JP2001314897A - 家畜糞尿の熟成濃縮処理法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】曝気装置や濃縮装置を用いることなく家畜糞尿
から有用な肥料を得る方法を提供する。 【解決手段】家畜糞尿をスクリュープレスやベルトプレ
スで脱水し、脱水ケーキは固体発酵槽にて発酵させ固体
肥料にする。一方、脱水液は尿と混合し空中構造物と貯
蔵タンクの間を循環させ大気中にさらされた構造物と貯
蔵タンクの間で空気中の酸素を取り込むことにより構造
物の表面および貯蔵タンクの両方で嫌気発酵を抑制し悪
臭を抑えるとともに、水分を蒸発濃縮し、熟成して濃縮
液肥料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】家畜糞尿など液状有機物を熟
成処理し、濃縮する方法。

【０００２】

【従来の技術】家畜糞尿を地下ピットに入れ、空気曝気
により好気性発酵をさせるか、または、嫌気的に発酵さ
せ、メタンを回収したのち、最終的に空気曝気した後、
液肥を作ることが行われている。また、糞と尿を別々に
集め、糞はハウス乾燥舎に積み上げ、定期的に切り返し
て発酵させ堆肥化する方法がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
は糞と尿を別々に処理すると、尿の方は、牧草地や田畑
がある場合は、タンクローリーに入れて牧草地や田畑に
散布するが、尿を未熟のまま田畑に散布すると悪臭がす
るばかりでなく、作物の品質を低下する。また、窒素分
が少ないために液肥となり得ず、また、色が付いてるた
めに、川に流すこともできない。また、これらの液肥量
は量を減らすことを目的としていないために原液の量と
ほとんど変わらず非常に多く、散布の手間が大変であ
る。発酵後、水分蒸発器に入れて濃縮することも行われ
たが、これには別置きの濃縮器が必要であり、その濃縮
器は電気などのエネルギーを使用するためにランニング
コストがかかる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、回収した糞を
スクリュープレスやベルトプレスにて脱水し、脱水ケー
キは固体発酵槽にて発酵させ固体肥料にする。一方、脱
水液は尿と混合して、有機性窒素を適度に含む液とし
て、貯蔵タンクと空中構造物間をポンプで液を循環する
方法で熟成と濃縮を同時に行わせる。液が空中構造物を
落下する間に空気中の酸素を取り込み、構造物の表面お
よび貯蔵タンクの両方で嫌気発酵を抑え臭いを低減す
る。また、大気にさらされた構造物を流れる間に、大気
と接触し水分の蒸発も行われるので、濃縮も行われる。
これにより家畜糞尿の熟成と濃縮の同時処理が行われ、
最終産物として、濃縮液肥が得られる。

【０００５】

【発明の実施の形態】図１に基づいて本発明を説明す
る。糞と尿が別々に回収される場合は、畜舎１より回収
された糞はスクリュープレス脱水機やベルトプレス脱水
機２にて、水分約８５％のものを水分約７０％に脱水す
ると、脱水ケーキの量は２分の１に少なくなり、減容化
が図られるとともに水分量として固体発酵に適したもの
になる。また、脱水することにより発酵日数を低減する
ことが出来る。一方、畜舎１で尿ピット３に回収された
尿は尿送液ポンプ４にて貯蔵タンク９に貯められる。こ
こで、脱水機２で得られた糞の脱水液を混合する。尿の
みでは無機窒素分が多く、栄養分をあまり含まないの
で、有機性窒素を多量に含む糞の脱水液を混合すること
により、肥料に適したものにすることが出来る。貯蔵タ
ンク９で調整された混合液は循環ポンプ１０にて貯蔵タ
ンク９と空中構造物７を循環する。空中構造物７を落下
する間に、空気中の酸素を取り込み空中構造物表面およ
び貯蔵タンク９で熟成が行われると同時に、空中構造物
７の表面で水分の蒸発も行われる。約２週間で熟成と濃
縮が完了する。液の水分が９０％以下になると、液の粘
度が増し、ポンプで送ることおよび、構造物を落下する
のが困難になるので、尿ピットからの流量を増やし水分
が９０％になるように調節する。発酵の進行速度と水分
の蒸発速度が合わない場合、すなわち、熟成が完了する
までの時間と、濃縮が終了するまでの時間が一致しない
場合は、尿ピットからの流量を増やす。蒸発速度が遅い
場合は尿ピットからの流量を減らす。約２週間で、水分
が９９％から９０％に濃縮出来れば良いので、蒸発能力
は特別な蒸発装置を設けなくても十分である。これによ
り濃縮液肥が得られ、液量は原液の１０分の１になり、
ハンドリングが非常に楽になる。家畜糞尿の処理で最も
問題になるのが悪臭であるが、この方法では常に空気に
さらすので、嫌気発酵を抑えるため悪臭の発生量として
は非常に少ない。また、温暖時には好気発酵も期待でき
る。

【０００６】フリストール牛舎のごとく糞と尿がいっし
ょに回収される場合は、糞尿の水分は約９３％であるか
ら、これをスクリュープレスまたはベルトプレスにて脱
水して水分７５％にする。脱水ケーキは固体発酵器に入
れて固体肥料にし、脱水液は循環タンクに入れ、空中構
造物と循環タンクの間を循環させ熟成・濃縮して濃縮液
肥にする

【０００７】

【発明の効果】空中構造物を液が落下する間に酸素を取
り込めるので、空中構造物および貯蔵タンク内で嫌気性
菌の発生が抑制され臭いの発生が抑えられる。また、発
酵期間中に空中構造物にて水分蒸発による濃縮も行われ
るため、濃縮器を別に設ける必要がない。また、空気を
吹き込む必要がなく、曝気装置が不要である。最終産物
が濃縮状態で取り出せるため、減容化でき、ハンドリン
グの労力が大幅に低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】牛糞尿処理フローシート

【符号の説明】

１は畜舎 ２は脱水機 ３は尿ピット ４は尿送液ポンプ ５は脱水液受けタンク ６は脱水液送液ポンプ ７は空中構造物 ８は固体発酵槽 ９は貯蔵タンク １０は循環ポンプ００／０５／１１

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】大気中にさらされた構造物と貯蔵タンクの
   間に家畜糞尿を循環させ、空気を取り込むことにより嫌
   気発酵を抑制し悪臭を抑えると共に、量を少なくするこ
   とを特徴とする家畜糞尿処理法。