JP2001059831A - Hclガスセンサ - Google Patents

Hclガスセンサ

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JP2001059831A
JP2001059831A JP11236125A JP23612599A JP2001059831A JP 2001059831 A JP2001059831 A JP 2001059831A JP 11236125 A JP11236125 A JP 11236125A JP 23612599 A JP23612599 A JP 23612599A JP 2001059831 A JP2001059831 A JP 2001059831A
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electrode
gas
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hcl
sensor
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Isao Katadokoro
功 片所
Hirohisa Abe
浩久 阿部
Hiroki Kuyama
浩樹 九山
Hiroaki Nakanishi
博昭 中西
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Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス拡散膜の同一平面上に、作用極、対極、
参照極の電極が形成されたセンサにおいて、安定した出
力が得られるHCLガスセンサを提供する。 【解決手段】 ガス拡散膜3上に、AuまたはAu含有
Ptからなる作用極Wと、Ptからなる参照極Rと、P
tからなる対極Cとを形成し、作用極Wと対極Cの電極
間距離を1mm以上に離す。そして、使用前に作用極W
を一回アノード電解処理をし、50〜500mVの電圧
を印加して、硫酸水溶液(1M〜8M)の電解液で使用
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス中のHCl成
分の濃度を測定する定電位電解式のHCLガスセンサに
係わり、特に、電解液側のガス透過性隔膜面上のセンサ
電極に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴミ燃焼ガス中のHCl定量分析や、樹
脂の熱分解ガス中のHCl定量による塩化ビニール判別
等、作業環境の安全確保のためにHClガスを分析する
計測器として、定電位電解式HCLガスセンサが使われ
ている。この定電位電解式ガスセンサは、電解液と被検
ガスとの接触面にガス透過性の隔膜が設けられ、その隔
膜の電解液側に作用極が形成され、作用極に対し電解液
を介して対極と参照極が配置され、参照極の電位を基準
として、これに対する作用極の電位が一定に保たれ、対
極と作用極間の電流により被検ガス中の特定成分濃度が
検出されるものである。特に、測定ガスが隔膜を透過し
て作用極に至るガス拡散が反応系の律速段階になる場
合、この電流値は成分濃度に比例する。定電位電解式ガ
スセンサの特徴として、ガス濃度に対して出力電流が比
例し、特定のガスにしか応答しない選択性を持ち、応答
速度が速いなどの点を挙げることができる。
【0003】図14に定電位電解式HCLガスセンサの
部品展開をした構造を示す。絶縁性材料で形成された筒
状のカバー1は、その底部に開口を持ち、その開口が金
網1aで閉じられている。カバー1の内側底部の外周部
には絶縁性材料からなるパッキン2が配置されている。
カバー1内にはパッキン2上に、ガス拡散膜(ガス透過
性隔膜)20上に電極が形成されて配置されている。ガ
ス拡散膜20は、例えば、孔径が0.05〜3μmで厚
みが70μmの疎水性多孔質PTFE(ポリテトラフル
オロエチレン)である。ガス拡散膜20のパッキン2と
は反対側の面には、Au膜、およびさらにその上のPt
膜からなる金属薄膜が形成されており、その金属薄膜
は、3つの領域に分割されて、互いに絶縁されている。
この図14では、一番面積の広い中央部を作用極Wと
し、残りの2つを対極C、参照極Rとする。電極W、
C、Rの金属薄膜としては、Pt、Au、Ag等の単層
膜を使用することができる。ガス拡散膜20の各電極の
