JP2001249096A - 非接触検査装置 - Google Patents

非接触検査装置

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JP2001249096A
JP2001249096A JP2000057828A JP2000057828A JP2001249096A JP 2001249096 A JP2001249096 A JP 2001249096A JP 2000057828 A JP2000057828 A JP 2000057828A JP 2000057828 A JP2000057828 A JP 2000057828A JP 2001249096 A JP2001249096 A JP 2001249096A
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infrared
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Takeshi Naganuma
健 長沼
Takahide Sakagami
隆英 阪上
Kazumasa Matsuyama
和正 松山
Seiji Nakajima
省志 中嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯の初期う蝕などのように、表面の観察だけ
ではわからない被験物の内部状態を、短時間で簡単かつ
安全に検査できる装置を提供する。 【解決手段】 電磁波照射部1から被験物の検査部位に
対してエネルギーの照射を行い、これによる被験物の温
度上昇を測定するため赤外線撮像部2によって赤外線画
像の取得を一定時間続ける。この画像を画像処理装置5
で数値データに変換した後、コンピュータ6で温度上昇
の程度の分布を分析し、その結果をテレビモニタ7に表
示する。もしう蝕があれば、そのう蝕部分は健全部分に
比べて温度上昇の度合いが大きいため、表示された画像
を見てう蝕の検出および場所の特定をすることができ
る。従来技術では発見し得なかった初期う蝕も検出で
き、早期治療に大きな効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として歯のう
蝕の検出などに用いられる非接触検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯の喪失の50%以上はう蝕に起因して
おり、歯の喪失予防の点でう蝕予防は極めて重要な意義
がある。しかし、う蝕はまず歯の表面下で脱灰が進行す
るため、肉眼で見えないままに悪化し、自覚症状が現れ
たり肉眼で検知されたときには既に保存治療が必要とな
るほど既に悪化してしまっており、う蝕の初期予防は難
しい。
【0003】最近では、初期う蝕の段階であればフッ化
物の適用によって元の健全な脂質に回復できるとの指摘
もされており、う蝕予防や歯牙の喪失予防に関して、初
期う蝕の検出がより一層重要となってきている。従っ
て、歯の表面下で脱灰が起こり始めた初期の状態でこれ
を検知できれば、脱灰の進行をくい止める適切な処置を
施すことが可能となり、予防治療上極めて有効である。
【0004】図3は、歯の構造と初期う蝕例を示す断面
図であり、図示するように、歯牙は骨髄層Bの外側に象
牙層Iが形成され、さらにその外側がエナメル層Eで覆
われている。符号Pは歯牙のエナメル層E内に形成され
るう蝕であって、通常は歯牙の表面から僅かな距離を隔
てた内側に、歯牙表面の形状に沿って広がるように分布
する。
【0005】従来よりう蝕の検出に用いられ、または研
究されている技術は次のようなものである。 (1)探針とデンタルミラーを用いて、実質欠損を伴っ
たう蝕を視覚的に検知する視診。 (2)レントゲン(エックス線)写真の像によるう蝕の
検出。 (3)歯牙の電気抵抗値を測定することによるう蝕の検
出。
【0006】また、特に初期う蝕の検出を目的として、
次のような種々の方法が試みられている(B. A. Mansso
n, J. J. ten Bosch :Advances in Methods for Diagno
