JP2000285225A - コンピュータによる画像処理方法 - Google Patents

コンピュータによる画像処理方法

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JP2000285225A
JP2000285225A JP11090235A JP9023599A JP2000285225A JP 2000285225 A JP2000285225 A JP 2000285225A JP 11090235 A JP11090235 A JP 11090235A JP 9023599 A JP9023599 A JP 9023599A JP 2000285225 A JP2000285225 A JP 2000285225A
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Kiyoyuki Horii
清之 堀井
Yoshifuru Saito
兆古 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術では十分に実施することが難しいよ
うな条件においても、画像の特徴抽出や強調表示が行う
ことが可能となるコンピュータによる画像処理方法を提
供する。 【解決手段】 読み取り手段により取得された画像デー
タを構成する画素行列からベクトルデータを構築し、そ
のベクトルデータを演算することにより画像データを再
構成し表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、コンピュ
ータによる画像処理方法に関するものである。さらに詳
しくは、この出願の発明は、工学的な読み取り手段によ
り取得された白黒濃淡画像、カラー画像、赤外線温度画
像などの画像データをコンピュータにより処理して、目
的とする画像の内容を認識し、さらに、特徴を強調した
復元表示を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】これまで、人間の目による認
識機能を代替するために、コンピュータによる画像認識
技術が数多く開発されてきた。代表的な例として、人間
の顔の表情の認識、特定の人物か否かを区別する認識、
工業分野における製品品質の自動検査、セキュリティ管
理のための不審物体自動検知、自動車番号や郵便番号の
自動読み取りなどが挙げられる。これらの応用分野にお
ける問題点として、読み取り時の光学条件の違いで明る
さや彩度、陰影が異なるほか、被対象物と画像計測用カ
メラの相対的な位置関係で、認識対象の位置ずれ、回転
ずれ、大きさのずれなど座標のずれが生ずることが挙げ
られる。
【0003】従来技術では、画像認識の前処理として、
画像の特徴として輝度変化の大きい部分のエッジ抽出、
平滑化による光学条件の違いや外乱ノイズの影響の緩
和、また、直線や円弧などの特徴を特殊な処理で抽出し
位置ずれなどの影響の緩和などが行われている。また、
フーリエ変換などにより画像の位置依存性をなくした特
徴画像を作成する方法なども提案されている。
【0004】これらの従来技術では、画像の要素である
各画素点を色、ないし、濃淡というスカラー量で捉えて
おり、画像の特徴を、隣接する画素の間の変化から認識
する方法がほとんどである。しかしながら、各画素は、
被撮像物体の対応する点の物理的な分子構造と表面形状
に応じた光の反射や吸収の結果として計測される状態を
代表するものであり、本来、スカラー量でなく、複数の
特徴量の組み合わせとしてのベクトル量として表現され
るべきものである。これを、スカラー量としてみなし画
素間の平滑化や微分操作する従来の画像処理技術では、
十分に画像の特徴抽出や強調表示が行うことができない
場合がある。
【0005】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、従来技術では十分に実施する
ことが難しいような条件においても、画像の特徴抽出や
強調表示が行うことが可能となるコンピュータによる画
像処理方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、読み取り手段により取得
された画像データを構成する画素行列からベクトルデー
タを構築し、そのベクトルデータを演算することにより
画像データを再構成し表示することを特徴とするコンピ
ュータによる画像処理方法(請求項1)を提供する。
【0007】さらに、この出願の発明は、具体的なベク
トルデータを構築方法として、読み取り手段により取得
された画像データを構成する画素行列において、各画素
