JP2000241373A - 非常に大きな分子の溶液nmrにおける相関緩和による分極移動 - Google Patents
非常に大きな分子の溶液nmrにおける相関緩和による分極移動Info
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Abstract
用の「基礎的要素」として使用可能であり、INEPT
等の従来技術の方法と比較してより高感度な新規な分極
移動要素を提供する。 【解決手段】 核Iのスピンを励起する第1の90°パ
ルスと核Sのスピンを励起する更なる90°パルスある
いは核Iのスピンに作用する第2の90°パルスのいず
れかとの間の期間Tの間に核Sのスピンに作用する反転
パルスがなく、そして、前記期間Tの長さは、 (式中、Rcは、核Iの横相関緩和速度であり、RIは、
核Iの全横緩和速度であり、そしてJISは、核I及びS
間のスカラー結合定数である)が、最小と成るように選
択される。
Description
に、互いに結合した少なくとも2種類のスピン1/2核
I及びSを含んで成る溶液中の生物学的巨大分子のスピ
ン系の核磁気共鳴(NMR)実験において分極移動を行
う方法であって、前記スピン系には、均質な磁場B0が
かけられ、核Iのスピンを励起する第1の90°パルス
と、遅延時間の後に核Sのスピンを励起する更なる90
°パルスとを含んで成るラジオ周波数(rf)パルス系
列が照射される方法に関する。
ンによって、スピン−スピン結合を介した磁化移動を記
述した、J. Am. Chem. Soc.101, (1979) p.760-762中で
発表されたINEPT型実験において用いられている。
系列が、大きな生物学的巨大分子の研究のために、異核
NMR実験の移動要素として広く用いられている。しか
し、分子量が100,000を超える場合、移動時間が
制限要因となり、INEPT系列は良好な結果を生み出
すことができないであろう。
法を改良し、100,000をはるかに超える分子量を
有する巨大分子を含む非常に多様な複合NMR実験用の
「基礎的要素」として使用可能であり、従来技術の方法
と比較してより高い感度をもたらす新規な分極移動要素
を提供することである。
fパルス系列が、前記核Iのスピンを励起する前記第1
の90°パルスと前記核Sのスピンを励起する前記更な
る90°パルスあるいは前記核Iのスピンに作用する第
2の90°パルスのいずれかとの間の期間Tの間に前記
核Sのスピンに作用する反転パルスがないように選択さ
れ、そして、前記期間Tの長さは、
あり、RIは、核Iの全横緩和速度であり、そしてJIS
は、核I及びS間のスカラー結合定数である)が、最小
と成るように選択されることにおいて達成される。
化を移動するINEPT法の主要な特徴を、相関緩和誘
導分極移動の利点と組み合わせることができる。この組
み合わせは、主として前記期間T中の再結像及び反転パ
ルスの省略によって達成することができる.このこと
は、一見驚くべきことである。なぜならば、期間T中に
は、磁化成分は、分散し、したがって大きく減衰するの
で、いずれにせよrfパルス系列をかけた後の磁化の検
出のためにはこれらのパルスは必要であるというのが通
常の観念だからである。しかし、本発明のrfパルス系
列は上述の信号の損失を埋め合わせるにとどまらないの
で、再結像機構を省略したにもかかわらず、依然として
十分な磁化があるようであり、それゆえ、本発明の方法
は、いずれにせよ大きな分子に有効であることが判明し
た。
磁場勾配G1が前記期間T内にかけられ、アーティファ
クトの除去を可能にする。
Iに作用する180°パルスが前記期間Tの中ほどで照
射され、かくして化学シフトによる磁化を再結像させ相
関弛緩による磁化移動のみを選択する。
G1が前記180°パルスの前に期間T/2内にかけら
れ、別の磁場勾配G1が前記180°パルスの後に、期
間T/2内にかけられ、それによりアーティファクトが
効率的に除去される。
の方法の別の態様においては、核Sのスピンを励起する
前記更なる90°パルスが、核Iのスピンに作用する前
記第2の90°パルスと同時に照射される。
を励起する前記更なる90°パルスが遅延時間の後に核
Iのスピンに作用する前記第2の90°パルスに続くよ
うに行うことができる。
Iのスピンに作用する前記第2の90°パルスと核Sの
スピンを励起する前記更なる90°パルスとの間の前記
遅延時間内に磁場勾配G2がかけられる。これにより、
系列の終わりで実験において無用である磁化成分が除去
される。
ては、核Sのスピンを励起する前記更なる90°パルス
が、核Iのスピンを励起する前記第1の90°パルスに
続く前記期間Tの後に照射され、そして核Iのスピンに
作用する前記第2の90°パルスが省略され、かくして