singCoronal Caries - A Review, Advance in Dental R
esearch 7 (2):70:79, 1993)。 (4)脱灰部位と健全部位との光の透過性の差を利用
し、強力な可視光線を歯牙に照射して、う蝕を影として
検出する方法。 (5)歯牙にレーザまたは近紫外線を照射し、歯牙から
の蛍光放射量の差を利用して脱灰歯質と健全歯質とを区
別する方法。 (6)脱灰歯質の表面が白く観察されることを利用し
て、光散乱法により健全歯質と脱灰歯質とを区別する方
法。 (7)歯牙に色素を染み込ませ、脱灰歯質と健全歯質と
の間での歯質結晶の空隙度の差すなわち染色度の差を利
用して両者を区別する方法。 (8)脱灰歯質と健全歯質との間のミネラル密度の違い
による超音波の伝搬特性の差を利用して両者を区別する
方法。
【0007】また、本願発明者らと同一のグループによ
る次の発明もある。 (9)脱灰部位と健全部位との間の水分含有率の差を利
用して、空気を吹き付けて水分を気化させたり、液体を
滴下したり、熱源の接触によって熱を供給したりしたと
きの両者の温度変化を、赤外線撮像によって観察し区別
する(特開平8−233758号)。
【0008】また、長澤らによる次のようなう蝕診断法
もある(BIOCHEMICAL THERMOLOGY,vol.18, number 2, 1
08-110, September 1998 )。 (10)10〜20WのエネルギーのYAGレーザーを
0.2秒間被験歯に照射し、照射による温度上昇の程度
によりう蝕度を評価する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上に述べた(1)〜
(9)の方法には、それぞれに課題があり、それらを解
決した新しい方法およびそのための装置が望まれてい
る。以下にそれら課題を説明する。
【0010】(1)の探針とデンタルミラーによる方法
は、視診による確認に限界があり、初期脱灰の程度を良
好かつ客観的に評価することが極めて困難である。
(2)のレントゲン写真による方法も、(1)と同様に
初期の微妙な脱灰を見つけることは困難であることが知
られている。(3)の電気抵抗測定による方法は、測定
部位、口腔内の乾燥条件、測定時間などの測定方法によ
る測定値のばらつきが大きく、本格的実用のための問題
がまだ解決されていないため広く普及するに至っていな
い。
【0011】(4)の光の透過性の差の利用による方法
が適しているのは、象牙質に届くほどの大きなう蝕であ
って、しかも歯の隣接面う蝕の場合に限られている。ま
た充填物がある場合や咬合面う蝕の場合には適さない。
(5)の歯牙からの蛍光照射量を利用する方法は、脱灰
に起因する白斑(初期う蝕)と脱灰に起因しない白斑
(例えば形成異常の歯質)との区別が困難であり、ま
た、レーザや近紫外線の照射のための装置や蛍光の検出
のための装置が大型になるという欠点がある。(6)の
光散乱法による方法は、脱灰以外の原因で白くなる形成
異常歯の場合や、乱反射の大きい咬合面の測定に適さな
いという欠点がある。
【0012】(7)の色素利用の方法は、使用する色素
やその溶媒の安定性や安全性が確保されなければならな
いという課題の他に、色素が歯以外の部分に付着してし
まうという欠点がある。(8)のミネラル密度の違いを
利用する方法では、初期の小さなう蝕を検知することが
できず、形状が複雑な咬合面ではその誤差により正確な
測定ができず、また装置の小型も困難であるという欠点
がある。
【0013】(9)の赤外線撮像による温度差測定の原
理は有効である。しかし、例えば空気の吹き付けや液体
の滴下や熱源の接触による温度変化の測定には時間がか
かるといった欠点があり、脱灰の部位や程度が多様に異
なる初期う蝕を適切に検出し診断するには、より手軽な
操作でより短時間に測定できることが課題である。
【0014】(10)のYAGレーザー照射による温度
上昇を測定する方法は、大型のレーザー装置を必要とす
るという問題がある。また、照射時間も0.2秒程度必
要で、より一層短い時間でのエネルギー照射および測定
が可能となることが望まれる。
【0015】この発明は、上記のような事情を考慮して