上に厚さが0.68mmのガラス繊維ろ紙からなるシー
ト(電解液保持シート部材)4が設置されており、シー
ト4には電解液として例えば6M硫酸が200μリット
ル含まれている。シート4の外周部には、作用極W、対
極C及び参照極Rに対応する位置に、リード配線を通す
ための窪みがそれぞれ形成されている。パッキン2、ガ
ス拡散膜20、およびシート4をカバー1の底部に押さ
えつけて固定するパイプ組立品5が備えられている。シ
ート4の電極に対応する窪み位置には例えばPt線から
なるリード線5w、5c、5rが設置されており、パイ
プ組立品5の側壁の底部と電極との間にはさみ込まれ
て、各極と電気的に接続されている。パイプ組立品5の
内部にはシート4のずれを防止するために、例えば、ポ
リエチレンなどの疎水性スポンジからなるブッシング9
が挿入されている。パイプ組立品5の上部開口部は、貫
通穴からなる圧力調節孔6aをもち絶縁性材料から形成
されたボス6により閉じられている。圧力調節孔6aか
らの液漏れを防止するために、ブッシング9とボス6と
の間には、液漏れ防止用にガス拡散膜20と同様のガス
拡散膜3aが配置されており、パイプ組立品5とボス6
にはさみ込まれて固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のHCLガスセン
サは以上のように構成されているが、ガス拡散膜20の
同一平面上に作用極W、対極C、参照極Rを形成した同
一平面型電極の場合、従来は作用極W、対極C、参照極
Rとも同じ素材の電極を用いていた。Au(またはAu
含有Pt)を作用極WとするHCLセンサでは、Pt電
極に比べS/Nが良く、選択性もよいが、Au、Au含
有Ptを参照極Rとして使用した場合、対象となるHC
lガスによる参照極電位の負へのシフトがあり、指示の
不安定さの原因となっていた。その安定性の改良のため
溶液中に塩化金酸を追加する必要があった。また、Pt
を参照極Rとして使用しても、作用極Wの電極中のAu
とHClの反応による塩化金酸溶出のため反応の進行に
より、参照極電位が正へのシフトがあり、出力が増大す
る傾向があった。また、対極Cで析出するAuが、作用
極Wまで成長し、対極C・作用極W間がショートすると
いう問題があった。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、ガス拡散膜20の同一平面上に、作用極
W、対極C、参照極Rの電極が形成されたセンサにおい
て、安定した出力が得られるHCLガスセンサを提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明のHCLガスセンサは、電解液と被検ガスとの
接触面にガス透過性隔膜が設けられ、前記ガス透過性隔
膜より電解液側に作用極、対極及び参照極が配置され、
作用極の電位が一定に保たれ、対極と作用極間の電流に
より被検ガス中の特定成分の濃度が検出される定電位電
解式ガスセンサにおいて、前記ガス透過性隔膜の電解液
側の面上に電極の材料として作用極にAuまたはAu含
有Pt、対極にPtまたはAuまたはカーボンSUS等
の金属、参照極にPtを用いて互いに電気的に絶縁され
て形成された電極を備えるものである。また、前記作用
極が使用前にHClガス100ppm以上の雰囲気中ま
たはマイナス塩素イオン100mM以上の電解液中で
0.02から0.6クーロンでアノード電解処理される
ものである。また、前記作用極に印加される電圧が50
mVから500mVの間であるものである。また、前記
作用極と対極間の電極間距離が1mm以上離れているも
のである。
【0007】本発明のHCLガスセンサは上記のように
構成されており、電極の材料として作用極にAuまたは
Au含有Ptを使用した場合、センサの反応条件でAu
から塩化金酸が生成し、電解液中に溶出する。しかし、
センサーを使用する前に、作用極が事前にアノード電解
処理されるので、電解液中に塩化金酸が蓄積し、それに
より参照電極の電位が安定する。さらに、参照電極の材
料としてはPtがHCl濃度の影響を受けにくいため、
出力がより安定する。この状態で作用極に印加される電
圧が、50mVから500mVとすることで出力は安定
する。さらに、作用極と対極間の電極間距離が、1mm
以上離れているので、電極間ショートを防止することが
できる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のHCLガスセンサの一実
