JP2001287491A - 筆穂及びこの筆穂を用いた塗布具 - Google Patents

筆穂及びこの筆穂を用いた塗布具

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JP2001287491A
JP2001287491A JP2000105959A JP2000105959A JP2001287491A JP 2001287491 A JP2001287491 A JP 2001287491A JP 2000105959 A JP2000105959 A JP 2000105959A JP 2000105959 A JP2000105959 A JP 2000105959A JP 2001287491 A JP2001287491 A JP 2001287491A
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synthetic resin
ear
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JP2000105959A
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Yukio Iwamoto
由紀夫 岩本
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同一の筆穂で細線から太い線まで描くことが
でき、また、塗料等の液体の保持性に優れた筆穂、及び
この筆穂を用いた塗布具を提供する。 【解決手段】 所定長さの合成樹脂製繊維の一端部を結
束一体化した繊維結束体からなり、穂先側に行くにした
がって徐々に細くなるテーパ形状に形成された筆穂1に
おいて、前記穂先の最先端部3が筆穂の軸線1aから外
れた位置に配されると共に、前記軸線1aを挟んで前記
最先端部の反対側に位置する端部4と前記最先端部3と
を結ぶ側部稜線5を有し、前記側部稜線5が筆穂の軸線
1aに対して、90度未満の所定の角度をもって斜めに
形成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絵画用の筆等の塗
布具に用いられている筆穂や、ペイント用刷子等の塗布
具に用いられている筆穂、あるいはまたマニキュア、マ
スカラ等の化粧品に使用される塗布具の筆穂に関し、よ
り詳細には、筆軸や柄に結束固着されることで一体化さ
れて使用される合成樹脂製繊維からなる筆穂、及びこの
筆穂を用いた塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、絵画用のペイント刷子等は、狸、
馬、その他の獣毛を素材として、主として手作りにより
製造されてきた。しかしながら、熟練労働者の減少、獣
毛の入手困難等の理由ため価格の高騰を招き、そのた
め、最近では合成樹脂製繊維からなる筆穂を用いた筆や
刷子が生産されている。この合成樹脂製繊維を用いた筆
穂40は、例えば図13に示したように、断面円形でほ
ぼ同じ長さの多数の合成樹脂製繊維からなる筆毛41を
収束し、その一端部を一つの円盤状の鍔42となるよう
に互いに溶着させ、他端側の先端方向(穂先方向)に行
くに従って全体として、筆穂の断面が細くなるようにテ
ーパ状に形成されている。また、この筆穂の穂先は点状
に形成されると共に、穂先の最先端部は軸線40a上に
位置するように形成されている。また、前記鍔42が各
種の筆用の柄の先端に固着され、塗布用の筆として用い
られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な合成樹脂繊維を筆毛として用いた筆穂では、筆穂全体
が断面円形に形成されているので、方向性やくせがなく
細い線を描く時には非常に便利である。しかしながら、
広範な部分の塗布には適していなかった。また広範な部
分の塗布と、細い線等の筆記を交互に行うときには、そ
れぞれ別々の筆穂を用意して行わなければならず、いわ
ゆるカリグラフィーペン的な描線を描くことは困難であ
った。また、合成樹脂製繊維の表面は滑らかで筆毛の間
に形成される空隙が少ないため、塗料等の液体を充分に
含ませることができず、液体の保持性が悪いという技術
的課題も有していた。
【0004】本発明は、上記技術的課題を解決するため
