JP2001082828A - 熱交換器および熱媒供給システム - Google Patents

熱交換器および熱媒供給システム

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JP2001082828A
JP2001082828A JP25991799A JP25991799A JP2001082828A JP 2001082828 A JP2001082828 A JP 2001082828A JP 25991799 A JP25991799 A JP 25991799A JP 25991799 A JP25991799 A JP 25991799A JP 2001082828 A JP2001082828 A JP 2001082828A
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heat
heat exchanger
peltier element
temperature
fin
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JP25991799A
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Kazuo Kobayashi
一男 小林
Akira Shimizu
明 清水
Ryoji Kobayashi
良二 小林
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Orion Machinery Co Ltd
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Orion Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンパクトでフッ素系不活性液体を熱媒とし
て提供できる熱交換器を提供する。 【解決手段】 ペルチェ素子33を挟んで熱媒を通す第
1の流路36を備えた板状の第1の熱交換器31と、水
などの排熱用の媒体を通す第2の流路38を備えた板状
の第2の熱交換器32を備えた熱交換器30を提供す
る。これによりペルチェ素子が熱勾配を設定するので、
低温から高温まで熱媒の温度を制御することができ、熱
交換効率の高いコンパクトな熱交換器を提供できる。ま
た、ペルチェ素子に面した部分の流路における熱媒の伝
熱率を高めるために表面積を確保しながらフィン前縁部
を多く取れる形状の切欠きなどのあるフィン63を採用
することにより、フッ素系不活性液体のような動粘度の
高い熱媒に対しても、コンパクトでありながら充分な接
触面積を確保できる熱交換器を提供している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンパクトで温度
制御の容易な熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱交換器を通して温度制御された熱媒
(冷媒も含む)により部材あるいは機器の温度を変化さ
せたり、所定の温度を保持する技術が多く用いられてい
る。図7に示すように、半導体装置のドライエッチャー
1のアノード2あるいはカソード3の温度を制御すると
共に、カソード3に設置された半導体基板(ワーク)5
の温度を適温に保持するためにも熱媒を用いたサイクル
(熱媒供給システム)10が採用されている。近年、半
導体製造装置の温度制御、コンピュータ、その他の電子
機器の温度制御、さらには、化学加工機械の温度制御用
の熱媒として、アウジモント社のガルデン、スリーエム
社のフロリナートなどのフッ素系不活性液体(完全フッ
素化液)が多く用いられるようになっている。
【0003】このフッ素系の不活性液体は、フロンなど
と異なりオゾンなどに対しても不活性でオゾン破壊係数
が0であり、さらに、優れた電気絶縁性と熱特性とを併
せ持った液体である。そして、低温、たとえば−20℃
程度あるいはそれ以下でも凍結せず、高温、たとえば8
0℃から120℃程度あるいはそれ以上でも化学的に安
定しているものが得られる。したがって、適当な種類の
フッ素系不活性液体を熱媒として選択することにより、
広い温度範囲で熱媒を使用でき、これを用いた熱交換器
によって温度制御の対象となる機器あるいはワークなど