ゼロ及び二量子コヒーレンスを得ることが可能になる。
rfパルス系列は、核Iのスピンを励起する前記第1の
90°パルスに続く前記期間Tの後に核Sのスピンを励
起する前記更なる90°パルスと同時に照射される核I
に作用する180°パルスを含んで成り、核Iのスピン
に作用する前記第2の90°パルスが核Iに作用する前
記180°パルスに続く第2の期間Tの後に照射される
ことを特徴とする。これにより、化学シフトによる磁化
の展開を再結像させることが可能になる。
場勾配G1が第1の前記期間T内にかけられ、もう1つ
の磁場勾配G1が前記第2の期間T内にかけられ、それ
によってアーティファクトを除去する。
励起する前記第1の90°パルスの照射の前の実験の始
めにおいて、核Sのスピンに作用する90°パルスが照
射され、引き続いて、核Sの初期磁化を損ずる磁場勾配
G0がかけられる。かくして、S磁化の影響が、観察下
の系のにおけるスピンの更なる展開から除外される。
を抑制するのに適合した部分を含んで成る時、本発明の
方法にとって有利であり得る。
B0に沿う溶媒の磁化を維持するのに適合した部分を含
んでなる時、有利であり得る。
のための通常の多次元NMR実験において、スピン−ス
ピン結合を介した磁化移動(INEPT)は、パルス・
スキームの重要な要素である。100,000を超える
分子量の場合、移動期間中の横緩和は、制限要因となる
かもしれない。この発明は、CRINEPTと呼ばれる
大きな分子に有効な新規な移動技術を提供するが、それ
は、相関緩和誘導分極移動の使用によりINETP移動
のサイズ制限を大きく除去するものである。相関緩和に
よる分極移動の速度は回転相関時間と逆比例する結果、
超高分子量の溶液NMRにとって高効率の移動機構にな
る。第1の実施形態としては、CRINEPT及びTR
OSYの両方にとっての、15N−1H部分の双極子−双
極子結合と化学シフト異方性との相関を利用する
[15N,1H]相関実験が計画された。INEPTベー
スの[15N,1H]TROSYと比較して、これらの新
規な実験では、約70nsの回転相関時間を有する、4
℃の水溶液中の110,000MW(分子量)タンパク
質のアミド基の場合、3倍までの信号の改善が得られ
た。CINEPTは、例えば、ミセル又は脂質小胞に可
溶化された膜タンパク質、核酸断片に付着したタンパク
質、又はオリゴマータンパク質などの超分子構造の溶液
NMRにとって新しい道を開くものである。
定(Weuthrich, 1986)は、今までのところ、約30k
Daまでの範囲の分子量に制限されており(Clore & Gro
nenborn, 1997)、約60kDaまでの2H標識付けタン
パク質の主鎖帰属決定をもたらす実験が報告されている
(Shan et al, 1996)。より大きい分子種の場合、標準
的な実験技法(Bax & Grzesiek, 1993; Wider, 1998)
は、最適の同位体標識付けが用いられた時でさえ(LeMa
ster, 1994)も、横緩和により重大な感度喪失になる。
観察期間中の横緩和を低減するTROSY技法の導入に
より最近改善された(Pervushin et al., 1997; Salzma
nn et al., 1998)。例えば、タンパク質中の15N−1H
部分の場合、15N展開及びアミドプロトン採取期間中の
横緩和のかなりの低減が、現在得られる最高の1H周波
数で達成され得、ほぼ完全な解除が1GHz(Pervushi
n et al., 1997)近傍の1H周波数で予期される。TR
OSYは、既に、100kDa(Salzmann et al., 199
8)を超える分子量を有するタンパク質の詳細なNMR
研究に適用されている。理論的検討によれば、異なる核
の間のスカラー結合を介したINEPT型(Morris and
Freeman, 1979)磁化移動期間中の高速の横緩和のため
に、TROSYは、やや大きいサイズでその限界に達す
るであろうことが示される。
な移動技術、CRINEPT(Cross RelaxatIoN-Enhan
ced Polarization Transfer(相関向上分極移動))を
提示するが、CRINEPTは、相関緩和(Goldman, 1
984; Wimperis & Bodenhausen, 1989; Boyld et al.,
1990; Breuschweiler & Ernst, 1991)とスカラー結合
に基づいている。分極移動のための相関緩和、即ちCR
IPT(Cross-correlated Relaxation-Induced Polari
zation Transfer(相関緩和誘導分極移動))、の性能
は、双極子−双極子結合(DD)による緩和及び化学シ
