JP2001041955A - 脳浮腫の解析方法 - Google Patents
脳浮腫の解析方法Info
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- JP2001041955A JP2001041955A JP11220009A JP22000999A JP2001041955A JP 2001041955 A JP2001041955 A JP 2001041955A JP 11220009 A JP11220009 A JP 11220009A JP 22000999 A JP22000999 A JP 22000999A JP 2001041955 A JP2001041955 A JP 2001041955A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 脳切片に脳浮腫を惹起させる刺激を与
え、当該脳細胞の経時的変化を赤外線画像データとして
取得し、これを画像解析して求められた、赤外線画像の
平均輝度値、平均輝度の標準偏差値、及びコントラスト
値を指標として浮腫の質を定量的に把握することを特徴
とする脳浮腫の解析方法、該解析方法を用いた虚血性脳
浮腫治療薬の評価及びスクリーニング方法。 【効果】 脳浮腫のメカニズムの解明に寄与すると共
に、特定の脳浮腫治療薬の作用評価を正確且つ迅速に行
うことを可能とし、新薬のスクリーニングに利用でき
る。
え、当該脳細胞の経時的変化を赤外線画像データとして
取得し、これを画像解析して求められた、赤外線画像の
平均輝度値、平均輝度の標準偏差値、及びコントラスト
値を指標として浮腫の質を定量的に把握することを特徴
とする脳浮腫の解析方法、該解析方法を用いた虚血性脳
浮腫治療薬の評価及びスクリーニング方法。 【効果】 脳浮腫のメカニズムの解明に寄与すると共
に、特定の脳浮腫治療薬の作用評価を正確且つ迅速に行
うことを可能とし、新薬のスクリーニングに利用でき
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浮腫状態にある脳
細胞の形態変化を客観的に解析する方法並びに該解析方
法を用いた虚血性脳浮腫治療薬の評価及びスクリーニン
グ方法に関する。
細胞の形態変化を客観的に解析する方法並びに該解析方
法を用いた虚血性脳浮腫治療薬の評価及びスクリーニン
グ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】虚血性神経細胞死やその他の脳障害によ
る神経細胞死の原因は、神経細胞の代謝機能が阻害され
た結果生ずる浮腫によるところが大きいと考えられてい
る。これは頭蓋に囲まれた狭い空間で浮腫が生ずること
によって、組織が圧迫され、血流阻害が生ずるためと考
えられている。脳は激しいエネルギーを要求する組織で
あるため、小さな血管が閉塞した場合も、局所的に生じ
た浮腫が周辺の組織への血流を阻害して細胞死に至らし
めると考えられる。その意味でも脳浮腫を抑制する薬物
は臨床上必要性が高い。
る神経細胞死の原因は、神経細胞の代謝機能が阻害され
た結果生ずる浮腫によるところが大きいと考えられてい
る。これは頭蓋に囲まれた狭い空間で浮腫が生ずること
によって、組織が圧迫され、血流阻害が生ずるためと考
えられている。脳は激しいエネルギーを要求する組織で
あるため、小さな血管が閉塞した場合も、局所的に生じ
た浮腫が周辺の組織への血流を阻害して細胞死に至らし
めると考えられる。その意味でも脳浮腫を抑制する薬物
は臨床上必要性が高い。
【0003】一方、これまで脳浮腫の程度は、組織に蓄
積される水分量を定量することによって把握するのが一
般的であるが、この方法では同一標本で浮腫形成の時間
経過を解析することができず、また形態の経時的変化の
解析も不可能であった。
積される水分量を定量することによって把握するのが一
般的であるが、この方法では同一標本で浮腫形成の時間
経過を解析することができず、また形態の経時的変化の
解析も不可能であった。
【0004】また、最近では、脳切片標本における可視
光の透過性の変化を指標として浮腫の定量的計測も試み
られている。しかし、この方法では、標本による差は大
きく、標本間の比較が困難であり(Andrew, R.D. and M
acvicar, B.A. Neuroscience62: 371-383, 1994)、浮
腫の程度を測定することはできるが、浮腫原因による変
化の質を判定できるものではない。