施例を図1を参照しながら説明する。図1の(a)はセ
ンサ部分の一部を断面として示す正面図、(b)は上面
図、(c)は電解液保持(シート4)部分及びガス透過
性隔膜(ガス拡散膜3)部分の拡大断面図を示す。図1
の本HCLセンサは、従来の図14に示すHCLセンサ
と構造は同じで、その大きさは、直径が約21mm、高
さが約16mmであるが、ガス拡散膜3上の電極材料、
事前の電極処理、印加電圧の範囲、電極間距離が異な
る。図2に本HCLガスセンサの部品展開をした斜視図
を示す。絶縁性材料で形成された筒状のカバー1は、そ
の底部に開口を持ち、その開口が金網1aで閉じられて
いる。カバー1の内側底部の外周部には絶縁性材料から
なるパッキン2が配置されている。カバー1内にはパッ
キン2上に、ガス拡散膜(ガス透過性隔膜)3がその上
に電極が形成されて配置されている。ガス拡散膜3は、
例えば、孔径が0.05〜3μmで厚みが70μmの疎
水性多孔質PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で
ある。ガス拡散膜3のパッキン2とは反対側の面には金
属薄膜が形成されており、その金属薄膜は、3つの領域
に分割されて互いに絶縁されている。図2では、一番面
積の広い中央部を作用極Wとし、残りの2つを対極C、
参照極Rとしている。
【0009】図3にガス拡散膜3上の電極の仕様を示
す。電解液として硫酸水溶液(1M〜8M)を使用し、
電極材料として作用極WにAuまたはAu含有Pt、参
照極RにPt、対極CにPt、Au、Cなどを使用する
(後ほど、図8、図9で説明する)。作用極Wは、図1
に示すように組み立て時に、または、シート4に電解液
として、100ppm以上のHClガスにセンサを暴露
する。電解液中Clイオン100mM以上の200μ
リットル程度を含ませて、図6に示す定電位電解装置又
は電位規制装置(ポテンショスタット)の回路を用い、
作用極Wと参照極R間に一定の直流電圧を、加電圧部2
3により印加し、記録計18の回路に電量計(クーロメ
ータ)又は電流計と時計とを備えて、作用極Wと対極C
間に0.02〜0.6クーロンの電量を流し、アノード
電解処理が施される。この作業は組み立て後、最初一回
行うことでよい。そして、動作時の作用極Wと参照極R
の印加電圧は、直流50〜500mVとする。その動作
範囲での最適電圧は150〜450mVである。(後ほ
ど、図12で説明する。) また、作用極Wと対極C間は、対極Cで析出するAuが
作用極Wの方向に成長するため、電極ショートを防止す
るために、図3に示すように、1mm以上間隔をあけて
形成されている。
【0010】そして、ガス拡散膜3の各電極の上に厚さ
が0.68mmのガラス繊維ろ紙からなるシート(電解
液保持シート部材)4が設置され、シート4には電解液
として前記の硫酸水溶液(1M〜8M程度)が200μ
リットル含まれている。シート4の外周部には、作用極
W、対極C、参照極R用のリード線5w、5c、5rに
対応する位置に、リード配線を通すための窪みがそれぞ
れ形成されている。パッキン2、ガス拡散膜3、および
シート4をカバー1の底部に押さえつけて固定するパイ
プ組立品5が備えられている。シート4の電極に対応す
る窪み位置には例えばPt線からなるリード線5w、5
c、5rが設置されており、パイプ組立品5の側壁の底
部と電極との間にはさみ込まれて、各極と電気的に接続
されている。パイプ組立品5の内部にはシート4のずれ
を防止するために、例えばポリエチレンなどの疎水性ス
ポンジからなるブッシング9が挿入されている。パイプ
組立品5の上部開口部は、貫通穴からなる圧力調節孔6
aをもち絶縁性材料から形成されたボス6により閉じら
れている。圧力調節孔6aからの液漏れを防止するため
に、ブッシング9とボス6との間には、液漏れ防止用に
ガス拡散膜20と同様のガス拡散膜3aが配置されてお
り、パイプ組立品5とボス6にはさみ込まれて固定され
ている。
【0011】次に、本HCLガスセンサを動作させる電
気回路(ポテンショスタット17)について、図4を参
照しながら説明する。電解分析法として、定電流電解法
と定電位電解法があり、ここでの本センサは定電位電解
法を用いたもので、加電圧部23の直流電圧が抵抗Rと
差動増幅器22を介して、作用極Wと参照極Rとの間に
一定の電圧が印加されている。その電圧値は抵抗Rで調
