JP2001141380A - コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材 - Google Patents

コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材

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JP2001141380A
JP2001141380A JP31949099A JP31949099A JP2001141380A JP 2001141380 A JP2001141380 A JP 2001141380A JP 31949099 A JP31949099 A JP 31949099A JP 31949099 A JP31949099 A JP 31949099A JP 2001141380 A JP2001141380 A JP 2001141380A
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Kazuaki Kito
和明 木藤
Koji Shiina
孝次 椎名
Koichi Chino
耕一 千野
Hidefumi Araki
秀文 荒木
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/14Thermal energy storage

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Abstract

(57)【要約】 【課題】液体空気エネルギー貯蔵型ガスタービン発電シ
ステムを成立させるため、幅広い温度範囲で使用でき、
熱的性能、信頼性、耐久性が高いコンクリート方式蓄熱
・蓄冷槽の開発が必要とされる。 【解決手段】蓄冷槽1A内に配置した第1伝熱管2Aは
高圧空気を液体空気貯蔵タンク10内に注入し冷却し、
高圧空気を冷却した冷却空気は第2伝熱管2Bを流れ、
蓄冷槽8を通過する時にコンクリート3により冷却空気
の熱を奪い、コンクリート3は蓄冷或いは蓄熱材として
使用することが出来ると共に、コンクリート3に生ずる
膨張及び収縮は、気泡4及び熱伝導促進材5で吸収され
るので、コンクリート3に亀裂が生じにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンクリートを使用
した蓄熱・蓄冷材に関し、この蓄熱・蓄冷材を用いた蓄
熱・蓄冷槽、又は当該蓄熱・蓄冷槽を用いたエネルギー
貯蔵システムに係わる。
【0002】
【従来の技術】エネルギーの有効利用のため、現在まで
に蓄熱・蓄冷を目的としてさまざまな装置が提案されて
いる。現在は、潜熱を利用して蓄熱・蓄冷効率を高めた
装置が主流である。液体の凝固熱を用いたシステムは、
ビルなどのシステム空調に利用されている氷蓄熱に代表
されるように、比較的大規模なシステムを構築しやす
い。氷蓄熱に関しては、特開平5−340571号公報
や特開平5−005541号公報など数多くの特許が出
願されている。
【0003】しかし、水は凝固時に体積膨張して蓄冷槽
構造物に負荷がかかる。そのため、これら水を用いた蓄
冷槽の最低使用温度は、氷の結晶成長を回避できる温度
(0℃程度)までに限られる。
【0004】これらに対し、固体の蓄冷材を用いた蓄冷
槽も提案されている。固体蓄冷材は凝固熱を用いること
はできないものの、非常に低い温度まで安定して使用す
ることができ、特開平5−239586号公報では−2
50℃以下の極低温でも使用できるRuと希土類元素か
ら成る合金を蓄冷材として提案している。
【0005】以上のような蓄冷槽に対し、建築物の床部
分、柱部分、梁部分、基礎部分などに使われているコン
クリートをそのまま蓄熱・蓄冷材として用い、ビル空調
などに利用する案が特開平10−227486号公報で
提案されている。この発明では、建築物の構造材である
コンクリートをそのまま蓄熱・蓄冷材として用い、空調
機と空調空間と蓄熱・蓄冷部が閉ループを構成する蓄熱
・蓄冷システムを提案している。
【0006】同様に、コンクリートなどの固体を蓄冷材
として用いた蓄冷槽の案が特開平10−238366号
