JP2000235684A - 音像位置制御装置 - Google Patents

音像位置制御装置

Info

Publication number
JP2000235684A
JP2000235684A JP11034987A JP3498799A JP2000235684A JP 2000235684 A JP2000235684 A JP 2000235684A JP 11034987 A JP11034987 A JP 11034987A JP 3498799 A JP3498799 A JP 3498799A JP 2000235684 A JP2000235684 A JP 2000235684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound image
sound
head
image position
transfer function
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11034987A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Hoshino
博之 星野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP11034987A priority Critical patent/JP2000235684A/ja
Publication of JP2000235684A publication Critical patent/JP2000235684A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Alarm Systems (AREA)
  • Stereophonic System (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】走行中の視覚と聴覚の方位誤差を解消する。 【解決手段】頭部伝達関数に基づいた音声によって頭内
に音像を形成する音像位置制御装置である。走行中は、
車速に応じて視野角が狭くなり頭部伝達関数に基づいた
音像は前方に移動する現象がある。この現象を逆に利用
する。すなわち、車速と音像方位の特性を記憶した方位
補正テーブル記憶部120を用意する。障害物検出セン
サ190から障害物の前方を0°とする探索方位αを受
け取ると、車速に応じた方位補正テーブルに基づいて、
探索方位αをより拡大された方位の音像方位θに変換す
る。この拡大された音像方位θに応じた頭部伝達関数
で、頭内に後方よりの音像を形成する。走行中には、走
行速度に応じて音像は前方に知覚される。これにより、
前後が相殺されて、視覚上の障害物方位と聴感上の音像
方位の方位誤差が解消される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右に分散配置さ
れたスピーカ装置から所定の音声を出力して聴感上に音
像を形成し、その位置を制御する音像位置制御装置に関
する。特に、レーダ装置等によって検出された障害物の
位置を、スピーカ装置から頭部伝達関数に従って所定の
音声を出力させ、その音像の方位を視覚上の障害物方位
と一致させて知らせる音像位置制御装置に関する。本発
明は走行中の車両において、近接車を聴覚と視覚とで一
致させて的確に把握させる音像位置制御装置に適用でき
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、車中において接近する障害物
を聴覚に訴えて、その方向及び距離を知らせる音像位置
制御装置がある。例えば、特開平5−250589号公
報に開示された音像位置制御装置が知られている。これ
は、警告原音に頭部伝達関数に基づいたデジタルフィル
タリングなどの信号処理を行って、警告音に方向性と距
離感を持たせて、運転者に知らせるものである。
【0003】そのシステムを図6に示す。簡単に説明す
ると、先ずセンサ1によって障害物の方向と距離を計測
する。警告音発生判断部2は、その距離に応じて警告音
を発生するか否かを判断する。例えば、所定距離内であ
ると警告原音発生部3から警告原音を出力する。そして
音像制御部4が、警告原音発生部3から出力されたその
原音を頭部伝達関数に基づいたデジタルフィルタリング
などの信号処理を行って、2つのスピーカ装置10L,