の濃度を示す数値をスカラーポテンシャルとみなし、各
画素の数値により各画素の発散方向ベクトルを算出する
ことにより、画像データからベクトルデータを構築する
ことを特徴とする請求項1記載のコンピュータによる画
像処理方法(請求項2)、および、読み取り手段により
取得された画像データを構成する画素行列において、各
画素の濃度を示す数値を画像平面に対して垂直の方向を
持つベクトルポテンシャルとみなし、各画素の数値によ
り各画素の回転方向ベクトルを算出することにより、画
像データからベクトルデータを構築することを特徴とす
る請求項1記載のコンピュータによる画像処理方法(請
求項3)を提供し、特に、カラー画像を対象として、読
み取り手段により取得されたカラー画像データを構成す
る画素行列において、カラー画像を構成するそれぞれの
画素が持つ赤、緑、青の濃度を示す色情報の数値を直交
する3次元の空間ベクトルとみなすことにより、カラー
画像データからベクトルデータを構築することを特徴と
する請求項1のコンピュータによる画像処理方法(請求
項4)、および、読み取り手段により取得されたカラー
画像データを構成する画素行列において、カラー画像を
構成するそれぞれの画素が持つ赤、緑、青の濃度を示す
色情報の数値をスカラーポテンシャルとみなして、各画
素の各色成分ごとの発散ベクトルを算出し、各色成分の
発散ベクトルの縦方向成分および横方向成分の値を直交
する6次元の空間ベクトルとみなすことにより、カラー
画像データからベクトルデータを構築することを特徴と
する請求項1のコンピュータによる画像処理方法(請求
項5)を提供する。
【0008】さらに、その応用として、同一の読み取り
対象から複数の読み取り手段により取得された画像デー
タを構成する画素行列において、それらの解像度を同一
のものとし、それぞれの画素が持つ濃度情報の数値を直
交する多次元の空間ベクトルとみなすことにより、画像
データからベクトルデータを構築することを特徴とする
請求項1のコンピュータによる画像処理方法(請求項
6)も提供する。
【0009】また、この出願の発明は、上記のベクトル
データから画像を再構成する方法として、請求項1から
6記載のコンピュータによる画像処理方法において構築
されたベクトルデータを、ベクトルの大きさまたは方向
の一方、もしくは大きさおよび方向の両方の範囲によっ
て分類し、分類されたグループの中から特定のベクトル
を抽出し、その抽出されたベクトルデータから画像デー
タを再構成し表示することを特徴とするコンピュータに
よる画像処理方法(請求項7)を提供し、さらに詳しく
は、一定のベクトルの大きさまたは角度の範囲にあるグ
ループに属するベクトルを抽出し、その抽出されたベク
トルデータから画像データを再構成し表示することを特
徴とする請求項6記載のコンピュータによる画像処理方
法(請求項8)を提供する。
【0010】さらに、この出願の発明は、請求項1から
8に記載したコンピュータによる画像処理方法を実行さ
せ、結果として得られる画像を表示するためのプログラ
ムを記録したコンピュータにより読み取り可能な記録媒
体(請求項9)を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】この出願の発明のコンピュータに
よる画像処理方法は、読み取り手段により取得された画
像データを構成する画素行列から、画素ごとに対応する
多次元空間でのベクトルデータを構築し、そのベクトル
データを演算することにより画像データを再構成し、画
像を表示するものである。各画素の濃淡情報やカラー情
報を直接取り扱うのではなく、各画素の濃淡情報やカラ
ー情報を一度ベクトルデータに変換した上でベクトルデ
ータを演算し、さらに画像を再構成する。
【0012】読み取り手段により取得される画像として
は、スキャナやCCDカメラなどの手段により取得され
る画像に加えて、赤外線温度画像、X線,ガンマ線撮像
画像、超音波スキャンによる撮像画像、スキャン式レー
ザーを用いた距離や振動の2次元画像、磁場の分布画像
なども含まれる。赤外線温度画像、X線,ガンマ線撮像
画像、超音波スキャンによる撮像画像、スキャン式レー
ザーを用いた距離や振動の2次元画像、磁場の分布画像
などは、二次元、ないし、3次元画像として表現される
が、その中の各画素に対応する物理量は、映像とは別
に、スカラー量であったりベクトル量であったりする。
表示に際しては、これらの物理量を擬似カラー化して表
示に利用するが、計算機の内部では、画素ごとに複数の
属性を持つベクトル量として保持される。
【0013】この出願の発明のコンピュータによる画像
処理方法におけるベクトルデータの作成方法は、画像デ
