっている
大型構造物の安全性の飛躍的向上に貢献すると同時に、
新しい検査産業の創出にもつながると考えられる。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、検査
に用いるパルス光のパルス幅を10〜100μsとする
と共に、緩和振動をピークパワーの50%以下に抑制す
る。これにより大型構造物での減衰が小さい10〜10
0kHz程度の振動を効率的に励起できるので、大型構
造物の健全性を高感度で計測できる。また、本発明で
は、検査に用いるパルス光のピークパワーを10kW以
上とする。これにより、大型構造物の健全性を遠隔計測
できる。また、本発明では、光源をランプ励起のノーマ
ル発振固体レーザー発振器で構成する。また、ランプ励
起用の電源部に予備放電回路を設けて、励起ランプを常
時放電状態にしておく。これにより、パルス電流が励起
ランプで放電されるときの放電インピーダンスの変化を
小さくできるので、パルス放電の繰り返しが容易に高速
化できると共に、発光効率が高まる、励起ランプの寿命
が延びるといった効果を得られる。
【0068】また、本発明では、光源の高速放電回路の
ケース、光源の電源部の筐体を、非磁性体で形成する。
また、光源の電源部および冷却部の筐体を、防振構造と
する。これにより、高速放電に伴う電磁力による振動は
抑制される。したがって、振動検出手段で検出された振
動波形にのるノイズが小さくなるので、検査精度が高く
なる。また、本発明では、パルス光の広がり角を10m
rad以下に制限する。これによりパルス光の指向性が
高くなるので、所望の領域のみの検査データを取得でき
る。また、本発明では、パルス光の照射位置を走査する
ことにより、大面積の検査を容易に行える。ここで、走
査手段として音響光学的変調器を用いることにより、高
速走査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による構造物の非破壊検査装置の一実
施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 超音波の発生原理の説明図である。
【図3】 物体表層の温度分布を示すグラフである。
【図4】 レーザー光源の構成図である。
【図5】 レーザー光源の電源部の構成を示す回路図で
ある。
【図6】 フラッシュランプに供給される電流(シマー
電流を除く)を示すグラフである。
【図7】 Qスイッチ方式の固体レーザー発振器でQス
イッチを使用せずにノーマル発振させて得られたレーザ
ー光の波形を示す図である。
【図8】 図4および図5に示した構成を有するレーザ
ー光源11で得られたレーザー光の波形を示すグラフで
ある。
【図9】 レーザー光源の電源部および冷却部の外部筐
体の側面図である。
【図10】 パルス幅8nsのレーザー光を照射したと
きのレンガブロックの振動波形を示すグラフである。
【図11】 パルス幅50μsのレーザー光を照射した
ときのレンガブロックの振動波形を示すグラフである。
【図12】 レーザー光のピークパワーとレンガブロッ
クの振動速度の振幅との関係を示すグラフである。
【図13】 実験2の試料の構造を説明するための断面
図である。
【図14】 パルス幅50μsのレーザー光を照射した
ときの健全部の振動波形を示すグラフである。
【図15】 パルス幅50μsのレーザー光を照射した
ときの剥離部の振動波形を示すグラフである。
【図16】 パルス幅50μsのレーザー光を照射した
ときの各試料の剥離部の振動波形に基づくパワースペク
トルを示すグラフである。
【図17】 各試料の人工剥離の面積率と、その人工剥
離に基づく共振周波数との関係を示すグラフである。
【図18】 パルス幅50μsのレーザー光を照射した
ときの試料(イ),(ロ)の振動波形を示すグラフであ
る。
【図19】 従来から行われているレーザー超音波法に
より物体内部の欠陥を検出するための検査装置の一構成
例を示すブロック図である。
【図20】 従来から行われているレーザー超音波法で
用いられているレーザー光の波形を示す図である。
【符号の説明】
1…トンネル、2…トンネルの表面、3…亀裂、4…板
状部分、4a…超音波、10…構造物の非破壊検査装
置、11…レーザー光源、11a,12a…レーザー
光、12…音響光学的変調器、13…振動検出器、13
a,14a…データ、14…計算機、14s,14t…
制御信号、15…表示装置、20…レーザーヘッド部、
21…レーザーロッド、22…フラッシュランプ、23
…集光器、24a…全反射鏡、24b…出力鏡、25…
エキスパンダー、25a…凸レンズ、25b…凹レン
ズ、26…ポラライザー、30…電源部、30a,52
a…筐体、31…シマー電源、32…抵抗、33…ダイ
オード、34…トリガーパルス発生器、35…トラン
ス、36…電極、37…充電用主電源、38a,38
b,41…インダクター、39a,39b…放電用コン
デンサー、39c…ケース、40a,40b…スイッチ
ング素子、51…レーザー発振制御部、51a,51b
…発光指令信号、52…冷却部、54…防振ゴム、55
…床、61…コンクリート板、62…磁気タイル、63
…樹脂配合セメント、64…ナイロンシート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G024 AD34 BA11 CA13 DA22 FA06 2G047 AA10 BA04 BC04 BC07 CA04 GD01 GD02 GG12

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス幅が10マイクロ秒以上100マ
    イクロ秒以下であり、ピークパワーが10kW以上であ
    りかつ緩和振動が抑制されたパルス光を生成して、この
    パルス光を構造物の表面上に照射する第1の工程と、 前記パルス光が照射された領域の前記構造物の表面およ
    び表面下の光エネルギー吸収によって発生した振動を検
    出する第2の工程と、 検出された前記振動の波形を基に前記構造物の内部構造