10Rから出力する。これにより、運転者がその障害物
位置を音像によって認識するシステムである。
【0004】頭部伝達関数とは、図8(b)に示すよう
に、人間の頭を中心とした半径rの球面上の1点から全
ての周波数を含むインパルス音を頭部に向かって放出
し、両耳位置にて集音してその信号をフーリエ変換した
ものである。結果として、音源位置に対応した周波数ス
ペクトルが得られる(図8(a))。逆に、両耳位置に
置かれたスピーカ装置からその周波数スペクトルを含ん
だ信号を出力すれば、聴感上、略同方向あるいは略同位
置に音源があるように認識されるものである。
【0005】この従来システムにおいては、予め音像位
置Xとそれに対応する頭部伝達関数HΦ1、HΦ2を備
えている(図6,7)。音像制御部4は、知らせるべき
音像位置Xに従って、頭部伝達関数HΦ1、HΦ2を選
択し、それを用いて遅延信号処理32、両耳差創生処理
34などを行う。この処理は、詳述はしないが、例えば
危険度に応じて、頭部伝達関数に基づいたデジタルフィ
ルタリング処理する過程である。この1連の処理によ
り、2つのスピーカ装置10L,10Rから時間差を伴
った警告原音あるいは強度差を伴った警告原音を出力さ
せ、その結果、運転者に障害物位置を聴感上の音像で認
識させるものである。
【0006】具体的には、切迫した警告の場合には、頭
部伝達関数全体を操作しステップ関数的な大音量で、ま
たそうでない場合は、注意を促す程度の小音量で警告を
行うとしている。また、さらに音像位置を明確にするた
めその音像位置に揺らぎを与え、注意力を喚起すること
を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、人の聴
感には頭内定位現象と呼ばれる特性がある。それを図3
に示す。両耳後方に設置した2個のスピーカ装置により
仮想音源から音声が到来するように上記音像制御をした
場合(図3(a))、頭内において音像が定位する現象
である(図3(b))。これは両スピーカ装置が両耳後
方に位置しているため、前方音(0゜〜90゜)が頭内
中心部において図3(b)のように一列に並んで知覚さ
れる現象である。従って、前方音に関しては、その音像
が近接して知覚されるため、その方位は必ずしも視覚と
一致するものではなかった。
【0008】また、発明者らの分析によると、聴覚は視
覚の影響を受け、特に前方の視野角が狭い場合、音像は
前方に移動せられる。その結果、視覚による方位と音像
による聴感上の方位には差が生じる。特に、移動速度に
応じて運転者の視野が狭くなる場合、音像はより前方に
知覚される。例えば、図4(a),(b)に示すように
時速50Km/hの場合、75゜の音像は視覚方向45
゜に対応し、時速100Km/hの場合は75゜の音像
が視覚方向30゜に対応して知覚されることが分析され
た。すなわち移動中においては、センサ等によって測定
された障害物の前方位置をそのまま音像に変換しても、
音像はより前方に知覚されるため、知覚と聴覚が一致し
ない。すなわち、視覚方向とは異なる方向から所定音が
到来するよう知覚される。この場合、運転者には視覚上
の方向と聴感上の方向が一致しないため、混乱を招く可
能性があった。
【0009】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、その目的は聴感上の音像位置を
視野角に応じて修正し、視覚上の外部の物体の方位と聴
感上の音像方位を一致させ、正確にその物体を認識させ
ることである。また、他の目的は、本発明の音像位置制
御装置を自動車に適用し、視覚上の近接車の方位と聴感
上の音像の方位を一致させ、運転者に近接車を正確に認
識させ走行の安全性を高めることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の音像位
置制御装置は、左右に分散配置された少なくとも2つの
発音装置から頭部伝達関数に基づいた所定の音声を出力
し、聴感上の音像位置を制御する音像位置制御装置であ
って、視野角に応じて聴感上の音像位置を変化させ、視
覚上の物体の方位と知らせるべき聴感上の音像の方位を
それぞれを一致させることを特徴とする。
【0011】また、請求項2に記載の音像位置制御装置
は請求項1に記載の音像位置制御装置であって、外部の
物体の方位を検出する検出手段を備え、その検出手段に