ータを構成する画素行列において、各画素の濃度を示す
数値をスカラーポテンシャルとみなし、各画素の数値
と、隣接する画素の数値から、2次元平面での発散方向
ベクトルを算出することにより、画像データからベクト
ルデータを構築するものである。発散方向ベクトルは、
画像の横方向の座標をIで、縦方向の座標をJであらわ
したときに、
【0014】
【数1】
【0015】という中心差分式で与えられる。ここで、
U(I,J)は濃淡画像における座標(I,J)の画素
値、Vx,Vyはそれぞれ2次元の発散方向ベクトルの
横方向成分、縦方向成分を表わす。さらに、ベクトルデ
ータの作成方法は、画像データを構成する画素行列にお
いて、各画素の濃度を示す数値をベクトルポテンシャル
とみなし、各画素の数値と、隣接する画素の数値から、
回転方向ベクトルを算出することにより、画像データか
らベクトルデータを構築するものである。回転方向ベク
トルは、画像の横方向の並びをIで、縦方向の並びをJ
であらわしたときに、
【0016】
【数2】
【0017】という中心差分式で与えられる。ここで、
U(I,J)は濃淡画像の(I,J)番目の画素値、R
x、Ryはそれぞれ2次元の回転方向ベクトルの横方向
成分、縦方向成分を表わす。また、カラー画像を対象と
したベクトルデータの作成方法は、読み取り手段により
取得されたカラー画像データを構成する画素行列の赤、
緑、青の色情報の濃度を示す数値を直交する3次元の空
間ベクトルとみなすことにより、カラー画像データから
ベクトルデータを構築するものである。光の3原色は互
いに直交する情報であり、赤、緑、青の順で、光の波長
が短くなり、波長が短い色の画像データほど読み取り対
象の細かい形状情報を含んでいる。ベクトルデータを構
成するベクトルの大きさと方向は画素の色や明暗をあら
わし、ベクトルデータの分布は画像のもつ点、線、面の
情報を持つ。
【0018】さらに、この方法を発展させ、読み取り手
段により取得されたカラー画像データを構成する画素行
列の赤、緑、青の色情報の濃度を示す数値をスカラーポ
テンシャルとみなし、各画素の各色成分ごとの発散ベク
トルを式(1)より算出し、それぞれの発散ベクトルの
横方向成分、縦方向成分(赤−Vrx,Vry、緑−V
gx,Vgy、青−Vbx,Vby)を直交する6次元
の空間ベクトルとみなすことにより、カラー画像データ
からベクトルデータを構築することも可能である。この
方法により、ベクトルの次元を増やすことで、画像の持
つ情報を詳細に取り出すことが可能となる。
【0019】また、多次元のベクトルを構成する成分
は、1つの読み取り手段によるものに限定されるもので
はなく、同一の読み取り対象(被写体)から複数の読み
取り手段により画像データを取得し、それぞれの解像度
が同一になるよう調整を行い、直交する多次元の空間ベ
クトルとみなすことにより、画像データからベクトルデ
ータを構築することも可能である。
【0020】この出願の発明のコンピュータによる画像
処理方法において、前述の方法により変換されたベクト
ルデータは、ベクトルの大きさと方向のどちらか一方、
または、両方でグループに分類され、分類されたグルー
プの中から目的に応じて抽出を行い、抽出されたベクト
ルデータから画像データとして再構成され表示される。
このベクトルデータから画像データを再構成する方法に
より、画像の輪郭抽出やスケッチ表示が可能となる。
【0021】以上に示した、この出願の発明のコンピュ
ータによる画像処理方法は、プログラムとしてコンピュ
ータにより読みとり可能な記憶媒体に記録され、コンピ
ュータにより実行される。この出願の発明は、以上の特
徴を持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに具
体的に説明する。
【0022】
【実施例】実施例1 図1は、この発明のコンピュータによる画像処理方法の
基本的な実施手段を説明したものである。手段1では、
被撮像対象の画像を、読み取り手段により撮影しコンピ
ュータ処理が可能なデジタル値に変換する。画像データ
は、画素ごとの値Uw(I,J)として、白黒の場合、
濃淡に比例する値として表現する。カラー画像の場合、
3原色の要素である、赤(R)、緑(G)、青(B)の
各色の濃淡に比例する値を、Ur(I,J)、Ug
(I,J)、Ub(I,J)として表現する。I,J
は、2次元画像の横方向と縦方向の座標を示すインデク
スである。手段1では、この他に、赤外線温度画像な
ど、異なる撮像手段による画像を、Uir(I,J)と
いう形で同じ画角で撮像し、前記の画像と組み合わせて
利用することも可能である。手段2では、手段1で得ら