なされたものであり、初期の脱灰による小さなう蝕も検
出することができ、検査部位や被験歯特有の色または形
状や充填物を含む場合などに依存しない測定結果を得る
ことができ、検査方法に依存した測定結果のばらつきが
小さく、かつ簡単な手順で短時間に測定することのでき
る非接触検査装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、被験物にエネルギーを照
射する電磁波照射部と、前記被験物から輻射される赤外
線の分布を、前記電磁波照射部によるエネルギー照射後
に測定する赤外線撮像部と、この赤外線撮像部によって
得られた画像を分析する分析手段とを備えることを特徴
とする。この分析手段は、例えば、電磁波照射後の被験
物の温度上昇のピークを検出し、このピーク温度と電磁
波照射前の温度との差を求め、その温度差の分布状況を
画像化する。この発明により、短時間照射による電磁波
エネルギーを被験歯に与え、その温度上昇の程度の違い
によって脱灰歯質と健全歯質を区別できるため、短時間
で簡単に検査を行うことができると同時に、電磁波発生
および照射に関する部材を小型で簡単な構成とすること
ができ、これらが特開平8−233758号の発明に対
する大きな改善点となっている。
【0017】また、請求項2に記載の発明は、エネルギ
ーおよび信号を伝達する伝達手段を有し、この伝達手段
は細長く、自由に変形する材質で作られており、この伝
達手段の一端に前記電磁波照射部および前記赤外線撮像
部が一体となって配置されており、前記電磁波照射部に
必要なエネルギーをこの伝達手段を介して伝達するよう
になっており、前記赤外線撮像部からの画像信号をこの
伝達手段を介して前記分析手段に伝達するようになって
いることを特徴とする請求項1に記載の非接触検査装置
である。この発明により、検査者は一体となった電磁波
照射部と赤外線撮像部を片手で支持して被験物にあてる
ことが可能となり、また伝達手段が自由に変形すること
によって、従来方法では測定困難であった咬合面や隣接
面や奥歯の頬側および舌側などの部位も観察しやすくな
る。
【0018】請求項3に記載の発明は、前記電磁波照射
部は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、白熱灯、蛍光
灯のいずれかを用いた光線の照射を行い、前記電磁波照
射部が前記被験物にエネルギーを照射する時間は0.0
1ミリ秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の非接触検査装置であ
る。この発明による作用および効果は次の通りである。
まず第1に、この範囲の時間が特に脱灰歯質と健全歯質
の識別に適している。つまり照射時間がこれより短いと
識別するのに充分な温度変化を起こすことができず、ま
たこれより長いと双方の温度変化が大きすぎてその違い
を識別するのが困難となる。第2に、短時間で照射する
ため、検査者によって支持されている電磁波照射部の位
置のぶれの影響を受けず、被験物への照射範囲に一様に
電磁波エネルギーを与える。第3に、照射時の消費エネ
ルギーが少なくて済む。第4に、レーザー光などを使用
する場合に比べて、照射用の光源を小型かつ安価に実現
することができる。
【0019】請求項4に記載の発明は、口腔内形状に応
じた形状を有することにより前記赤外線撮像部の撮像位
置を安定化する補助装置を備えることを特徴とする請求
項1〜3のいずれかに記載の初期う蝕検出装置である。
この発明では、補助装置の形状と口腔内形状とが合い双
方の位置関係が互いに安定する。これにより、補助装置
が取り付けられた赤外線撮像部の口腔に対する位置が安
定する。よって、赤外線撮像部はぶれの少ない画像を取
得することができ、そのような画像を基にした測定の精
度を向上させることができるため、歯におけるC0〜C
1程度の初期う蝕の検知を短時間で正確に行うことがで
きるようになる。
【0020】電磁波照射の具体的手段としては、例え
ば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、白熱灯、蛍光灯
などを用いることができる。これにより、この部分を簡
