JP2001172171A - 熱ショック蛋白質誘導剤 - Google Patents

熱ショック蛋白質誘導剤

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JP2001172171A
JP2001172171A JP2000304300A JP2000304300A JP2001172171A JP 2001172171 A JP2001172171 A JP 2001172171A JP 2000304300 A JP2000304300 A JP 2000304300A JP 2000304300 A JP2000304300 A JP 2000304300A JP 2001172171 A JP2001172171 A JP 2001172171A
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heat shock
shock protein
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geranylgeraniol
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Kazuhito Rokutan
一仁 六反
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 疾患や傷害の予防・治療・改善、移植におけ
る生着率改善剤、拒絶反応の予防・抑制・改善剤、外科
手術前処置剤等に有用な新規な熱ショック蛋白質誘導剤
の提供。 【解決手段】 ゲラニルゲラニオールを有効成分とする
熱ショック蛋白質誘導剤。ゲラニルゲラニオールは分子
内に二重結合を4ヶ所有し、計8通りの幾何異性体が存
在する。そのいずれの異性体であってもよいし、混合物
であってもよい。中でもより好ましくは、下記化学式
(I)で表されるオールトランス体(2E,6E,10
E−体)又は下記化学式(II)で表される2−シス体
(2Z,6E,10E−体)である。 【効果】本剤は脳神経疾患、心脈管系疾患、消火器系疾
患、代謝性疾患、自己免疫疾患、変性疾患、虚血性神経
細胞傷害、虚血・再灌流傷害、嚢胞性繊維症、悪性腫
瘍、感染症、肝不全、腎不全、薬物中毒、重金属中毒、
放射線傷害、紫外線傷害、生体侵襲、又は老化に対する
予防・改善・治療剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疾患や傷害の予防
・治療・改善などに有用な熱ショック蛋白質誘導剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱ショック蛋白質(heat shock protei
n、以下HSPと称する)はストレス蛋白質とも呼ばれる分
子量が数万から約15万の一群の蛋白質を指し、分子量に
よりいくつかのファミリーに分類されている。HSPは、
新生蛋白質、変性蛋白質、及び異常蛋白質の疎水部分に
非共有結合して、蛋白質の折り畳み、細胞内小器官への
輸送、変性蛋白質の再折り畳みや分解を介助して、細胞
内蛋白質の品質管理を行い、細胞内に異常蛋白質や変性
蛋白質が蓄積するのを防いでいる。これらの機能は分子
シャペロンと総称されている。HSPは熱ショックをはじ
めさまざまな物理的・化学的な傷害因子により誘導さ
れ、HSPを多く発現した細胞は、さまざまな傷害因子に
対して強い抵抗力を獲得することは既に確立された事実
である。
【0003】HSP70ファミリーに属する分子量72キロダ
ルトンのHSP70は、ストレスによりはじめて誘導される
蛋白質であり、最も研究が進んでいる。細胞を熱ショッ
クなどの非致死的なストレスに曝すことによりHSP70を
あらかじめ過剰発現させておくと、致死的な傷害因子に
対しても強い抵抗性を示し、細胞は生き延びることが出
来る。
【0004】この抵抗性は、分子シャペロンの機能を介
して細胞内に異常蛋白質や変性蛋白質が蓄積するのを防
ぐことに加えて、ストレスを受けた細胞のミトコンドリ
アなどの細胞内小器官の機能を保全し、細胞壊死を抑制
して炎症反応を抑え、アポトーシスを抑制して細胞損失
を抑えることが示されている(Samali,A. et al., Cell
Stress & Chaperones 3:228,1998)。
【0005】さまざまな病的状態では、細胞は物理的・
化学的ストレスにさらされる。実験動物を用いた多くの
疾患モデルにおいて、HSP70を何らかの方法で過剰発現
させると、傷害が軽減されることが明らかにされてお
り、HSP70の臨床応用についての期待が高まっている(Mi
nowada,G. et al., J.Clin.Invest.,95:2,1995とその引
用文献を参照)。
【0006】ヒトの疾患との関連で、細胞が遭遇するさ
まざまなストレスについて言及すると、まず、代表的な
ストレスとして虚血があげられる。あらかじめ実験動物
に全身の熱ショック負荷を行いHSP70を過剰発現させて
おくと、脳動脈や冠状動脈を結紮した場合でも、脳(Kit
agawa,k. et al., J. Cereb. Blood Flow Metab.,11:44
9,1991)や心臓(Donnelly,T.J. et al., Circulation 8
5:1048,1992)の梗塞部位が縮小することが示されてい
る。また、HSP70の遺伝子導入を行ったマウスでも、心
筋梗塞の抑制効果が示されている(Maber,M.S. et al.,
J.Clin.Invest.,95:1446,1995)。HSP70の虚血による細
胞傷害の抑制効果は、脳と心臓に限らずすべての臓器に
ついても適応される。
【0007】活性酸素・フリーラジカルは、感染、炎
症、変性疾患、自己免疫疾患、動脈硬化、老化にともな
い産生量が増加して細胞傷害を引き起こす。HSP70は、
これらの活性酸素・フリーラジカルによる細胞傷害を抑
制することが示されている(Polla B.S. et al., Proc.N
atl.Acad.Sci.USA,93:6458,1996)。虚血・再灌流傷害
は、再灌流時の活性酸素の産生亢進が主要な病因の一つ
として確立されており、HSPは、脳、心臓、肝、小腸な
どの虚血・再灌流傷害を軽減することが知られており、
この保護作用はすべての臓器に適応される。また、臓器
移植は、虚血再灌流傷害の典型例の一つである。事実、
HSP70を過剰発現させておくと、皮膚の移植片の生着率
が改善することが示されており(Koenig,W.J. et al., P
last.Recontsr.Surg.,90:659,1992)、肝移植の際にも、
移植肝がHSP70を多く発現するほど急性拒絶反応が軽減
することも報告されている(Flohe,S. et al., Traspl.I
nt.,11:89,1998)。また、紫外線、放射線、重金属、ア
ルコール、抗癌剤やパラコートは、主に活性酸素・フリ
ーラジカルによる傷害を引き起こす。HSP70は、紫外
線、放射線による皮膚、粘膜、目のレンズや網膜の傷害
の予防と治療、さらにアルコール性臓器傷害、重金属や
薬物中毒の治療効果も期待できる。
【0008】また、癌細胞は、HSP70を細胞表面に発現
し、このHSP70は、NK細胞を活性化することから(Kurosa
wa,S. et al., Eur.J.Immunol.,23:1029,1993)、癌細胞
でのHSP70の発現を介して、癌免疫を賦活化させること
もできる。また、微生物の侵入に対しても、宿主マクロ
ファージのHSPの発現が強いほど感染抵抗性が増すこと
も示されており(Denagel,D.C. et al., Crit.Rev.Immun
ol.,13:71,1993)、免疫賦活−生体防御能の増強効果も
期待できる。
【0009】HSP70による細胞内蛋白質の品質管理の働
きに注目して、細胞内に異常蛋白質が蓄積する疾患、例
えば、βアミロイドの沈着によるアルツハイマー病、異
常プリオン蛋白質の沈着するクロイツフェルド・ヤコブ
病、さらにアミロイドーシス、ウィルソン病、パーキン
ソン病などの変性疾患の予防と治療にも効果が期待出来
る。
【0010】また、外科手術、外傷などの生体侵襲など
の身体的ストレスに対する耐性効果が期待されるばかり
でなく、精神的ストレスによるアレルギー疾患、ストレ
ス潰瘍、慢性炎症性疾患などの発症や増悪を抑制する効
果も期待できる。HSP70は、敗血症による多臓器不全・
ショックの軽減や(Hauser,G.J. et al., Am.J.Physio
l.,271:H2529,1996)、成人呼吸窮迫症候群(adult respi
ratory distress syndrome)の予後を改善することも報
告されており(Villar,J. et al., Am.Rev.Respir.Dis.,
147:177,1993)、これらの重度の生体侵襲時の治療薬と
してもその効果が期待される。
【0011】HSPは、細胞内(生体内)物質であるため、
その誘導にともない副作用が発生する可能性は少ない。
またHSP70の過剰発現が原因となる疾患も報告されてい
ない。動物実験では、全身の熱ショック、一過性の阻血
操作、HSP70の遺伝子導入などが行われているが、実際
の臨床に応用することは困難である。このため、組織や
細胞に害を与えず、しかも選択的にHSPを誘導する化合
物は臨床的にも優れた医薬といえる。
【0012】しかし、実際には前記各種疾患の予防・治
療・改善に有用な効果を有し、かつ安全性にも優れたHS
P誘導剤は見い出されていないのが現状であり、医薬品
としても用い得る優れたHSP誘導剤の開発が強く望まれ
ていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】疾患や傷害の予防・治
療・改善などに有用な新規な熱ショック蛋白質誘導剤を
提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、HSP誘導
の機序研究に長年取り組み、またHSP誘導作用に基づく
臨床上有用な予防・治療・改善薬についても探索してき
た。
【0015】その結果、意外にも天然成分であるゲラニ
ルゲラニオール(Geranylgeraniol)が、各種テルペノ
イドの中でも特異的に優れたHSP誘導作用を有してお
り、しかも安全性も極めて高いことから、所期の目的を
達成できることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のHSP誘導剤は、そのHSP誘
導作用に基づいて、従来臨床上有効な薬剤のなかった疾
患や傷害などの予防・改善・治療剤として用いることが
できる。
【0017】具体的には、例えば、脳神経疾患(脳卒
中、脳卒中後遺症、遅発性神経細胞死、アルツハイマー
病、パーキンソン病、多発性硬化症、クロイツフェルド
・ヤコブ病など)、心脈管系疾患(虚血傷害、再灌流傷
害など)、消化器系疾患(ストレス潰瘍、急性膵炎、炎
症性腸疾患など)、代謝性疾患〔糖尿病(より詳細には
糖尿病性血管傷害など)、肝炎、アミロイドーシス、ウ
ィルソン病等〕、自己免疫疾患(慢性関節リウマチ、多
発性硬化症、全身性エリテマトーデスなど)、変性疾患
(アミロイドーシス、ヘモジデローシス、ウィルソン病
など)、虚血性神経細胞傷害(脳卒中、脳卒中後遺症、
遅発性神経細胞死など)、虚血・再灌流傷害、嚢胞性繊
維症、悪性腫瘍、感染症(敗血症による多臓器不全、急
性呼吸窮迫症候群など)、肝不全、腎不全、薬物中毒、
重金属中毒、放射線傷害、紫外線傷害(紫外線による皮
膚、眼のレンズ或いは網膜の傷害など)、その他の生体
侵襲(熱または酸などによる皮膚もしくは組織の傷害な
ど)、または老化の予防・改善・治療剤として用いるこ
とができる。
【0018】悪性腫瘍の治療剤としては、より詳細には
例えば、免疫賦活に基づく悪性腫瘍治療剤として用いる
ことができ、感染症の治療剤としては、より詳細には例
えば、感染症の防御能増強剤として用いることができ
る。
【0019】また、本発明のHSP誘導剤は、移植(皮膚
移植または臓器移植)における生着率改善剤もしくは拒
絶反応の予防・抑制・改善剤として用いることができ
る。また、本発明のHSP誘導剤は、外科手術前の処置剤
として用いることができ、さらに具体的には術後麻酔覚
醒の改善剤として用いることができる。
【0020】本発明における有効成分であるゲラニルゲ
ラニオールは、3,7,11,15−テトラメチル−
2,6,10,14−ヘキサデカテトラエン−1−オー
ル〔3,7,11,15-Tetramethyl-2,6,10,14-hexadecatetrae
n-1-ol, C2 0H33OH〕を意味する。
【0021】ゲラニルゲラニオールは、下記化学式
(I)で表される。
【0022】
【化1】
【0023】(式中、下記一般式で表される結合は、ト
ランス結合またはシス結合を意味する。)
【0024】
【化2】
【0025】ゲラニルゲラニオールは分子内に二重結合
を4ヶ所有し、計8通りの幾何異性体が存在するが、本
発明においては特に限定されず、いずれの幾何異性体で
あってもよいし、混合物であってもよい。中でもより好
ましくは、下記化学式で表されるオールトランス体(2E,
6E,10E-体)〔CAS登録No.24034-73-9〕または2-シス体
(2Z,6E,10E-体)を挙げることができる。
【0026】
【化3】
【0027】ゲラニルゲラニオールは、天然化合物であ
り、試薬、工業原料等として入手することも可能であ
る。
【0028】本発明の熱ショック蛋白質誘導剤の投与剤
型としては、例えば散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆
錠剤、カプセル剤などの経口製剤、軟膏、貼付剤等の外
用剤、坐剤および注射用製剤等が挙げられる。製剤化の
際には、通常の製剤担体を用いて常法により製造するこ
とができる。
【0029】すなわち経口製剤を製造するにあたって
は、ゲラニルゲラニオールと賦形剤、さらに必要に応じ
て酸化防止剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味
矯臭剤などを加えた後、常法により散剤、細粒剤、顆粒
剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤等とする。
【0030】賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスタ
ーチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結
晶セルロース、二酸化ケイ素などが、結合剤としては、
例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メ
チルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、ト
ラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポ
リビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール・ポリ
オキシエチレン・ブロックポリマー、メグルミンなど
が、崩壊剤としては、例えば澱粉、寒天、ゼラチン末、
結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウ
ム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カ
ルボキシメチルセルロース・カルシウム等が、滑沢剤と
しては、例えばタルク、ポリエチレングリコール、シリ
カ、硬化植物油等が、着色剤としては医薬品に添加する
ことが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、コ
コア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等
が用いられる。これらの錠剤・顆粒剤には糖衣、その他
必要により適宜コーティングすることはもちろん差支え
ない。
【0031】また注射用製剤を製造する際には、ゲラニ
ルゲラニオールにpH調整剤、溶解剤、等張化剤、リポソ
ーム製剤などと、必要に応じて溶解補助剤、安定化剤、
酸化防止剤などを加えて、常法により製剤化する。
【0032】外用剤を製造する際の方法は限定されず、
常法により製造することができる。すなわち製剤化にあ
たり使用する基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、
化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能
である。
【0033】使用する基剤原料として具体的には、例え
ば動植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級ア
ルコール類、脂肪酸類、シリコン油、界面活性剤類、ア
ルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子類、粘土
鉱物類、精製水などの原料が挙げられ、さらに必要に応
じ、pH調整剤、酸化防止剤、キレート剤、防腐防黴剤、
着色料、香料などを添加することができるが、本発明に
かかる外用剤の基剤原料はこれらに限定されない。また
必要に応じて血流促進剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活
剤、ビタミン類、アミノ酸、保湿剤、角質溶解剤等の成
分を配合することもできる。なお上記基剤原料の添加量
は、通常外用剤の製造にあたり設定される濃度になる量
である。
【0034】本発明におけるゲラニルゲラニオールの臨
床投与量は、対象疾患、症状、重症度、年齢、合併症な
どによって異なり限定されず、また投与経路などによっ
ても異なるが、通常成人1日あたり0.01mg〜2000mgであ
り、好ましくは0.1mg〜1500mgであり、さらに好ましく
は1mg〜1000mgであり、これを経口、静脈内、筋肉内、
経直腸または経皮投与する。
【0035】次に本発明におけるゲラニルゲラニオール
の、優れたHSP誘導効果および薬理作用について、以下
の薬理実験例をもって具体的に示す。 (1)モルモット培養胃粘膜細胞系における評価 i) コントロールに対するHSP70の誘導 ii) コントロールに対するHSP90の誘導 iii) 10%エタノール傷害に対する培養胃粘膜細胞の生
存率(%) iv) 1mM過酸化水素傷害に対する培養胃粘膜細胞の生存
率(%) (2)ラット培養肝細胞系における評価 i) HSP70の誘導 ii) 肝細胞保護作用[1] iii) 肝細胞保護作用[2] (3)ラット肝阻血・再灌流傷害モデルにおける評価 i) 一回経口投与による肝阻血・再灌流後の肝臓でのHSP
70の誘導(I) ii) 一回経口投与による肝阻血・再灌流後の肝臓でのHS
P70の誘導(II) iii) 一回経口投与による肝阻血・再灌流傷害の抑制(血
清生化学検査) iv) 一回経口投与による肝阻血・再灌流傷害の抑制(用
量検討) v) ゲラニルゲラニオール前投与による肝阻血による死
