JP2001075015A - 反射式双眼望遠鏡 - Google Patents

反射式双眼望遠鏡

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JP2001075015A
JP2001075015A JP25316799A JP25316799A JP2001075015A JP 2001075015 A JP2001075015 A JP 2001075015A JP 25316799 A JP25316799 A JP 25316799A JP 25316799 A JP25316799 A JP 25316799A JP 2001075015 A JP2001075015 A JP 2001075015A
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Kichihei Okamoto
吉平 岡本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正立像が得られ、観察者の頭や肩と主鏡筒と
を干渉させずに斜鏡から接眼部まての光路長を短くで
き、自然で負担のない姿勢で観察できる反射式の双眼望
遠鏡を提供する。 【解決手段】 斜鏡の射出光A2が主鏡光軸A1回りの
回転角θで射出されるようにし、下記構成を備えた接眼
部を斜鏡の射出光軸回りに捻れ角βをもって装着し、最
終射出光軸A4に主鏡光軸A1に対する仰角ρを持たせ
ることで正立像を得る。接眼部は、入射側と射出側との
2個の反射面を両者を結ぶ光軸A3回りに捻れ角αをも
って配置し、最終射出光軸A4上に接眼レンズ7を設け
た構造である。接眼部が手前にきて仰角が付与されるこ
とにより観察者と主鏡筒との干渉が回避され、天頂付近
の観測時にも俯角が浅くなり、快適に観測可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明はニュートン式反射
望遠鏡の主鏡筒を並列に配した双眼望遠鏡に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】各地に建設されている数多くの公共及び
私設の天文台は、宇宙や天文への人々の関心を高めるこ
とに大いに貢献してきた。しかし設置されている望遠鏡
は、口径の大きさを競うあまり視野の狭いものが多く、
まさに「芦の髄から天を覗く」の状態になっているのが
現状であり、宇宙を身近に感じさせるという点では今一
つ説得力がなかった。この種の望遠鏡の敷設が一巡した
現在、低倍率広視野で大口径ゆえの大きな集光力をもっ
て、壮大な宇宙を旅してきた光を余すことなく観察者に
伝えることができ、しかも観察者が自然な姿勢で宇宙を
疑似体験できるような望遠鏡が望まれることになる。
【0003】この要求を満たすものとして双眼望遠鏡が
挙げられる。双眼望遠鏡は、両眼を使うことでより明る
い天体のイメ−ジが得られ、淡いかすかな天体の検出能
力及び広がりやディテ−ルの判別力において、感覚的に
倍の口径の単眼鏡に匹敵すると言われている。また双眼
ゆえの疑似立体感や、長時間の観察にも集中力を維持で
きるという利点もある。
【0004】ところが現在市販されている双眼望遠鏡
は、最大口径が15センチで屈折式のものに止まってい
る。その大きな理由は、屈折式では広視野を目的として
F値を明るくした場合、発生する諸収差を抑えるため
に、高価な低分散硝子の使用を含めた多数のレンズの研
磨を余儀なくされ、大口径化は多大なコスト増を伴うか
らである。
【0005】一方反射式のものは、(1)反射式は色収
差がなく、特にニュ−トン式では構造が単純で調整が容
易、また焦点像の中心部は無収差であり(凹面鏡に放物
面を用いた場合)、(2)同口径の屈折式に比して主鏡
が安価で小口径から大口径に至るまで高精度のものが多
く供給され、その差は大口径になるに従って比加級数的
に大きくなる、という長所があるが、反射式の双眼望遠
鏡は、試作やアマチュアの自作品の数例を除いて市販の