単な構成で安価に実現することができ、部品の入手もし
やすい。
【0021】また、電磁波照射部や赤外線撮像部の付近
に検査しやすくするための補助装置を設けることも効果
がある。この補助装置とは、例えば、検査時の安定性を
増すために検査部位の形状にあわせたアダプタや、赤外
線撮像部と被験歯との距離を一定に保つスペーサーや、
電磁波照射および赤外線撮像の方向を容易にあわせるこ
とができるようにした機構である。また、前歯の舌側や
奥歯を撮像する際には、赤外線反射率の高い金鏡も用い
ることができるようにする。これにより、被験歯の咬合
面や隣接面や奥歯の頬側および舌側といった通常では観
察しにくい部位を容易に観察することができるようにな
る。
【0022】また、請求項2に記載の発明では、電磁波
照射部と赤外線撮像部の両方を自由に変形する伝達手段
(光ファイバ等)の先に取り付けることとしているが、
このうち片方を何らかの他の手段で支持・固定するほう
が都合がよい場合は、残りの他方のみを光ファイバ等の
先に取り付けても良い。
【0023】また、前記分析手段の一例として、プログ
ラム制御のコンピュータシステムを用いることができ
る。また、このコンピュータシステムに不揮発性記録単
体を用いた記録再現装置を設けることにより、赤外線撮
像部によって得られた画像データの保存再利用が可能と
なり、データの可搬性を得ることもできる。また、この
コンピュータシステムにテレビモニタを設けることによ
り、前記画像データまたはそれを加工・分析したものを
このテレビモニタに映し出し、う蝕部位等をわかりやす
く表示することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しこの発明の一
実施形態について説明する。図1は、本実施形態による
う蝕検出装置の構成を示すブロック図である。この図に
おいて、符号1は電磁波照射部、2は赤外線撮像部、3
は照射エネルギー源、4は撮像制御部、5は画像処理装
置、6はコンピュータ、7はテレビモニタ、8は記録再
現装置、9は光ファイバ、10は被験歯である。詳細は
後述するが、電磁波照射部1によって被験歯10の検査
部位を照射し、これによる被験歯10の温度上昇の分布
の様子を赤外線撮像部2で撮像する。この画像は画像処
理装置5において数値データに変換され、コンピュータ
6によって分析される。
【0025】次に本装置による測定の原理について説明
する。図3を用いて説明したように、初期う蝕歯牙のエ
ナメル質は、表層は正常に保たれているが表層下におい
ては脱灰によりエナメル密度が低下しているのに対し
て、健全歯牙のエナメル質では、表層から象牙質との境
界までエナメル密度がほぼ均一である。う蝕歯牙の脱灰
部は健全歯牙に比べてより多くの水分を含んでいる。
【0026】この内部構造の差が、電磁波照射部1から
の照射によって歯牙表面にエネルギーが与えられたとき
に、温度変化のパターンの違いとして現れる。このとき
に歯牙表面から輻射される赤外線熱エネルギーを計測す
ることによって、検査部位の温度を知ることができる。
一般に、物質の絶対温度Tとその物質から輻射されるエ
ネルギーWとの間には、W=a×b×Tの関係が存在す
る。ここで、aは放射率であり1以下の正数、bはステ
ファン・ポルツマン定数である。従って、この輻射エネ
ルギーWを測定することによって、物質の温度を検知す
ることができる。
【0027】本装置においては、赤外線撮像部2が非接
触的にこの赤外線熱エネルギーの分布パターンを撮像
し、それを画像処理装置5を通すことによってコンピュ
ータ処理可能な数値データとした上で、コンピュータ6
によって必要な分析を行う。
【0028】前述のように本実施形態ではエネルギーの
照射にキセノンランプを用いており、従って、300ナ
ノメートル〜1100ナノメートル程度の波長を持つ光
線を検査部位に照射するようになっている。この波長は
測定に必要な温度上昇が充分短い時間で得られるもので
あり、UV(紫外線)フィルターを用いることで紫外線
がカットでき、人体に対しても安全で、しかも部品とし
てのキセノンランプの入手も容易である。また、このラ
ンプによる照射時間は1ミリ秒となっている。照射時間
