JP2001141726A - ウレタン系樹脂の分析方法 - Google Patents

ウレタン系樹脂の分析方法

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JP2001141726A
JP2001141726A JP31950199A JP31950199A JP2001141726A JP 2001141726 A JP2001141726 A JP 2001141726A JP 31950199 A JP31950199 A JP 31950199A JP 31950199 A JP31950199 A JP 31950199A JP 2001141726 A JP2001141726 A JP 2001141726A
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urethane
lower alcohol
repeating structural
structural unit
resin
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JP31950199A
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Miyoshi Shirasaki
美佳 白崎
Akihiko Okada
明彦 岡田
Masahiro Morikawa
正弘 森川
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Sumika Chemical Analysis Service Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumika Chemical Analysis Service Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】架橋が形成されていてもよいウレタン系樹脂の
繰り返し構造単位組成を汎用的かつ簡便に分析する方法
を提供する。 【解決手段】架橋が形成されていてもよいウレタン系樹
脂を、超臨界状態の低級アルコールと反応させ、以下の
群から選ばれる1つ以上の低分子量物を検出して構造解
析する。イソシアネート、 ポリイソシアネート、 カ
ルバミン酸エステル、ポリカルバミン酸エステル、 ア
ミン、 ポリアミン、アミンの低級アルコールによるア
ルキル化物、ポリアミンの低級アルコールによるアルキ
ル化物、アルコール、 ポリオール、 エーテル、 ポ
リエーテル、カルボン酸の低級アルコールとのエステ
ル、ポリカルボン酸の低級アルコールとのエステル、
ラクトン

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウレタン系樹脂の
繰り返し構造単位組成の分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ウレタン系樹脂は、下記一般式(1)
【0003】
【化1】
【0004】で示される繰り返し構造単位(以下、ウレ
タン系繰り返し構造単位と記す)を分子の一部あるいは
全体に持つ高分子である。[式中、R1は、1カ所以上
の水素原子が−NCO基によって置換されていてもよい
ヒドロカルビレン基、R2は、R1とは独立に、1カ所以
上の−CH2−基が、次の置換基群、
【0005】
【化2】
【0006】から置換位置ごとに独立に選ばれる置換基
によって置換されていてもよく、さらにこれとは独立
に、1カ所以上の水素原子が−OH基で置換されていて
もよいヒドロカルビレン基を表す。]なお、一般式
(1)中の、
【0007】
【化3】
【0008】の部分構造をイソシアネート由来の繰り返
し構造単位とよび、
【0009】
【化4】
【0010】の部分構造をポリオール系繰り返し構造単
位と言うことがある。
【0011】本発明に言うウレタン系樹脂には、1種類
のイソシアネート由来の繰り返し構造単位およびポリオ
ール系繰り返し構造単位が重合した樹脂のほかに、R1
および/またはR2が2種類以上の構造からなる樹脂が
含まれる。また、2つ以上の同じ、あるいは異なる種類
のイソシアネート由来の繰り返し構造単位からなる、次
のような構造、
【0012】
【化5】
【0013】[式中、R1、R1'はそれぞれ独立に、1
カ所以上の水素原子が−NCO基によって置換されてい
てもよいヒドロカルビレン基を表す。]
【0014】
【化6】
【0015】[式中、R1、 R1'はそれぞれ独立に、
1カ所以上の水素原子が−NCO基によって置換されて
いてもよいヒドロカルビレン基を表す。]
【0016】
【化7】
【0017】式(2) [式中、R1、 R1'、 R1"はそれぞれ独立に、1カ
所以上の水素原子が−NCO基によって置換されていて
もよいヒドロカルビレン基を表す。]
【0018】
【化8】
【0019】式(3) [式中、R1、 R1'、 R1"はそれぞれ独立に、1カ
所以上の水素原子が−NCO基によって置換されていて
もよいヒドロカルビレン基を表す。]
【0020】のうち1つ以上が少量ウレタン系繰り返し
構造単位とウレタン結合により結合していてもよい。さ
らに式(2)や式(3)で示した架橋とは独立に、式
(1)のR1の1つ以上の水素原子が−NCO基で置換
されたイソシアネート由来の繰り返し構造単位がさらに
別のウレタン系繰り返し構造単位の−OH基とウレタン
結合し、架橋を形成した樹脂、および/または、式
(1)のR2の1つ以上の水素原子が−OH基で置換さ
れたポリオール系繰り返し構造単位がさらに別のウレタ
ン系繰り返し構造単位の−NCO基とウレタン結合し、
架橋を形成した樹脂も、本発明においてはウレタン系樹
脂に含まれる。
【0021】ウレタン系樹脂は、一般式1の繰り返し構
造単位のなかのR1やR2の構造を適宜選択し、また原料
