JP2001255248A - 積層材料の層間破壊じん性試験装置 - Google Patents

積層材料の層間破壊じん性試験装置

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JP2001255248A
JP2001255248A JP2000065581A JP2000065581A JP2001255248A JP 2001255248 A JP2001255248 A JP 2001255248A JP 2000065581 A JP2000065581 A JP 2000065581A JP 2000065581 A JP2000065581 A JP 2000065581A JP 2001255248 A JP2001255248 A JP 2001255248A
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fracture toughness
laminated material
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JP2000065581A
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Hiroyuki Kawada
宏之 川田
Kuniyasu Nakaya
久仁康 中屋
Hideshige Moriyama
英重 森山
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Waseda University
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Waseda University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維強化プラスチックなどの積層材料におけ
る層間破壊じん性などの機械的特性値を限られたスペー
スで、極低温下でも精度よく測定することのできる装置
を提供する。 【解決手段】 両端に第1及び第2のベアリング8A,
8Bを有する一対の取付部材5,5間にFRPによる試
験片14を挟着する。この取付部材5,5の第1のアリン
グ8Aをレール部材4上に載置し、試験片14を接着した
一対の取付部材5,5の第2のベアリング8B間にくさ
び状部材10の挿入部11を挿入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化プラスチ
ック(FRP)などの積層材料における層間破壊じん性
などの層間強度を測定するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチック(FRP)など異
種材料を積層してなる複合材料は、その物性の向上に比
して廉価であることから、各種用途において広く用いら
れている。特に繊維強化プラスチックは、低温下での強
度特性、断熱性の高さなどから低温環境で用いられる構
造部材として好適であり、近年ではロケットの燃料タン
クや超伝導機器の断熱支持材などの極低温環境下での使
用に注目が集まっている。
【0003】しかしながら、前述したFRPなどの積層
材料は、必ず異種材料との接触面を有し、これら異種材
料間の界面を有する構造となっているため、その積層方
向に対して物性に偏りが生じてしまう。この積層方向に
おける強度は、異種材料間の界面での接着強度に大きく
依存することになるが、従来、繊維強化プラスチックな
どの破壊に至る強度特性、特に低温下での強度特性を測
定する装置としては、精度が高くコンパクトなものがな
く、これらの強度を十分に測定することができなかった
ため、実用化へ向けての設計に支障をきたす場合があっ
た。このため、積層材料の強度、安全性、信頼性の向上
を図るためにもこれらの積層材料の層間破壊じん性など
の層間強度を測定するための装置が求められている。と
りわけ、ロケットなどの航空・宇宙分野や超伝導に関す
る分野での適用を試験するためには、極低温環境下で試
験を行わなければならない。かかる極低温環境は、液体
ヘリウムや液体窒素を満たした容器(クライオスタッ
ト)を設けることで具現化されるが、液体ヘリウムや液
体窒素を大量に使用するのは現実的ではないことから、
この容器の大きさには限度がある。したがって、限られ
たスペースで実験可能であり、しかも極低温環境下でも