光の透過性の変化を指標として浮腫の定量的計測も試み
られている。しかし、この方法では、標本による差は大
きく、標本間の比較が困難であり(Andrew, R.D. and M
acvicar, B.A. Neuroscience62: 371-383, 1994)、浮
腫の程度を測定することはできるが、浮腫原因による変
化の質を判定できるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、浮腫
が生じた場合の脳組織の形態変化を実時間で定量的に計
測することにより、脳浮腫の質を解析する方法を確立す
ると共に、特定の脳浮腫に有効な薬物の評価及びスクリ
ーニング方法を提供することにある。
が生じた場合の脳組織の形態変化を実時間で定量的に計
測することにより、脳浮腫の質を解析する方法を確立す
ると共に、特定の脳浮腫に有効な薬物の評価及びスクリ
ーニング方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、斯かる実
状に鑑み鋭意検討したところ、脳切片を赤外線画像解析
して求められた3つのパラメータを指標とすることによ
り、脳浮腫の質を実時間で定量的に客観化できる解析方
法を確立し、更に当該パラメータが虚血性脳浮腫抑制等
の薬効評価の指標となることを見出し本発明を完成し
た。
状に鑑み鋭意検討したところ、脳切片を赤外線画像解析
して求められた3つのパラメータを指標とすることによ
り、脳浮腫の質を実時間で定量的に客観化できる解析方
法を確立し、更に当該パラメータが虚血性脳浮腫抑制等
の薬効評価の指標となることを見出し本発明を完成し
た。
【0007】即ち、本発明は、脳切片に脳浮腫を惹起さ
せる刺激を与え、当該脳細胞の経時的変化を赤外線画像
データとして取得し、これを画像解析して求められた、
赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差値、及び
コントラスト値を指標として浮腫の質を定量的に把握す
ることを特徴とする脳浮腫の解析方法を提供するもので
ある。
せる刺激を与え、当該脳細胞の経時的変化を赤外線画像
データとして取得し、これを画像解析して求められた、
赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差値、及び
コントラスト値を指標として浮腫の質を定量的に把握す
ることを特徴とする脳浮腫の解析方法を提供するもので
ある。
【0008】また、本発明は、当該解析方法を用いた虚
血性脳浮腫治療薬の評価及びスクリーニング方法を提供
するものである。
血性脳浮腫治療薬の評価及びスクリーニング方法を提供
するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の脳浮腫の解析方法におい
ては、脳切片に脳浮腫を惹起させる刺激を与え、当該脳
細胞の経時的変化を赤外線画像データとして取得するこ
とが必要である。
ては、脳切片に脳浮腫を惹起させる刺激を与え、当該脳
細胞の経時的変化を赤外線画像データとして取得するこ
とが必要である。
【0010】本発明で用いられる脳切片としては、ラッ
ト、マウス等の実験動物の脳、例えば大脳皮質、小脳、
又は海馬等が使用され、これを振動式組織切片作製器等
により300〜400μm厚にスライスしたものが用い
られる。
ト、マウス等の実験動物の脳、例えば大脳皮質、小脳、
又は海馬等が使用され、これを振動式組織切片作製器等
により300〜400μm厚にスライスしたものが用い
られる。
【0011】脳浮腫を惹起させる刺激としては、虚血、
電気刺激、薬物等の物理的化学的刺激が挙げられる。例
えば虚血状態の作製には、脳切片に酸素バブリングした
溶液を灌流しておき、灌流液を無酸素・無グルコース溶
液に変更することによって与えることができる。また、
電気的刺激は、電気刺激装置により神経回路に強い通電
を加えることによって与えることができ、薬物による刺
激には、高濃度のグルタミン酸や高濃度の塩化カリウム
液を適用することによって与えることができる。
電気刺激、薬物等の物理的化学的刺激が挙げられる。例
えば虚血状態の作製には、脳切片に酸素バブリングした
溶液を灌流しておき、灌流液を無酸素・無グルコース溶
液に変更することによって与えることができる。また、
電気的刺激は、電気刺激装置により神経回路に強い通電
を加えることによって与えることができ、薬物による刺
激には、高濃度のグルタミン酸や高濃度の塩化カリウム
