JP2001082473A - 静圧軸受装置 - Google Patents

静圧軸受装置

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JP2001082473A
JP2001082473A JP26177399A JP26177399A JP2001082473A JP 2001082473 A JP2001082473 A JP 2001082473A JP 26177399 A JP26177399 A JP 26177399A JP 26177399 A JP26177399 A JP 26177399A JP 2001082473 A JP2001082473 A JP 2001082473A
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bearing
oil
lubricating oil
lubricating
liquid
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Chuichi Sato
忠一 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度な軸受回転精度を有する静圧軸受装置
を提供する。 【解決手段】 潤滑剤として油を用い、油に混入した空
気を脱気するための真空脱気装置を循環潤滑システム中
に設ける。冷却装置により潤滑油を冷却する。ポケット
が無い多孔質絞りを用いる。多孔質絞り材として弾性係
数が大きいセラミックスを用いる。単一の円環状溝を介
して軸受面に潤滑油を供給する。潤滑油としては、低粘
度の油を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部から高い圧力
の流体を圧送し、その高圧流体により軸を浮かせて支持
する静圧軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超精密円筒研削盤やセンタレス研
削盤およびマシニングセンタ等の切削加工機の主軸を支
持する支持機構としては、一般に、転がり軸受が用いら
れているが、高回転精度が要求される場合は、非接触の
静圧軸受が極めて小さな軸の回転振れ(製作誤差より1
桁小さくなる)を実現でき、有用なことが知られている
(矢部寛、石田英芳:[静圧気体スラスト軸受の回転精
度に関する研究](第3報、軸変位特性)、日本機械学
会論文集(C編)、56巻、第528号(1990−
8)、pp2187〜pp2193)。
【0003】なお、動圧軸受や磁気軸受も非接触の軸受
であるが、動圧軸受は回転に伴って形成される流体潤滑
膜内に発生する圧力によって荷重を支持するものである
ため、静圧軸受ほど大きな荷重を支持できず、剛性も小
さく、回転開始時にはすべり現象によって焼付きが発生
するという間題がある。また、非接触の磁気軸受は、構
造が複雑で同程度の性能を得るには高価になりすぎて実
用的でなく、さらに動剛性が弱くなる周波数帯域が発生
してしまう。
【0004】図6は、本願発明の一実施例を含め現在ま
で公表されている静圧軸受の構成・特性を一覧表示した
図である。なお,図6に示した従来例1と従来例3は従
来より実用化されている静圧軸受であり、従来例2と従
来例4は日本機械学会論文集等に比較的最近発表された
静圧軸受である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】[従来例1]従来例1
の静圧軸受は、潤滑剤として油を採用し、図7に示した
ように、ランド71上に毛細管、またはオリフィスによ
る絞り72とポケット73を設けている。なお、ポケッ
ト73の数は、一般に4個である。
【0006】この種の静圧軸受では、スピンドル(軸)
74に荷重Wが作用すると、軸受すき間h0が変化し
(荷重作用側+△h、荷重受側−△h)、ポケット圧P
rが作用荷重Wに応じて変化し(荷重作用側−△Pr、
荷重受側+△Pr)、軸受剛性は、W/△hとなる。こ
のため、ポケットの位置で、ラジアル方向とアキシャル
方向の両方向の流体の流れによりポケット圧力が決ま
り、圧力分布、および軸受剛性の連続性が崩れ、ポケッ
ト数の整数倍の振れ成分がスピンドルに発生し、回転精
度を極限まで高めようとする場合には、この振れ成分を
