JP2001042088A

JP2001042088A - 放射線遮へい方法

Info

Publication number: JP2001042088A
Application number: JP11217003A
Authority: JP
Inventors: Ai Sekine; 乃関根; Kenichi Kano; 賢一鹿野; Masayoshi Ikawa; 正佳伊川; Masataka Kawaguchi; 昌孝川口
Original assignee: Tokyo Electric Power Co Inc; Nichias Corp
Current assignee: Nichias Corp; Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Priority date: 1999-07-30
Filing date: 1999-07-30
Publication date: 2001-02-16

Abstract

(57)【要約】【課題】人力で重い遮へい材を取り付け取り外しす
る必要がなく、仮設遮へい設置にかかる労力および線量
当量の低減、作業安全性の向上が図れる放射線遮へい方
法を提供する。【解決手段】保温層２ａ、遮へい層２ｂを有する遮
へい材充填式金属保温容器２を放射線源となる配管１を
囲むように設置し、メンテナンス開始前に遮へい材充填
口１０から圧送ホース８を経て遮へい材を遮へい層２ｂ
内に充填し、メンテナンス終了後に回収口１１から吸引
ホース１４を経て遮へい材を吸引して取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原子力プラントに
敷設した配管等の放射線源を、保温と遮へいを一体構造
とすることにより、作業空間を狭めることなく効果的に
放射線遮へいする方法および遮へい材充填式金属容器お
よびそれに用いる充填回収装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】メンテナンス開始前に、その都度、必要
な箇所に仮設遮へいを実施するのが一般的であるが、人
が、１枚約１５ｋｇの重い鉛マットを配管等に直接巻き
付けたり、鉛マット吊り下げ用支持構造物を設置して鉛
マットを吊り下げているために多大な労力を要する。ま
た、鉛マットは１枚で遮へいできる範囲が狭く、所定の
範囲を遮へいするには相当の枚数を取り付ける必要があ
り、高線量当量率環境下であるため受ける線量当量も大
きい。さらに、配管エルボ部等の複雑な形状に対して
や、高所、狭あいな場所においては完全な取り付けが困
難であり、危険性も伴う。

【０００３】また、原子力プラントのドライウエル内の
様な狭あいな場所では仮設遮へい材を所定の場所まで搬
入、搬出するにも多くの労力を要し、受ける線量当量も
多くなる。

【０００４】配管等に接して鉛入り金属保温を設置する
ことがあるが、配管等に掛かる重量が通常の金属保温の
５倍以上になり耐震設計条件が厳しくなる。また、機器
供用期間中検査工事等により保温を取り外し取り付けす
る場合、通常の金属保温容器より多くの労力を要し、受
ける線量当量が多くなるという問題もある。

【０００５】ステンレス板または鋼板でコーティングし
た鉛板等を支持構造物で床等から支持して設置する恒久
遮へいもあるが、耐震設計上、頑丈な構造にする必要が
あり、遮へい設置により作業場所が狭あいになり、作業
効率が下がるという問題がある。

【０００６】対策として、放射線源を囲む仮設中空壁を
仮設し、その内部に合成樹脂でコーティングされた鉛粒
を移送ポンプにより供給して充填し、また回収する構成
の装置が提案されたが、この装置は、中空壁を圧力容器
として製作しなければならないため高価となり、また、
仮設中空壁を支持する支持構造物の設置が必要なため狭
あいな場所には困難が伴う（特開昭５８−１５８５９６
号）。

【０００７】また別の対策として、吸引ホース、吸引
室、仕切板、分散管等が取り付けられた遮へい箱にブロ
ア等の負圧発生手段により、遮へい材貯槽に貯蔵された
鉛粒を導入、回収する構成の装置もあるが、この遮へい
箱は、負圧により凹む恐れがあり形状を維持するために
頑丈な密閉容器として製作しなければならない。また、
構造が複雑になり放射線源に沿った形状に製作するには
困難が多い。