液を適用することによって与えることができる。
【0012】画像データの取得には、専ら赤外線微分干
渉顕微鏡が用いられ、赤外線微分干渉顕微鏡に装着され
た赤外線の検出機器(例えばIR−CCDカメラ(浜松
ホトニクス株式会社製))により脳切片が実時間で撮影
され、脳深部の細胞形状が二次元的に赤外線画像化され
る(図1参照)。
渉顕微鏡が用いられ、赤外線微分干渉顕微鏡に装着され
た赤外線の検出機器(例えばIR−CCDカメラ(浜松
ホトニクス株式会社製))により脳切片が実時間で撮影
され、脳深部の細胞形状が二次元的に赤外線画像化され
る(図1参照)。
【0013】尚、赤外線微分干渉顕微鏡は、脳切片深部
の細胞の形状を観察する方法として普及しつつあるが
(Colwell, C.S. and Levine, M.S. Brain-Res. 766: 2
05-212, 1997)、その画像の定量化が試みられた例は存
在しない。
の細胞の形状を観察する方法として普及しつつあるが
(Colwell, C.S. and Levine, M.S. Brain-Res. 766: 2
05-212, 1997)、その画像の定量化が試みられた例は存
在しない。
【0014】次に、取得された赤外線画像データは、汎
用の画像処理装置(例えばArgus 50(浜松ホトニクス社
製)等)より画像処理され(図1参照)、その切片透過
光量から、赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏
差値、及びコントラスト値が計測・算出される。
用の画像処理装置(例えばArgus 50(浜松ホトニクス社
製)等)より画像処理され(図1参照)、その切片透過
光量から、赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏
差値、及びコントラスト値が計測・算出される。
【0015】赤外線画像の平均輝度値とは、赤外線画像
を画像処理装置によりデジタル化し、画像全体又は一定
の範囲の総画素における輝度値の総和を総画素数で除し
た値であり、平均輝度の標準偏差値とは、上記平均値に
ついて計算された標準偏差である。
を画像処理装置によりデジタル化し、画像全体又は一定
の範囲の総画素における輝度値の総和を総画素数で除し
た値であり、平均輝度の標準偏差値とは、上記平均値に
ついて計算された標準偏差である。
【0016】コントラスト値とは、上記の赤外線画像の
平均輝度値とその標準偏差値から次式によって算出され
る赤外線画像の画質を示す指数である。
平均輝度値とその標準偏差値から次式によって算出され
る赤外線画像の画質を示す指数である。
【0017】
【数1】
【0018】斯かる解析により、細胞が浮腫を起こすこ
とによって赤外線の透過性が増し、画像がコントラスト
を失ってくる様子を経時的に定量化することができる。
これによって標本間の差を少なくすることができるの
で、多数例の統計的処理の信頼性が増す。
とによって赤外線の透過性が増し、画像がコントラスト
を失ってくる様子を経時的に定量化することができる。
これによって標本間の差を少なくすることができるの
で、多数例の統計的処理の信頼性が増す。
【0019】本発明の脳浮腫の解析方法は、浮腫による
脳細胞の形状変化の定量化に止まらず、実時間で計測さ
れた赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差値及
びコントラスト値の3つのパラメータを総合的に解析す
ることにより、脳浮腫の発生に起因する浮腫の質をも定
量的に客観化することを可能にするものである。
脳細胞の形状変化の定量化に止まらず、実時間で計測さ
れた赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差値及
びコントラスト値の3つのパラメータを総合的に解析す
ることにより、脳浮腫の発生に起因する浮腫の質をも定
量的に客観化することを可能にするものである。
【0020】例えば、(1)低張液に暴露された場合に
生ずる浮腫、(2)神経細胞を脱分極させた場合に生ず
る浮腫及び(3)虚血による浮腫、において、赤外線画
像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差値及びコントラス
ト値はそれぞれ特有の挙動を示し、これらを実時間で計
測することにより浮腫の質を定量的に客観化することが
可能となる。以下に、異なる刺激によって生ずる浮腫に