無視できなくなる。この対策としては、ポケットを無く
すことであり、そのためには多孔質絞りを採用すること
が必須要件となる。
【0007】[従来例3]多孔質絞りを使用した軸受
は、30年以上前から静圧空気軸受として実用化されて
いる。この静圧空気軸受は、図8に示したように、潤滑
剤としての空気を絞る絞り材として、ポーラス(多孔
質)材によるポーラス絞り81を採用し、空気はポーラ
ス絞り81の外周から供給溝82を介して供給される。
そして、空気はポーラス絞り81により絞られて軸受す
き間h0に流入されてポット圧Prが発生する。この静
圧空気軸受における荷重Wとポット圧Prの変化の関係
は、上記の従来例1と同様である。ただし、ポケットが
無いので、圧力分布が連続的に変化し、ラジアル方向で
は、軸受剛性の連続性が崩れることはない。
【0008】しかし、この多孔質絞りを使用した静圧空
気軸受軸は、潤滑剤としての空気の圧縮性により自励振
動が発生しやすくなる。この自励振動を防止すべく、軸
受表面に目詰まりを意図的におこして発生空気量を最適
にするようにしたものも知られているが、加工機用のス
ピンドルとしては負荷範囲が狭くなってしまう。また、
静圧軸受の性能は潤滑膜の特性に依存するが、空気の粘
度は油に比し2桁小さく、空気の圧縮性のため動剛性が
油潤滑より劣ってしまう。また、空気潤滑は、油潤滑に
比べて供給圧が低く、負荷容量も小さくなる。すなわ
ち、空気潤滑は、低荷重下で高精度・高速・低トルクの
要求を満足するには適しているが、ある程度の荷重が負
荷される条件下では、圧力と潤滑剤粘度が不足してい
る。
【0009】[従来例2]従来例2では、潤滑剤として
油を用いると共に、多孔質材としてアルミナ製セラミッ
クスを用いている。ただし、この例では、負荷容量を大
きくするためにポケットを設けてあるので、ポケット部
で圧力分布に不連続が生じてしまう。したがって、回転
精度は、方向性を持ち、軸の真円度の影響を受けること
となる。すなわち、回転精度は、従来例1に近い特性と
なる。また、潤滑油にISOVG46相当の作動油を用
いているので、粘度が高くトルクが大きく発熱も大きく
なる。
【0010】[従来例4]従来例4では、潤滑剤として
水を用い、軸受は多孔質絞りとし、その材質はHIP製
ポーラスセラミックを用いている。水は作動油として用
いた場合には劣化するので、長期的に一定の軸受性能を
維持することは不可能である。このため、加工機用の軸
受として用いた場合は、被加工物の精度が変わることが
懸念される。軸受部はセラミックで構成されているので
軸受部で錆が発生する心配は無いが、軸受部に至る配管
およびハウジング部や軸で錆が発生する可能性があるの
で、その対策が必要である。さらに、水は潤滑性が乏し
く、ポンプ等のすべり部に摩耗粉が発生するため、この
摩耗粉によってポーラス(多孔質)材の絞りに目詰まり
が生じないように、バクテリア対策も含めた精密フィル
タが必要となる。すなわち、保守上の問題を解決する必
要がある。
【0011】[従来例1、2、4に共通する問題点]潤
滑剤(油、水)を長時間使用すると空気が混入して圧縮
性が増大(弾性率が減少)する。このため、ダンピング
性(減衰性、制振性)が小さくなり、応答性が悪くな
り、動剛性が小さくなる。このような空気混入による弊
害は、従来、知られていなかった。
【0012】すなわち、今までは、潤滑剤の空気吸い込
みによる軸受性能の経時変化が問題とされず、近年の磁
気ディスクのピンドルに要求される程、小さな回転振れ
は要求されていなかった。しかし、近年の高密度記録化
に伴って、磁気ディスクのスピンドルについて回転振れ
の更なる低減化が要望されるようになってきた。そこ
で、軸の回転振れの原因を追求したところ、空気混入に
よって圧縮性が変化することが判明し、この圧縮性の変
化が軸の回転振れの要因となっていることが判明した。
【0013】また、潤滑剤の供給を複数箇所から分割し
て行なうと、個々の供給孔でわずかな圧力差が発生し
て、軸受すきまの円周方向圧力分布に変動が生じ、軸の
回転精度に悪い影響を及ぼすことも判明した。
【0014】また、潤滑油の粘性抵抗により軸受すき間
にトルクが発生すると、潤滑油の温度が上昇し、この温
度上昇により潤滑油の粘度が低下すると、動剛性が小さ
くなり、また、潤滑油の温度上昇による軸受の温度上昇
