JP2001174771A - 音響光学モード変換素子等に用いる導波路構造及びその製作方法 - Google Patents

音響光学モード変換素子等に用いる導波路構造及びその製作方法

Info

Publication number
JP2001174771A
JP2001174771A JP15865299A JP15865299A JP2001174771A JP 2001174771 A JP2001174771 A JP 2001174771A JP 15865299 A JP15865299 A JP 15865299A JP 15865299 A JP15865299 A JP 15865299A JP 2001174771 A JP2001174771 A JP 2001174771A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waveguide
optical waveguide
wavelength
acousto
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15865299A
Other languages
English (en)
Inventor
Sergio Bosso
セルジオ・ボッソ
Harald Herrmann
ハラルト・ヘルマン
Salvatore Morasca
サルヴァトーレ・モラスカ
Steffen Schmid
シュテファン・シュミド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Corning OTI SRL
Original Assignee
Corning OTI SRL
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Corning OTI SRL filed Critical Corning OTI SRL
Publication of JP2001174771A publication Critical patent/JP2001174771A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Integrated Circuits (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】光導波路の長手方向位置による複屈折特性のば
らつきを、できる限り小さく抑え、それによって、その
光導波路構造を用いた光集積デバイスの総合性能を改善
し得るようにした光導波路構造及びその製作方法を提供
する。 【解決手段】動作波長領域を示す波長ウインドウが15
30nm〜1565nmであるときには、導波路のカッ
トオフ波長が1650nm以下になるように光導波路の
寸法を選定する。かかる光導波路を用いた音響光学モー
ド変換素子は、優れた変換特性を有するものとなる。従
って高さ寸法及び幅寸法の小さな光導波路を用いること
で、その光導波路を使用した音響光学デバイスは、優れ
た性能を有するものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】発明の分野 本発明は、広くは、基板に形成する光導波路に関するも
のであり、この光導波路は、その光導波路における準T
Eモードの屈折率neff,TE、及び準TMモードの屈折率
eff,TMを、基板それ自体の屈折率と僅かに異ならせる
ことによって形成するものである。更に、本発明は、こ
の種の複屈折性光導波路を主要構成要素とする、例え
ば、音響光学モード変換素子、音響光学スイッチ、音響
光学フィルタ等の、光集積デバイスに関するものであ
る。本発明は、光導波路構造及びその製作方法を提供す
ることを目的としており、これら光導波路構造及び製作
方法は、光導波路の長手方向位置による複屈折特性のば
らつきを、できる限り小さく抑え、それによって、その
光導波路構造を用いた光集積デバイスの総合性能を改善
し得るようにしたものである。
【0001】発明の背景 本発明の光導波路構造は、特定の種類の光導波路だけに
限定されるものではない。即ち、本発明は、例えば、拡
散型導波路ないし埋込型導波路と呼ばれる導波路(図1
a)、レイズドストライプ型導波路(図1b)、リブ型
導波路ないし光ストリップラインと呼ばれる導波路(図
1c)、一般的なチャネル型導波路(図1d)、それに
リッジ型導波路(図1e)などに適用可能である。
【0002】更に、本発明の光導波路構造は、特定の延
在形態の光導波路だけに限定されることもなく、直線形
導波路の形態とすることもでき、曲線形導波路の形態と
することもできる。曲線形導波路として形成するのは、
例えば、Yジャンクションや偏光ビームスプリッタに用
いる場合などである。このような延在形態に関する基本
的な幾つかの構造を図2に示した。図2aはYジャンク
ション、図2bはWDMデバイス、図2cはスター形結
合器、図2dは偏光ビーム結合器である。
【0003】図1aの拡散型チャネル形導波路は、例え
ば、基板材料としてLiNbO3を使用し、それにチタ
ンを拡散させることで導波路を形成することができる。
図1に示した種々の導波路を製作する際の製作プロセス
上の欠陥(例えば、チタンストライプの寸法のばらつき
や、拡散プロセスでの温度勾配のばらつき)が存在する
ため、導波路の実効複屈折特性を示す値は、表面に幾つ
もの光集積デバイスを製作する1枚のウェーハ上で位置
によってばらついて(変動して)おり、また、その特性
を示す値の平均値は、個々のウェーハごとに異なって
(ばらついて)いる。個々の光要素(例えば、直線形導
波路や曲線形導波路等の要素)の性能も、また、それよ
り更に複雑な、音響光学モード変換素子等の光集積デバ
イスの性能も、導波路の複屈折特性のばらつきに非常に
大きく影響される。これは、音響光学デバイスの総合性
能並びに再現性の良否が、製作プロセスの一様性及び再
現性に大きく依存するということに他ならない。
【0004】複屈折特性を有するということは、本質的
に、(準)TEモードと(準)TMモードとで、実効屈
折率(即ち、伝搬定数)が異なるということであり、従
って複屈折特性のばらつきを小さく抑えねばならないと
いう条件は、それらモードの間の伝搬定数の差、即ち屈
折率の差Δnを、光導波路の長手方向位置によって変動
することがないように、できるだけ一定に維持せねばな
らないということである。
【0005】複屈折特性のばらつきは、単なる1本の導
波路に対してさえ、有害な影響を及ぼすものである。更
に、光集積デバイスや分散型光通信システムでは、TE
モードの入力偏光をTMモードの偏光へ変換することが
しばしば必要になり、このようなモード変換は、例え
ば、電気光学結合器や、音響光学モード変換素子等によ
って行われる。音響光学モード変換素子というデバイス
は、複屈折性光導波路を使用したデバイスであり、この
光導波路の複屈折特性がその長手方向位置によってばら
ついていると、それによってこのデバイスの性能が著し
く悪化する。
【0006】以下に図3を参照して、基本的な音響光学
モード変換素子における複屈折特性のばらつきの有害な
影響について説明する。例えば、LiNbO3に形成し
た音響光学集積デバイスの動作原理は、LiNbO3
晶の夫々の複屈折主軸の方向に偏光した共伝搬する2種
類の光波である「TM」モードと「TE」モードとの間
で、波長選択性を有する偏光変換が行われることに基づ
いたものである。これら互いに直交する2つの偏光モー
ドが誘電テンソルの非対角成分によって結合すると、そ
れら偏光モードの間でエネルギ交換が行われる。このエ
ネルギ交換が行われるのは、例えば、電気光学効果や光
弾性効果によるものであり、それについて以下に説明す
る。LiNbO3ように、光弾性と圧電性とを共に備え
た材料では、その表面波が、即ち弾性波である「レーリ
ー波」が、結合のための理想的な手段となる。なぜなら
ば、表面波は、その周波数とエネルギ強度との両方が調
節容易だからである。
【0007】図3に示したのは、直線形単一モード光導
波路であり、この光導波路の幅寸法は一般的な値であ
り、例えば7μmとする。この光導波路が、幅寸法が約
100μmの単一モード音響導波路(これはxカット、
y伝搬の、LiNbO3結晶である)に埋込まれて形成
されている。これら光導波路と音響クラッディングとの
両方とも、チタン拡散によって形成されている。また、
金属層で適当な形状に構成された交互配置形のトランス
デューサが、結晶の上面の、音響導波路の始点位置に形
成されている。この交互配置形トランスデューサの電極
にRF駆動信号を印加すると、音響波が発生する。この
音響波が相互作用領域を伝搬することによって、上述の
2つの偏光モードの間で、モード結合が生じる。変換帯
域を所定の帯域に限定するには、相互作用領域の長さL
を所定長さに制限すればよく、それには吸音体を用いれ
ばよい。
【0008】エネルギ変換が発生するための基本条件
は、2つの偏光モードの間で位相整合が成立することで
あり、この条件は、結合波の式を解くことによって得ら
れる。100%の変換効率を得るには、実効屈折率が互
いに異なった2つの偏光モード(即ち、TEモードとT
Mモード)の間の位相差を、連続的に補償する必要があ
り、換言するならば、相互作用領域の全長に亘って、相
互作用が完全に同期している状態を実現しなければなら
ない。相互作用を同期させるには、基本的に、その空間
周期を適切に選定することで「TE」モードと「TM」
モードとを結合させることができるようにした「音響ブ
ラッグ格子」を用いればよい。これによって得られる結
合作用は、次の
【式1】で与えられる。
【0009】
【式1】
【0010】この
【式1】において、neff,TM及びneff,TEは、(準)T
Eモードの実効屈折率及び(準)TMモードの実効屈折
率であり、βTM及びβTEは、(真空中の)波長がλであ
るときの伝搬定数であり、Aacは、音響波の波長(即
ち、例えば周期的な電界や「音響ブラッグ格子」のよう
な波の形の表面形状などによって誘起される、誘電テン
ソルの摂動の周期)である。一般的に、λ=1530〜
1570nmのときには、Aacは、約20〜21μmに
なる。また、伝搬定数(波数K ac)は、次の
【式2】で与えられる。
【0011】
【式2】
【0012】この
【式2】において、Aacは音響波の波長、facは音響波
の周波数、vacは音響波の速度である。これは位相整合
の(従って、波長依存性を有する)プロセスである。そ
して、導波路の複屈折特性のばらつきは、位相整合に対
して大きな影響を及ぼし、ひいては、変換特性スペクト
ルに悪影響を及ぼす。更に、複屈折特性のばらつきは、
導波路が長いほど、位相整合に対してより有害なものと
なる。
【0013】ある光波の波長が位相整合条件を満たさな
い場合に、それが理想的な位相整合条件からどれ程外れ
ているかを表す偏位δは、次の
【式3】で与えられる。
【0014】
【式3】
【0015】この
【式3】において、Δneffは、導波される2つの導波
モードの間の実効屈折率の差である。音響波の周波数f
acが一定であるならば、偏位δの値は、光波の波長λと
Δneffとの関数になる。δ=0の場合にだけ、完全な
位相整合が成立し、100%のエネルギ変換が可能にな
る。LiNbO3のように強い複屈折特性を有する材料
では(LiNbO3ではΔneff=0.072である)、
位相の不整合の度合いを表すδの値は、波長に対する依
存性が比較的強い関数となる。従って、LiNbO
3は、狭帯域の変換特性を有する光部品を製作するのに
適した材料である。ただし、完全な位相整合が成立する
か否かは、neff,TE及びn eff,TMのばらつき(従って、
Δneffのばらつき)の有無にかかっている。相互作用
の位相整合が成立している場合に、変換効率ηは、次の
【式4】で与えられる。
【0016】
【式4】
【0017】この
【式4】において、係数γは、結合度に影響を及ぼす材
料定数(光弾性係数及び圧電係数)を含めた係数であ
り、Pacは音響波のエネルギ強度であり、Lは音響光学
モード変換素子の長さである。この
【式4】から明らかなように、結合度が一定のデバイス
では、変換効率ηは、(sinx/x)2の形の特性曲
線を有するものとなる(例えば、結合度に重み付けする
ことのできる音響方向性結合器などでは、正規曲線の形
の特性曲線を有するものもある、従って、ここで結合度
が一定であるとしたのは、1つの具体例を挙げたにすぎ
ない)。
【0018】図4は、幅寸法が7.0μm、長さが60
mm、そして高さ寸法が1250Å(1Åは10-10
である)の拡散型光導波路を備えた「結合度一定型」の
LiNbO3音響光学モード変換素子の、変換効率計測
実験における典型的な実験結果を示したグラフである。
尚、光導波路の幅寸法及び高さ寸法の値は、拡散処理の
実施前の段階での値である。図4のグラフには、多くの
サイドローブが出現しており、従ってその曲線形状は、
(sinx/x)2という形の関数に近似した形状とは
なっていない。これは光導波路の複屈折特性に強いばら
つきがあるためである。
【0019】図5は、長さが6cmの音響光学モード変
換素子(これは、図4のデバイスと同じものである)の
位相整合周波数が、その長手方向位置によってどのよう
に変動しているかを示したグラフであり、1536nm
の波長の光を用いたときの値を示したものである。位相
整合周波数の値は、複屈折特性を表す実効屈折率の差の
値に比例する(即ち、Δneff=λ×fac/vacであ
り、上述のデバイスではLiNbO3を使用しているた
め、vac=3780m/sである)。図5から明らかな
ように、このデバイスに使用している光導波路は、その
長手方向位置によって位相整合周波数が一定せずに変動
しており、そのことから、複屈折特性のばらつきが大き
いことが分かる。このような試験結果を得るには、例え
ばパルスプロービング法を用いればよく、パルスプロー
ビング法について記載した文献としては、例えば、L.