や添加剤の配合比率や加工条件等を変えることにより、
熱硬化性から熱可塑性、軟質から硬質、さらに脆弱から
強靭まで幅広い特性を得ることができる。そのため、た
とえば、発泡体、塗料、接着剤、エラストマー、繊維、
成形体、弾性体、合成皮革等の実に多様な用途に用いら
れている。したがって、物性の向上を図ったり、品質を
管理する上で、ウレタン系樹脂のウレタン系繰り返し構
造単位およびそれを構成するイソシアネート由来の繰り
返し構造単位およびポリオール系繰り返し構造単位の量
的関係を知ることは非常に重要である。
【0022】従来より、ウレタン系樹脂の繰り返し構造
単位の分析の手法の一つとして、低い圧力のもと、樹脂
を強熱することにより該ウレタン系樹脂を分解し、分解
生成物として得られる低分子化合物を適当な手法で定性
分析して、繰り返し構造単位を求める手法が知られてい
る(以下、熱分解法と言うことがある)。
【0023】ウレタン系樹脂の熱分解法としては、試料
をフェロマグネチック誘導体製のホルダーにつつみ、高
周波誘導加熱炉で瞬時にキューリー点まで加熱し熱分解
する方法が公知である[柘植 新、大谷 肇 編・著
「高分子の熱分解ガスクロマトグラフィー 基礎および
データ集」(株)テクノシステム発行(1989
年)]。分解温度は文献により様々であるが、400〜
590℃がよく用いられる。しかし、熱分解法では、分
解に供する該ウレタン樹脂の熱伝導率が他の高分子同様
著しく低いため、一度に1mg以上の樹脂を加熱炉に導
入することは困難であり、反応生成物の検出がガスクロ
マトグラフィー法(以下、GC法と呼ぶことがある)、
あるいはガスクロマトグラフィー−質量分析法(以下G
C−MS法と呼ぶことがある)に限られる。また更に言
えば、熱分解を通常の熱分解装置を用いて行う場合に
は、反応の進行度合いを確認することができないため、
熱分解反応の定量的な再現性に乏しく、また発生する成
分が数十以上と多数および多岐にわたるため、各成分の
正確な定量という点において非常な困難がある。
【0024】また、ウレタン系樹脂の分析法として、数
々の試薬を用いた化学分解法が知られている。「新版
高分子分析ハンドブック(社団法人日本分析化学会 高
分子分析研究懇談会編(1995年)」によれば、ピリ
ジン、水酸化ナトリウム水溶液、メチルアミン水溶液、
p−トルエンスルホン酸/無水酢酸(第1037頁)、
n−ブチルアミン(第1038頁)を用いる化学分解法
が公知であるが、これらの試薬を用いる方法では、いず
れも分析前にこれらの試薬を除く操作が必要となり、分
析操作が煩雑になる問題点を有している。
【0025】上述のような分解法とは別に、核磁気共鳴
法(以下、NMR法とよぶことがある)は、良溶媒を有
するウレタン系樹脂の繰り返し構造単位の定性分析およ
び/または定量分析法として有効であることが公知であ
る。しかしながら、ウレタン系樹脂は前述の通りその利
用範囲の広さ故に良溶媒を持たないものも多く、そのた
め、NMR法はウレタン樹脂一般の定性分析および/ま
たは定量分析法とはなっておらず、ウレタン樹脂一般に
適用できる優れた分析法が求められている。
【0026】一方、超臨界状態のメタノールとの反応に
より、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレン
ナフタレートを解重合し、低分子量のモノマーおよび/
またはモノマー誘導体を得る方法が特開平9−2495
97号公報に記載されている。またこの方法を用いて、
ポリエチレンテレフタレートの繰り返し構造単位組成を
分析する方法は公知である(上野直樹、平田幸夫、佐藤
信之、日本分析化学会第46回年会講演要旨集、284
頁(1997))。しかしながら、上述の文献には、本
発明で分析の対象となるウレタン系樹脂とは物性および
化学構造において大きく異なる、汎用ポリエステル樹脂
についてのみ言及されており、ウレタン系樹脂が超臨界
状態の低級アルコールといかなる反応をおこすかに関し
ては言及はおろか示唆すらされていないのである。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、架橋
が形成されていてもよいウレタン系樹脂の繰り返し構造
単位組成を汎用的かつ簡便に分析する方法を提供するこ
とにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況下、鋭意研究を続け、超臨界状態の低級アルコールと
該ウレタン系樹脂との反応を用いることにより、該ウレ
タン系樹脂をイソシアネート、ポリイソシアネート、カ
ルバミン酸エステル、ポリカルバミン酸エステル、アミ
ン、ポリアミン、アミンの該低級アルコールによるアル
キル化物、ポリアミンの該低級アルコールによるアルキ
ル化物、アルコール、ポリオール、エーテル、ポリエー
テル、カルボン酸の該低級アルコールとのエステル、ポ
リカルボン酸の該低級アルコールとのエステル、ラクト
ンから選ばれる1つ以上の低分子量物まで分解して、そ
れらを検出して構造解析することにより上記の課題を解
決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0029】すなわち、本発明は、架橋が形成されてい
てもよいウレタン系樹脂を、超臨界状態の低級アルコー
ルと反応させ、以下の群から選ばれる1つ以上の低分子
量物を検出して構造解析することを特徴とする該ウレタ
ン系樹脂の繰り返し構造単位組成の分析方法(但し、架
橋が形成されていてもよいウレタン系樹脂のうち、2官
能および/または多官能のアクリル酸および/またはア
クリル酸エステルおよび/またはアクリルアミドモノマ
ーを共重合したアクリル系樹脂に、ジイソシアネート系
架橋剤を用いてウレタン結合により架橋を形成させたウ
レタン系樹脂は除く)。イソシアネート、ポリイソシア
ネート、カルバミン酸エステル、ポリカルバミン酸エス