を低温から高温まで制御することが可能である。さら
に、熱媒が化学的に安定しているので、腐食の心配もな
く、メンテナンスフリーの熱交換システムを実現するこ
とができる。また、このフッ素系不活性液体は、不燃性
で、液状では人体に対する害もないといった優れた特性
を備えたものである。
【0004】したがって、図8に示すような、熱媒の温
度を低温および高温に制御して、他の機器、たとえばド
ライエッチング装置に供給する熱媒供給システム10が
多く用いられている。あるいは、ドライエッチング装置
に、このような熱媒供給システムが内蔵されている。図
8に示す熱媒供給システム10は、熱媒11の加熱およ
び冷却といった温度制御を行うと共にバッファとしての
機能を兼ねた媒体タンク12と、この媒体タンク12の
内部の熱媒を冷却する冷凍サイクル13と、タンク内の
媒体を加熱するヒータ14と、タンク12で温度制御さ
れた熱媒を加圧供給するポンプ15とを備えている。冷
凍サイクル13としては、冷媒を冷却する冷凍機16
と、この冷凍機16で冷却された冷媒をタンク12の内
部で循環して熱交換するエバポレータ(チューブ)17
が設置されている。そして、タンク12の出口の熱媒1
1の温度が所定の温度となるように、制御パネル18が
冷凍サイクル13およびヒータ14を制御する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなフッ素系不
活性液体を用いた温度制御システムにおいても、さらに
システム全体を小型化することが要求されている。すな
わち、フッ素系不活性液体は、化学的に安定であるが、
熱伝達率が水より1桁程度小さいために大きな伝熱面積
が必要となる。したがって、液相で強制循環するような
熱交換システムとしたときにシステム全体が大きくなっ
てしまう。
【0006】また、温度制御する対象物、たとえば、ド
ライエッチング中のワークの温度を精度良く、例えば、
±0.1から±0.01℃といった範囲で制御できるよ
うに熱媒の温度制御の応答速度を向上することが要求さ
れている。例えば、上記の図8に示した熱媒供給システ
ムでは、タンク12の内部で熱媒の温度を制御している
ので、冷媒の温度自体は安定して制御できるが応答速度
は遅いので、このような精度の良い温度制御には向いて
いない。
【0007】これに対し、本願の出願人は、特開平8−
193766号において、冷凍サイクルあるいはヒータ
を用いる代わりに、ペルチェ効果が得られる熱電変換素
子(ペルチェ素子)を用い、温度制御対象である熱媒
と、水などの排熱用の媒体との間に強制的に熱勾配を作
る熱交換器を提供するようにしている。この熱交換器で
は、ペルチェ素子によって熱流量を制御できるので、小
型でありながら熱交換効率が良く、低温から高温までの
熱媒を1つの熱交換器で提供できる。このため、応答速
度の速い熱媒供給システムを提供できる。
【0008】このシステムでは、平板状(パネル状)の
熱交換器あるいは伝熱ブロックを用いることにより、第
1および第2の流路の間にペルチェ素子(ペルチェモジ
ュールあるいはデバイス)を挟み込むことが可能であ
り、このペルチェ素子に適当な極性の電力を印加するこ
とにより、第1の流路から第2の流路に熱を強制的に流
すことができる。したがって、第1の流路を流れる熱媒
を冷却および加熱し、その排熱を第2の流路を流れる水
などの媒体に放出することができる。さらに、ペルチェ
素子により第1および第2の流路の間に強制的に熱勾配
を設けるので、第1の流路の伝熱面積が小さくても熱交
換効率の高い熱交換器を提供できる。また、第1の流路
を流れる熱媒と、第2の流路を流れる排熱用の媒体との
間の温度差が小さくても効率良く熱交換することが可能
であり、さらに、第1および第2の流路を流れる媒体の
温度差が逆転していても良い。したがって、本発明の熱
交換器を用いた熱媒供給システムにおいては、この熱交
換器を通すだけで低温から高温まで熱媒の温度制御が可
能であり、コンパクトで温度の応答性の良い熱媒供給シ
ステムを実現することができる。
【0009】このようにペルチェ素子を用いた熱交換器
は多くのメリットを備えているが、熱媒供給システムで
供給する熱媒がフッ素系の不活性液体のときは、水など
の媒体と比較し熱伝達率が小さいだけではなく、特に低