フト異方性(CSA)による緩和との間に相関性を有す
る溶液中の非常に大きな粒子のための新規な実験用の具
体化例を用いて、15N−1H部分について調べられた。
次に、15N展開及び1HN採取期間中にTROSYも利用
した[15N,1H]相関実験におけるCRINEPTの
最初の実施形態を説明する。データセットは、約70n
sの有効な回転相関時間を用いた2H,15N−標識タン
パク質について記録された。
分における同相1Hコヒーレンスの逆位相15Nコヒーレ
ンスへの移動(Goldman, 1984; Wimperis & Bodenhause
n, 1989; Breuschweiler & Ernst, 1991; Pervushin et
al., 1997)が考察される。プロダクト・オペレータ・
フォーマリズム(Sorensen et al., 1983)を用い、ス
ピン・オペレータIは、1Hに対応し、Sは、15Nに対
応し、そして二つのスピンはスカラー結合定数JIS及び
共鳴周波数ωI及びωSを有する。大きな分子サイズの場
合、高磁場では、ゼロ周波数におけるスペクトル密度関
数、J(0)、に比例する項のみが検討の必要がある
(Pervushin et al., 1997)。等方回転タンブリングの
場合、J(0)は2τc/5に等しい(式中、τcは分子
の異方回転相関時間である)。同相コヒーレンスの展開
は、相関緩和速度RCを介して逆位相コヒーレンスに結
合される。磁化移動期間Tの開始時におけるスピンIへ
の同相磁化<Ix>(0)から始めて、期間T中のCR
IPTにおける逆位相コヒーレンスの形成は、下記によ
り記述できる:
距離であり、ΔσIは、原子核IのスピンのCSAテン
ソルであり、B0は、静磁場であり、γI及びγSは、I
及びSの磁気回転比である。T2I及びTISは、スピンI
の横緩和時間及びスピンSの縦緩和時間を示す。) 可変回転相関時間τcでのCRIPT(式(1)〜
(3))又はINEPT(Morris and Freeman, 1979)
を用いた分極移動の相対的効率は、図1(a)において
比較される。INEPTにおける逆位相磁化の発生は、
下記の式により記述される:
cとの積の中に現れ、CRIPT用の最適の移動時間
は、τcと逆比例している。したがって、Tを適切に調
節することにより、CRIPTにより移動可能な磁化の
最大量は分子サイズからは独立になる(図1(a))
が、この場合、約20nsより短いτc値の場合の最適
の時間Tが、法外に長いであろうということを考慮しな
ければならない。対照的に、INEPTの効率は、サイ
ズの増大(式(4)、図1(a))とともに、急速に低
下する。
質(図1(b))のβシート中に位置する15N−1H部
分のCRIPTの磁場依存性は、CRIPTを用いた最
大の理論的磁化移動が、INEPTによる最大移動の約
半分であり、15N−1H部分の最大CRIPT移動が、
約1GHzで得られる(Pervushin et al., 1997; Weuth
rich, 1998; Salzmann et al., 1998)ということを示
す。図1(a)及び(b)はさらに、CRIPTがτc
≧100nsを有する分子の場合、INEPTより効率
的に成ること、しかし、INEPTは、τc≒300n
sまでの分極移動にかなり効果があるということを示
す。
INEPTの観察に基づいて、また、50〜300ns
の範囲のτc値を有する系に特に実用上の関心があるで
あろうということを考慮して、本発明者等は、CRIN
EPTにおいて2つの分極移動機構を組み合わせたが、
その際、プロトン逆位相コヒーレンスは、ラジオ周波数
パルスを欠いた遅延Tの間に発生させられ、その結果、
CRINEPT移動の場合の下記の項(5)及び(6)
と成る(Goldman, 1984の微分方程式(32)から得ら
れる):
た逆位相磁化のx成分及びy成分である。得られた全磁
化の相対的な向きは、したがって、τcと混合時間Tに
依存し、信号振幅AI(図1(a)参照)によって表さ
れるCRINEPTの移動効率は、全逆位相磁化の絶対
値に比例する。
Tの全分極移動への相対的貢献度を容易に評価すること
ができるが、式(5)及び(6)は、両項におけるスカ
ラー結合(三角関数)及びCRIPT(双曲線関数)を
介した分極移動の混合を含む。短いτcの場合、速度RC
は、無視できるほど小さく、INEPTのみがCRIN
EPTに貢献するが、他方、長いτcの場合、RCは大き
くなり、CRIPTが主要な分極移動機構(式(3)及
び図1(a))である。原則として、CRINETP
は、常に、INEPT又はCRIPTより優れている
(図1(a))。しかし、CRINEPT移動中の遊離
プロトン化学シフトの展開は、別のパルス系列要素によ
り処理されねばならず、それにより全体の感度がやや低
