JP2000292428A - 環境化学物質の内分泌攪乱活性の新規測定方法及びその装置 - Google Patents

環境化学物質の内分泌攪乱活性の新規測定方法及びその装置

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JP2000292428A
JP2000292428A JP9822999A JP9822999A JP2000292428A JP 2000292428 A JP2000292428 A JP 2000292428A JP 9822999 A JP9822999 A JP 9822999A JP 9822999 A JP9822999 A JP 9822999A JP 2000292428 A JP2000292428 A JP 2000292428A
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紀博 柿本
Katsunobu Sakai
勝信 坂井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境化学物質の内分泌攪乱活性の新規測定方
法及びその装置を提供する。 【解決手段】 紫外線照射下で誘導される、男性ホルモ
ンの女性ホルモンへの変換反応を促進する効果を指標と
して被験化学物質の内分泌攪乱活性を測定することを特
徴とする化学物質の内分泌攪乱活性の測定方法、該方法
により内分泌攪乱活性を有する物質をスクリーニングす
る方法、及び該方法に使用する測定装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽光の分光、特
に紫外線照射によって誘導される男性ホルモン(雄性ホ
ルモン)の女性ホルモン(雌性ホルモン)への変換反応
を応用した、化学物質、特に環境化学物質等の内分泌攪
乱活性を測定する新規な方法並びにその測定装置に関す
るものであり、更に詳しくは、本発明は、燐酸緩衝液
(PBS(+))、カルモジュリン(calmodulin; calc
ium-dependant modulator protein )水溶液に男性ホル
モンのテストステロンのエタノール溶液を加えた均一反
応液に紫外線、特に、UVCを照射してテストステロン
を女性ホルモンのエストラジオール−17βに変換させ
る新規な変換反応を利用して、該変換反応を促進する効
果を指標として環境化学物質、特に“環境ホルモン”と
称される環境汚染物質等の内分泌攪乱活性を測定する方
法及びその測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】野性生物の生殖異常や行動異常、化学物
質による環境汚染の進行、ヒトの内分泌系異常及び内分
泌との関係を疑われる健康異常の報告等々から、近年、
世界的に内分泌攪乱化学物質(以下、EDCと記載する
ことがある。)問題が大きな関心を呼んでいる。しかし
ながら、これまで、生態系異常の調査研究のみが先行
し、その科学的な機序の解明がないまま、機械的に環境
化学物質にその原因を求め、“環境エストロゲン”、
“環境ホルモン”として位置付け、これらのエストロゲ
ン様作用のみ着目して、これらのエストロゲン受容体
(以下、ERと記載することがある。)に対する結合性
による内分泌攪乱活性の評価研究が行われて来た。従っ
て、化学物質の内分泌攪乱活性の測定は、専ら、そのE
Rに対する結合の強弱に依って来た。
【0003】その結果、代表的な環境化学物質15種で
環境エストロゲン活性を示すのは、僅かにDES(diet
hylstilbestrol; 合成女性ホルモン)のみという、環境
生態異常研究結果とは著しく不整合な結果を与えている
(Bolger et al., "Rapid screening of environmental
chemicals for estrogen receptor binding capacity"
(1998), Environ. Health Perspect. 106 (in pres
s);)。即ち、これでは、現在、世界中でEDC候補と
して注目を集めている、ビスフェノールA(BPA)、
フタル酸エステル類、ノニルフェノール、オクチルフェ
ノール、DDT類、Dieldrin、HPTE等は全
く内分泌攪乱活性を示さないことになってしまう。
【0004】本発明者らは、EDCに関し鋭意研究を続
けた結果、1970年代から出現し始めた大気汚染物質
によるオゾンホールに起因する、その地表照射量が急増
しているいわゆる殺菌光線と別称される高エネルギー短
