JP2001262133A - 逆熱対流混相流体 - Google Patents
逆熱対流混相流体Info
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- F28C—HEAT-EXCHANGE APPARATUS, NOT PROVIDED FOR IN ANOTHER SUBCLASS, IN WHICH THE HEAT-EXCHANGE MEDIA COME INTO DIRECT CONTACT WITHOUT CHEMICAL INTERACTION
- F28C3/00—Other direct-contact heat-exchange apparatus
- F28C3/10—Other direct-contact heat-exchange apparatus one heat-exchange medium at least being a fluent solid, e.g. a particulate material
- F28C3/12—Other direct-contact heat-exchange apparatus one heat-exchange medium at least being a fluent solid, e.g. a particulate material the heat-exchange medium being a particulate material and a gas, vapour, or liquid
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F28—HEAT EXCHANGE IN GENERAL
- F28F—DETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
- F28F13/00—Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 熱効率の悪い系の伝熱効率を高める逆熱対流
特性を有し、熱輸送機器、熱交換器機および冷却機器に
有用な、新しい熱機能性混相流体を提供する。 【解決手段】 高温で浮力が減少して低温で浮力が増加
する浮力可変固体粒子群と、その浮力可変固体粒子群の
移動媒体となる液体または気体相とからなる混相流体で
あって、浮力可変固体粒子群が高温部の熱により浮力を
減少させて沈降し、熱輸送するとともに、放熱すること
で浮力を増加させる熱機能性混相流体とする。
特性を有し、熱輸送機器、熱交換器機および冷却機器に
有用な、新しい熱機能性混相流体を提供する。 【解決手段】 高温で浮力が減少して低温で浮力が増加
する浮力可変固体粒子群と、その浮力可変固体粒子群の
移動媒体となる液体または気体相とからなる混相流体で
あって、浮力可変固体粒子群が高温部の熱により浮力を
減少させて沈降し、熱輸送するとともに、放熱すること
で浮力を増加させる熱機能性混相流体とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、逆熱対流
混相流体に関するものである。さらに詳しくは、この出
願の発明は、伝熱効率を高める逆熱対流特性を有し、熱
輸送機器、熱交換器機および冷却機器に有用な、新しい
逆熱対流混相流体に関するものである。
混相流体に関するものである。さらに詳しくは、この出
願の発明は、伝熱効率を高める逆熱対流特性を有し、熱
輸送機器、熱交換器機および冷却機器に有用な、新しい
逆熱対流混相流体に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】混相流は、二つの相の混合割
合により見かけ上の様々な物性値をとるため、古くから
様々な工業分野に応用されている。特に、伝熱機能性を
有する流体が、熱輸送機器、冷却機器および熱交換機器
等に広く使われている。伝熱機能性流体を用いる機器に
おいては、その熱エネルギー輸送効率、冷却効率、熱交
換効率等の伝熱性能の向上が大きな課題となっている。
合により見かけ上の様々な物性値をとるため、古くから
様々な工業分野に応用されている。特に、伝熱機能性を
有する流体が、熱輸送機器、冷却機器および熱交換機器
等に広く使われている。伝熱機能性流体を用いる機器に
おいては、その熱エネルギー輸送効率、冷却効率、熱交
換効率等の伝熱性能の向上が大きな課題となっている。
【0003】近年は様々な分野において機能性材料の開
発研究が進められており、混相流に関しても、単相流に
は見られない多様な特性を積極的に利用して、高度な機
能を持った流体(機能性流体、知能性流体)を開発する
試みが盛んに行われている。特に固体粒子の中には温
度、圧力、濃度等によりその体積を変化させるものが存
在し、それらと流体を組み合わせれば、通常の流体とは
逆の熱対流特性を持つ機能性混相流体を開発することが
可能である。
発研究が進められており、混相流に関しても、単相流に
は見られない多様な特性を積極的に利用して、高度な機
能を持った流体(機能性流体、知能性流体)を開発する
試みが盛んに行われている。特に固体粒子の中には温
度、圧力、濃度等によりその体積を変化させるものが存
在し、それらと流体を組み合わせれば、通常の流体とは
逆の熱対流特性を持つ機能性混相流体を開発することが
可能である。
【0004】機能性混相流体で粒子を混入しているもの
としては、磁性流体、ER流体(Electro-Rheological
Fluid)等の各種のものが実用に供されている。熱機能
性を有するものついては、例えば、発泡性ポリスチレン
をマイクロカプセルを流体内に混入する方式(特開20
00−18863)等が提案されているが、冷媒、蓄熱
に用いられるのみであり、また、カプセル内の材料が経
年で漏れるため実用化には至っていない。
としては、磁性流体、ER流体(Electro-Rheological
Fluid)等の各種のものが実用に供されている。熱機能
性を有するものついては、例えば、発泡性ポリスチレン
をマイクロカプセルを流体内に混入する方式(特開20
00−18863)等が提案されているが、冷媒、蓄熱
に用いられるのみであり、また、カプセル内の材料が経
年で漏れるため実用化には至っていない。
【0005】一方で、流体における伝熱機構は次の通り
である。一般に、流体を下面から加熱すると、熱膨張に
より加熱された流体の密度が小さくなって浮力が発生