下するかも知れない(下記参照)。
PTによる磁化移動の比較研究のためのパルス・スキー
ム 図2(a)〜(c)中の3つの実験スキームは、先に検
討した3つの移動タイプによる1HN上の同相磁化から15
N上の逆位相磁化への単一の移動(図2(a)〜(c)
中の矢印)の効率の測定に用いられた。各実験におい
て、15N逆位相コヒーレンスは、t1の期間中、周波数
標識付けされており、I及びSへの前記2つの90°パ
ルスを用いて1HN逆位相磁化と同一に移動される。すべ
ての測定において、水磁化は、全系列中、水選択的パル
スを用いてz軸に沿って維持される。
(図2(a))においては、第1の90°パルスにより
発生する同相1HN磁化が、式(1)にしたがって、相関
緩和により逆位相磁化に移動される。プロトン化学シフ
ト展開は、180°パルスにより再結像され、それが、
15Nからのプロトンのデカップリングも行う。期間Tの
終わりでは、I及びS上の90°パルスは、逆位相コヒ
ーレンス2IzSyを発生させる。磁化フローは、略式表
記で、Iy→2IySz→2IzSy(図2(a)参照)の
ように記述することができる。
ては、コヒーレンスのフローは、I y→2IxSz→2Iz
Syである。
おいては、期間T中の180°ラジオ周波数パルスの不
在により、相関緩和とスカラー結合とによる磁化移動が
得られる。さらに、期間T中に1H化学シフト展開が発
生する。時点aにおける結果としての逆位相コヒーレン
スは、密度マトリックス
2Iは、式(5)及び(6)によって与えられる。CRI
NEPT移動効率は、第2の90°プロトン・パルス
(図2(c))にそれぞれx又は−y相を用いる2つの
実験により測定することができる。位相−yを用いて、
式(8)の第1項が検出され、位相−xを用い、第2項
が検出される。
15N,1H]相関実験 CRINETPの実際的な応用については、本発明者等
は、期間T中の勾配(図3(a))を用いたが、それ
は、式(8)を下記の式(9)に変える:
Γ=G1γHτz(式中、τは、パルス化された磁場勾配
の長さであり、G1は、その強さ、及びzは、z軸に沿
う観察されたスピンの位置を表す)によって示される。
図2(c)に示されるCRINEPT移動要素の直接の
使用は、式(9)の成分の半分のみが回収可能であるた
め、感度が低減する結果となるであろう。さらに、図3
(a)の[15N,1H]−CRINEPT−TROSY
実験で実証されたように、位相感受的な[15N,1H]
相関実験を得るためには、再結像要素をパルス系列に導
入しなければならない。あるいはまた、第2の90°プ
ロトン・パルス(図2(c))を省略した場合、図3
(b)の[15N,1H]−CRINEPT−HMQC実
験で実証されたように、ゼロ及び二量子コヒーレンスが
発生し、式(9)の全ての項を移動、再結像させること
ができる。
INETP相関実験を示す。下記の記述では、採取期間
中に検出可能な信号に至る磁化成分のみが保持されてい
る。第1の期間Tの後のパルス・スキームの時点aにお
いては、磁化は式(9)によって記述される。その後の
パルスにより、式(9)の最初の項のみが15N上の横方
向磁化に移動され、それが次に、期間t1中に周波数標
識付けされ、時点bにおいて下記の項となる:
系列成分は、第1のCRINEPT成分の期間中のプロ
トン化学シフトの歳差運動と第1の勾配の効果を再結像
させ、15N上の最後の90°パルスの直前に、式(1
0)の同相の項が下記のコヒーレンス:
1Sは、インデックスI及びSの交換後、式(5)及び
(6)により、緩和速度RI及びRC(式(2)及び
(3))を用いて、算出される。最後に、位相Ψ2=x
+arctan(A2S/A1S)を有する15Nに最後の90°パ
ルスをかけて、下記のプロトン逆位相コヒーレンスが発
生させられる(ASは、式(7)により、インデックス
IをSに置き換えて算出される):
る:
間T中のSzIz状態の緩和による信号振幅の低減を表
す。)式(12)及び(13)中の同相及び逆位相の成
分は、反転相Ψ2を有する2つのFIDを記録すること
により分離される。
PT−HMQC実験においては、両方の移動要素がCR
INEPT及び異なる位相に基づき、式(9)の移動方
法を用いて得られた化学シフト変調は、プロトンへの1
80°パルス及び第2のCRINEPT要素により最適
に再結像される。実験は、[15N、1H]−HMQC(M
ueller, 1979)に基づいており、それは、15N展開期間
中のTROSY補償を含まず、多量子状態期間中のDD
緩和の欠如の恩恵を受ける。
れた7,8−ジヒドロネオプテリン・アルドラーゼを用
いて記録された。このタンパク質は、121個のアミノ
酸残基のサブユニットを有するホモ8量体である。本明
