JP2001095584A - 癌細胞特異的hla−f抗原、およびそれを用いた癌の診断方法 - Google Patents
癌細胞特異的hla−f抗原、およびそれを用いた癌の診断方法Info
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Abstract
物質を特定し、またこの新規抗原物質に対して産生され
る抗体を体液中に検出することによって、臓器や発癌の
原因の違いに関わらず癌細胞の存在を調べる方法を提供
する。 【解決手段】HLA−F遺伝子がコードするタンパク質
の少なくとも一部を含有する癌細胞特異的HLA−F抗
原に対する体液中の抗HLA−F抗体を検出することに
より癌細胞の存在を検出する。
Description
−F抗原、及びそれを用いた癌の診断方法に関し、詳し
くは癌細胞が特異的かつ共通的に産生する新規なHLA
−F抗原または遺伝子組み換えによって得られる新規な
HLA−F抗原。及びこれら癌細胞特異的HLA−F抗
原を用いて免疫反応の結果産生された抗HLA−F抗体
の検出を行うことにより、癌細胞の存在を調べる癌の診
断方法に関する。
断方法として、腫瘍マーカーを測定する方法が開発され
ている。腫瘍マーカーとしては、例えば肝癌のマーカー
であるアルファーフェトプロテイン(AFP)、大腸癌
のマーカーである癌胎児性抗原(CEA)、前立腺癌の
マーカーである前立腺特異抗原(PSA)等がある。腫
瘍マーカーに対する高感度の測定方法としては、腫瘍マ
ーカーである物質に対する異種モノクローナル抗体を用
いた放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EI
A)、蛍光抗体法(FIA)等が開発されている。
は、ひとつの臓器の癌の診断を主眼とするものである
が、適当なマーカーの存在しない臓器の癌も存在するた
め、ひろく癌一般の診断に役立つものではない。また従
来の腫瘍マーカーは厳密に癌に特異的な物質ではなく、
正常生体でもある程度産生されている物質であるため、
腫瘍マーカーの産生が微量な初期癌の判定が困難であ
る。さらにこれらの物質は、癌の宿主の免疫反応を惹起
しないので、宿主生体の免疫反応による癌の診断に利用
することはできない。
胞から同定されたMAGEペプチドが端緒となり、癌抗
原ペプチドの同定がさかんに行われている。癌抗原ペプ
チドは、細胞の癌化に伴って生じた異常タンパク質が抗
原提示機構の流れに乗って細胞表面に出現したものであ
るが、癌化の原因は個々の癌によって異なることから、
その抗原性も個々の癌に特異的である。癌一般に共通す
る癌抗原は見つかっていない。
かつ臓器特異的ではなく産生される物質が存在するなら
ば、その物質は癌一般に共通なマーカーとして使用する
ことができ、癌細胞の存在を調べるための第一次的なス
クリーニングに極めて有用であるといえる。
かつ一般的に産生する新規抗原物質を特定し、またこの
新規抗原物質に対して産生される抗体を検出することに
よって、臓器や発癌の原因の違いに関わらず癌細胞の存
在を調べる方法を提供することである。
験癌を用いて生体が本来的に持っている抗癌反応性につ
いて研究を行った結果、癌の種類によらず癌一般的な共
通抗原性があり、宿主マウスがこの共通抗原性に対して
抗体生産を含む免疫反応を惹起していることを明らかに
した(T.Tanino, N. Seo, T. Okazaki, C. Nakanishi-I
to, M. Sekimata and K. Egawa, Cancer Immunol. Immu
nother, Vol. 35, pp. 230 (1992) )。
実在し、その一つがマウスの非古典的組織適合クラスI
抗原遺伝子群の一つであるQ5遺伝子の産物であること
を発見した。非古典的組織適合クラスI抗原遺伝子群
は、通常の組織適合クラスI抗原遺伝子に隣接して存在
し、これらと極めて相同性が高い遺伝子群であるが、そ
の機能は不明である。マウス実験癌細胞は、由来するマ
ウスの系統、臓器、及び癌化の原因によらず、すべての
実験癌においてQ5遺伝子の産物であるQ5抗原が発現
していることを確認した。(N. Seo, T. Okazaki, C. N
akanishi-Ito, T.Tanino, Y. Matsudaira, T. Takahash
i and K. Egawa, J. Exp. Med., Vol.17,No.5, pp. 647