になされたものであり、同一の筆穂で細線から太い線ま
で描くことができ、また、塗料等の液体の保持性に優れ
た筆穂、及びこの筆穂を用いた塗布具を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明の筆穂は、所定長さの合成樹脂製繊維
の一端部を結束一体化した繊維結束体からなり、穂先側
に行くにしたがって徐々に細くなるテーパ形状に形成さ
れた筆穂において、前記穂先の最先端部が筆穂の軸線か
ら外れた位置に配されると共に、前記軸線を挟んで前記
最先端部の反対側に位置する端部と前記最先端部とを結
ぶ側部稜線を有し、前記側部稜線が筆穂の軸線に対し
て、90度未満の所定の角度をもって斜めに形成されて
いることを特徴としている。ここで、前記穂先の先端部
底面が、線状あるいは平面状に形成されていることが望
ましい。
【0006】本発明にかかる筆穂にあっては、穂先が筆
穂の軸線に対して、90度未満の所定の角度をもって斜
めに形成された側部稜線を有し、かつ前記穂先の最先端
部が筆穂の軸線から外れた位置に配されている。即ち、
前記穂先先端部の一側面は側部稜線によって、いわゆる
斜めに形成されている。また、前記穂先の最先端部側の
側面は、この最先端部によっていわゆる点状に形成され
ている。また、前記穂先の先端部底面は、線状あるいは
平面状に形成されているため、穂先の側面(最先端部の
反対側面)からは、線状あるいは平面状の前記穂先先端
部底面を臨むことができる。
【0007】このように筆穂の穂先が形成されているた
め、塗布具を穂先の側部稜線と直交する方向に移動させ
ることにより、側部稜線の幅を持った、いわゆる太い線
を描くことができる。また、塗布具を穂先の側部稜線と
平行な方向に移動させることにより、穂先の先端部底面
の幅(側部稜線間の幅)を持った線を描くことができ
る。さらには、穂先の最先端部のみを用いることによっ
て、いわゆる細い線を描くことができる。したがって、
この筆穂で細線から太い線まで描くことができ、それぞ
れ線の太さ毎に別々の筆穂を用意する必要がなく、使用
者にとって非常に便利である。
【0008】また、前記合成樹脂製繊維が異形断面形状
の繊維からなることが望ましく、また前記合成樹脂製繊
維が円形断面形状の繊維と異形断面形状の繊維とからな
ることが望ましい。さらには、前記合成樹脂製繊維が円
形断面形状の繊維と異形断面形状の繊維とからなり、異
形断面形状の繊維の混合比率が50%以上であることが
望ましい。このように、合成樹脂製繊維が異形断面形状
の繊維からなる場合には、合成樹脂製繊維の筆毛の間に
空隙が形成されるため、塗料等の液体を充分に含ませる
ことができ、液体の保持性が良い。特に、異形断面形状
の繊維の混合比率が50%以上の場合に、液体の保持性
が良い。
【0009】更に、前記した筆穂が用いられている塗布
具にあっては、この筆穂で細線から太い線まで描くこと
ができ、それぞれ線の太さ毎に別々の筆穂を用意する必
要がなく、使用者にとって非常に便利である。また、液
体の保持性が良く、良好な塗布性能を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明にかかる筆穂の実
施形態を図1乃至図12に基づいて説明する。なお、図
1は、本発明にかかる筆穂の実施形態を示す斜視図であ
り、図2は、図1の右側面図である。図1、図2に示す
ように、筆穂1は多数の筆毛(合成樹脂製繊維)2から
構成され、筆毛(合成樹脂製繊維)2の断面は、断面円
形に形成されている。この筆毛の材料として用いられる
合成樹脂製繊維としては、必ずしもこれに限定されるも
のではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、
ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6,ナイ
ロン610、ナイロン612等のポリアミド等の熱可塑
性ポリマーを溶融紡糸して得られた合成樹脂製繊維を挙
げることができる。
【0011】なお、使用される上記繊維の太さ等は、こ
れも必ずしも限定されるものではないが、一般に、直径
で0.05乃至0.3mm程度、長さが5乃至100m
m程度の短繊維が使用される。
【0012】また、前記筆毛(合成樹脂製繊維)2は、
筆穂1の軸線1aから外れた一端部(最先端部)3に配
置された筆毛の毛足が最も長く(合成樹脂製繊維が長