細書の実験の場合、それは、15Nを用いて均一に、そし
て2Hで75%まで同位体標識付けされ、0.4mMの
タンパク質濃度を用いてH2O中4℃で調べられた。2
0℃での1 5NのT1及びT2緩和測定(Kay et al., 198
9)に基づいて、本実験の条件下の回転相関時間τcは、
70nsであると推定された。全てのNMRスペクトル
は、4つのラジオ周波数チャンネルとz方向に沿うシー
ルドされたパルス化磁場勾配を備えたBruker DRX-750ス
ペクトロメータ上で測定された。
移動 CRINEPTの使用のための基礎を与えるために、4
℃のH2O溶液中の15N,2H標識付けされたS.アウレ
ウス・アルドラーゼを用いて、約70nsの有効回転相
関時間で、巨大分子系中で図2(a)〜(c)の3つの
移動機構の各々につき、最適の移動時間Tを評価した。
移動効率は、可変移動時間Tで図2(a)〜(c)中の
パルス系列を用いた連続実験から測定された。0〜15
msのCRIPTの場合の発生曲線は、高速の増大と、
それに続くプラトー及び指数関数的減衰を示し、それ
は、シミュレーション(図4)について得られた密切な
適合により実証されるように式(1)に対応する。最適
な移動減衰は、アルドラーゼの異なる15N−1H基につ
いては、4〜13msの観察範囲で、約6msである。
H部分のINETP移動の場合は、最適の遅延は、約3
ms(図4)であり、緩和なしで得ることが可能であろ
う最大の移動の約50%のみが達成される(図1(a)
及び4)。にもかかわらず、τc=70nsで、現在調
べられた系の場合、観察されたINEPT移動の最大値
は、最大のCRIPT移動を約1.5倍(図4)上回
る。
式(9)の測定された発生(build-up)への適合によ
り、式(9)の全てのコヒーレンスが、実験でさらに使
用可能であれば、CRINEPTは、全ての相関時間に
対して、INEPT及びCRIPTより優れているとい
う理論上の予測(図1(a))の正しさが確認された。
図4の系においては、CINEPTの最適な移動遅延
は、約4msであり、かくして前記2つの基礎的な実験
の最適T値の間にある。CRINEPT、INETP及
びCRIPTの場合の相対的最大移動は、約7.6:
5:3.4(図4)であり、それは、τc=70ns
(図1(a))のタンパク質の場合の理論値とよく符合
する。
1H]相関実験 [15N,1H]−CRINEPT−TROSY実験(図
3(a))は、移動遅延及び発生期間中の横緩和最適化
を含む。図5に示されるピークの測定により、[15N,
1H]−TROSYと比較して、2倍の信号増大が得ら
れた。その他の高速緩和アルドラーゼ信号の場合は、
1.5と3との間のゲインが得られた。図3(a)の実
験スキームは、図5(式(12)及び(13))中の塗
りつぶした円により示される15N−1H信号の2つの多
重線成分を選択するように設計されている。アルドラー
ゼについて得られたスペクトルにおいては、これらの2
つの成分のうちのより急速に緩和する方が、検出可能な
範囲を超えて広げられたほとんどの信号中にある(図5
(a)の中ほどのパネル)。両方の成分が、1つの高度
に柔軟な主鎖15N−1H基とアルギニン側鎖のいくつか
についてのみ観察可能であった。
C実験(図3(b))では、CRINEPT要素の間の
プロトン化学シフト展開による磁化の損失は全くない。
間接的な次元においてはTROSY補償がないので、[
15N,1H]−TROSY(図5)と比較して、15N−
線幅の約2倍の増大がある。同等の15N線幅を強制する
ために15N次元中に強力な複素(ガウス)窓関数を適用
した後に、信号対雑音比において、標準的な[15N,1
H]−TROSYと比較して1.4倍の増大が測定され
た(図5)。採取中にデカップリングが適用されない
(図3(b))ので、15N−1H部分毎に2つの多重線
ピークが予期される。しかし、移動要素及びt1展開中
の低磁場成分の高速緩和により、アルドラーゼ中のほと
んどの15N−1H基について緩慢な緩和成分のみが検出
可能であった(図5(b))。この[15N,1H]相関
ピークは、4線信号の成分のいかなるもののピークとも
異なった位置にある、即ち、それは、TROSY成分を
基準にしてω1(15N)に沿って約45Hzだけ高磁場
側にシフトしている(図15)。
は、異なるスピン種間で磁化を移動するのにINEPT
を用いている(Wider, 1998)が、INEPTの効率
は、回転相関時間τcの増大とともに劣化する(図1
(a))。対照的に、CRIPTによる分極の移動は、
τcからは、独立である。さらに、アミド基類において
は、CRIPTの効率は、約1GHzプロトン周波数ま
で外部磁場の強さを増大させるに伴って高くなるが、I