(1992))。
る免疫抵抗性を誘導できることを明らかにした(K.Egaw
a and N.Seo, Cancer Immunol. Immunother, Vol.41, p
p.384(1995) )。
が、マウスに特異的なものであり、ヒトに対してそのま
ま利用することはできないので、本発明者はヒトの共通
的癌抗原の可能性についてさらに研究を続けた。一方、
ヒトの非古典的組織適合クラスI抗原遺伝子としてはH
LA−E遺伝子、HLA−F遺伝子、HLA−G遺伝
子、及びHLA−H遺伝子等が存在し、それぞれが非常
に相同性が高く、また古典的組織適合クラスI抗原遺伝
子とも極めて相同性が高いことが知られている。しかし
その発現についての知見は少なく、その機能もほとんど
解明されていない。このため、ヒトの非古典的組織適合
クラスI抗原群から特定の現象に共通的な特定の抗原を
推定するのは非常に困難であった。
養細胞に対して非古典的組織適合クラスI抗原遺伝子が
転写されているかを調べたところ、驚くべきことに、H
LA−F遺伝子の mRNAがいろいろな癌細胞で共通的
に検出されることを知見した。
し、その産物が抗原性を有するのではないかとの仮説を
立て、癌患者の血清を検索したところ、抗HLA−F抗
体が検出された。
てはHLA−F遺伝子の産物であるHLA−F抗原が、
癌細胞が特異的、かつ共通的に産生する癌抗原物質であ
り、その癌細胞特異的HLA−F抗原に対する免疫反応
の結果生じた抗HLA−F抗体を検出すれば、癌細胞の
存在を調べる根拠となることを知見し、本発明を完成し
た。
列番号6または5のアミノ酸配列を含有する癌細胞特異
的HLA−F抗原を提供する。なお、本発明の抗原また
はそれをコードするDNAは、特定のアミノ酸配列また
は塩基配列を有することにより癌に共通に発現する抗H
LA−F抗体を検出することが可能なものであり、 この
ような特定の配列を有するものはその名称や由来が如何
なるものであっても本発明に含まれる。
を検出することを特徴とする癌の診断方法を提供する。
導入部と、癌細胞特異的HLA−F抗原の一部または全
部を有する免疫反応部とを、少なくとも有することを特
徴とする癌の検出体を提供する。
めて見出したものであり、真に癌特異的かつ共通的な抗
原性など存在しないという従来の癌免疫研究者の常識を
覆すものである。
原 本発明の第一の態様の癌特異的抗原は、体液中に存在す
る抗HLA−F抗体に対して抗原性を有するものであれ
ば、いかなるものでもよいが、具体的には、配列表の配
列番号4のアミノ酸配列の一部である。 より具体的に
は、少なくとも配列表の配列番号5のアミノ酸配列を有
し、 さらには少なくとも配列表の配列番号6のアミノ酸
配列を有するものが好ましい。 また、抗HLA−F抗体
に対して抗原性を有するものであれば、配列番号5のア
ミノ酸配列の一部であってもよいし、 配列番号6のアミ
ノ酸配列の一部であっても良い。アミノ酸配列は、種の
相同性や突然変異によってその特性に変化を与えない
で、 その一部が、置換、欠失、付加されることがあり、
そのような配列も本発明の特性に本質的な影響を与えな
い限り本発明の範囲である。 本発明者は癌細胞特異的H
LA−F抗原の抗原性に関与するのは、HLA−F抗原
α鎖の細胞外ドメイン、 α1 、 α2 、 α3 であることを
特定し、 さらにその一部である配列番号6のアミノ酸配
列であることを特定した。癌細胞特異的HLA−F抗原
はヒトのHLA−F遺伝子の産物、またはヒトの細胞か
ら分画したm RNAより合成したHLA−FcDNAを
用いた遺伝子組み換え体の産物である。HLA−F遺伝
子の塩基配列を配列表の配列番号1の塩基配列に示す。
したがって本発明の第二の態様は、癌細胞特異的HLA
−F抗原をコードするDNAであり、具体的には、少な
くとも配列番号3のDNAを含むDNAであり、少なく
とも配列番号2のDNAを含むDNAであり、配列番号
3のDNAの一部であっても、配列番号2のDNAの一
部であってもよい。また、癌細胞特異的HLA−F抗原
をコードするDNAであれば、配列番号1,2,3のD
NAの縮重の範囲のDNAであってもよい。癌細胞特異
的HLA−F抗原のアミノ酸配列が、種の相同性や突然
変異によってその特性に変化を与えないで、 その一部
が、置換、欠失、 付加されることがあり、そのようなア
ミノ酸配列をコードするDNAも本発明の特性に本質的