公報でも提案されている。この発明では、流体流路中に
球状又はそれに類する形状の固体蓄熱・蓄冷材を充填
し、ここを流した流体と蓄熱・蓄冷材を直接接触させて
伝熱させている。固体蓄冷材としては、石,セラミック
ス,金属酸化物,コンクリートなどを挙げている。流体
流路配管は、内部に蓄冷材が入るため、口径が大きな耐
圧管である。蓄熱・蓄冷槽自体の構造強度は耐圧管に持
たせるか、又は耐圧管をコンクリート中に埋め込むこと
で、コンクリートと耐圧管に持たせている。この方法
は、蓄熱・蓄冷材と流体を直接接触させるため、熱抵抗
が小さくでき、また蓄熱・蓄冷材が球形であるため伝熱
面積を大きくでき、熱の取り出し性能が高い。また、高
温から低温まで安定した固体を用いることで、蓄熱・蓄
冷槽とすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】蓄熱・蓄冷槽を用いた
エネルギー貯蔵システムとして、蓄冷槽に貯蔵した冷熱
を用いて、エネルギーを液体空気で貯蔵するシステム
(液体空気エネルギー貯蔵システム)が特開平9−25
0360号公報で提案されている。このシステムが成立
するためには、常温から氷点下200℃近い極低温まで
使用可能で、安価で熱取り出し性能の高い蓄熱・蓄冷槽
が必要である。
【0008】上記の特徴を満たす蓄熱・蓄冷槽としてコ
ンクリートを蓄熱・蓄冷材に用いる案が特開平10−2
38366号公報で提案されている。この発明では、液
体空気エネルギー貯蔵システムで用いることを目的とし
た蓄熱・蓄冷槽の構造を提案している。しかし、蓄熱・
蓄冷材として用いるのに適したコンクリート組成などは
検討されていない。また、コンクリートに大きな温度差
の過渡サイクルをかけると、クラック発生によりコンク
リートの熱伝導率が劣化したり、コンクリートと伝熱管
の間に空気層ギャップが生成されて大きな熱抵抗が生ず
る可能性がある。よって、コンクリート方式蓄熱・蓄冷
槽が成立するには、熱伝導率が高く、熱過渡サイクルに
よる熱的性能劣化を抑制できる、コンクリート蓄熱・蓄
冷材の出現が待たれていた。
【0009】本発明の目的は、大きな温度差の熱過渡サ
イクルによるコンクリート蓄熱・蓄冷材の熱的性能劣化
を抑制するコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成するため
に本発明では、大きな温度差の熱過渡サイクルによるコ
ンクリート蓄熱・蓄冷材の熱的性能劣化を抑制するた
め、蓄熱・蓄冷材として用いるコンクリートにAE減水
材を添加する。
【0011】コンクリートにAE減水材を添加すること
で、コンクリート混練り時に必要な水の量を減少でき、
同時にコンクリート中に気泡を混入できる。混練り時の
水の量を減少させることで、コンクリート中の自由水の
量を減少させることができ、自由水の凝固・融解に伴う
クラック発生を抑制し、その結果コンクリート熱伝導率
低下と空気層ギャップの生成を抑制できる。
【0012】また、コンクリート中の気泡は自由水の凝
固・溶融時の体積変化を吸収する。コンクリートにAE
減水材を添加して凍害に強くする手法は、寒冷地用のコ
ンクリート建造物などで既に使われているが、コンクリ
ートを蓄熱・蓄冷材に用いる場合には気泡混入による熱
伝導率低下が危惧される。そのため、AE減水材の添加
量がセメントとの重量比で0よりも大きく2.0%以下
とする。2.0%以上だと気泡が多くなり、コンクリー
トの機械的強度が得られない。
【0013】また上記目的のうち大きな温度差の熱過渡
サイクルによるコンクリート蓄熱・蓄冷材の熱的性能劣
化を抑制し、同時にコンクリート方式蓄熱・蓄冷槽の熱
的性能を向上させるため、温度0℃における引き張り強
度1.5×106N以上で、かつ熱伝導率2.0W/m
K以上の熱伝導促進材をコンクリートに混入する。張り
強度1.5×106N以下だと、コンクリートが膨張収
縮時の応力で破損する恐れが有る。又、熱伝導率2.0
W/mK以下だと、熱伝導率が悪くなり、所望に低下し
にくい。
【0014】コンクリートはセメントに骨材となる砂や
砂利を混ぜてつくる。コンクリートの熱伝導率を高める
ためには、砂や砂利の充填密度を大きくした方がよい。
通常のコンクリートの温度0℃における熱伝導率は1.