波長紫外線UVC(254nm)が、生体液モデル中の
男性ホルモン、テストステロン、を女性ホルモンのエス
トラジオール−17βに有意に変換させる(以下、T/
E変換と記載することがある。)ことを世界で始めて見
出した。更に、該反応系に典型的なEDC候補物質のB
PAを添加すると、驚くべきことに、T/E変換が用量
依存的に加速されることを見出し、EDCそのものが
“環境エストロゲン”として作用するのではなく(Bo
lger et al.)、UVC誘導T/E変換反応
を特異的に加速させる結果として生体内エストロゲン量
を増加させる、という機序によってその内分泌攪乱作用
を発現させていることを始めて明らかにした(Scie
nce投稿中)。この結果は、UVCに代えて太陽光
(北海道札幌近郊)を照射しても再現され、その結果、
UVC照射下の雄ニジマス飼育系で血中エストロゲンの
有意な増加を認め、実際の生態系においても起こり得る
こと、などが確認されている。同じ雄ニジマスにエスト
ロゲンを注射すると血中ビテロジェニン(雌特有の卵黄
蛋白質)が有意に発現することから、UVCによるT/
E変換の環境汚染物質による加速的作用を介して“メス
化”が惹起され得る可能性が強く示唆される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】オゾン層が然るべく保
持されていた1970年代以前においては、有害なUV
Cは該オゾン層に吸収され地表までは到達し得なかった
ために、現在はEDCとして作用する環境化学物質も、
その内分泌攪乱機能を潜在化させ、その作用を発現させ
るに至らなかったものと考えられる。オゾンホールはい
つ消滅するのか、あるいは、いつ消滅させ得るのかが全
く不明な現在、どのような化学物質がどの程度の内分泌
攪乱活性を有するのかを可及的速やかに見極めること
が、ヒトを含む全生態系の生命の恒常性を保持させる上
での急務の課題である。本発明では、化学物質等の被験
物質の簡便で正確なin vitro及びinvivo
の内分泌攪乱活性測定方法及びその測定装置を提供し
て、これ以上ヒトを含む全生態系の生命の恒常性を損な
うことを防止することに貢献することを目的にしてい
る。それと同時に、既存の環境排出化学物質の内分泌攪
乱機能の低減化にも貢献しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、
以下の手法及び装置によって上記課題が解決され得るこ
とを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発
明は、以下の技術手段から構成されるものである。 (1)紫外線照射下で誘導される、男性ホルモン(雄性
ホルモン)の女性ホルモン(雌性ホルモン)への変換反
応を促進する効果を指標として被験物質の内分泌攪乱活
性を測定することを特徴とする被験物質の内分泌攪乱活
性の測定方法。 (2)男性ホルモンの女性ホルモンへの変換反応がin
vivo又はin vitroの反応である前記
(1)の方法。 (3)以下のステップ; (a)紫外線照射下で誘導される、男性ホルモンの女性
ホルモンへの変換反応系に被験化学物質を共存させるス
テップ; (b)上記(a)により発現される、該変換反応を促進
させる効果(エンハンサー効果)を指標として上記被験
化学物質の内分泌攪乱活性を測定するステップ;を含む
ことを特徴とする前記(1)の被験物質の内分泌攪乱活
性の測定方法。 (4)変換反応系が反応基質としてテストステロンを含
み、基本反応媒体として、カルモジュリン,燐酸緩衝液
を含む前記(3)の方法。 (5)前記(1)又は(3)の方法により、被験物質の
内分泌攪乱活性を測定し、該測定値を基準として内分泌
攪乱作用を有する物質をスクリーニングすることを特徴
とする内分泌攪乱物質のスクリーニング方法。 (6)前記(3)の被験物質の内分泌攪乱活性の測定方
法に使用する装置であって、男性ホルモンの女性ホルモ
ンへの変換反応系と被験物質を共存させる反応室、該反
応室に紫外線を照射するための紫外線ランプ、反応室の
反応液を移送させるための移送ポンプ、を有するUV変
換装置と、反応液のホルモン含量を測定するためのホル
モン定量装置を含むことを特徴とする被験物質の内分泌
攪乱活性の測定装置。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。本発明は、前記のように、紫外線、特に短波
長のUVC照射下に誘導される、男性ホルモン(雄性ホ
ルモン)の女性ホルモン(雌性ホルモン)への変換反応