    に関する情報を生成する第3の工程とを備えることを特
    徴とする構造物の非破壊検査方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の構造物の非破壊検査方法
    において、 前記第1の工程において、前記パルス光の緩和振動を前
    記ピークパワーの50%以下に抑制することを特徴とす
    る構造物の非破壊検査方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の構造物の非破壊
    検査方法において、 前記第1の工程において、前記構造物の表面に非接触で
    前記パルス光を照射し、 前記第2の工程において、前記構造物の表面に非接触で
    前記振動を検出することを特徴とする構造物の非破壊検
    査方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれか1項記載の構造物
    の非破壊検査方法において、 前記第3の工程において、検出された振動波形をフーリ
    エ変換して前記振動の共振周波数を求め、前記構造物の
    内部にできた間隙の面積および前記構造物の厚みの少な
    くとも一方を前記振動の共振周波数から推定することを
    特徴とする構造物の非破壊検査方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれか1項記載の構造物
    の非破壊検査方法において、 前記第1の工程において、前記パルス光の照射位置を走
    査することを特徴とする構造物の非破壊検査方法。
  6. 【請求項6】 パルス光を構造物の表面上に照射する光
    源と、 前記パルス光が照射された領域の前記構造物の表面およ
    び表面下の光エネルギー吸収によって発生した振動を検
    出する振動検出手段と、 この振動検出手段の出力側に接続されかつ前記振動検出
    手段で検出された前記振動の波形を基に前記構造物の内
    部構造に関する情報を生成する演算処理手段とを備え、 前記光源は、前記パルス光の緩和振動を抑制する緩和振
    動抑制手段を有し、 前記パルス光のパルス幅は、10マイクロ秒以上100
    マイクロ秒以下であり、 前記パルス光のピークパワーは、10kW以上であるこ
    とを特徴とする構造物の非破壊検査装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の構造物の非破壊検査装置
    において、 前記光源の緩和振動抑制手段は、前記パルス光の緩和振
    動を前記パルス光のピークパワーの50%以下に抑制す
    る手段であることを特徴とする構造物の非破壊検査方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の構造物の非破壊
    検査装置において、 前記光源は、前記構造物の表面に非接触で前記パルス光
    を照射する手段であり、 前記振動検出手段は、前記構造物の表面に非接触で前記
    振動を検出する手段であることを特徴とする構造物の非
    破壊検査装置。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8いずれか1項記載の構造物
    の非破壊検査装置において、 前記光源は、励起ランプからの光によりレーザー媒質を
    励起してレーザー出力を得るノーマル発振固体レーザー
    のレーザー発振器を有することを特徴とする構造物の非
    破壊検査装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の構造物の非破壊検査装
    置において、 前記光源は、前記励起ランプに常時所定の直流電流を供
    給する予備放電回路と、前記励起ランプにパルス電流を
    供給する高速放電回路とを具備する電源部を有すること
    を特徴とする構造物の非破壊検査装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の構造物の非破壊検査
    装置において、 前記光源が有する前記緩和振動抑制手段は、前記高速放
    電回路からのパルス電流の立ち上がりを緩やかにする手
    段であることを特徴とする構造物の非破壊検査装置。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の構造物の非破壊検査
    装置において、 前記光源の高速放電回路のケースおよび電源部の筐体の
    少なくとも一方は、非磁性体で形成されていることを特
    徴とする構造物の非破壊検査装置。
  13. 【請求項13】 請求項10記載の構造物の非破壊検査
    装置において、 前記光源は、前記レーザー媒質および前記励起ランプを
    冷却する冷却部を更に有し、 前記光源の電源部および冷却部の筐体は、防振構造を有
    していることを特徴とする構造物の非破壊検査装置。
  14. 【請求項14】 請求項6〜9いずれか1項記載の構造
    物の非破壊検査装置において、 前記光源は、前記パルス光の広がり角を10mrad以
    下に制限する広がり角制御手段を有することを特徴とす
    る構造物の非破壊検査装置。
  15. 【請求項15】 請求項6〜9いずれか1項記載の構造
    物の非破壊検査装置において、 前記光源の出力側に配置されかつ前記パルス光の照射位
    置を走査する走査手段を備えることを特徴とする構造物
    の非破壊検査装置。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の構造物の非破壊検査
    装置において、 前記パルス光は、直線偏光であり、 前記走査手段は、音響光学的変調器であることを特徴と
    する構造物の非破壊検査装置。
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