テル、アミン、ポリアミン、アミンの該低級アルコール
によるアルキル化物、ポリアミンの該低級アルコールに
よるアルキル化物、アルコール、ポリオール、エーテ
ル、ポリエーテル、カルボン酸の該低級アルコールとの
エステル、ポリカルボン酸の該低級アルコールとのエス
テル、ラクトンに関するものである。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で分析の対象となるウレタン系樹脂は、上
記一般式(1)で示される繰り返し構造単位を分子の一
部あるいは全体に持つ高分子である。該一般式(1)で
示される繰り返し構造は、主にポリイソシアネート化合
物とポリオール化合物との重付加反応により得られる。
ここでポリイソシアネート化合物とは、イソシアネート
基を1分子中に2個以上含む化合物の総称であり、その
代表的な例として、トリレンジイソシアネート(TD
I)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメ
リックMDI)、ナフタレンジイソシアネート(ND
I)、トリジンジイソシアネート(TODI)、パラフ
ェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IP
DI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添
キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、テト
ラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ト
リフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0031】またポリオール化合物とは、−OH基を1
分子中に2個以上含む化合物の総称であり、その代表的
な例として、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、トリメチロールプロパン、グリセリンなど(これら
に限定されない)、さらにこれらが縮合した、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール(PP
G)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポ
リ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)共重合
体、等(これらに限定されない)のポリエーテルポリオ
ール、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸など(これらに限定されない)の
2塩基酸と上述のジオールが縮合し、末端に−OH基を
持つポリエチレンアジピンペート(PEA)、ポリブチ
レンアジペート(PBA)等(これらに限定されない)
の縮合系ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン
等のラクトン系ポリエステルポリオール、ビスフェノー
ルA(これに限定されない)等からなるポリカーボネー
トポリオール等が挙げられる。
【0032】ポリイソシアネート化合物とポリオール化
合物との反応を制御するため、有機金属系、アミン系、
またはそれらの混合物が触媒として用いられる。触媒の
代表的な例として、有機金属系ではジラウリル酸ジブチ
ルすず、オクチル酸第一すず等が、またアミン系ではト
リエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン
やアミン塩が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0033】ウレタン系樹脂には、用途や目的に応じた
鎖延長剤や架橋剤が、更に発泡体用途の場合には発泡剤
や整泡剤等の添加剤が併用される。添加剤の例としては
以下のものが挙げられる。鎖延長剤や架橋剤として、限
定されないが、たとえばエチレングリコール、ブタンジ
オール、ハイドロキノンジエチロールエーテル等の多価
アルコール、エチレンジアニリン、フェニレンジアミ
ン、ジクロロジアミノジフェニルメタン等の多価アミ
ン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が
挙げられる。これらのうち−OH基を持つ化合物は、樹
脂に残存するイソシアネート基と反応することによりウ
レタン結合を形成し、また、アミノ基を持つ化合物は、
樹脂に残存するイソシアネート基と反応することにより
ウレア結合を形成し、ともに樹脂の高分子鎖の伸長およ
び/または架橋の形成に寄与する。上述のような添加剤
が処方された樹脂は、超臨界状態の低級アルコールより
ウレタン結合が切断されて低分子量物となるため、分析
の対象とすることができる。
【0034】また発泡体用途には、反応型発泡剤として
水が、非反応型発泡剤としてフルオロカーボン類や塩素
系化合物等が、また整泡剤としてポリエーテルシロキサ
ン、フェノール系化合物、スルホン酸塩含有化合物等が
挙げられる。また、その他の添加剤として例えば、ガラ
ス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維
などの繊維状補強材、ホウ酸アルミニウムウィスカー、
チタン酸カリウムウィスカーなどの針状の補強材;ガラ
スビーズ、シリカ、タルク、マイカ、グラファイト、ウ
ォラストナイト、ドロマイト、アルミ粉、鉄粉などの補
強および改質目的の無機充填材、水酸化アルミニウム、
ハロゲン化合物、有機化合物などの難燃剤;芳香族エス
テル、塩素化パラフィンなどの可塑剤;ワックス、オイ
ル、フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型剤;染料、顔料