精度の高い測定が可能な装置が必要とされる。
【0004】そこで、このような積層材料の層間破壊じ
ん性を測定する装置として、図14に示すようなものが提
案されている。すなわち、同図において、31はチャンバ
であり、このチャンバ31の底部には取付用冶具32が設け
られている。この取付用冶具32には、固定側把持部材33
が固設されていて、ここに予め開裂部35を形成しておい
た積層材料である試験片34の一側が固定されている。ま
た、36はチャンバ31内に摺動自在に設けられた図示しな
いロードセル(荷重測定手段)に接続した引張部材であ
り、この引張部材36の先端には、可動側把持部材37が設
けられていて、ここに試験片34の開裂部35の他側が固定
されている。なお、38は開裂部35からの層間剥離の進展
を計測するためのゲージである。
【0005】このような装置において、チャンバ31内に
所定量の液体ヘリウム(LHe)を充填し、積層材料で
ある試験片34を積層方向を図示上下方向として開裂部35
の両側をそれぞれ固定側把持部材33及び可動側把持部材
37に取り付ける。そして、引張部材36を徐々に引き上げ
ていくと、開裂部35から層間剥離が進展するのでゲージ
38の値からその開口変位を測定するとともに、ロードセ
ルによりその際の抵抗値(開口荷重)を計測する。これ
を液体ヘリウム条件下で測定するとともに、常温あるい
は液体窒素条件下でも測定して、積層材料の低温下での
層間破壊じん性を評価する、というものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したような装置に
より積層材料の層間破壊じん性などの層間強度の測定及
び評価が可能となったが、その後の研究の結果、上記装
置では必ずしも十分でない場合があることがわかった。
すなわち、引張部材36はチャンバ31内を摺動自在に上下
動することになるが、この際の抵抗が試験片34を開裂す
る際の抵抗値(開口荷重)に含まれてしまい、特に液体
窒素や液体ヘリウムなどの極低温下においては、ピン接
合部である固定側把持部材33、開裂部35、可動側把持部
材37の回転部が凍結するため初期層間破壊時には瞬間的
に非常に大きな初期開口荷重を示すことになり、精度的
にいまだ改善の余地のあるものであった。また、この装
置では、固定側把持部材33及び可動側把持部材37に試験
片34を把持させる必要があるため試験片34の大きさもあ
る程度以上は必要である上に、棒状の引張部材36でチャ
ンバ31の外側から試験片34を引っ張る構造であるため、
装置自体の小型化も十分ではなかった。
【0007】本発明はかかる課題に鑑みてなされたもの
であり、繊維強化プラスチックなどの積層材料における
層間破壊じん性などの機械的特性値を限られたスペース
で、極低温下でも精度よく測定することのできる装置を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
積層材料の層間破壊じん性試験装置は、枠体とこの枠体
に固定された一対の平行なレール部材とからなる台部
と、前記一対のレール部材の間隔に対応して円形のベア
リング部材を有する一対の取付部材と、前記一対の取付
部材間における前記ベアリング部材の間隙に挿入される
くさび状部材とを備えるものである。このような構成を
採用することにより、前記一対の取付部材の対向挟持面
と試験片である積層材料の平面との間を接着剤で強固に
接着し、この一対の取付部材のベアリング部材の間隙に
くさび状部材を徐々に挿入すると、くさび状部材はベア
リング部材で摺動するとともにベアリング部材の下側が
レール部材に支持されているため、一対の取付部材の間
隔を抉じ開ける方向、すなわち横方向にのみ荷重が伝達
される。また、取付部材が横方向に開く際には、ベアリ
ング部材はレール部材により横方向にのみ摺動すること
になる。これらにより、くさび状部材を上部から押し下
げても試験片に圧縮荷重がかかることがなく、純粋に横
方向にのみ荷重が加わることになるので、積層材料の層
間破壊じん性を精度よく測定することができる。しか
も、試験片の大きさが小さくても測定可能であり、装置
の構造もシンプルであるので、装置のコンパクト化を図
ることができる。これらにより、低温環境下の限られた
スペースでも測定可能となっている。
【0009】また、請求項2記載の積層材料の層間破壊
じん性試験装置は、前記請求項1において、前記ベアリ
ング部材が前記レール部材に載置される第1のベアリン
グと、前記くさび状部材が挿入される第2のベアリング