B.Aronson、G.Ranken、T.R.Ra
nganath、及びD.W.Dolfiによる共著
“Acoustic Pulse Measureme
nts of Acousto−Optic Tuna
ble Filter Properties”(IP
R‘95, DANAPOINT, post−dea
dline paper #6−2に所収)がある。以
上の結果から明らかなように、例えば、音響光学チュー
ナブル2×2波長空間スイッチ(図6)や、音響光学集
積フィルタ(図7)をはじめとする、音響光学モード変
換素子を用いた様々な光集積デバイスの性能を向上させ
るためには、その変換効率の特性曲線(例えば図4に例
示した曲線)を、理想的な曲線にできるだけ近付けるこ
とを目指せばよい。このことは、結合度一定とするので
あれば、変換効率の特性を、(sinx/x)2の形の
特性にするということを意味している。更に、これを達
成するには、光導波路の長手方向位置による複屈折特性
のばらつき(変動)を、できるだけ小さく抑えるように
すればよい。
【0020】従来技術の説明 音響光学集積フィルタにおけるサイドローブ非対称性の
原因を研究した文献としては、D.A.Smith、
A.d‘Alessandro、J.E.Baran、
及びH.Herrmannによる共著“Source
of Sidelobe Asymmetry in
Integrated Acousto−Optic
Filters“(Applied Physics
letters、第62巻(1993年刊)、第814
頁〜第816頁に所収)がある。同文献には、音響光学
フィルタの光導波路についての実験結果が示されてお
り、その光導波路は、幅寸法が8μm、厚さが800Å
のTiストライプに対して、白金るつぼ内において、空
気雰囲気中で、温度1050℃で、9.25時間かけて
拡散処理を施して形成したものである。また、音響導波
路の幅寸法は120μmであり、この音響導波路は、幅
寸法が250μm、厚さが1600ÅのTiストライプ
のクラッディング領域を、温度1050℃で、30時間
かけて拡散処理して形成したものである。同文献によれ
ば、波長多重した光チャネルどうしの間のクロストーク
を引き起こすサイドローブ非対称性の発生原因に対して
影響を及ぼすのは、導波路の実効複屈折特性における規
則的な偶数次の変動であり、この変動はデバイスの中心
点からの距離の関数であるとされている。同文献は更
に、近似的シミュレーションの結果を提示しており、こ
の近似的シミュレーションは、Tiストライプの厚さ、
幅寸法、それに拡散温度における不均一が、典型的なサ
イドローブ非対称性に対してどのように影響するかを示
している。同文献の結論は次の通りである。即ち、内在
するΔnの変動(ばらつき)の原因として最も可能性の
高いものは、デバイス製作に関連した幾つかのパラメー
タの、長手方向位置による規則的な変動であり、それら
パラメータとしては、例えば、導波路の幅寸法、層の厚
さ、それに拡散温度等がある。更に次のことも判明して
おり、それは、サイドローブ非対称性の原因として、音
響波速度の分布特性の規則的な変動も考えられるという
ことである。また、サイドローブを抑制するための改善
策として、光導波路の幅寸法に対して補償のための構造
的バイアスを導入することによって、ビート長さの非一
様性の影響を打ち消すということが示唆されている。
【0021】1995年4月3日から同月6日にかけ
て、オランダ国、デルフト市において第7回ヨーロッパ
光集積デバイス会議が開催され、同会議の議事録とし
て、ECIO‘95 proceedings(pos
t−deadline papers)が刊行された。
同議事録の第21頁〜第24頁に、S.Schmid、
M.Sottocorno、A.Appleyard、
及びS.Bossoによる共著“FULL WAFER
SCALE FABRICATION OF ACO
USTO−OPTIC 2x2 WAVELENGTH
SELECTIVE SPACE SWITCHES
ON LiNbO3”が収載されている。同文献に
は、音響光学モード変換素子に用いる光導波路の製作例
が報告されており、その報告によれば、厚さが約100
0Å、幅寸法が約7μmのチタンストライプに対して、
温度1030℃で、9時間かけて拡散処理を施すことで
光導波路を製作している。また、同文献によれば、音響
光学モード変換素子に2つの偏光モードの光波を同時に
入射させたときには、帯域除去性能の低下が認められ、
その原因は、製作上の誤差によって僅かながら複屈折特
性の不均一性が発生したことによるものであり、その結
果として、25kHz〜50kHz程度の、位相整合周
波数の変動(ばらつき)が生じたと述べられている。
【0022】IEEE Journal of Lig
htwave Technology、第13巻、第3
号(1995年3月刊)には、その第346頁〜第37
4頁に、H.Herrmann、U.Rust、及び
K.Schaeferによる論文“TAPERED A
COUSTICAL DIRECTIONAL COU
PLERS FOR INTEGRATED ACOU
STO−OPTICALMODE CONVERTER
S WITH WEIGHTED COUPLING”
が収載されており、同論文には、光集積デバイスとして
構成した偏光依存性を持たない光波長フィルタを、テー
パ形音響方向性結合器に用いるということが記載されて
いる。このフィルタの光導波路は、幅が7μmのTiス
トライプに拡散処理を施して形成したものであり、典型
的な具体例として、温度1030℃で、9時間かけて拡
散処理を施すという例が記載されている。同論文の報告
によれば、光導波路の寸法に関するパラメータ、並びに
製作プロセスに関するパラメータを、それらの値とすれ
ば、λ=1.55μmの近傍のスペクトル領域において
TE偏光とTM偏光とが共に単一モードとなる光導波路
が得られるとのことである。同論文に開示されているモ
ード変換素子の変換特性には、僅かな非対称性が出現し
ており、実際に、最大ピーク部の左側のメインサイドロ
ーブの高さが、右側のサメインイドローブの高さより
1.3dB高くなっている。同論文によれば、この非対
称性は、光導波路の形成位置において、音響波の偶数次
及び奇数次のモードが完全には等しくならないという事
実によって説明されるとのことである。従って同文献で
は、非対称性の原因が、デバイスの長手方向位置による
音響波ベクトルのばらつき、即ち、位相整合条件のばら
つきにあるとは見ていない。同論文は、非均質性の問題
に対処し得るならば、サイドローブを十分に抑制した音
響光学モード変換素子を製作し得るはずであると結論し
ている。しかしながら同文献には、音響光学モード変換
素子に用いる光導波路の設計基準は提示されていない。
“Photonics Networks”(Gian
cario Prati編、スプリンガー社、1997
年刊)の第458頁〜第472頁に収載されている、
S.Morasca、D.Scarano、及びS.S
chmidによる共著“APPLICATION OF
LiNbO3 ACOUSTO−OPTICAL TU
NABLE SWITCHES AND FILTER
S IN WDM TRANSMISSION NET
WORKS AT HIGH BITRATES”に
は、音響光学チューナブルスイッチ及び音響光学チュー
ナブルフィルタの基本的な物理的特性及び動作原理につ
いての要約書が開示されている。幅寸法が約100μm
の単一モード音響導波路の中に、直線形単一モード光導
波路を埋込んで、約1550nmの動作波長を得てお
り、その光導波路の幅寸法の典型的な値は7μmであ
る。それら光導波路と音響クラッディングとのいずれも
がチタン拡散によって形成されており、また、アルミニ
ウム層で構成した適当なピッチを有する交互配置形のト
ランスデューサが、結晶の上面の、音響導波路の始点位
置に形成されている。同文献には、光導波路の複屈折特
性のばらつきが原因となって、位相不整合が発生すると
いうことが記載されている。しかしながら、光導波路の
長手方向位置による複屈折特性のばらつきを小さく抑え
るために、また、製作プロセスに関連したパラメータの
変動に対する依存性の小さな複屈折特性を得るために、
光導波路に関連したパラメータ並びに製作プロセスに関
連したパラメータをどのように定めればよいかについて
の設計基準は、同文献には示されていない。
【0023】米国特許公報US5452314号(Ar
onson)には、光導波路の両側に一対の電極を備え
た音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)が記載さ
れている。同米国特許公報によれば、相互作用領域の長
さを50mmとしたシングルセクション形のAOTFの
試験が行われた。幅寸法を夫々、5μm、6μm、及び
7μmとした導波路を、チタン拡散によって形成してい
る。チタン層の厚さは1075Åとし、水蒸気を含有す
るO2雰囲気中で、1050℃で、6時間かけて拡散処
理を施した。フィルタの試験は、1.55ミクロンの波
長のDFBを使用して行い、その結果、TMモードに対
して非常に大きな損失を発生させることができると判明
した。同米国特許公報は、基板に拡散によって形成した
光導波路のカットオフ値については開示していない。更
に、同米国特許公報のデバイスは音響導波路を備えてい
ないため、上述の参考文献の幾つかに開示されているよ
うな光導波路に加えて音響導波路をも備えたデバイスに
おける光導波路の伝搬条件(特に、カットオフ波長)に
ついての詳細情報は、同米国特許公報には提示されてい
ない。
【0024】本出願人が確認したところによれば、音響
導波路を備えていない場合には、その光導波路の伝搬条
件が、また特にそのカットオフ波長が、音響導波路を備
えたデバイスの場合とは大きく異なったものとなる。
【0025】更に、光導波路の長手方向位置による複屈
折特性のばらつきがどの程度のものとなるかは、その光
導波路を形成するために用いる製作方法のいかんにも影
響される。図8は、拡散型導波路を形成するための従来
の方法の1つを示したものであり、この種の方法は、例
えば“Guided−wave optoelectr
onics”(Theodor Tamir編、Spr
inger社、1990年刊)の第146頁〜第149
頁に、その概要が記載されている。図8に示した方法
は、拡散型導波路を形成するための、いわゆる「リフト
オフ法」である。基板1は、例えばLiNbO3製の基
板である。この基板1にポリシング処理を施した後に、
洗浄処理を施し、更にその基板1にフォトレジストを塗
布する。フォトレジスト2は、デュアル・トーン・タイ
プのレジストであり、このフォトレジスト2のうち、紫
外光による第1回露光工程において露光されなかった部
分が現像液で溶解されて除去される。この第1回露光工
程では、所望形状の導波路パターン4を形成したクロム
製マスク3を、フォトレジスト2に密着させて、紫外光
でフォトレジスト2を露光する。続いて、そのフォトレ
ジスト2にベーキング処理(baking step)
を施す。このベーキング処理は、基板1を加熱して、約
120℃の温度に約210秒間維持することによって行
い、フォトレジスト特性を反転する。続いて、そのフォ
トレジスト2に対する紫外光による第2回露光工程を実
行し、このときにはマスク3を使用しない。この第2回