などの着色剤;フェノール系化合物、アミン系化合物、
リン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、カルボジイミ
ド系化合物などの酸化防止、熱安定化、紫外線吸収等を
目的とした安定剤;帯電防止剤;表面改質剤などの通常
の添加剤が一種以上含まれていてもよい。いずれの添加
剤についてもこれらの例に限定されるものではないが、
これらを含む樹脂の場合、添加剤、および、その誘導体
が超臨界状態のアルコールと反応しないか、かりに反応
してもウレタン系繰り返し構造単位が超臨界状態のアル
コールと反応してできる生成物と分析的に区別できる限
りにおいて分析の対象とすることができる。
【0035】該一般式(1)で示される繰り返し構造を
得る方法としては、上記の方法の他に、ビスクロル炭酸
エステル化合物とジアミン化合物とを重縮合反応させる
方法等も挙げられるが、これらの方法に限定されるもの
ではない。いかなる製法においても樹脂中にウレタン系
繰り返し構造を持つ限り、本分析法は適用可能である。
【0036】本発明の方法では、ウレタン系樹脂は、樹
脂の形状によらず分析の対象とすることができる。たと
えば、粉状、ペレット状、成形状、フォーム状、エラス
トマー状、塗膜状、繊維状、溶液状、ゲル状、エマルジ
ョン状、その他いずれであってもよく、またウレタン系
樹脂が熱硬化性である場合には、硬化前後のいずれであ
っても、本方法は適用可能である。
【0037】また、上述のように、ウレタン系樹脂のな
かには分子内に種々の架橋を持つものがあるが、本発明
では、架橋の有無に関わらず分析の対象とすることがで
きる。
【0038】本発明の方法で分析の対象とされるウレタ
ン系樹脂は、単独で存在していても、あるいは2種類以
上のウレタン系樹脂がブレンドされていても本法は適用
可能である。
【0039】本発明で使用する低級アルコールは、下記
一般式(4)
【0040】
【化9】R3−OH (4)
【0041】[式中、R3は炭素数1から3のアルキル
基を表す。]で示される低級アルコールである。
【0042】本発明で使用できる低級アルコールとして
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノールが例示され、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノールが好ましく、より好ましくはメタノー
ル、エタノールである。
【0043】本発明において、上記低級アルコールは、
超臨界状態であることが必要である。ここに本発明でい
う超臨界状態とは次の状態をいう。すなわち、物質に
は、固有の気体、液体、固体の三態があり、さらに、臨界温
度を超えかつ、臨界圧力を超えると、圧力をかけても凝
縮しない流体相がある。この状態を超臨界状態という。
このような状態にある流体は液体や気体の通常の性質と
異なる性質を示す。超臨界状態の流体の密度は液体に近
く、粘度は気体に近く、熱伝導率と拡散係数は気体と液
体の中間的性質を示す、“液体ではない溶媒”であり、
低粘性、高拡散性のために物質移動が有利となり、また
高伝熱性のために高い熱移動性を得ることができる。
【0044】次に、低級アルコールが超臨界状態になる
温度圧力条件を具体的に示す。低級アルコールがメタノ
ールの場合には、温度が240℃を超え、かつ圧力が
8.0MPaを超えると超臨界状態になる。また、低級
アルコールがエタノールの場合には、温度が243℃を
超え、かつ圧力が7.0MPaを超えると超臨界状態に
なる。さらに、低級アルコールがイソプロパノールの場
合には、温度が244℃を超え、かつ圧力が5.4MP
aを超えると超臨界状態になる。また、低級アルコール
がn−プロパノールの場合には、温度が264℃を超
え、かつ圧力が5.1MPaを超えると超臨界状態にな
る。
【0045】上述のとおり、反応の温度圧力範囲は、反
応に用いる低級アルコールが超臨界流体となる温度圧力
範囲であることが必要であるが、温度条件については分
析の対象となるウレタン系樹脂の耐熱性等を考慮し、種
類に応じて適宜定められる。すなわち、反応温度として
250℃以上410℃以下に設定するのが好ましい。
【0046】反応の圧力条件については、圧力が高すぎ
ると、反応容器のコストがかかるので、35MPa以下
が好ましい。8MPa以上、20MPa以下がより好ま
しい。
【0047】本発明において、反応の方式には制限が無
く、回分式反応で行っても良いし、流通式反応で行って
も良い。また反応は攪拌下で行っても攪拌無しで行って
も良い。熱源としては、反応に用いる範囲で温度を制御
できる物が好ましく、ガスクロマトグラフィーなどに用
いるオーブン、流動床サンドバス、ソルト(溶融塩)バ
スなどが例示される。
【0048】反応の時間は、ウレタン系樹脂の種類、温
度、圧力、低級アルコールの種類等の条件に応じて、ウ
レタン系樹脂が十分な量の低分子量物に転化する時間を
適宜定めれば良いが、一般に5分〜180分、好ましく
は、10分〜120分の範囲である。
【0049】本発明のウレタン系樹脂に対する低級アル
コールの重量比は、分析の対象となるウレタン系樹脂と
使用する低級アルコールとの組み合わせにより適宜決定
されるが、一般に1:5〜500であり、1:20〜2
00が好ましく使用できる。
【0050】本発明の方法においては、最初に上述のウ
レタン系樹脂を超臨界状態の低級アルコールと反応させ
て、ウレタン結合を切断することにより、該ウレタン系
樹脂を低分子量物に分解する。ここに低分子量物とは、
分子量1000以下のものをいう。超臨界流体の温度、
圧力、および反応時間を適切に設定することにより、ウ
レタン結合および、イソシアネート由来の繰り返し構造
単位および/またはポリオール系繰り返し構造単位の中
に存在する化学結合の切断と、反応により生成する低分