系の反応を促進する効果を指標として被験物質の内分泌
攪乱活性を測定することを基本構成としている。本発明
において、紫外線照射下に誘導される、男性ホルモンの
女性ホルモンへの変換反応系は、紫外線照射下に、基質
の男性ホルモンを女性ホルモンへ変換する反応系であれ
ば、適宜の反応基質及び反応媒体からなる反応系が使用
されるが、好適には、例えば、反応基質としてテストス
テロン(testosterone)又はその誘導体を
含み、基本反応媒体としてカルモジュリン(calmo
dulin:CaM),燐酸緩衝液を含む反応系が使用
される。この反応系は、紫外線照射下で誘導される男性
ホルモンの女性ホルモンへの変換反応であれば、その反
応基質、基本反応媒体の種類は特に限定されるものでは
ない。上記基本反応媒体に、テストステロンから解裂す
るメチルラジカルの受容体、例えば、ホモシステイン
(Homocystein)を共存させることが好まし
いが、同効の受容体であれば適宜のものが使用できる。
この反応系の場合、上記基本反応媒体にテストステロン
のアルコール溶液を添加し、室温で短時間UVCランプ
で照射すればエストラジオール(estradiol)
−17βが生成する。本発明では、この反応系に被験物
質を共存させて、紫外線照射下に誘導される被験物質に
よる上記変換反応の促進効果、即ち、該反応系における
エストラジオール−17βの生成のレベルを指標とし
て、該被験物質の内分泌攪乱活性を測定する。
【0008】本発明において、照射線種は、紫外線(U
V)、特に、254nmを中心とする短波長紫外線帯で
あるUVCが好適に使用される。該紫外線の発生装置と
しては、市販の装置、例えば、アトー(株)社製の可搬
照射装置(HP型)等が好適なものとして使用できる
が、同効の装置であれば適宜のものを使用することがで
きる。照射条件は、例えば、0.1−1mW/cm2
2−6時間、好ましくは0.2mW/cm2 /3時間で
ある。基本反応液組成は、好適には、例えば、基質とな
る男性ホルモン、シグマ社製テストステロンを、1mg
/mlの濃度で試薬特級エチルアルコールに溶解させて
10μl(10μg)と、カルモジュリン(CaM)
を、1mg/mlの濃度で蒸留水に溶解させて10μl
(10μg)とし、これを、燐酸緩衝液PBS(+)9
80μlに添加して1mlに調整して作製する。被験物
質(被評価試料)は、例えば、1mg/ml濃度で試薬
特級エチルアルコールに溶解させて10μlとし、これ
を上記の基質及びCaMとともに、PBS(+)970
μlに添加して試薬反応液1mlとする。
【0009】上記反応液にUVCを照射した後、反応液
のホルモン変換量(生成量)を定量する。この場合、定
量方法は特に限定されないが、例えば、ユーロピウムラ
ベル時間分解蛍光免疫法でエストラジオール−17βを
定量し、基本反応のホルモン生成量に対する被評価試料
によるホルモン生成量の対比から被評価試料のテストス
テロン/エストラジオール変換(T/E変換)の増強
(促進)効果を算定し、その結果を指標としてその内分
泌攪乱活性を評価する。また、本発明においては、男性
ホルモンの女性ホルモンへの変換反応は、前記のような
in vitroの反応に限らず、in vivoの反
応であってもよく、例えば、後記する実施に示したよう
に、魚介類などの生体内のT/E変換反応を利用するこ
とが可能である。この場合には、例えば、魚介類を投入
した飼育水槽に被験物質を含む水を供給し、又は被験物
質を生体内の例えば腹腔内に注入し、紫外線照射下で誘
導される生体の血中T/E変換量を定量/算出し、その
数値に基づいて被験物質の内分泌攪乱活性を測定すれば
よい。生体内のT/E変換反応系は、T/E変換反応を
測定しうる適宜の生体内器官を使用することができる。
【0010】本発明では、上記測定方法を利用すること
により、種々の被験物質の中から内分泌攪乱作用を有す
る物質を簡便かつ効率よく探索することが可能であり、
本発明により、上記方法により被験物質の内分泌攪乱活
性を測定し、該測定値を基準として内分泌攪乱作用を有
する物質をスクリーニングする方法が提供される。即
ち、被験物質を共存させた場合、T/E変換量を増強さ
せる作用を有する物質を内分泌攪乱作用を有する物質と
して質的及び量的に区分し、選択することが可能とな
る。本発明のスクリーニング方法により、T/E変換反
応に対する増強効果を有する各種の物質がいわゆる環境
ホルモン様物質として探索される。例えば、環境汚染物
質として知られるBPA、DDT、DOP、PCB、N