NEPT移動の感度は、増大したCSA緩和のためにさ
らに劣化する。110kDaのS.アウレウス・アルド
ラーゼを用いた本実験により、回転相関時間が約50〜
300nsの分子の場合、INEPT及びCRIPTの
両方が、アミド基類中の1H及び15N間の分極移動をか
なり促進することを示して、図1(a)及び(b)の理
論的考察が確認されたが、それがCRINEPTで利用
されている。
RINEPTベースの[15N,1H]相関実験は、大き
な分子の多種多様なNMR実験のための基礎的要素とし
て使用可能であり、その実験には、単純な2次元実験
(Bodenhausen & Ruben, 1980;Ernst et al., 1987, We
uthrich, 1986)、連続した残余内主鎖帰属用の3重共
鳴実験(Montelione & Wagner, 1989; Ikura et al., 1
990; Bax & Grzesiek, 1993)、側鎖帰属用の実験(Bax
et al., 1990; Ikura et al., 1991; Grzesiek& Bax,
1992)、及び分子力学の研究のための実験(Kay et a
l., 1989; Peng &Wagner, 1992; Kay et al, 1992; Day
ie & Wagner, 1994)が含まれてよい。例えば、
[15N,1H]−CRINEPT−TROSY実験(図
3(a))は、3重共鳴実験に用いてよく、[15N,1
H]−CRINEPT−HMQC(図3(b))は、3
D15N溶解[1H,1H]−NOESYなどの短い15N展
開期間を用いる多次元実験における好ましい選択となり
得る。
RIPTは、CRINEPTとほとんど同じくらい感度
がよいことが予見される(図1(a))。CRIPT
は、そのとき、最適移動時間Tがτcに逆比例するので
(式(1))、より小さい分子から発生する共鳴を除去
する「フィルタ」としても使用可能である。
和による磁化移動に焦点を当てているが、CRINEP
T原理のより一般的な利用は、他の種類の相関緩和を含
んでいてよい。全般に、TROSYと組み合わされたC
RINEPTは、ミセル又は脂質小胞に可溶化された膜
タンパク質、大きな核酸断片に付着したタンパク質、又
はオリゴマー・タンパク質などの、数百kDaの分子量
のNMR研究のための新しい道を開くものである。
netism (Clarendon Press, Oxford). Bartels, C., Xia, T., Billeter, M., Guentert, P. &
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EPT(相関向上分極移動)は、100,000をはる
かに超える分子量を有する巨大分子を含む非常に多様な
複合NMR実験用の「基礎的要素」として使用可能であ
り、INEPT等の従来技術の方法と比較してより高感
度な新規な分極移動要素となる。
される分子サイズに対する750MHzプロトン周波数
でのCRIPT、INEPT及びCRINEPT用の最
適移動遅延T(式(1)〜(7)参照)を用いた相対的
磁化移動効率を図示したものである。CRIPTグラフ
は、最適遅延時間Tが法外に長くなるであろうというこ
とを示すために小さいτc値が破線を用いて示されてい
る。同図(b)は対応する1H周波数で表される静磁場
B0に対するCRIPTを用いて得ることができる最大
分極移動を図示したものである。曲線は、充分に15N,
2H標識付けされたたんぱく質のβシート中に位置する
15N−1H部分について式(1)〜(7)を用いて計算
された。下記のパラメータが同図(a)及び(b)で使
用された(Salzmann et al., 1998): rHN=1.0
4Å,ΔσH=15ppmそしてΘ=10°。検討され
た遠隔プロトンは、それぞれ距離4.3、4.3及び
3.3Åの1HN(i−1),1HN(i+1)及び1H
N(j)である。これらは、15N,2H標識付けタンパク
質中のβシートにとって典型的な値であり、iは観察さ
れた残基であり、(i−1)及び(i+1)が連続する
隣同士であり、jがβシートを横切る長い範囲の接触を
示す(Weuthrich, 1986)。
T(同図(b))及びCRINEPT(同図(c))に
よる磁化移動の直接の比較のために用いられたパルス系
列を示す図である。各スキームにおいて、コヒーレンス
のフローは、灰色の曲線の矢印で示されている。狭いバ
ー及び広いバーは、非選択的90°及び180°パルス
を示す。サイン−ベル(Sine-bell)の形は、水共鳴上
の選択的90°パルスを表わし、それが系列全体のz軸
に沿う水磁化を維持している(Grzesiek &Bax, 199
3)。PFGという印のついた線上で、四角形は、z軸