子量物がさらに超臨界状態のアルコールと反応して誘導
体化するのを制御する事ができる。一般式(1)で示さ
れるウレタン系繰り返し構造単位の分解で得られる低分
子量物としては、たとえば、イソシアネート、ポリイソ
シアネート、カルバミン酸エステル、ポリカルバミン酸
エステル、アミン、ポリアミン、アミンの該低級アルコ
ールによるアルキル化物、ポリアミンの該低級アルコー
ルによるアルキル化物、アルコール、ポリオール、エー
テル、ポリエーテル、カルボン酸の該低級アルコールと
のエステル、ポリカルボン酸の該低級アルコールとのエ
ステル、ラクトンが示されるが、これらのうち少なくと
も1種類以上の低分子量物を得ることがウレタン系繰り
返し構造単位組成の分析を行う上で好ましい。
【0051】以下、超臨界状態の低級アルコールとの反
応例を示しながら、上述の低分子量物について具体的に
説明する。
【0052】1)イソシアネート由来の繰り返し構造単
位の反応例 繰り返し構造単位に応じて、次のような構造のうち1つ
以上が生成する。
【0053】
【化10】
【0054】[式中、R1は一般式(1)のR1と同じ意
味を表し、R3は反応に用いた低級アルコールのアルキ
ル基であり、一般式(4)のR3と同じ意味を表す。] これらの生成物のなかでは、反応温度が低い、あるいは
反応時間が短いとイソシアネートやカルバミン酸エステ
ルが比較的多く生成し、逆に反応温度が高い、あるいは
反応時間が長いとイソシアネートやカルバミン酸エステ
ルがさらに分解してアミン、および/またはアルキル化
アミンが生成する。また、前述したとおり、R1の構造
のなかにイソシアネート基やイソシアネート基が他のポ
リオールと反応したウレタン結合を持っている場合は、
それらも超臨界状態の低級アルコールと反応してイソシ
アネート、および/または、カルバミン酸エステル、お
よび/または、アミン、および/またはアルキル化アミ
ンを生成する。 2.ポリオール系繰り返し構造単位の反応例 (あ)ポリエーテルポリオール由来の繰り返し構造単位
がポリオール系繰り返し構造単位の中に含まれていると
き このとき、ポリオール系繰り返し構造単位は、さらに次
の一般式(5)に示すような1種類以上のポリオール由
来の繰り返し構造単位を1個以上有している。
【0055】
【化11】
【0056】[式中、R4はヒドロカルビレン基を表
す。] 一般式(5)のような繰り返し構造単位をもつポリオー
ル系繰り返し構造単位が超臨界状態の低級アルコールと
反応すると、エーテル結合の一部が切断され、一般式
(5)の繰り返し構造単位をもつモノマーやオリゴマー
を生じる。また、そのうちの一部は超臨界状態の低級ア
ルコールとさらに反応して低級アルコールのエーテルを
末端にもつ低分子量物を生じる。また、場合によっては
一般式(5)の繰り返し構造単位が分子内で反応して環
状のエーテルを生じる。すなわち、繰り返し構造単位の
構造に応じて、限定されないが次のような低分子量物の
うち1つ以上が生成する。
【0057】
【化12】
【0058】[式中、R3は反応に用いた低級アルコー
ルのアルキル基で、一般式(4)のR3と同じ意味を表
し、R4は一般式(5) 中のR4と同じ意味を表す。] (い)ポリエステルポリオール由来の繰り返し構造単位
がポリオール系繰り返し構造単位の中に含まれていると
き このとき、ポリオール系繰り返し構造単位は、さらに次
に示すような1種類以上のポリオール由来の繰り返し構
造単位と、これとは独立に1種類以上のポリカルボン酸
由来の繰り返し構造単位が交互的に1個以上共重合し
た、次の一般式(6)に示すような繰り返し構造単位を
有している。
【0059】
【化13】
【0060】[式中、R4、R5は、独立にヒドロカルビ
レン基を表す。] あるいは、ポリオール系繰り返し構造単位は、さらに次
の一般式(7)に示すような1種類以上のヒドロキシカ
ルボン酸由来の構造単位を1個以上有している。
【0061】
【化14】
【0062】[式中、R6はヒドロカルビレン基を表
す。] 一般式(6)のような繰り返し構造単位をもつポリオー
ル系繰り返し構造単位が超臨界状態の低級アルコールと
反応すると、エステル結合が切断され、ポリオールとポ
リカルボン酸エステルを生じる。すなわち、繰り返し構
造単位に応じて、次のような低分子量物が生成する。
【0063】
【化15】
【0064】[式中のR4およびR5は、一般式(6)の
4およびR5と同じ意味を表し、R3は反応に用いた低
級アルコールのアルキル基で、一般式(4)のR3と同
じ意味を表す。] 一方、一般式(7)のような繰り返し構造単位をもつポ
リオール系繰り返し構造単位が超臨界状態の低級アルコ
ールと反応すると、エステル結合が切断され、ヒドロキ
シカルボン酸エステルを生じる。さらに、一部は場合に
よってはラクトンを生じる。すなわち、繰り返し構造単
位に応じて、次のような低分子量物が生成する。
【0065】
【化16】
【0066】[式中のR6は、一般式(6)のR6と同じ
意味を表し、R3は反応に用いた低級アルコールのアル
キル基で、一般式(4)のR3と同じ意味を表す。] (う)ポリカーボネートポリオール由来の繰り返し構造
単位がポリオール系繰り返し構造単位の中に含まれてい
るとき このとき、ポリオール系繰り返し構造単位は、さらに次
の一般式(8)に示すような1種類以上のポリオール由
来の繰り返し構造単位が炭酸エステル結合した構造を1
個以上有している。
【0067】
【化17】
【0068】[式中、R7はヒドロカルビレン基を表
す。] 一般式(8)のような繰り返し構造単位をもつポリオー
ル系繰り返し構造単位が超臨界状態の低級アルコールと
反応すると、炭酸エステル結合が切断され、ジオールを
生じる。すなわち、繰り返し構造単位に応じて、次のよ
うな低分子量物が生成する。
【0069】
【化18】HO−R7−OH
【0070】[式中のR7は、一般式(8)のR7と同じ
意味を表す.]