亡率の改善 (4)ラット虚血性急性腎不全モデルによる評価 i) 2週間経口投与による虚血性急性腎不全の抑制 ii) 1回あるいは2回経口投与による虚血性急性腎不全
の抑制 (5)イヌ タールコール酸誘発膵炎モデルによる評価
【0036】
【実験例】実験例(1) モルモット培養胃粘膜細胞系
における評価 1) 対象化合物 ゲラニルアセトン (Geranylacetone, C13H22O) ファルネソール (Farnesol, C15H26O) ゲラニルリナロール (Geranyllinalool, C15H26O) ファルネシルアセトン (Farnesylacetone, C18H
30O) ファルネシルイソプロパノール (Farnesylisopropa
nol, C18H32O) ゲラニルゲラニオール (Geranylgeraniol, C20H
32O) ゲラニルゲラニルイソプロパノール (Geranylgeran
ylisopropanol, C23H40O) ゲラニルゲラニルアセトン (Geranylgeranylaceton
e, C23H38O) ゲラニルゲラニルアセトン-17-エポキシド (Gerany
lgeranylacetone-17-epoxide, C23H38O2) 10 ゲラニルファルネソール (Geranylfarnesol, C25H
40O) 11 ファルネシルファルネソール (Farnesylfarnesol,
C30H48O) 12 ゲラニルゲラニルファルネソール (Geranylgeranyl
farnesol, C35H56O) 13 メナテトレノン (menatetrenone, vitamin K2) 14 フィトナジオン (Phytonadione, vitamin K1)
【0037】
【化4】
【0038】
【0039】
【化5】
【0040】2) 方法 細胞は、モルモット胃底腺粘膜より分離・培養した初代
胃粘膜細胞を用いて、各種テルペン系化合物のHSP誘導
効果を比較した。HSPとして、細胞保護作用に最も重要
なHSP70と、変性蛋白質の再生・処理にも関与するHSP90
を検討した。
【0041】3) HSP70, HSP90の測定 ウサギ抗HSP90ポリクローナル抗体と抗HSP70モノクロー
ナル抗体を用いたイムノブロットを行い、結合した抗体
を増感化学発光法(Enhanced chemiluminescence;ECL)ウ
エスタンブロット検出キット(アマシャム社製)で検出し
測定した。
【0042】4) HSP70mRNAの測定 Isogen(日本ジーン)を用いて、細胞の総RNAを抽出し、
アガロースゲル電気泳動により分離した後、ナイロン膜
に転写し、ヒトHSP70cDNA(ATCC社より購入)およびGA
PDH(Gryceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)
cDNAプローブ(ATCC社製)を用いたノーザンブロットを行
った。HSP70mRNA量は、GAPDHmRNA量に対する相対量で補
正した。
【0043】5) 細胞の傷害実験と細胞保護作用の判定 培養胃粘膜細胞を種々の濃度の検討薬剤で2時間処理し
た後、10%エタノールあるいは1mM過酸化水素を1時間作
用させ、細胞の生存率と傷害を判定した。細胞の生存率
はトリパンブルー排出試験で、細胞傷害の程度は細胞外
への乳酸脱水素酵素(LDH)の流出率を測定し、それぞれ
判定した。
【0044】それぞれの結果は、コントロール群との間
でt検定(Student's t検定)を行い、危険値(p)が0.05
以下を有意な変化とした。
【0045】6) 結果 i) コントロールに対するHSP70の誘導 コントロールのHSP70レベルを1とした場合、各対象化
合物で誘導されたHSP70のデンシトメーター値を以下に
示す。(図1参照) ---------------------------------------------------------- 対象化合物 平均 標準偏差 Student's t検定(p値) ---------------------------------------------------------- ゲラニルアセトン 1.1 0.07 NS ファルネソール 1.1 0.07 NS ゲラニルリナロール 1.35 0.31 NS ファルネシルアセトン 1.02 0.06 NS ファルネシル− 1.03 0.61 NS イソプロパノール ゲラニルゲラニオール 1.99 0.69 p<0.05 ゲラニルゲラニル− 1.27 0.08 NS イソプロパノール ゲラニルゲラニルアセトン 1.8 0.2 p<0.05 ゲラニルゲラニルアセトン− 1.32 0.32 NS 17−エポキシド 10 ゲラニルファルネソール 1.24 0.34 NS 11 ファルネシルファルネソール 1.01 0.26 NS 12 ゲラニルゲラニル− 1.24 0.32 NS ファルネソール 13 メナテトレノン 1.42 0.36 NS 14 フィトナジオン 1.05 0.26 NS ------------------------------------------------------- n=3 NS, 有意差なし
【0046】ii) コントロールに対するHSP90の誘導 コントロールのHSP90レベルを1とした場合、各対象化
合物で誘導されたHSP90のデンシトメーター値を以下に
示す。(図2参照) --------------------------------------------- 対象化合物 平均 --------------------------------------------- ゲラニルアセトン 1.64 ファルネソール 1.09 ゲラニルリナロール 1.98 ファルネシルアセトン 1.08 ファルネシルイソプロパノール 1.77 ゲラニルゲラニオール 2.82 ゲラニルゲラニルイソプロパノール 1.03 ゲラニルゲラニルアセトン 2.72 ゲラニルゲラニルアセトン− 1.5 17−エポキシド 10 ゲラニルファルネソール 1.59 11 ファルネシルファルネソール 2.49 12 ゲラニルゲラニルファルネソール 2.39 ---------------------------------------------
【0047】 iii) 10%エタノール傷害に対する培養胃粘膜細胞の生存率(%) iii-a) 各種テルペノイド(10-6M)の効果比較(図3参照) -------------------------------------------------------------- 対象化合物 生存率(%) Student's t検定 平均 標準偏差 (p値) -------------------------------------------------------------- コントロール(無添加) 11.8 1.0 ゲラニルアセトン 25 4.5 p<0.05 ファルネソール 32.7 5.9 p<0.05 ゲラニルリナロール 27.8 10.2 NS ファルネシルアセトン 26.3 4.6 p<0.05 ファルネシルイソプロパノール 30.7 2.5 p<0.005 ゲラニルゲラニオール 40.5 5.2 p<0.005 ゲラニルゲラニル− 26.3 0.58 p<0.005 イソプロパノール ゲラニルゲラニルアセトン 45 12.8 p<0.05 ゲラニルゲラニルアセトン− 23.7 4.0 p<0.005 17−エポキシド 10 ゲラニルファルネソール 32 5.0 p<0.005 11 ファルネシルファルネソール 36.3 11.1 NS 12 ゲラニルゲラニル− 17 2.9 p<0.05 ファルネソール 13 メナテトレノン 22.7 3.5 p<0.005 14 フィトナジオン 30.3 3.7 p<0.005 ------------------------------------------------------------- n=3 or 4 NS, 有意差なし
【0048】 iii-b) 濃度による効果の比較(図4参照) -------------------------------------------------------------- 対象化合物 生存率(%) Student's 平均 標準偏差 t検定(p値) -------------------------------------------------------------- コントロール(無添加) 17.7 2.9 ---------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニオール (10-8M) 45.7 3.5 p<0.005 (10-7M) 48 4.9 p<0.005 (10-6M) 46.3 4.5 p<0.005 (10-5M) 41.5 2.1 p<0.005 ---------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニルアセトン (10-8M) 31.5 7.8 p<0.05 (10-7M) 43 3 p<0.005 (10-6M) 50 4.4 p<0.005 ---------------------------------------------------------- ゲラニルリナロール (10-8M) 33 4.6 p<0.05 (10-7M) 32.3 4.9 p<0.05 (10-6M) 35.3 2.1 p<0.005 (10-5M) 36.3 7.6 p<0.05 ---------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニルイソプロパノール (10-8M) 21.3 6.1 NS (10-7M) 30.7 3.1 p<0.05 (10-6M) 23 4.4 NS (10-5M) 25.3 5.1 NS ---------------------------------------------------------- n=3 or 4 NS, 有意差なし