く)、径方向に行くにしたがって徐々に毛足が短くなる
ように配置されている。そして、最も毛足の長い(合成
樹脂製繊維が長い)筆毛2が配置された端部3の反対側
端部4には、最も毛足の短い(合成樹脂製繊維が短い)
筆毛2が配置されている。即ち、筆穂1の軸線1aに対
して、90度未満の所定の角度θをもって、斜めに形成
された側部稜線5が形成され、前記側部稜線5によっ
て、筆穂1の先端部は斜めに形成されている。前記軸線
1aに対する側部稜線5がなす角度θは、60度〜80
度が好ましい。鋭意検討した結果、紙面に対して、70
が最も書きやすく、人によるバラツキを想定した場合で
も、60〜80度の範囲が好ましいとの結論に達したも
のである。なお、前記穂先の先端部底面5aは、線状に
形成されている。
【0013】また、これらの筆毛(合成樹脂製繊維)2
の一端部は互いに溶着され、1つのリング状の鍔状溶着
端部6が形成されている。前記リング状の鍔状溶着端部
6から穂先先端部に行くに従って細くなるように、全体
形状がテーパ状に形成されている。なお、また、鍔状溶
着端部6の中央にはインキの流通性をよくするため孔7
が設けられている。特に、そのようなインキの流通性、
補給性を良くする必要のない場合には、孔7を設ける必
要はない。
【0014】このように、筆穂1が形成されているた
め、図1に示すように前記穂先の先端部の一側面は側部
稜線5によっていわゆる斜めに形成され、穂先の最先端
部3は、いわゆる点状に形成され、また、図2に示すよ
うに、穂先の側面(最先端部の反対側面)からは、線状
の穂先先端部底面5a(稜線5)を臨むことができる。
【0015】このように筆穂の穂先が形成されているた
め、塗布具を穂先の側部稜線5と直交する方向に移動さ
せることによって、側部稜線5の幅を持った、いわゆる
太い線を描くことができる。また、塗布具を穂先の側部
稜線5と平行な方向に移動させることにより、穂先の先
端部底面5(稜線5a)の幅を持った線を描くことがで
きる。なお、この実施形態にあっては、前記穂先の先端
部底面5aが、線状に形成されているため、前記描線は
細い線となる。さらには、筆穂1の最先端部3のみを用
いることによって、いわゆる細い線を描くことができ
る。更にまた、塗布具を穂先の側部稜線5となす方向を
変えながら移動させることによって、幅の変化した線を
描くことができる。このように、この筆穂で細線から太
い線まで描くことができ、それぞれ線の太さ毎に別々の
筆穂を用意する必要がなく、使用者にとって非常に便利
である。
【0016】なお、上記実施形態では、穂先の先端部が
線状に形成された場合を示したが、図3に示すように先
端部底面5aが平面状に形成されたものであっても良
い。この場合、塗布具を穂先の側部稜線5と平行に移動
すると、前記底面5aの幅Wをもった線を描くことがで
きる。
【0017】次に、本発明にかかる筆穂を製造する方法
について、図4乃至図9に基づいて説明する。なお、本
発明の筆穂を製造するには、必ずしもこの方法、順序に
限定されるものではない。なお、図4は、繊維結束体を
示す一側面図であり、図5は、図4に示した繊維結束体
の右側面図であり、図6乃至図8は、筆穂の製造装置を
示す図であって、図6は装置の概略図、図7は図6に示
した装置の要部拡大図、図8は図6に示した装置に用い
られる回転式研磨摺擦体の概略図である。また、図1、
2に示した部材と同一部材または相当する部材は同一符
号を符し、その詳細な説明は省略する。
【0018】まず、図4及び図5に示すような一端部が
溶着された繊維結束体8を製作する。この繊維結束体8
を作製するためには所定の長さを有する合成樹脂製繊維
2を所定本数束ね、一端部を溶着し、鍔状溶着端部6を
形成する。その後、筆穂1の軸線1aから外れた一端部
3の毛足が最も長く(合成樹脂製繊維が長く)、前記端
部3の反対側端部4の毛足が、最も短く(合成樹脂製繊
維が短く)なるように、穂先の先端部分を筆穂1の軸線
1aに対して90度未満の所定の角度θをもって斜めに
切断し、図4及び図5に示した繊維結束体8を製作す
る。
【0019】次に、このようにして製作された繊維結束
体8を柄に取り付け、繊維結束体8の合成樹脂製繊維
(筆毛)のテーパ化処理を行う。このテーパ化処理は、
合成樹脂製繊維に対して溶解性、あるいは膨潤性の処理
液を用いて、合成樹脂製繊維を膨潤させながら研磨摺擦