ものは皆無と言ってよい。
【0006】その理由は、反射式を双眼望遠鏡に応用し
た場合、以下の問題があるからである。即ち、第1に、
反射望遠鏡では、主鏡や斜鏡の反射面の角度の影響で光
軸のずれが生じやすく、構造上これを堅固に保持しよう
とすると反射面に歪を作って像質に悪影響を及ぼすた
め、左右の光軸ずれが致命的欠陥となる双眼遠鏡には不
向きであること、第2に、筒外焦点距離に余裕がなく、
広視野、正立像を得るのが困難なことである。
【0007】ちなみに上記第1の点に関し、双眼鏡の左
右の光軸ずれの許容度はα=k*24/M−1で表され
る。ここで、α:許容度(分)、k:定数(縦1.0、
内横2.8、外横1.4)、M:倍率である。この場
合、例えば倍率を60倍とすると、縦方向のずれは24
秒しか許されない。この条件を満たすことは、自重でさ
え変形を危惧される大口径主鏡において、水平方向から
垂直方向に至るまで斜鏡を含めて角度−位置関係を堅持
することは困難であるし、温度変化の影響も無視できな
い。また、移動観測用やさらに分解組立を伴う場合はな
おさらである。
【0008】上記第2の点は次のような理由に基づく。
ニュ−トン式反射望遠鏡では、主鏡光軸上の斜鏡によっ
て光束を主鏡鏡筒外に導いている。そしてこの斜鏡が入
射光の一部を遮り、これが大きいと回折像への悪影響や
コントラストの低下、低倍率使用時のブラックアウト
(中央遮蔽による陰の径が眼の瞳径より大きくなって像
が見えなくなる現象)の原因となる。よって斜鏡径は小
さい方が望ましいが、斜鏡径を小さくすることは、視野
を狭くし、筒外焦点距離の余裕をなくするという、目的
と反する結果を伴う相克の関係にある。
【0009】ニュ−トン反射式双眼望遠鏡の利点を追求
する試みを公知発明に求めてみると、先ず特開平4−3
42219号公報には 望遠鏡の接眼部を突設した鏡筒
の2本を平行に設置した望遠鏡において、各々の鏡筒を
主鏡光軸回りに回動させて2個の接眼部の接眼部間距離
を調節できるようにし、接眼レンズと接眼筒の間に直角
プリズムを介装して射出光軸を主鏡光軸と平行にし、逆
視の状態で観察する技術が開示されている。この発明に
よれば、接眼部を観察者から見て鏡筒の手前側に持って
くることができ、大口径でも天頂付近が比較的無理なく
観望可能と思われる。反面、倒立像で、奇数回反射のた
め裏像である。天体観測では上下の逆は地上観測ほど問
題とはならないが、無秩序な星列を形として把握する上
では、鏡像はデメリットが大きい。
【0010】また裏像を回避する方法を追求したものと
して特開平8−278452号公報記載の発明が挙げら
れる。この発明ではニュ−トン式反射望遠鏡において、
本来の接眼筒部分を第一接眼筒とし、第一接眼筒内の光
束を屋根型プリズムで直角方向に転向して最終射出光束
を主鏡光軸と平行にし、逆視または直視にて観察できる
ようにしたものである。すなわち、筒外焦点距離を出来
だけ短く抑えるため、直角プリズムと殆ど同じ光路長で
2回反射の屋根型プリズムを使用し、合計4回の反射で
正立像を得ている。
【0011】この構造では、第一接眼鏡筒の光軸を相対
向して一線上に配する必要があり、接眼部は2本の主鏡
筒の中央に位置することとなる。そのため、大口径とし
たときは天頂方向の観察時に観察者は重心を前方に持っ
て行かねばならず、可動部分である鏡筒部分に体重の頼
りどころを求めずに真下を覗き込む姿勢を保持しなけれ
ばならない。これは、大口径であるが故の接眼部の高さ
と暗闇であることを考えると、危険を伴うと言わざるを
得ない。またこの構造では、肩と主鏡筒の干渉も問題と
なり、これを回避するにはプリズムケ−スと主鏡筒表面
間距離を長く取り、結果として筒外焦点距離を長く取ら
ざるを得なくなる。また光路上にダハの稜線を含むこと
による像面への悪影響や、観察者の頭が両鏡筒に挟まれ
ていることによる観察者の閉塞感も看過できない問題で
ある。
【0012】いわゆる屋根型プリズムは、光路上にダハ
の稜線を含む(視野の左と右半分を切断して反転する)