れた画像から、ベクトル画像データを得る手段である。
手段1では、白黒画像、カラー画像を、Um(I,J)
(M=1,2,..)という複数の画像に分ける。ここ
で、mは、白黒画像の場合、1であり、カラー画像の場
合、m=3で、赤、緑、青に対応するそれぞれの画像デ
ータを示すインデクスになる。また、複数n個の読取手
段により画像を取得した場合、m=nとなる。手段2で
のベクトル画像は、(1)式ないし(2)式で与えられ
る、発散方向ベクトル、ないし、回転方向ベクトルを求
める手段である。ここでは、一枚の画像データUm
(I,J)が、Um(x)(I,J)とUm(y)
(I,J)という2枚の画像データとして再構成され
る。これらの各画像をベクトルデータとして、
【0023】
【数3】
【0024】という形で表現できる。ここで、便宜上、
kというインデクスで、X,Y方向の微分を含めたすべ
てのベクトル要素を表現する。手段3では、このベクト
ル画像データ(U(I,J))の演算を行う。たとえ
ば、ベクトルの大きさを
【0025】
【数4】
【0026】としたとき、
【0027】
【数5】
【0028】とすると、一定の大きさだけのベクトルを
もった画像を残し、残りをゼロとする演算を行うことに
なる。こうして変換されたベクトル画像データを、手段
4では、計算機に表示可能な画像データに再度変換す
る。例えば、N個の分解能で表現する白黒画像の場合、
【0029】
【数6】
【0030】という形で、ベクトル画像データU(I,
J)の大きさUA(I,J)をその最大値で規格化した
画像データG(I,J)を得ることができる。このG
(I,J)を表示することで、原画像の特徴が強調され
た画像を表示することができる。カラー画像の場合に
は、R,G,Bに相当する画像に、式(3)によるベク
トル要素の演算結果のいずれかを当てはめることで復元
表示ができる。手段5は、前記のG(I,J)を表示す
る手段である。
【0031】図2に、第1の実施例として人間の濃淡画
像を示す。これは、顔の画像を、128×128個の画
素に分けて濃淡表示したものである。図3に、式(1)
より計算した発散方向ベクトル(A)と式( 2) より計
算した回転方向ベクトル(B)をそれぞれ示す。図4
は、式(5)により、一定の大きさの範囲にあるベクト
ルだけを抽出し、そのベクトルの大きさを式(6)に従
って濃淡画像として再構成した画像である。図4−Aは
発散方向ベクトルから、図4−Bは回転方向ベクトルか
ら、それぞれ再構成した濃淡画像である。原画像の輪郭
に着目したスケッチ画像が強調して表示できていること
がわかる。これは、発散方向ベクトルを用いても、回転
方向ベクトルを用いても同様の結果になる。
【0032】ベクトル抽出の演算処理として、前述の大
きさにによる方法ではなく、たとえば2次元ベクトルの
場合に
【0033】
【数7】
【0034】といった第1成分,第2成分の逆正接演算
によりもとまる角度が一定の範囲のものだけ、つまり、
一定の方向のものだけを抽出するといったことも本発明
では容易に可能になる。ベクトルが多次元の場合には、
最大の大きさを持つベクトル、UMAX=U(K,L)
をまず選択し、
【0035】
【数8】
【0036】で表される内積計算で一致度rを評価す
る。このrが一定の範囲のものだけを選ぶことで,同じ
特徴を持つ画像を選択可能になる。さらに、隣り合う画
素間でのベクトルが、ある範囲の大きさと方向を持つ場
合、以下の選択により、一定方向に傾向をもつベクトル
を抽出したり、逆に、ランダムなノイズを消去したりす
ることが可能になる。
【0037】
【数9】
【0038】ここで、(K,L)は、隣接する画素(I
+1,J)(I−1,J)(I,J+1)(I,J−
1)のいずれかとする。また、abs()はベクトルの
大きさの絶対値を、angle()はベクトルの角度を
表す関数である。 実施例2 図5は発明の対象とした顔のカラー画像である。この画
像から背景を除去し、顔の部分の抽出を行う。
【0039】図6はこのカラー画像の各3原色(赤−
R、緑−G、青−B)を分離して示したものであるが、
光の波長の長いR画像は、顔の平面的な輪郭を表現して
おり、波長の短いB画像は、細かい輪郭まで表現できて
いる。図7に、RGBの3成分を空間ベクトルとしたベ
クトル図を示す。図7より背景にあたる部分に一定方向
で大きなベクトルが見られる。この特徴を利用した背景
部分の除去を行うために、図7に示したベクトル画像を
構成するベクトルを大きさによって6段階に分類した結
果を図8に示す。ベクトルの大きさは、図8−1が最も
大きく、図8−6が最も小さい。すなわち、輝度の大き
い部分の順に並べている。輝度が一番大きい部分の画像