【０００８】さらに、遮へい箱が遮へい材貯槽より高い
位置にある場合には大きなパワーが必要となり大型装置
にする必要がある（特公平６−１０３３５８号）。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の様な
技術の現状を解決するためになされたものであり、仮設
遮へいを人力以外の力で、より効果的に実施し、労力の
軽減、作業安全の確保、受ける線量当量の低減を図ると
共に、恒設遮へいが持つ問題も解決することを目的とし
ている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】金属保温の断熱性能を向
上させることにより、外形寸法は従来と同様で、内部は
内側が従来より薄い保温層、外側が中空で側面から空気
が均一に流出可能な構造の遮へい層より構成され、遮へ
い層外表面には充填ノズル脱着時に遮へい材が漏出しな
い構造の充填口、および回収ノズル脱着時に遮へい材が
漏出しない構造の回収口が取り付けられており、また、
遮へい層外表面に遮へい材充填状況を目視確認できる穴
およびスリットがあり、さらに金属保温容器相互をワン
タッチで分割および連結可能な強固なバックルが取り付
けられている遮へい材充填式金属保温容器を、配管等の
放射線源に接して恒設しておき、メンテナンス開始前
に、低線量当量率エリヤに充填回収装置を移動、設置し
て、圧送ホース先端の充填ノズルを前記金属保温容器の
充填口に連結し、圧送タンクから球状遮へい材を重力落
下させ、Ｔ字管内で圧送空気流に乗せホース内を移送
し、前記金属保温容器に充填ノズルの放出口から容器外
周に沿って水平２方向に放出、重力落下させ充填する。
このとき圧送空気流は前記金属保温容器側面から流出す
る。

【００１１】また、メンテナンス終了後には、回収ホー
ス先端の回収ノズルを前記金属保温容器の回収口に連結
し、球状遮へい材を遮へい材充填式金属保温容器内傾斜
板に沿って回収口から重力落下させ、Ｔ字管で吸引空気
流に乗せホース内を移送し、回収タンクに吸引する。

【００１２】

【作用】上記の手段により、人力で重い遮へい材を取り
付け、取り外しする必要が無くなるため、少ない労力で
仮設遮へいできる様になり、作業者の受ける線量当量を
低減することができる。

【００１３】また、放射線源となっている配管等に、保
温材と一体化して直接設置するため、作業空間が狭あい
にならず作業効率が下がるという問題もない。また、放
射線源全体が均等に覆われるため、むらの無い効果的な
遮へいが可能となる。

【００１４】さらに、狭あいな場所、高所における放射
線源に対しても、遮へい材を人力で運搬すること無く容
易かつ安全に遮へいが可能となる。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態とし
ては、図１に示す様に放射線源となっている配管１に接
して、これを囲む様に、内側が保温層２ａ、外側が中空
の遮へい層２ｂより構成される複数の遮へい材充填式金
属保温容器２をバックル２１で連結して設置し、前記容
器２の遮へい層２ｂに遮へい材の充填口１０および回収
口１１を設け、メンテナンス開始前に前記充填口１０に
圧送ホース８を連結し、遮へい材を遮へい層２ｂ内に充
填させて放射線遮へいを行い、メンテナンス終了後に
は、吸引ホース１４を回収口１１に連結し、充填されて
いた遮へい材を吸引して取り出す。

【００１６】

【実施例】以下本発明の実施例を添付図面に従って説明
する。図１に代表例の構成を、図２から図６に各部の詳
細を示す。あらかじめ、放射線源となっている配管１に
接して、これを囲む様に、内側が保温層２ａ、外側が中
空の遮へい層２ｂより構成される複数の遮へい材充填式
金属保温容器２をバックル２１により連結して設置す
る。

【００１７】メンテナンス開始前に低線量当量率エリヤ
に、台車部１７を装備して人力で移動可能な充填回収装
置３を移動、設置し、球状遮へい材４を圧送タンク５へ
投入する。この後、遮へいが必要な箇所の遮へい材充填
式金属保温容器２の充填口１０のキャップ１０ａを外し
開閉板１０ｂを１８０度回転させて充填口１０を開放す
る。