ため、この部分の角度はかなりの高い精度が要求され
る。また実際高倍率での像の乱れや輝星による光条がや
や問題とされている。
【0013】光路上からダハの稜線を回避しかつ鏡像を
回避する方法として、特開昭57−204019号公報
に開示されている屈折式双眼望遠鏡の光路変換方法を流
用することも考えられる。この方法は、屋根型プリズム
の反射面をそのまま平面鏡に置き換え、切断する光束の
一方を光路に従って利用する方法である。しかしこの方
法では、屋根型プリズムと同じ大きさの視野を確保しよ
うとすると倍の光路長が要求され、広視野の目的を達成
できない。
【0014】またペンタプリズムを利用することにより
倒立像を得ることも考えられるが、市販されている2イ
ンチのものを使用した場合で屋根型プリズム使用の場合
より約60ミリ長い光路長を要し、やはり広視野の目的
を達成できない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者は、眼視に
よる観測を趣味とし、口径40センチの逆視型で鏡像の
大口径ニュ−トン式反射双眼望遠鏡を製作して自ら観測
するとともに天体観察会等で一般の人々にも観察をして
もらい、3年を経過した。この間に、口径の大きさはそ
のまま感動の深さに結びつき、熟練者でなければ判別で
きないようなディテールも簡単に判別可能となることが
知見できた。
【0016】しかし、鏡像は鑑賞にはなるが観測には向
かないということ、さらに観察姿勢について、いくら双
眼であっても快適な姿勢でないと長時間の観察には耐え
られないということが判明した。また天頂付近の観察
時、観察位置がかなり高くなり、暗闇であることも加わ
り、うつむきになる姿勢は恐怖感をともない、一般の人
にとっては危険で、老齢者や身体の不自由な人に至って
は殆ど観察不可能であることが判明した。
【0017】そこで求められることは、接眼部を主鏡筒
より手前に持ってくることと、接眼部に仰角を付与して
天頂付近における俯角を浅くすることである。これによ
って主鏡筒の仰角60度付近まで接眼部と主鏡筒との間
に空間を確保でき、肢体不自由な人でも観察可能となる
のである。
【0018】この発明は、以上の経験からの知見に基づ
く研究の結果なされたもので、以上の要求、すなわち、
正立像が得られること、観察者の頭や肩と主鏡筒との干
渉を回避しながら斜鏡から接眼部まての光路長を短くで
き、従って斜鏡径を大きくせずに広視野が得られるこ
と、大口径のものが容易に製造可能であること、ダハの
稜線のような光学的な不利を有しないこと、自然で負担
のない姿勢で観察できること等の全てを満たし、かつ望
遠鏡としての基本性能(広視野、高分解能、高コントラ
スト等)を堅持し得る反射式双眼望遠鏡を提供すること
を課題としている。
【0019】すなわち、反射式の双眼望遠鏡において、
小口径から大口径まで対応でき、観察者の眼幅にあわせ
て接眼部を容易に調整できると共に任意の仰角が設定可
能で、その接眼部の位置と相まって快適な観察姿勢と視
野の広い正立双眼視を得ることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本願発明の反射式双眼望
遠鏡は、いわゆるニュ−トン式反射望遠鏡を一対、即
ち、凹面主鏡により入射光軸A1上を逆行する反射光束
を45度の平面斜鏡によって直角方向に転向させ、主鏡
筒の周面に突設した接眼筒内に結像させる光学系を左右
一対備えた反射式双眼望遠鏡において、平面斜鏡5をそ
の射出光軸A2が左右両主鏡光軸A1を含む平面に対し
所定の回転角θを持って射出されるように配置し、下記
(イ)の構成を備えた接眼部6を平面斜鏡の射出光軸回
りに所定の捻れ角βをもって装着し、左右の最終射出光
軸A4が子午面内で平行かつ主鏡光軸A1に対して所定
の仰角ρを持って射出されるように左右対称に対向させ
たものである。 (イ)入射側8と射出側9との2個の反射面を両者を繋
ぐ光軸A3回りに所定の捻れ角αをもって配置し、射出
