JP2001312488A - 攪拌槽内の流動状態の予測方法及びその流動状態の表示方法 - Google Patents

攪拌槽内の流動状態の予測方法及びその流動状態の表示方法

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JP2001312488A
JP2001312488A JP2000129371A JP2000129371A JP2001312488A JP 2001312488 A JP2001312488 A JP 2001312488A JP 2000129371 A JP2000129371 A JP 2000129371A JP 2000129371 A JP2000129371 A JP 2000129371A JP 2001312488 A JP2001312488 A JP 2001312488A
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stirring tank
flow
stirring
pressure
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JP2000129371A
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Kazutaka Takada
一貴 高田
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Shinko Pantec Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特別の実験をすることなく攪拌槽内の流動状
態を精度よく予測する方法およびその流動状態を精度よ
く表示する方法を提供すること 【解決手段】 解析対象の攪拌槽1内の空間を適正数の
メッシュに分割し、連続の式、流れ場の運動量とエネル
ギーおよび物質輸送を支配する方程式を差分法に基づく
離散化方程式群に変換し、この離散化方程式群を所定の
初期条件と境界条件の下で流れ場が定常状態になるまで
繰り返し計算を行って、攪拌槽内の流速、圧力、温度お
よび濃度の分布を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は攪拌槽内の流動状態
の予測方法及びその流動状態の表示方法に関し、さらに
詳しくは、攪拌槽内の循環流の流速分布、圧力分布、温
度分布および濃度分布を精度よく予測および表示し、乱
流域から層流域に至る攪拌操作条件下における液の混
合、溶解、晶析、反応、スラリー懸濁などの攪拌処理を
効率よく行うことができる攪拌プロセスを実現するため
に利用することにある。
【0002】
【従来の技術、背景および発明が解決しようとする課
題】攪拌槽は、化学工業における様々な反応機、混合機
などとして広く使用されており、そこには槽内流体など
を効率よく均一に攪拌させる機能が求められている。こ
れまで広い産業分野の様々な用途に対して様々な攪拌翼
が適用されてきた。化学工業を例にとれば、攪拌レイノ
ルズ数(Re)が大きい乱流攪拌域(Re>500)に
おいては3枚攪拌翼、後退パドル翼などを邪魔板と組み
合わせた適用、攪拌レイノルズ数が遷移域(50<Re
<500)にあるような場合には格子翼や多段攪拌翼の
使用、攪拌レイノルズ数が50以下となるような層流域
ではリボン翼に代表されるようなクローズクリアランス
型の攪拌翼が使用されている。
【0003】近年、化学製品の短サイクル化が進む中、
化学プロセスには歩留まり向上、反応時間短縮などのよ
うに反応プロセスからの性能改善要求と、攪拌槽ハード
(攪拌翼)の改善要求の相乗効果によって化学プロセス
の全体効率を向上させる試みがなされるようになってき
た。重合反応を例にとれば、重合初期には液粘度は低い
ため乱流攪拌翼で十分な攪拌性能を達成するが、重合終
了時には液粘度が上昇している場合が多く、このような
場合には乱流攪拌翼ではもはや十分に攪拌目的を達成す
ることができない。不適切な攪拌翼を選定した場合には
攪拌翼周辺や軸周辺の停滞域にポリマーブロックなどが
形成されることもあり、選定を間違えると化学プラント
全体の効率を低下させることがある。
【0004】対象とする攪拌プロセスに最も適した翼を
選定するには、攪拌槽内の流動状態を知ることができれ
ば好都合である。そのため、例えば、次に説明するよう
な流動実験が提案されている。すなわち、槽内の状況を
外側から目視可能なように実験攪拌槽を透視可能な材料
で製作し、この実験攪拌槽に攪拌実験用液体を満たし、