露光工程によってフォトレジスト特性が反転し、現像プ
ロセスでは、ネガティブ・フォトレジストとしての性質
を示すようになる。図8bに示したように、現像プロセ
スを実行すると、二度の露光がなされたフォトレジスト
2の一部が除去されて、導波路パターンに対応した形状
の窓部がフォトレジスト2に形成される。続いて、図8
cに示したように、以上の構造の全面にチタン層5を形
成する。これは、RFスパッタリング、電子ビームデポ
ジション、または抵抗加熱エベイポレータなどによって
行うことができる。図8cから明らかなように、チタン
層5は、基板1の露出部分と、フォトレジスト2の表面
との両方に亘って形成される。続いて、以上の構造の全
体をフォトレジスト溶解液に浸漬すると、それによっ
て、チタン層のうちの不要部分が、フォトレジストと共
に除去されるため、図8dに示したように、所望形状の
チタンストリップ5が基板1上に残される。この図8c
から図8dにかけてのプロセスが「リフトオフ工程」と
呼ばれているものである。続いて、以上の構造の全体を
加熱して、チタンストリップ5を基板1の中へ拡散させ
るようにする。これによって、図8eに示したように、
拡散型導波路6が形成される。
【0026】デュアル・トーン・フォトレジスト2を使
用した場合には、常に、図8bに示したようにアンダー
カット即ち負勾配が発生する。しかも、このアンダーカ
ットの大きさを制御するための、結果が予測可能な制御
方法は存在していない。またチタンストリップ5の幅寸
法は、通常、その予期値(目標値)であるクロム製マス
クパターン4の幅寸法より、約0.5μm〜2μm程度
大きくなることが確認された。例えば、マスクパターン
4の幅寸法が7μmである場合には、実際に形成される
チタンストリップの幅寸法は、最大で8.5μmにもな
ることがあり、しかも実際にどれほどの大きさになるか
の予測は不可能である。そして、チタンストリップの幅
寸法のばらつきは、それを拡散させて形成する導波路6
の幅寸法のばらつきをもたらすため、実際に形成される
導波路6のパラメータも予期した値からずれてしまい、
しかもそのずれが実際にどれ程の大きさになるかの予測
は不可能である。更に、本出願人は実験によって次のこ
とも認識した。それは、導波路の幅寸法は、導波路の長
手方向位置によってばらついて(変動して)おり、その
ばらつきの大きさ(変動量)は±0.5μmの範囲内の
ものであるが、実際にどれほどの大きさになるかは、予
測不可能だということである。従って、本出願人が確認
したところによれば、拡散型導波路を形成するためのリ
フトオフ法は、導波路のパラメータを高い精度を持って
制御することが不可能だということである。更に、常光
線屈折率及び異常光線屈折率の屈折率変動は、実際のチ
タン濃度に影響されるため、リフトオフ法を用いた場合
に、屈折率の変動を制御するための、結果を高い精度を
持って予測し得るような制御方法も存在していない。
【0027】以上に言及した従来技術に関する諸文献に
は、音響光学モード変換素子の背景技術並びに実験結果
が記載されているが、複屈折特性の変動(ばらつき)を
改善し、それによって位相整合のばらつきを改善するこ
とを可能にするための設計基準は提示されていない。そ
れら諸文献によって確認されていることは、単に、複屈
折特性の規則的または不規則的な変動が、音響光学モー
ド変換素子を用いたあらゆる種類の光集積デバイスの総
合性能に対して、悪影響を及ぼすということである。ま
た同様に、位相不整合の影響がどれ程の大きさになるか
を決める要因の1つに、使用している光導波路に内在す
る複屈折特性の変動(ばらつき)の大きさがあるという
ことも確認されている。しかしながら、この点に関して
光導波路を改善することを可能にするための設計基準は
記載されていない。
【0028】更に、以上に言及した従来技術に関する諸
文献には、チタン拡散型導波路の製作のための従来の
「リフトオフ」製作法が記載されているにすぎない。一
方、本出願人が確認したところによれば、リフトオフ法
を使用する限り、導波路のパラメータを、音響光学モー
ド変換素子に用いるのに適した程度にまで制御すること
は不可能である。
【0029】発明の概要 従って、発明の目的は、音響光学モード変換素子等に使
用するための光導波路であって、その長手方向位置によ
る複屈折特性のばらつきが小さく、製作プロセスに関す
るパラメータの変動に対する感受性の小さな光導波路を
提供することにある。
【0030】これに関して、本発明者らが直面した課題
は、音響光学モード変換素子と、音響光学モード変換素
子等に用いる複屈折性光導波路と、それらを製作するた
めの製作方法とに関して、設計パラメータのばらつきを
小さく抑え得るようにし、また特に、複屈折特性のばら
つきを小さく抑え得るようにすることであった。
【0031】この課題は、請求項1、請求項20に記載
した音響光学モード変換素子によって解決される。また
この課題は、請求項17、請求項18、請求項21に記
載した光導波路によって解決される。またこの課題は、
請求項9または請求項19に記載した方法によって解決
される。
【0032】本発明は、導波路を製作するための、制御
が可能で均質性を保持することのできる新規な製作方法
を提供すると共に、製作プロセスのばらつきが導波路の
複屈折特性に影響を及ぼすという問題を、適切な設計基
準を提示することによって解決するものであり、その設
計基準は、1つまたは幾つかの製作パラメータ(例え
ば、導波路ストライプの幅寸法、その厚さ、拡散温度
等)にばらつきが生じた場合であっても、そのばらつき
に対する導波管の複屈折特性の感受性を低下させること
のできるような製作パラメータ集合を示すものである。
【0033】本発明者らが発見したところによれば、1
枚のウェーハ上の均質性に関する製作パラメータのばら
つきと、ウェーハどうしの間の均質性に関する製作パラ
メータのばらつきとのいずれについても、導波路が細い
ほど、製作パラメータのばらつきに対するその導波路の
感受性は小さくなる。更に、本発明者らが発見したとこ
ろによれば、導波路の幅寸法をこれまで一般的であった
7.0μmから4.0μmへ縮小することによって、異
なったウェーハの間のTiストライプの厚さのばらつき
に起因する、その導波路の複屈折特性のばらつきの典型
的な大きさを、約3分の1〜約4分の1にすることがで
きる。
【0034】即ち、本発明者らが認識したところによれ
ば、「幅寸法の小さな」導波路や、「深さ寸法の小さ
な」導波路は、「幅寸法の大きな」導波路や、「深さ寸
法の大きな」導波路と比べて、複屈折特性のばらつきが
小さくなる。このことは、基板に形成した音響導波路を
備えた音響光学モード変換素子に用いる光導波路は、そ
の正規化周波数(即ち、その光導波路内を伝搬するTE
単一モード及びTM単一モードの正規化周波数)を、そ
の光導波路のカットオフ周波数にできるだけ近付けるの
がよいということを意味している。
【0035】更に、使用する導波路の種類(チャネル形
か、リッジ形か、或いはストライプ形の導波路か)によ
らず、動作波長領域を、1530nm〜1565nmの
波長領域とする場合には、それらモードのカットオフ波
長のうちの短い方のカットオフ波長が、1650nm以
下で、1570nm以上になるように、導波路パラメー
タ及び製作パラメータを選定するのがよいということも
発見した。
【0036】更に、本発明者らが発見したところによれ
ば、伝搬定数をカットオフ波長に近付けることによっ
て、製作パラメータのばらつきに対する導波路の複屈折
特性の感受性を低下させることができ、導波路の複屈折
特性の許容誤差を増大させることができる。
【0037】拡散処理を施す前のTiストライプの高さ
寸法は1050Å〜1250Åの範囲内とすることが好
ましく、またその幅寸法は4.0μm〜5.5μmの範
囲内とすることが好ましい。このような寸法のTiスト
ライプに拡散処理を施して形成した光導波路を音響光学
デバイスに用いることによって、その変換特性を改善す
ることができる。
【0038】更に、本発明者らが発見したところによれ
ば、LiNbO3音響光学モード変換素子を製作すると
き、ないしは、そのような変換素子に用いる光導波路を
製作するときには、以上に述べたような細いTiストラ
イプに拡散処理を施す際の拡散温度を比較的高温とする
(例えば、通常の1030℃ではなく1060℃とす
る)のがよく、それによって、導波路のTi濃度を上昇
させることができ、その結果、複屈折特性のばらつきの
小さな導波路が得られる。
【0039】更に、本発明者らが発見したところによれ
ば、従来のリフトオフ法に代えて、ネガティブフォトレ
ジストを使用したRIEエッチング法を実行することに
よって、アンダーカットという問題を回避することがで
き、それによって、導波路の幅寸法を更に高精度で制御
することが可能になる。これは、伝搬定数をカットオフ
の近傍に設定した、即ち、正規化周波数をカットオフの
近傍に設定した、細い導波路にとっては特に重要なこと
であり、なぜならば、そのような導波路では、導波路パ
ラメータに小さなばらつきが発生しただけで、導波路が
カットオフに突入してしまうおそれがあるからである。
【0040】本発明のその他の有利な実施の形態並びに
改善点は、従属請求項に記載した通りである。これより
添付図面を参照しつつ、本発明を、その有利な実施の形
態に即して説明して行く。
【0041】本発明にかかる導波路の基本的説明 光導波路の複屈折特性のばらつきを小さく抑えることを
はじめとする本発明の様々な利点は、その光導波路を音
響光学モード変換素子に使用した場合に即して説明する
と、最もよく説明し得るものであるため、以下にその場
合について説明する。
【0042】図9は、種々の導波路について実験を行っ
て得た、導波路の幅寸法(拡散処理を施す前の寸法)に
対する変換周波数fの値をプロットしたグラフである。
この図9に特性を示した拡散型導波路は、図1aに示し
た拡散型導波路と同一構成のものである。図9における
興味深いパラメータは、導波路の深さ寸法(高さ寸法)
の変化量Δτに対する変換周波数の変化量Δfであり、
ここでτは、チャネル形導波路の高さ寸法(拡散処理を
施す前の寸法)である。図9から分かるように、Δf/
Δτの値は、導波路の幅寸法が小さいほど小さく、また
導波路の高さ寸法が小さいほど小さい。例えば、幅寸法
が7μmの導波路のΔf/Δτの値が15kHz/Åで
あるのに対して、幅寸法が4.0μmの導波路では、こ
の比の値が3.5kHz/Åとなっている。右側の縦軸
の目盛りは、複屈折特性を示す値(即ち、neff,TEとn
eff,TMとの差であるΔneffの値)を示している。
【0043】図9において、直線Aは、波長λ=160
0nmとしたときの、光導波路のカットオフ周波数を示
したものである。いうまでもなく、波長が一定であれ
ば、導波路を細くするほど、基本モードの周波数はカッ
トオフ条件に近付く。しかしながら、カットオフ境界の
近傍における曲線の勾配変化から明らかなように、比の
値Δf/Δωは、カットオフ境界に近付くほど小さくな
る。このことから、普遍的な関係を導き出すことがで
き、それは、伝搬させる光波の目標波長が与えられたな
らば(また、導波路とそれを囲繞している媒体との間の
屈折率の差が与えられたならば)、その目標波長におけ
る、基本モード(これは唯一のモードである)の伝搬定
数が、カットオフ条件にできるだけ近い値となるように