側の反射面9からの最終射出光軸A4上に接眼レンズ7
を保持する接眼筒11を設けた接眼部。
【0021】双眼視に必要な目幅調整は、主鏡筒1の周
面と第1反射面8との間に伸縮可能な第1接眼筒を設
け、単眼鏡では焦点調整に使用される伸縮可能な上記第
1接眼筒部分を眼幅調整に使用するのが実用的である
が、反射面8と9との間(接眼部のプリズムP1とP2
の間)で行ってもよい。
【0022】光軸にそって伸縮可能な第1接眼筒を設け
ることにより、その部分の伸縮により像に回転を与える
ことなく左右の接眼筒の間隔を変更でき、眼幅の変更が
可能となる。またこれによる焦点位置の移動は最終の接
眼筒でピント調整に加えて補償をする。
【0023】反射面8、9は、直角プリズムを2個用い
て形成するが、平面鏡でもよい。プリズムを使用したと
きは、筒外光路長の短縮と空気・ガラス間界面での散乱
防止を図るため、入射側と射出側のプリズムP1、P2
を所定の捻れ角αをもって接着することもできる。
【0024】また双眼望遠鏡は、広視野低倍率での観測
が主な用途であるため、主鏡のF値が小さいことが多い
のであるが、凹レンズ系の補正レンズでコマ収差を補正
したり像面湾曲を補正することも考えられる。この場合
は、この補正レンズを第一接眼筒内で移動することによ
りピント補償をすることもできる。
【0025】
【作用】接眼部を手前方向に持ってくることと仰角が付
与されることとにより観察者の頭部と主鏡筒との間のク
リアランスが確保される。また天頂付近の観測時にも俯
角が浅くなり、より快適に観測可能となり、例えば口径
40センチでρを45度とすると60度付近までは頸部
の前方移動も必要がなくなり、肢体不自由者でも観測可
能となる。
【0026】ここで特開平8−278452号公報に開
示されている屋根型プリズムを使った場合と筒外の必要
光路長について比較検討する。
【0027】ここではプリズムへの入射光の直径を50
ミリとし、必要とする光路の延長を屋根型プリズムで直
角プリズムと同じ約50ミリとしている。
【0028】48ミリ径の(現在量産されている直角プ
リズムまたは屋根型プリズムの最大のもので、人間の眼
幅を考慮に入れると最も広角が得られる大きさ)システ
ムを考え、ここで例えば50ミリとすると本願発明の接
眼部の場合、直角プリズム2個分で100ミリとなり、
先の50ミリと比較してさらに50ミリの延長を必要と
することになる。しかし、仰角が付与されているため、
主鏡筒と頭部や耳介との干渉が起こらず、プリズムケ−
スを眼幅調整分10ミリを残して鏡筒に接近させること
ができる。仰角が付かないシステムではこの干渉をさけ
るため、最低60ミリ程度あけなければならないことを
考えると、事実上、屋根型プリズムと同条件で使用可能
である。
【0029】屋根型プリズムと結果的に同じ光路長であ
るにも関わらず、光路中はクリアなため広視野、で最良
の像質を確保できる。また、直角プリズムは高精度の物
が量産されており、安価であり製作経費を抑え、安く供
給できる。
【0030】
【発明の実施の形態】次にこの発明の一実施例を示す図
面を参照して、この発明の反射式双眼望遠鏡の具体的実
施形態を説明する。図4は装置全体を示す斜視図、図1
及び図2は、図4のT方向及びF方向から見たときの主
として接眼部の外観を示す図である。また図3は、主鏡
筒の内部構造を模式的に示す説明図である。
【0031】基本的な構成として、反射式双眼望遠鏡
は、図3に示すように、単眼式反射望遠鏡の主鏡筒を2
本平行に並べた構造をしている。左右の主鏡筒1の底部
には、凹面主鏡2が調整ねじ3により反射面の方向を微
少に調整可能にして装着されており、主鏡光軸(凹面主
鏡の光軸)A1の前方に主鏡筒1内に嵌め込まれた支持
枠4で平面斜鏡5が支持されている。
【0032】主鏡筒1の上部周面の観察者側には、左右
のものを接近させて接眼部6が装着されている。この接
眼部6は、2個の直角プリズムP1、P2と接眼レンズ
7とを含んで構成されている。