し、熱対流(自然対流)が生じる。対流による流動伝熱
特性によって熱が伝達されるため、下部の伝熱面は冷却
されて、上部の伝熱面は加熱されることとなる。
である。一般に、流体を下面から加熱すると、熱膨張に
より加熱された流体の密度が小さくなって浮力が発生
し、熱対流(自然対流)が生じる。対流による流動伝熱
特性によって熱が伝達されるため、下部の伝熱面は冷却
されて、上部の伝熱面は加熱されることとなる。
【0006】しかしながら、流体を上面から加熱した場
合は、熱対流が生じないために熱伝導のみによる低い伝
熱性能しか得られなかった。そのため、従来より、上面
加熱系や温度成層流体を用いる様々な伝熱機器の冷却方
法の設計が制限されてしまうという問題があった。
合は、熱対流が生じないために熱伝導のみによる低い伝
熱性能しか得られなかった。そのため、従来より、上面
加熱系や温度成層流体を用いる様々な伝熱機器の冷却方
法の設計が制限されてしまうという問題があった。
【0007】この発明は、上記の通りの事情に鑑みてな
されたものであって、従来の伝熱流体の欠点を解消し、
上面加熱系等の熱効率の悪い系の伝熱効率を高める逆熱
対流特性を有し、熱輸送機器、熱交換器機および冷却機
器に有用な、新しい逆熱対流混相流体を提供することを
課題としている。また、これにより、発熱を伴う機器の
冷却方法の設計における自由度を飛躍的に広げることが
できる。
されたものであって、従来の伝熱流体の欠点を解消し、
上面加熱系等の熱効率の悪い系の伝熱効率を高める逆熱
対流特性を有し、熱輸送機器、熱交換器機および冷却機
器に有用な、新しい逆熱対流混相流体を提供することを
課題としている。また、これにより、発熱を伴う機器の
冷却方法の設計における自由度を飛躍的に広げることが
できる。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、以下の通りの発明を提供
する。
の課題を解決するものとして、以下の通りの発明を提供
する。
【0009】すなわち、まず第1には、この出願の発明
は、高温で浮力が減少して低温で浮力が増加する浮力可
変固体粒子群と、その浮力可変固体粒子群の移動媒体と
なる液体または気体相とからなる混相流体であって、浮
力可変固体粒子群が高温部の熱により浮力を減少させて
沈降し、熱輸送するとともに、放熱することで浮力を増
加させることを特徴とする逆熱対流混相流体を提供す
る。
は、高温で浮力が減少して低温で浮力が増加する浮力可
変固体粒子群と、その浮力可変固体粒子群の移動媒体と
なる液体または気体相とからなる混相流体であって、浮
力可変固体粒子群が高温部の熱により浮力を減少させて
沈降し、熱輸送するとともに、放熱することで浮力を増
加させることを特徴とする逆熱対流混相流体を提供す
る。
【0010】また、この出願の発明は、第2には、上記
第1の発明において、浮力可変固体粒子は、内部構造あ
るいは外囲器として使用された形状記憶合金の形状変化
によって浮力を変化させることや、第3には、内部構造
としての形状記憶合金は、スプリングあるいはベロース
の形状を記憶していること、第4には、外囲器としての
形状記憶合金は、球形を記憶していること、さらに第5
には、形状記憶合金は、Ti−Ni系合金であること等
を特徴とする逆熱対流混相流体を提供する。
第1の発明において、浮力可変固体粒子は、内部構造あ
るいは外囲器として使用された形状記憶合金の形状変化
によって浮力を変化させることや、第3には、内部構造
としての形状記憶合金は、スプリングあるいはベロース
の形状を記憶していること、第4には、外囲器としての
形状記憶合金は、球形を記憶していること、さらに第5
には、形状記憶合金は、Ti−Ni系合金であること等
を特徴とする逆熱対流混相流体を提供する。
【0011】そして、この出願の発明は、第6に、上記
いずれかの発明において、浮力可変固体粒子は、中空体
であって、内部に常温で1気圧以上の気体が封入されて
いることや、第7には、浮力可変固体粒子は、大きさが
数μm〜数十cmであることを特徴とする逆熱対流混相
流体をも提供する。
いずれかの発明において、浮力可変固体粒子は、中空体
であって、内部に常温で1気圧以上の気体が封入されて
いることや、第7には、浮力可変固体粒子は、大きさが
数μm〜数十cmであることを特徴とする逆熱対流混相
流体をも提供する。
【0012】さらに、この出願の発明は、第8に、上記
いずれかの発明の逆熱対流混相流体からなる伝熱用混相
流体を提供する。
いずれかの発明の逆熱対流混相流体からなる伝熱用混相
流体を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記の通りの
特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。
特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。
【0014】まず、この出願の第1の発明の逆熱対流混
相流体は、高温で浮力が減少して低温で浮力が増加する
浮力可変固体粒子群と、その浮力可変固体粒子群の移動
媒体となる液体または気体相とからなる混相流体であっ
て、浮力可変固体粒子群が高温部の熱により浮力を減少
させて沈降し、熱輸送するとともに、放熱することで浮
力を増加させる。
相流体は、高温で浮力が減少して低温で浮力が増加する
浮力可変固体粒子群と、その浮力可変固体粒子群の移動
媒体となる液体または気体相とからなる混相流体であっ
て、浮力可変固体粒子群が高温部の熱により浮力を減少
させて沈降し、熱輸送するとともに、放熱することで浮
力を増加させる。
【0015】混相流体とは2つ以上の相が混在する流体
であり、この発明の逆熱対流混相流体においては1つの
相が浮力可変の固体粒子群すなわち固相であって、もう
1つの相が液体または気体からなる相である。そして特
に、浮力可変の固体粒子が周囲の温度によりその特性を
大きく変化させることにより、通常の流体とは逆の熱対
流特性を持つ流体が実現される。
であり、この発明の逆熱対流混相流体においては1つの
相が浮力可変の固体粒子群すなわち固相であって、もう
1つの相が液体または気体からなる相である。そして特
に、浮力可変の固体粒子が周囲の温度によりその特性を
大きく変化させることにより、通常の流体とは逆の熱対
流特性を持つ流体が実現される。
【0016】図1は、この出願の発明における逆熱対流