よって検出された方位を視野角に応じて補正し、音声出
力時には、その補正された方位に応じた頭部伝達関数に
基づいて処理された音声を出力することを特徴とする。
【0012】また、請求項3に記載の音像位置制御装置
は移動体に搭載される請求項2に記載の音像位置制御装
置であって、検出手段によって検出された方位は、その
移動体の速度に応じて補正されることを特徴とする。
【0013】また、請求項4に記載の音像位置制御装置
は疑似音発生手段を備えた請求項3に記載の音像位置制
御装置であって、検出手段によって検出された物体の大
きさに従って、異なる音色の疑似音で物体の音像を形成
するとともにその物体位置に応じて疑似音の音量を制御
することを特徴とする。
【0014】
【発明の作用および効果】請求項1に記載の音像位置制
御装置は、頭部伝達関数を使用し、視野角に応じて聴感
上の音像位置を変化させ、視覚上の物体の方位と知らせ
るべき聴感上の音像の方位を一致させている。上記音像
位置の変化は、視野角に応じて例えば頭部伝達関数を選
択あるいは補正し、その頭部伝達関数に基づいて処理さ
れた音声を上記発音装置から出力させることによってな
される。
【0015】以下、頭部伝達関数と音像形成について説
明する。頭部伝達関数とは、上述のように人間の頭を中
心とした半径rの球面上の1点(r,θ,φ)から全て
の周波数を含むインパルス音を放出して両耳内に置かれ
たマイクロフォンで集音し、その信号をフーリエ変換し
たものである。これは、その音源位置(r、θ、φ)に
対応した周波数スペクトルと同一意味である。逆に、マ
イクロフォンで集音された同じ音声信号を上記発音体か
ら出力させると、上記インパルス音が仮想的な音源位置
(r、θ、φ)から到来したような感覚を与える。この
仮想的な音源を音像、そして仮想的な音源位置(r、
θ、φ)を聴感上の音像位置(r、θ、φ)と言う。
【0016】また、上記頭部伝達関数に基づいて処理さ
れた音声とは、例えば、音声の原音g(t)のフーリエ
変換をG(ω)、θ,φ方向の頭部伝達関数をFθφ
(ω)とすると、そのフーリエ逆変換∫G(ω)Fθφ
(ω)exp (jωt)dωで処理された音声である。こ
こでは、主として到来音の方位に重点を置き、r,φを
固定値とする。また、上記処理は、上記フーリエ逆変換
の別表現である畳み込み積分Wθφ(t)=∫g(τ)
hθφ(t−τ)dτでもよい。ここに、hθφ(t)
は上記頭部伝達関数をフーリエ逆変換したもので、イン
パルス応答である。このWθφ(t)で表される音声信
号を、上記発音体から出力させると、上記原音g(t)
が仮想的な音源位置(r、θ、φ)から到来した音と同
じ感覚を与える。よって、原音と頭部伝達関数を選べ
ば、様々な音色で様々な位置に音像を形成することがで
きる。以上が、頭部伝達関数の作用である。
【0017】測定によれば、人の聴感にはさらに頭内定
位現象と呼ばれる特性がある。それは、上記音像が頭内
の所定位置に定位して感じられる現象である。ここに、
定位とは聴感上の音像が所定の位置に知覚される確率の
大きさを云う。さらに、この頭内定位現象と人の視野角
とには相関がある。例えば、視野角が狭いほど聴感上の
音像の方位は前方に移動して定位される。換言すれば、
その移動量を予め測定し、その移動量を逆方向に付加す
る頭部伝達関数を選択し、それにより聴感上の音像を形
成すれば、聴感上の音像の方位を視覚上の物体の方位に
一致して定位させることができる。以降、音像の方位を
音像方位と云う。本請求項の音像位置制御装置は視野角
に応じて、聴感上の音像方位を変化させる。つまり、上
記相関を踏まえて、誤差が相殺されるように聴感上の音
像方位を逆方向に変化させる。これにより、視野角の大
小に応じて音像方位が変化せられ、常に視覚上の物体の
方位と知らせるべき聴感上の音像方位が一致される。よ
って、常に、より正確に物体を認識させる音像位置制御
装置となる。
【0018】尚、上記音像方位の変化は頭部伝達関数に
基づいた処理であり、その処理された音声は、実時間処
理による音声および記憶された音声を含む。例えば、上
記原音g(t)の音色を一定とする場合は、上記頭部伝
達関数に基づいたWθφ(t)を予め記憶し、その記憶
された音声信号を時系列に例えばスピーカ装置から出力
する。あるいは、上記原音の音色を変化させる場合は、
予め記憶された上記頭部伝達関数をFθφ(ω)を用い
て、上記フーリエ逆変換∫G(ω)Fθφ(ω)exp