【0071】本発明において、超臨界反応終了後、反応
生成物として得られるイソシアネート、ポリイソシアネ
ート、カルバミン酸エステル、ポリカルバミン酸エステ
ル、アミン、ポリアミン、アミンの該低級アルコールに
よるアルキル化物、ポリアミンの該低級アルコールによ
るアルキル化物、アルコール、ポリオール、エーテル、
ポリエーテル、カルボン酸の該低級アルコールとのエス
テル、ポリカルボン酸の該低級アルコールとのエステ
ル、ラクトンのうち少なくとも1種類以上の低分子量物
を分析する。該低分子量物の分析方法には、該低分子量
物を分離して、その後に定性分析および定量分析する方
法と、該低分子量物を分離せずに行う方法がある。
【0072】はじめに、該低分子量物を分離して分析す
る方法について説明する。該低分子量物を分離する方法
は、特に限定されないが、ガスクロマトグラフィー法、
液体クロマトグラフィー法、超臨界流体クロマトグラフ
ィー法、サイズ排除クロマトグラフィー法、薄層クロマ
トグラフィー法などが挙げられる。分析が簡便で分離が
良好である点から、ガスクロマトグラフィー法が好まし
い。
【0073】上記のクロマトグラフィー法の検出器に
は、紫外吸収検出器、水素炎イオン化(FID)検出
器、質量分析検出器、蛍光検出器、NMR検出器、赤外
分光(IR)検出器、視差屈折(RI)検出器、溶媒蒸
発型光散乱検出器などが用いられるが、これらには特に
限定されない。ガスクロマトグラフィー法の検出器とし
てはFID検出器、質量分析検出器が、液体クロマトグ
ラフィー法の検出器としては紫外吸収検出器、質量分析
検出器、NMR検出器、RI検出器、溶媒蒸発型光散乱
検出器が、超臨界流体クロマトグラフィー法の検出器と
してはFID検出器、質量分析検出器、紫外吸収検出
器、NMR検出器、溶媒蒸発型光散乱検出器が好ましく
用いられる。検出器はクロマトグラフィー装置に直結し
ていることが分析を簡便に行う上で好ましいが、クロマ
トグラフィー装置から移動相とともに溶出した画分を濃
縮し、あるいは得た画分をそのまま検出器にかけて検出
する方法でも分析を行うことができる。
【0074】さらに、上述したように、分析の対象とな
るウレタン系樹脂中に、ウレタン系樹脂以外の繊維状補
強材、針状の補強材、無機充填材、顔料等の不活性な不
溶分が含まれていてもよいが、該低分子量物の分析にク
ロマトグラフィー法を用いる場合は、反応生成物を含む
低級アルコール溶液から該不溶分を取り除くことが好ま
しい。
【0075】上記の方法で分離された該低分子量物の定
性は、上記のようにクロマトグラフィーを用いた場合に
は、通常の分析法を用いることができる。すなわち、定
性分析の場合、特に限定されないが、例えば保持時間に
よる定性法、質量スペクトルによる定性法、NMRスペ
クトルによる定性法、IRスペクトルによる定性法など
がある。また定量分析の場合、特に限定されないが、例
えば該低分子量物の標準試料との検出ピーク面積の比よ
り求める絶対検量線法、該低分子量物とは別の標準物質
を添加して両者の検出ピーク面積の比より求める内部標
準法などがある。
【0076】次に、該低分子量物を分離せずに分析する
方法について説明する。このような場合の通常の方法と
しては、例えばNMR法、質量分析法があるが、特に限
定されない。すなわち、ウレタン系樹脂の分解生成物溶
液にそのままNMR測定溶媒を加えるか、あるいは低級
アルコールを除いた後にNMR測定溶媒を加え、NMR
スペクトルを測定し、検出されたNMRピークの位置か
ら該低分子量物を構造解析し、あるいは、定性および/
または定量分析することができる。あるいは、ウレタン
系樹脂の分解生成物溶液にイオン化を助ける適当な試薬
を混合し、溶媒を除いて飛行時間型質量分析装置により
質量数を測定し、測定された質量数から該低分子量物を
構造解析することができる。
【0077】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0078】以下に述べる実施例では、次に示す分析条
件を適宜用いた。 分析条件1 ヒューレットパッカード製ガスクロマトグ
ラフィーHP5890にJ&Wサイエンティフィク製D
B−5型カラムを装着し、FID検出器を用いて検出し
た。 分析条件2 島津製作所製GC−MS装置QP−500
0にJ&Wサイエンティフィク製DB−5型カラムを装
着し、質量分析型検出器を用いて検出した。 分析条件3 ブルカー社製AMX−600型核磁気共鳴
装置を用いて、室温にて600MHz プロトンNMR
スペクトルを測定した。
【0079】実施例1 Aldrichで市販のポリ〔4,4’−メチレンビス(フェ