実験用液体の流動状況を外部から確認できるように色違
い液体を攪拌槽内に注入し、この色違い液体の攪拌槽内
の形態を観察することによって流動状況を把握し、この
外部観察による流動状況把握結果に基づいて当該攪拌プ
ロセスに適した攪拌翼を選定するという方法である。
【0005】しかし、攪拌プロセスごとに物理的な流動
実験を行うのは煩雑であり、適切な攪拌翼を選定するた
めに多くの実験を行わねばならないので、極めて効率が
悪い。
【0006】さらに、槽内の流動状態を精度よく予測表
示することができれば、攪拌プロセスの混合性能改善要
求に応える攪拌翼を提案することができるが、係る表示
技術は知られていない。
【0007】本発明は従来の技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、特別
の実験をすることなく攪拌槽内の流動状態を精度よく予
測する方法およびその流動状態を精度よく表示する方法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は数値流体力学を採用し、流れ場の運動量とエ
ネルギーおよび物質輸送を支配する方程式を差分法に基
づく離散化方程式群に変換し、この離散化方程式群を所
定の初期条件と境界条件の下で流れ場が定常状態になる
まで繰り返し計算を行って、モデル攪拌槽内の流速、圧
力、温度および濃度の分布を求める。
【0009】また、本発明は、入力装置と、計算装置
と、記憶装置と、表示装置を備え、入力装置と計算装置
を用いて流れ場が定常状態になるまで繰り返し計算を行
って、モデル攪拌槽内の流速、圧力、温度および濃度の
分布を求め、この濃度の指数表示化を行い、次いで、指
数表示に適切な処理を施して表示データを得、この表示
データを表示装置に表示する。
【0010】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、攪拌槽内の
流動状態を数値解析により予測する方法であって、解析
対象の攪拌槽内の空間を適正数のメッシュに分割し、流
れ場の運動量とエネルギーおよび物質輸送を支配する方
程式を差分法に基づく離散化方程式群に変換し、この離
散化方程式群を所定の初期条件と境界条件の下で流れ場
が定常状態になるまで繰り返し計算を行って、攪拌槽内
の流速、圧力、温度および濃度の分布を求めることによ
り攪拌槽内の流動状態を数値解析により予測する方法を
第一の発明とする。
【0011】上記のように構成される第一の発明によれ
ば、攪拌槽のあらゆる運転操作条件において当該攪拌槽
内の流動状態を、数値流体力学の手法を用いて精度よく
予測することができる。
【0012】また、本発明は、攪拌槽内の流動状態を表
示する方法であって、入力装置と、計算装置と、記憶装
置と、表示装置を備え、流れ場の運動量とエネルギーお
よび物質輸送を支配する方程式を差分法に基づく離散化
方程式群に変換し、この離散化方程式群をプログラミン
グ化して計算装置内の計算プログラムに蓄え、攪拌槽内
の流動状態を数値解析により求めるために解析対象の攪
拌槽内を適正数のメッシュに分割したメッシュ構成と必
要な計算条件を入力装置を用いて計算装置に入力し、計
算装置内の上記計算プログラムに従って流れ場が定常状
態になるまで繰り返し計算を行って攪拌槽内の流速、圧
力、温度および濃度の分布を求め、この流速、圧力、温
度および濃度の分布とメッシュ構成を記憶装置に記憶さ
せ、次いで、記憶装置に記憶された流速、圧力、温度お
よび濃度とメッシュ構成を読み出し、流速、圧力、温度
および濃度の指数表示化をすべてのメッシュについて行
うことにより表示プログラムに従って必要な処理を施し
て表示データを得、この表示データを表示装置に表示す
ることにより攪拌槽内の流動状態を表示する方法を第二
の発明とする。
【0013】上記のように構成される第二の発明によれ
ば、攪拌槽のあらゆる運転操作条件において当該攪拌槽
内の流動状態を、数値流体力学の手法を用いて精度よく
予測し、その流動状態を表示装置に巧みに表示すること
ができる。
【0014】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、本発明
は下記の実施例に限定されるものではない。 (1)数値解析の条件 図1に示すような形状の攪拌翼を有する攪拌槽1を解析
対象モデルとした。 (1) 上段翼2と下段翼3の表面の速度はゼロ、およびす
べりなしとした。 (2) 攪拌槽の側壁4と底壁(楕円面)5の表面はすべり
なしとし、円周方向流速のみを与えた。 (3) 槽内径は0.4m、槽高は0.8m、槽内液深は