は0.01ミリ秒〜100ミリ秒の範囲内であることが
適切で、この範囲において、測定結果の温度変化と脱灰
の大きさとの間に良好な相関関係が得られる。
【0029】このような照射時間範囲の理由は、0.0
1ミリ秒未満だと、照射前と照射後の温度差が小さくな
り、従って空間上の温度差の違いを捉えにくく、目的と
する測定を行えず、また逆に100ミリ秒を超えると、
温度上昇が必要以上に大きくなり空間上の温度差の違い
を捉えにくくなったり、照射完了前に被験歯の温度上昇
がピークに達したり、電磁波照射部1や患者が動いてし
まったりして、うまく測定できない。また、必要以上の
長時間の照射は過度の温度上昇を招き、歯牙および口腔
組織にダメージを与える恐れがある。
【0030】電磁波照射部1および赤外線撮像部2は、
光ファイバ9の先端に一体となって取り付けれられてお
り、検査者は、これらを片手で支持して口腔内の様々な
検査部位に様々な方向からあてることができるので、観
察しにくい部位についても正面から観察することが可能
である。光ファイバ9には、例えば、赤外線を吸収しに
くいフッ化カルシウムを材料とした屈曲性光ファイバを
採用する。
【0031】次に、本装置の使用手順について説明す
る。測定精度を高めるため、検査にあたってはまず検査
部位の唾液や歯垢やその他の汚れを充分に除去してお
く。次に、実際に電磁波照射および赤外線撮像を行う。
図2は本装置による電磁波照射のタイミング(a)と赤
外線撮像のタイミング(b)を示すタイミングチャート
である。つまり、まず電磁波照射前に1回の撮像を行
い、そして1ミリ秒間にわたってランプによる電磁波照
射を行ってから、その後の1秒間に120回の撮像を行
う。
【0032】これらの画像は、すべて数値データに変換
され、記録再現装置8によって記録される。次に、照射
前後の撮像画像について、コンピュータ6によって時間
軸に沿った温度変化の分析が行われ、撮像画像のうちの
ピーク温度を示す画像の次の画像が選択される。そし
て、その画像の温度と照射前の温度との差が算出され、
歯の表面におけるこの温度差分布が、適切なスケーリン
グ処理を施されてテレビモニタ7に表示される。ここ
で、ピークを示す画像の次の画像を選択する理由は、ピ
ーク温度はランプからの反射等の誤差を含んでいるため
である。
【0033】後述する実験結果でも示すように、温度上
昇と脱灰の度合いには正の相関関係があり、上記の温度
差に例えば色分けなどの処理を施してテレビモニタ7に
表示するようにすれば、検査者は、エナメル質の温度上
昇分布が一様かどうかつまり脱灰がないかどうかを視覚
的に確認できると同時に、脱灰箇所を特定することも可
能となる。
【0034】次に、温度上昇と脱灰の程度との間の関係
を検証するために本願発明者が行った実験とその評価結
果について説明する。まず、本実験の概要は次の通りで
ある。脱灰の程度が異なる人工初期う蝕歯8本を作成
し、測定面にキセノンランプを照射し、測定面の温度情
報を赤外線カメラにより画像として取得した。赤外画像
の撮影後、試料とした8本の人工初期う蝕歯すべてをC
MR(Contact Micro Radiography) 法によりCMR像
を取得して、このCMR像の解析によりミネラルプロフ
ァイル(mineral profile,無機質縦断面図)を得て、エ
ナメル質表層下の脱灰程度を求めた。そして、この脱灰
程度と赤外線撮像による温度変化との関係を評価した。
【0035】まず、歯科医が治療目的で抜去した上下顎
切歯8本のうちの6本を用いて、人工の初期う蝕歯を作
成した。これらの歯の唇側面のエナメル質表面をmicroc
loth使用のグラインダ(Buehler社;Polisher ECOMET I
II GRINDER)で鏡面研磨し、脱灰処理する面(3mm×
3mm)だけを除いて、この表面をマニキュアで被覆し
た。次にこれらを、脱灰液(化1)に浸漬し、37℃に
て異なる3種類の所定期間脱灰した。脱灰期間は、3
日、7日、14日の3種類で、各脱灰期間についてそれ
ぞれ2本ずつ、合計6本の脱灰程度の異なる試料を作成
した。その後、アセトンを用いて被覆用マニキュアを除
去した。また、8本のうちの残りの2本の歯は、脱灰な