に沿ってかけられるパルス化された磁場勾配を示す。S
定常状態磁化は、Sへの90°パルスと、それに続く第
1のプロトンパルスより前のパルス化された磁場勾配に
よって抑制された。同図(c)においては、図示されて
いるように第2のプロトン・パルス上の位相xを有する
実験と位相−yを有する実験との2つの実験が記録され
た。関連する水フリップ・バック・パルスの位相も変更
された。
N,1H]相関実験である。同図(a)は、充分に緩和
最適化された[15N,1H]−CRINEPT−TRO
SYである。同図(b)は、[15N,1H]−CRIN
EPT−HMQCである。狭いバー及び広いバーは、プ
ロトン(1H)又は窒素(15N)周波数でかけられた非
選択的90°及び180°パルスを示す。1Hの印がつ
いた線上のサイン−ベル(Sine-bell)の形は、系列全
体中のz軸に沿う水磁化を維持するための水共鳴への選
択的90°パルスを示す(Grzesiek & Bax, 1993; Piot
to et al.,1992)。期間Tの最適の長さは、式(7)に
より設定され、典型的には、3ms及び5.4msの間
である。PFGの印がついた線上では、四角形は、z軸
に沿ってかけられたパルス化された磁場勾配の期間及び
強さを示す。同図(a):G0:400μS,15G/c
m; G1:400μs,15G/cm。同図(b):
G1:1000μS,30G/cm。両方の実験の位相
サイクルは、φ1={x,−x}、Ψ1={x,−x}で
ある。ほかの全てのラジオ周波数パルスは、異なる標識
付けがなされない場合、位相xでかけられた。同図
(a)においては、2つの自由誘導減衰(FID)が各
t1増分について、それぞれ、Ψ2={x,x}及びΨ2
={−x,−x}で、記録され、両次元において90°
位相補正を用いて加算された。15N(t1)次元におけ
る直角離角検出は、位相Ψ1に適用された状態−TTP
I法(Marison et al., 1989)により達成された。水選
択的パルスは、ガウスの(複素)形状を有し、長さ1.
3msである。
1.0ppm,ω2(1H)=11.1ppmの15N,2H
標識付けされたS.アウレウス・アルドラーゼ(タンパ
ク質濃度0.4mM、溶媒H2O、温度4℃)の良く分
解された15N−1HクロスピークについてのCRIP
T、INEPT及びCRINEPTの磁化移動の生成曲
線である。生成曲線は、可変T値で図2のパルス系列を
用いた連続的測定により得られた。CRINEPTの場
合、それぞれ位相シフト−x及びyを有する2つのFI
Dが、各増分t1(図2(c))について測定された。
このようにして得られた2つのスペクトルは、期間t1
中のプロトン化学シフト発生に関してコサイン又はサイ
ン変調され、個別のクロス・ピークの絶対値強度を算出
するのに使用された(式(7))。CRIPT、INE
PT及びCRINEPT生成曲線は、式(1)、(4)
及び(7)をそれぞれ使用し、CRIPTには、RC=2
36 +/- 10s-1 及びRI=172 +/- 13s-1、INEPTに
は、RC=254 +/- 18s-1、そしてCRINEPTに
は、RC=238 +/- 13s-1及びRI=153 +/- 13-1を用い
て適合させられた。
l., 1998)、 [15N,1H]−CRINEPT−TRO
SY(図3(a))及び[15N,1H]−CRINEP
T−HMQC(図3(b))の信号強度及び線形の比較
を示す図である。データは、H2O中の、均一に15N,
75%2H標識付けされたS.アウレウス・アルドラー
ゼを用いて温度4℃、750MHz1H周波数で記録さ
れ、Gly43の主鎖アミド部分が示されている。フー
リエ変換前に、3つのデータセットは、全ての次元にお
いてコサイン窓関数を用いて乗算され、プログラムPR
OSA(Guenter et al., 1992)を用いて256*20
48複合ポイントのサイズに変換された。総測定時間
は、各実験ごとに4時間であり、それぞれ、t1max=5
0ms及びt2max=98ms、T=5.4ms、Ψ2=
{x,x}及び{−x,−x}であり、インタースキャ
ン遅延は、0.7sであった。最上部のパネルは、3つ
の実験によるピーク選択を示す。黒い丸で示されるよう
に、大きな分子の場合は、4成分信号のもっともゆっく
り緩和する成分のみがTROSY(Pervushin et al.,
1997)で検出され、[15N,1H]−CRINEPT−
TROSYは、最も遅い緩和成分及び最も速い緩和成分
を選択し、[15N,1H]−CRINEPT−HMQC
は、プロトン次元において、2重線を生み出した。最上
段から2段目のパネルは、主鎖15N−1H基の1つの信
号を含むスペクトル領域の輪郭図を示す。図の下半分の