3 、PO4 3 - 等は、上記T/E変換反応系に該汚染物
質を添加すると、該変換を促進させる作用が発現する
が、これらの汚染物質それ自身からエストラジオールが
生成する可能性は認められない。本発明では、これらの
汚染物質に限らず、あらゆる化学物質、該化学物質から
構成される物質(例えば、各種の容器、包装材、物品な
ど)、それらの廃棄物など、その種類を問わず被験物質
として対象となる。
【0011】本発明で使用される装置は、基本的には、
男性ホルモンの女性ホルモンへの変換反応系と被験物質
を共存させる反応室、該反応室に紫外線を照射するため
の紫外線ランプ、反応室の反応液を移送させるための移
送ポンプ、を有するUV変換装置と、反応液のホルモン
含量を測定するためのホルモン定量装置を含むことを特
徴としている。図1に、上記UV変換装置の実施例を示
す。図1の装置は、反応室として石英キャピラリー(内
径0.45mm、長さ300mm×3)から構成される
反応管、紫外線ランプとしてUVCランプ、移送ポンプ
(図示せず)を具備し、更に、UVカットフィルター付
き観察窓、UVCランプの照射光を反射するための反射
板、反応液及び装置を冷却するための冷却ファンを具備
している。
【0012】この装置では、反応系及び被験化学物質か
らなるサンプル反応液を1時間当たり600μm注入す
ると約3時間UV照射され、十分にT/E変換する。上
記装置は、本発明の装置の好適な一例を示すものであ
り、本発明は、これと同効の機能を有するものであれ
ば、反応室の形状、構造などは特に限定されるものでは
ない。図2に、上記UV変換装置を使った環境ホルモン
物質のスクリーニング及びホルモン定量のためのフロー
図を示す。ここでは、環境ホルモンサンプル(被験化学
物質)を微量定量ポンプ(定量/移送ポンプ)を介して
UV変換装置へ移送し、UVC照射下でT/E変換す
る。UV変換装置でT/E変換されたホルモンの定量
は、例えば、市販のホルモンレセプター結合測定装置、
ホルモン免疫定量装置などを用いて定量すればよく、該
ホルモン定量装置としては適宜の装置が使用される。
【0013】in vivoの変換反応系を利用した測
定方法には、直接照射法と間接照射法の2種類がある。
前者の実施例を図3に、後者の実施例を図4にそれぞれ
示す。図3の装置は、概9℃に水温を保持する冷却装置
及び飼育水の浄化循環装置を備えた601の飼育水槽
に、出力20WのUVCランプを装備した装置から構成
されている。一方、図4の装置は飼育水槽の構造は前者
と同一であるが、飼育循環水の入水口直前に出力20W
のUVCランプを浸漬させて飼育水を予め繰り返しUV
C処理する仕組を有している。これらの装置を使って、
雄ニジマスを飼育した後に、採血して、血中のエストラ
ジオール−17βを定量する。本発明では、このような
生体中のin vivo変換系を利用して被験化学物質
の内分泌攪乱活性を測定することができる。
【0014】生体のin vivo変換反応を利用した
測定方法に用いる装置は、前記図3及び4のものが例示
されるが、これに限らず、これらと同効の機能を有する
ものであれば適宜の装置を使用することができる。本発
明の実験結果によると、図3及び4の装置を用いて生体
のT/E変換量を定量した結果、紫外線照射下で飼育さ
れた雄ニジマスでは、その血清エストラジオールが経時
的に増加し、テストステロンは経時的に減少することを
認めた。また、雄ニジマス稚魚(概6ヶ月令)を微弱U
VC、連続直接照射下で10日間飼育したところ、血清
エストラジオールは極めて顕著に増加することを認め
た。上記生体のin vivo変換系を利用する場合
に、あらかじめテストステロンを投与し、その血清テス
トステロン及びエストラジオールの動態検索試験によ
り、血清テストステロンを定量することも適宜可能であ
る。この場合、被験化学物質はあらかじめ腹腔内注射な
どにより生体内に投与し、これにより発現するエストラ
ジオールの量を定量することにより、エストラジオール
の発現量に比例した被験化学物質の内分泌攪乱活性を知
ることができる。生体には上記変換反応促進因子が内在
しているが、該因子の存在及びその影響は、本発明で生
体内のT/E変換反応系を利用することを困難にするほ
どのものではない。
【0015】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何等限定される
ものではない。 実施例1 この実施例1では、in vitro反応系を用いて被