は、軸受の不均一な熱膨張を招き、これらも軸の回転精
度に悪影響を与えることが判明した。
【0015】本発明は、以上の事情に鑑みてなされたも
ので、その課題は、高精度な軸受回転精度を有する静圧
軸受装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、潤滑流体として液体を使用し、その液体
の供給方式として循環潤滑方式を採用した静圧軸受装置
において、前記液体の循環経路に前記液体中に混入した
空気を脱気する脱気装置を設けている。
【0017】したがって、潤滑流体としての液体に空気
が混入して圧縮性が増大し、ダンピング性、軸受動剛性
が小さくなることが回避され、空気混入による回転精度
の低下が防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しながら説明する。
【0019】図1は、本発明を適用した静圧軸受装置の
概略構成を示す構成図であり、本静圧軸受装置の軸受機
構部100は、潤滑剤として油を使用している。そし
て、潤滑システムとしては循環潤滑方式を採用してお
り、潤滑油供給部200と、脱気装置300と、冷却装
置400を有し、これら3装置を一体として潤滑油供給
装置500が構成される。また、本静圧軸受装置の構成
・特性の一実施例は、図6の左端の欄に記載した通りと
なっている。
【0020】[軸受機構部100]図1において、1は
スピンドルであり、このスピンドル1の周囲には、2つ
のラジアルポーラス軸受メタル2,3が設けられてい
る。このラジアルポーラス軸受メタル2,3は、多孔質
のアルミナセラミックス、またはジルコニア系セラミッ
クスにより構成されている。また、ラジアルポーラス軸
受メタル2,3は、スピンドル1との対向面以外の部分
がシールリング4,5によりシールされている。
【0021】シールリング4,5には、ラジアルポーラ
ス軸受メタル2,3の外周面に一括して潤滑油を供給す
るための環状供給溝4a,5aが形成されている。すな
わち、本静圧軸受装置では、従来のように複数のポケッ
トを介して潤滑油を供給することなく、潤滑油は、1つ
の給油口6から取り込み、ベース7に形成された給油溝
8を介してラジアル環状供給溝4a,5aに導き、この
ラジアル環状供給溝4a,5aにより、ラジアルポーラ
ス軸受メタル2,3の外周面に一括して供給するように
構成されている。
【0022】また、スラスト方向の軸受機構も、ラジア
ル方向の軸受機構とほぼ同様に構成されている。すなわ
ち、スピンドル1に固着されたスラスト板9の両面側
に、それぞれ、多孔質のアルミナセラミックス、または
ジルコニア系セラミックスにより構成されたスラストポ
ーラス軸受メタル10,11を配設している。また、ス
ラストポーラス軸受メタル10,11のスラスト板9と
対向しない面側には、スラスト環状供給溝12,13が
形成されており、このスラスト環状供給溝12,13に
より、潤滑油をスラストポーラス軸受メタル10,11
の外周面に一括して供給するように構成している。
【0023】なお、給油された潤滑油は、ハウジング
7、およびスラスト軸受部14に形成された排油溝1
5、ドレイン口16を介して潤滑油供給装置500に送
出される。また、図1中の17,18は静圧シールであ
る。
【0024】[潤滑油供給部200]潤滑油供給部20
0は、潤滑油を収容する油タンク19、サクションフィ
ルタ20、潤滑油を高圧で供給する供給ポンプ21、潤
滑油の供給圧を調整する圧力調整弁22、圧力計23,
24、潤滑油から不純物を除去するフィルタ25、及び
アキュームレータ32を有している。なお、油タンク1
9は、軸受機構部100に供給する潤滑油の温度変化を
極力少なくするために3槽構造となっており、軸受機構
部100への潤滑油の供給は、第1槽から行われる。
【0025】[脱気装置300]脱気装置300は、真
空ポンプ26、脱気室27、ポンプ28、切替バルブ2
9を有している。ポンプ28は、油タンク19の第2槽
から潤滑油を吸い上げて脱気室27に送り込む。そし
て、脱気室27内の潤滑油は、その潤滑油に分散して混
入された空気が真空ポンプ26により脱気され、切替バ
ルブ29を介して油タンク19の第1槽に排出される。
この際の潤滑油のポンプ28による脈動を無くすため、
アキュームレータ32が配管途中に設けられている。そ