である図8−1は背景を表わし、図8−2〜6は輝度が
小さくなるほど、大まかな輪郭抽出になっていることが
わかる。したがって、利用目的に応じて、これらの段階
の表示の適切な部分を抽出して利用すれば良い。図9
は、ここでの目的である背景を除去を行うために、図8
−1の画像を除き、図8−2〜6のベクトル図の和か
ら、原画像のRGB成分を再構成して、図9を作成し
た。図9より、背景を取り除いた画像が得られているこ
とがわかる。 実施例3 次にコンクリート亀裂検知の例を示す。コンクリートの
亀裂は、亀裂部分での反射強度が弱くなり、他の部分と
の輝度の差で識別できることが考えられるが、微小な亀
裂を明確に認識することは難しく、画像処理による強調
表示が必要になる。図10は、微小亀裂のあるコンクリ
ート(A)と平坦なコンクリート画像(B)をCCDカ
メラにより撮影した画像を示すもので、それぞれカラー
画像(1)とR(2)、G(3)、B(4)に分解した
濃淡画像を比較して示している。RGBに分解した画像
は、正常画像と比較し、やや黒い部分が目立つが明瞭に
は識別できない。この各画像について、前述の実施例と
同じく、ベクトル画像データに変換して、その大きさを
6段階に分類した結果が図11である。図11−1が最
も輝度の大きいベクトルに対応する画像であり、以下、
図11−2から図11−6まで、順に輝度が小さくなっ
ている。亀裂に感度の高い部分として、輝度の小さい画
像である図11−3〜6の4枚の画像を、重ね合わせて
表示した結果を図12に示す。図12より、微小亀裂の
あるコンクリートの画像(A)は黒い部分、すなわち、
亀裂により光の反射がなくなっている部分が明瞭に区別
でき、平坦なコンクリート画像(B)と比べて、亀裂の
有無が強調表示されていることがわかる。
【0040】
【発明の効果】この出願の発明により、白黒画像、カラ
ー画像、さらには、赤外領域,紫外領域の波長の画像な
どを、ベクトル画像として表現し、そのベクトルの大き
さと方向の多重解像度解析を行うことで、要求する画像
の特徴を効果的に抽出し、さらに、特徴を強調した形で
復元表示ができる。白黒画像では、画素ごとの濃淡情報
を空間微分によりベクトル化し、また、カラー画像で
は、RGB3成分を3次元空間のベクトルとして表現す
ることで、ベクトルの大きさと方向に着目したフィルタ
リングが可能になる。このフィルタリングにより、画像
の輪郭線(スケッチ図)の作成を、要求する分解能で行
ったり、画像の背景部分を除去したり、更には、微細な
亀裂画像を、亀裂検知しやすいように強調表示するとい
ったことが可能となる。画像のベクトル表現とその大き
さや角度による分類は、必要とする特徴抽出の最適なア
ルゴリズムを作成する中間段階の手段として、画像処理
の専門家にとってきわめて有効な手段になるという効果
と、最終的に得られた強調画像が、画像の利用者にとっ
て広い応用領域をもつという効果の二つがあると考えら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像をベクトル画像に変換しベクトル演算によ
る特徴抽出と表示を行う方法に関するブロック図であ
る。
【図2】実施例1で使用した原画像である。
【図3】実施例1において、図2の減画像から作成した
発散方向ベクトル図(A)と回転方向ベクトル図( B)
である。
【図4】実施例1において、図3のそれぞれのベクトル
画像データから、一定の大きさ以上のベクトルだけを抽
出し、濃淡画像に復元表示することにより作成したスケ
ッチ画像である。Aの画像は発散方向ベクトルをもと
に、Bの画像は回転方向ベクトルをもとに作成した。
【図5】実施例2で用いたカラー画像の原画像である。
【図6】実施例2において、図5のカラー画像を構成す
る画素のRGBの各成分をそれぞれ切出した濃淡画像で
ある。
【図7】実施例2において、図5のカラー画像を構成す
る画素のRGBの各成分を空間ベクトルとして表現した
ベクトル分布図である。
【図8】実施例2において、図7のベクトル画像分布を
構成するベクトルを大きさにより6段階に分類して、各
段階ごとの画像を2値画像として表示したものである。
【図9】実施例2において、図8の6段階の分類画像か
ら、第1段階の画像を除去した残りの画像から構成した
画像である。
【図10】実施例3のコンクリートの亀裂検知におい
て、亀裂があるコンクリート(A)と平坦なコンクリー
ト( B) のカラー原画像(1)とR(2)、G(3)、
B(4)の各成分の画像である。
【図11】実施例3において、亀裂があるコンクリート
(A)と平坦なコンクリート(B)のベクトル分布を、
ベクトルの大きさで6段階に分類した各段階の2値画像