すればよいということである。
【0044】このように複屈折特性のばらつきを抑制す
ることによって得られる利点は、図10及び図11から
明らかである。図10及び図11は、夫々、導波路の幅
寸法の変化量に対する変換周波数の変化量の比の値Δf
/Δwと、導波路の高さ寸法の変化量に対する変換周波
数の変化量の比の値Δf/Δτとを、いずれも導波路の
幅寸法wに対してプロットしたグラフである。図10及
び図11において、導波路の幅寸法wが小さくなるほ
ど、変化量の比の値Δf/Δw及びΔf/Δτのいずれ
も絶対値が小さくなっている。また、導波路の高さ寸法
が小さくなるほど(例えば、τ=1050Å)、変化量
の比の値Δf/Δw及びΔf/Δτのいずれも絶対値が
小さくなっていることも見て取れる。変換周波数の値を
チタン層の厚さで微分した値であるΔf/Δτ(図1
0)は、導波路の幅寸法wに強く影響されることが分か
る。図10からは更に、幅寸法が7μmの導波路(この
幅寸法は拡散処理を施す前の寸法である)では、Δf/
Δτが、−15kHz/Åであり、幅寸法が4μmの導
波路では、Δf/Δτが、−5kHz/Åであることが
見て取れ、これらの値は、図9の中に既に記入してある
通りである。従って、図10の導波路では、幅寸法の小
さな方が、チタン層の厚さの不均一(製作方法に原因す
るばらつき即ち変動)に対する感受性が約3分の1とな
っている。
【0045】一方、図10から分かるように、導波路
を、比較的薄い(高さ寸法の小さい)チタン層から形成
することで、導波路の幅寸法の不均一に対する感受性を
低下させることができる。実際の製作プロセスにおいて
発生するばらつきの大きさを考慮した簡単な推定を行っ
たところ、厚さ1050Åのチタン層から形成した幅寸
法4μmの導波路は、厚さ1250Åのチタン層から形
成した幅寸法7μmの導波路と比べて、通常の製作寸法
誤差に対する感受性が、約4分の1ないし約5分の1に
なることが判明した。また、チタン層の厚さと導波路の
幅寸法との最も好ましい組合せは、1250Å/4.1
μmであった。その他の好ましい組合せの値としては、
1050Å/5.2μmや、1150Å/4.5μmが
あった。
【0046】図12及び図13は、図4及び図5と同様
のグラフであり(これらのグラフでは、導波路の長手方
向位置による複屈折特性のばらつきを表す値δ(Δn)
が、δ(Δn)=3.3×10-4であるときに、Δf≒
800kHzとなっている)、これらのグラフからは、
音響光学モード変換素子の導波路の寸法を1050Å/
4.5μmとすることによって優れた効果が得られるこ
とが明らかである。特に図12は、優れたサイドローブ
抑制効果が得られることを示している(実際に理論推定
値と非常によく合っている)。また、図13は、音響光
学モード変換素子の長手方向位置による変換周波数のば
らつきが、僅か100kHz程度の、非常に小さなもの
であることを示している。既述のごとく、変換周波数の
ばらつきの大きさは、複屈折特性のばらつきの大きさを
表す基本的な指標値であり、従って図11bは、複屈折
特性のばらつきが非常に小さなものである(δ(Δn)
≒0.4×10-4である)ことを示している。
【0047】本発明者らが明確に認識していることは、
細い導波路ほど(それがリブ形導波路であるか、チャネ
ル形導波路であるか、或いは更にその他の形式の導波路
であるかにかかわらず)、太く導波能力の大きな導波路
より性能の優れた導波路になるということである。図9
〜図12から導かれた条件は、「導波路の幅寸法を小さ
く」すること、及び「導波路の高さ寸法を小さく」する
ことであるが、これらの条件に従えば必然的に、その導
波路の光波導波能力は小さくなるため、結局、導波路の
寸法の最適化(即ち、小型化)は、基本モードの「カッ
トオフ波長」によって制約されることになる。従って、
伝搬定数を「カットオフに近付ける」ための「導波路寸
法(導波路パラメータ)の選択基準」は、基本モードの
カットオフ波長に関係した式で表される。導波路を用い
て構成する素子を、1530nmから1565nmまで
の波長ウィンドウ内で動作可能にするためには、音響光
学モード変換素子の導波路の寸法としてこれまで一般的
に採用されている寸法(上掲の従来技術の文献によれ
ば、幅寸法が7μm〜8μmである)では、TE偏光及
びTM偏光のいずれのカットオフ波長も1750nmを
超えた値を取る。本発明において「最適化した導波路パ
ラメータ」というとき、それは、TM基本モードのカッ
トオフ波長とTE基本モードのカットオフ波長のうちい
ずれか短い方のカットオフ波長を、信号波長の上限値に
できるだけ近付けることを意味するが、ただし、157
0nmより長く、1650nmより短い波長とすること
が好ましい。尚、この波長範囲は、直線形導波路にとっ
て良好な範囲である。曲線形導波路では、カットオフ境
界値に維持するのがよく、なぜならば、導波路が曲線形
であることによってカットオフ波長が短くなるため、そ
の短くなった分を、導波路の幅寸法を大きくすることで
補償する必要があるからである(例えば、直線形導波路
の幅寸法を5.5μmとするのが適当であるならば、半
径Rc=130mmの曲線形導波路の幅寸法は約6.5
μmとするのが適当である。
【0048】カットオフを計測するための方法及び装置 以上の説明では、カットオフ波長が、本発明にかかる光
導波路の仕様を定める際の指針となる設計基準であるこ
とを明らかにした。しかしながら、拡散濃度分布形状
(即ち、基板中に実際に形成された導波路の寸法)を実
際に計測することは不可能であり、従って、実際に形成
された導波路のパラメータに基づいてカットオフ波長を
算出することは不可能である。それゆえ、カットオフ波
長は、導波路パラメータに基づいて計算によって求める
のではなく、直接に計測して求めるようにしており、そ
れには、例えば図14に示したような装置を使用すれば
よい。
【0049】図14において、広帯域光源Sから出射し
た光はモノクロメーターMへ入射する。モノクロメータ
MにはステッピングモーターSMが装備されており、こ
れによって、モノクロメーターMからの出力光を、所定
波長領域内でチューニングできるようにしてある。ステ
ッピングモーターSMは制御手段PCによって制御され
ている。モノクロメーターから出射した光は偏光板Pを
通過することによって、TE偏光またはTM偏光とな
り、それが基板1に形成されている導波路へ入射する。
検出器Dで光強度を計測しており、また、チョッパCH
を制御しているロックイン増幅器LAが、受光強度(振
幅)を示す信号を、制御手段PCへ供給するようにして
いる。この種の装置は、光ファイバ用の計測装置とし
て、例えば光ファイバの屈曲特性を調べる目的などに、
従来から使用されているものである(これについては、
例えば、“Fiber Optic Communic
ations Handbook”、第2版(CSEL
T技術スタッフ著、F.Tosco編、TPR Blu
e−Ridge Summit社(米国、ペンシルベニ
ア州)によって1990年に刊行)の、第390頁〜第
394頁を参照されたい)。
【0050】図15は、直線形導波路における基本モー
ドの、典型的な減衰特性曲線を示したグラフである。減
衰度dBは、入力光強度と出力光強度との間の比の対数
である。導波路の高さ寸法/幅寸法(拡散処理を施す前
の寸法)が、ある値に選定されているとき、減衰曲線
は、それら選定値に応じたある波長から、急激に上昇す
る。カットオフ波長は、減衰度が略々一定の領域におけ
る減衰度レベルから、その減衰度が1デシベル上昇した
点の波長(真空中で計測した波長)であると定義され、
減衰特性曲線が急激に上昇し始める点に対応した波長で
ある。カットオフ波長は、TM基本モードとTE基本モ
ードとでは異なっている。図15に試験結果を示した導
波路では、それら2つの偏光の間の減衰度の差が、即
ち、偏光依存損失(PDL)が、比較的大きな値となっ
ている。しかしながら、好適な導波路は、1530〜1
565nmの波長領域の全域において、PDLが0.5
デシベル以下のものであり、これがPDLの好ましい値
である。本質的に、減衰度が急激に上昇し始めるという
ことは、基本モードの導波が不可能になったことを示す
ものであり、従って、カットオフに突入したことを表し
ている。曲線形導波路でも基本的に同じことがいえる
が、ただし、曲線部分では、ドーパントのストライプの
幅寸法(拡散処理を施す前の寸法)をより大きくする必
要がある。本発明者らが確認したところによれば、例え
ば、幅寸法が6.5μmの曲線形導波路(半径Rc=1
30mm)のカットオフ波長は、幅寸法が5.5μmの
直線形導波路のカットオフ波長より短い。
【0051】図16は、図15と同様の計測結果を示す
グラフであるが、ただし、導波路パラメータをある特定
の値に選定して、より広い波長領域に亘って計測を行っ
ており、減衰特性曲線の急激な上昇が2箇所に出現して
いる。それらのうちの1つは、1次モードのカットオフ
領域に対応しており、もう1つは、基本モードのカット
オフ領域に対応している。このグラフに示された、基本
モードのカットオフ領域と1次モードのカットオフ領域
との間の領域が、単一モード領域である。
【0052】図17、図18、図19は、Tiストライ
プの幅寸法及び厚さ(拡散処理を施す前の幅寸法及び厚
さ)を様々に設定したときの、様々な次数のモードのカ
ットオフ波長(図15に関して説明した定義に従ったカ
ットオフ波長)の測定結果を示したグラフである。図1
7、図18、図19には、更に、スレショルド値である
1550nmを併せて示してある。図17について説明
すると、これは、Tiストライプの厚さを1050Åと
したときの値を示しており、この場合、最も短いカット
オフ波長は、TMモードの、単一モード領域のカットオ
フ波長である。Tiストライプの幅を5.2μmにする
と、カットオフ波長は1600nmになる。
【0053】図18、図19は、Tiストライプの厚さ
を異なった値としたときの値を示しており、以上と同様
の考察を行うことで、以下の値が好適値であることが分
かる。
【0054】 1050Å: 5.2μm(5.5μm) 1150Å: 4.5μm(4.8μm) 1250Å: 4.1μm(4.4μm) 先に記した(即ち、括弧の外の)値は、3つの具体例に
おける「理想値」であり、一方、括弧内の値は、製作プ
ロセスのばらつきを考慮に入れて許容誤差を大きめに取
ったときの値である。一般的に、製作許容誤差及び計測
許容誤差のために、カットオフ波長の計測値λmax=
1600nmが変動するが、好適な導波路は、カットオ
フ波長を1570nm〜1650nmとすることによっ
て得られる。この関係は、導波路の形態の如何にかかわ
らず、一般的に成り立つものである。図17、図18、
図19の値を、図9に関連して既に説明した必要条件と
比較すると、図17、図18、図19に示された値で
は、複屈折特性のばらつきが小さくなり、モードが単一
モードとなり、しかもその単一モード領域が所定のカッ
トオフ波長の近傍に存在することが分かる。従って、拡
散処理を施す前のTiストライプの値として、上記のよ
うな一般的なTiストライプの厚さ及び幅寸法の値を用
いるならば、伝搬定数や基本モードの正規化周波数が、
カットオフ条件にに近い値となる光導波路を設計するこ
とができる。
【0055】例えば、伝搬波長の領域を示す波長ウィン
ドウが1550nmの近傍に設定されている場合に、減