混相流体の機能の一例を示す概略図である。液体または
気体相中に混入された浮力可変固体粒子は、例えば、周
囲の温度によって体積および形状を変化させる特性を有
し、高温で体積を減少させることで浮力を減少させて沈
降し、低温では体積を増加させることで浮力を増加させ
て上昇することができる。従って、例えば、図1に示す
ような上面加熱・下面冷却の系や、上部に高温液、下部
に低温液が層を成した温度成層流体等において、浮力可
変固体粒子群が浮力の増減により浮上・沈降を繰り返す
と、その運動により液体または気体のみの単相では見ら
れない逆熱対流が自発的に誘起される。
混相流体の機能の一例を示す概略図である。液体または
気体相中に混入された浮力可変固体粒子は、例えば、周
囲の温度によって体積および形状を変化させる特性を有
し、高温で体積を減少させることで浮力を減少させて沈
降し、低温では体積を増加させることで浮力を増加させ
て上昇することができる。従って、例えば、図1に示す
ような上面加熱・下面冷却の系や、上部に高温液、下部
に低温液が層を成した温度成層流体等において、浮力可
変固体粒子群が浮力の増減により浮上・沈降を繰り返す
と、その運動により液体または気体のみの単相では見ら
れない逆熱対流が自発的に誘起される。
【0017】これによって、一般には伝熱性能が著しく
低い系においても良好な伝熱性能を得ることが可能とな
る。また、この発明の逆熱対流混相流体を用いることに
より、発熱を伴う機器の冷却方法の設計における自由度
を飛躍的に広げることが可能となる。
低い系においても良好な伝熱性能を得ることが可能とな
る。また、この発明の逆熱対流混相流体を用いることに
より、発熱を伴う機器の冷却方法の設計における自由度
を飛躍的に広げることが可能となる。
【0018】この出願の第2の発明の逆熱対流混相流体
は、上記第1の発明において、浮力可変固体粒子の内部
構造あるいは外囲器として形状記憶合金を使用し、その
形状変化によって浮力を変化させることを特徴とする。
は、上記第1の発明において、浮力可変固体粒子の内部
構造あるいは外囲器として形状記憶合金を使用し、その
形状変化によって浮力を変化させることを特徴とする。
【0019】形状記憶合金(Shape Memory Alloy:SM
A)の変形は、一般の金属の塑性変形とは異なり、結晶
構造の変化(変態)を伴う変形である。この変態は温度
変化によっても起こり、形状記憶現象は、温度変化によ
る変態と変形との関係を利用したものである。SMA
は、高温では母相であるオーステナイト相(A)が、低
温でマルテンサイト相(M)が安定に存在し、マルテン
サイト相には多数の双晶があるため外部の力で容易に変
形を受ける。従って、オーステナイト相で形成された合
金が、マルテンサイト相にあるときに変形をうけても、
オーステナイト相に戻すと形状も元に戻る性質が現われ
る。これらの変態は、マルテンサイト変態終了温度(M
f)〜マルテンサイト変態開始温度(Ms)、逆変態開
始温度(As)〜逆変態終了温度(Af)を相境界とし
て生じ、Ms以下の温度でSMAを変形しても、Af以
上の温度に加熱するとSMAは元の形状に復帰する。
A)の変形は、一般の金属の塑性変形とは異なり、結晶
構造の変化(変態)を伴う変形である。この変態は温度
変化によっても起こり、形状記憶現象は、温度変化によ
る変態と変形との関係を利用したものである。SMA
は、高温では母相であるオーステナイト相(A)が、低
温でマルテンサイト相(M)が安定に存在し、マルテン
サイト相には多数の双晶があるため外部の力で容易に変
形を受ける。従って、オーステナイト相で形成された合
金が、マルテンサイト相にあるときに変形をうけても、
オーステナイト相に戻すと形状も元に戻る性質が現われ
る。これらの変態は、マルテンサイト変態終了温度(M
f)〜マルテンサイト変態開始温度(Ms)、逆変態開
始温度(As)〜逆変態終了温度(Af)を相境界とし
て生じ、Ms以下の温度でSMAを変形しても、Af以
上の温度に加熱するとSMAは元の形状に復帰する。
【0020】また、Afより高温側のオーステナイト相
において、SMAは外力を加えられると応力誘起マルテ
ンサイト相に変態する。応力誘起されたマルテンサイト
相は無応力下で安定に存在し得ないため、除荷過程で直
ちに逆変態してしまうという超弾性を示す。このため、
Af点以上の高温状態にあるSMAは塑性変形を起こさ
ず、ゴムのような弾性を示す性質がある。
において、SMAは外力を加えられると応力誘起マルテ
ンサイト相に変態する。応力誘起されたマルテンサイト
相は無応力下で安定に存在し得ないため、除荷過程で直
ちに逆変態してしまうという超弾性を示す。このため、
Af点以上の高温状態にあるSMAは塑性変形を起こさ
ず、ゴムのような弾性を示す性質がある。
【0021】このようなSMAとしては、Au−Cd合
金をはじめ、Ti−Ni系、Fe系、Cu系、さらには
第3元素を添加したもの等の各種のものが知られてい
る。この出願の発明においてSMAを利用する上で重要
となる形状回復温度、すなわちAfや、機械的強度など
の諸特性は、上記のSMAから様々に選択することがで
きる。また、SMAのAf点は、第3元素の添加を含め
た組成、加工率および形状記憶熱処理温度によって広い
範囲で制御することも可能である。
金をはじめ、Ti−Ni系、Fe系、Cu系、さらには
第3元素を添加したもの等の各種のものが知られてい
る。この出願の発明においてSMAを利用する上で重要
となる形状回復温度、すなわちAfや、機械的強度など
の諸特性は、上記のSMAから様々に選択することがで
きる。また、SMAのAf点は、第3元素の添加を含め
た組成、加工率および形状記憶熱処理温度によって広い
範囲で制御することも可能である。
【0022】以上のような特性を持つSMA、例えば、
上部加熱温度と下部冷却温度との間の温度にAf点を制
御したSMAを内部構造あるいは外囲器として利用し、
高温で体積が膨張して低温では体積が減少する機能を浮
力可変固体粒子に備えることで、逆熱対流特性を有する
逆熱対流混相流体を実現することができる。
上部加熱温度と下部冷却温度との間の温度にAf点を制
御したSMAを内部構造あるいは外囲器として利用し、
高温で体積が膨張して低温では体積が減少する機能を浮
力可変固体粒子に備えることで、逆熱対流特性を有する
逆熱対流混相流体を実現することができる。
【0023】この出願の第3の発明は、上記第2の発明