整され、目的とする物質が電解生成される作用極Wの電
位を、電解中常に一定に保つことができる最適電圧に設
定される。そして記録計18に電量計(クーロメータ)
又は電流計を用いて、電気分解によって作用極Wで反応
した物質の定量は、作用極Wと対極Cとの間に流れる電
荷量、または、電流を電流検出増幅器24を介して測定
することによって行われる。
【0012】次に、センサの評価について説明する。図
5に、本HCLガスセンサを試験するのに使用した、セ
ンサ繰り返し試験システムを示す。まず、上記電極仕様
のHCLガスセンサの圧力調整孔6aの下部に使われて
いるガス拡散膜3aを取り除き、図6に示すようにホル
ダ21にセットする。ホルダ21はシリコンゴム製のホ
ルダーで作られており、下部にテストガスを導入、排出
するパイプが設けられている。そして、ホルダー21に
セットされたHCLガスセンサー15を判別器25の試
験台にセットする。そして、加湿ビン12に圧縮空気
(0.4kg/cm、59秒)を送り、加湿ビン12
内の6M硫酸溶液を、5段分割器11、電磁弁13、1
3bを経由して、HCLガスセンサ15の圧力調整孔6
aから内部に送り込む。そして、ポテンショスタット1
7で電極にセンサ設定電圧として、直流350mVを印
加する。次に、標準ガスHCl(0.5kg/cm
1秒)を、5段分割器10、電磁弁13、13cを経由
してホルダー21の下部に設けられたガス導入管からセ
ンサ15に送りこむ。操作の制御はコントローラ14で
行い、データを記録計18で記録する。そしてHCl試
験液はポンプ16で引かれ排気用洗浄ビン19に貯めら
れる。図7に、本HCLガスセンサを、図5に示すくり
返し試験システムを用いて、測定した結果を示す。ポテ
ンショスタット17で作用極Wと参照極R間の電位を3
50mVに設定して、試験ガスとして、HClの110
ppmガスを用い、圧縮空気(ボンベ)0.5kg/c
圧で、5段分割器10、電磁弁13、13cを経由
して、センサ15のホルダ21のガス導入管に、HCl
を導入し、7秒後の出力(作用極Wと対極C間を流れる
電流値)を、室温にて記録計18でプロットした結果を
示す。図7に示すように、くり返し試験回数を8000
回以上行い、その出力(電流値)は、35〜55μAの
安定した出力が得られた。
【0013】次に電極材料の試験結果を説明する。図8
に、HCl濃度と電位(参照極Rと作用極W間の電位)
の関係を示す。また、図9に、塩化金酸濃度と電位(参
照極Rと作用極W間の電位)の関係を示す。ここでは参
照極RにAu含有Pt(Pt/Au)、Au、Ptの3
種類の電極を用いた場合について試験した。黒丸印を結
んだ曲線は、PTFE膜上に1000Åの厚みを有する
Auをスパッタリングし、その上に1000Åの厚みの
Ptをスパッタリングした電極Pt/Auを示す。白丸
印を結んだ曲線は、PTFE膜上に1000Åの厚みを
有するAuのみをスパッタリングした電極Auを示す。
三角印を結んだ曲線は、PTFE膜上に1000Åの厚
みを有するPtのみをスパッタリングした電極Ptを示
す。縦軸は、塩化カリウムの飽和水溶液中のAg/Ag
Clに対する電位をmVで示す。図8において、黒丸印
を結んだ曲線(Pt/Au)では、電位が、初期に57
0mVぐらいから急激に低下して470mV程度までに
下がり、それからHCl濃度が濃くなっても、ほとんど
一定である。また、白丸印を結んだ曲線(Au)では、
初期値560mVから緩やかに低下し、それからHCl
濃度が濃くなっても、ほとんど470mVで一定であ
る。これに比べて、三角印を結んだ曲線(Pt)では、
初期値690mVから非常になだらかに僅かしか低下せ
ず、HCL濃度が濃くなっても660mVにとどまり、
電位変動が少なく一定である。また、図9において、黒
丸印を結んだ曲線(Pt/Au)と白丸印を結んだ曲線
(Au)では、電位の初期値550mVから、塩化金酸
濃度の増加に応じて急激に上昇し、その後は850mV
で一定になる。これに比べて、三角印を結んだ曲線(P
t)では、電位が初期値680mVから緩やかに上昇
し、780mV程度でその電位変動が少なく一定とな
る。上記の結果から、参照極RにAu含有Pt(電極P
t/Au)または電極Auを使用した場合、HCl、塩
化金酸による電位変動が大きいが、Ptを使用すると小
さくなることが分かる。このことから参照極Rの電極材
料はPtが良いことが分かる。