衰特性曲線の形状が、その波長ウィンドウで示された動
作波長範囲の全域に亘って十分に平坦な形状となるよう
にするには、その波長ウィンドウの上限波長(即ち、有
効伝搬波長の上限値)が、以上に説明した方法に関して
定義したカットオフ波長から30nm以上離れるよう
に、導波路パラメータを選定することが好ましい。ただ
し、波長ウィンドウの上限波長が、カットオフ波長か
ら、必ずしも30nm以上離れていなければならない訳
ではない。30nm以上離れていない場合には、伝搬モ
ードの波長がカットオフ波長に近付くと導波能力が低下
するが、その場合であっても、複屈折特性のばらつきは
大幅に改善される(図9参照)。
【0056】一方、複屈折特性のばらつきを小さく抑え
るには、波長ウィンドウの上限波長がカットオフ波長か
ら85nm以上離れないようにすることが好ましい。音
響光学モード変換素子の光導波路として、上述の導波路
パラメータを有する(即ち、上述のカットオフ波長条件
を満足する)光導波路を用いることによって、制作中に
製作パラメータが変動しても、複屈折特性に大きなばら
つきが発生しなくなるため、変換周波数の安定性が改善
される。即ち、光導波路が上述の条件を満足していれ
ば、製作中に導波路パラメータの小さなばらつきが発生
したとしても、総合的な複屈折特性のばらつきは、太い
導波路(幅寸法及び深さ寸法の大きな導波路)の場合ほ
ど大きくはならない。
【0057】複屈折特性のばらつきが、導波路パラメー
タに影響されにくくなるという優れた効果は、実効複屈
折特性が、材料の固有の複屈折特性(LiNbO3の場
合には、Δneff=0.072である)と、殆ど導波路
の寸法によって決まる導波路に固有の複屈折特性との組
合せであるということからも、直感的に理解することが
できる。
【0058】図20は、LiNbO3基板の、非ドープ
領域及びTiドープ領域の典型的な屈折率を示した図で
ある(LiNbO3のカットは、xカットであり、Ti
ドープの深さは1200Åである)。拡散の結果として
得られる屈折率分布を表す特性曲線の形状は、実際には
矩形ではなく、その拡散特性に応じた形状となり、例え
ば、正規曲線に似た形状になることもある。このTi拡
散によってもたらされる常光線屈折率noの上昇量は、
異常光線屈折率neの上昇量より小さい。そして、導波
路の「幅寸法が大きい」ほど、また「深さ寸法が大き
い」ほど、実効複屈折特性に対するTi拡散の寄与度は
大きい。
【0059】導波路の寸法は、例えば製作プロセスにお
ける不均一(Tiストライプの幅寸法、そのチタン層の
厚さ、それに拡散温度等のばらつき)のために、局所的
変動(即ち、ばらつき)を生じており、そのような導波
路の寸法の局所的な変動は全て、導波路の複屈折特性の
局所的変動をもたらし、従って、位相整合条件(ブラッ
グ条件)を変動させる。導波路の寸法変動量の絶対値が
同じであれば、総合的な複屈折特性に対する導波路の複
屈折特性の寄与度が「小さい」ほど、総合的な複屈折特
性への影響が小さくなる。
【0060】従って、導波が強力に行われない光波(そ
の伝搬定数がカットオフに非常に近いモードの光波)
は、導波が強力に行われる光波と比べて、実効屈折率に
関する限り、導波路の寸法変化に対する感受性が小さ
く、このことは図9〜図12から明らかである。
【0061】単一モード複屈折性導波路の製作方法 これより図21を参照して、本発明にかかる光導波路の
製作方法について説明して行く。
【0062】図21aにおいて、基板1の表面にTi金
属層7を形成し、この基板1の好ましい材料はLiNb
3である。Ti金属層7の表面に標準的なポジティブ
フォトレジスト8を塗布する。導波路パターン4を有す
るマスクを使用して、ポジティブフォトレジストの露光
を行い、続いて、一般的な現像処理手段を用いて現像処
理を施すことで、ポジティブフォトレジスト8のうちの
露光された部分を除去し、これによって、図21bに示
した構造が得られる。
【0063】図21bにおいて、ドライエッチング法
(例えば反応性イオンエッチング法)を用いてチタン層
のエッチングを行い、チタン層のうちの、残されたフォ
トレジスト8によって覆われていない部分を除去する。
これによって図21cに示した構造が得られる。図21
cに示したように、非常に精度の高いドライエッチング
法によって(例えば反応性イオンエッチング法(RI
E)を用いる)、アンダーエッチングも、またアンダー
カットも、殆ど発生しないため、基板1上のTi層の寸
法は、マスクパターン4によって規定される目標寸法に
略々等しく維持される。続いて、残りのフォトレジスト
8を除去すると、図21dに示した構造が得られる。従
来の技法を用いた場合と同様に、拡散処理を実施するこ
とで、Tiストライプ7を基板1の中へ拡散させ、それ
によって、図21eに示した光導波路6が得られる。
尚、本発明にかかる方法、導波路、及びデバイスは、金
属層7をTiで形成するものに限定されない。例えばこ
の層7を、酸化チタン等の非金属層とすることも可能で
ある。
【0064】ドライエッチング法は、エッチング液剤を
使用しないエッチング法である。ドライエッチング法に
は、イオン衝撃法(イオンの衝撃によってエッチング作
用が得られる)や、化学物理エッチング法(エッチング
作用の一部はイオン衝撃によって得られ、また一部は化
学作用によって得られる)がある。イオン衝撃法の具体
例としては、スパッタエッチング法や、イオンミリング
法がある。化学物理エッチング法に該当する技法には、
プラズマ分離型プラズマエッチング法(downstr
eam plasma reactor etchin
g)、電子サイクロトロン共鳴エッチング法、それに反
応性イオンエッチング法などがある。反応性イオンエッ
チング法は、例えば、CF4、SF6、CHF3、等のフ
ッ素系ガスを使用して実施することもでき、また、CL
2やSiCl4などの塩素系ガスを用いて実施することも
できる。図21bのTi層の然るべき部分をエッチング
によって除去するためには、以上に列挙したドライエッ
チング法のいずれを使用することも可能である。図21
bで使用する好ましいドライエッチング法は、反応性イ
オンエッチング法であり、このエッチング法では、イオ
ン化ガスから成るエッチャント(プラズマ)が、機械的
作用(イオン衝撃)と化学作用との両方を発揮すること
でエッチング作用をもたらす。
【0065】ここで重要な点は、図21の方法によれ
ば、基板1上に形成されるTiストライプの、拡散処理
を施す前の段階での幅寸法を、高度の再現性並びに高度
の精度をもって目標値に一致させ得るということであ
る。従って、例えば、導波路の幅寸法を、図17、図1
8、及び図19を参照して説明した寸法に選択すれば、
図21の方法を用いることで、その選択した導波路の幅
寸法が、再現性をもって、しかも高い精度で、確実に得
られるようになる。いうまでもなく、導波路の幅寸法以
外の、例えば拡散温度や拡散時間等のパラメータも、実
際の導波路の寸法に影響する。しかしながら、導波路の
寸法は最も重要なパラメータであるため、幅寸法の精度
及び再現性の改善は、実際のデバイスにとって非常に重
要なことである。
【0066】以上の説明は、拡散型光導波路の特性のう
ち、複屈折特性のばらつきだけを考慮したものであった
が、図21の製作方法は、いかなる種類の拡散型導波路
を形成する際にも、一般的に適用可能なものであり、本
発明は、例えばLiNbO3のように複屈折性材料で製
作した特定の基板材料を使用することに限定されるもの
ではない。
【0067】図21の製作方法は、拡散処理を施す前の
ストライプの幅寸法を高精度で制御することを必要とす
るいかなる種類の拡散型導波路(または光導波路を用い
た光部品)の形成にも有利に適用し得るものである。い
うまでもなく、この製作方法は、音響光学デバイスに用
いられている導波路のように、導波路の寸法を高精度で
制御することを必要とする光導波路を製作する場合に特
に有利なものであり、なぜならば、光導波路では、その
導波路の寸法に小さなばらつきがあるだけで、カットオ
フが発生するおそれがある上に、一般的にその導波路が
マルチモードの性質を発生するおそれもあるからであ
る。
【0068】カットオフ波長及び製作方法に関連した以
上の教示はいずれも、単に音響光学デバイスに該当する
のみならず、光導波路を備えたその他の光部品にも一般
的に該当する教示である。
【0069】例えば、複屈折性材料基板上に形成する導
波路偏光スプリッタや、平面基板上に形成する微弱波結
合器などは、本発明を適用することで大きな利点が得ら
れるものである。これら光部品は、音響光学デバイスに
用いられるばかりでなく、例えば、2出力マッハツェン
ダ干渉素子や電気光学スイッチにも用いられるものであ
る。
【0070】図21の方法の精度を図8の方法と比較す
るために、本発明者らが確認したところによれば、リフ
トオフ法による典型的な加工誤差が、Δw=±0.5μ
m及びΔτ=±50Åであったのに対して、好適な実施
の形態にかかる反応性イオンエッチング法による典型的
な加工誤差は、Δw=±0.1ミクロン及びΔτ=±3
0Åであった。
【0071】拡散型導波路の単一モード特性 図22a及び図22bは、xカットのLiNbO3基板
に形成した拡散型導波路のカットオフ領域を、幅寸法及
び厚さに対して示したグラフである。それらのグラフか
ら分かるように、拡散時間を同じ9時間とした場合に、
拡散温度を僅かに上昇させてTdiff=1060℃とする
ことで、基本モードであるTE00モードとTM00モード
とのいずれのカットオフ領域も、幅寸法及び厚さという
導波路パラメータに関して小さな値の方へ移動する。
【0072】これは、まさに、光導波路の複屈折特性の
ばらつきを小さく抑えるために目指していることに他な
らない。即ち、拡散温度Tdiffを1030℃より高い温
度に設定することで、具体的には、Tdiff=1060℃
とすることで、導波路をできるだけ細く(即ち、厚さ及
び幅寸法を小さく)して、総合的な複屈折特性に対する
導波路の複屈折特性の影響を低下させるという条件が達
成される。
【0073】図22a及び図22bは、カットオフ条件
の算出値を示したものであるが、実験によって確認され
ているところによれば、一般的に、導波路の実際の導波
能力は、モデルに基づいて予測した導波能力よりも小さ
くなる。そのため、計算に使用するTi層の厚さの値
を、実験値より小さな値とすることで、実験結果と計算
結果とを適切に一致させることができ、その際に、計算
に使用するTi層の厚さの値を実験値の約70%にする
のが適当である。こうすることで、拡散型導波路のパラ
メータを、理論的な設計値に対応させることができる。
【0074】複屈折特性のばらつきと製作パラメータ 図23、図24、及び図25は、実効複屈折特性の値
を、Tiストライプの幅寸法、Ti層の厚さ、及び拡散
温度の夫々で微分した微分値を示した図である。それら
微分値は、Tiストライプの幅寸法とTi層の厚さとの
関数として地形図と同様のダイアグラムの形で示してあ
り、拡散時間が9時間で、拡散温度が1030℃(上側
の図)と1060℃(下側の図)の場合について示した
ものである。図中の網掛けした部分が単一モード領域を
表している。
【0075】Tiストライプの幅寸法が変動したとき
の、複屈折特性のばらつきは、拡散温度が1060℃の
場合よりも、1030℃の場合の方が強く出る。Tiス