温(−10〜−20℃あるいはそれ以下)の条件の熱媒
を供給する際において、動粘係数が水の数倍から1桁程
度高いことが問題となる。すなわち、熱交換器をコンパ
クトにするには伝熱面積を増やし熱伝達効率を高くする
ことの方が望ましく、コンパクトで大きな伝熱面積を確
保するには、チューブタイプの流路よりも、内部にフィ
ンを設置した流路の方が断面積を小さくできるので好ま
しい。しかしながら、動粘係数が高い流体の場合は、乱
流化しにくいためにフィンタイプにしても実効的な伝熱
面積を効果的に増やすことが困難である。例えば、乱流
化するために、流体の速度を上げると動粘係数が高いの
でポンプ動力が非常に大きくなり、また、熱媒の流量を
制御することが難しくなる。逆に、伝熱面積を非常に大
きくするためにフィンの密度を上げると流路の断面積が
減少するので圧力損失が高くなり、ポンプ動力が増加す
る。したがって、ポンプ動力を適当に抑えて、流量を制
御し易いシステムを実現するには、流路の断面積を確保
して適当な密度でフィンを多く設置することが望まし
い。このため、熱交換器が大きくなってしまいコンパク
トに設計することができない。
【0010】さらに、この熱交換器においてはペルチェ
素子によって熱勾配を設けるようにしている。したがっ
て、熱媒の温度制御性を良くし、さらに、熱交換効率を
高くするには、熱媒の流路に沿って、流路の側面の大部
分をカバーできるようにペルチェ素子を設置することが
望ましい。このため、流路の面積が増えて熱交換器が大
きくなると、それに合わせてペルチェ素子を数多く設置
する必要があり、所定の性能を発揮するために本来必要
とされる数量以上のペルチェ素子が要求される。したが
って、熱交換器が大型になり、コストが高くなる。それ
と共に、ペルチェ素子の制御および電源装置も大きくな
るので経済的な熱媒供給システムを実現することが難し
い。
【0011】そこで、本発明においては、フッ素系の不
活性液体を熱媒として広い範囲の温度制御するのに適し
た小型で熱交換効率の高く、さらに応答性の良い熱交換
器を提供することを目的としている。また、この熱交換
器を用いて、小型で応答性の良く、経済的な熱媒供給シ
ステムを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】このため、本発明におい
ては、内部の流れに対向する複数のエッジを備えたフィ
ンを流路に設置してエッジ効果により動粘性係数の高い
流体に対するフィンの実質的な伝熱面積を大きくし、コ
ンパクトで熱交換効率が高く、さらに応答性の良い熱交
換器を提供することを実現している。すなわち、本発明
の熱交換器は、内部に第1の流体が流れる第1の流路を
備えた第1の熱交換用プレートと、この第1の熱交換用
プレートの少なくとも一方の側面に設置されたペルチェ
素子と、このペルチェ素子を挟んで第1の熱交換用プレ
ートの外側に設置された、内部に第2の流体が流れる流
路を備えた第2の熱交換用プレートとを有し、第1の流
路に、内部の流れに対向する複数のエッジを備えたフィ
ンを設けるようにしている。複数のエッジを備えたフィ
ンとしては、たとえば、断続した切欠き、あるいは切起
こしを備えたフィン、または、多孔性のフィンがある。
【0013】フィンを切り欠いたり、多孔性にすると、
伝熱面積自体は若干減少するが、流れに対向する縁が得
られるので、それらの前縁効果によって粘性液体とフィ
ンとの接触効率が大幅に向上する。したがって、動粘性
の高い流体に対しても伝熱面積(フィンの面積)の実効
を確保することが可能となり、流路の面積を過度に増や
さなくて済む。このため、所定の冷却あるいは加熱性能
を発揮するために必要とされる数のペルチェ素子の設置
面積と調和の取れた面積で熱交換効率の高い熱交換器を
提供できる。したがって、本発明により、ペルチェ素子
を用いて第1および第2の流体間で熱交換する熱交換器
であって、特に、第1の流体が高粘度の流体であるとき
に、全体としてコンパクトで熱交換効率が高く、低コス
トな熱交換器を提供することができる。そして、本発明
の熱交換器と、この熱交換器にフッ素系の不活性液体を
供給するポンプシステムとを設けた熱媒供給システムと
することにより、フッ素系の不活性液体を強制循環する
コンパクトで温度制御のし易い熱交換システムを提供す
ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1に、本発明にかかる熱媒供給
システム20の概要を示してある。この熱媒供給システ
ム20は、図7に示した熱媒供給システム10と同様の
目的に使用できるものであり、図8に示した従来の熱媒
供給システム10に取って代わることができるものであ
る。そして、以下に説明するように非常にコンパクトに
できるので、エッチング装置などの温度制御の対象とな
る装置自体に組み込んだり、あるプロセスを実行するス
テーションの一部として非常に容易に組み込めるように
なっている。
【0015】図1に示すように、本例の熱媒供給システ
ム20は、バッファとなるタンク21と、このタンク2
1に貯められたフッ素系の不活性液体(熱媒)11を加
圧して供給するためのポンプ15を備えており、加圧さ
れた熱媒11が本発明にかかる熱交換器30に供給され
る。本例の熱交換器30はプレート型の熱交換器である
が、複数のプレート型の熱交換器が相互に密着して、直
に熱交換されるものではなく、間にペルチェ素子33が
設置され、このペルチェ素子33が複数のプレート型熱
交換器の間の熱の流れを制御するようになっている。
【0016】本例の熱交換器30は、図2に断面を用い
て示すように、計5層の構造になっており、中心に熱媒
11を通す第1の流路36を備えた板状の第1のプレー
ト型熱交換器(第1の熱交換用プレートあるいは第1の
熱交換器)31が配置され、その両側面31aに複数の
ペルチェ素子33が設置されている。さらに、これらの
ペルチェ素子33を挟んで第1の熱交換器31の両側
に、排熱用の媒体19である水を流す第2の流路38を
備えた第2のプレート型熱交換器(第2の熱交換用プレ
ートあるいは第2の熱交換器)32が配置されている。
したがって、本例の熱交換器30においては、中心の第
1の熱交換器31の側面31aと、その両側に位置する
第2のプレート32の側面32aとの間にペルチェ素子
33が挟み込まれた状態となり、これらペルチェ素子3
3により強制的に熱勾配が設定され、熱媒11が冷却あ
るいは加熱される。
【0017】例えば、本例の熱交換器30においては、
ペルチェ素子33に印加される電圧により、第1のプレ
ート31に面した側が吸熱、第2のプレート32に面し
た側が放熱に設定されれば、第1の熱交換器31を流れ
る熱媒11が冷却され、その排熱により第2の熱交換器
32を流れる水19が加熱される。一方、ペルチェ素子
33に上記と逆極性の電圧が印加され、第1の熱交換器
31に面した側が放熱、第2の熱交換器32に面した側
が吸熱にセットされれば、第1の熱交換器31を流れる
熱媒11は加熱され、その排熱によって第2の熱交換器
32を流れる水19は冷却される。ペルチェ素子33
は、供給される電力(電流)により高温側と低温側の温
度差を制御することが可能であり、これによってペルチ
ェ素子33を介して流れる熱量を制御できる。したがっ
て、本例の熱媒供給システム20においては、この熱交
換器30だけで熱媒の温度を制御することができる。こ
のため、制御パネル22により熱交換器30の出口の温
度を参照してペルチェ素子33の負荷を適当に定めるこ
とにより熱媒11の温度を低温から高温まで自由に制御
することができる。
【0018】この熱交換器30の中心に位置する第1の
プレート型熱交換器31は、図3に示すように、熱伝達
効率が高く、不導体を作ることにより材料的にも安定し
たアルミニウム製で、全体が薄い板状である。本例の第
1の熱交換器31は、2つに分割されて形成されたアル
ミニウムの押出し成形品であるボディー(パネル)35
を中央で接合した構造となっており、熱交換器31の内
部に、その長辺方向に沿って熱媒を流すことができる断
面が上下に長い長方形の2本の流路36が上下(短辺方
向)に並んで形成されている。また、熱交換器31の長
辺方向の両端には、これら2本の流路36を接続し、熱
媒11を入出力する配管23および24と連絡するため
のチャンバ部分37が形成されている。
【0019】本例の第1の熱交換器31は、プレート型
であり、その両側面31aが平面となっている。したが
って、これらの側面31aに長手方向に沿って上下2列
にペルチェ素子33を並べて配置できる。現状、ペルチ
ェ素子33は、ペルチェ効果を持った複数のエレメント
をセラミックパネルなどに配置してモジュール化してい
