JP2000234660A - ボールねじ装置 - Google Patents

ボールねじ装置

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JP2000234660A
JP2000234660A JP11092732A JP9273299A JP2000234660A JP 2000234660 A JP2000234660 A JP 2000234660A JP 11092732 A JP11092732 A JP 11092732A JP 9273299 A JP9273299 A JP 9273299A JP 2000234660 A JP2000234660 A JP 2000234660A
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ball nut
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screw shaft
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡易な構成によって、ボールナット内における
各ボールの荷重分布を軸方向で均一化してボールねじ装
置の寿命向上を図ることができるボールねじ装置を提供
することを課題とする。 【解決手段】ねじ軸1は、入力された軸方向荷重を主と
して軸方向一端部側のサポートユニット3の位置で受け
る。ボールナット2は、上記サポートユニット3から遠
位にある軸方向端部側に設けた取付け部7に取付け部材
8を固定して当該取付け部7で軸方向荷重を受ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転運動を直線運
動に変換、又は直線運動を回転運動に変換するボールね
じ装置、及びそのボールねじ装置を組み込んだ電動射出
成形機に係り、特に高負荷用途に使用されるボールねじ
の耐久性向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ボールねじ装置におけるねじ軸とボール
ナットとは、ボールねじ溝を循環する複数のボールを介
して連結し、ねじ軸をボールナットに対して、小さい駆
動力で相対的に螺旋運動させることで、回転運動を直線
運動に変換する。そして、一般のボールねじ装置におい
ては、ボールねじ溝内の各ボールには全て均等に荷重が
掛かると仮定して、ボールねじ軸のボールねじ溝、及び
ボールナットのボールねじ溝が、それぞれ同一リード且
つ同一有効径となるように加工されている。
【0003】しかし、ボールナットを取り付ける取付け
部材からボールナットに大きな軸方向荷重が加わったと
きには、ボールナット自身が軸方向に弾性変形すること
によりボールナット内のボールへの荷重分布が軸方向に
沿って変化して、一部のボールねじ溝部分に位置するボ
ールに大きな荷重が負荷される。このことは、ボールね
じ装置の寿命を短くすることに繋がり、また、この大き
な荷重が掛かる部分に合わせて安全設計を行う必要があ
る。
【0004】すなわち、従来の対応策としては、ボール
ナットの弾性変形を小さく抑えるためにボールナット外
径寸法を大きくしてその断面積を稼いだり、弾性係数の
大きい材料を使用する。または、ボールの径を大きくし
たりボールの数を増加することが考えられる。しかし、
これらの対策は、ボールナット等の寸法が大きくなりボ
ールねじ装置全体が大型化したり、製造コストの増大や
重量の増大を招く。
【0005】このボールねじ装置全体が大型化すること
を回避しながら、ボールねじ装置の寿命を向上させる技
術としては、特開平6−300107号公報や特開平6
−300108号公報に開示されているものがある。こ
れらは、ボールナットの弾性変形を考慮してボールねじ
溝の有効径やリードを軸方向に沿って違えるように加工
することで、ボールねじ溝の全てのねじ溝部のボールで
均一に荷重を支持するようにするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平6−300108号公報等に記載の技術を採用する
にしても、軸方向のボールねじ溝の径等を違えるように
加工する必要があり、加工が難しくなるなど、コストア
ップを伴うという問題がある。本発明は、上記のような
問題点に着目してなされたもので、簡易な構成によっ
て、ボールナット内における各ボールの荷重分布を軸方
向で均一化してボールねじ装置の寿命向上を図ることが
できるボールねじ装置及びそのボールねじ装置を組み込