ニルイソシアネート)−alt−1,4−ブタンジオー
ル/ポリ(ブチレンアジペート)〕0.1053gとメ
タノール4.1261gをオートクレ−ブ(SUS31
6製、内容積9ml、圧力計付)に仕込み、サンドバス
にて250℃まで昇温して反応を開始した。反応時の圧
力は9.0MPaであった。30分後オ−トクレ−ブを
急冷し、室温に戻った後に反応液をオ−トクレ−ブから
取り出した。反応液を濾過しメタノールにより10ml
に定容し、生成物を上述の分析条件2により検出した。
反応残さは0.0007gであった。分析結果は表1に
示す。この分析結果から、本実施例で分析の対象となっ
た樹脂の構造については、以下の繰り返し構造単位をそ
の構造中に含むことが解析され、本樹脂がウレタン系樹
脂であることがわかった。
【0080】
【化19】
【0081】またジカルボン酸エステルであるC2が検
出されたことから、本実施例で分析の対象となった樹脂
のポリオール系繰り返し構造単位には、ポリエステルポ
リオール由来の繰り返し構造単位が含まれることがわか
った。そのポリエステルポリオール由来の繰り返し構造
単位は、次のような構造をもつ。
【0082】
【化20】
【0083】実施例2 実施例1で用いたものと同一のポリ〔4,4’−メチレ
ンビス(フェニルイソシアネート)−alt−1,4−
ブタンジオール/ポリ(ブチレンアジペート)〕0.0
960gとメタノール3.4460gを実施例1と同様
のオートクレ−ブに仕込み、サンドバスにて300℃ま
で昇温して反応を開始した。反応時の圧力は11.0M
Paであった。60分後オ−トクレ−ブを急冷し、室温
に戻った後に反応液をオ−トクレ−ブから取り出した。
反応液を濾過しメタノールにより10mlに定容し、生
成物を上述の分析条件2により検出した。反応残さは
0.0009gであった。分析結果は表1に示す。この
分析結果から、本実施例で分析の対象となった樹脂の構
造については、以下の繰り返し構造単位をその構造中に
含むことが解析され、本樹脂がウレタン系樹脂であるこ
とがわかった。
【0084】
【化21】
【0085】またジカルボン酸エステルであるC2が検
出されたことから、本実施例で分析の対象となった樹脂
のポリオール系繰り返し構造単位には、ポリエステルポ
リオール由来の繰り返し構造単位が含まれることがわか
った。そのポリエステルポリオール由来の繰り返し構造
単位は、次のような構造をもつ。
【0086】
【化22】
【0087】
【表1】
【0088】(注1)表中の記号は、化10から化18
の式に付した記号に対応する。
【0089】実施例3 実施例2で得られた反応溶液について、上述の分析条件
1により、絶対検量線法を用いて定量を行った。ただし
標準物質として、A7〜12に対しては一括して市販の
4,4’−ジアミノジフェノルメタン(A7)を用い、
A8〜12の各4,4’−ジアミノジフェノルメタン誘
導体についても、4,4’−ジアミノジフェノルメタン
と同じ面積比率であるとして、A7〜12の合計値とし
て算出した。またC1、C3、C2の標準物質として、
それぞれ市販の1,4−ブタンジオール、テトラヒドロ
フラン、アジピン酸ジメチルを用いた。その結果、およ
そ各物質のモル比は、 A7〜12:C1+C3:C2=1:2:1 との算出結果が得られた。この分析結果から、本実施例
の分析の対象となった樹脂の構造については、本樹脂は
エステル結合をポリオール系繰り返し構造単位内にもつ
ウレタン系樹脂であり、またウレタン結合とエステル結
合とのモル比は、およそ1:1であることがわかった。
これにより、本樹脂の繰り返し単位組成を分析すること
ができた。
【0090】実施例4 Aldrichで市販のポリ〔4,4’−メチレンビス(フェ
ニルイソシアネート)−alt−1,4−ブタンジオー
ル/ポリテトラヒドロフラン〕0.0973gとメタノ
ール3.3889gをオートクレ−ブ(SUS316
製、内容積9ml、圧力計付)に仕込み、サンドバスに
て300℃まで昇温して反応を開始した。反応時の圧力
は11.0MPaであった。60分後オ−トクレ−ブを
急冷し、室温に戻った後に反応液をオ−トクレ−ブから
取り出した。反応残さは0.0009gであった。反応
液を濾過しメタノールにより10mlに定容し、その
0.4mlを外径5mmのNMR試料管にとり、0.1
mlの重水素化ジメチルスルホキシドを添加し、上述の
分析条件3により分析した。得られたNMRスペクトル
から構造解析を行い、4,4’−ジアミノジフェニルメ
タンおよび、そのアミノ基がメチル化された誘導体、
1,4−ブタンジオールが縮合したオリゴマーのプロト