るが、パネルを歪みなどがなく経済的に製造する都合
上、そのサイズは数cm角、たとえば40から50mm
角程度のものが標準的である。したがって、本例の第1
の熱交換器31のサイズの一例は、長辺Lが600mm
程度、短辺Hが100mm程度で、厚みWが25mm程
度の薄くコンパクトなものである。そして、この薄い熱
交換器31の内部に熱交換器31の短辺方向のサイズが
35mm程度で、厚み(幅)が15mm程度の流路36
が形成されている。したがって、第1の熱交換器の側面
31aの内、流路36に対応する部分はほぼペルチェ素
子33によって覆われた状態となり、流路36を流れる
熱媒11に対し熱の出入りを効率良く制御できるデザイ
ンとなっている。もちろん、これらのサイズは一例にす
ぎず、ペルチェ素子を1列あるいは3列以上に並べた構
成であっても良く、長手方向のサイズも熱交換器で処理
する熱量などの条件によって変わることはもちろんであ
る。
【0020】この第1の熱交換器31の両側に位置する
第2の熱交換器32も、アルミニウム製であり、第1の
熱交換器31とほぼ同じサイズと構成となっている。本
例の第2の熱交換器32は、内部に流路38となる凹み
とフィン38aが成形された放熱器ボディー39aと、
それに塞ぐ蓋39bとの組み合わせで構成されている。
もちろん、これらは第1の熱交換器31と同様に2つ割
れのボディーを組み合わせて構成することも可能であ
る。
【0021】これらの第1の熱交換器31を構成するボ
ディー35と、第2の熱交換器32を構成するボディー
39aおよび蓋39bには、流路36および38の上下
にあたる位置に所定のピッチで組立て用の細目ねじ51
を通す孔53が設けられている。したがって、図2に示
すように、第1の熱交換器31、ペルチェ素子33およ
び第2の熱交換器32を並べた(積層した)状態で孔5
3に細目ねじ51を通し、ボルト52で締めることによ
り、第1および第2の熱交換器31および32でペルチ
ェ素子33が挟み込まれた本例の熱交換器30が一体で
組立てられる。
【0022】このように、本例の熱交換器30において
は、第1および第2の熱交換器31および32が、ペル
チェ素子33を各々の熱交換器の側面に押付ける治具と
しての機能を果たしており、ねじ51とナット52だけ
で熱交換器を組立できる構造になっている。本例の熱交
換器30においては、第1および第2の熱交換器31お
よび32が共通のねじ51で固定されるので、ショート
サーキットをさけるために、これらのねじ51はプラス
チックなどの熱伝導性の低い材質を用いるか、あるいは
孔53との間に断熱性のシール部材を挿入しておくこと
が望ましい。熱交換器30を組立てる方法は、これに限
定されることはなく、クランプ状の治具を用い、2つの
第2の熱交換器32を、それらの間にペルチェ素子33
および第1の熱交換器31を挟み込んだ状態で締めつけ
るようにして組立てたり、溶接・ろう付けなどで一体的
に組付けることも可能である。
【0023】第1の熱交換器31の流路36には、熱媒
11との接触面積を増やすためにフィン60が挿入され
ている。フィン60の形状は、接触面積を増やすという
点では、図4(a)に示すようなストレートフィン61
であっても良い。しかしながら、本例の熱交換器30で
取り扱う熱媒がフッ素系の不活性液体であり、その動粘
度νは、メーカおよび製品によって多少異なるが、10
0〜200℃程度(高温)で0.3から1cSt(mm
2/s)程度とそれほど動粘度は高くないが、温度に依
存して密度ρおよび動粘度νが大きく変化し、−20〜
30℃程度(低温)で動粘度νがが数10から数100
cSt程度と高粘度になる。また、密度ρも高温では
1.4〜1.5程度であるが、低温では1.7〜1.9
程度と大きくなる。したがって、低温側で使用するとき
にストレートフィン61であると乱流化せず、伝熱面積
が不足する傾向になる。流速を上げて乱流化することも
可能であるが、熱媒11は高密度で動粘度の大きな液体
になっているのでポンプ動力が著しく増大することにな
りエネルギーを消費しすぎる。さらに、熱媒11によっ
て温度コントロールする対象の条件によって熱媒11の
循環量が決まるので、単純に熱媒の流速を制御できると
は限らない。また、フィンの形状を波形などに代えて乱