【0049】iv) 1mM過酸化水素傷害に対する培養胃粘
膜細胞の生存率(%) 各種テルペノイド(10-6M)の効果比較を以下に示す。
(図5参照) ---------------------------------------------------------------- 対象化合物 生存率(%) Student's 平均 標準偏差 t検定(p値) ---------------------------------------------------------------- コントロール(無添加) 29 7.1 ゲラニルアセトン 41.7 0.6 p<0.05 ファルネソール 44 4.4 p<0.05 ゲラニルリナロール 55.3 2.3 p<0.005 ファルネシルアセトン 40.7 5.8 NS ファルネシルイソプロパノール 32.7 9.3 NS ゲラニルゲラニオール 74.7 4.7 p<0.005 ゲラニルゲラニルイソプロパノール 50.8 13.7 p<0.05 ゲラニルゲラニルアセトン 54.3 4.3 p<0.005 ゲラニルゲラニルアセトン− 34 5.7 NS 17−エポキシド 10 ゲラニルファルネソール 22.3 9.3 NS 11 ファルネシルファルネソール 32.3 4.6 NS 12 ゲラニルゲラニルファルネソール 41.5 12 NS 13 メナテトレノン 31.8 3.7 NS 14 フィトナジオン 35.8 4.6 NS ---------------------------------------------------------------- n=3 or 4 NS, 有意差なし
【0050】実験例(2) ラット培養肝細胞系におけ
る評価 i) HSP70の誘導 ウィスター系雄性ラットより肝細胞を分離し、10%牛胎
児血清(FCS)を含むWilliam's培地で2日間培養した後、
0.1%FCSを含むWilliam's培地でインキュベーションした
肝細胞に、10-6Mのゲラニルゲラニオールあるいは
ゲラニルゲラニルアセトンを添加し、経時的にHSP70量
をウエスタンブロット法で測定した結果を、開始時との
比で示す。(図6参照) -------------------------------------------------------------- 時間(h) 対象化合物 0 1 2 4 8 -------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニオール 1 0.96 1.72 2.26 2.66 ゲラニルゲラニルアセトン 1 1.61 1.93 1.41 1.58 --------------------------------------------------------------
【0051】続いて同様にして、10-9M〜10-5Mのゲラ
ニルゲラニオールあるいはゲラニルゲラニルアセトン
を添加し、8時間後のHSP70量をウエスタンブロット法
で測定した結果を、コントロール(無添加)との比で示
す。(図7参照)
【0052】ii) 肝細胞保護作用[1] ii-1) 方法 ウィスター系雄性ラットより分離した肝細胞を2日間培
養した。この肝細胞をゲラニルゲラニオール、ゲラニル
ゲラニルアセトン、グリチルリチン(肝傷害治療剤)ある
いはグルタチオン(肝機能改善剤)を含むHank's balance
d salt solution(HBSS)で4時間処理した後、1mM過酸化
水素(A)あるいは1.5Mエタノール(B)を含むHBSSに1時
間暴露し、トリパンブルー排出試験により生存率を測定
した。(n=3)
【0053】 ii-2) 1mM過酸化水素(A)に暴露した系の結果(図8参照) ============================================================== 対象化合物 生存率(%) Student's 平均 標準偏差 t検定(p値) ============================================================== コントロール(無添加) 88 2 コントロール(1mMH2O2添加) 16 4 -------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニオール (10-10M) 29 5 p<0.005 (10-9M) 49 3 p<0.005 (10-8M) 45 3 p<0.005 (10-7M) 46 1 p<0.005 (10-6M) 36 5 p<0.05 (10-5M) 31 7 p<0.05 -------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニルアセトン (10-10M) 20 4 NS (10-9M) 27 7 NS (10-8M) 32 5 p<0.05 (10-7M) 39 7 p<0.05 (10-6M) 35 8 p<0.05 (10-5M) 40 5 p<0.005 -------------------------------------------------------------- グリチルリチン (0.01mg/ml) 17 5 NS (0.1mg/ml) 24 1 NS -------------------------------------------------------------- グルタチオン (0.05mM) 11 2 NS (0.1mM) 5 2 NS ============================================================== n=3 NS, 有意差なし
【0054】 ii-3) 1.5Mエタノール(B)暴露した系の結果(図9参照) ================================================================== 対象化合物 生存率(%) Student's 平均 標準偏差 t検定(p値) ================================================================== コントロール(無添加) 88 2 コントロール(1.5Mエタノール添加) 2 0 ------------------------------------------------------------------ ゲラニルゲラニオール (10-10M) 8 2 p<0.05 (10-9M) 21 3 p<0.05 (10-8M) 26 2 p<0.005 (10-7M) 34 3 p<0.005 (10-6M) 20 2 p<0.005 (10-5M) 16 2 p<0.05 ------------------------------------------------------------------ ゲラニルゲラニルアセトン(10-10M) 5 3 NS (10-9M) 8 2 p<0.05 (10-8M) 11 3 p<0.05 (10-7M) 14 3 p<0.05 (10-6M) 10 3 p<0.05 (10-5M) 2 1 NS ------------------------------------------------------------------- グリチルリチン (0.01mg/ml) 14 3 p<0.05 (0.1mg/ml) 15 4 p<0.05 ------------------------------------------------------------------- グルタチオン (0.05mM) 2 2 NS (0.1mM) 3 1 NS =================================================================== n=3 NS, 有意差なし
【0055】iii) 肝細胞保護作用[2] iii-1) 方法 ウィスター系雄性ラットより分離した肝細胞を2日間培
養した。この肝細胞をゲラニルゲラニオール、ゲラニル
ゲラニルアセトン、グリチルリチン(肝傷害治療剤)ある
いはグルタチオン(肝機能改善剤)を含むHBSSで4時間処
理した後、0.5mM過酸化水素(A)あるいは1.5Mエタノー
ル(B)を含むHBSSに30分間暴露し、反応液中に放出され
た乳酸脱水素酵素(LDH)の割合(%)で細胞傷害を判定し
た。(n=3-4)