しながら行われる。用いられる処理液は、合成樹脂製繊
維の種類毎に異なり、例えば、ポリエステル樹脂系繊維
の場合には一般に水酸化ナトリウム水溶液が、ポリアミ
ド系繊維の場合にはメタクレゾールと塩化カルシウムー
メタノール溶液との混和液などが夫々用いられる。
【0020】このような処理液を用いた合成樹脂製繊維
のテーパ化処理を、ナイロン繊維束の場合について、図
6乃至図8を参照しながら説明する。この処理方法で
は、符号10A、10B、10Cとして示したように、
複数の溶液槽を直列に配列した加工処理装置が用いられ
る。そして、この処理方法の場合、ナイロン繊維の研磨
摺擦・洗浄に用いる各処理液として、第1溶液槽10A
の溶解液には飽和塩化カルシウム・メタノール溶液を、
第2溶液槽10Bの溶解液には塩化カルシウム15%
(重量)とメタノール85%(重量)の混合液を、洗浄
液槽10C中の洗浄液にはメタノール(100%)を、
夫々用いる。
【0021】また、第1溶液槽10A内及び第2溶液槽
10B内には、ナイロン繊維結束体8のナイロン繊維を
研磨摺擦して、テーパ状に加工するための回転式研磨摺
擦体12が設けられている。この回転式研磨摺擦体12
は、薄板状円盤型の研磨摺擦刃13と、前記研磨摺擦刃
13が所定の間隔を隔てて並列に多数枚配設される回転
軸14と、前記研磨摺擦刃13間に配置されるスペーサ
15とから構成されている。そして、回転式研磨摺擦体
12(研磨摺擦刃13)の少なくとも一部が、溶解液槽
に没するように配設されている。なお、洗浄槽10Cに
も回転研磨摺擦体12が配設されているが、洗浄液はナ
イロン繊維質に対し非膨潤性であるため、この部分では
研磨摺擦は行われない。
【0022】上記装置を用いて、柄16の先端にナイロ
ン繊維結束体8を装着した未加工塗布具を加工する場合
には、先ず、前記繊維結束体8が回転ヘッド11に対し
て、下向きとなるように柄16の端部をクランプし、第
1溶液槽10Aに向けて移動させる。そして、回転する
研磨摺擦体12の上方からナイロン繊維結束体8を所定
の回転速度で回転させながら、上下動させ、研磨摺擦刃
13にナイロン繊維結束体8を所定時間接触させる。
【0023】このとき、第1の溶液槽10A内の溶解液
がナイロン繊維結束体8に付着することで、ナイロン繊
維の表面は溶解膨潤すると共に、前記研磨摺擦刃13に
より剥ぎ取られる。すなわち、図8に示すように、回転
研磨摺擦刃13には鋸歯状の梳き刃13aが形成されて
いるため、回転研磨摺擦刃13は回転しながらナイロン
繊維結束体8の繊維に櫛をかけるように接触し、溶解、
摺擦を繰り返す。このとき、ナイロン繊維結束体8の回
転速度及び上下動の速度を制御することで、前記繊維結
束体8を構成するナイロン繊維はテーパ状に加工され
る。また、ナイロン繊維結束体8の全体形状は、先端部
に行くにしたがって細くなるテーパ状になされる。
【0024】次に、回転ヘッド11を上昇させ、ナイロ
ン繊維結束体8を第2溶液槽10Bに移動し、再度回転
させつつ、前記ナイロン繊維結束体8を再び回転式研磨
摺擦体12に所定時間接触させる。この第2溶液槽10
Bでの研磨摺擦は、第1溶液槽10Aにおける研磨摺擦
量をより多くなすものであり、基本的な作用は第1溶液
槽10Aの作用と同じである。すなわち、ナイロン繊維
結束体8の回転速度及び上下動の速度を制御すること
で、繊維結束体8を構成するナイロン繊維は最終形状で
あるテーパ状になされる。また、繊維結束体8の全体形
状についても、最終形状のテーパ状になされる。
【0025】そして、最後に、回転ヘッドを上昇、かつ
スライドさせて洗浄槽10Cに移動し、ナイロン繊維結
束体8を回転式研磨摺擦体12に所定時間接触させるこ
とで繊維を洗浄し、加工を終了する。なお、図9(a)
は筆穂1の端部4側に配された短い繊維2のテーパ加工
の状態を示す図であって、(b)は筆穂1の端部3側に
配され長い繊維2のテーパ加工の状態を示す図である。
また、図中の斜線部分2aは研磨摺擦刃13により剥ぎ
取られた部分を示す。
【0026】このようにして、図1に示すようなテーパ
状に加工された、しかも穂先の先端部分が軸線方向に対
して斜めに形成された筆穂を得ることができる。なお、
本発明の筆穂の作製方法は、必ずしも上記方法に限定さ
れるものではなく、例えば、あらかじめテーパ化処理さ