2から1.5W/mK程度であるが、砂や砂利の充填密
度の高いコンクリートを製作したところ、熱伝導率を約
1.8W/mKまで高めることができた。このコンクリ
ート蓄熱・蓄冷材に熱伝導促進材を混入することによ
り、コンクリート熱伝導率を更に向上できる。
【0015】しかし、熱伝導促進材の混入はコンクリー
トの流動性を低下させ、空隙の生成によりコンクリート
熱伝導率が低下することもある。実際にサンプルを作成
しコンクリート熱伝導率を測定した結果、15%程度熱
伝導率が減少したものがあった。よって、コンクリート
の熱伝導率を向上させるため、熱伝導促進材の熱伝導率
は、コンクリートの熱伝導率(実測値1.8W/mK)
より15%高い、2.0W/mK以上とした。
【0016】また、熱伝導促進材の混入によりコンクリ
ートの引き張り強度が低下すると、熱過渡サイクルによ
るクラック発生が促進され、熱伝導率が低下する恐れが
ある。そのため、加える物質の引き張り強度は、コンク
リートの引き張り強度(1.5×106N程度)よりも
大きくする必要がある。熱伝導促進材は、それ自体をコ
ンクリートの骨材としてもよい。ただし、コンクリート
の強度を確保するため、熱伝導促進材はセメントとの重
量比で250%以下とする。
【0017】また上記目的の内、コンクリート方式蓄熱
・蓄冷槽の蓄熱・蓄冷材容量を最適化するため、コンク
リート蓄熱・蓄冷材容量W(kg)を、必要な蓄熱・蓄
冷量Q(J)、蓄熱・蓄冷槽最低運転温度T1(℃)、
最高運転温度T2(℃)を用いて、以下の式(数1)で
表わされる範囲とする。
【0018】
【数1】
【0019】コンクリート蓄熱・蓄冷材容量の最適化
は、常温から極低温までの比熱を実測し、これに液体空
気エネルギー貯蔵システムが成立するための熱貯蔵・取
り出し効率を考慮することにより達成できる。液体空気
エネルギー貯蔵システムに用いるのに適当なコンクリー
ト蓄熱・蓄冷材の比熱Cp(J/kgK)は、コンクリ
ート中の空気量、水分量、熱伝導促進材の増減を考慮
し、コンクリート温度T(℃)を用いて表わすと、以下
の範囲になる。
【0020】
【数2】
【0021】
【数3】
【0022】蓄熱・蓄冷量Q(J)を貯蔵するのに必要
なコンクリート質量は、上記比熱と熱貯蔵・取り出し効
率ηから求めることができる。必要なコンクリート蓄熱
・蓄冷材質量の最大量は、熱貯蔵・取り出し、効率と比
熱が最低である場合を仮定すれば良い。比熱の最小値を
表わす関数f(T)は、温度0℃を挟んで場合分けされ
るが、運転温度範囲が0℃を含む場合はf(T)の平均
値を用いる。逆にコンクリート蓄熱・蓄冷材質量の最小
値は、熱貯蔵・取り出し効率と比熱が最大の場合を仮定
すればよい。実際にはポンプなどのエネルギー損失があ
るので、蓄熱・蓄冷量に損失分を加える必要がある。以
上より、必要なコンクリート質量Wは式(数4)で表わ
される。
【0023】
【数4】
【0024】ここで、熱貯蔵・取り出し効率は揚水発電
のエネルギー貯蔵効率並み(70%)から100%まで
の範囲とし、ポンプなどのエネルギー損失を4%とし
た。
【0025】更に、蓄熱・蓄冷槽を液体空気エネルギー
貯蔵システムに適用する場合のように、蓄冷槽出口空気
温度を一定に保つ必要がある場合は、この2.5から
5.0倍のコンクリート質量が必要となる。よって、必
要なコンクリート質量の最大量は、蓄冷槽出口空気温度
を一定に保つために5.0倍のコンクリート質量が必要
として評価すると、必要な全コンクリート質量は式(数
1)で表わされる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を図面を用い
て説明する。これは例示的なものであり、本発明を限定
するものではない。
【0027】図1に本発明の実施例であるコンクリート
方式蓄熱・蓄冷槽の断面図を示し、図2に本蓄熱・蓄冷
槽の使用例であるエネルギー貯蔵形ガスタービン発電シ
ステムのシステム構成図を示す。
【0028】まず、コンクリート方式蓄熱・蓄冷槽の構
造を図1を用いて説明する。図1は金属製の外壁1の中
に伝熱管2を複数通し、その周りをコンクリート3で封
入したものである。通常のコンクリートは、セメント、
砂、砂利および水より構成される。蓄冷材として用いる
コンクリート3は、AE減水材をセメント重量比で2.