(jωt)dωを実時間で行い出力する。あるいは、予
め記憶された上記の頭部伝達関数の逆フーリエ変換、即
ち、インパルス応答hθφ(t)を用いて、上記畳み込
み積分 Wθφ(t)=∫g(τ)hθφ(t−τ)d
τを実時間で行い出力する。この場合、Wθφ(t)
は、畳み込み積分の1例であるFIR(Finite Impuls
e Response)デジタルフィルタ処理で出力させても良
い。変化する原音g(t)を用いれば、より明確に音像
位置を認識させることができる。上記の逆フーリエ変換
又は畳込み積分を実時間上で行う代わりに、音色と方位
毎に、最終結果である音声信号Wθφ(t)を記憶して
おき、音色と方位に応じて、選択された音声信号を出力
するようにしても良い。
【0019】また、請求項2に記載の音像位置制御装置
は、検出手段によって外部の物体の方位を検出する。そ
して、視野角に応じて、その検出された方位を補正す
る。その補正量は、例えば、予め視野角との相関関係で
求められた補正量である。そして、この補正された方位
に応じた頭部伝達関数を例えば選択し、その頭部伝達関
数に基づいて処理された音声を出力する。これにより、
聴感上の音像方位は、検出手段によって検出された物体
の方位すなわち視覚上の物体の方位と一致される。よっ
て、検出された物体をより正確に認識させる音像位置制
御装置となる。
【0020】また、請求項3に記載の音像位置制御装置
は、移動体に搭載され、検出手段によって検出された方
位はその移動体の速度に応じて補正される。そして、そ
の補正された方位に応じた頭部伝達関数に基づいて処理
された音声が出力される。
【0021】運転者の視野は移動体の速度と相関があ
る。例えば、移動体の速度が大きくなるに従って視野は
狭くなる。また、運転者の視野と聴感上の音像方位は上
述の相関がある。従って、移動体の速度と聴感上の音像
方位が関連付けられる。本請求項の音像位置制御装置
は、上記関連を用いて、移動体の速度に応じて聴感上の
音像方位を変化させている。従って、移動体の速度にか
かわらず、常に視覚上の物体の方位と聴感上の音像方位
を一致させることができる。よって、移動中の運転者に
正確に外部の物体を認識させる音像位置制御装置とな
る。
【0022】尚、上記移動体は自動車を含み、上記物体
は近接車を含む。この時、上記音像位置制御装置は、例
えば自車の速度に応じて、その聴感上の近接車の音像方
位を変化させる。速度が大きい程、その音像方位が後方
に定位するように変化させる。後方に定位せられた近接
車の音像は、自車の速度、すなわち視野に応じて前方に
位置するよう知覚される。その結果、前後が相殺され、
近接車の音像は視覚上の近接車の方位と一致せられて認
識される。よって、走行中の自動車においては、的確に
近接車を認識させる音像位置制御装置となる。
【0023】また、請求項4に記載の音像位置制御装置
は、検出手段に加え疑似音発生手段を備えている。この
検出手段は物体の方位あるいは位置に加えてその大きさ
を検出することができる。例えば、その検出手段はレー
ダ装置であり、物体位置は(r、θ)で示され、またそ
の大きさはr△θで求められる。ここに、rは物体との
距離であり、θは物体の方位であり、△θはレーダ装置
の反射波の検出角幅である。
【0024】この音像位置制御装置は、疑似音発生手段
による疑似音を用い、その物体の大きさr△θに従っ
て、異なる音色の疑似音でその物体の位置を定位させ
る。例えば、大きい物体に対しては低周波の疑似音で、
小さい物体に対しては高周波の疑似音で定位させる。こ
れにより、物体の方位と大きさが同時に認識される。ま
た同時に、この音像位置制御装置は、その物体位置
(r、θ)の距離rに従って音量を増減させる。例え
ば、距離rが小さくなるに従って疑似音の音量を増大さ
せ、距離rが大きくなるにしたがって疑似音の音量を減
少させる。これにより、物体の方位が一致せられるとと
もにその大きさおよび遠近が同時に認識される。また、
この時、上記疑似音は例えばエンジン疑似音が望まし
い。エンジン疑似音は、運転者により的確な注意を喚起
して、近接車をより正確に認識させることができる。こ
れにより、車中において近接車の方位が一致せられると
ともに、その大きさと遠近が把握され、より走行の安全
性を高める音像位置制御装置となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1に本発明の音像位置制