【００１８】次に、充填ノズル９を充填口１０に連結し
て放出管９ａを押し出す事により放出口９ｂを開放す
る。また、完了センサー１９をセンサー口２０と連結す
る。

【００１９】次に、バルブＶ１を開放してコンプレッサ
ー６により発生した圧送空気をＴ字管７へ送り込む。次
に圧送タンク５下部のバルブＶ２を開放し圧送タンク５
内に保管されている球状遮へい材４を下部のＴ字管７へ
重力落下させる。重力落下した球状遮へい材４は圧送ホ
ース８内を空気流に乗って移送され放出口９ｂより遮へ
い層２ｂ内へ水平２方向に分かれて充填される。このと
き球状遮へい材４とともに放出された空気流はステンレ
スメッシュ板２２から遮へい材充填式金属保温容器２外
部へ流出する。

【００２０】また、球状遮へい材４の充填状況はスリッ
ト２３および穴２４により目視確認することができる。
充填が完了すると完了センサー１９が完了信号を発して
信号ケーブル１８を経由してバルブＶ１が閉止する。次
に、放出管９ａを引き戻す事により放出口９ｂを閉止
し、開閉板１０ｂを１８０度回転させて充填口１０を閉
止して、充填ノズル９および完了センサー１９を切り離
す。以上を繰り返して必要な範囲の遮へい材充填式金属
保温容器２への球状遮へい材４の充填を順次実施する。

【００２１】遮へい材充填式金属保温容器２から遮へい
材を回収する場合は、まず、回収口１１のキャップ１１
ａを外し回収ノズル１２を回収口１１に連結する。

【００２２】次に、開閉板１１ｂを１８０度回転させて
回収口１１を開放する。この時球状遮へい材４は回収口
１１の下部のバルブＶ３まで排出され止まる。

【００２３】次に、バキューム１５によりＴ字管１３の
開放端から空気を吸引し、その後、バルブＶ３を開放し
て球状遮へい材４を下部のＴ字管１３へ重力落下させ
る。このとき遮へい層２ｂ内の球状遮へい材４は傾斜板
２５に沿って下り落ちる。

【００２４】Ｔ字管１３に落下した球状遮へい材４は吸
引ホース１４内の空気流に乗って移送され回収タンク１
６に回収される。回収が完了すると、バルブＶ３を閉止
し、開閉板１１ｂを１８０度回転させて回収口１１を閉
止し、回収ノズル１２を切り離す。以上を繰り返して必
要な範囲の遮へい材充填式金属保温容器２から球状遮へ
い材４の回収を順次実施し、回収完了後、充填回収装置
を移動し保管する。

【００２５】第２の実施例として、代表例における遮へ
い材充填式金属保温容器２の保温層２ａの無い遮へい材
充填式容器２７を、図７に示す様に、鉛マット吊り下げ
用に恒設されている支持構造物２６を利用して吊り下げ
た後に、代表例と同様の構成で球状遮へい材４を充填、
回収する実施例がある。

【００２６】第３の実施例として、図８に示す様に、台
車部２８と分割および連結可能な衝立状の遮へい材充填
式容器２７を放射線源を囲む様に移動、設置して、代表
例と同様の構成で球状遮へい材４を充填、回収する実施
例もある。

【００２７】

【発明の効果】本発明の遮へい方法により、人力で重い
遮へい材を取り付け取り外しする必要がなくなるため、
仮設遮へい設置にかかる労力および線量当量の低減、作
業安全性の向上が図れる。

【００２８】また保温材と一体構造の遮へい方法である
ため、作業空間を狭める事なく遮へい可能である。

【００２９】本発明の遮へい方法を原子力プラント内配
管等に対して広範囲に実施すれば、環境線量当量率が低
下し、定期検査等の作業により受ける線量当量を大幅に
低減する事が可能となる。

【００３０】また、本発明の遮へい容器は、対策として
提案されている仮設中空壁および遮へい箱の様な密封容
器とする必要が無く、金属保温を製作するのと同様の要
領で製作できるので安価になり、コストメリットが高
い。

【００３１】また、種々の構造および形状に製作可能で
あり、従来、鉛マットまたは恒設遮へいを設置していた
箇所に、放射線源の形状に合わせて設置することによ
り、効果的に遮へい可能となり、多くの労力を要してい
た重い遮へい材を運搬し取り付けるという作業も飛躍的
に軽減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の放射線遮へい方法の代表例の全体構成
を示す系統図である。