しの試料とした。
【0036】
【化1】
【0037】次に、これらの試料への電磁波照射による
温度変化を赤外線カメラにより撮像、記録した。使用し
た赤外線カメラはRadianceHS(レイセイオン社製)であ
り、手順は次の通りである。蒸留水に浸漬していた上記
試料を取り出し、表面に付着している水分を素早く拭き
取り、図2のタイミングチャートと同様に、キセノンラ
ンプ照射前に1枚と照射後の1秒間に120枚の赤外線
画像を撮影し取り込んだ。キセノンランプ照射後のこの
1秒間の温度変化を解析してピーク温度を示す画像の次
の画像を選択し、ミネラルプロファイル測定した同一位
置のエナメル表面の温度上昇度(選択画像温度−照射前
温度)を算出した。
【0038】次にミネラルプロファイル取得のために試
料の薄切り標本を作製した。試料を中性フォルマリンで
固定した後、増強アルコール系列で脱水し、スチレンモ
ノマーにより透徹し、ポリエステルレジン(応研商事社
製Rigolac2004と70F)に浸漬・処理、重合硬化させた
後、低速切断機(刃の厚さ0.16mm, Micro Cutter
MC-201, マルトー社)で約200μmの厚さに薄切
し、これを研磨法に従って約110μm厚の薄切標本を
作製した。
【0039】最後にCMR法によるミネラルプロファイ
ルの取得を行った。CMR像は、薄切標本に15枚のal
uminium step wedges を基準として併置し、軟エックス
線発生装置(CMR2型, ソフテックス社)を用いて取
得した。照射条件は、管球(Cu)からフィルム面まで
の距離20cm、管電圧18kV、管電流2.5mA、
照射時間60分であった。フィルムは、コダック社製hi
gh resolution film SO-343 を用いた。次に、画像解析
システム(東芝製カラーCCDカメラIK−T40型、
オリンパス製顕微鏡BH−2型、PIAS社製解析ソフ
ト)により、CMR像を画像解析し、エナメル質の表層
から深部へのミネラル濃度の変化(フィルム上の白黒の
濃淡)をアルミニウムの枚数に置き換え、アルミニウム
15枚を100として換算したミネラルプロファイルを
得た。そして、このミネラルプロファイルから、脱灰巣
の内部構造を表す特性値として、ミネラル溶出量(vol%
・μm)および脱灰巣の深さ(μm)を求めた。
【0040】実験結果を表1に示す。初期う蝕の程度を
表すミネラル溶出量と脱灰巣の深さそれぞれについて、
温度指標との間に、リニアに近い正の相関関係が認めら
れる。この結果は、電磁波照射後の歯牙表面の温度上昇
度を測定することによりう蝕の程度がわかることを示し
ており、本発明で採用した測定原理の認識が正しいこと
を裏付ける。また、この実験結果は、従来技術では難し
かった短時間で正確な初期う蝕検出が可能であることを
裏付けている。
【0041】
【表1】
【0042】本実施形態においては、キセノンランプを
用いて光線を照射したが、エネルギー照射の手段はこれ
に限定されず、被験物の温度上昇を起こすエネルギーと
なる電磁波を照射する他のものであっても良い。また、
照射時間や照射後の赤外線撮像枚数および間隔も必ずし
も本実施形態と同一である必要はなく、照射エネルギー
の総量に応じて温度上昇の経過をうまく捉えられるよう
な他のタイミングを用いても良い。但し、歯のような人
体の一部を測定対象とする場合、電磁波の波長、照射エ
ネルギー量等は安全性を考慮して選択する。また、本実
施形態においては、図1に示すように、電磁波照射部1
と赤外線撮像部2とは別個に構成され、測定者が一体と
して保持できるように互いに固定されているが、電磁波
照射ファイバーと赤外線照射ファイバーとが均一に分散
して1つの束となっているファイバーとして構成するこ
とによって小型化を図れるようにしても良い。
【0043】また、本実施形態は歯のう蝕の検出を目的
としているが、同様の構成の装置で照射エネルギー量、
照射範囲面積、撮像タイミングを適切に選択することに
よって、一般に、表面だけでは視認できない内部の空
洞、腐蝕、亀裂等を非接触的に検出する目的に利用する
ことができ、効果がある。具体的には、建造物や建材の
品質検査、金属や木などの品質検査、不透明容器の内容