0%以下添加し、コンクリート中の自由水を減少させる
と共に、コンクリート中に微少な空気泡4を混入する。
【0029】更に熱伝導促進材5として、温度0℃にお
ける引き張り応力2.0×109N、熱伝導率16.0
W/mK、長さ10から30mmのステンレス製の繊維
をセメント重量比で0から40%混入する。ここではス
テンレスの混入割合が小さいが、ステンレスを骨材の一
部として用いる場合には更に多くのステンレスを混入す
る。コンクリート中に金属製の繊維を混入する場合に
は、防錆のために表面をガラスなどで覆う場合もある
が、ここでは熱伝導率を高めるために表面処理はしな
い。熱伝導促進材として鉄、鋼、銅等の熱伝導であれば
良い。
【0030】次に、本発明によるコンクリート蓄熱・蓄
冷槽1Aの使用例であるエネルギー貯蔵型ガスタービン
発電システムを図2を用いて説明する。このシステム
は、特開平9−250360号公報で提案されている負
荷平準化を目的とした発電システムである。本システム
は、夜間電力を液体空気の形でエネルギー貯蔵し、昼間
の電力需要ピーク時に放出することによって、電力負荷
平準化を行うシステムである。本使用例中では、蓄熱・
蓄冷槽は冷熱を貯蔵する蓄冷槽として用いられるため、
名称は蓄冷槽で統一する。
【0031】先ず、夜間電力を用いてモーター兼発電機
6によって圧縮機7を運転し、高温の高圧空気を生成す
る。ここでモーター兼発電機6は、夜間の液体空気製造
時はモーターとして圧縮機7を運転し、昼間の電力需要
ピーク時には発電機として使用される。圧縮機7により
圧縮された高圧の空気は蓄冷槽8を通り、大気圧下の飽
和乾き空気のエンタルピー以下まで冷却される。蓄冷槽
8には本発明のコンクリート3が使用されている。蓄冷
槽8内のコンクリート3は逆に加熱されることになる。
この高圧で低温の空気は、断熱膨張弁9で断熱膨張させ
られ、一部が液化する。液化した空気は液体空気貯蔵タ
ンク10に送られ、貯蔵される。これで夜間の運転は終
了する。
【0032】次に、昼間の電力需要ピーク時に、液体空
気貯蔵タンク10より液体空気を蓄冷槽8内のコンクリ
ート3に供給する。蓄冷槽8内のコンクリート3は夜間
の運転により温度が上昇しているため、蓄冷槽温度は液
体空気温度よりも高い。よって、液体空気は蓄冷槽8の
コンクリート3を通ることによって、蓄冷槽8のコンク
リート3を冷却すると共に、空気は加熱される。加熱さ
れた空気は、燃焼器12に送られる。この空気は、燃焼
器11内で天然ガス12と混合された後、燃焼させら
れ、タービン13でエネルギーを回収する。
【0033】通常のガスタービン発電では、タービン1
3で回収されたエネルギーの50から60%程度が圧縮
機7の動力に使われている。そのため、モーター兼発電
機6で実際に発電に使えるエネルギーは、タービン13
で回収されたエネルギーの40から50%程度である。
【0034】しかし、本発電システムによれば、電力需
要ピーク時に圧縮機7を用いずに高圧空気を供給できる
ため、タービン13で回収されたエネルギーを、他の小
さな損失を無視すれば、100%発電に使うことができ
る。よって、発電電力量を約2倍に増加させることがで
き、負荷平準化が可能となる。
【0035】このように本発明によれば、蓄冷槽1A内
に2本の伝熱管2A,2Bを配置している。そのうちの
第1伝熱管2Aは高圧空気を液体空気貯蔵タンク10内
に注入し冷却し、高圧空気を冷却空気にする。冷却空気
は第2伝熱管2Bを流れ、蓄冷槽8を通過する時にコン
クリート3により冷却空気の熱を奪い、コンクリート3
は蓄冷或いは蓄熱するので、蓄冷或いは蓄熱材として使
用できる。この状態で高圧空気が第1伝熱管2Aに供給
され、蓄冷槽8を通過する時にコンクリート3の冷気を
奪い、高圧空気は冷却されて液体空気貯蔵タンク10内
に供給される。このためコンクリート3は膨張及び収縮
をするが、膨張は気泡4及び熱伝導促進材5で吸収され
ると共に、収縮は熱伝導促進材5で吸収されるので、コ
ンクリート3に亀裂が生じにくい。また液体空気貯蔵タ
ンク10と連通している第2伝熱管2Bに他の機器或い
は冷却室を接続して、冷却装置として使用することも出
来る。
【0036】次に、本発明による蓄熱・蓄冷材であるコ
ンクリート3と通常のコンクリートについて、熱過渡サ
イクルに対する耐久性と伝熱性能を比較評価した結果を
説明する。本発明によるAE減水材と熱伝導促進材(こ
こではステンレスを用いた)を混入したコンクリート3
(以下、高耐久性コンクリートとする)と、通常のコン
クリートでテストピースを製作し、35℃から−190
℃までの熱過渡サイクルをかけた結果を図3に示す。図
3より、通常コンクリートは表面に亀裂14が発生した
が、本発明による高耐久性コンクリートには亀裂発生が