ンNMRピークが検出された。このことから本実施例で
分析の対象となった樹脂が1,4−ブタンジオールが縮
合したポリオール系繰り返し構造単位とMDIであるイ
ソシアネート由来の繰り返し構造単位をもつウレタン系
樹脂であることがわかった。また、プロトンNMRスペ
クトルにおいて、1.5ppmのピーク(ポリオール系
繰り返し構造単位)と6.3〜7.2ppmに分布する
ピーク(イソシアネート由来の構造単位)の強度比から
ポリオール系繰り返し構造単位とイソシアネート由来の
構造単位のモル比を推定すると、 (ポリオール系繰り返し構造単位):(イソシアネート
由来の構造単位)=6.5:1 であり、本樹脂の繰り返し単位組成を分析することがで
きた。
【0091】比較例1 実施例1および2で用いたものと同一のポリ〔4,4’
−メチレンビス(フェニルイソシアネート)−alt−
1,4−ブタンジオール/ポリ(ブチレンアジペー
ト)〕0.0001gを日本分析工業製JHP−3型キ
ューリーポイントパイロライザーを用いて590℃にお
いて10秒間熱分解し、発生したガス状の反応物を、J
&Wサイエンティフィク製DB−5型カラムを装着し、
パイロライザーに直結した島津製作所製GC−MS装置
QP−5000質量分析型検出器を用いて検出した。解
析の結果、A1(MDI)、C1(1,4−ブタンジオ
ール)、および、1,4−ブタンジオールが縮合したジ
テトラメチレングリコールが検出された。しかし、全体
でおよそ百以上ものピークが分離され、その中には構造
が解析できないものも多く、定性および定量は非常に困
難であった。
【0092】
【発明の効果】本発明の方法によればウレタン系樹脂の
繰り返し構造単位組成を汎用的にかつ簡便に分析するこ
とができるので、発泡体、塗料、接着剤、エラストマ
ー、繊維、成形体、弾性体、合成皮革等に広範に利用さ
れているウレタン系樹脂の研究開発に寄与する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 明彦 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 森川 正弘 大阪府大阪市此花区春日出中三丁目1番 135号 株式会社住化分析センター内 Fターム(参考) 4J034 CA04 CA05 CC03 CC08 DA01 DF11 DF12 DF16 DF20 DF22 DG03 DG04 DG06 DG09 HA01 HA02 HA07 HA08 HC03 HC12 HC13 HC17 HC22 HC46 HC52 HC64 HC67 HC71 HC73

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架橋が形成されていてもよいウレタン系樹
    脂を、超臨界状態の低級アルコールと反応させ、以下の
    群から選ばれる1つ以上の低分子量物を検出して構造解
    析することを特徴とする該ウレタン系樹脂の繰り返し構
    造単位組成の分析方法(但し、架橋が形成されていても
    よいウレタン系樹脂のうち、2官能および/または多官
    能のアクリル酸および/またはアクリル酸エステルおよ
    び/またはアクリルアミドモノマーを共重合したアクリ
    ル系樹脂に、ジイソシアネート系架橋剤を用いてウレタ
    ン結合により架橋を形成させたウレタン系樹脂は除
    く)。 イソシアネート、 ポリイソシアネート、 カルバミン酸エステル、 ポリカルバミン酸エステル、 アミン、 ポリアミン、 アミンの該低級アルコールによるアルキル化物、 ポリアミンの該低級アルコールによるアルキル化物、 アルコール、 ポリオール、 エーテル、 ポリエーテル、 カルボン酸の該低級アルコールとのエステル、 ポリカルボン酸の該低級アルコールとのエステル、 ラクトン
  2. 【請求項2】低級アルコールがメタノールまたはエタノ
    ールである請求項1記載の分析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022124307A1 (ja) 2020-12-10 2022-06-16 Agc株式会社 オキシアルキレン重合体、その製造方法、硬化性組成物、硬化物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022124307A1 (ja) 2020-12-10 2022-06-16 Agc株式会社 オキシアルキレン重合体、その製造方法、硬化性組成物、硬化物

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