0.5mである。 (4) 下段翼3の翼径は0.24m、翼高は0.38mで
ある。 (5) 攪拌槽底面と下段翼3下端との距離は0.02m、
液面から上段翼2上端までの距離は0.1mである。 (6) 上段翼2と下段翼3の回転速度は72回/分であ
る。 (7) 槽内の液(水飴水溶液)の密度は1350kg/m3
である。 (8) 槽内の液の粘度は1、10、50、200Pa・s
である。 (9) 計算領域を半径、円周および軸方向に対してそれぞ
れ60000メッシュとした。 (10)計算終了の条件は圧力の変化率が10-6になった時
点とした。なお、圧力の変化率とは、n回目の圧力の計
算値と(n−1)回目の圧力の計算値との差を(n−
1)回目の圧力の計算値で除した値である。すなわち、
Pを圧力とした場合、次の式1で表される。
【0015】
【式1】
【0016】(11)本計算は、攪拌レイノルズ数が0.4
7〜187である、層流から遷移域付近までであり、こ
の領域の攪拌では邪魔板の有無で流動状態に大きな差が
ないため、邪魔板なしで解析を行った。
【0017】以上の条件を入力装置(図示せず)を用い
て計算装置(図示せず)に入力した。 (2)流れ場の運動量、エネルギーおよび物質輸送を支
配する方程式の選定これら諸量を支配する方程式は、時
間依存型の連続の式、3方向の運動量輸送方程式、エネ
ルギーの輸送方程式、物質の輸送方程式である。これら
輸送機構を詳細に求めるためには直接数値計算法が欠か
せないが、直接数値計算法では多大のメモリと計算時間
を必要とするため、本発明ではこれら諸量の輸送方程式
に時間平均操作を施すことにより計算に要するメモリと
時間を削減する。その結果、選定する方程式は、以下に
列記するように、時間平均連続の式()、時間平均運
動量の輸送方程式()、時間平均エネルギーの輸送方
程式()、時間平均物質の輸送方程式()、乱流エ
ネルギーの輸送方程式()および粘性消散率の輸送方
程式()である。
【0018】 連続の式 ∂Ui/∂xi =0 運動量の輸送方程式 ∂ρUi/∂t+∂UjρUi/∂xi =−∂p/∂xi +∂μ・〔∂Ui/∂xj−ρuij〕/∂xj −ρgi β(T−T0) エネルギーの輸送方程式 ∂ρCpT/∂t+∂UjρCpT/∂xj= ∂(K∂T/∂xj−uiθ)/∂xj 物質の輸送方程式 ∂C/∂t+∂UjC/∂xj= ∂(D∂C/∂xj−uic)/∂xj 乱流エネルギーの輸送方程式 ∂ρk/∂t+∂uiρk/∂xi= ∂(μt /σk ・∂k/∂xi)/∂xi+GS +GT+ρε 粘性消散率の輸送方程式 ∂ρε/∂t+∂uiρε/∂xi = ∂(μt/σE・∂ε/∂xi)/∂xi +C1ε/k・(GS+GT)(1+C3f)−C2ρε2/k ここで、レイノルズ応力項は、 uij=2/3・kδij−μt(∂Ui/∂xi+∂Uj/∂xj) μt=Ctρk2/ε で仮定され、流速とスカラー量(圧力、温度、濃度)の
変動相関項は次式による勾配拡散モデルにより仮定され
る。
【0019】 uiθ=−Kt/ρCp・∂T/∂xj、Kt=μtp/Prtic=−Dmt∂C/∂xj、Dmt=μt/ρSct なお、の式中の略号は次式で表される。
【0020】 Gs=μt(∂ui/∂xj+∂uj/∂xi)∂ui/∂xjT=giβ(μt/σt)∂T/∂xif=−GT/(GS+GT) また、式中のパラメータには次の値を用いた。
【0021】 σk=0.719、σE=0.719、C1=C1(η)、 C2=1.68、C3=0.0、Ct=0.085 ここで、 C1(η)=1.42−η(1−η/4.38)/(1
+0.012η3) η=k/ε・S S=(1/2・(∂ui/∂xj+∂uj/∂xi)・(∂
i/∂xj+∂uj/∂xi))0.5 であり、使用記号の意味は次のとおりである。なお、下
付き記号i、jは、アインシュタインの総和規約に基づ
く。
【0022】Cp=定圧比熱、c=物質の変動項、D=
液体の拡散係数、Dmt=液体の乱流拡散係数、g=重力
の加速度、K=液体の熱拡散率、Kt=液体の乱流熱拡
散率、k=乱流エネルギー、M=時間平均物質濃度、P
=時間平均圧力、Prt=乱流プラントル数、p=圧力の
変動項、Sct=乱流シュミット数、T=時間平均温度、
t=時間、U=時間平均流速、u=流速の変動項、β=
液体の体膨張係数、δ=クロネッカーのデルタ、ε=粘
性消散率、θ=温度の変動項、μ=液体の粘性係数、μ
t=液体の乱流粘性係数、ρ=液体の密度 (3)離散化方程式群への変換および計算 計算を行うために、上記方程式群をテーラー展開して離
散化操作を施し、差分方程式群、すなわち連立一次方程