【0033】主鏡筒1に入射した光は、凹面主鏡2で反
射されて主鏡光軸A1上を戻り、平面斜鏡5で直角に反
射されて主鏡筒1外へ導かれる。この明細書では、平面
斜鏡5で反射された光の光軸を第2光軸A2と言ってい
る。
【0034】第2光軸A2上に反射された光は、接眼部
6内に配置された第1プリズムP1及び第2プリズムP
2の反射面8、9でそれぞれ反射されて、最終射出光軸
A4上に射出され、接眼レンズ7を通って観察者の眼に
入射する。この明細書では、第1プリズムP1と第2プ
リズムP2との間の光軸を第3光軸A3と呼ぶ。
【0035】次に図5ないし図7を参照して、第1プリ
ズムP1と第2プリズムP2の配置態様を説明する。な
お、図5は説明のための図であって、この発明の双眼望
遠鏡におけるプリズムの配置形態とは異なる状態が図示
されている。図5及び図6は、右鏡筒(観察者から見て
左側)を示した図で、(a)はプリズムの配置を正面から
見た図、(b)は内側側面から見た図である。
【0036】図5に示すように、第2光軸A2を左右の
主鏡光軸A1を含む平面Sに対して回転角θ=45度の
方向とし、第1プリズムP1を第3光軸A3が主鏡光軸
A1と直交する面内に射出されるように配置し、第2プ
リズムP2を最終射出光軸A4が主鏡光軸A1と平行に
射出されるように配置すると、正立した実像が得られ
る。
【0037】このとき最終射出光軸A4は、主鏡光軸A
1と平行でかつ左右の主鏡光軸を含む平面Sに近い位置
にあるため、最終射出光軸A4に観察者の眼を合わせる
ときは、観察者は頭部を左右の主鏡筒1の間に差し込ま
ねばならず、第2光軸A2を長くして、左右の主鏡筒1
の間隔を広げなければならない。このため、平面斜鏡5
で反射された後の光路長が長くなる。
【0038】図5に示した状態を回転角θ=45度、プ
リズム間捻れ角α=0度、対斜鏡捻れ角β=0度と定義
する。ここで回転角θは前述した角度、プリズム間捻れ
角αは第3光軸A3回りの第1プリズムP1に対する第
2プリズムP2の捻れ角、対斜鏡捻れ角βは第2光軸A
2回りの斜鏡5に対する第1プリズムP1の捻れ角であ
る。回転角θは第2光軸A2が観察者側へ振れる方向を
正、捻れ角α、βは、いずれも光軸A3、A2を射出側
から見て、右鏡筒では左回りを正、左鏡筒では右回りを
正と定義する。
【0039】この図5の状態から回転角θを増加方向
(第2光軸A2が観察者側を向く方向)に振ると、最終
射出光軸A4上の像は、その倍の角度で傾斜する。そこ
で回転角θを増加させた状態で正立像が得られ、かつ最
終射出光軸A4が子午面(主鏡光軸A1に平行でかつ両
主鏡光軸を含む平面に垂直な面)上にくるように捻れ角
α及びβを調整すると、最終射出光軸A4が子午面上で
仰角ρ(図6(b)参照)を持つようになる。
【0040】図7は回転角θと仰角ρの関係を示した線
図であり、回転角θをわずかに増加させることにより、
仰角ρを大きな範囲で変更可能であることが示されてい
る。
【0041】このようにして最終射出光軸A4の仰角ρ
を適当な値となるように回転角θを決めてやれば、接眼
鏡を覗いたときの観察者の頭が主鏡筒から離れ、従って
左右の主鏡筒1を接近させることができる。このことは
第2光軸A2の長さを短くできることを意味し、平面斜
鏡5を大径化しないで広視野が実現できる。また、仰角
ρを設けることにより、例えば天頂を見るときでも、仰
角ρを40度に設定しておけば観察者は50度下方を向
く方向で観察できることとなり、一般的な天体観測にお
ける主鏡筒の方向に対して、最終射出光軸A4の方向を
観察者が無理のない姿勢で観察できる方向にすることが
可能になる。
【0042】この調整において、回転角θに対応する正
しい捻れ角βを設定するには、左右の第1プリズムP1
の反射面を共通する単一平面内または平行平面内に存在
させることを指標とするとよい。
【0043】なお、主鏡や斜鏡の反射面の微妙な角度位
置関係のずれによる左右の光軸のずれは、主鏡の光軸調
整ねじをリモコンで電動操作可能とし、この電動操作可