して、脱気処理(後述するように冷却処理も施されてい
る)が施された潤滑油は、上記のように、潤滑油供給部
200により、軸受機構部100へ供給される。
【0026】なお、本脱気装置300は、バッチ式と
し、切替バルブ29を閉状態にして、ポンプ28により
油タンク19の第2槽の潤滑油を脱気室27に導入し、
真空ポンプ26により脱気し、次に、切替バルブ29を
開状態にして(この時、ポンプ28は停止)、脱気室2
7の脱気された潤滑油を油タンク19の第1槽に排出す
る。このような脱気・排出動作を1サイクルとするサイ
クルを次々に実行して脱気することにより、脱気を確実
に行うようにしている。
【0027】[冷却装置400]冷却装置400は、ポ
ンプ30、冷却機31、室温測定温度計33を有してい
る。昇温した潤滑油、すなわち軸受機構部100から排
出された潤滑油、および圧力調整弁22から戻された潤
滑油は、油タンク19の第3槽に集められる。そこで、
この油タンク19の第3槽に集められた高温の潤滑油
を、ポンプ30により、冷却機31に流入させて冷却
し、油タンク19の第2槽に排出する。
【0028】なお、冷却機31は、スピンドル1の回転
中に常時駆動され、室温測定温度計33と連動して、常
に室温に関して一定の関係(例えば、軸受機構部100
での発熱温度だけ低い温度)を保つべく、油タンク19
の第3槽の潤滑油を第2槽に排出する。
【0029】[本静圧軸受装置の特徴]次に、本実施形
態による静圧軸受装置の特徴を詳細に説明する。
【0030】静圧軸受の負荷容量、動剛性、ダンピン
グ、摩擦損失を表わす定性的な関係式は、 軸受負荷容量:W∝Ae・Ps … (1) 動剛性: :K∝ξ・Ae・Ps/ho … (2) ダンピング :C∝η・Xc/ho3 … (3) 摩擦損失 :P∝η・Xp・ω2 /ho … (4) ここで、W:負荷容量、Ae:軸受有効面積、PS:供
給圧力、K:剛性、ξ:動剛性に関する無次元数、h
o:軸受すきま、C:ダンピング、Xc:ダンピングに
関する係数、P:摩擦損失、Xp:摩擦損失に関する係
数、η:潤滑油の粘性係数、ω:回転速度である。な
お、軸受有効面積Ae、ダンピング性に関する係数X
c、摩擦損失に関する係数Xp、動剛性に関する無次元
数ξの値は、軸受の仕様によって決まる。
【0031】(1) 潤滑油中に空気が混入すると、圧
縮性が大(弾性率小)となる。すなわち、上記ダンピン
グCの式(3)は、油膜に弾性がないとして、油の粘性
のみとした時の計算式を示しており、油膜に圧縮性が発
生した場合には、空気静圧軸受の場合と同様に、軸受す
きま内に弾性と粘性を直列に配置した状態となり、ダン
ピング特性が低下する。このダンピング特性の低下によ
り、動剛性が小さくなり、その動剛性の値も時間ととも
に変化する。
【0032】そこで、本発明では、脱気装置300によ
り真空脱気を行なって、潤滑油の圧縮性を初期の状態に
保っておくようにしている。
【0033】(2) また、潤滑油が温度上昇すると、
潤滑油の粘性係数ηが小さくなる。このため、摩擦損失
は小さくなるが、ダンピングCが減少し、上記と同様に
動剛性が悪化する。
【0034】そこで、本発明では、潤滑油供給部200
に冷却装置400を取付けて、軸受に供給する潤滑油の
粘度を一定に保つようにしている。
【0035】(3) また、潤滑油の粘性係数ηが大き
くなると、摩擦損失Pが大きくなって発熱しやすくな
る。そこで、本発明では、負荷容量および動剛性を満足
する範囲において潤滑油粘度はできるだけ小さくする。
【0036】すなわち、図6の従来例1では、潤滑油と
してISOVG46を用いているが、最近はISOVG
5相当の潤滑油が実用化されている、例えば、最も粘度
が小さいものとしては、水に極めて近い油(例えば出光
石油製低粘度スピンドル油#8801は1.8cSt)
も開発されているので、1〜5cSt(40℃での粘
度)が実用範囲となる。水の粘度でも空気より2桁以上
大きいことを考慮すると、潤滑油の粘度としては、水の
粘度1cSt以上が目安となる。
【0037】また、ポーラス材を通過する時の抵抗も、
粘度が大きいほど大きくなる。この対策としては、気孔
率を大きくして油を通過しやすくすることも考えられる
が、ポーラス材の結合強度の低下や気孔密度が小さくな
るので圧力むらが発生しやすくなる等の問題が生じる。