んだ電動射出成形機を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述のように、従来にあ
っては、ボールナットに大きな軸方向荷重が加わったと
き、ボールナット自身が軸方向に弾性変形することによ
るボールナット内のボールへの荷重分布が軸方向に変化
することは考慮されているものの、ねじ軸の弾性変形に
よる影響に対する考慮が不足している。
【0008】本発明は、このようなことに鑑み、大きな
軸方向荷重に対するボールナット側の弾性変形と共にね
じ軸の弾性変形による影響も考慮して、上述のように使
用するボール径の拡大や軸方向に沿ったねじ溝の補正等
の手設を採用しなくても(コストアップを伴うことな
く)、ボールナットに作用する軸方向荷重の作用部位置
を特定することによって、ボールナット内の軸方向に沿
ったボール荷重分布の均一化を図る発明である。
【0009】すなわち、上記課題を解決するために、本
発明のうち請求項1に記載した発明は、外面にボールね
じ溝を有するねじ軸と、そのねじ軸のボールねじ溝に対
向するボールねじ溝を内面に有する少なくとも1つのボ
ールナットと、そのボールナットのボールねじ溝と上記
ねじ軸のボールねじ溝とにより形成された螺旋状通路
と、その螺旋状通路内を循環する多数のボールと、その
多数のボールの戻り路とを備えると共に、上記ねじ軸
は、入力された軸方向荷重を主として軸方向一端部側で
受けるボールねじ装置において、上記ボールナットは、
上記ねじ軸の軸方向荷重を主として受ける軸方向一端部
から遠位にある軸方向端部側に、上記ボールナットを取
り付ける取付け部材からの軸方向荷重を受ける軸方向荷
重作用部を設けたことを特徴とするボールねじ装置を提
供するものである。
【0010】ここで、上記ねじ軸における、上記入力さ
れた軸方向荷重を主として軸方向一端部側で受ける部分
とは、例えば、ねじ軸を片持ち支持した場合における当
該支持部位置である。また、上記ボールナットにおける
軸方向荷重作用部は、通常は、当該ボールナットに連結
する取付け部材を取り付ける取付け部位置である。
【0011】本発明は、ねじ軸が片持ち支持となってい
るなど、ねじ軸が、ボールナットから伝達された軸方向
荷重を主として軸方向一端部側で受ける構成となってい
る場合には、ボールナットの取付け部材から当該ボール
ナットに大きな軸方向荷重が作用すると、上記ねじ軸の
弾性変形による上記荷重分布への影響もボールナットと
同じようにあるばかりでなく、むしろボールナットより
もねじ軸方向に垂直な縦断面積(以下、単に縦断面積と
記す)が小さいねじ軸の弾性変形による軸方向の荷重分
布への影響が大きいという知見によってなされたもので
ある。
【0012】そして、ボールナットにあっては、軸方向
荷重の作用部がボールへの負荷が一番大きく、当該作用
部から離れるにつれてボールへの負荷が小さくなり、ま
た、ねじ軸側にあっては、軸方向荷重を受ける側のボー
ルへの負荷が一番大きく、その受ける側から離れるにつ
れてボールへの負荷が小さくなることに鑑み、ボールナ
ットとねじ軸の各軸方向荷重作用位置をそれぞれ軸方向
で反対側になるように配置することで、ボールナットの
弾性変形による影響とねじ軸の弾性変形による影響とが
相殺して釣合う傾向になる。この結果、軸方向に沿った
ボールの荷重分布が均一化する。
【0013】このとき、ボールナットの縦断面積を、相
対的にねじ軸の縦断面積に近づけることで、つまりボー
ルナットの縦断面積とねじ軸の縦断面積とを等しく若し
くは略等しくすることで、ボールナットの弾性変形とね
じ軸の弾性変形とが、各軸方向荷重作用点からそれぞれ
みてより対称的となることで、さらに、上記ボールナッ
トの弾性変形による影響とねじ軸の弾性変形による影響
とがさらに相殺されて、弾性変形による荷重分布の均一
化が促進される。この結果、よりコンパクトなボールナ
ットで高負荷に耐えるボールねじ装置を構成できる。
【0014】次に、請求項2に記載したボールねじ装置
は、外面にボールねじ溝を有するねじ軸と、そのねじ軸
のボールねじ溝に対向するボールねじ溝を内面に有する
少なくとも1つのボールナットと、そのボールナットの
ボールねじ溝と上記ねじ軸のボールねじ溝とにより形成
された螺旋状通路と、その螺旋状通路内を循環する多数
のボールと、その多数のボールの戻り路とを備えると共
に、上記ねじ軸は、入力された軸方向荷重を主として軸
方向一端部側で受けるボールねじ装置において、外部荷
重に対し上記螺旋状通路内の全ボールの主負荷方向を同
一方向に設定すると共に、上記ボールナットを取り付け
る取付け部材からの軸方向荷重を受ける当該ボールナッ
トの軸方向荷重作用部の軸方向位置を、上記螺旋状通路
内のボールが当該軸方向荷重作用部の軸方向両側にそれ