トライプの幅寸法を小さくしてTi層の厚さを増すと、
Tiストライプの幅寸法を大きくしてTi層の厚さを小
さくした場合と比べて、微分値は約4ないし約5倍にな
る。微分値の絶対値は、いずれも10-4μm-1程度とな
っている。従って、複屈折特性のばらつきを、10-5
り小さくするためには、Tiストライプの幅寸法のばら
つきをΔw<0.1μmとしなければならない。
【0076】図24は、Ti層の厚さの値で微分した微
分値を示したグラフである。この微分値は−2×10-5
nm-1〜−1×104nm-1の範囲内で変化している。
拡散温度を1060℃とした場合には、1030℃とし
た場合と比べて、微分値の絶対値が僅かに小さくなって
いる。ストライプの幅寸法が大きいほど、微分値の絶対
値が大きくなっている。複屈折特性のばらつきを10-5
より小さく抑えるためには、Ti層の厚さのばらつき
が、約0.2nmを超えないようにすればよい。
【0077】図25は、導波路の複屈折特性に対する、
拡散温度のばらつきの影響の大きさを示している。拡散
温度が1030℃の場合と1060℃の場合とで、それ
ほどの差違は認められない。ただし、Ti層の厚さが小
さいほど、微分値は小さくなっている。
【0078】製作パラメータであるストライプの幅寸法
w、Ti層の厚さτ、及び拡散温度Tdiffの各々は、互
いに独立であるが、ただし、製作プロセスにおいて、常
に発生するものであり、複屈折特性のばらつきの平均値
【0079】
【外1】
【0080】にオーバーラインを付したもので表す)
は、以下の
【式5】で定義される。
【0081】
【式5】
【0082】この
【式5】において、ΔW、Δτ、及びΔTdiffは、夫
々、基板の材料及び導波路の材料を不変(LiNbO3
及びTi)としたときの、ストライプの幅寸法のばらつ
き、層の厚さのばらつき、それに拡散温度のばらつきで
ある。これらパラメータの値は、製作プロセス及び使用
する装置に影響されるものであるため、それらの値を知
るためには、実際に計測しなければならない。
【0083】図26は、ストライプの幅寸法及び層の厚
さに対する複屈折特性のばらつきの平均値を示した図で
ある。この値を算出するために、ストライプの幅寸法の
ばらつきはΔW=0.1μmであるものと仮定し、Ti
層の厚さのばらつきはΔτ=1nmであるものと仮定し
た。また、拡散温度のばらつきは無視するものとした。
導波路が単一モードである領域では、複屈折特性のばら
つき{δ(Δn)}の平均値は、最大と最小で2倍の開
きがある。図26から分かるように、最適化した導波路
パラメータは、ストライプの幅寸法が小さく、Ti濃度
が低い導波路である。拡散温度が1060℃の場合を考
察すると、約1.4倍という顕著な改善がなされること
が分かる(7×10-5の曲線、及び5×10-5の曲線を
参照されたい)。
【0084】図23〜図26から、次のことが分かる。
即ち、音響光学モード変換素子に用いる光導波路は、比
較的高い拡散温度で拡散処理を施すのがよく、好適な拡
散温度はTdiff=1060℃であり、また、単一モード
伝搬が可能なように、導波路の幅寸法及び厚さを小さく
するのがよい。なぜならば、導波路の幅寸法を最小に
し、また厚さを最小にするとき、複屈折特性のばらつき
を最も小さくすることができるからである。
【0085】具体例 以下に、図27〜図32、図33、及び図34を参照し
て、幾つかの実験例について説明する。
【0086】モード変換素子は、幅寸法が100μmの
直線形音響導波路に光導波路を埋込んで構成したもので
ある。図28に示したように1枚のウェーハ上に構成す
る複数の構造の夫々において、光導波路の幅寸法、即
ち、光導波路を製作するために使用するマスクのストラ
イプの幅寸法を、W=4.0μmから、W=10.0μ
mまで、0.5μmきざみで変化させた(図27におい
て「x」は、製造する基板の番号を表している)。更
に、音響光学モード変換素子に備えた音響導波路は既述
のごとく直線形であるが、光導波路はどのサンプルにお
いてもテーパ形とした。このテーパ形の構造は、光導波
路の幅寸法が、相互作用領域の一端から他端へかけて、
4.5μmから7.5μmへ変化するようにしたもので
ある。複屈折特性のばらつきを評価するための方法とし
ては、従来技術の文献について言及した際に説明したパ
ルス・プロービング法を用いた。
【0087】図29〜図32は、相互作用領域における
位置である導波路の長手方向位置に対する複屈折特性の
ばらつき(変動)の計測結果を示したグラフである。図
29〜図32から明らかなように、ストライプの幅寸法
を小さくするほど、複屈折特性のばらつき(変動)が小
さくなる。一般的に、幅寸法が7μmの導波路では、幅
寸法が5.5μmの構造の導波路と比べて、複屈折特性
のばらつきの大きさが約3倍になっている(相互作用領
域の長さZが長くなるほど、複屈折特性のばらつきの大
きさが小さくなって行くという規則的な傾向があるよう
に見える。このことは、図29及び図30に示したサン
プルU1−0及びU1−7について非常に顕著であ
る)。
【0088】不均質性の原因を明らかにするために、更
なる研究を行う必要がある。拡散処理を施す前に、ウェ
ーハ上の、ストライプの幅寸法のばらつきと、層の厚さ
のばらつきとを計測した。その結果を図33及び図34
に示した。図33は、幅寸法の目標値を6μmとした光
導波路を形成するためのTiストライプの幅寸法を、結
合領域(相互作用領域)の長手方向位置zに対してプロ
ットしたグラフである。Tiストライプの幅寸法は、位
置zによって、約7.1μm〜約8.2μmの範囲内で
ばらついて(変動して)おり、規則的な傾向は認められ
ない。
【0089】図34は、層の厚さのばらつき(変動)を
示したグラフである。このグラフから明らかなように、
相互作用領域における長手方向位置による層の厚さのば
らつきの大きさは、かなりの大きさである。一方、相互
作用領域におけるストライプの幅寸法のばらつきの大き
さの絶対値は、約0.8μmである。以上のようにして
実行した研究の結果からは、ストライプの幅寸法のばら
つきが約0.8μmであれば、それに対応して、約4×
10-4の大きさの複屈折特性のばらつきが生じることが
分かる。また、相互作用領域における長手方向位置によ
る層の厚さのばらつきの大きさは約10nmであり、層
の厚さのばらつきがこの大きさであれば、それによって
約4×10-4の大きさの複屈折特性のばらつきが生じ
る。従って、層の厚さのばらつきと、ストライプの幅寸
法のばらつきとでは、複屈折特性の不均質性に対する寄
与の大きさが同程度である。
【0090】先に説明したように、音響光学モード変換
素子に用いるのに適した複屈折性光導波路は、その伝搬
定数を、できるだけカットオフに近付けた光導波路であ
る。導波路の(拡散処理を施す前の)幅寸法の好適範囲
は、4μm〜7μmであり、4μm〜5.5μmとすれ
ば更に好ましく、その際の層の厚さの好適範囲は105
0Å〜1250Åであり、1050Å〜1150Åとす
れば更に好ましい。光導波路の動作波長領域を、153
0nm〜1565nmとする場合には、そのような仕様
とするためには、光導波路のカットオフ波長を、165
0nm以下で、1570nm以上にする必要があり、約
1600nmとすることが好ましい。光導波路の動作波
長領域を、これとは異なった波長領域に定める場合に
も、同様の考えに従えばよい。
【0091】以上に例示した具体的な値は、Tiドープ
によって形成した光導波路と、LiNbO3基板との間
の屈折率の差に対して適合する値である。屈折率の差が
これとは異なる場合や、動作波長ウィンドウの領域が以
上に例示したものと異なる場合には、使用する層の厚さ
の値及びストライプの幅寸法の値を、別の値にすること
になる。それら値は、当業者であれば、実験を行って決
定することができ、即ち、単一モード特性が維持される
ように、しかもそれと同時に、単一モードの正規化周波
数(即ち、TE基本モード及びTM基本モードの伝搬定
数)ができるだけカットオフ波長に近付くように導波路
の幅寸法及びさを最適化するように、それら値を定めれ
ばよい。
【0092】従って、本発明は、以上に例示した値や材
料に限定されるものではなく、その他の導波路でも、同
様の効果が得られるものである。即ち、カットオフ波長
の近傍で基本モードを導波するようにした導波路は、そ
の導波路の複屈折特性の、総合複屈折特性への寄与が小
さい。従って、幅寸法及び厚さをできるだけ小さくする
ことで、即ち、伝搬定数をできるだけカットオフに近付
けることで、複屈折特性のばらつきを、常に、製作パラ
メータから小さな影響しか受けないようにすることがで
きる。
【0093】産業上の利用可能性 以上説明したように、本発明にかかる光導波路は、製作
パラメータである光導波路の厚さ、光導波路の幅寸法、
それに拡散温度等のばらつきに対する複屈折特性の安定
性が格段に改善されている。かかる光導波路は、図6に
示したような音響光学チューナブル2×2波長空間スイ
ッチ、図3に示したような基本的な音響光学モード変換
素子、それに、図7に示したような音響光学フィルタに
用いる場合に、極めて有利なものである。音響光学効果
を利用したこれらデバイスはいずれも、かかる光導波路
を用いることで、製作パラメータのばらつき(変動)に
よって生じる変換周波数の変動が、小さく抑えられるよ
うになる。そして、光導波路の長手方向による複屈折特
性のばらつきが小さければ、位相整合条件がより良好に
満足されるようになる。
【0094】従って、その製作プロセスのばらつきにつ
いて、光導波路の幅寸法及び厚さを小さくすることによ
って、複屈折特性のばらつきを小さく抑え得るというこ
とを認識したのは、本発明が最初である。更に、より高
温の拡散温度で拡散処理を行うことによって光導波路を
更に安定させ得ることを認識したのも、本発明が最初で
ある。
【0095】以上に本発明を、音響光学モード変換素子
に使用される複屈折性基板に形成した拡散型導波路を例
に取って説明したが、本明細書に開示した教示は、あら
ゆる種類の導波路(複屈折性、等方性、または異方性の
導波路)、並びにそれら導波路を使用したあらゆる種類
の光部品に、広く一般的に適用し得るものであることを
理解されたい。即ち、導波路の寸法を、伝搬定数がカッ
トオフに近い値になるように選定することで、製作パラ
メータのばらつき(変動)が導波路の性能に及ぼす影響
(例えば、複屈折特性のばらつき)を小さくすることが
できる。
【0096】本発明は、以上に説明した実施の形態に限
定されるものではない。以上に説明した実施の形態は、
現時点で本発明の最良の実施の形態であると考えられる
ものであるが、ただし、本発明の原理を包括的に説明す
るために提示したものにすぎない。本発明は、請求項に
記載した本発明の範囲内で、以上には説明しなかったそ
の他の形態で実施することも可能である。特に、本発明
は、複数の請求項に記載された夫々の特徴の組合せを含
む形態で実施することも可能である。請求項、明細書中
の説明、及び図面中で使用している参照番号は、本発明
の理解を助けるための説明的目的で使用しているもので
あり、保護の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な、光集積技術に用いられる
典型的な幾つかの導波路構造を示した図である。
【図2】図1の導波路構造を用いて製作される、幾つか
の光集積部品を示した概念図である。