このような観点からも、粘度と気孔率のバランスが重要
であり、現行のポーラス材に対応する潤滑油の粘度とし
ては、1cSt〜5cStが望ましい。
【0038】(4) 潤滑油の使用中に空気が混入する
と、体積弾性率kと密度ρが小さくなる。これは、以下
の式からら定性的に理解できる。
【0039】 1/k=(1−γ)/k1+γ/k2 …(5) ρ=(1−γ)・ρ1+γρ2 …(6) ただし、 k1:潤滑油の体積弾性率(109〜1010Paのオー
ダー) k2:空気の体積弾性率(105Paのオーダー) ρ1:潤滑油の密度(103kg/m3のオーダー) ρ2:空気の密度(lkg/m3のオーダー) γ:空気混入による気泡群の総体積比 すなわち、空気混入による気泡群の総体積比γが大きく
なると、体積弾性率kおよび密度ρが小さくなる。
【0040】(5)空気混入による体積弾性率kの変化
は音速Soの変化として次式で表わされる。
【0041】
【数1】
【0042】式(7)に基づいて音速Cを求めると、図
2のようになる。また、音響インピーダンスZは、 Z=ρSo …(8) となり、音速Soと密度ρの積で表わされる。
【0043】(6) この性質を用いて、超音波発振器
を用いて空気混入の影響を判断することができる。
【0044】図3にその原理図を示す。超音波発振器の
振動板から発生した超音波は図3のような振幅で伝播す
るので、液中に設置した超音波メータを伝播方向に移動
することにより、その強度を測定することができる。図
4はその測定結果の一例であり、○は従来例、●は本願
発明であり、超音波発振器の振動板の振動周波数は、2
6KHzである。
【0045】図4では、本願発明の測定結果(超音波強
度)は、超音波メータによる従来例の測定値に対する相
対値で示している。出力の絶対値が大きくなるととも
に、超音波発振器の入力に対する振幅も大きくなってい
る。
【0046】これは、超音波の伝播特性についての結果
であるが、軸受油膜としても同様な特性を示すため、超
音波の伝播特性が優れた脱気状態の方が、潤滑油の剛性
や減衰特性が大きくなることを意味している。なお、従
来例ではスピンドルの回転中に潤滑油の温度が徐々に上
昇して38〜44℃と高くなったが、本願発明では、冷
却装置400を設けたので潤滑油の温度は26〜30℃
に保持されていることも確認された。
【0047】(7) 本静圧軸受装置では、従来のよう
に、軸受面への潤滑油の供給を複数の給油口から行うこ
となく、上記のように、単一の円環状のラジアル環状供
給溝4a,5a、スラスト環状供給溝12,13を用い
ることにより、1つの給油口6から給油できるようにし
ている。
【0048】したがって、軸受面に印加される油圧が軸
受面の円周方向の各部で一定となり、スピンドル1の回
転振れが低減して、回転精度が向上する。
【0049】[脱気装置の変形例]脱気装置は、図1の
ように1段で構成することなく、図5のように多段にす
ることも可能である。すなわち、図5の脱気装置では、
まず、前段トラップ51により潤滑油中の大きな気泡を
脱気した後に、真空ポンプ52により小さな気泡を脱気
することにより、確実、かつ効率よく脱気するように構
成している。
【0050】軸受機構部100から排出された潤滑油
は、サブタンク53に一旦蓄積され、ソレノイドバルブ
54、絞り55を介してメインタンク56に集積され
る。そして、メインタンク56内の潤滑油は前段トラッ
プ51に送り込まれて潤滑油中の大きな気泡が脱気さ
れ、さらにリークバルブ57を介して真空ポンプ52に
送り込まれてより小さな気泡が脱気される。なお、真空
ポンプ52により小さな気泡が脱気されるに先だって、
ミストフィルタ58により潤滑油中の水分が除去され
る。
【0051】このようにして2段階の脱気処理が施され
た潤滑油は、メインタンク56に戻され、逆止弁59、
循環ポンプ60を介して軸受機構部100に供給され
る。なお、メインタンク56から前段トラップ51への
潤滑油の出力制御は、メインタンク56内のフロートス
イッチ56a,56bにより行われる。
【0052】このように、本実施形態では、潤滑剤とし
て油を用い、循環潤滑システム中に真空脱気装置を設け
ることにより、潤滑油に空気が混入して潤滑油の圧縮性
が増大し、ダンピング特性、動剛性が低下するのを防止
している。また、冷却装置により潤滑油を冷却すること