流化する方法もあるが、流路36の内部において抵抗と
なるので、この方法でもポンプ動力が著しく増加してし
まう。
【0024】そこで、本例においては、図4(b)に示
すように、ストレートなフィン65の一部に切欠き62
を熱媒11の流れ方向に断続的に設けたフィン63を採
用し、流れの方向にフィンのエッジ(前縁)64が多く
表れるようにしている。このように多数のエッジが流れ
に対向するように配置されたフィン63を用いると、図
5に模式的に示したように、流れ69がエッジ64で分
断され、分断された流れがフィン65に沿って流れて熱
交換される。したがって、動粘度の高い流体であっても
フィンの表面に形成される温度境界層が断続的になり、
また、境界層自体も乱すことができる。一方、エッジに
続くフィンのストレートな部分65によって十分な接触
面積も確保できる。したがって、このように流体上流に
向かって薄い(鋭利な)フィンの縁を立てる構成にする
ことにより、上述したような前縁効果と称す効果が得ら
れ、動粘度の高い熱媒に対してもフィンの有効面積を確
保することができる。このため、フッ素系の不活性液体
を熱媒とした熱交換器であって、コンパクトで熱交換効
率の高いものを提供することができる。
【0025】図4(b)に示すような切欠き62を断続
的に複数設けた歯状のフィンは、セレートフィンあるい
はセレイトフィンとして文献に記載されているものであ
るが、動粘度の高い流体に対して前縁効果を得るために
用いられている例はない。さらに、本例の熱交換器は、
上述したようにペルチェ素子33によって強制的に熱勾
配を設けて熱交換するものであり、流路36の内、ペル
チェ素子33に面した部分の熱交換効率を高くすること
が重要である。したがって、ペルチェ素子33が側面3
1aに取り付けられた部分に対応する、限られた面積あ
るいは範囲の流路で、流路の断面積は削減せずにフィン
の接触効率を高めることが要求される。これに対し、本
発明により、前縁効果のあるフィンを流路に設置するこ
とにより、その部分の接触熱効率を大幅に向上すること
ができるので、流路の抵抗を増やさずにフィンの実効的
な面積を増やすことに成功している。したがって、ペル
チェ素子と組み合わせた熱交換器において、高粘度の流
体を効率良く熱交換できるコンパクトな熱交換器を実現
できる。
【0026】図4(b)に示したフィンは、切欠き62
を設けることにより、流れに対向したエッジの数を増や
しているが、ストレートフィンの一部を断続的に切り起
こしてエッジの数を増やして同様の効果を得ることも可
能である。さらに、図4(c)に示すように、ストレー
トフィン65に適当な径の孔66を複数開けた多孔性の
フィン67を流路36に設置することによっても同様の
効果を得ることができる。
【0027】本例の第1の熱交換器31においては、図
4(b)または図4(c)に示したエッジの多いフィン
63または67を、アルミニウムあるいは銅の薄板で形
成し、流路36の内部にロー付けまたははんだ付けによ
って取り付けている。もちろん、ボディー35に一体と
なるように成形しても良いが、圧力損失を増加させず、
また、前縁効果を効果的に得るためには、フィンは薄い
方が望ましい。また、フィンの加工が複雑になるので、
型成形では製造しにくいという問題もある。したがっ
て、本例のように、ボディー35とは別に薄いフィンを
成形し、熱伝導性の良いロー付けあるいははんだ付けで
ボディー35に取り付ける方法が望ましい。
【0028】このように、本例の熱交換器30は、平板
状で、その内部に各々の流体の流路が設けられた熱交換
器31および32を組み合わせることにより、これらの
熱交換器31および32の間に平板状のペルチェ素子
(モジュール)33を挟み込める構造になっている。こ
のため、各々の熱交換器31および32の側面は適当な
精度で平面加工されており、ペルチェ素子33は直接あ
るいは伝熱グリースなどを介して取り付けられる。この
結果、ペルチェ素子33により電気的に熱の出入りを制
御することが可能であり、熱交換器31を流れる熱媒1
1の温度を自由に設定することができる。また、熱媒1
1は、流路36を通過する間に温度制御されるので応答
性が良く、精度の高い温度制御が可能となる。さらに、
ペルチェ素子33を用いることにより、熱勾配を制御で
きるので単位面積当たりの熱交換効率を高くして、熱交