【0014】次に、アノード電解処理をした場合と、し
ない場合の初期感度について説明する。ここで言う初期
感度とは、長期的な連続くり返し試験時にセンサの感度
が変化していく可能性があるため、図5のセンサ繰り返
し試験システムを用いて、HClガスのショット回数が
50回程度までの感度の変化を調べたものである。図1
0にアノード電解処理をしないHCLガスセンサの初期
感度を示す(作用極WにAu電極、参照極RにPt電極
使用)。図11にアノード電解処理を施したHCLガス
センサの初期感度を示す(作用極WにAu電極、参照極
RにPt電極、塩化金酸濃度1mM)。図10に示すよ
うに、アノード電解処理を施さないHCLガスセンサの
初期感度は、最初の20回までのHClショットでは感
度に変化はないが、それ以上になると、徐々に増加して
大幅に上昇する傾向がある。これは反応の進行により、
電解液内に生成物の塩化金酸が蓄積し、参照極Rの電位
が変化するためである。それに比べて、HCl存在下で
事前にアノード電解処理したHCLガスセンサは、図1
1に示すように、最初の数回のHClショットである感
度に達し、それからは一定の感度を示し、安定した状態
になる。この結果から分かるように、HCLガスセンサ
の作用極Wを最初に1回アノード電解処理をすれば、安
定して使用することができる。
【0015】次に、センサ出力が、作用極Wと参照極R
間の電位に対して、どのような依存性があるか図12を
参照しながら説明する。測定回路は、図4に示す定電位
電解装置又は電位規制装置(ポテンショスタット17)
の回路を用いて行った。図12は、作用極Wと参照極R
間の電位を0〜500mVまで変化させ横軸にとり、セ
ンサ出力電流値を縦軸にプロットした図を示す。白丸印
を結んだ曲線は、参照極RがPtで、硫酸溶液中の塩化
金酸濃度が1mMの場合を示す。黒丸印を結んだ曲線
は、同じく参照極RがPtで、硫酸溶液中の塩化金酸濃
度が10mMの場合を示す。これによると、白丸印を結
んだ曲線(塩化金酸濃度1mM)は、作用極Wと参照極
R間の電位が、50mV〜500mVでその出力電流値
は250から600μAであり、黒丸印を結んだ曲線
(塩化金酸濃度1mM)は、50mV〜500mVでそ
の出力電流値は150から500μAである。そして、
アノード電解処理条件による塩化金酸濃度が高いと、出
力電流値は低い値となるが、電位の依存性は同じ傾向で
ある。この両特性から作用極Wと参照極R間の電位が、
50mV〜500mV、好ましくは150mV〜450
mVの設定で安定した出力が得られることが確認でき
た。
【0016】実施例では作用極Wを中央にして縦に配置
した電極で説明したが、これに限定することはなく、図
13に示すような各種電極パターンの配置(a)、
(b)、(c)でも同様の効果がある。
【0017】
【発明の効果】本発明のHCLガスセンサは上記のよう
に構成されており、電極の材料として参照極にPt、作
用極にAuまたはAu含有Ptを使用し、センサーを組
み立て後、一回作用極がアノード電解処理されるので、
参照極の電位が安定する。さらに、参照極にPtを用い
ているので、HCl濃度の影響を受けにくい。このため
出力がより安定する。そして、作用極と参照極との間に
印加する電圧を直流の50〜500mV、好ましくは1
50〜450mVに設定することで、安定した出力が得
られる。さらに、作用極と対極間を、1mm以上間隔を
あけて電極形成がされているので、対極で析出するAu
が作用極の方向に成長しても、電極のショートが生じな
い。さらに、小型で構成部品が少なく、出力の安定した
HCLセンサを製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のHCLガスセンサの一実施例を示す
図である。
【図2】 本発明のHCLガスセンサの部品展開を示す
図である。
【図3】 本発明のHCLガスセンサの電極膜を示す図
である。
【図4】 本発明のHCLガスセンサを機能させるため
の電気回路を示す図である。
【図5】 本発明のHCLガスセンサをテストするため
のくり返し試験システムを示す図である。
【図6】 本発明のHCLガスセンサをテスト用のホル
ダーにセットした状態を示す図である。
【図7】 本発明のHCLガスセンサのくり返し試験の
結果を示す図である。
【図8】 本発明のHCLガスセンサのHCL濃度と電
位の関係を示す図である。
【図9】 本発明のHCLガスセンサの塩化金酸濃度と