験物質の評価試験を行った。 1)基本反応液組成 (1)反応系及び被験化学物質 テストステロンのエチルアルコール溶液(1mg/1mlエタノール) 10μl(10μg) CaMの蒸留水溶液(1mg/ml蒸留水) 10μl(10μg) リン酸緩衝液(PBS(+)) 980μl 2)評価試験反応液組成 被評価試料のエチルアルコール溶液又は水溶液(1mg/1mlエタノール蒸 留水) 10μl(10μg) 上記テストステロンエタノール溶液 10μl(10μg) 上記CaM蒸留水溶液 10μl(10μg) PBS(+) 970μl 被験化学物質としては、BPA(ビスフェノールA)及
び硝酸ナトリウムを用いた。
【0016】(2)方法 図1のUVC変換装置を使用して、1cmの石英セル中
に反応液1mlを入れ、常温下、UV254nmのUV
Cを0.2mW/cm2 で3時間照射した。反応終了
後、反応液をエーテルで抽出処理し、エーテル抽出液を
エストラジオール−17βの時間分解蛍光免疫法(DE
LHIA)による微量分析に供した。
【0017】(3)結果 評価結果をまとめて表1に示した。エストラジオールの
生成量は、基本反応液のエストラジオール生成量100
に対して、大気汚染化学物質の硝酸化合物が3倍強、B
PAは4倍弱、硝酸塩とBPA共存下では、実に12倍
という、T/E変換反応を用量依存的に促進する効果を
示すことが明らかとなり、これにより被験物質の内分泌
攪乱活性を測定及びスクリーニングできることが分かっ
た。
【0018】
【表1】
【0019】実施例2 この実施例ではin vivo反応系を用いて被験物質
の評価試験を行った。(1)直接法による評価試験 1)使用試験動物 雄ニジマス(0年魚)5尾/区 2)投与方法 腹腔内注射(ip injection) 3)供試試料 ・テストステロン ・ビスフェノール−A(BPA)
【0020】4)飼育方法 図4に示した9℃の601飼育水(循環・浄化)中で各
々のニジマスを0.2mW/cm2 の照射条件で20W
のUVCランプにより一日1時間照射して5日間飼育し
た後、血中エストラジオール−17βを定法により定量
した。一方、対照として、UVCカット水槽でニジマス
を飼育し、同じくエストラジオールを測定した。
【0021】5)結果 その結果を図6に示した。 対照群では、照射の有無に
拘わらずエストラジオールの増減は認められないがテス
トステロン注射区では照射によって有意にエストラジオ
ールが増加し、更に、BPA共存区においては、テスト
ステロン単独区に対し照射の有無に拘わらず有意にエス
トラジオール濃度が上昇し、且つ、照射群では非照射群
に比べ何れも3倍強、更に、共存区内で照射群は非照射
群対比2倍強に、各々血中エストラジオール濃度の顕著
な上昇が認められ、これにより被験物質の内分泌攪乱活
性を測定及びスクリーニングできることが分かった。
【0022】(2)間接法による評価試験 1)使用試験動物 雄ニジマス(0年魚)5尾/区 2)供試試料 なし 3)飼育方法 図3に示した601飼育水槽で、予め20WのUVCラ
ンプを通過させて処理した流水系で、9℃で一定期間飼
育し、血中エストラジオールを測定した。対照として、
UVCカット飼育水槽でニジマスを飼育し、分析に供し
た。
【0023】4)結果 まとめて図5(上、下)に示した。照射の有無に拘わら
ず、テストステロンは時間とともに有意に減少し、照射
群では20日後に当初の1/10まで著減した。一方、
エストラジオールは10日では照射の有無に拘わらず変
化ないが、20日後では、照射群で顕著にその濃度が上
昇することを認めた。紫外線照射下で生体内T/E変換
反応が誘導されることを認め、そして、それにより、内
分泌攪乱活性を有する物質を測定及びスクリーニングす
る測定及びスクリーニング法として利用し得ることが分
かった。
【0024】(3)エストラジオール濃度上昇による内
分泌攪乱作用の雄ニジマスでのシミュレーション 1)使用試験動物 雄ニジマス(0年魚)5尾/区 2)投与方法 腹腔内注射(ip injection)50mg/k
g(体重) 3)餌料 通常飼料 4)飼育方法 水温9℃、その他所定条件
【0025】5)結果 エストラジオール−17β投与により雄ニジマスの血中
に発現した卵黄特異的蛋白質のビテロジェニン(Vit
ellogenin)を免疫抗体法(ELIZA)で定
量した。結果を図7に示した。この結果は、エストラジ
オールの血中濃度上昇により血中ビテロジェニンの発現
が昂進することを示唆している。
【0026】(4)in vivo反応系による評価試
験の総括 上記の直接及び間接法の何れの結果も、上記in vi
tro反応系による本発明の測定方法の有効性を支持す