量の測定など様々な非接触的測定および検査に適用でき
る。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、材質の状態によってエネルギーを照射したときの温
度変化の度合いが違うことを利用し、その温度変化の分
布を分析するため、従来技術では困難なC0〜C1程度
の歯の初期う蝕の検知も短時間で行うことができる。ま
た、光線の照射と赤外線撮像という方法を取るため、安
全かつ衛生的であり、被験物へ滴下する液体や色素等も
不要である。また、ハロゲンランプ、キセノンランプ、
白熱灯、蛍光灯などを用いるため、測定に必要な光源を
安価かつ小型に実現することができる。また、1秒間に
120枚あるいはそれ以上の画像をすることが可能であ
り、サンプリング間隔が短いため、温度変化やピーク時
間がより正確に測定でき、従って正確な診断を行うこと
ができる。
【0045】また、電磁波照射部と赤外線撮像部を屈曲
性光ファイバの先の部分に設けることにより、この光フ
ァイバの形状を自由に変えることできるため、例えば歯
の咬合面や隣接面などのように検査が困難な部位の観察
も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による初期う蝕検出装
置の構成図である。
【図2】 同実施形態による電磁波照射のタイミング
(a)と赤外線撮像のタイミング(b)の関係を示すタ
イミングチャートである。
【図3】 歯の構造および初期う蝕の例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 電磁波照射部 2 赤外線撮像部 3 照射エネルギー源 4 撮像制御部 5 画像処理装置 6 コンピュータ 7 テレビモニタ 8 記録再現装置 9 光ファイバ 10 被験歯 B 骨髄層 E エナメル層 I 象牙層 P 初期う蝕
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中嶋 省志 東京都墨田区本所一丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 Fターム(参考) 2G040 AA05 AB08 BA25 BB04 CA02 DA06 DA15 EA06 HA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験物にエネルギーを照射する電磁波照
    射部と、 前記被験物から輻射される赤外線の分布を、前記電磁波
    照射部によるエネルギー照射後に測定する赤外線撮像部
    と、 この赤外線撮像部によって得られた画像を分析する分析
    手段とを備えることを特徴とする非接触検査装置。
  2. 【請求項2】 エネルギーおよび信号を伝達する伝達手
    段を有し、 この伝達手段は自由に変形する材質で作られており、 この伝達手段の一端に前記電磁波照射部および前記赤外
    線撮像部が一体となって配置されており、 前記電磁波照射部に必要なエネルギーをこの伝達手段を
    介して伝達するようになっており、 前記赤外線撮像部からの画像信号をこの伝達手段を介し
    て前記分析手段に伝達するようになっていることを特徴
    とする請求項1に記載の非接触検査装置。
  3. 【請求項3】 前記電磁波照射部は、ハロゲンランプ、
    キセノンランプ、白熱灯、蛍光灯のいずれかを用いた光
    線の照射を行い、 前記電磁波照射部が前記被験物にエネルギーを照射する
    時間は0.01ミリ秒以上100ミリ秒以下であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の非接触検
    査装置。
  4. 【請求項4】 口腔内形状に応じた形状を有することに
    より前記赤外線撮像部の撮像位置を安定化する補助装置
    を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の初期う蝕検出装置。
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