れた筆毛を用い、これを組み合わせて結束し、既に述べ
たように穂先の先端部が、軸線方向に対して90度未満
の所定の角度をもって、斜めになるように切断加工して
も良い。
【0027】本発明においては、上記筆毛を構成するテ
ーパ化された合成樹脂製繊維として、その断面が異形形
状に形成されたものを用いるか、あるいは、円形断面形
状繊維と異形断面形状繊維とを組合せて用いることが、
筆穂の塗布液の保持性の点から好ましい。このような異
形断面形状の合成樹脂製繊維筆毛の好適例として、例え
ば、図10乃至図12に示した形状のものをあげること
ができる。図10に示した筆毛2は、先端部に向けて細
くなるようにテーパ形状に形成されてると共に、筆毛2
(合成樹脂製繊維)の表面部分には、図10に示すよう
に、凸部2bがラセン状に連続して形成されている。こ
のように、合成樹脂製繊維からなる筆毛2の先端部分か
ら長手方向(繊維の軸線方向)における繊維表面に、ラ
セン状の凸部2bが連続して形成されているため、筆穂
を構成する筆毛2の間に多くの微少な空隙が生じる。そ
の結果、これらの空隙にインク等の液体が浸透して、多
くの液体が筆毛(合成樹脂製繊維)間に保持される。
【0028】図11、図12は上記異形断面形状繊維の
他の例を示したもので、図11及び図12は、図10と
同様に筆穂を構成する1つの筆毛の拡大図である。図1
1に示した筆毛2は、図10に示した筆毛と同様に、先
端部に向けて細くなるようにテーパ形状に形成されてい
る。そして、筆毛2の表面部分には、1つの凸部2cが
周方向に形成されると共に、長手方向(繊維の軸線方
向)に凸部2cが複数形成されている。したがって、筆
毛2の長手方向(繊維の軸線方向)には、前記凸部2c
と、前記凸部2cによって形成される凹部2dとが交互
に配置される。
【0029】また、図12に示した筆毛2も、図10、
図11に示した筆毛と同様に、先端部に向けて細くなる
ようにテーパ形状に形成されている。そして、筆毛2の
表面部分には、数珠形状の凸部2eが繊維の軸線方向に
複数形成されている。このとき、凸部2eと凸部2eの
間には凹部2fが形成される。したがって、筆毛の長手
方向(繊維の軸線方向)には、数珠形状の凸部2eと凹
部2fとによって、凹凸部が交互に連続して配置され
る。
【0030】更に、図示しないが、筆毛の表面部分に、
不規則に凹凸部あるいは凹部を形成し、異形断面形状に
することにより、筆毛を構成する合成樹脂製繊維間に多
くの微少な空隙を形成するようにしても良い。
【0031】また、このような繊維の表面に形成される
凹凸部(凸部)の大きさは、特に限定されるものではな
いが、液体の保持力の観点から、一般に、凹凸の高低差
(凸部の高さ)が20μm以下、特に5乃至10μmの
範囲にあり、凹凸の平均ピッチが0.1乃至0.5mm
の範囲にあることが好ましい。
【0032】また、本発明の筆穂は、図10乃至図12
に示すような筆毛2の表面に凸部等が形成された異形断
面形状繊維のみから構成されていて良いが、円形断面形
状繊維から形成された表面平滑な筆毛を混合しても良
い。このような混合品は、その混合割合を変化させるこ
とにより筆穂の液体の保持力を調整することができる。
この混合比率は、筆穂の用途、特に要求される保持性の
程度に応じて適宜設定されるが、異形断面形状繊維が形
成された筆毛の比率が50%以上であることが保持力の
実質的な向上効果の観点から好ましい。
【0033】なお、図10及び図12に示した形態の合
成樹脂製繊維の筆穂を製作するには、既に述べた方法に
おいて回転研磨摺擦体の回転、合成樹脂製繊維結束体の
回転、合成樹脂製繊維結束体の上下方向の移動を制御す
ることで達成される。また、表面が平滑な円形断面形状
の合成樹脂製繊維と、表面に凹部あるいは凸部、若しく
は凹凸部が形成された異形断面形状の合成樹脂製繊維と
を混合した筆穂の作製は、テーパ化処理された表面が平
滑な合成樹脂製繊維と、テーパ化処理及び表面処理され
た合成樹脂製繊維とを所望の比率で混合し、一端部を円
盤状の鍔となるように互いに溶着することによって形成
される。
【0034】また、上記実施形態において、異形断面形
状の例として図10乃至図12にその形状を示し説明し
たが、特にこれらに限定されるものではなく、筆毛2の
軸線と直交する断面が、三角形、星形、クローバ形等の
異形断面形状のものを用いても良い。このような三角