無く、健全性が保たれることが分かる。
【0037】このコンクリートに伝熱管を通した蓄冷槽
を製作し、伝熱管中に液体窒素(温度−190℃)と常
温の空気(温度30℃)を5から8時間づつ交互に流す
試験をした。蓄冷材には通常コンクリートと、高耐久性
コンクリートの2種類を用いた。常温から−190℃ま
で冷却した時のコンクリート温度プロフィールを、熱過
渡サイクル数Nが1回目、10回目および20回目の結
果を比較して図4に示す。通常コンクリートの冷却試験
時にNが10回目の結果は、時刻2.5時間以降のコン
クリート温度低下速度が約30%減少した。コンクリー
ト温度低下速度の減少はコンクリートの熱伝導率が低下
したことを意味し、コンクリート方式蓄冷槽の熱的性能
が劣化していることを示す。本発明による高耐久性コン
クリートでは、Nによるコンクリート温度プロフィール
の違いは見られず、蓄冷槽の熱的性能が維持された。
【0038】次に、通常コンクリートと高耐久性コンク
リートについて、熱過渡サイクル数Nに対するコンクリ
ート熱伝導率λの変化を通常コンクリートのλの初期値
λ0との比で図5に示す。通常コンクリートのλの初期
低下は10サイクル当たり4.2%であったが、本発明
による高耐久性コンクリートでは10サイクルあたり
0.6%と1/7に低減した。また、高耐久性コンクリ
ートでは鋼繊維の混入により熱過渡サイクルをかける前
のλも向上した。
【0039】また、伝熱管とコンクリートの間の空気層
ギャップ生成について調べるため、空気層ギャップの熱
通過率(以下実効ギャップ熱伝達率hGとする)を比較
した結果を、通常コンクリートの平均値hG0との比で
図6に示す。本発明による高耐久性コンクリートのhG
は通常コンクリートの約2.6倍の値を示した。これ
は、高耐久性コンクリートでは、空気層ギャップの生成
が十分抑制されたことを示す。以上より、蓄冷材に高耐
久性コンクリートを用いることで、コンクリート蓄熱・
蓄冷材の熱伝導率が向上し、また熱伝導率の劣化を抑制
できることが分かった。
【0040】図7に本発明の蓄冷槽を図2に示す液体空
気エネルギー貯蔵システムに適用した場合の、蓄熱・蓄
冷槽にかかる温度差とコンクリート蓄熱・蓄冷材の必要
な質量の関係を示す。図7の評価では、必要な蓄熱・蓄
冷槽熱容量1.4×1012(J)、平均使用温度−80
℃、蓄熱・蓄冷槽のエネルギー貯蔵効率90%、蓄冷槽
出口空気温度を一定に保つために2.5〜5.0倍のコ
ンクリート質量が必要として計算した。ここで用いた必
要な蓄熱・蓄冷槽熱容量は、液体空気エネルギー貯蔵シ
ステムにおいて、1サイクルで500MWh発電する時
に必要な容量である。蓄冷槽出口空気温度を一定に保つ
ために必要なコンクリート質量は、伝熱管ピッチとの関
係で表わすと図8となる。
【0041】図8の縦軸は、出口空気温度を一定に保つ
のに必要なコンクリート質量を、蓄冷量とコンクリート
比熱の熱バランスから単純に評価したコンクリート質量
に対する比で表わした。図8より、出口空気温度を一定
に保つのに必要なコンクリート質量は、最小で3倍程度
までできることが分かる。この値は伝熱管材質などを変
えることで最小2.5倍程度まで小さくすることが可能
と考える。しかし、コンクリート質量を小さくするため
には伝熱管ピッチを狭くする必要があり、コストの上昇
を招く。コスト的な最適点は伝熱管やコンクリートの材
質などに依存し、おおよそ2.5〜5.0倍の範囲にな
る。
【0042】図7において、蓄熱・蓄冷槽入口温度を2
0℃、出口温度を−180℃と仮定すると、蓄冷槽の運
転温度差ΔTは200℃となり、必要な蓄熱・蓄冷材コ
ンクリート質量は28〜85×106kgとなる。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明のコンクリートに
よれば、コンクリートにより冷却空気の熱を奪ったり、
或いは空気を冷したりする蓄冷或いは蓄熱材として利用
することが出来る。又コンクリートを蓄冷或いは蓄熱材
として利用する時にコンクリートには膨張及び収縮をす
る応力が働くが、膨張は気泡4で吸収されると共に、収
縮は熱伝導促進材5で吸収されるので、コンクリート3
に亀裂が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材
の断面図。
【図2】本発明の液体空気エネルギー貯蔵型ガスタービ
ン発電システムの系統図。
【図3】コンクリートテストピース試験結果を示す図。
【図4】コンクリート温度プロフィールを比較した特性
図。
【図5】コンクリート熱伝導率を比較した特性図。
【図6】実効ギャップ熱伝達率を比較した特性図。