により、潤滑油の温度上昇に伴って粘度が低下し、動剛
性が低下するのを防止している。また、ポケットが無い
多孔質絞りを用いることにより、軸受面に印加される圧
力が均一に分布するようにして、スピンドルの回転振れ
を低減している。
【0053】さらに、多孔質絞り材として弾性係数が大
きいセラミックスを用いることにより、加工上の真円度
を確保すると共に、負荷に対する剛性を大きくしてい
る。また、単一の円環状溝を介して軸受面に潤滑油を供
給することにより、軸受すき間の円周方向で油圧が均一
に分布するようにして、スピンドルの回転振れを低減し
ている。また、潤滑油としては、低粘度の油を用いるこ
とにより、低トルク化、及び温度上昇低減化を図ってい
る。
【0054】従って、磁気ディスクのピンドル用の軸受
等の極めて高精度の加工精度が要求される被加工物の加
工に用いる超精密円筒研削盤などに好適な高回転精度の
静圧軸受装置を実現することが可能となる。
【0055】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
ることなく、例えば、潤滑流体として油を使用すること
なく、水などの油以外の液体を使用し、その液体の供給
方式として循環潤滑方式を採用した静圧軸受装置におい
て、上記液体に混入した空気を脱気するようにしてもよ
い。また、脱気処理は、真空脱気に限らず、他の方式で
脱気処理を行ってもよい。
【0056】さらに、潤滑油の冷却は、油タンクや配管
を冷却ファンなどで冷却することにより行ってもよい。
また、本発明は、静圧作用のみによる静圧軸受装置に限
らず、静圧作用と動圧作用とを効果的に発揮させるハイ
ブリット軸受装置に適用することも可能である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
潤滑流体として液体を使用し、その液体の供給方式とし
て循環潤滑方式を採用した静圧軸受装置において、前記
液体の循環経路に前記液体中に混入した空気を脱気する
脱気装置を設けたので、潤滑流体の圧縮率が増大して動
剛性が小さくなるのを回避して、高精度な軸受回転精度
を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した静圧軸受装置の概略構成を示
す構成図である。
【図2】潤滑油への空気混入による潤滑油中での音速の
変化を示す図である。
【図3】超音波発振器を用いて潤滑油への空気混入によ
る影響を判断できる原理を示す図である。
【図4】図3の原理を活用して空気混入時(従来例)
と、空気非混入時(本願発明)との超音波の強度を測定
したときの測定結果を示す図である。
【図5】脱気装置の他の構成例を示す図である。
【図6】従来の静圧軸受装置、および本願発明の静圧軸
受装置の特徴を一覧表示した図である。
【図7】毛細管、またはオリフィスを絞りとし、ポケッ
トを設けた従来の静圧軸受装置の概略構成を示す図であ
る。
【図8】ポーラス材を絞りとし、潤滑剤として気体を用
いた従来の静圧空気軸受装置の概略構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1:スピンドル 2,3:ラジアルポーラス軸受メタル 4a,5a:ラジアル環状供給溝 6:給油口 10,11:スラストポーラス軸受メタル 12,13:スラスト環状供給溝 26,52:真空ポンプ 31:冷却機 32:アキュームレータ 51:前段トラップ 300:脱気装置 400:冷却装置 500:潤滑油供給装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑流体として液体を使用し、その液体
    の供給方式として循環潤滑方式を採用した静圧軸受装置
    において、前記液体の循環経路に前記液体中に混入した
    空気を脱気する脱気装置を設けたことを特徴とする静圧
    軸受装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100601205B1 (ko) 2004-10-25 2006-07-13 (주)하이드로 메틱스 유압을 이용한 고하중 테이블 부상 및 이송장치
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