電位の関係を示す図である。
【図10】本発明のHCLガスセンサのアノード電解前
の初期感度を示す図である。
【図11】本発明のHCLガスセンサのアノード電解後
の初期感度を示す図である。
【図12】本発明のHCLガスセンサ出力の電位特性を
示す図である。
【図13】本発明のHCLガスセンサの電極パターンを
示す図である。
【図14】従来のHCLガスセンサの部品展開をした構
造を示す図である。
【符号の説明】
1…カバー 1a…金網 2…パッキン 3…電極膜 3a…ガス拡散膜 4…シート 5…パイプ組立品 5c…リード線 5r…リード線 5w…リード線 6…ボス 6a…圧力調節孔 9…ブッシング 10…5段分割器 11…5段分割器 12…加湿ビン 13…電磁弁 14…コントロー
ラ 15…センサ 16…ポンプ 17…ポテンショスタット 18…記録計 19…排気用洗浄ビン 20…ガス拡散膜 21…ホルダー 22…差動増幅器 23…加電圧部 24…電流検出増
幅部 25…判別器 W…作用極 R…参照極 C…対極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 九山 浩樹 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所内 (72)発明者 中西 博昭 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解液と被検ガスとの接触面にガス透過性
    隔膜が設けられ、前記ガス透過性隔膜より電解液側に作
    用極、対極及び参照極が配置され、作用極の電位が一定
    に保たれ、対極と作用極間の電流により被検ガス中の特
    定成分の濃度が検出される定電位電解式ガスセンサにお
    いて、前記ガス透過性隔膜の電解液側の面上に電極の材
    料として作用極にAuまたはAu含有Pt、対極にPt
    またはAuまたはカーボンSUSなどの金属、参照極に
    Ptを用いて互いに電気的に絶縁されて形成された電極
    を備えたことを特徴とするHCLガスセンサ。
  2. 【請求項2】電解液と被検ガスとの接触面にガス透過性
    隔膜が設けられ、前記ガス透過性隔膜より電解液側に作
    用極、対極及び参照極が配置され、作用極の電位が一定
    に保たれ、対極と作用極間の電流により被検ガス中の特
    定成分の濃度が検出される定電位電解式ガスセンサにお
    いて、前記作用極が使用前にHClガス100ppm以
    上の雰囲気中またはマイナス塩素イオン100mM以上
    の電解液中で0.02から0.6クーロンでアノード電
    解処理されることを特徴とするHCLガスセンサ。
  3. 【請求項3】電解液と被検ガスとの接触面にガス透過性
    隔膜が設けられ、前記ガス透過性隔膜より電解液側に作
    用極、対極及び参照極が配置され、作用極の電位が一定
    に保たれ、対極と作用極間の電流により被検ガス中の特
    定成分の濃度が検出される定電位電解式ガスセンサにお
    いて、前記作用極に印加される電圧が50mVから50
    0mVの間であることを特徴とするHCLガスセンサ。
  4. 【請求項4】電解液と被検ガスとの接触面にガス透過性
    隔膜が設けられ、前記ガス透過性隔膜より電解液側に作
    用極、対極及び参照極が配置され、作用極の電位が一定
    に保たれ、対極と作用極間の電流により被検ガス中の特
    定成分の濃度が検出される定電位電解式ガスセンサにお
    いて、前記作用極と対極間の電極間距離が1mm以上離
    れていることを特徴とするHCLガスセンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101729937B1 (ko) 2016-03-04 2017-05-04 에프에스엠테크(주) 반도체식 염화수소 가스 센서 및 이의 제조방법.

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KR101729937B1 (ko) 2016-03-04 2017-05-04 에프에스엠테크(주) 반도체식 염화수소 가스 센서 및 이의 제조방법.

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