において、内部構造としての形状記憶合金は、スプリン
グあるいはベロースの形状を記憶していることを特徴と
する逆熱対流混相流体を提供する。
において、内部構造としての形状記憶合金は、スプリン
グあるいはベロースの形状を記憶していることを特徴と
する逆熱対流混相流体を提供する。
【0024】図2および図3は、この出願の発明におけ
る逆熱対流混相流体のより具体的な例として、内部構造
にそれぞれベロース状およびスプリング状のSMAを用
いた浮力可変固体粒子を示す概略図である。
る逆熱対流混相流体のより具体的な例として、内部構造
にそれぞれベロース状およびスプリング状のSMAを用
いた浮力可変固体粒子を示す概略図である。
【0025】これらのSMAは、低温(a)と高温
(b)の間の温度にAf点を有するため、低温(a)で
記憶形状はなくなり、高温(b)で記憶された形状を保
つ。従って、図2のように、たとえば、低温(a)時よ
りも小さな形状を高温(b)で記憶させたSMAは、高
温で体積が減少するため浮力も減少し、低温で体積が増
加するため浮力も増加することが例示される。この内部
構造により、浮力可変固体粒子自身の浮力を高温で減少
させて低温で増加させることができる。逆に、図3のよ
うに、例えば低温(a)よりも高温(b)で大きな形状
を記憶させたSMAは、高温において伸長することで浮
力可変固体粒子を圧縮し、体積を減少させるとともに浮
力も減少させることができる。これによって高温で浮力
が減少して低温で浮力が増加する浮力可変固体粒子が可
能となる。
(b)の間の温度にAf点を有するため、低温(a)で
記憶形状はなくなり、高温(b)で記憶された形状を保
つ。従って、図2のように、たとえば、低温(a)時よ
りも小さな形状を高温(b)で記憶させたSMAは、高
温で体積が減少するため浮力も減少し、低温で体積が増
加するため浮力も増加することが例示される。この内部
構造により、浮力可変固体粒子自身の浮力を高温で減少
させて低温で増加させることができる。逆に、図3のよ
うに、例えば低温(a)よりも高温(b)で大きな形状
を記憶させたSMAは、高温において伸長することで浮
力可変固体粒子を圧縮し、体積を減少させるとともに浮
力も減少させることができる。これによって高温で浮力
が減少して低温で浮力が増加する浮力可変固体粒子が可
能となる。
【0026】以上のように、SMAを浮力可変固体粒子
の内部構造として用いることで、高温で浮力が減少して
低温で浮力が増加する浮力可変固体粒子を持つ逆熱対流
混相流体を実現することができる。
の内部構造として用いることで、高温で浮力が減少して
低温で浮力が増加する浮力可変固体粒子を持つ逆熱対流
混相流体を実現することができる。
【0027】一方で、この出願の第4の発明の逆熱対流
混相流体は、上記第2の発明において、外囲器としての
形状記憶合金は、球形を記憶していることを特徴として
いる。
混相流体は、上記第2の発明において、外囲器としての
形状記憶合金は、球形を記憶していることを特徴として
いる。
【0028】図4は、この出願の発明における逆熱対流
混相流体の一例として、外囲器にマイクロカプセル状の
SMAを用いた浮力可変固体粒子を示す概略図である。
このSMAからなる外囲器も、例えば、低温(a)では
記憶形状がなくなり、高温(b)では記憶された中空体
を保つ。すると、低温(a)ではカプセルの内圧と平衡
となる形状を保つが、高温(b)では予め記憶されたよ
り小さなマイクロカプセル状となり、カプセル内の気体
を圧縮して体積を減少させる。
混相流体の一例として、外囲器にマイクロカプセル状の
SMAを用いた浮力可変固体粒子を示す概略図である。
このSMAからなる外囲器も、例えば、低温(a)では
記憶形状がなくなり、高温(b)では記憶された中空体
を保つ。すると、低温(a)ではカプセルの内圧と平衡
となる形状を保つが、高温(b)では予め記憶されたよ
り小さなマイクロカプセル状となり、カプセル内の気体
を圧縮して体積を減少させる。
【0029】これによって、高温で浮力が減少して低温
で浮力が増加する浮力可変固体粒子を持つ逆熱対流混相
流体を実現することができる。
で浮力が増加する浮力可変固体粒子を持つ逆熱対流混相
流体を実現することができる。
【0030】この出願の第5の発明の機熱能性混相流体
は、上記第2ないし第4の発明において、形状記憶合金
は、Ti−Ni系合金であることを特徴としている。
は、上記第2ないし第4の発明において、形状記憶合金
は、Ti−Ni系合金であることを特徴としている。
【0031】Ti−Ni系合金は、記憶特性、機械的強
度、繰り返し特性、耐食性等のいずれにおいても優れて
おり、最も汎用されているSMAである。なによりもこ
の発明の機熱能性混相流体にとって重要なことは、Ni
添加量および加工熱処理等を制御することよって、約3
0〜120℃の範囲でAf点を容易に制御することが可
能となることである。CuやCo等の第3元素を添加し
たTi−Ni系合金は、さらに優れた特性を有するもの
である。また、Ti−Ni系合金の回復可能なひずみは
7〜8%と大きい。これらの特性は、上記の浮力可変固
体粒子の設計を容易にし、様々な条件で使用できる浮力
可変固体粒子を提供するものである。
度、繰り返し特性、耐食性等のいずれにおいても優れて
おり、最も汎用されているSMAである。なによりもこ
の発明の機熱能性混相流体にとって重要なことは、Ni
添加量および加工熱処理等を制御することよって、約3
0〜120℃の範囲でAf点を容易に制御することが可
能となることである。CuやCo等の第3元素を添加し
たTi−Ni系合金は、さらに優れた特性を有するもの
である。また、Ti−Ni系合金の回復可能なひずみは
7〜8%と大きい。これらの特性は、上記の浮力可変固
体粒子の設計を容易にし、様々な条件で使用できる浮力
可変固体粒子を提供するものである。
【0032】この出願の第6の発明の逆熱対流混相流体
は、上記いずれかの発明において、浮力可変固体粒子は
中空体であって、内部に常温で1気圧以上の気体が封入
されていることを特徴としている。
は、上記いずれかの発明において、浮力可変固体粒子は
中空体であって、内部に常温で1気圧以上の気体が封入
されていることを特徴としている。
【0033】図5は、液体または気体相に混入する浮力
可変固体粒子の、低温(a)および高温(b)における
状態を例示した断面図である。この浮力可変固体粒子