ついて、赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差
値及びコントラスト値の変化パターンを例示する。
生ずる浮腫、(2)神経細胞を脱分極させた場合に生ず
る浮腫及び(3)虚血による浮腫、において、赤外線画
像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差値及びコントラス
ト値はそれぞれ特有の挙動を示し、これらを実時間で計
測することにより浮腫の質を定量的に客観化することが
可能となる。以下に、異なる刺激によって生ずる浮腫に
ついて、赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差
値及びコントラスト値の変化パターンを例示する。
【0021】(1)脳切片を低張液に暴露した場合に
は、適用直後からコントラストの値は減少する。この場
合、平均輝度値は上昇するが、その標準偏差値の変化は
小さい。次いで低張液をリンゲル液に交換すると急速に
元の値に戻る(図2参照)。
は、適用直後からコントラストの値は減少する。この場
合、平均輝度値は上昇するが、その標準偏差値の変化は
小さい。次いで低張液をリンゲル液に交換すると急速に
元の値に戻る(図2参照)。
【0022】(2)脳切片を神経細胞を脱分極させた場
合には、やはりコントラスト値は減少するが、この場合
平均輝度値が上昇し、その標準偏差値も増大する。ま
た、脱分極を解除した後のコントラスト値の回復は低張
液の場合に比べて遅い(図3参照)。
合には、やはりコントラスト値は減少するが、この場合
平均輝度値が上昇し、その標準偏差値も増大する。ま
た、脱分極を解除した後のコントラスト値の回復は低張
液の場合に比べて遅い(図3参照)。
【0023】(3)脳切片を虚血状態にした場合は、徐
々にコントラスト値が低下し、やがて突然急速なコント
ラストの減少が生じる。またこの場合には、虚血状態を
解除しても平均輝度値の上昇と標準偏差値の減少は回復
しなかった(図4参照)。
々にコントラスト値が低下し、やがて突然急速なコント
ラストの減少が生じる。またこの場合には、虚血状態を
解除しても平均輝度値の上昇と標準偏差値の減少は回復
しなかった(図4参照)。
【0024】以上より、赤外線画像の平均輝度値、平均
輝度の標準偏差値及びコントラスト値の3つのパラメー
タを解析する本発明の脳浮腫の解析方法によれば、虚血
性の浮腫とそれ以外の原因により生じた浮腫の質を定量
化して把握することができる。また、これらの刺激を解
除した後の前記パラメータの回復の有無は、これらの刺
激による脳浮腫の治療の必要性の有無と一致する。
輝度の標準偏差値及びコントラスト値の3つのパラメー
タを解析する本発明の脳浮腫の解析方法によれば、虚血
性の浮腫とそれ以外の原因により生じた浮腫の質を定量
化して把握することができる。また、これらの刺激を解
除した後の前記パラメータの回復の有無は、これらの刺
激による脳浮腫の治療の必要性の有無と一致する。
【0025】従って、斯かる3つのパラメータは、虚血
性脳浮腫を治療する薬物の評価の指標となり得る。即
ち、上記(3)において、虚血状態の解除後に被験薬物
を含有する溶液を灌流し、3つのパラメータの回復の有
無を経時的に解析すればよい。虚血性疾患に伴う脳浮腫
に対して実際に臨床使用されているマンニトールを用い
て、この方法を実施したところ明確にその効果を確認す
ることができた(図5参照)。従って、本発明の脳浮腫
の解析方法は新薬のスクリーニングに利用できる。
性脳浮腫を治療する薬物の評価の指標となり得る。即
ち、上記(3)において、虚血状態の解除後に被験薬物
を含有する溶液を灌流し、3つのパラメータの回復の有
無を経時的に解析すればよい。虚血性疾患に伴う脳浮腫
に対して実際に臨床使用されているマンニトールを用い
て、この方法を実施したところ明確にその効果を確認す
ることができた(図5参照)。従って、本発明の脳浮腫
の解析方法は新薬のスクリーニングに利用できる。
【0026】
【実施例】ラットの海馬スライス標本を様々な条件にお
き、それぞれ赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準
偏差値及びコントラスト値を求め解析した(実施例1〜
3)。
き、それぞれ赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準
偏差値及びコントラスト値を求め解析した(実施例1〜
3)。