2段のパネルは、輪郭図に示されているピークを通るω
2(1H)及びω1(15N)に沿う断面を示す。同図
(b)には、2つのピークが示され、細い線は、他の2
つの実験について同一のデータ処理で得られた信号を示
し、太い線は、TROSYに関して同じ線幅を得るため
に(テキスト参照)、フーリエ変換前に、15N次元にお
いて、強力な複素(ガウス)窓関数を用いて得られた結
果を示す。
Claims (13)
- 【請求項1】 大きな分子、特に、互いに結合した少な
くとも2種類のスピン1/2核I及びSを含んで成る溶
液中の生物学的巨大分子のスピン系の核磁気共鳴(NM
R)実験において分極移動を行う方法であって、前記ス
ピン系には、均質な磁場B0がかけられ、核Iのスピン
を励起する第1の90°パルスと、遅延時間の後に核S
のスピンを励起する更なる90°パルスとを含んで成る
ラジオ周波数(rf)パルス系列が照射される方法にお
いて、 前記rfパルス系列が、前記核Iのスピンを励起する前
記第1の90°パルスと前記核Sのスピンを励起する前
記更なる90°パルスあるいは前記核Iのスピンに作用
する第2の90°パルスのいずれかとの間の期間Tの間
に前記核Sのスピンに作用する反転パルスがないように
選択され、そして、前記期間Tの長さは、 【数1】 (式中、Rcは、核Iの横相関緩和速度であり、RIは、
核Iの全横緩和速度であり、そしてJISは、核I及びS
間のスカラー結合定数である)が、Tに対して最大と成
るように選択されることを特徴とする方法。 - 【請求項2】 磁場勾配G1が前記期間T内にかけられ
ることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 核Iに作用する180°パルスが前記期
間Tの中ほどで照射されることを特徴とする請求項1に
記載の方法。 - 【請求項4】 磁場勾配G1が前記180°パルスの前
に期間T/2内にかけられ、別の磁場勾配G1が前記1
80°パルスの後に、期間T/2内にかけられることを
特徴とする請求項3に記載の方法。 - 【請求項5】 核Sのスピンを励起する前記更なる90
°パルスが、核Iのスピンに作用する前記第2の90°
パルスと同時に照射されることを特徴とする請求項1〜
4のいずれか1項に記載の方法。 - 【請求項6】 核Sのスピンを励起する前記更なる90
°パルスが、遅延時間の後に核Iのスピンに作用する前
記第2の90°パルスに続くことを特徴とする請求項1
〜4のいずれか1項に記載の方法。 - 【請求項7】 核Iのスピンに作用する前記第2の90
°パルスと核Sのスピンを励起する前記更なる90°パ
ルスとの間の前記遅延時間内に磁場勾配G2がかけられ
ることを特徴とする請求項6に記載の方法。 - 【請求項8】 核Sのスピンを励起する前記更なる90
°パルスが、核Iのスピンを励起する前記第1の90°
パルスに続く前記期間Tの後に照射され、そして核Iの
スピンに作用する前記第2の90°パルスが省略される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
方法。 - 【請求項9】 前記rfパルス系列は、核Iのスピンを
励起する前記第1の90°パルスに続く前記期間Tの後
に核Sのスピンを励起する前記更なる90°パルスと同
時に照射される核Iに作用する180°パルスを含んで
成り、核Iのスピンに作用する前記第2の90°パルス
が、核Iに作用する前記180°パルスに続く第2の期
間Tの後に照射されることを特徴とする請求項1に記載
の方法。 - 【請求項10】 磁場勾配G1が第1の前記期間T内に
かけられ、もう1つの磁場勾配G1が前記第2の期間T
内にかけられることを特徴とする請求項9に記載の方
法。 - 【請求項11】 核Iのスピンを励起する前記第1の9
0°パルスの照射の前の実験の始めにおいて、核Sのス
ピンに作用する90°パルスが照射され、引き続いて、
核Sの初期磁化を損ずる磁場勾配G0がかけられること
を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方
法。 - 【請求項12】 前記rfパルス系列が、均質な磁場B
0に沿う溶媒の磁化を維持するのに適合した部分を含ん
でなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に
記載の方法。 - 【請求項13】 前記rfパルス系列が、溶媒のNMR
信号を抑制するのに適合した部分を含んで成ることを特
徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
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