は、周囲の温度によって体積および形状を変化させる特
性を有する外殻(1)と、その内部に封入された高圧の
気体(2)から構成されるる。浮力可変固体粒子が中空
体であると、外殻(1)を形成する個体と、中空部に封
入された気体(2)との特性を組み合わせて利用するこ
とができ、その気体(2)を高圧とすることで個体の機
能を容易に発現させることができる。例えば、高温
(b)で、外殻(1)が小さな形状を記憶されたSMA
である場合、外殻(1)は体積の小さな形状を保つた
め、浮力可変固体粒子の密度は周囲流体の密度に比して
大きくなる。一方、低温(a)では、外殻(1)の記憶
が消失するため、内部に封入された高圧の気体(2)に
よってより膨らんだ形状を成し、浮力可変固体粒子の密
度は周囲流体の密度よりも小さくなる。したがって、よ
り効率よく高温で浮力が減少して低温で浮力が増加する
浮力可変固体粒子を得ることができる。内部に封入され
る気体(2)の圧力は、外殻(1)あるいは液相等との
関係で1気圧以上に調節することができる。
可変固体粒子の、低温(a)および高温(b)における
状態を例示した断面図である。この浮力可変固体粒子
は、周囲の温度によって体積および形状を変化させる特
性を有する外殻(1)と、その内部に封入された高圧の
気体(2)から構成されるる。浮力可変固体粒子が中空
体であると、外殻(1)を形成する個体と、中空部に封
入された気体(2)との特性を組み合わせて利用するこ
とができ、その気体(2)を高圧とすることで個体の機
能を容易に発現させることができる。例えば、高温
(b)で、外殻(1)が小さな形状を記憶されたSMA
である場合、外殻(1)は体積の小さな形状を保つた
め、浮力可変固体粒子の密度は周囲流体の密度に比して
大きくなる。一方、低温(a)では、外殻(1)の記憶
が消失するため、内部に封入された高圧の気体(2)に
よってより膨らんだ形状を成し、浮力可変固体粒子の密
度は周囲流体の密度よりも小さくなる。したがって、よ
り効率よく高温で浮力が減少して低温で浮力が増加する
浮力可変固体粒子を得ることができる。内部に封入され
る気体(2)の圧力は、外殻(1)あるいは液相等との
関係で1気圧以上に調節することができる。
【0034】これによって、より効果的に機能を発現す
る逆熱対流混相流体を実現することができる。
る逆熱対流混相流体を実現することができる。
【0035】この出願の第7の発明の逆熱対流混相流体
は、上記いずれかの発明において、浮力可変固体粒子
は、大きさが数μm〜数十cmであることを特徴として
いる。
は、上記いずれかの発明において、浮力可変固体粒子
は、大きさが数μm〜数十cmであることを特徴として
いる。
【0036】浮力可変固体粒子の大きさが数μmより小
さい場合は、浮力の調整が困難となるため、沈降、浮上
の効率がよくないものとなってしまう。また、液体また
は気体相との間の抵抗が相対的に大きくなるに加えて、
浮力可変固体粒子の持つエネルギーが小さくなるため、
液体または気体相に自然対流を誘起させることができな
くなってしまう。
さい場合は、浮力の調整が困難となるため、沈降、浮上
の効率がよくないものとなってしまう。また、液体また
は気体相との間の抵抗が相対的に大きくなるに加えて、
浮力可変固体粒子の持つエネルギーが小さくなるため、
液体または気体相に自然対流を誘起させることができな
くなってしまう。
【0037】また、浮力可変固体粒子の大きさが数十c
mより大きい場合は、液体または気体相との抵抗が大き
くなりすぎ、効果的に液体または気体相の自然対流を誘
起することができなくなる。また、熱輸送および熱交換
器機は小型化が強く望まれており、これらの点からも浮
力可変固体粒子は、大きさが数μm〜数十cmのものと
する。
mより大きい場合は、液体または気体相との抵抗が大き
くなりすぎ、効果的に液体または気体相の自然対流を誘
起することができなくなる。また、熱輸送および熱交換
器機は小型化が強く望まれており、これらの点からも浮
力可変固体粒子は、大きさが数μm〜数十cmのものと
する。
【0038】この出願の第8の発明の伝熱用混相流体
は、上記いずれかに記載の逆熱対流混相流体からなるこ
とを特徴としている。
は、上記いずれかに記載の逆熱対流混相流体からなるこ
とを特徴としている。
【0039】以上のとおりのこの発明の逆熱対流混相流
体は、上部にある高温部の熱により浮力を減少させて沈
降し、下部の低温部で放熱することで浮力を増加させて
熱輸送を行うことができる。また、沈降、浮上を繰り返
すことにより、上面加熱系や温度成層等の自然対流の発
生しにくい系において攪拌を促し、伝熱効率を高めるこ
とができる。
体は、上部にある高温部の熱により浮力を減少させて沈
降し、下部の低温部で放熱することで浮力を増加させて
熱輸送を行うことができる。また、沈降、浮上を繰り返
すことにより、上面加熱系や温度成層等の自然対流の発
生しにくい系において攪拌を促し、伝熱効率を高めるこ
とができる。
【0040】これによって、熱効率の悪い系の伝熱効率
を高める逆熱対流特性を有し、機器設計の自由度を飛躍
的に増大できる、新しい伝熱用の逆熱対流混相流体が提
供される。
を高める逆熱対流特性を有し、機器設計の自由度を飛躍
的に増大できる、新しい伝熱用の逆熱対流混相流体が提
供される。
【0041】以下、添付した図面に沿って実施例を示
し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明す
る。
し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明す
る。
【0042】
【実施例】(実施例1)内部構造としてSMAと、外囲
器としてプラスチック製注射器を用いた浮力可変固体粒
子と、移動媒体の水とからなる逆熱対流混相流体におけ
る伝熱特性を調べた。 <A> 浮力可変固体粒子は次のように作製した。図6
(a)(b)は、それぞれ低温(約10℃)と高温(約
90℃)における浮力可変固体粒子の断面概略図を示し
たものである。
器としてプラスチック製注射器を用いた浮力可変固体粒
子と、移動媒体の水とからなる逆熱対流混相流体におけ
る伝熱特性を調べた。 <A> 浮力可変固体粒子は次のように作製した。図6
(a)(b)は、それぞれ低温(約10℃)と高温(約
90℃)における浮力可変固体粒子の断面概略図を示し
たものである。
【0043】SMAにはAf点が摂氏56℃(329.