【0056】 iii-2) 0.5mM過酸化水素(A)に暴露した系の結果(図10参照) ================================================================ 対象化合物 (%)LDH Student's 平均 標準偏差 t検定(p値) ================================================================ コントロール(無添加) 3.5 1.1 コントロール(0.5mMH2O2添加) 9.3 1.5 ---------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニオール(10-10M) 2.3 1.3 p<0.005 (10-9M) 2.8 1.5 p<0.005 (10-8M) 2.5 0.9 p<0.005 (10-7M) 3.3 1.8 p<0.005 (10-6M) 5 1.6 p<0.05 (10-5M) 4.8 1.3 p<0.05 ---------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニルアセトン(10-10M) 9.5 2.7 NS (10-9M) 5 1.2 p<0.05 (10-8M) 5.2 0.8 p<0.05 (10-7M) 4.3 1.3 p<0.005 (10-6M) 4 1.2 p<0.005 (10-5M) 5.5 2.7 NS ---------------------------------------------------------------- グリチルリチン (0.01mg/ml) 9.5 0.5 NS (0.1mg/ml) 19.8 1.9 p<0.005 ---------------------------------------------------------------- グルタチオン (0.05mM) 8.5 1.1 NS (0.1mM) 6.8 0.8 p<0.05 ================================================================ n=4 NS, 有意差なし
【0057】 iii-3) 1.5Mエタノール(B)に暴露した系の結果(図11参照) ================================================================== 対象化合物 (%)LDH Student's 平均 標準偏差 t検定(p値) ================================================================== コントロール(無添加) 4.3 0.5 コントロール(1.5mMエタノール添加) 19 2.2 ------------------------------------------------------------------ ゲラニルゲラニオール (10-10M) 6 1.6 p<0.005 〃 (10-9M) 4 1.6 p<0.005 〃 (10-8M) 6 1.4 p<0.005 〃 (10-7M) 5 1.4 p<0.005 〃 (10-6M) 9.3 3.3 p<0.05 〃 (10-5M) 7.7 2.4 p<0.05 ------------------------------------------------------------------ ゲラニルゲラニルアセトン(10-10M) 11 1.6 p<0.05 〃 (10-9M) 9.3 1.2 p<0.005 〃 (10-8M) 7.3 1.2 p<0.005 〃 (10-7M) 4.7 0.5 p<0.005 〃 (10-6M) 5.3 1.2 p<0.005 〃 (10-5M) 5 1.4 p<0.005 ------------------------------------------------------------------ グリチルリチン (0.01mg/ml) 6 1.6 p<0.005 〃 (0.1mg/ml) 17.7 3.1 NS ------------------------------------------------------------------ グルタチオン (0.05mM) 8.3 2.1 p<0.05 〃 (0.1mM) 4.3 0.5 p<0.005 ================================================================== n=4 NS, 有意差なし
【0058】実験例(3) ラット肝阻血・再灌流傷害
モデルにおける評価 i) 一回経口投与による肝阻血・再灌流後の肝臓でのHSP
70の誘導(I) i-1) 方法 ウィスター系雄性ラットに経口ゾンデで、5%アラビアゴ
ム溶液にゲラニルゲラニオール(100mg/Kg)、ゲラニルゲ
ラニルアセトン(100mg/Kg)を溶解したもの、あるいは5%
アラビアゴム溶液のみ(vehicle、コントロール)を投与
した。4時間後に15分間、肝動脈、肝静脈、門脈を結紮
し再開通させた。ラットの肝臓でのHSP70量をデンシト
メーターで定量し、正常ラット肝臓でのHSP70量に対す
る相対値で示した[n=3、平均(上段)±標準偏差(中段)で
示す。下段はStudent's t検定(p値)を示す。Preは阻血
前のコントロールを示す。]
【0059】 i-2) 結果 HSP70量(図12参照) ================================================================ 時間(h) 対象化合物 Pre 0 2 4 8 (下段:Student's t検定(p値)) ================================================================ コントロール(媒体) 1.01 0.98 0.86 2.4 1.09 0.16 0.29 0.28 0.52 0.43 ---------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニオール 1.3 0.9 2.79 6.78 7.6 0.16 0.28 0.72 1.05 1.7 NS NS p<0.05 p<0.005 p<0.05 ---------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニルアセトン 1.27 1.14 1.5 2.18 1.49 0.4 0.36 0.42 0.86 0.15 NS NS NS NS NS ================================================================ n=3 NS, 有意差なし
【0060】ii) 一回経口投与による肝阻血・再灌流後
の肝臓でのHSP70の誘導(II) ii-1) 方法 ウィスター系雄性ラットに、5%アラビアゴム溶液にゲラ
ニルゲラニオール(100mg/Kg)、ゲラニルゲラニルアセト
ン(100mg/Kg)を溶解したもの、あるいは5%アラビアゴム
溶液のみ(vehicle、コントロール)を経口ゾンデで一回
胃内投与した。4時間後にペントバルビタール麻酔下で
開腹し、15分間、肝動脈、肝静脈、門脈を結紮し再開通
させた。経時的に血清を採取し、肝臓を生理食塩水で還
流して血液を除き、左葉を摘出した。摘出した肝臓をIs
ogenでホモジネートして、総RNAを抽出した。このRNA20
μgをアガロースゲルを用いた電気泳動で分離し、ナイ
ロン膜に転写した。このナイロン膜を用いて、ヒトHSP7
0及びGAPDHのcDNAを用いてノザンブロット法にて、HSP7
0とGAPDHのmRNA量を測定し、デンシトメーターにて定量
した。値はHSP70 mRNA/GAPDH mRNAで表し、コントロール群で
阻血前の値を1とし、それに対する相対値で示した。阻
血前(Preで表した)、15分の阻血終了直後(0h)、2、4、8
時間後の値を求めた。[n=3、平均(上段)±標準偏差(中
段)で示す。下段はStudent's t検定(p値)を示す。Preは
阻血前のコントロールを示す。]
【0061】 ii-2) 結果 (図13参照) =============================================================== 時間(h) 対象化合物 Pre 0 2 4 8 (下段:Student's t検定(p値)) =============================================================== コントロール(媒体) 1.00 2.05 5.16 4.20 3.23 0 0.53 0.35 1.05 1.20 --------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニオール 3.35 2.96 20.65 23.52 2.09 1.49 0.80 3.76 14.00 0.75 NS NS p<0.05 p<0.05 NS --------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニルアセトン 2.39 1.67 9.02 6.82 2.95 1.00 1.15 2.42 2.52 1.49 NS NS NS NS NS =============================================================== n=3 NS, 有意差なし
【0062】iii) 一回経口投与による肝阻血・再灌流
傷害の抑制(血清生化学検査) iii-1) 方法 ウィスター系雄性ラットに経口ゾンデで、ゲラニルゲラ
ニオール(100mg/Kg)、ゲラニルゲラニルアセトン(100mg
/Kg)あるいは媒体(vehicle、コントロール)を投与し
た。4時間後に15分間、肝動脈、肝静脈、門脈を結紮し
再開通させた。経時的に静脈血を採取し、血清中LDH
(A)とGPT(B)活性をLDH-モノテストとGPT-モノテスト
(いずれもベーリンガー社製)を用いて測定した。[n=3-
5、平均(上段)±標準偏差(中段)で示す。下段はStuden
t's t検定(p値)を示す。Preは阻血前のコントロールを
示す。]