【図3】モード変換素子の基本構造を示した図である。
【図4】高さ寸法が1250Å、幅寸法が7.0μm、
長さが60mmの光導波路を用いた従来の音響光学モー
ド変換素子の、典型的な変換特性の例を示したグラフで
ある。
【図5】音響光学モード変換素子の長手方向位置による
複屈折特性のばらつきの典型例を示している、図4の音
響光学モード変換素子の長手方向位置による位相整合周
波数(最大≒100%位相整合)を表した等周波数線図
である。
【図6】入力部に偏光ビームスプリッタを使用し、出力
部に偏光ビームコンバイナを使用した、音響光学チュー
ナブル2×2波長空間スイッチを示した図である。
【図7】音響光学フィルタの構成を示した図である。
【図8】図8a〜図8eは、拡散型導波路を形成するた
めの従来の「リフトオフ」製作法を説明した図である。
【図9】図9は変換周波数が導波路の幅寸法にどのよう
に影響されるかを示したグラフであり、グラフ中にカッ
トオフ波長を表示した。
【図10】図10は導波路の幅寸法に対する変換周波数
の相対変化量Δf/Δwを示したグラフである。
【図11】層の厚さに対する変換周波数の相対変化量Δ
f/Δτを示したグラフである。
【図12】図12は、本発明にかかる光導波路(長さL
=60mm)を用いた音響光学モード変換素子の、周波
数に対する変換効率ηを示したグラフである。
【図13】図13は、図12の音響光学デバイスの長手
方向位置による位相整合周波数のばらつきを示したグラ
フである(中央値≒100%位相整合である)。
【図14】図14は、光導波路のカットオフ波長を計測
するための計測装置を示した図である。
【図15】図15は、図14の装置によって計測された
TE基本モード世及びTM基本モードの減衰特性曲線を
示したグラフである。
【図16】図16は、図14の装置によって計測された
基本モード及び1次モードの減衰スペクトルを示したグ
ラフである。
【図17】図17は、Tiストライプの厚さ及び幅寸法
を様々な値に設定して計測したカットオフ波長の計測値
を示したグラフである。
【図18】図18は、Tiストライプの厚さ及び幅寸法
を様々な値に設定して計測したカットオフ波長の計測値
を示したグラフである。
【図19】図19は、Tiストライプの厚さ及び幅寸法
を様々な値に設定して計測したカットオフ波長の計測値
を示したグラフである。
【図20】図20は、LiNbO3の非ドープ領域とT
iドープ領域の夫々の屈折率の典型的な値を示したグラ
フである。
【図21】本発明にかかる拡散型導波路を形成するため
の方法を説明した図である。
【図22】図22a及び図22bは、導波路の厚さ、導
波路の幅寸法、及び拡散温度に対するカットオフ条件の
依存性を示したグラフである。
【図23】図23は、導波路パラメータに対する実効複
屈折特性のばらつきの大きさを示したグラフである。
【図24】図24は、導波路パラメータに対する実効複
屈折特性のばらつきの大きさを示したグラフである。
【図25】図25は、導波路パラメータに対する実効複
屈折特性のばらつきの大きさを示したグラフである。
【図26】図26は、導波路パラメータに対する実効複
屈折特性のばらつきの大きさを示したグラフである。
【図27】図27は、本発明にかかる光導波路及び音響
光学デバイスを形成したウェーハの具体例を示した図で
ある。
【図28】図28は、本発明にかかる光導波路及び音響
光学デバイスを形成したウェーハの具体例を示した図で
ある。
【図29】図29は、図27に示したサンプルに形成さ
れている幾つかの導波路の、長手方向位置による複屈折
特性のばらつきの計測値を示したグラフである。
【図30】図30は、図27に示したサンプルに形成さ
れている幾つかの導波路の、長手方向位置による複屈折
特性のばらつきの計測値を示したグラフである。
【図31】図31は、図27に示したサンプルに形成さ
れている幾つかの導波路の、長手方向位置による複屈折
特性のばらつきの計測値を示したグラフである。
【図32】図32は、図27に示したサンプルに形成さ
れている幾つかの導波路の、長手方向位置による複屈折
特性のばらつきの計測値を示したグラフである。
【図33】図33は、導波路の長手方向位置による、そ
の導波路の幅寸法及び厚さのばらつきを示したグラフで
ある。
【図34】図34は、導波路の長手方向位置による、そ
の導波路の幅寸法及び厚さのばらつきを示したグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 501029700 Viale Sarca,222,I− 20126,Milano,Italy (72)発明者 ハラルト・ヘルマン ドイツ連邦共和国デー−33102 パデルボ ルン,エルレンヴェーク 3 (72)発明者 サルヴァトーレ・モラスカ イタリア共和国 イティ−22100 コモ, ヴィア・ミラノ 162 (72)発明者 シュテファン・シュミド イタリア共和国ミラノ,イティ−20052 モンツァ,ヴィア・カルロ・ポルタ 19 /4 Fターム(参考) 2H079 AA04 BA02 CA08 DA03 EA03 EA05 HA11 2K002 AB04 BA12 CA03 DA06 EA04 FA24 HA10

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)複屈折性基板(1)と、 (b)前記基板(1)に設けた少なくとも1つの光導波
    路(6)と、 (c)前記光導波路(6)と略々同一線上に位置するよ
    うに前記基板(1)に設けた音響導波路と、 (d)トランスデューサと、 を備えた音響光学モード変換素子において、 (d)前記少なくとも1つの光導波路の導波路パラメー
    タを、前記光導波路におけるTE基本モードのカットオ
    フ波長(λcTE)とTM基本モードのカットオフ波長
    (λcTM)とのいずれか短い方のカットオフ波長が16
    50nmより小さいように選定した、 ことを特徴とする音響光学モード変換素子。
  2. 【請求項2】 前記光導波路(6)が、拡散型の、チャ
    ネル形導波路またはリブ形導波路であることを特徴とす
    る請求項1記載の音響光学モード変換素子。
  3. 【請求項3】 前記導波路パラメータが、拡散処理を施
    す前の導波路材料のストライプ(8)の高さ寸法(τ)
    及び幅寸法(w)を少なくとも含んでいることを特徴と
    する請求項2記載の音響光学モード変換素子。
  4. 【請求項4】 前記ストライプの高さ寸法が1050×
    10-10m〜1250×10-10mの範囲内にあり、前記
    ストライプの幅寸法が4.0μm〜5.5μmの範囲内
    にあることを特徴とする請求項3記載の音響光学モード
    変換素子。
  5. 【請求項5】 前記ストライプの高さ寸法と幅寸法との
    組が、1050×10-10m/5.2μm、1150×
    10-10m/4.5μm、または、1250×10-10
    /4.1μmであることを特徴とする請求項3記載の音
    響光学モード変換素子。
  6. 【請求項6】 前記ストライプの幅寸法(w)が、該ス
    トライプの高さ寸法(τ)より大きいことを特徴とする
    請求項3記載の音響光学モード変換素子。
  7. 【請求項7】 基板材料がLiNbO3であることを特
    徴とする請求項1記載の音響光学モード変換素子。
  8. 【請求項8】 導波路材料がTiであることを特徴とす
    る請求項1記載の音響光学モード変換素子。
  9. 【請求項9】 (a)複屈折性基板(1)を用意するス
    テップと、 (b)前記基板に音響導波路を形成するステップと、 (c1)前記基板(1)中へ拡散させる導波路材料
    (7)を選択するステップと、 (c2)前記導波路材料の前記ストライプを前記基板
    (1)中へ拡散させて、前記光導波路を、前記光導波路
    (6)に対して略々同一線上に形成するステップと、 (d)前記基板(1)の主表面にトランスデューサを形
    成するステップと、を含んでいる、少なくとも1つの拡
    散型チャネル形光導波路を備えた音響光学モード変換素
    子の製作方法において、 (e)所定拡散パラメータを用いて、所定寸法の導波路
    材料のストライプを、前記複屈折性基板(1)中に拡散
    させることによって、前記拡散型光導波路を形成し、 (f)拡散処理を施す前の前記ストライプの前記所定寸
    法と、前記所定拡散パラメータとを、拡散処理を施した
    後の前記光導波路におけるTE基本モードのカットオフ
    波長(λcTE)とTM基本モードのカットオフ波長(λ
    cTM)とのいずれか短い方のカットオフ波長が1650
    nmより小さくなるように選定する、ことを特徴とする
    方法。
  10. 【請求項10】 基板材料をLiNbO3とし、導波路
    材料をTiとすることを特徴とする請求項9記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 前記ストライプの高さ寸法を1050
    ×10-10m〜1250×10-10mの範囲内とし、前記
    ストライプの幅寸法を4.0μm〜5.5μmの範囲内
    とすることを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記ストライプの高さ寸法と幅寸法と
    の組を、1050×10-10m/5.2μm、1150
    ×10-10m/4.5μm、または、1250×10-10
    m/4.1μmとすることを特徴とする請求項11記載
    の方法。
  13. 【請求項13】 所定拡散温度を1060℃とすること
    を特徴とする請求項10記載の方法。
  14. 【請求項14】 所定拡散時間を9時間とし、拡散温度
    を1030℃〜1060℃の範囲内とすることを特徴と
    する請求項10記載の方法。
  15. 【請求項15】 入力偏光ビームスプリッタと、出力偏
    光ビームスプリッタと、それら入力偏光ビームスプリッ
    タと出力偏光ビームスプリッタとの間に配設された請求
    項1乃至8の何れか1項記載の音響光学モード変換素子
    とを備えたことを特徴とする2×2音響光学チューナブ
    ルスイッチ。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至8の何れか1項記載の音
    響光学モード変換素子を備えたことを特徴とする音響光
    学チューナブルフィルタ。
  17. 【請求項17】 基板に形成した音響導波路を備える音
    響光学モード変換素子の拡散型導波路等として用いる光
    導波路(6)において、 導波路パラメータ(Δn、w、τ)を、前記光導波路に
    おけるTE基本モードのカットオフ波長(λcTE)とT
    M基本モードのカットオフ波長(λcTM)とのいずれか
    短い方のカットオフ波長が1650nmより小さくなる
    ように選定したことを特徴とする光導波路。
  18. 【請求項18】 基板に形成した音響導波路を備える音
    響光学モード変換素子等に用いる、複屈折性基板(1)
    に拡散形成した光導波路(6)において、 前記基板中へ拡散させる導波路材料ストライプの、その
    拡散処理を施す前のパラメータ(Δn、w、τ)を、前