な影響を与えない限り本発明の範囲である。
Houlihanらが開示した方法(J. Immunology, Vol. 149,
pp. 668 (1992) )によりHLA−Fのm RNAの存在
を検出することにより確認することができる。本発明は
この遺伝子の産物であるHLA−F抗原に対する免疫反
応の結果生じたHLA−F抗体を検出すれば癌細胞の存
在が検出できることを発明したものである。
量培養された癌細胞から抗HLA−F抗体に対して抗原
性を有するペプチドを分画し、既知の方法で直接精製す
る方法、HLA−F遺伝子又はHLA−FcDNAを用
いた遺伝子組み換え体を発現させて精製する方法等があ
る。HLA−F遺伝子又はHLA−FcDNAは、これ
らの遺伝子を単独で含む形質転換体を作製しても良い
が、 発現ベクター由来のアミノ酸配列との融合蛋白質と
して発現させる方が有利な場合がある。 そのような場合
は、 特定のタンパク質分解酵素を用いてその酵素の認識
部位を分解して、発現ベクター由来のアミノ酸を除去す
るように設計する。以下HLA−FcDNAを用いた遺
伝子組み換え体を発現させてHLA−F抗原を調製する
方法について説明する。
(詳細は、Cancer, Vol.28, pp.1300-1310 (1968) )、
U937(J. Exp. Med., Vol. 143, pp 1528-1533 (19
76) に記載される。本発明はこれらの文献を引用し、 本
明細書の内容とする。)等を培養したものから mRNA
を抽出し、逆転写酵素を用いてこれに対するcDNAを
合成する。
A−F遺伝子特異的なデオキシオリゴヌクレオチドを用
いてPCR(polymerase chain reaction )法によって
HLA−FcDNAを増幅する(詳細は、J. Immunolog
y, Vol. 149, pp. 668-676 (1992) に記載される。本発
明はこれらの文献を引用し、 本明細書の内容とす
る。)。
抗原性に関与するのは、HLA−F抗原α鎖の細胞外ド
メインの一部であることを特定している。したがって、
HLA−FcDNAとしてはHLA−F抗原α鎖の細胞
外ドメインをコードしている部位を増幅することが好ま
しい。具体的には少なくともHLA−F遺伝子No.64〜N
o.885(配列番号2)を含むHLA−FcDNA、より
好ましくはHLA−F遺伝子No.130〜No.774(配列番号
3)を含むHLA−FcDNA断片が得られるようにデ
ザインしたプライマーを用い、増幅を行う。得られたc
DNAの塩基配列を解析し、HLA−F遺伝子の塩基配
列と比較して、HLA−FcDNAが得られたかどうか
確認する。
例えばpQE31等にクローニングする。そしてこれを
用いて大腸菌等を形質転換し、培養してHLA−Fタン
パク質を過剰発現させる。
/精製 得られたHLA−Fタンパク質産生大腸菌を可溶化し、
アフィニテイー精製法等で抗原を精製する。このように
して得られる癌細胞特異的HLA−F抗原は、HLA−
F遺伝子がコードするHLA−Fタンパク質の断片であ
る。
たHLA−Fタンパク質には発現ベクター由来のアミノ
酸が余分に付加される場合がある。このような場合に
は、発現ベクターとHLA−FcDNAの結合部位にア
ミノ酸配列特異的タンパク質分解酵素の認識配列をコー
ドする塩基配列を挿入し、精製後に発現したタンパク質
の該認識部位をそのアミノ酸配列特異的タンパク質分解
酵素で分解することにより、ベクター由来のアミノ酸を
除去することができる。
してエンテロキナーゼ(Ekase )を用いる場合には、発
現ベクターとHLA−FcDNAの結合部位に、エンテ
ロキナーゼ認識配列であるAsp −Asp −Asp −Asp −Ly
s をコードする塩基配列として例えば5' −GACGACGACG
ACAAA −3' を挿入する。
してファクターXa( Factor Xa)を用いる場合、発
現ベクターとHLA−FcDNAの結合部位にXa認識
配列であるIle −Glu −Gly −Arg をコードする塩基配
列として例えば5' −ATCGAGGGCAGA−3' を挿入する。
有するペプチドを含有するものを分画することによって
精製する。分画する方法は特に限定されない。例えば、
HLPCやFLPC等を用いた液体クロマトグラフィー
による方法、電気泳動による方法等が挙げられる。
F抗原に対する免疫反応を利用した方法であれば特に限