御装置の1実施例を示す。図は、自動車に搭載される場
合のシステムブロック図である。本実施例の音像位置制
御装置は、中央演算処理装置(以下、CPU)100、
様々な車速に応じた方位補正テーブルを記憶した方位補
正テーブル記憶部120、頭部伝達関数を記憶する頭部
伝達関数記憶部130、原音と頭部伝達関数のデジタル
フィルタリング演算を行い出力するDSP(Digital Si
gnal Processor)140、その出力を記憶する出力信号
記憶部141、疑似音発生手段である原音発生部15
0、DSP140からの出力信号を増幅して出力する増
幅器160、発音装置であるスピーカ装置170、およ
びプログラムが記憶されたROM180、そして障害物
あるいは近接車の検出手段である障害物検出センサ19
0から構成される。また、各構成要素は、システムバス
105によって双方向に通信可能に接続されている。
【0026】上記ROM180中には、自車の速度に応
じて上記方位補正テーブルから検出物体の方位を補正す
る補正プログラム、あるいは障害物検出センサ190か
らの検出結果に応じて、出力信号記憶部141から音声
信号を選択し出力させるプログラムさらに疑似音を選択
するプログラム等が格納されている。尚、出力信号記憶
部141には、音像方位に応じて、頭部伝達関数に基づ
いて演算された結果が、音声信号として記憶されてい
る。
【0027】信号の流れに沿って、各構成要素の機能を
説明する。本実施例では、簡単のため水平方向の障害物
の音像位置制御とする。車中の運転者においては、視覚
上の物体方位と聴感上の音像方位の不一致が問題となる
からである。従って、前出の仰角φ、距離rを固定と
し、音像位置を音像方位θで代表させる。この時、前方
を0°とし、時計回り方向を+、反時計回り方向を−符
合を付けて表す。
【0028】障害物検出センサ190は、レーダ装置あ
るいはCCDカメラであり、常時障害物を探索する。レ
ーダ装置の場合は、反射波とその時の走査方位により障
害物方向およびその大きさが求められる。CCDカメラ
の場合は、画像処理によってその障害物方向およびその
大きさが求められる。この時、障害物方向を探索方位α
と定義する。この求められた探索方位αは、図示しない
I/Oインタフェースを用いて、CPU100に出力さ
れる。
【0029】CPU100は、その探索方位αを受け取
ると先ず現在の車速を図示しない車速センサから読む。
そして方位補正テーブル記憶部120からその車速に応
じた方位補正テーブルを選択する。例えば、車速50k
m/hの場合は、図2(a)の補正テーブルを選択し、
車速100km/hの場合は図2(b)の補正テーブル
を選択する。次いで、受け取った探索方位αを音像方位
θに補正する。例えば、車速50Km/hで探索方位α
=+45゜の場合は、音像方位θ=+75゜に、探索方
位α=+30゜の場合は、音像方位θ=+60゜に補正
する。これは上述のように、車速が大きく視野が狭くな
る場合には、音像方位θは前方に縮小されて知覚される
からである。この補正された音像方位θに対応した頭部
伝達関数を用いれば、音像が後方よりに形成される。
【0030】次に、頭部伝達関数に基づく音像形成につ
いて説明する。頭部伝達関数は、両耳位置におけるイン
パルス応答fθ R(t)、fθ L(t)のフーリエ変換
FθR(ω)、Fθ L(ω)である。これらは、実際に
は、半径rの球面上の1点(r、θ、φ)から発せられ
たインパルス音を両耳内に置かれたマイクロフォン18
0によって集音し、それをA/D器110によってデジ
タル値に変換し、そして図示しないフーリエ変換プログ
ラムによって周波数空間に変換することによって得られ
る。図8(a)のa〜gで示された各要素は、それぞれ
r、φを固定した場合の0゜〜+180゜方向からの到
来音(インパルス音)に対応した頭部伝達関数である。
これが、上記頭部伝達関数記憶部130に格納されてい
る。尚、このマイクロフォン180およびA/D器11
0は、頭部伝達関数を求める時のみ使用するものであっ
て、通常の障害物の音像生成時には使用されない。
【0031】例えば、音像方位θ=+60゜が入力され
た場合は、図8(a)のCで示される頭部伝達関数が選
択される。DSP140は、続いてその頭部伝達関数C
に基づいて原音発生部150から出力されたエンジン音
等の疑似音をフィルタリング処理する。詳細には、原音