ぞれ存在する位置としたことを特徴とするものである。
【0015】なお、上記軸方向荷重作用部の軸方向位置
は、ボールナットの軸方向中央部又はその近傍が好まし
い。軸方向に負荷分布が生じる最大の原因は、ボールナ
ット及びねじ軸の各部材そのものの軸方向の弾性変形が
原因である。 部材変形の大きさは、軸方向荷重作用部か
らもっとも遠い螺旋状通路内のボール位置までの長さで
決まり、その長さが長ければ長いほど部材変形は大きく
なる。
【0016】従って、軸方向荷重作用部がボールナット
の軸方向端部に位置すると、部材変形を決める長さは、
ほぼボールナット全長に相当して、その分部材変形によ
る影響が大きくなる。もっともこの場合でも、上記請求
項1の発明を採用することで、つまり軸とナットの変形
が相反する方向とすることで、結果的に軸方向に沿った
ボールの荷重分布が均一化される。
【0017】これに対して、本請求項2に係る発明で
は、軸方向荷重作用部を例えばボールナットの中央部に
設定すれば、軸方向荷重作用部からもっとも遠い螺旋状
通路内のボールまでの距離は約半分となり、軸方向に沿
ったボールの負荷分布については、ボールナツトの軸方
向長さが半分になったのとほぼ同等の効果が得られ、そ
れにより、軸方向に弾性変形量も小さくなり軸方向の負
荷分布を向上させることが期待出来る。
【0018】つまり、請求項2に係る発明によれば、軸
方向荷重作用部を境に、当該軸方向荷重作用部の位置よ
りも、上記ねじ軸の軸方向荷重を主として受ける軸方向
一端部に近い側(近位にある部分)にあっては、請求項
1と同様の作用によって、軸方向に沿ったボールの負荷
分布が均一化すると同時に、軸方向荷重作用部からもっ
とも遠い螺旋状通路内のボールまでの距離が請求項1の
場合に比べて短くなる分だけ弾性変形量が小さくなって
更に軸方向に沿ったボールの負荷分布が均一化する。
【0019】また、上記軸方向荷重作用部の位置より
も、上記ねじ軸の軸方向荷重を主として受ける軸方向一
端部から遠い側(遠位にある部分)にあっては、形式的
には上記従来例と同様な構成となるものの、軸方向荷重
作用部からもっとも遠い螺旋状通路内のボールまでの距
離が短くなる分だけ弾性変形量が小さく抑えられると同
時に、軸方向荷重作用部に作用した軸方向荷重は、上記
軸方向荷重作用部を境とした近位にある部分と遠位にあ
る部分とで分担される分、当該遠位にある部分に負荷さ
れる軸方向荷重が小さいために、当該遠位にある部分に
おいても、軸方向に沿ったボールの負荷分布が均一化す
る。
【0020】なお、上記請求項1の作用で説明したよう
に、近位にある側のボールナット部分の縦断面積は、ね
じ軸の縦断面積と等しく若しくは略等しくすることが好
ましい。ここで、「外部荷重に対し上記螺旋状通路内の
全ボールの主負荷方向を同一方向に設定する」としてい
るのは、次の理由による。
【0021】すなわち、上記螺旋状通路内のボールにお
ける、軸方向荷重作用部を挟ん軸方向両側にそれぞれ存
在する2組のボール群の外部荷重に対する主負荷方向が
互いに反対方向に設定されている場合には(図11及び
図12参照)、軸方向荷重の向きによって軸方向荷重
が、軸方向荷重作用部を挟んだ軸方向両側のうちの一方
のボール群でのみ主に負担することとなり、軸方向荷重
作用部を挟んだ軸方向両側の2組のボール群で負担する
軸方向荷重に対する分担が大幅に不均衡となるので、軸
方向全域でのボールの負荷分布の均一化が困難となるた
めである。
【0022】これに対し、外部荷重に対し上記螺旋状通
路内の全ボールの主負荷方向を同一方向に設定すること
で、軸方向荷重に対して螺旋状通路内の全ボールの主負
荷方向が同一方向となり、つまり軸方向荷重作用部を挟
んだ軸方向両側の2組のボール群で負担する軸方向荷重
に対する分担の割合が略等しくなるなど大幅に不均衡と
なることが防止され、上記作用が有効に発揮される。
【0023】なお、外部荷重に対し上記螺旋状通路内の
全ボールの主負荷方向を同一方向に設定するためには、
例えば、軸方向荷重作用部の軸方向両側に亘って予圧方
向を同一方向となるように設定したり、予圧を付与しな
い状態に設定すればよい(図13及び図14参照)。次
に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した構
成に対し、上記ボールナットにおける軸方向荷重作用部
を挟んだ軸方向両側の各断面積について、上記ねじ軸の
軸方向荷重を主として受ける軸方向一端部から近位にあ
る側の縦断面積に比べて、遠位ある側の縦断面積を大き
くしたことを特徴とするものである。
【0024】本発明によれば、ボールナットにおける軸