換器全体を非常にコンパクトに纏めることができる。し
たがって、熱媒11を供給するシステム20をコンパク
トにすることが可能であり、熱媒により温度制御する機
器に熱媒供給システム20を内蔵したり、あるいは、機
器の近傍に設置しても場所をとらないものとすることが
できる。
【0029】このようなペルチェ素子を用いた熱交換器
においては、単位面積当たりの熱負荷を大きくできる。
さらに、上記のようなエッジが流れに対向したフィンを
流路に設置することにより、フッ素系の不活性液体のよ
うな粘度の高く、熱伝達率がそれほど高くない熱媒を対
象とした熱交換器であっても非常にコンパクトに纏める
ことができる。すなわち、本発明にかかる熱交換器は、
密度が1.5以上で、動粘度が0.3から60cSt
(mm2/s)程度の範囲の熱媒を取り扱いのに適して
おり、その典型的なものは、完全フッ素化された不活性
の構成元素がC、F、O、HまたはC、F、Oから構成
されるフッ素系の液体である。
【0030】そして、このフッ素系の不活性液体は、上
述したように、広い温度領域で化学的に安定であり、電
気絶縁性液体で、このような特性を備えた流体としては
熱伝達率などの熱的特性も優れている。したがって、ク
リーンな環境で、さびなどの発生がなく、化学的に安定
した熱媒を供給できる熱媒供給システムであって、所定
の温度に応答性良くコントロールされた熱媒を供給でき
る非常にコンパクトなシステムを本発明により提供でき
る。このため、本例の熱交換器を採用した熱媒供給シス
テムは、メンテナンスフリーでクリーンルームなどに設
置される半導体製造工程上の各機器あるいはワークの温
度制御、その他の化学加工機械、コンピュータなどの温
度制御に適したものである。
【0031】本例の熱交換器においては、排熱用の媒体
として水を用いた水冷タイプであるが、もちろん、その
他の熱媒、たとえば、油、空気、さらにはフッ素系不活
性液体などを排熱用に用いることも可能である。しかし
ながら、熱伝達率が高く、安定した温度で大量に得ら
れ、さらに廃棄処理の容易な媒体としては水が最も優れ
ている。空気を用いることも可能であるが、動粘度が高
く比熱も小さいので大量の空気が必要となり、さらに、
それをクリーンルーム内に放出することができないので
適当なダクトシステムなどが必要となる。したがって、
装置が大型化し、製造コストも高くなる。したがって、
水が最も望ましい排熱用の媒体であるといえる。また、
本例では、第2の熱交換器にはボディーと一体となった
フィンを用意しているが、第1の熱交換器と同様のフィ
ンを用意することも可能である。しかしながら、媒体が
水の場合、流速をある程度早くすることが容易であり、
外的要因によって流量が制限されることはほとんどな
い。したがって、ストレートフィンで充分な接触効率を
確保することが可能である。
【0032】また、本例の熱交換器は、第1の熱交換器
31の両側にペルチェ素子33を挟んで第2の熱交換器
32を組み合わせているが、熱交換器31の一方の面だ
けにペルチェ素子33を挟んで第2の熱交換器32を取
り付けても良い。このような熱交換器は、熱交換性能は
低下するが、本例の熱交換器よりも全体がさらに薄くな
るのでシステムをいっそうコンパクトに纏めることがで
きる。また、第2の熱交換器32の外側にさらにペルチ
ェ素子33を挟んで第1の熱交換器31を積層すること
も可能であり、6層以上の多層の熱交換容量の大きな熱
交換器を組立てることも可能である。
【0033】なお、本例では、第1の熱交換器31は2
つの対照的なブロック35が中央で組み合わされた構成
にしているが、図6に示すように、流路36の形成され
たブロック35aと、蓋35bとの組み合わせで構成し
ても良い。また、引き抜き加工で流路36を備えたプレ
ート状の熱交換器を製造することも可能であろう。流路
36は、断面がほぼ長方形にしてあるが、これは円形あ
るいは楕円形であってももちろん良い。しかしながら、
上述したような多数のエッジを備えたフィンを内部に設
置し、フィンが熱交換器本体と充分に接触するようにロ
ー付けなどによって接続することを考えると、本例のよ
うに方形の流路が好ましい。また、本例では、流路の幅
と同じ幅のフィンを内部に設置しているが、幅の狭いフ
ィンを複数並べて流路内に設置することも可能である。
さらに、熱交換器の設置方向は本例のように縦にする代