【0027】実施例1 低張液に暴露した場合 海馬スライス標本に人工脳脊髄液を純水で二倍に希釈し
た低張液を約10分間適用し、海馬スライス標本を洗浄
後再び溶液を正常人工脳脊髄液に交換した。結果を図2
に示す。適用直後からコントラスト値は減少した。この
場合平均輝度値は上昇するが、その標準偏差値の変化は
小さく、再び正常人工脳脊髄液にかえるとコントラスト
値は急速に元の値に戻る。このことから細胞の形態は比
較的保たれたまま浮腫を生じていることが予測される。
た低張液を約10分間適用し、海馬スライス標本を洗浄
後再び溶液を正常人工脳脊髄液に交換した。結果を図2
に示す。適用直後からコントラスト値は減少した。この
場合平均輝度値は上昇するが、その標準偏差値の変化は
小さく、再び正常人工脳脊髄液にかえるとコントラスト
値は急速に元の値に戻る。このことから細胞の形態は比
較的保たれたまま浮腫を生じていることが予測される。
【0028】実施例2 神経細胞を脱分極させた場合 人工脳脊髄液のナトリウムイオンとカリウムイオンの量
の比を変化させて、普段のカリウムイオン濃度の10倍
まで高めた液(脱分極液)を調整し、これを海馬スライ
ス標本に適用し、6分後海馬スライス標本を洗浄後再び
溶液を正常人工脳脊髄液に交換した。結果を図3に示
す。コントラスト値は減少した。この場合平均輝度値が
上昇し、その標準偏差値も増大した。再び正常人工脳脊
髄液で灌流したときのコントラスト値の回復は低張液の
場合に比べて遅かった。
の比を変化させて、普段のカリウムイオン濃度の10倍
まで高めた液(脱分極液)を調整し、これを海馬スライ
ス標本に適用し、6分後海馬スライス標本を洗浄後再び
溶液を正常人工脳脊髄液に交換した。結果を図3に示
す。コントラスト値は減少した。この場合平均輝度値が
上昇し、その標準偏差値も増大した。再び正常人工脳脊
髄液で灌流したときのコントラスト値の回復は低張液の
場合に比べて遅かった。
【0029】実施例3 虚血状態にした場合 人工脳脊髄液に添加してある酵素とグルコースを除去し
た液(虚血液)を調整し、これを海馬スライス標本に暴
露した。結果を図4に示す。
た液(虚血液)を調整し、これを海馬スライス標本に暴
露した。結果を図4に示す。
【0030】コントラスト値は徐々に低下し、やがて突
然急速なコントラスト値の減少が生じた。この時は平均
輝度値の上昇と標準偏差値の減少が見られた。この変化
は虚血時に特徴的な変化であり、虚血による形態の変化
(浮腫)が先の低張液暴露時や脱分極時とは異なること
を明瞭に示すものである。
然急速なコントラスト値の減少が生じた。この時は平均
輝度値の上昇と標準偏差値の減少が見られた。この変化
は虚血時に特徴的な変化であり、虚血による形態の変化
(浮腫)が先の低張液暴露時や脱分極時とは異なること
を明瞭に示すものである。
【0031】実施例1〜3より、本発明の脳浮腫の解析
法を用いることにより原因の違いによる浮腫の質の違い
を明瞭に区別できることを示した。
法を用いることにより原因の違いによる浮腫の質の違い
を明瞭に区別できることを示した。
【0032】実施例4 虚血性浮腫に対するマンニトー
ルの効果 実施例3に示した虚血性浮腫が生じた後、現在浮腫に対
する治療薬として用いられているマンニトール100mM
を適用した。10分虚血によって著しく減少したコント
ラスト値はマンニトール適用によって急速に回復してく
ることが観察できる。(計測時間は実施例2の4倍にし
てある)
ルの効果 実施例3に示した虚血性浮腫が生じた後、現在浮腫に対
する治療薬として用いられているマンニトール100mM
を適用した。10分虚血によって著しく減少したコント
ラスト値はマンニトール適用によって急速に回復してく
ることが観察できる。(計測時間は実施例2の4倍にし
てある)
【0033】
【発明の効果】本発明の脳浮腫の解析法により、脳浮腫
の程度及び質を定量的、客観的に把握することができる
ことから、脳浮腫のメカニズムの解明に寄与すると共
に、虚血性疾患に伴う脳浮腫等、特定の脳浮腫を抑制す
る薬物の作用評価を正確且つ迅速に行うことを可能と
し、新薬のスクリーニングに大きく貢献するものであ
る。
の程度及び質を定量的、客観的に把握することができる
ことから、脳浮腫のメカニズムの解明に寄与すると共
に、虚血性疾患に伴う脳浮腫等、特定の脳浮腫を抑制す
る薬物の作用評価を正確且つ迅速に行うことを可能と
し、新薬のスクリーニングに大きく貢献するものであ
る。
【図1】赤外線微分干渉顕微鏡−画像処理装置の構成図