【0063】 iii-2) 結果 血清LDH(IU/L) (図14参照) ================================================================ 時間(h) 対象化合物 Pre 0 2 4 8 12 (下段:Student's t検定(p値)) ================================================================ コントロール 175 484 10296 6213 1090 554 19 49 2330 1004 70 93 ---------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニオール 137 438 1735 1021 498 316 33 65 168 249 128 82 NS NS * ** * * ---------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニルアセトン 145 481 3755 3940 1908 459 34 122 467 560 374 94 NS NS * * NS NS ================================================================ n=3〜5 *;p<0.05, **;p<0.005 NS, 有意差なし
【0064】 血清GPT(IU/L) (図15参照) ================================================================ 時間(h) 対象化合物 Pre 0 2 4 8 12 (下段:Student's t検定(p値)) ================================================================ コントロール 38 51 1240 2122 477 388 1 5 472 394 97 162 ---------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニオール 34 48 483 406 301 154 2 13 75 52 71 30 NS NS * ** NS * ---------------------------------------------------------------- ゲラニルゲラニルアセトン 35 46 770 804 309 314 3 9 168 163 67 43 NS NS NS ** NS NS ================================================================ n=3〜5 *;p<0.05, **;p<0.005 NS, 有意差なし
【0065】iv) 一回経口投与による肝阻血・再灌流傷
害の抑制(用量検討) iv-1) 方法 ウィスター系雄性ラット(250g)に経口ゾンデで、種々の
濃度のゲラニルゲラニオールあるいは媒体(vehicle、コ
ントロール)を投与した。4時間後に15分間、肝動脈、
肝静脈、門脈を結紮し再開通させた。4時間後に静脈血
を採取し、血清中LDH活性をLDH-細胞毒性テスト(Wako)
で測定した。LDHの作用により乳酸がピルビン酸に酸化
されると同時に、NADはNADHに還元され、NADHはジアホ
ラーゼの作用でニトロブルーテトラゾリウムを還元して
ジホルマザンを生成する。室温で45分間に生成するジホ
ルマザンを560nmの吸光度(A560)で求めた。(n=3、平均
±標準偏差で示す。)
【0066】 iv-2) 結果 (図16参照) ================================================================== 対象化合物 A560平均 標準 Student's 偏差 t検定(p値) ------------------------------------------------------------------ コントロール(無添加) 0.568 0.08 ゲラニルゲラニオール( 1mg/Kg) 0.375 0.077 NS 〃 ( 10mg/Kg) 0.305 0.07 p<0.05 〃 ( 50mg/Kg) 0.195 0.006 p<0.05 〃 (100mg/Kg) 0.095 0.036 p<0.005 〃 (200mg/Kg) 0.331 0.109 p<0.05 〃 (500mg/Kg) 0.608 0.057 NS ================================================================== n=3 NS, 有意差なし
【0067】v)ゲラニルゲラニオール前投与による肝
阻血による死亡率の改善 ウィスター系雄性ラットに、ゲラニルゲラニオール(1
00mg/Kg)あるいは媒体(vehicle、コントロール)を経口
ゾンデで一回胃内投与した。4時間後にペントバルビタ
ール麻酔下で開腹し、30分間、肝動脈、肝静脈、門脈を
結紮し再開通させた。腹膜を閉じてそのまま放置する
と、コントロール群11匹は全例24時間以内に死亡したのに対
し、ゲラニルゲラニオール前投与群では11例中6匹が1
週間以上生存し、著明な生存率の改善が認められた。
【0068】実験例(4)ラット虚血性急性腎不全モデ
ルによる評価 i)2週間経口投与による虚血性急性腎不全の抑制 Sprague-Dawley系雄性ラット(体重250g)に、100 mg/k
gまたは300mg/kgのゲラニルゲラニオール(以下、GG
Oと称する)を阻血操作の2週間前より4時間前まで1日1
回連日経口投与した。両側腎動脈を45分間クランプし、
解除した後、24、48、及び72時間後に末梢血を採血し
て、血中の血中尿素窒素(BUN)及びクレアチニンを測
定した。結果は下表に示した。
【0069】 ================================================================ BUN (mg/dL) 24 h 48 h 72 h ================================================================ シャム手術 23.7 ± 2.5 20.3 ± 1.6 24.0 ± 1.9 (n=3) ---------------------------------------------------------------- ビークル 164.2 ± 8.8 221.4 ± 18.7 249.5 ± 25.3 + 45分阻血 (n=9-10) ---------------------------------------------------------------- GGO (100 mg/kg) 150.7 ± 5.7 211.3 ± 13.7 225.2 ± 18.1 + 45分阻血 (n=9-10) ---------------------------------------------------------------- GGO (300 mg/kg) 124.4 ± 11.9 153.1 ± 21.4 123.4 ± 14.7 + 45分阻血 (n=9-11) ================================================================ (平均値 ± 標準偏差)
【0070】 =================================================================== クレアチニン (mg/dL) 24 h 48 h 72 h =================================================================== シャム手術 0.8 ± 0.0 0.8 ± 0.0 0.8 ± 0.0 (n=3) ------------------------------------------------------------------- ビークル 5.2 ± 0.3 6.0 ± 0.6 6.4 ± 0.7 + 45分阻血 (n=9-10) ------------------------------------------------------------------- GGO (100 mg/kg) 5.0 ± 0.2 5.9 ±0.5 5.2 ± 0.7 + 45分阻血 (n=9-10) ------------------------------------------------------------------- GGO (300 mg/kg) 3.6 ± 0.4 3.7 ± 0.6 2.6 ± 0.4 + 45分阻血 (n=9-11) =================================================================== (平均値±標準偏差)
【0071】ii)1回あるいは2回経口投与による虚血性
急性腎不全の抑制 Sprague-Dawley系雄性ラット体重250gに、300mg/kgのゲ
ラニルゲラニオール(以下、GGOと称する)を阻血操
作の1日および4時間前の2回、または4時間前に1回投与
した。両側腎動脈を45分間クランプし、解除した後、24
及び48時間後に末梢血を採血して、血中のBUNとクレア
チニンを測定した。結果は下表に示した。