との2重構造を有するものである。このため、レール部
材に載置され横方向に摺動する第1のベアリングと、く
さび状部材を挿入する際にその圧縮荷重を横方向に逃が
すベアリングとをそれぞれ独立して設けることにより、
くさび状部材による荷重が圧縮荷重としてかかることが
なく、横方向にのみ作用する効果をより顕著なものとす
ることができる。
【0010】さらに、本発明の請求項3記載の積層材料
の層間破壊じん性試験装置は、前記請求項1又は2にお
いて、前記ベアリング部材が潤滑材として固形潤滑材を
使用したものである。このため、潤滑材が極低温域でも
凍結することがないため、広い温度範囲で層間破壊じん
性を測定することができる。
【0011】
【発明の実施形態】以下、本発明の積層材料の層間破壊
じん性試験装置について添付図面を参照して詳細に説明
する。
【0012】図1乃至図4は、本発明の一実施形態によ
る層間破壊じん性試験装置を示しており、同図におい
て、1は枠体たる載置台であり、この載置台1は、略矩
形の底板部材2の四隅に垂直上方に支持腕部材3,3…
を延設した構造を有し、この支持腕部材3の2本を1組
として一対のレール部材4,4が底板部材2の底面2A
に対してほぼ水平に設けられている。
【0013】また、5,5は一対の取付部材であり、こ
の取付部材5,5は、レール部材4,4の内間隔hより
短いブロック状の取付部材本体6の両端にベアリング部
材8,8を軸部材7により回動自在に枢着してなる。こ
のベアリング部材8は、スペーサリング9を介在して外
側から第1のベアリング8Aと第2のベアリング8Bの
それぞれ独立した二重構造となっていて、前述したレー
ル部材4,4上に第1のベアリング8A,8Aが丁度位
置する間隔となっている。特に、本実施形態において
は、この第1及び第2のベアリング8A,8Bは高温用
の仕様のものを使用する。具体的には、潤滑材として固
体潤滑材を用いており、内部構造(図示せず)において
は、内部すきまを通常より僅かに大きく設定するととも
に、保持器の摺動面にPTFEなどのフッ素樹脂コーテ
ィングを施すなどしたものである。かかる仕様のベアリ
ングを用いることにより、極低温下でもベアリング自体
が固着したり、あるいは潤滑材が凍結することがなく、
優れた摺動性を維持することができる。このようなベア
リング8A,8Bとしては、例えば、SE696−2Z
ZSTMPD7M5(光洋精工(株)製)などを用いる
ことができる。
【0014】さらに、10はくさび状部材であり、このく
さび状部材10は、取付部材5の第2のベアリング8B,
8Bの間隔と同じ間隔に設定された挿入部11、11をブリ
ッジ12で連結した構造を有し、このブリッジ12の上側中
央は軸部13となっていて、軸部13の先端側は昇降機構に
取り付けられた負荷計測手段たるロードセル(図示せ
ず)に接続しており、さらにこのロードセルは万能形引
張試験機(図示せず)などの記録装置に接続していて、
くさび状部材10が全体として昇降可能となっているとと
もに、その際の負荷が計測可能となっている。そして、
この挿入部11は所定の角度(本実施態様においては20
°)となっている。
【0015】上述したような載置台1、取付部材5及び
くさび状部材10はステンレスなどの汎用の鉄系合金製と
すればよく、例えばSUS304などを用いることがで
きる。
【0016】また、図5及び図6に示すように積層材料
である試験片14は、汎用エポキシ樹脂をマトリックスと
して炭素繊維(東邦レーヨン(株)製IM600)を1
4層に積層した厚さ約2mmのCFRPから繊維方向を
長手方向として100mm×20mmのプレ試験片15を
切り出したものであり、一端側から30mmまでには中
心に予き裂材としてテフロンフィルム(厚さ12μm)
16を成形時に介在させてある。そして、このテフロンフ
ィルム16を介在させた端部の両面に前述した取付部材本
体6を接着する。なお、この際の接着剤としては、線膨
張係数が小さく、かつ接着強度が予想される層間接着強
度より大きいものを適宜選択して使用することができ
る。
【0017】次に、このような層間破壊じん性試験装置
を備えた測定機構に図7に基づいて説明する。図7にお
いて基台21上には、昇降装置22とクライオスタット支持
用冶具23が設けられており、昇降装置22にはロードセル
24が付設されていて、このロードセル24に前述した載置
台1と取付部材5とくさび状部材10とからなる試験装置