【図２】（イ）は遮へい材充填式保温容器の構造を示す
斜視図、（ロ）は断面図である。

【図３】（イ）は充填口の構造を示す正面図、（ロ）は
断面図である。

【図４】充填ノズルの構造を示す断面図である。

【図５】（イ）は回収口の構造を示す正面図、（ロ）は
断面図である。

【図６】回収ノズルの構造を示す断面図である。

【図７】第２の実施例を示す斜視図である。

【図８】第３の実施例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１配管２遮へい材充填式金属保温容器２ａ保温層２ｂ遮へい層３充填回収装置３ａ充填装置部３ｂ回収装置部４球状遮へい材５圧送タンク６コンプレッサー７Ｔ字管８圧送ホース９充填ノズル９ａ放出管９ｂ放出口１０充填口１１回収口１２回収ノズル１３Ｔ字管１４吸引ホース１５バキューム１６回収タンク１７台車部１８信号ケーブル１９センサー２０センサー口２１バックル２２ステンレスメッシュ板２３スリット２４穴２５傾斜板２６鉛マット吊り下げ用支持構造物２７遮へい材充填式金属容器２８台車部

フロントページの続き (72)発明者鹿野賢一福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原22番地東京電力株式会社内 (72)発明者伊川正佳東京都港区芝大門１丁目１番26号ニチアス株式会社内 (72)発明者川口昌孝東京都港区芝大門１丁目１番26号ニチアス株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】原子力プラントにおける配管等の放射線
源に接して、これを囲む様に遮へい材充填式金属保温容
器を恒設し、メンテナンス開始前に低線量当量率エリヤ
に充填回収装置を移動、設置して、この充填回収装置に
取り付けられている圧送ホース先端の充填ノズルを前記
金属保温容器と連結し、圧送ホースを介して球状遮へい
材を空気流に乗せて前記金属保温容器まで圧送し充填す
ることにより遮へい体を構築し、放射線を遮へいし、また、メンテナンス終了後に充填回収装置に取り付けら
れている吸引ホースの先端の回収ノズルを前記金属保温
容器と連結し、吸引ホースを介して球状遮へい材を空気
流に乗せて回収タンクまで吸引し回収することを特徴と
する放射線遮へい方法。
【請求項２】内側に保温層、外側に中空で側面から空
気が均一に流出可能な構造の遮へい層よりなる２層構造
の容器で、遮へい層外表面に充填ノズル脱着時に遮へい
材が漏出しない構造の充填口、および回収ノズル脱着時
に遮へい材が漏出しない構造の回収口が取り付けられて
おり、また、遮へい層外表面に遮へい材充填状況を目視
確認できる穴およびスリットを設けて、さらに遮へい層
内下部に球状遮へい材が回収口に向かって下り落ちるた
めの傾斜板が取り付けられている遮へい材充填式金属保
温容器。
【請求項３】遮へい容器表面に、充填ノズル脱着時に
遮へい材が漏出しない構造の充填口、および回収ノズル
脱着時に遮へい材が漏出しない構造の回収口が取り付け
られており、また、遮へい材充填状況を目視確認できる
穴およびスリットを設けて、さらに下部に球状遮へい材
が回収口に向かって下り落ちるための傾斜板が取り付け
られている遮へい材充填式金属容器。
【請求項４】大きく区分して充填装置部と回収装置部
より構成されていて、充填装置部は圧送空気を発生させ
るコンプレッサー、球状遮へい材を供給する圧送タン
ク、その下部に球状遮へい材を空気流に乗せるＴ字管、
球状遮へい材を前記金属保温容器まで移送する圧送ホー
ス、およびホース先端には充填口へ差込んで連結する充
填ノズルより構成されていて、充填ノズルには球状遮へ
い材が遮へい層表面に沿った水平２方向に放出される放
出口と充填ノズルを充填口から引き抜く時に放出口を閉
止する機構が備えられていて、回収装置部は空気を吸引するバキューム、球状遮へい材
を回収する回収タンク、球状遮へい材を前記金属保温容
器から吸引する吸引ホース、吸引ホース先端に球状遮へ
い材を空気流に乗せるＴ字管、およびＴ字管と前記金属
保温容器回収口とを連結する回収ノズルより構成されて
いる充填回収装置。