能なネジの配置位相を左右の主鏡で90度違えることに
より、観察者が左右の接眼鏡を覗きながら多少の光軸ず
れを、縦と横とで別々に調整して完全な双眼視を確立可
能とすることで、ほぼ解決できる。低倍率の双眼鏡にお
いては、主鏡光軸の5分程度の移動は像の悪化に殆ど影
響がない。
【0044】ここで主鏡の方向を調整するのは、像に悪
影響を及ぼさないよう薄く作られた板を外からの張力で
保持している斜鏡にこれを求めた場合、モ−タ−による
振動を拾いやすく、残振動のため像が安定しないからで
ある。
【0045】この技術は、本願発明者が提案したもの
で、天文ガイド(誠文堂新光社)1996年10月号に
発表済みのものであるが、大型反射双眼鏡の場合、光軸
調整の利便性において特に必要となる技術なので、ここ
で開示した。
【0046】図4は、以上のような構造を備え、40セ
ンチF4.5の主鏡を使用し、2インチの接眼部を使っ
た本願発明に係る反射式双眼望遠鏡の実施例で、経緯台
を使用したものである。天体観察時の姿勢に無理がな
く、肢体不自由者でも仰角60度まで快適に観望可能と
なる。
【0047】
【発明の効果】以上の本願発明により、従来の鏡像しか
得られないものや屋根型プリズムを使用して正立像を得
る構造のものと同じ筒外光路長で正立像が得られる。従
って、ダハの稜線による像の悪化が回避でき、広視野で
最良の像質が確保できる。また、接眼部が主鏡筒の観察
者側に設定され、接眼部に仰角がついていることと相ま
って大口径でも快適に観測可能で、、例えば接眼部仰角
ρを45度付近に設定した場合、主鏡仰角20度から9
0度まで快適に観測でき、60度付近まで肢体不自由者
でも容易に観望可能となる。
【0048】更にこの出願の発明により、大口径の双眼
望遠鏡が安価に製作、供給可能となり、人々の天文や宇
宙への関心がよりいっそう広められ、ひいてはその宇宙
の一員である地球を省みる機会を与える一助となること
が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の主として接眼部を示す正面図
【図2】実施例の主として接眼部を示す底面図
【図3】反射式双眼望遠鏡の主鏡筒内の光学系を示す説
明図
【図4】実施例の斜視図
【図5】接眼部の光学系の説明図
【図6】実施例の接眼部の光学系を示す説明図
【図7】接眼部の光学要素の配置角度相互の関係を示す
線図
【符号の説明】
2 凹面主鏡 5 平面斜鏡 6 接眼部 8,9 反射面 A4 最終射出光軸 P1 第1プリズム P2 第2プリズム S 平面 α,β 捻れ角 ρ 仰角

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右一対の凹面主鏡(2)と、両凹面主鏡
    の反射光を互いに接近する方向に反射させる左右一対の
    平面斜鏡(5)と、両平面斜鏡の反射光を子午面上の互い
    に平行な最終射出光束として射出する反射平面を含む接
    眼部(6)とを備えた反射式双眼望遠鏡において、前記反
    射平面は左右各2個の反射面(8,9)からなり、この2個
    の反射面を各々の反射面に入射する光の光軸回りに捻れ
    角(β,α)を付与して配置することにより、最終射出光
    軸(A4)に左右の主鏡光軸を含む平面(S)から離れる方向
    の仰角(ρ)を付与した、反射式双眼望遠鏡。
  2. 【請求項2】 左右各2個の反射面が左右各2個の直角
    プリズム(P1,P2)により形成され、平面斜鏡(5)と平面斜
    鏡側のプリズム(P1)との間の光路長を変更することによ
    り眼幅調整を行うことを特徴とする、請求項1記載の反
    射式双眼望遠鏡。
JP25316799A 1999-09-07 1999-09-07 反射式双眼望遠鏡 Pending JP2001075015A (ja)

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