式群に変換する。この連立一次方程式群を形成する係数
はメッシュ条件ごとに計算機を用いて計算する。変換し
たこれら方程式は、所定の初期条件および境界条件の下
で時間積分を施し、変数である圧力、流速、温度、物
質、乱流エネルギーおよび粘性消散率に関する連立一次
方程式群を解くことにより、これら諸量が決定される。
この時間積分は、これら諸量が十分一定値になるまで繰
り返して行う。このようにして決まる諸量のうち圧力の
変化率が十分小さくなったときに計算を終了する。計算
装置から出力された全メッシュ内の最終的な圧力、流
速、温度、濃度、乱流エネルギーおよび粘性消散率は記
憶装置(図示せず)に記憶させる。 (4)解析結果 a.座標系 半径方向r:図1の回転軸6の中心をr=0とする。
【0023】周方向 θ:図1の下段翼3の平坦部(後
退翼でない部分)をθ=0とする、図2参照 軸方向 Z:攪拌槽最底部を0とする。 b.r−z面における流速ベクトル 上記数値流体力学により解析した結果を、r−z面にお
ける流速ベクトルとして図3に示す。図3に基づいて槽
内の流動機構を概説する。 (1) θ=0.32rad(図3(a)) 下段翼3の領域より吐出された流体の一部は上段翼2の
領域に達し、再び下段翼3の領域に吸い込まれるが、残
りの流体は壁面付近を上昇して液面にまで達して上段翼
2の領域に吸い込まれる。これより、この断面では下段
翼3付近を循環する循環流と下段翼3から液面にまで及
ぶような槽内全体を循環する循環流が形成されている。 (2) θ=1.0rad(図3(b)) 上段翼2の領域から吸い込まれた流体は下段翼3の領域
にまで達しており、上段翼2の領域と下段翼3の領域と
の間で物質移動の促進が期待される。この流れは上段翼
2の前方に発生する圧力と下段翼3の後方に発生する圧
力の勾配に基づくものである。この現象を槽内の圧力分
布を用いて考察する。図4は図2の(b)断面における
r=0.1mにおける圧力(各点の圧力と大気圧との
差)を軸方向距離(Z=0〜0.5m)に対してプロッ
トしたものである。図4の横軸は、圧力(Pa)を示
す。図4に示すように、上段翼の領域では翼の前面に位
置するため圧力は大きくなるが、下段翼の領域は翼の後
面になるため圧力は小さくなることが確認された。この
ことは翼を交差配置させることによって上下翼間の流体
輸送を促進する圧力勾配が形成されることを示してい
る。図3(b)に示す流れはこの圧力勾配に起因するも
のである。 (3) θ=1.87rad(図3(c)) 上段翼2の領域では、流体は翼の回転により半径方向へ
吐出され再び上段翼2の領域へ吸い込まれるが、その一
方で上段翼2から下段翼3にまで達する軸方向流れも形
成されている。これより、この断面では上段翼2上部を
中心とする小循環流と、上段翼2の領域から下段翼3の
領域にまで及ぶ循環流が形成されている。 (4) θ=2.74rad(図3(d)) 下段翼3の領域から吐出された流体の大半は上段翼2の
中間付近に流入し、一部は槽壁に沿って上昇し液面にま
で達する。 (5)計算結果と実測値の比較 数値流体力学により得られた計算結果は信頼性の高いも
のであるが、計算結果が真に正しい結果を与えているか
どうかを検証することは重要である。そこで、現在のと
ころ、レーザードップラー流速計による計測値は最も信
頼性が高いものとされているので、半径方向流速の計算
値とレーザードップラー流速計による実測値を比較し
た。実測に用いた攪拌槽および翼の寸法は数値解析と同
じものであり、攪拌槽は透明攪拌槽を用いた。 (1) 図5は、z=0.35m、r=0.13mにおける
半径方向流速値を円周方向にプロットしたものである
(攪拌レイノルズ数が10の場合)。図5において、実
線が計算値であり、○印が実測値であり、計算値と実測
値は極めてよく一致していることが分かる。 (2) 図6は、r=0.13mにおける半径方向流速値を
軸方向距離(Z=0〜0.5m)に対してプロットした
ものである。図6において、実線が計算値であり、○印
が実測値であり、計算値と実測値は極めてよく一致して
いることが分かる。(6)混合特性 計算により求めた槽内流動場を用いて濃度方程式を独立
に数値計算することによる攪拌槽内の混合過程と、着色
実験結果を比較して示す。図7(a)〜(h)は、実験
液体(水飴水溶液)にヨウ素を投入した着色実験結果を
示す写真であり、図8(a)〜(h)は図7(a)〜
(h)の各実測時点に対応するトレーサー投入後の濃度
分布の計算結果を示すディスプレイ(表示装置)の写真
である。図7(a)〜(h)において、2sec〜16sec
は攪拌開始からの時間経過を示し、攪拌槽内の黒い領域