25の軸部13が接続されている。なお、26は、試験装置25
の設置用冶具である。一方、クライオスタット支持用冶
具23には、前記試験装置25の下側に位置してクライオス
タット27が昇降可能に設けられており、このクライオス
タット27に必要に応じて液体窒素や液体ヘリウムを充填
し、昇降することにより設置用冶具26を冷却することが
可能となっている。
【0018】前記構成につきその作用について説明す
る。
【0019】まず、試験片14を取付部材本体6に接着
し、ロードセル24に軸部13を介してくさび状部材10を取
り付ける。また、載置台1をくさび状部材10の中心に合
わせて取り付ける。そして、試験片14を挟着した取付部
材5,5を第1のベアリング8Aがレール部材4上とな
るとともに第2のベアリング8B,8Bの間隙に挿入部
11,11が位置するように設置したら、くさび状部材10の
荷重を原点に設定し、挿入部11,11の先端を一対の取付
部材5,5の第2のベアリング8B,8Bの間隙にそれ
ぞれ当接させる。このときの挿入部11,11の位置を変位
の原点とする。このようにして試験片14の設置を完了し
たら、非常にゆっくりと昇降装置22を降下させる。
【0020】そうすると、図8及び図9に示すように昇
降装置22からの荷重Fc(ロードセル24の値)は、挿入
部11から第2のベアリング8Bに伝達される。この際、
第2のベアリング8Bに伝達される荷重Fbは、挿入部
11の先端の角度を2αとするとFb=Fc/2sinα
…(1)で表される。ここで取付部材5は、第1のベア
リング8Aを介してレール部材4に支持されているた
め、水平方向にのみ移動可能となっている。これにより
取付部本体6に接着された試験片14に加わる荷重Fhは
Fh=Fbcosα…(2)で表され、レール部材4に
加わる荷重FvはFv=Fbsinα…(3)で表され
る。したがって、試験片14に加わる荷重Fhを昇降装置
22における荷重Fcを基準として表すと、Fh=Fc/
2tanα…(4)となる。また、挿入部11の変位Dc
と取付部本体6,6間(試験片14)の開口変位Dhは、
Dh/2Dctanαで表される。したがって、式
(3)及び(4)をマイクロコンピュータなどの計算機
に予めインプットしておくことにより、ロードセル24の
値と挿入部11の位置(昇降装置22の昇降量)とから、試
験片14の開口変位と試験片14の開裂に要する荷重(開口
荷重)とを算出することができる。そして、この際の測
定精度は、挿入部11の先端部の角度により適宜調整する
ことができる。なお、上述したような積層材料その積層
方向に対して横方向に引っ張る層間破壊じん性試験は、
モードI層間破壊じん性試験と呼ばれるものであり、積
層材料の層間破壊の評価において最も一般的試験方法で
ある。
【0021】以上詳述したように本発明の一実施態様に
よる層間破壊じん性試験装置によれば、両端に第1及び
第2のベアリング8A,8Bを有する一対の取付部材
5,5間にFRPによる試験片14を挟着し、この取付部
材5,5の第1のベアリング8Aをレール部材4上に載
置し、試験片14を挟着した一対の取付部材5,5の第2
のベアリング8B間にくさび状部材10の挿入部11を挿入
するものであるため、挟着した一対の取付部材5,5は
レール部材4に沿って横方向(試験片14の開裂方向)の
みに移動するので、試験片14の層間破壊じん性を正確に
測定することができる。また、装置自体のコンパクト化
も達成できる。しかも、ベアリング部材8をレール部材
4に載置される第1のベアリング8Aと、くさび状部材
10の挿入部11が挿入される第2のベアリング8Bとの2
重構造として、それぞれ独立させているので、前述した
挿入部11を挿入する際の荷重が圧縮荷重としてかかるこ
とがなく、横方向にのみ作用するという効果をより顕著
なものとすることができようになっている。特に、本実
施態様においては、ベアリング8A,8Bとして固形潤
滑材を使用したものを用いているので、潤滑材が極低温
域でも凍結することがないため、広い温度範囲で層間破
壊じん性を測定することができるものとなっている。
【0022】上述したような本実施態様の積層材料の層
間破壊じん性試験装置は、JISなどで提案されている
DCB試験における試験片14を固定するための特別な冶
具を必要としないため、極低温環境を実現するクライオ
スタット27内での実験に好適である。また、開口量の増
大に伴う試験片14の位置調整も不要であるため、より純
粋に開口荷重を負荷することが可能である。また、試験