定されない。具体的には、癌細胞特異的HLA−F抗原
の一部または全部を用いて、被験者の体液中の抗HLA
−F抗体を検出する。検出する方法は、サンドイッチ法
や競合法が例示でき、 競合法の場合は、癌細胞特異的H
LA−F抗原の一部または全部に特異的に反応する免疫
対を用いて、被験者の体液中の抗HLA−F抗体と競合
反応させて被験者の体液中の抗HLA−F抗体を検出す
る。免疫対とは、 HLA−F抗原の一部または全部に対
する免疫反応対を形成するもので、 抗HLA−F抗体が
例示できる。
入する体液導入部と、癌細胞特異的HLA−F抗原の一
部または全部を有する免疫反応部とを、備えるものを用
いれば良い。例えば、癌細胞特異的HLA−F抗原を担
体に固相化させ免疫反応部としてもよく、免疫反応部で
は、放射免疫測定法(RIA)、ウエスタンブロット
法、酵素免疫測定法(EIA)、 蛍光抗体法(FIA)
等で抗HLA−F抗体を検出する。癌細胞特異的HLA
−F抗原を固相化する担体としてはニトロセルロース、
PVDF(ポリビニリデンジフルオライド)又は樹脂製
のシート、プレート、ラテックスビーズ、鉄ビーズ等公
知のもので良く、特に限定されない。癌細胞特異的HL
A−F抗原の固相化は例えば次の方法で行うことができ
る。(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(SDS−PAGE)を行った癌細胞特異的HLA−F
抗原をPVDF膜にブロッテイングして吸着させる方
法;(b)樹脂プレートの表面に癌細胞特異的HLA−
F抗原を非共有結合によって吸着させる方法;(c)反
応基を結合させた鉄ビーズ、例えばDynabeads M450 Tos
ylactivated (Dynal社製)に癌細胞特異的HLA
−F抗原を共有結合により結合させる方法が例示でき
る。また上記の本発明の癌の検出体とこれに用いる検出
試薬の少なくとも1つを備える癌の検出キットを用いて
検出しても良い。
A−F抗体の検出方法を説明する。癌細胞特異的HLA
−F抗原をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(SDS−PAGE)により分画後、PVDF膜、例え
ばクリアブロットP膜(ATTO社製)等にブロッテイ
ングする。これを1%ウシ胎児血清アルブミン(BS
A)、5%スキムミルクを含むPBSでブロッキング
し、抗HLA−F抗体検出用フィルターを作製する。こ
れを一次抗体として被験者の体液を0.1%Tween 20
を含むPBS(以下、T−PBSと略記する)で5〜1
0倍希釈したものと37℃で90分間、又は4 ℃で8〜
48時間反応させる。T−PBSでよく洗浄した後、二
次抗体としてビオチン、酵素、化学発光物質、放射線化
合物等の標識物質で標識したヒトイムノグロブリン・ヤ
ギ抗体、抗ヒトイムノグロブリン・マウス抗体、抗ヒト
イムノグロブリン・ウサギ抗体等を含むT−PBSと3
7℃で90分間、又は4℃で8〜48時間反応させる。
T−PBSでよく洗浄した後、二次抗体の標識物質に応
じた反応を行い、被験者の体液中の抗HLA−F抗体の
存在を確認する。
とき、被験者に癌細胞が存在すると診断する。その場
合、公知の方法でさらに詳しい検査を行い、癌細胞の発
生部位を特定することが好ましい。検査に用いる体液と
しては、血液、血漿、血清、だ液、腹水、胸水等が好ま
しく、特に血清が好ましい。
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
l. 149, pp. 668-676(1992))に従って、ヒト白血病由
来細胞U937(J. Exp. Med., Vol. 143, pp 1528-15
33 (1976) )の培養癌細胞から mRNAを抽出し、poly
dTカラム(Oligotex-dT30 、JSR(株))を用いて、
polydA構造をもつ mRNA画分を得た。これを鋳型とし
て、逆転写酵素によってcDNAを合成した。このcD
NAを鋳型としてHLA−Fα鎖特異的プライマー(5'
-ACATCGCCGTGGAGTACGTAGACG-3'、及び3'-GAACACCTCTGGT
CCGGACGTCCC-5')を用いて増幅した。得られたcDNA
の塩基配列を決定し、HLA−F遺伝子の塩基配列と比
較した結果、exon2からexon4に至る647bpのHLA