15K)でφ1.0mmのNi−Ti合金線を用い、外
径8mm、総巻数10巻、全長39.98mmのコイル
形状を記憶させたばね(6)を作製した。このSMAば
ね(6)の、温度に対する発生力の関係を図7に示し
た。
15K)でφ1.0mmのNi−Ti合金線を用い、外
径8mm、総巻数10巻、全長39.98mmのコイル
形状を記憶させたばね(6)を作製した。このSMAば
ね(6)の、温度に対する発生力の関係を図7に示し
た。
【0044】作製したSMAばね(6)の一端をピスト
ン(5)に固定して、先端部を栓したシリンダー(4)
に挿入し、他端をシリンダー(4)開放部に固定して浮
力可変固体粒子(3)とした。浮力可変固体粒子(3)
内に封入された空気は1.2気圧であった。
ン(5)に固定して、先端部を栓したシリンダー(4)
に挿入し、他端をシリンダー(4)開放部に固定して浮
力可変固体粒子(3)とした。浮力可変固体粒子(3)
内に封入された空気は1.2気圧であった。
【0045】図6および図7より、周囲が低温(a)の
時は、SMAばね(6)の形状記憶効果が薄れるため
に、封入された空気圧によりピストン(5)が押戻され
て浮力可変固体粒子(3)の体積が大きくなり、浮力も
大きくなることが分かる。一方、周囲が高温(b)の時
は、SMAばね(6)が記憶形状にまで伸長してピスト
ン(5)を押すため、浮力可変固体粒子(3)の体積が
小さくなり、浮力も小さくなることが分かる。
時は、SMAばね(6)の形状記憶効果が薄れるため
に、封入された空気圧によりピストン(5)が押戻され
て浮力可変固体粒子(3)の体積が大きくなり、浮力も
大きくなることが分かる。一方、周囲が高温(b)の時
は、SMAばね(6)が記憶形状にまで伸長してピスト
ン(5)を押すため、浮力可変固体粒子(3)の体積が
小さくなり、浮力も小さくなることが分かる。
【0046】この浮力可変固体粒子(3)を移動媒体の
水に混入し、逆熱対流混相流体とした。浮力可変固体粒
子(3)の重量、すなわち重力による鉛直下向きに力は
9.7gfであり、体積は高温時で9.0cm3、低温
時で10.6cm3であった。水の密度の温度による変
化はほとんど無く、約1gf/cm3でほぼ一定である
ので、浮力可変固体粒子(3)に鉛直上向きにかかる浮
力は高温時で9.0gf、低温時で10.6gfとな
る。
水に混入し、逆熱対流混相流体とした。浮力可変固体粒
子(3)の重量、すなわち重力による鉛直下向きに力は
9.7gfであり、体積は高温時で9.0cm3、低温
時で10.6cm3であった。水の密度の温度による変
化はほとんど無く、約1gf/cm3でほぼ一定である
ので、浮力可変固体粒子(3)に鉛直上向きにかかる浮
力は高温時で9.0gf、低温時で10.6gfとな
る。
【0047】この浮力可変固体粒子は、図8に示すよう
に、高温(b)の水中では沈降し低温(a)の水中では
浮上することを確認した。これによって、この出願の発
明の逆熱対流混相流体を得ることができた。 <B> 上記の逆熱対流混相流体の伝熱促進効果を調べ
るために、上面加熱系における伝熱特性の計測を行っ
た。また比較のために、浮力可変固体粒子のない水のみ
の液単相についても調べた。
に、高温(b)の水中では沈降し低温(a)の水中では
浮上することを確認した。これによって、この出願の発
明の逆熱対流混相流体を得ることができた。 <B> 上記の逆熱対流混相流体の伝熱促進効果を調べ
るために、上面加熱系における伝熱特性の計測を行っ
た。また比較のために、浮力可変固体粒子のない水のみ
の液単相についても調べた。
【0048】実験装置は以下のとおりで、その概略を図
9に示した。水槽(7)は、奥行60mm、幅390m
m、高さ400mmのものを用い、摂氏10℃の水
(8)を満たした。水槽(7)の上面には80Wのシー
スヒーター(10)を2本設置し、一定の熱流束(Q=
1.59×104W/m2)を与えて加熱した。水槽
(7)の側面には、シースヒーター(10)による加熱
面の下方5mmの点から、40mm間隔でφ1.0mm
のT型シース熱電対(11)を10本設置し、加熱開始
からの水温を計測した。
9に示した。水槽(7)は、奥行60mm、幅390m
m、高さ400mmのものを用い、摂氏10℃の水
(8)を満たした。水槽(7)の上面には80Wのシー
スヒーター(10)を2本設置し、一定の熱流束(Q=
1.59×104W/m2)を与えて加熱した。水槽
(7)の側面には、シースヒーター(10)による加熱
面の下方5mmの点から、40mm間隔でφ1.0mm
のT型シース熱電対(11)を10本設置し、加熱開始
からの水温を計測した。
【0049】液単相の場合の多点温度計測の結果を図1
0に示した。図10より、液単相の場合は、加熱面から
離れた位置へは熱がほとんど伝わらず、また伝熱には長
い時間がかかることが分かった。上面加熱系では自然対
流がほとんど起こらないため、下方への伝熱は、伝熱性
の悪い熱伝導が支配的になるからである.逆熱対流混相
流体の場合は、シースヒーターの加熱開始から60分後
に3個の浮力可変固体粒子を水槽に静かに混入した。こ
の場合の多点温度計測の結果を図11に示した。図11
中のAは浮力可変固体粒子を混入した時点を示し、数字
は加熱面から温度測定点までの距離を表す。
0に示した。図10より、液単相の場合は、加熱面から
離れた位置へは熱がほとんど伝わらず、また伝熱には長
い時間がかかることが分かった。上面加熱系では自然対
流がほとんど起こらないため、下方への伝熱は、伝熱性
の悪い熱伝導が支配的になるからである.逆熱対流混相
流体の場合は、シースヒーターの加熱開始から60分後
に3個の浮力可変固体粒子を水槽に静かに混入した。こ
の場合の多点温度計測の結果を図11に示した。図11
中のAは浮力可変固体粒子を混入した時点を示し、数字
は加熱面から温度測定点までの距離を表す。