【0072】 ========================================================== BUN (mg/dL) 24 h 48 h ========================================================== シャム手術 22.1 ±1.0 23.6 ± 1.2 (n=3-4) ---------------------------------------------------------- ビークル 142.0 ± 2.9 211.6 ± 7.3 + 45分阻血 (n=10-11) ---------------------------------------------------------- GGO (300 mg/kg x 1) 119.8 ± 5.5 156.9 ± 12.1 + 45分阻血 (n=6-7) ---------------------------------------------------------- GGO (300 mg/kg x 2) 135.1 ± 5.8 188.6 ± 9.3 + 45分阻血 (n=9) ========================================================== (平均値 ± 標準偏差)
【0073】 ========================================================== クレアチニン (mg/dL) 24 h 48 h ========================================================== シャム手術 0.9 ±0.0 0.9 ± 0.0 (n=3-4) ---------------------------------------------------------- ビークル 5.0 ± 0.1 6.2 ± 0.4 + 45分阻血 (n=10-11) ---------------------------------------------------------- GGO (300 mg/kg x 1) 4.0 ± 0.2 4.1 ± 0.4 + 45分阻血 (n=6-7) ---------------------------------------------------------- GGO (300 mg/kg x 2) 4.5 ± 0.3 5.2 ± 0.4 + 45分阻血 (n=9) ========================================================== (平均値 ± 標準偏差)
【0074】実験例(5)イヌ タールコール酸誘発膵
炎モデルによる評価 24時間絶食させた雑種成犬(体重10-20 kg)をペントバ
ルビタール麻酔下で開腹し、左胃動脈遠位端より逆行性
に3フレンチのポリエチレンチューブを腹腔動脈まで挿
入し、動注用の留置チューブとした。次に、副膵管を結
紮し、10%タールコール酸ナトリウム(1 ml/kg)を主膵管
より左葉に向けて注入し、出血壊死性膵炎モデルを作成
した。さらに、モデル作成直後より5%グルコース(ビー
クル)、ゲラニルゲラニオール(以下、GGOと称す
る)、あるは比較薬剤として蛋白質分解酵素阻害剤であ
るメシル酸ガベキサート(FOY)動注を行い、6時間
目に屠殺した。
【0075】5%グルコース溶液は、5 ml/hで持続動注し
た。GGOは、2mlの無水エタノール、2mlのポリエチレン
グリコール400、及び2mlの注射用蒸留水からなる溶液6m
lに溶解して1時間かけて動注した。また、FOYは5 mg/kg
/hで6時間持続動注した。
【0076】血清及び腹水中のアミラーゼは、第一製薬
のアミラーゼ測定キット、血清及び腹水中のリパーゼは
ロッシェ社のリパーゼ測定キットでそれぞれ測定した。
タールコール酸投与6時間目に摘出した膵組織は、主膵
管から2cm間隔で5カ所の横断切片を作成し、ヘマトキ
シリン・エオジン染色を行った。これらの切片を用い
て、壊死率(総膵実質面積あたりに占める出血壊死面積
の%)を求め、膵実質組織の傷害の程度を判定した。
【0077】 結果 ====================================================================== 血清アミラーゼ(IU/L) 前 1 h 2 h 4 h 6 h ====================================================================== ビークル 1008±411 4355±1099 5137±1320 5878±2021 6018±1890 ---------------------------------------------------------------------- GGO 0.01 mg/kg 1102±167 2491±230 3042±416 3434±621 3562±889 0.1 mg/kg 1165±349 2476±518 2705±596 2915±646 2972±753 1 mg/kg 951±346 2671±1410 3092±1616 3374±1627 3362±1484 --------------------------------------------------------------------- FOY 1106±236 1996±577 2254±744 2256±774 2270±787 ====================================================================== 平均値±標準偏差(n= 6)
【0078】 ====================================================================== 腹水アミラーゼ(IU/L) 1 h 2 h 4 h 6 h ====================================================================== ビークル 80017±29043 74183±27794 58983±26500 62567±29909 --------------------------------------------------------------------- GGO 0.01 mg/kg 79933±25041 64033±16655 48917±20025 40350±17866 0.1 mg/kg 55244±21834 43920±17939 37070±16136 33258±16086 1 mg/kg 65172±44597 55175±38659 42412±21746 36263±17443 --------------------------------------------------------------------- FOY 39645±16312 30265±5337 23705±6483 21692±8287 ====================================================================== 平均値±標準偏差(n= 6)
【0079】 ====================================================================== 血清リパーゼ(IU/L) 前 1 h 2 h 4 h 6 h ====================================================================== ビークル 48±11 1152±453 1740±437 1728±367 1880±316 --------------------------------------------------------------------- GGO 0.01 mg/kg 29±17 714±130 799±167 821±250 830±291 0.1 mg/kg 41±11 816±294 841±376 860±402 833±416 1 mg/kg 35±15 963±506 1035±686 1045±906 987±942 --------------------------------------------------------------------- FOY 47±28 730±268 765±286 667±210 654±248 ====================================================================== 平均値±標準偏差(n= 6)
【0080】 ====================================================================== 腹水リパーゼ(IU/L) 1 h 2 h 4 h 6 h ====================================================================== ビークル 47650±15693 43533±12116 36750±8461 34600±6882 ---------------------------------------------------------------------- GGO 0.01 mg/kg 55817±9585 36217±7513 27900±5094 27950±9159 0.1 mg/kg 46950±10633 34967±6676 28400±4298 25400±5854 1 mg/kg 53817±25689 38300±11869 29150±8206 25250±6427 FOY 33750±14022 31167±5579 22783±5670 21550±8292 ====================================================================== 平均値±標準偏差(n= 6)