−FcDNA断片であることを確認した。なお、この配
列は配列番号3のDNA配列の5' 末端にacの付加し
たDNA配列であった。
ーpQE31のヒスチジンタグ遺伝子(His x6)の下流
に繋ぎ、さらにヒスチジンタグ遺伝子とHLA−FcD
NA断片との間にエンテロキナーゼ認識配列( Ek)Asp
−Asp −Asp −Asp −Lys をコードする塩基配列として
5' −GACGACGACGACAAA −3' を挿入し、クローニング
して組み換えプラスミドを得た。この組み換えプラスミ
ドで大腸菌(E. coli JM109 株)を形質転換し、IPT
G(Isopropyl thiogalactopyranoside )によって発現
を誘導し、His x6とEkとHLA−F断片との融合タン
パクを生産させた。
濁して超音波で破砕し、遠心分離によって不溶性画分を
回収した。この不溶性画分を尿素で可溶化し、Ni−キ
レートアフィニティークロマトグラフィーにより融合タ
ンパクを精製した。これをSDS−PAGEで解析した
ところ、分子量は31KD、精製度は95% であった。
また、N端アミノ酸配列を決定し、デザイン通りに翻訳
されていることを確認した。
理し、癌細胞特異的HLA−F抗原を得た。これをSD
S−PAGEで解析したところ、エンテロキナーゼで分
解されなかった分子量31KDのバンドの他に、29K
D、18KD、13KDのバンドを確認した。これらの
アミノ酸配列を解析した結果、いずれもHLA−F遺伝
子産物であることが確認された。
A−F抗体の検出 SDS−PAGEにより分画した癌細胞特異的HLA−
F抗原を、クリアブロットP膜(ATTO社製)にブロ
ッティングし、1%ウシ胎児血清アルブミン(BSA)
と5%スキムミルクとを含むPBSでブロッキングし、
癌検出体である抗HLA−F抗体検出用フィルターを得
た。
例および健常者20例)の100μlの血清をT−PB
Sで10倍希釈したものに上記の方法で作製した抗HL
A−F抗体検出用フィルターを浸して37℃で90分間
反応させた。これをT−PBSでよく洗浄した後、二次
抗体としてアルカリフォスファターゼ標識した抗ヒトI
gGウサギ抗体(プロメガ社製)0.2 μgを含む1ml
のT−PBSに浸して37℃で90分間反応させた。こ
れをT−PBSでよく洗浄した後、アルカリフォスファ
ターゼ発色試薬ProtoBlot Western Blot AP System(Pr
omega 社製)と反応させた。
子量31KD、29KD、18KD、13KDのバンド
いずれか1つ以上に発色が認められた被験者の血清中に
は抗HLA−F抗体が存在し、その被験者には癌細胞が
存在すると診断した。
検出用フィルターの発色を観察した結果を表1に示す。
分子量31KD、29KD、18KD、および13KD
のいずれか1つのバンドに発色が認められた場合を○、
2つ以上のバンドに発色が認められた場合を◎、いずれ
のバンドにも発色が認められなかった場合を×と判定し
た。
A−FcDNA断片との間にエンテロキナーゼ認識配列
をコードする塩基配列を挿入する代わりに、ファクター
Xa認識配列Ile−Glu−Gly−Argをコード
する塩基配列5' −ATCGAGGGCAGA−3' を挿入し、発現
した融合タンパクをRestriction Protease Factor Xa
(Protein Engineering Technology ApS社)で処理した
以外は実施例1と同様にして癌細胞特異的HLA−F抗
原の精製を行った。得られた癌細胞特異的HLA−F抗
原をSDS−PAGEで解析したところ、明確なバンド
として分子量31KD、29KDのバンドを確認した。
例)について実施例1と同様に抗HLA−F抗体の検
出、および癌の診断を行った。抗HLA−F抗体検出用
フィルターの発色を観察した結果を表1に示す。分子量
29KDのバンドに発色が認められた場合を○、29K
Dのバンドに発色が認められなかった場合を×と判定し
た。
DNAの調製を行い、得られたHLA−FcDNAをグ
ルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)発現ベ
クターに挿入した組み換えプラスミドで大腸菌(E. col
i JM109 株)を形質転換してGSTとHLA−F断片と
の融合タンパクを得た。これをSDS存在下に可溶化
し、スロンビンでGSTとHLA−F断片とを切断して