片14の交換も容易である。さらに、ロードセル24で測定
された荷重から開口荷重を高精度に算出することがで
き、また、挿入部11の変位から開口変位を高精度に算出
することができる。特に開口変位は、挿入部11の変位、
すなわち昇降装置22の昇降量から算出できるので、変位
計やゲージなどを取り付ける必要がなく、装置をより単
純化することができ、試験も簡便に行うことができる、
という効果も奏する。
【0023】以上本発明について添付図面を参照して説
明してきたが、本発明は前記実施態様に限定されるもの
ではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、測定
対象となる物性としてはじん性に限らず、層間破壊に関
するものであれば他の強度特性にも応用可能であり、ま
た、その温度範囲も高温から極低温まで広い範囲で適用
可能である。さらに、積層材料としては、炭素繊維強化
プラスチックに限らず、他の繊維強化プラスチックやそ
の他の各種積層材料に適用可能である。
【0024】
【実施例】以下の具体的実施例に基き本発明をさらに詳
細に説明する。実施例1 汎用エポキシ樹脂をマトリックスとして炭素繊維(東邦
レーヨン(株)製IM600)を14層に積層した厚さ
約2mmのCFRPから繊維方向を長手方向として10
0mm×20mmのプレ試験片15を切り出し、一端側か
ら30mmまでに中心に予き裂材としてテフロンフィル
ム(厚さ12μm)16を成形時に介在させ図5及び図6
に示す試験片14を作製し、その両側に図1乃至図4に示
す本発明の層間破壊じん性試験装置の取付部材本体6,
6にそれぞれ接着し、図7に示す測定装置により、29
3K及び77Kにおける開口変位及び開口荷重を測定し
た。なお、77Kにおける冷却媒体としては液体窒素を
使用した。結果を開口変位−開口荷重曲線のグラフとし
て図10及び図11にそれぞれ示す。また、これらにより算
出されるき裂進展抵抗曲線を図12に示す。さらに、それ
ぞれの温度におけるこれらの物性の平均値を表1に示
す。なお、図10のグラフにおいて途中原点に向かう線図
は試験中に除荷負荷を行ったときのものである。
【0025】
【表1】
【0026】図10乃至図12から明らかなように、293
Kにおけるき裂進展曲線は、き裂開始時から破壊じん性
の向上が認められ、き裂進展後の収束値はき裂開始時と
比較して約2倍の値を示していることがわかる。これは
き裂先端後方において繊維架橋が起こるためであると考
えられる。これに対し77Kにおけるき裂進展曲線は、
き裂進展開始後もほぼ一定値を示すことがわかる。これ
は293Kで見られた繊維架橋が77Kではほとんど生
じないためであると考えられる。
【0027】また、図10乃至図12のグラフでは、常温
(293K)及び極低温(77K)における値がいずれ
も自然な傾向をもって現れており、また特異点やノイズ
なども特にないことから、本発明の積層材料の層間破壊
じん性試験装置は、常温(293K)から極低温(77
K)の幅広い範囲で精度よく層間破壊じん性試験を行う
ことができることがわかる。比較例1 比較のために180℃硬化型のエポキシ樹脂による炭素
繊維強化プラスチックから幅12.7mm、厚さ4.5
mmの一方向材を切り出し、予開裂を形成して、図14に
示すような装置において常温(RT)、液体窒素温度
(77K:LN2)及び液体ヘリウム温度(4K:LH
e)における開口変位と開口荷重とをそれぞれ測定した
結果を図13に示す。
【0028】図13から明らかなように、図14に示す装置
による層間破壊荷重の測定結果では、初期開口時から定
常化した後は開口荷重は安定した傾向を示すものの、い
ずれの温度領域でも初期開口時に負荷が大きく跳ね上が
っており、精度の点で必ずしも十分なものでないことが
わかる。これは、ピン接合部材である固定側把持部材3
3、開裂部35、可動側把持部材37の回転部などにおいて
凍結したためではないかと考えられる。
【0029】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の積層材料の層間
破壊じん性試験装置は、枠体とこの枠体に固定された一
対の平行なレール部材とからなる台部と、両端に円形の
ベアリング部材を有する前記一対のレール部材の間隔対
応した長さを有する一対の取付部材と、前記一対の取付
部材における前記ベアリング部材の間隙に挿入されるく
さび状部材とを備えるものであるので、くさび状部材に