    記基板中へ拡散させる拡散処理を施した後の前記光導波
    路におけるTE基本モードのカットオフ波長(λcTE
    とTM基本モードのカットオフ波長(λcTM)とのいず
    れか短い方のカットオフ波長が1650nmより小さく
    なるように選定したことを特徴とする光導波路。
  19. 【請求項19】 複屈折性基板に形成した音響導波路を
    備える音響光学モード変換素子等に用いる光導波路の製
    作方法であって、 (a)前記複屈折性基板(1)を用意するステップと、 (b)前記基板(1)中へ拡散させる導波路材料(7)
    を選択するステップと、 (c)前記導波路材料のストライプ(7)を前記基板
    (1)中へ拡散させて、前記基板(1)に前記光導波路
    を形成するステップと、 を含んでいる方法において、 (d)所定拡散パラメータを用いて、所定寸法の導波路
    材料のストライプを、前記基板(1)中へ拡散させるこ
    とによって、前記拡散型導波路(6)を形成し、 (f)拡散処理を施す前の前記ストライプの前記所定寸
    法と、前記所定拡散パラメータとを、拡散処理を施した
    後の前記光導波路におけるTE基本モードのカットオフ
    波長(λcTE)とTM基本モードのカットオフ波長(λ
    cTM)とのいずれか短い方のカットオフ波長が1650
    nmより小さくなるように選定する、 ことを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 基板(1)と、前記基板に設けた音響
    導波路と、トランスデューサと、所定寸法の導波路材料
    のストライプ(7)を前記基板(1)中へ拡散させるこ
    とによって形成した少なくとも1つの光導波路とを備え
    た音響光学モード変換素子において、 拡散処理を施す前の前記ストライプの前記所定寸法と、
    前記所定拡散パラメータとを、拡散処理を施した後の前
    記光導波路におけるTE基本モードのカットオフ波長
    (λcTE)とTM基本モードのカットオフ波長(λcTM
    とのいずれか短い方のカットオフ波長が1650nmよ
    り小さくなるように選定したことを特徴とする音響光学
    モード変換素子。
  21. 【請求項21】 基板に形成した音響導波路を備える音
    響光学モード変換素子等に用いる、所定寸法の導波路材
    料のストライプ(7)を前記基板(1)中へ拡散させて
    形成した複屈折性光導波路において、 拡散処理を施す前の前記ストライプの前記所定寸法と、
    所定拡散パラメータとを、拡散処理を施した後の前記光
    導波路におけるTE基本モードのカットオフ波長(λ
    cTE)とTM基本モードのカットオフ波長(λcTM)との
    いずれか短い方のカットオフ波長が1650nmより小
    さくなるように選定したことを特徴とする複屈折性光導
    波路。
  22. 【請求項22】 前記光導波路(6)の入力光対出力光
    の減衰度が、該減衰度が実質的に一定である波長領域に
    おける減衰度から1dB上昇した点の波長をもって、前
    記基本モードの前記カットオフ波長であると定義するこ
    とを特徴とする請求項1または20記載の音響光学モー
    ド変換素子。
  23. 【請求項23】 前記光導波路(6)の入力光対出力光
    の減衰度が、該減衰度が実質的に一定である波長領域に
    おける減衰度から1dB上昇した点の波長をもって、前
    記基本モードの前記カットオフ波長であると定義するこ
    とを特徴とする請求項17、18、または21記載の光
    導波路。
  24. 【請求項24】 前記光導波路(6)の入力光対出力光
    の減衰度が、該減衰度が実質的に一定である波長領域に
    おける減衰度から1dB上昇した点の波長をもって、前
    記基本モードの前記カットオフ波長であると定義するこ
    とを特徴とする請求項9または19記載の方法。
JP15865299A 1998-06-04 1999-06-04 音響光学モード変換素子等に用いる導波路構造及びその製作方法 Pending JP2001174771A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP98110172:8 1998-06-04
EP98110172 1998-06-04

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001174771A true JP2001174771A (ja) 2001-06-29

Family

ID=8232053

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15865299A Pending JP2001174771A (ja) 1998-06-04 1999-06-04 音響光学モード変換素子等に用いる導波路構造及びその製作方法

Country Status (6)

Country Link
JP (1) JP2001174771A (ja)
AR (1) AR018447A1 (ja)
AU (1) AU3320299A (ja)
BR (1) BR9912984A (ja)
CA (1) CA2273601A1 (ja)
NZ (1) NZ336141A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
AU3320299A (en) 1999-12-16
BR9912984A (pt) 2001-07-24
AR018447A1 (es) 2001-11-14
CA2273601A1 (en) 1999-12-04
NZ336141A (en) 2000-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Vivien et al. Polarization-independent single-mode rib waveguides on silicon-on-insulator for telecommunication wavelengths
JP5313198B2 (ja) 導波路型偏光子
US6303040B1 (en) Method of fabricating thermooptic tunable wavelength filter
Bahadori et al. Ultra-efficient and fully isotropic monolithic microring modulators in a thin-film lithium niobate photonics platform
Courjal et al. Lithium niobate optical waveguides and microwaveguides
US6282332B1 (en) Waveguide structures in particular for use in acousto-optical mode converters and method for making same
Takahashi et al. Compact and low-loss coherent mixer based on high Δ ZrO 2-SiO 2 PLC
US6718110B2 (en) Indiffused optical waveguide structures in a substrate
Chen et al. Highly efficient thermal tuning interferometer in lithium niobate thin film using air bridge
Hui et al. Etching of lithium niobate: from ridge waveguides to photonic crystal structures
Ortega et al. Cutoff wavelength of periodically segmented waveguides in Ti: LiNbO3
TW588167B (en) Polarization-insensitive planar lightwave circuits and method for fabricating the same
Philipp et al. Amorphous silicon rich silicon nitride optical waveguides for high density integrated optics
JP2001174771A (ja) 音響光学モード変換素子等に用いる導波路構造及びその製作方法
EP0969297A1 (en) Method of manufacturing indiffused optical waveguide structures in a substrate
Yang et al. Highly-efficient thin film LiNbO 3 surface couplers connected by ridge-waveguide subwavelength gratings
EP0969310A1 (en) Waveguides for use in acousto-optical mode converters and method for making the same
Ahmadi et al. Simulation, Fabrication and Characterization of an Integrated Plasmonic Polarizer on Ti Diffused LiNbO3 Channel Waveguide
Qi et al. TE-pass polarizer based on asymmetrical directional couplers on thin-film lithium niobate
Ganguly et al. A three-waveguide polarization independent power splitter on lithium niobate substrate
Song et al. Silicon Nanowire Waveguides and Their Applications in Planar Wavelength Division Multiplexers/Demultiplexers
Zhang et al. Broadband 2x2 multimode-interference coupler on a silicon-nitride platform
Frigg A low loss silicon nitride nanophotonic waveguide platform by reactive sputtering
JP3069351B1 (ja) 光導波路装置
Lee et al. Development of on-chip high performance optical components based on hybrid material system of chalcogenide glass and conventional optical materials