わりに横にして上下に薄い構成にすることももちろん可
能である。
【0034】また、本例では、アルミニウム製の熱交換
器を採用しているが、銅などの他の熱伝達率の良い金属
により熱交換器を製造することも可能である。しかしな
がら、加工性、コストおよび加工後の錆などの問題を考
えるとアルミニウムが本例の熱交換器の素材としては最
も適している。
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の熱交換
器は、ペルチェ素子を挟んで熱媒を通す第1の流路を備
えた板状の第1の熱交換器と、水などの排熱用の媒体を
通す第2の流路を備えた板状の第2の熱交換器を設け
た、コンパクトで熱交換効率の高い熱交換器であり、さ
らに、ペルチェ素子に面した部分の流路における熱媒の
伝熱率を高めるために表面積を確保しながらフィン前縁
部を多く取れる形状の切欠きなどのあるフィンを採用す
ることにより、フッ素系不活性液体のような動粘度の高
い熱媒に対しても、コンパクトでありながら充分な接触
面積を確保できる熱交換器となっている。このため、本
発明にかかる熱交換器を用いることにより、半導体製造
過程で用いられる機器やワークなどの温度を制御するの
に適したフッ素系不活性液体を熱媒として供給するのに
適したコンパクトな熱媒供給システムを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる熱交換器および熱
媒供給システムの概要を示す図である。
【図2】図1に示す熱交換器の概略構成を示す断面図で
ある。
【図3】図1に示す熱交換器の第1のプレート型熱交換
器の概略構成を示す図であり、内部の構成を示すために
一部を欠いて示してある。
【図4】本例の熱交換器に採用される幾つかのタイプの
フィンを示す図である。
【図5】前縁の多いフィンを採用したときの流れの様子
を示す図である。
【図6】第1の熱交換器の異なる構成例を示す断面図で
ある。
【図7】ドライエッチング用の機器に熱媒を供給するシ
ステムの概要を示す図である。
【図8】従来のフッ素系不活性液体を供給するシステム
の概要を示す図である。
【符号の説明】
10、20 熱媒供給システム 30 熱交換器 31 第1のプレート型熱交換器 32 第2のプレート型熱交換器 33 ペルチェ素子(ペルチェ素子モージュール) 36 第1の流路 38 第2の流路 61、63、67 フィン 62 切欠き 66 孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 良二 長野県須坂市大字幸高246番地 オリオン 機械株式会社内 Fターム(参考) 5F004 AA16 BA04 BB18 BB25 BB26 BC08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に第1の流体が流れる第1の流路を
    備えた第1の熱交換用プレートと、 この第1の熱交換用プレートの少なくとも一方の側面に
    設置されたペルチェ素子と、 このペルチェ素子を挟んで前記第1の熱交換用プレート
    の外側に設置された、内部に第2の流体が流れる第2の
    流路を備えた第2の熱交換用プレートとを有し、 前記第1の流路に、内部の流れに対向する複数のエッジ
    を備えたフィンが配置されていることを特徴とする熱交
    換器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記フィンは、断続
    した切欠き、あるいは切起こしを備えたフィン、また
    は、多孔性のフィンであることを特徴とする熱交換器。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記第1の流体が温
    度制御の対象となる熱媒であり、前記第2の流体が排熱
    用の流体であることを特徴とする熱交換器。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の熱
    交換器と、この熱交換器にフッ素系の不活性液体を供給
    するポンプシステムとを有する熱媒供給システム。
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