発生部150から入力された疑似音信号と上記頭部伝達
関数の積の逆フーリエ変換演算である。下記の式
(1),(2)に逆フーリエ変換演算式を示す。この
時、原音発生部150からの疑似音信号をg(t)と
し、そのフーリエ変換をG(ω)としている。また、こ
れらの演算結果は、例えば方位θに対応して出力信号記
憶部141に記憶されている。
【数1】 Wθ R(t)=∫G(ω)Fθ R(ω)exp (jωt)dω (1)
【数2】 Wθ L(t)=∫G(ω)Fθ L(ω)exp (jωt)dω (2)
【0032】このフィルタリング処理された音声信号W
θ R(t),Wθ L(t)を、アンプ160を通して右
スピーカ装置170から上記音声信号WθR (t)、左
スピーカ装置170から上記音声信号WθL (t)を出
力すれば、上述の頭部伝達関数の周波数特性を有した疑
似音g(t)が聴感上の音像方位θにあるように再現さ
れる。音像はこのように頭部伝達関数に基づいて形成さ
れる。尚、実際の自動車搭載時にはこの演算は行わず、
予め出力信号記憶部141に記憶された音声信号Wθ R
(t)、Wθ L(t)を音像方位θに応じて読み出し、
直接増幅器160およびスピーカ装置170から出力す
る。
【0033】この時、音像方位θ>探索方位αである
が、上述の様に走行中には運転者の視野が狭くなり、そ
れに従って音像は前方に移動するよう知覚される。すな
わち、音像方位θは縮小されて感ぜられ、音像方位θ≒
視覚方位αと認識される。これにより、運転者は車外の
障害物の方位を視覚と聴覚で一致して認識することがで
きる。このようにして、方位補正テーブルと頭部伝達関
数を用いて音像位置が制御され、視覚との認識誤差が解
消される。
【0034】尚、、上式(1)および(2)のフーリエ
逆変換は、それぞれ次式の実時間上の畳み込み積分でも
表せられる。
【数3】 Wθ R(t)=∫g(τ)fθ R(t−τ)dτ (3)
【数4】 Wθ L(t)=∫g(τ)fθ L(t−τ)dτ (4) この時、fθ R(t)、fθ L(t)は、頭部伝達関数
をフーリエ逆変換することによって求められたインパル
ス応答である。
【0035】この演算結果を、接続されたアンプ160
を通し左右のスピーカ装置170から出力させると、同
様の結果が得られる。また上記同様、この出力信号を予
め出力信号記憶部141に記憶し、上記同様車速と方位
に応じて取り出し出力することもできる。
【0036】最後に、CPU100の動作を図5に示す
フローチャートに従って簡単に説明する。ステップS1
0では、レーダ装置等の障害物検出センサ190から障
害物の存在を確認する。障害物がない場合、すなわちn
oの場合は待ち状態を続ける。障害物がある場合、すな
わちyesの場合はステップS20に移行する。
【0037】ステップS20では、障害物検出センサ1
90の出力から障害物方位すなわち探索方位αと自車の
車速を読み、続いてステップS30に移行する。
【0038】ステップS30では、上記車速vに応じた
方位補正テーブルを方位補正テーブル記憶部120から
選択し、ステップS40に移行する。
【0039】ステップS40においては、その方位補正
テーブルから障害物の探索方位αを音像方位θに変換
し、ステップS50に移行する。
【0040】ステップS50では、その音像方位θに対
した音声信号 Wθ R(t),Wθ L(t)を出力信号
記憶部141から読み出し、アンプ160に出力する。
この1連の作業の後、再びステップS10に戻り待ち状
態となる。このようなルーチンで障害物は、視覚上の方
位と聴感上の方位が一致せられて、より明確に認識せら
れる。
【0041】このように、音像位置制御装置の内部に、
探索方位αを音像方位θに補正するテーブルを備え、車
速に応じてその方位補正テーブルを選択すれば、速度に
かかわらず常に障害物の方向を視覚と聴覚で一致して把
握させることができる。よって、的確に障害物を認識さ
せる優れた音像位置制御装置となる。
【0042】(変形例)以上、本発明を表す1実施例を
示したが、他に様々な変形例が考えられる。上記実施例
では、車速に応じて音像位置を変化させる車載用警告装
置としたが、車載用でなくてもよい。例えば、視野がブ
ラウン管あるいはスクリーンに限定されるゲーム機、映
画あるいはその他の移動装置用のシミュレーション機器
に適用してもよい。この場合、各視野角はブラウン管あ