がヨウ素で着色された領域を示す。図8(a)〜(h)
において、攪拌槽内の灰色および黒色の領域がトレーサ
ーが存在する領域を示す。図7および図8より、投入さ
れたトレーサーの拡散・移流過程の計算結果と実測値は
ほぼ一致することが分かる。このことは、流速面のみな
らず、混合過程の面からも数値計算法の正当性が確認さ
れたことを示す。図8(a)〜(h)より、液面から投
入されたトレーサーは上段翼域で小循環流を形成しなが
ら下段翼域に達する。下段翼域に吸い込まれたトレーサ
ーは下段翼先端部より吐出されるが、その一部は再び下
段翼域に吸い込まれ、上段翼域から下段翼域へ流れ込む
流体と合流する。そして、残りは槽内壁面に沿って液面
付近にまで達し、上段翼域より吐出された流体と合流し
て再び上段翼域より吸い込まれる状況が視認できる。な
お、図8(a)〜(h)において、黒色〜灰色の濃淡は
濃度の高低を示しており、黒い部分は濃度が高く、灰色
の部分は濃度が低いことを示しており、当該メッシュの
濃度を指数表示化し、表示プログラムに従って一定範囲
の指数値ごとにグループ化し、濃度が高くなるに従って
色を濃く(黒く)表示するようにしたものである。図9
は図8の表示が明瞭になるように表示模様を変えたもの
である。図9において、実線で囲まれた白い領域は最も
濃度が低い領域を示し、斜線の領域、斜線をクロスさせ
た領域、一松模様の領域にかけて順に濃度が高くなり、
黒い領域が最も濃度が高い。図8または図9のように、
濃度分布を模様で識別する方法によれば、刻々と変化す
る槽内の流動状況の変化が一目瞭然となり、攪拌混合状
況がよく分かるので、その攪拌プロセスに適応した攪拌
翼の選定が容易になる。
【0024】図10は、本発明の方法を適用しうる攪拌
槽の一例を示す一部切り欠き斜視図である。図10にお
いて、攪拌槽11は、外周に熱交換用のジャケット12
が装着されており、内周面よりには2枚の邪魔板13が
槽上部から垂設されている。14は回転軸であって、攪
拌槽11の上方に設置された駆動装置により、矢印Aで
示す方向に回転駆動される。15は下段翼であって、2
枚の垂直に保持された羽根板15a、15bからなり、
これら羽根板15a、15bは軸対称であって、羽根板
の高さh1 は翼径d1 の1/2以上の大きさであり、ま
た翼径d1 は攪拌槽内径Dの1/2以上である。この下
段翼15は下縁部を攪拌槽11の底面に沿う形状に形成
すると共に、両外側部を矢印Aに示す回転方向に対して
後退羽根に形成したパドル形翼で、回転軸14の下端部
に装着されて攪拌槽11の底面に近接して配されてい
る。
【0025】16は上段翼であって、2枚の垂直に保持
された羽根板16a、16bからなり、これら羽根板1
6a、16bは軸対称であって、羽根板の高さh2は翼
径d2の1/2以上の大きさである。この上段翼は、そ
の翼径d2が下段翼の翼径d1とほぼ同径であって、その
両外側下端部に下方に向けて突出する短冊形のフィン部
16cを設けたパドル形翼で、下段翼15の上方の回転
軸14に装着されている。また、上段翼16は、図10
(b)に示す交差角度α、すなわち、下段翼15に対し
て矢印Aで示す回転方向に先行する交差角度を45度に
設定するとともに、その両外側のフィン部16cの下端
縁を、下段翼15の両外側の上端縁より所定寸法だけ低
く位置させて、下段翼15と上下方向にオーバーラップ
させて配されている。また、上段翼16と下段翼15と
の翼間距離は攪拌槽内径Dの20%以下になるように回
転軸14に装着されている。
【0026】図10に示す攪拌槽によれば、上段翼と下
段翼をクロスに配置することにより生じる圧力勾配に起
因する槽内全体におよぶ1つの循環流が生じ、上段翼域
および下段翼域における局所的な混合作用とそれらをう
まく繋ぐ循環流の存在による槽内全体での均一混合を実
現することができるという効果がある。さらに、下段の
パドル翼の外端部を後退羽根に形成することは、攪拌槽
下部の吐出力を強化して槽内全体の流れをスムーズにつ
ながらせるのに効果的であり、上下で隣接するパドル翼
を外端部において互いに上下方向にオーバーラップさせ
ることで、上段翼と下段翼の流れのつながりを確実且つ
安定なものとして良好な均一混合を実現しうるので好ま
しい。本発明の方法を適用することにより、係る攪拌槽
の流動状態を的確に予測し、さらに、時々刻々と変化す
る流動状態を明瞭に表示することができる。図10に示
すような攪拌槽に本発明の方法を適用すれば、最良の攪
拌・混合プロセスを実現することが可能であり、攪拌槽
の機能を最大限に引き出しうるので好ましい。