【0050】図3より、浮力可変固体粒子の混入直後か
ら短時間のうちに加熱面近傍の水温が急激に低下し、加
熱面から離れた位置の温度が急激に上昇して、水槽内上
部と下部との温度差が緩和されることが確認された。こ
れは、混入された浮力可変固体粒子が沈降、浮上を繰り
返したためであり、この攪拌によって下方への伝熱が促
進されたことが示された。
ら短時間のうちに加熱面近傍の水温が急激に低下し、加
熱面から離れた位置の温度が急激に上昇して、水槽内上
部と下部との温度差が緩和されることが確認された。こ
れは、混入された浮力可変固体粒子が沈降、浮上を繰り
返したためであり、この攪拌によって下方への伝熱が促
進されたことが示された。
【0051】以上のことから、この発明の逆熱対流混相
流体の伝熱促進効果が確認された。 (実施例2)浮力可変固体粒子の形態を変化させ、図2
に示したようにSMA内部構造を蛇腹型とし、実施例1
と同様の実験を行った。その結果、SMA内部構造を蛇
腹型にした浮力可変固体粒子を混入した逆熱対流混相流
体にも、伝熱促進効果のあることが確認された。 (実施例3)浮力可変固体粒子の形態を変化させ、図4
に示したように外囲器として球型のSMAを用いて、実
施例1と同様の実験を行った。その結果、外囲器として
SMAを用いた浮力可変固体粒子を混入させた逆熱対流
混相流体でも、伝熱促進効果のあることが確認された。
流体の伝熱促進効果が確認された。 (実施例2)浮力可変固体粒子の形態を変化させ、図2
に示したようにSMA内部構造を蛇腹型とし、実施例1
と同様の実験を行った。その結果、SMA内部構造を蛇
腹型にした浮力可変固体粒子を混入した逆熱対流混相流
体にも、伝熱促進効果のあることが確認された。 (実施例3)浮力可変固体粒子の形態を変化させ、図4
に示したように外囲器として球型のSMAを用いて、実
施例1と同様の実験を行った。その結果、外囲器として
SMAを用いた浮力可変固体粒子を混入させた逆熱対流
混相流体でも、伝熱促進効果のあることが確認された。
【0052】もちろん、この発明は以上の例に限定され
るものではなく、細部については様々な態様が可能であ
ることは言うまでもない。
るものではなく、細部については様々な態様が可能であ
ることは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、上面加熱系等の熱効率の悪い系の伝熱効率を高め
る逆熱対流特性を有し、熱輸送機器、熱交換器機および
冷却機器に有用な、新しい逆熱対流混相流体が提供され
る。また、これにより、発熱を伴う機器の冷却方法の設
計における自由度を飛躍的に広げることができる。
って、上面加熱系等の熱効率の悪い系の伝熱効率を高め
る逆熱対流特性を有し、熱輸送機器、熱交換器機および
冷却機器に有用な、新しい逆熱対流混相流体が提供され
る。また、これにより、発熱を伴う機器の冷却方法の設
計における自由度を飛躍的に広げることができる。
【図1】この出願の発明の、逆熱対流混相流体の機能の
一例を示した概略図である。
一例を示した概略図である。
【図2】内部構造に、ベロース状のSMAを用いた浮力
可変固体粒子を例示した概略図である。
可変固体粒子を例示した概略図である。
【図3】内部構造にスプリング状のSMAを用いた浮力
可変固体粒子を例示した概略図である。
可変固体粒子を例示した概略図である。
【図4】外囲器にマイクロカプセル状のSMAを用いた
浮力可変固体粒子を例示した概略図である。
浮力可変固体粒子を例示した概略図である。
【図5】周囲の温度により中空体の浮力可変固体粒子の
体積が変化する様子を示した概略図である。
体積が変化する様子を示した概略図である。
【図6】(a)低温(約10℃)と(b)高温(約90
℃)における、SMAとプラスチック製注射器を用いた
浮力可変固体粒子を例示した断面概略図である。
℃)における、SMAとプラスチック製注射器を用いた
浮力可変固体粒子を例示した断面概略図である。
【図7】SMAばねの温度に対する発生力の関係を例示
した図である。
した図である。
【図8】水温による浮力可変固体粒子の挙動を例示した
図である。
図である。
【図9】逆熱対流混相流体の伝熱特性を調べる実験装置
の概略図である。
の概略図である。
【図10】液単相の場合の多点温度計測の結果を例示し
たグラフである。
たグラフである。
【図11】この出願の発明の逆熱対流混相流体の場合の
多点温度計測の結果を例示したグラフである。
多点温度計測の結果を例示したグラフである。
1 外殻 2 気体 3、9 浮力可変固体粒子 4 シリンダ 5 ピストン 6 SMAばね 7 水槽 8 水 10 シースヒーター 11 シース熱電対
【手続補正書】
【提出日】平成12年6月30日(2000.6.3
0)
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】以上のような特性を持つSMA、例えば、
上部加熱温度と下部冷却温度との間の温度にAf点を制
御したSMAを内部構造あるいは外囲器として利用し、
高温で体積が減少して低温では体積が膨張する機能を浮
力可変固体粒子に備えることで、逆熱対流特性を有する
逆熱対流混相流体を実現することができる。
上部加熱温度と下部冷却温度との間の温度にAf点を制
御したSMAを内部構造あるいは外囲器として利用し、
高温で体積が減少して低温では体積が膨張する機能を浮
力可変固体粒子に備えることで、逆熱対流特性を有する
逆熱対流混相流体を実現することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】図11より、浮力可変固体粒子の混入直後
から短時間のうちに加熱面近傍の水温が急激に低下し、
加熱面から離れた位置の温度が急激に上昇して、水槽内
上部と下部との温度差が緩和されることが確認された。