るいはスクリーンの面積と人との距離で規定される立体
角となる。この視野角に基づく方位補正テーブルを用意
すれば、同じ効果が得られる。
【0043】また、上記実施例では、主に障害物の方向
を一致させる方法を説明したが、障害物との距離rを考
慮し、スピーカ装置140から出力される音声信号の大
きさを増減させてもよい。つまり、距離rが小さい場合
は、出力を大きくし、距離rが大きい場合は小さくして
もよい。これにより、物体の方位と距離が視覚と聴覚で
一致し、より的確に障害物が認識される。
【0044】さらに、上記実施例では障害物の大きさに
ついて詳述しなかったが、上記距離rに加え、例えば反
射波の検出幅△θから障害物の大きさr△θを求め、そ
の大きさに従って原音g(an ,ωn ,t)を変化させ
てもよい。ωn は、周波数でありan はその振幅であ
る。単一周波数の周波数ω1 を変化させても良いし、整
数nの数を変化させた様々な合成音でもよい。また、予
め記録された様々な車種のエンジン疑似音等でもよい。
それにより、車種が判別できれば、より効果的な音像位
置制御装置となる。
【0045】また、本実施例においては、探索方位αを
音像方位θに補正する方位補正テーブルを作製し予め音
像位置制御装置内に設けたが、音像方位θを表す曲線を
最小二乗近似等によって求める近似式を備えてもよい。
この近似式に従って、あらゆる探索方位αに対する音像
方位θを詳細に求め、それに従って音声信号を出力して
もよい。
【0046】以上のように、探索方位を視野あるいは車
速に応じて音像方位に変換しそれを出力することによ
り、常時、視覚上の物体の方向と聴感上の音像の方向を
一致させる音像位置制御装置であるならばその種類は問
わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る音像位置制御装置のシ
ステムブロック図。
【図2】本発明の1実施例に係る車速に応じた方位補正
テーブル図。
【図3】本発明の1実施例に係る音像の頭内定位現象の
説明図。
【図4】本発明の1実施例に係る車速に応じた探索方位
と音像方位の対応図。
【図5】CPUの動作を示すフローチャート。
【図6】従来の音像制御を用いた警告装置の構成ブロッ
ク図。
【図7】従来の頭部伝達関数を用いた警告装置の構成ブ
ロック図。
【図8】音像方位による頭部伝達関数の特性図。
【符号の説明】
100 CPU 120 方位補正テーブル記憶部 130 頭部伝達関数記憶部 140 DSP 150 原音発生部 170 スピーカ装置 180 ROM 190 障害物検出センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】左右に分散配置された少なくとも2つの発
    音装置から頭部伝達関数に基づいた所定の音声を出力
    し、聴感上の音像位置を制御する音像位置制御装置にお
    いて、 視野角に応じて前記聴感上の音像位置を変化させ、視覚
    上の物体の方位と知らせるべき聴感上の音像の方位をそ
    れぞれを一致させることを特徴とする音像位置制御装
    置。
  2. 【請求項2】前記音像位置制御装置は、外部の物体の方
    位を検出する検出手段を備え、該検出手段によって検出
    された方位を前記視野角に応じて補正し、音声出力時に
    は、その補正された方位に応じた前記頭部伝達関数に基
    づいて処理された音声を出力することを特徴とする請求
    項1に記載の音像位置制御装置。
  3. 【請求項3】前記音像位置制御装置は移動体に搭載され
    る音像位置制御装置であって、前記検出手段によって検
    出された方位は、該移動体の速度に応じて補正されるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の音像位置制御装置。
  4. 【請求項4】前記音像位置制御装置は疑似音発生手段を
    備え、前記検出手段によって検出された物体の大きさに
    応じて異なる音色の疑似音で物体の音像を形成するとと
    もに前記物体の位置に応じて前記疑似音の音量を制御す
    ることを特徴とする請求項3に記載の音像位置制御装
    置。