よる荷重が圧縮荷重としてかかることがなく横方向にの
み作用するため、積層材料の層間破壊じん性を精度よく
測定することができる。しかも、試験片の大きさが小さ
くても測定可能であり、装置の構造もシンプルであるの
で、装置のコンパクト化を図ることができる。これによ
り、低温環境下の限られたスペースでも測定可能となっ
ている。
【0030】また、請求項2記載の積層材料の層間破壊
じん性試験装置は、前記請求項1において、前記ベアリ
ング部材が前記レール部材に載置される第1のベアリン
グと、前記くさび状部材が挿入される第2のベアリング
との2重構造を有するものであるので、くさび状部材に
よる荷重が圧縮荷重としてかかることがなく、横方向に
のみ作用する請求項1の効果をより顕著なものとするこ
とができる。
【0031】さらに、本発明の請求項3記載の積層材料
の層間破壊じん性試験装置は、前記請求項1又は2にお
いて、前記ベアリング部材が潤滑材として固形潤滑材を
使用したものであるので、潤滑材が極低温域でも凍結す
ることがないため、広い温度範囲で層間破壊じん性を測
定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による積層材料の層間破壊じ
ん性試験装置を示す正面図である。
【図2】前記装置のレール部材及びくさび状部材を示す
拡大斜視図である。
【図3】前記装置の取付部材を示す側面側からの平面図
である。
【図4】前記装置のくさび状部材を示す側面側からの平
面図である。
【図5】前記装置により試験する試験片を示す平面図で
ある。
【図6】前記試験片を示す正面側からの平面図である。
【図7】前記層間破壊じん性試験装置を組み込んだ測定
装置を示す概略図である。
【図8】前記装置の作用を示す拡大図である。
【図9】前記装置の作用を示す拡大図である。
【図10】前記装置による常温(293K)での開口変
位及び開口荷重の測定結果を示すグラフである。
【図11】前記装置による液体窒素条件(77K)での
開口変位及び開口荷重の測定結果を示すグラフである。
【図12】前記装置による常温(293K)及び液体窒
素条件(77K)での開口変位及び開口荷重の測定結果
から算出したき裂進展抵抗曲線を示すグラフである。
【図13】従来の装置による常温、液体窒素条件及び液
体ヘリウム条件での開口変位及び開口荷重の測定結果を
示すグラフである。
【図14】従来の積層材料の層間破壊じん性試験装置を
示す概略図である。
【符号の説明】
1 載置台(枠体) 2 底板部材(枠体) 3 支持腕部材(枠体) 4 レール部材 5 取付部材 8 ベアリング部材 8A 第1のベアリング 8B 第2のベアリング 10 くさび状部材 14 試験片(積層材料)
フロントページの続き (72)発明者 森山 英重 東京都新宿区大久保3−4−1 早稲田大 学理工学部内 Fターム(参考) 2F051 AA00 AB09 BA00 2G061 AA15 AB01 AC04 BA01 CA10 CA16 CB03 CB08 DA01 EB05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 枠体とこの枠体に固定された一対の平行
    なレール部材とからなる台部と、前記一対のレール部材
    の間隔に対応して円形のベアリング部材を有する一対の
    取付部材と、前記一対の取付部材間における前記ベアリ
    ング部材の間隙に挿入されるくさび状部材とを備え、前
    記一対の取付部材の対向挟持面と試験片である積層材料
    の平面との間を接着剤で強固に接着し、該一対の取付部
    材のベアリング部材間にくさび状部材を徐々に挿入する
    ことにより一対の取付部材の間隔を抉じ開け、前記積層
    材料の層間を破壊することを特徴とする積層材料の層間
    破壊じん性試験装置。
  2. 【請求項2】 前記ベアリング部材が前記レール部材に
    載置される第1のベアリングと、前記くさび状部材が挿
    入される第2のベアリングとの2重構造を有することを
    特徴とする請求項1記載の積層材料の層間破壊じん性試
    験装置。
  3. 【請求項3】 前記ベアリング部材が潤滑材として固形
    潤滑材を使用したものであることを特徴とする請求項1
    又は2記載の積層材料の層間破壊じん性試験装置。
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