である。
【図12】実施例3において、図11の多重解像度表現
をした画像の一部を抜き出して画像を再構成し亀裂の有
無を強調表示した濃淡画像である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5B057 CA01 CA08 CA12 CA16 CB01 CB08 CB12 CB16 CE01 CE03 CE11 CE16 CG10 5C077 LL19 MP08 NN20 PP32 PP47 PQ12 5L096 AA02 EA23 FA06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 読み取り手段により取得された画像デー
    タを構成する画素行列からベクトルデータを構築し、そ
    のベクトルデータを演算することにより画像データを再
    構成し表示することを特徴とするコンピュータによる画
    像処理方法。
  2. 【請求項2】 読み取り手段により取得された画像デー
    タを構成する画素行列において、各画素の濃度を示す数
    値をスカラーポテンシャルとみなし、各画素の数値によ
    り各画素の発散方向ベクトルを算出することにより、画
    像データからベクトルデータを構築することを特徴とす
    る請求項1記載のコンピュータによる画像処理方法。
  3. 【請求項3】 読み取り手段により取得された画像デー
    タを構成する画素行列において、各画素の濃度を示す数
    値を画像平面に対して垂直の方向を持つベクトルポテン
    シャルとみなし、各画素の数値により各画素の回転方向
    ベクトルを算出することにより、画像データからベクト
    ルデータを構築することを特徴とする請求項1記載のコ
    ンピュータによる画像処理方法。
  4. 【請求項4】 読み取り手段により取得されたカラー画
    像データを構成する画素行列において、カラー画像を構
    成するそれぞれの画素が持つ赤、緑、青の濃度を示す色
    情報の数値を直交する3次元の空間ベクトルとみなすこ
    とにより、カラー画像データからベクトルデータを構築
    することを特徴とする請求項1のコンピュータによる画
    像処理方法。
  5. 【請求項5】 読み取り手段により取得されたカラー画
    像データを構成する画素行列において、カラー画像を構
    成するそれぞれの画素が持つ赤、緑、青の濃度を示す色
    情報の数値をスカラーポテンシャルとみなして、各画素
    の各色成分ごとの発散ベクトルを算出し、各色成分の発
    散ベクトルの縦方向成分および横方向成分の値を直交す
    る6次元の空間ベクトルとみなすことにより、カラー画
    像データからベクトルデータを構築することを特徴とす
    る請求項1のコンピュータによる画像処理方法。
  6. 【請求項6】 同一の読み取り対象から複数の読み取り
    手段により取得された画像データを構成する画素行列に
    おいて、それらの解像度を同一のものとし、それぞれの
    画素が持つ濃度情報の数値を直交する多次元の空間ベク
    トルとみなすことにより、画像データからベクトルデー
    タを構築することを特徴とする請求項1のコンピュータ
    による画像処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から6記載のコンピュータによ
    る画像処理方法において構築されたベクトルデータを、
    ベクトルの大きさまたは方向の一方、もしくは大きさお
    よび方向の両方の範囲によって分類し、分類されたグル
    ープの中から特定のベクトルを抽出し、その抽出された
    ベクトルデータから画像データを再構成し表示すること
    を特徴とするコンピュータによる画像処理方法。
  8. 【請求項8】 一定のベクトルの大きさまたは角度の範
    囲にあるグループに属するベクトルを抽出し、その抽出
    されたベクトルデータから画像データを再構成し表示す
    ることを特徴とする請求項6記載のコンピュータによる
    画像処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から8に記載したコンピュータ
    による画像処理方法を実行させ、結果として得られる画
    像を表示するためのプログラムを記録したコンピュータ
    により読み取り可能な記録媒体。
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