癌細胞特異的HLA−F抗原を得た。得られた癌細胞特
異的HLA−F抗原をSDS−PAGEで解析したとこ
ろ、GSTの27.5KDのバンド、HLA−F断片の
25KDのバンドを確認した。
例)について実施例1と同様に抗HLA−F抗体の検
出、および癌の診断を行った。被験者の血清中に混在す
る大量の抗大腸菌抗体のために、結果はやや不鮮明であ
ったが、抗HLA−F抗体検出用フィルターの発色を観
察した結果を表1に示す。分子量25KDのバンドに明
確な発色が認められた場合を○、25KDのバンドに発
色が認められなかった場合を×と判定した。結果を表1
に示す。
例の血清中に抗HLA−F抗体が検出され、検出率は4
5.7%であった。抗HLA−F抗体が検出されなかっ
た癌患者は、血清中の抗HLA−F抗体のほぼ全量が自
分の癌細胞が産生する癌細胞特異的HLA−F抗原で中
和されているために、検出されなかったものと考えられ
る。抗HLA−F抗体が検出された癌患者16例の診断
名から明らかなように、様々な臓器の癌について抗HL
A−F抗体を検出できたことから、本発明の癌細胞特異
的HLA−F抗原は癌に共通的な抗原性を有することが
わかる。
抗HLA−F抗体が検出されたが、この被験者は本検査
後に内視鏡等による精密検査を受診した結果、S状結腸
癌であることが判明した。しかしこの被験者の血清を用
いて大腸癌のマーカーであるCEA及びCA19−9で
検査を行ったところ、いずれも陰性であった。
癌細胞が特異的かつ一般的に産生する新規抗原物質であ
り、またこの癌細胞特異的HLA−F抗原に対して産生
される抗HLA−F抗体を被験者の体液中より検出する
ことによって、臓器や発癌の原因の違いに関わらず癌細
胞の存在を調べることができる。さらに、既存の腫瘍マ
ーカーを用いた検査では見落とされるような早期の癌も
発見できる可能性が高い。
Claims (13)
- 【請求項1】少なくとも配列表の配列番号6のアミノ酸
配列を含有する癌細胞特異的HLA−F抗原。 - 【請求項2】少なくとも配列表の配列番号5のアミノ酸
配列を含有する癌細胞特異的HLA−F抗原。 - 【請求項3】配列表の配列番号1〜3のいずれかに記載
のDNA配列の一部または全部を発現させて得られるこ
とを特徴とする請求項1または2に記載の癌細胞特異的
HLA−F抗原。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の癌細胞特
異的HLA−F抗原をコードするDNA。 - 【請求項5】配列表の配列番号1〜3のいずれかに記載
のDNA配列を有する形質転換体から融合蛋白質を発現
させ、タンパク質分解酵素で処理して請求項1〜3のい
ずれかに記載のHLA−F抗原を得ることを特徴とする
請求項1〜3に記載の癌細胞特異的HLA−F抗原の調
製方法。 - 【請求項6】前記タンパク質分解酵素がエンテロキナー
ゼであることを特徴とする請求項5に記載の癌細胞特異
的HLA−F抗原の調製方法。 - 【請求項7】前記タンパク質分解酵素がファクターXa
(FactorXa)であることを特徴とする請求項5に記載
の癌細胞特異的HLA−F抗原の調製方法。 - 【請求項8】抗原性を有するペプチドを含有するものを
分画する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のい
ずれかに記載の癌細胞特異的HLA−F抗原の調製方
法。 - 【請求項9】癌細胞特異的HLA−F抗原の一部または
全部を用いて、被験者の体液中の抗HLA−F抗体を検
出することを特徴とする癌の診断方法。 - 【請求項10】癌細胞特異的HLA−F抗原の一部また
は全部に特異的に反応する免疫対を用いて、被験者の体
液中の抗HLA−F抗体と競合反応させて被験者の体液
中の抗HLA−F抗体を検出することを特徴とする癌の
診断方法。 - 【請求項11】前記体液が血液であることを特徴とする
請求項9または10に記載の癌の診断方法。 - 【請求項12】被検者の体液を導入する体液導入部と、
癌細胞特異的HLA−F抗原の一部または全部を有する
免疫反応部とを、少なくとも有することを特徴とする癌
の検出体。 - 【請求項13】請求項12に記載の癌の検出体とこれに
用いる検出試薬の少なくとも1つを備えることを特徴と
する癌の検出キット。
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