これは、混入された浮力可変固体粒子が沈降、浮上を繰
り返したためであり、この攪拌によって下方への伝熱が
促進されたことが示された。
から短時間のうちに加熱面近傍の水温が急激に低下し、
加熱面から離れた位置の温度が急激に上昇して、水槽内
上部と下部との温度差が緩和されることが確認された。
これは、混入された浮力可変固体粒子が沈降、浮上を繰
り返したためであり、この攪拌によって下方への伝熱が
促進されたことが示された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (72)発明者 林 宏樹 香川県高松市林町448−2 (72)発明者 川島 淳志 大阪府豊中市服部西町3−9−4 高田荘 22号室
Claims (8)
- 【請求項1】 高温で浮力が減少して低温で浮力が増加
する浮力可変固体粒子群と、その浮力可変固体粒子群の
移動媒体となる液体または気体相とからなる混相流体で
あって、浮力可変固体粒子群が高温部の熱により浮力を
減少させて沈降し、熱輸送するとともに、放熱すること
で浮力を増加させることを特徴とする逆熱対流混相流
体。 - 【請求項2】 浮力可変固体粒子は、内部構造あるいは
外囲器として使用された形状記憶合金の形状変化によっ
て浮力を変化させることを特徴とする請求項1に記載の
逆熱対流混相流体。 - 【請求項3】 内部構造としての形状記憶合金は、スプ
リングあるいはベロースの形状を記憶していることを特
徴とする請求項2に記載の逆熱対流混相流体。 - 【請求項4】 外囲器としての形状記憶合金は、球形を
記憶していることを特徴とする請求項2に記載の逆熱対
流混相流体。 - 【請求項5】 形状記憶合金は、Ti−Ni系合金であ
ることを特徴とする請求項2ないし4いずれかに記載の
逆熱対流混相流体。 - 【請求項6】 浮力可変固体粒子は、中空体であって、
内部に常温で1気圧以上の気体が封入されていることを
特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の逆熱対流
混相流体。 - 【請求項7】 浮力可変固体粒子は、大きさが数μm〜
数十cmであることを特徴とする請求項1ないし6いず
れかに記載の逆熱対流混相流体。 - 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の逆
熱対流混相流体からなる伝熱用混相流体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000069510A JP2001262133A (ja) | 2000-03-13 | 2000-03-13 | 逆熱対流混相流体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000069510A JP2001262133A (ja) | 2000-03-13 | 2000-03-13 | 逆熱対流混相流体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001262133A true JP2001262133A (ja) | 2001-09-26 |
Family
ID=18588370
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000069510A Pending JP2001262133A (ja) | 2000-03-13 | 2000-03-13 | 逆熱対流混相流体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001262133A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005108312A1 (ja) * | 2004-05-07 | 2005-11-17 | Ohnishi-Mfg Co., Ltd. | 流体循環システム |
JP2010254489A (ja) * | 2009-04-22 | 2010-11-11 | Panasonic Corp | 光触媒水素生成デバイス |
CN105526808A (zh) * | 2016-01-21 | 2016-04-27 | 霍奇志 | 逆流气-固直接接触换热器 |
KR20190054304A (ko) * | 2017-11-13 | 2019-05-22 | (주)에너지허브 | 캡슐형태의 상변환물질을 이용한 피동냉각 열교환 시스템 |
-
2000
- 2000-03-13 JP JP2000069510A patent/JP2001262133A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005108312A1 (ja) * | 2004-05-07 | 2005-11-17 | Ohnishi-Mfg Co., Ltd. | 流体循環システム |
JP2010254489A (ja) * | 2009-04-22 | 2010-11-11 | Panasonic Corp | 光触媒水素生成デバイス |
CN105526808A (zh) * | 2016-01-21 | 2016-04-27 | 霍奇志 | 逆流气-固直接接触换热器 |
KR20190054304A (ko) * | 2017-11-13 | 2019-05-22 | (주)에너지허브 | 캡슐형태의 상변환물질을 이용한 피동냉각 열교환 시스템 |
KR101984767B1 (ko) * | 2017-11-13 | 2019-05-31 | (주)에너지허브 | 캡슐형태의 상변환물질을 이용한 피동냉각 열교환 시스템 |
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