【0081】 平均値±標準偏差(n= 6)
【0082】
【発明の効果】本発明にかかるゲラニルゲラニオール
は、極めて優れたHSP誘導能を有し、各種疾患に有効で
あることが明らかである。また本発明にかかるゲラニル
ゲラニオールは天然物であり、その安全性の高さも併せ
て考えると、本発明は臨床上極めて優れた有用性が期待
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各対象化合物で誘導されたHSP70量を、コン
トロールに対する値で示したグラフである。(平均±標
準偏差で示す。n=3, *;p<0.05, **;p<0.005,Student'
s t検定)
【図2】 各対象化合物で誘導されたHSP90量を、コン
トロールに対する値で示したグラフである。(値は2回
の実験の平均値で示す。)
【図3】 培養胃粘膜細胞への10%エタノール傷害に対
する、各種テルペノイド(10-6M)の効果を生存率(%)で示
したグラフである。(平均±標準偏差で示す。n=3 or
4, *;p<0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図4】 培養胃粘膜細胞への10%エタノール傷害に対
する、各種テルペノイドの効果(生存率)を用量検討した
グラフである。(平均±標準偏差で示す。n=3or 4, *;p
<0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図5】 培養胃粘膜細胞への1mM過酸化水素傷害に対
する、各種テルペノイド(10-6M)の効果を生存率(%)で示
したグラフである。(平均±標準偏差で示す。n=3 or
4, *;p<0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図6】 ラット培養肝細胞系において、ゲラニルゲラ
ニオールあるいはゲラニルゲラニルアセトンのHSP70の
誘導を経時的に示したグラフである。
【図7】 ラット培養肝細胞系における添加4時間後の
HSP70量で、ゲラニルゲラニオールあるいはゲラニルゲ
ラニルアセトンの効果を用量検討したグラフである。
(コントロールとの比で示す。)
【図8】 ラット培養肝細胞への1mM過酸化水素傷害に
対する、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルゲラニルアセ
トン、グリチルリチン、グルタチオンの効果(生存率)を
用量検討したグラフである。(平均±標準偏差で示す。
n=3, *;p<0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図9】 ラット培養肝細胞への1.5Mエタノール傷害に
対する、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルゲラニルアセ
トン、グリチルリチン、グルタチオンの効果(生存率)を
用量検討したグラフである。(平均±標準偏差で示す。
n=3, *;p<0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図10】 ラット培養肝細胞への0.5mM過酸化水素傷
害に対する、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルゲラニル
アセトン、グリチルリチン、グルタチオンの効果を用量
検討したグラフである。細胞傷害の程度はLDHの放出率
(%)で求めた。(平均±標準偏差で示す。n=4, *;p<0.0
5, **;p<0.005, Student's t検定)
【図11】 ラット培養肝細胞への1.5Mエタノール傷害
に対する、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルゲラニルア
セトン、グリチルリチン、グルタチオンの効果を用量検
討したグラフである。細胞傷害の程度はLDHの放出率(%)
で求めた。(平均±標準偏差で示す。)
【図12】 ラット肝阻血・再灌流傷害モデルにおい
て、ゲラニルゲラニオールあるいはゲラニルゲラニルア
セトン一回経口投与によるHSP70誘導を、経時的に示し
たグラフである。(平均±標準偏差で示す。n=3, *;p<
0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図13】 ラット肝阻血・再灌流傷害モデルにおい
て、ゲラニルゲラニオールあるいはゲラニルゲラニルア
セトン一回経口投与によるHSP70誘導を、経時的に示し
たグラフである。(平均±標準偏差で示す。n=3, *;p<
0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図14】 ラット肝阻血・再灌流傷害モデルにおい
て、ゲラニルゲラニオールあるいはゲラニルゲラニルア
セトン一回経口投与による効果(血清LDH)を、経時的に
示したグラフである。(平均±標準偏差で示す。n=3〜
5, *;p<0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図15】 ラット肝阻血・再灌流傷害モデルにおい
て、ゲラニルゲラニオールあるいはゲラニルゲラニルア
セトン一回経口投与による効果(血清GPT)を、経時的に
示したグラフである。(平均±標準偏差で示す。n=3〜
5, *;p<0.05, **;p<0.005, Student's t検定)
【図16】 ラット肝阻血・再灌流傷害モデルにおい
て、ゲラニルゲラニオール一回経口投与4時間後の効果
(血清LDH)を用量検討したグラフである。(平均±標準
偏差で示す。n=3, *;p<0.05, **;p<0.005, Student's
t検定)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/10 A61P 3/10 9/00 9/00 9/10 9/10 13/12 13/12 17/00 17/00 25/00 25/00 25/28 25/28 27/02 27/02 29/00 101 29/00 101 31/00 31/00 35/00 35/00 37/00 37/00 37/04 37/04 37/06 37/06 39/02 39/02 39/06 39/06 43/00 105 43/00 105

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲラニルゲラニオールを有効成分とする
    熱ショック蛋白質誘導剤。
  2. 【請求項2】 ゲラニルゲラニオールが、2E,6E,
    10E−異性体または2Z,6E,10E−異性体であ
    る請求項1記載の熱ショック蛋白質誘導剤。
  3. 【請求項3】 脳神経疾患、心脈管系疾患、消化器系疾
    患、代謝性疾患、自己免疫疾患、変性疾患、虚血性神経
    細胞傷害、虚血・再灌流傷害、嚢胞性繊維症、悪性腫
    瘍、感染症、肝不全、腎不全、薬物中毒、重金属中毒、
    放射線傷害、紫外線傷害、生体侵襲、または老化に対す
    る予防・改善・治療剤である、請求項1〜2のいずれか
    1項に記載の熱ショック蛋白質誘導剤。
  4. 【請求項4】 脳神経疾患が、脳卒中、脳卒中後遺症、
    遅発性神経細胞死、アルツハイマー病、パーキンソン
    病、多発性硬化症またはクロイツフェルド・ヤコブ病で
    ある請求項3記載の熱ショック蛋白質誘導剤。
  5. 【請求項5】 心脈管系疾患が、虚血傷害または再灌流
    傷害である請求項3記載の熱ショック蛋白質誘導剤。
  6. 【請求項6】 消化器系疾患が、ストレス潰瘍、急性膵
    炎または炎症性腸疾患である請求項3記載の熱ショック
    蛋白質誘導剤。
  7. 【請求項7】 代謝性疾患が、糖尿病性血管傷害、肝
    炎、アミロイドーシスまたはウィルソン病である請求項
    3記載の熱ショック蛋白質誘導剤。
  8. 【請求項8】 自己免疫疾患が、慢性関節リウマチ、多
    発性硬化症または全身性エリテマトーデスである請求項
    3記載の熱ショック蛋白質誘導剤。
  9. 【請求項9】 悪性腫瘍に対する予防・改善・治療剤
    が、免疫賦活に基づく悪性腫瘍治療剤である請求項3記
    載の熱ショック蛋白質誘導剤。
  10. 【請求項10】 感染症に対する予防・改善・治療剤
    が、感染症に対する防御能増強剤である請求項3記載の
    熱ショック蛋白質誘導剤。
  11. 【請求項11】 移植における生着率改善剤または移植
    における拒絶反応の予防・抑制・改善剤である、請求項
    1〜2のいずれか1項に記載の熱ショック蛋白質誘導
    剤。
  12. 【請求項12】 外科手術前の処置剤である、請求項1
    〜2のいずれか1項に記載の熱ショック蛋白質誘導剤。
  13. 【請求項13】紫外線による皮膚傷害、または紫外線に
    よる眼のレンズもしくは網膜の傷害に対する予防・改善
    ・治療剤である請求項1〜2のいずれか1項に記載の熱
    ショック蛋白質誘導剤。
  14. 【請求項14】熱または酸による皮膚もしくは組織の傷
    害に対する予防・改善・治療剤である請求項1〜2のい
    ずれか1項に記載の熱ショック蛋白質誘導剤。
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