である。
である。
【図2】低張液に暴露した場合の赤外線画像の平均輝度
値、平均輝度の標準偏差値及びコントラスト値の経時的
変化を示した図である。
値、平均輝度の標準偏差値及びコントラスト値の経時的
変化を示した図である。
【図3】神経細胞を脱分極させた場合の赤外線画像の平
均輝度値、平均輝度の標準偏差値及びコントラスト値の
経時的変化を示した図である。
均輝度値、平均輝度の標準偏差値及びコントラスト値の
経時的変化を示した図である。
【図4】虚血状態にした場合の赤外線画像の平均輝度
値、平均輝度の標準偏差値及びコントラスト値の経時的
変化を示した図である。
値、平均輝度の標準偏差値及びコントラスト値の経時的
変化を示した図である。
【図5】虚血状態にした後、マンニトールを投与した場
合の赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差値及
びコントラスト値の経時的変化を示した図である。
合の赤外線画像の平均輝度値、平均輝度の標準偏差値及
びコントラスト値の経時的変化を示した図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 脳切片に脳浮腫を惹起させる刺激を与
え、当該脳細胞の経時的変化を赤外線画像データとして
取得し、これを画像解析して求められた、赤外線画像の
平均輝度値、平均輝度の標準偏差値、及びコントラスト
値を指標として浮腫の質を定量的に把握することを特徴
とする脳浮腫の解析方法。 - 【請求項2】 赤外線画像データが、赤外線微分干渉顕
微鏡を用いて撮影されたものである請求項1記載の脳浮
腫の解析方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の解析方法を用いた虚血性
脳浮腫治療薬の評価及びスクリーニング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11220009A JP2001041955A (ja) | 1999-08-03 | 1999-08-03 | 脳浮腫の解析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11220009A JP2001041955A (ja) | 1999-08-03 | 1999-08-03 | 脳浮腫の解析方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001041955A true JP2001041955A (ja) | 2001-02-16 |
Family
ID=16744511
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11220009A Pending JP2001041955A (ja) | 1999-08-03 | 1999-08-03 | 脳浮腫の解析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001041955A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002088635A1 (fr) * | 2001-04-27 | 2002-11-07 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Procede d'extraction d'un signal significatif, support d'enregistrement et programme associe |
KR100680232B1 (ko) * | 2005-04-20 | 2007-02-08 | 이화여자대학교 산학협력단 | 뇌질환의 진단보조를 위한 뇌 해마 분석 방법 및 그 방법이수록되어 컴퓨터로 읽을 수 있는 기록매체 |
JP2008164551A (ja) * | 2006-12-29 | 2008-07-17 | Osaka Univ | 細胞の評価方法、細胞測定用システム、及び細胞測定用プログラム |
-
1999
- 1999-08-03 JP JP11220009A patent/JP2001041955A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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