【図7】本発明のコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材
の必要質量評価例を示した特性図。
【図8】本発明のコンクリートを使用したコンクリート
質量と伝熱管ピッチとの関係を表わす特性図。
【符号の説明】
1…蓄冷槽外壁、2,2A,2B…伝熱管、3…コンク
リート、4…気泡、5…熱伝導促進材、6…発電機兼モ
ーター、7…圧縮機、8…蓄冷槽、9…断熱膨張弁、1
0…液体空気貯蔵タンク、11…燃焼器、12…天然ガ
ス、13…タービン、14…表面亀裂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千野 耕一 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 (72)発明者 荒木 秀文 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 Fターム(参考) 3L054 BG01 BG04 BH01 BH04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材に
    おいて、複数の配管をセメントにAE減水材及び熱伝導
    促進材を添加し、混練した形成した気泡を有するコンク
    リートで被覆することを特徴とするコンクリートを使用
    した蓄熱・蓄冷材。
  2. 【請求項2】 コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材に
    おいて、複数の配管をセメントにAE減水材及び熱伝導
    促進材を添加し、混練したコンクリートで被覆し、コン
    クリート蓄熱・蓄冷材は温度0℃における引き張り強度
    1.5×106N以上で、かつ熱伝導率2.0W/mK
    以上の熱伝導促進材を混入することを特徴とするコンク
    リートを使用した蓄熱・蓄冷材。
  3. 【請求項3】 コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材に
    おいて、複数の配管をセメントにAE減水材及び熱伝導
    促進材を添加し、混練したコンクリートで被覆し、少な
    くとも2本の配管の一方端側に冷却手段を連結し、他方
    端側の第1配管より注入した媒質を冷却手段に供給し、
    冷却手段で冷却された冷却媒質が第2配管よりコンクリ
    ートを通過する際に冷却媒質の熱を奪い蓄熱・蓄冷する
    コンクリートとして使用することを特徴とするコンクリ
    ートを使用した蓄熱・蓄冷材。
  4. 【請求項4】 請求項1から3項のいずれか1項に記載
    において、コンクリート蓄熱・蓄冷材に添加するAE減
    水材の質量がセメント質量に対し、0よりも大きく2.
    0%以下の範囲あることを特徴とするコンクリートを使
    用した蓄熱・蓄冷材。
  5. 【請求項5】 求項1から4項のいずれか1項に記載に
    おいて、コンクリート蓄熱・蓄冷材に混入する引き張り
    強度1.5×106N以上で、かつ熱伝導率2.0W/
    mK以上の熱伝導促進材の質量が、セメント質量に対
    し、0よりも大きく250%以下の範囲にあることを特
    徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材。
  6. 【請求項6】 請求項1から5項のいずれか1項の記載
    において、熱伝導促進材が長さ1mm以上の繊維状であ
    ることを特徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷
    材。
  7. 【請求項7】 請求項3の記載にのいて、コンクリート
    で被覆された2本の配管の他方端側をガスタービン発電
    システムの空気圧縮機と燃焼器の間に設置して、燃焼器
    供給用空気源としたことを特徴とするコンクリートを使
    用した蓄熱・蓄冷材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10100979B2 (en) 2010-12-17 2018-10-16 L'air Liquide Societe Anonyme Pour L'etude Et L'exploitation Des Procedes Georges Claude Liquid air as energy storage
CN112189477A (zh) * 2020-09-16 2021-01-08 黄青 一种基于环境温度自调节供水的花盆

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