るものであり、しかも、内分泌攪乱作用のシミュレーシ
ョンの一つとして、雄ニジマスへのエストラジオール投
与による女性ホルモン生体内濃度上昇に伴う雌特有の卵
黄特異的蛋白質のビテロジェニン(vitelloge
nin)の血中濃度変化を検討した結果からも、典型的
内分泌異常とされている“雌化”の惹起が強く示唆され
ていることから、本発明のinvivo反応系を利用し
てなる内分泌攪乱活性アッセイ法及びその測定装置は極
めて優れていることが実証された。
【0027】
【発明の効果】本発明は、紫外線照射下で誘導される、
男性ホルモンの女性ホルモンへの変換反応を促進する効
果を指標として被験物質の内分泌攪乱活性を測定するこ
とを特徴とする被験物質の内分泌攪乱活性の測定方法及
びその測定装置に係るものであり、本発明により、1)
in vivo又はin vitroのT/E変換反応
系を利用して簡便な方法で被験物質の内分泌攪乱活性を
測定することができる、2)同活性を有する物質をスク
リーニングすることができる、3)該方法に用いる測定
装置を提供することができる、等の格別の効果が奏され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】UVC変換装置の一実施例を示す。
【図2】UVC変換装置を使った環境ホルモン物質のス
クリーニング及びホルモン定量のフローを示す。
【図3】in vivo変換反応系を利用した測定方法
に用いる装置を示す。
【図4】in vivo変換反応系を利用した測定方法
に用いる装置を示す。
【図5】血清エストラジオール−17βの生成量を示
す。
【図6】血清テストステロン(上)、血清エストラジオ
ール−17β(下)の測定結果を示す。
【図7】血中ビテロジェニンを免疫抗体法(ELIZ
A)で定量した結果を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線照射下で誘導される、男性ホルモ
    ン(雄性ホルモン)の女性ホルモン(雌性ホルモン)へ
    の変換反応を促進する効果を指標として被験物質の内分
    泌攪乱活性を測定することを特徴とする被験物質の内分
    泌攪乱活性の測定方法。
  2. 【請求項2】 男性ホルモンの女性ホルモンへの変換反
    応がin vivo又はin vitroの反応である
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 以下のステップ; (a)紫外線照射下で誘導される、男性ホルモンの女性
    ホルモンへの変換反応系に被験化学物質を共存させるス
    テップ; (b)上記(a)により発現される、該変換反応を促進
    させる効果(エンハンサー効果)を指標として上記被験
    化学物質の内分泌攪乱活性を測定するステップ;を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の被験物質の内分泌攪乱
    活性の測定方法。
  4. 【請求項4】 変換反応系が反応基質としてテストステ
    ロンを含み、基本反応媒体として、カルモジュリン,燐
    酸緩衝液を含む請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は3記載の方法により、被験
    物質の内分泌攪乱活性を測定し、該測定値を基準として
    内分泌攪乱作用を有する物質をスクリーニングすること
    を特徴とする内分泌攪乱物質のスクリーニング方法。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の被験物質の内分泌攪乱活
    性の測定方法に使用する装置であって、男性ホルモンの
    女性ホルモンへの変換反応系と被験物質を共存させる反
    応室、該反応室に紫外線を照射するための紫外線ラン
    プ、反応室の反応液を移送させるための移送ポンプ、を
    有するUV変換装置と、反応液のホルモン含量を測定す
    るためのホルモン定量装置を含むことを特徴とする被験
    物質の内分泌攪乱活性の測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007534643A (ja) * 2003-12-10 2007-11-29 シェーリング アーゲー 感光性活性成分を含む、紫外線安定、液体、または半固体の経皮投与体

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