【0027】図10に示す上段翼16および下段翼15
からなる翼以外に本発明を適用しうる翼としては、パド
ル翼、3枚後退翼、単独翼、多段構成翼、ブルマージン
翼、格子翼、スクリュー翼、リボン翼、ダブルモーショ
ン翼などがある。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、次の効果を奏する。
【0029】請求項1、2記載の発明によれば、特別の
実験をすることなく攪拌槽内の流動状態を精度よく予測
する方法およびその流動状態を精度よく表示する方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モデル攪拌槽の概略構成を示す図である。
【図2】攪拌実験における周方向の位置関係を示す図で
ある。
【図3】r−z面における流速ベクトルの一例を示す図
である。
【図4】軸方向の圧力分布の一例を示す図である。
【図5】半径方向流速値を円周方向にプロットした一例
を示す図である。
【図6】半径方向流速値を軸方向にプロットした一例を
示す図である。
【図7】攪拌実験の着色実験結果を示す写真である。
【図8】数値解析による攪拌実験の混合過程を表示する
一例の写真である。
【図9】数値解析による攪拌実験の混合過程を表示する
別の例を示す図である。
【図10】図10(a)は本発明の方法を適用しうる攪
拌槽の一部を切り欠いた斜視図であり、図10(b)は
そのB−B断面図である。
【符号の説明】
1…攪拌槽 11…攪拌槽 13…邪魔板 14…回転軸 15…下段翼 16…上段翼

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 攪拌槽内の流動状態を数値解析により予
    測する方法であって、解析対象の攪拌槽内の空間を適正
    数のメッシュに分割し、流れ場の運動量とエネルギーお
    よび物質輸送を支配する方程式を差分法に基づく離散化
    方程式群に変換し、この離散化方程式群を所定の初期条
    件と境界条件の下で流れ場が定常状態になるまで繰り返
    し計算を行って、攪拌槽内の流速、圧力、温度および濃
    度の分布を求めることにより攪拌槽内の流動状態を数値
    解析により予測する方法。
  2. 【請求項2】 攪拌槽内の流動状態を表示する方法であ
    って、入力装置と、計算装置と、記憶装置と、表示装置
    を備え、流れ場の運動量とエネルギーおよび物質輸送を
    支配する方程式を差分法に基づく離散化方程式群に変換
    し、この離散化方程式群をプログラミング化して計算装
    置内の計算プログラムに蓄え、攪拌槽内の流動状態を数
    値解析により求めるために解析対象の攪拌槽内を適正数
    のメッシュに分割したメッシュ構成と必要な計算条件を
    入力装置を用いて計算装置に入力し、計算装置内の上記
    計算プログラムに従って流れ場が定常状態になるまで繰
    り返し計算を行って攪拌槽内の流速、圧力、温度および
    濃度の分布を求め、この流速、圧力、温度および濃度の
    分布とメッシュ構成を記憶装置に記憶させ、次いで、記
    憶装置に記憶された流速、圧力、温度および濃度とメッ
    シュ構成を読み出し、流速、圧力、温度および濃度の指
    数表示化をすべてのメッシュについて行うことにより表
    示プログラムに従って必要な処理を施して表示データを
    得、この表示データを表示装置に表示することにより攪
    拌槽内の流動状態を表示する方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008238066A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Matsushita Electric Works Ltd 撹拌機の評価方法
JP2008238067A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Matsushita Electric Works Ltd 撹拌機の評価方法
JP2011092892A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Trinity Lab:Kk 攪拌翼の操作条件検出方法
JP2012251877A (ja) * 2011-06-03 2012-12-20 Ihi Corp 流れ場のせん断応力分布計測方法および装置

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