形、星形、クローバ形等の異形断面形状のものを用いて
も、筆毛を構成する合成樹脂製繊維間に多くの微少な空
隙を形成することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明にかかる塗布具の筆穂は、上記構
成を備えるため、塗布具を穂先の側部稜線と直交する方
向に移動させることにより、側部稜線の幅を持った、い
わゆる太い線を描くことができ、また、塗布具を穂先の
側部稜線と平行な方向に移動させることにより、側部稜
線間の幅を有する線を描くことができ、さらには、穂先
の最先端部のみを用いることによって、いわゆる細い線
を描くことができる。したがって、この筆穂で細線から
太い線まで描くことができ、それぞれ線の太さ毎に別々
の筆穂を用意する必要がなく、使用者にとって非常に便
利である。
【0036】また、本発明にかかる塗布具の筆穂におい
て、前記筆毛を構成する合成樹脂製繊維に異形断面形状
繊維を用いたもの、及び円形断面形状繊維と異形断面形
状繊維とを組合せたものは、塗布液の保持性に優れてい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる筆穂の側面図である。
【図2】図2は、図1の右側面図である。
【図3】図3は、本発明にかかる筆穂の他の実施形態を
示す側面図である。
【図4】図4は、本発明の筆穂加工前の繊維結束体の側
面図である。
【図5】図5は、図4の右側面図である。
【図6】図6は、本発明にかかる筆穂の製造装置の概略
図である。
【図7】図7は、図6に示した製造装置の要部拡大図で
ある。
【図8】図8は、図6に示した製造装置に用いられる回
転式研磨摺擦体の概略図である。
【図9】図9は、図6の製造装置によって加工された合
成樹脂製繊維を示した図である。
【図10】図10は、本発明で筆毛として用いる異形断
面形状繊維の一例を示す斜視図である。
【図11】図11は、本発明で筆毛として用いる異形断
面形状繊維の他の一例を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明で筆毛として用いる異形断
面形状繊維の別の一例を示す斜視図である。
【図13】図13は、従来の筆穂の斜視図である。
【符号の説明】
1 筆穂 1a 軸線 2 筆毛(合成樹脂製繊維) 2b 凸部 2c 凸部 2d 凹部 2e 凸部 2f 凹部 3 端部(最先端部) 4 端部 5 側部稜線 6 鍔状溶着端部 7 孔 8 繊維結束体(ナイロン繊維結束体)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定長さの合成樹脂製繊維の一端部を結
    束一体化した繊維結束体からなり、穂先側に行くにした
    がって徐々に細くなるテーパ形状に形成された筆穂にお
    いて、 前記穂先の最先端部が筆穂の軸線から外れた位置に配さ
    れると共に、前記軸線を挟んで前記最先端部の反対側に
    位置する端部と前記最先端部とを結ぶ側部稜線を有し、
    前記側部稜線が筆穂の軸線に対して、90度未満の所定
    の角度をもって斜めに形成されていることを特徴とする
    筆穂。
  2. 【請求項2】 前記穂先の先端部底面が、線状あるいは
    平面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載された筆穂。
  3. 【請求項3】 前記合成樹脂製繊維が異形断面形状の繊
    維からなることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載された筆穂。
  4. 【請求項4】 前記合成樹脂製繊維が円形断面形状の繊
    維と異形断面形状の繊維とからなることを特徴とする請
    求項1または請求項2のいずれかに記載された筆穂。
  5. 【請求項5】 前記合成樹脂製繊維が円形断面形状の繊
    維と異形断面形状の繊維とからなり、異形断面形状の繊
    維の混合比率が50%以上であることを特徴とする請求
    項4に記載された筆穂。
  6. 【請求項6】 前記請求項1乃至請求項5のいずれかに
    記載された筆穂が用いられていることを特徴とする塗布
    具。
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