JP11034987A 1999-02-12 1999-02-12 音像位置制御装置 Pending JP2000235684A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11034987A JP2000235684A (ja) 1999-02-12 1999-02-12 音像位置制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11034987A JP2000235684A (ja) 1999-02-12 1999-02-12 音像位置制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000235684A true JP2000235684A (ja) 2000-08-29

Family

ID=12429506

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11034987A Pending JP2000235684A (ja) 1999-02-12 1999-02-12 音像位置制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000235684A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020003819A1 (ja) * 2018-06-26 2020-01-02 ソニー株式会社 音声信号処理装置、移動装置、および方法、並びにプログラム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020003819A1 (ja) * 2018-06-26 2020-01-02 ソニー株式会社 音声信号処理装置、移動装置、および方法、並びにプログラム
JPWO2020003819A1 (ja) * 2018-06-26 2021-08-05 ソニーグループ株式会社 音声信号処理装置、移動装置、および方法、並びにプログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5979586A (en) Vehicle collision warning system
US7274288B2 (en) Vehicle alarm sound outputting device and program
JP4557054B2 (ja) 車載用立体音響装置
US20050280519A1 (en) Alarm sound outputting device for vehicle and program thereof
JP2000236598A (ja) 音像位置制御装置
US20130194107A1 (en) Sound field control apparatus and program
JP2013198065A (ja) 音声提示装置
JP2009258802A (ja) 車外情報提供装置および車外情報提供方法
JP3179227B2 (ja) 車両用警報装置
JP2005316704A (ja) 周囲状況通知装置、周囲状況通知方法
JP6281590B2 (ja) 車両用効果音発生装置
JP2000235684A (ja) 音像位置制御装置
JP2006160160A (ja) 運転環境音調整装置
JP2020154795A (ja) 出力制御装置、出力制御方法、および出力制御プログラム
CN116074728A (zh) 用于音频处理的方法
JP2008070877A (ja) 音声信号前処理装置、音声信号処理装置、音声信号前処理方法、及び音声信号前処理用のプログラム
JP3739438B2 (ja) 音像定位方法及びその装置
JP3919337B2 (ja) 車両用音声認識装置
JP5729228B2 (ja) 車載警告装置、当該装置を用いた衝突警告装置及びレーン逸脱警告装置
JP2009286328A (ja) 障害物認知支援装置
JP3796869B2 (ja) 能動型騒音低減装置及び騒音低減方法
JP2008094328A (ja) エンジン音加工装置
US20240156666A1 (en) Information processing apparatus, information processing method, and program
WO2022201456A1 (ja) 情報呈示装置、情報呈示方法および情報呈示プログラム
JP3260360B2 (ja) 音像定位制御装置