方向荷重作用部を挾んだ両側の縦断面積を変えて、軸方
向に沿ったボールへの荷重の全体のバランスを取ること
で、さらに軸方向に沿ったボールの負荷分布の均一化を
向上させることが可能となる。すなわち、上記請求項2
に係る構成を採用すると、例えば軸方向に沿ったボール
ナットの縦断面積が均一であれば、軸方向荷重作用部を
境に、ねじ軸の軸方向荷重を主として受ける軸方向一端
部近い側(近位にある部分)よりも、遠位にある部分で
のボールへの荷重が全体的に小さい(例えば図8参
照)。これに対して、請求項3に係る発明のように、遠
位にある側のボールナット部分の縦断面積を近位にある
ボールナットの縦断面積よりも大きく設定することで、
当該遠位にある部分の弾性変形量が小さく抑えられて、
当該遠位にある部分でのボールへの荷重が全体として増
加すると共に近位にある部分でのボールへの荷重が全体
として軽減して、さらに軸方向に沿ったボールの負荷分
布の均一化を図ることができる。
【0025】次に請求項4に記載した発明は、請求項1
〜請求項3のいずれかに記載したボールねじ装置を使用
したことを特徴とする電動射出成形機を提供するもので
ある。上述のようなボールねじ装置は、通常、油圧シリ
ンダー駆動である射出成形機やパンチングプレス、各種
ジャッキなどを電動モータ駆動とした際における、モー
タの回転力を軸方向推力に変換して極めて大きな荷重を
受けるような箇所への適用に好適なものである。
【0026】特に、電動モータ駆動とした射出成形機へ
の使用に好適であり、本発明のように上記請求項1〜請
求項3のいずれかのボールねじ装置を使用することで、
ボールねじ装置を大型化・重量化することなく寿命・耐
久性が向上し、射出成形機の寿命向上に繋がる。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1実施形態を図
面を参照しつつ説明する。本発明に基づくボールねじ装
置の基本構成は、一般のボールねじ装置と同様であり、
図1及び図2に示すように、外面にボールねじ溝1dを
有するねじ軸1と、該ねじ軸1のボールねじ溝1dに対
向するボールねじ溝2dを内面に有する少なくとも1つ
のボールナット2とから構成され、上記ボールナット2
のボールねじ溝2dと上記ねじ軸1のボールねじ溝1d
とにより形成された螺旋状通路内を多数のボール9が転
がりながら循環可能となっていると共に、螺旋状通路の
軸方向一端部まで移動したボールを軸方向他端部まで戻
す戻り路2eを備える。
【0028】上記ねじ軸1は、片持ち支持構造となって
いて、軸方向一端部1a側が、サポートユニット3に回
転自在に支持されている。このサポートユニット3によ
るボールねじの支持軸受は、例えばスラストアンギュラ
玉軸受からなる。また、サポートユニット3は固定部材
4に固定される。また、上記ねじ軸1の軸方向一端には
プーリ5が取り付けられ、そのプーリ5を回転すること
でねじ軸1は回転しボールナット2が直線移動するよう
に構成されている。なお、ねじ軸1の軸方向他端部1b
にはストッパ6が取り付けられ、当該軸方向他端部1b
からボールナット2が抜けることを防止している。
【0029】また、ボールナット2には、上記サポート
ユニット3から遠位にある軸方向端部側にフランジ部7
aが設けられ、そのフランジ部7aが取付け部材8を取
り付ける取付け部7を構成する。そして、当該取付け部
7に対しスライドさせる取付け部材8がボルト止めされ
る。この取付け部7が軸方向荷重作用部を構成する。上
記構成のボールねじ装置にあっては、図3(a)に示す
ように、取付け部材8からボールナット2の取付け部7
に軸方向荷重F1が作用すると、ボールナット2からね
じ軸1に軸方向荷重が伝達され、固定側である軸方向一
端部1aに反力として反対向きの軸方向荷重F2が発生
する。
【0030】このとき、従来のようにねじ軸1を剛体と
仮定し、ボールナット2の弾性変形を考慮すると、軸方
向に沿ったボールの荷重分布は、図3(b)に表される
ように、取付け部7の位置で一番荷重が大きくなり、他
端部(サポートユニット3側)に向けて徐々に小さくな
る。一方、ボールナット2を剛体と仮定し、ねじ軸1の
弾性変形を考慮すると、軸方向に沿ったボールの荷重分
布は、図3(c)に表されるように、サポートユニット
3側(ねじ軸1における軸方向一端部1a側)で一番荷
重が大きくなり、他端部(ボールナット2の取付け部
7)に向けて徐々に小さくなる。
【0031】実際には、ボールナット2もねじ軸1も軸
方向に弾性変形するので、両者1,2の弾性変位を考慮
すると、図3(d)に示すようなボールの荷重分布とな
る。すなわち、本実施形態では、サポートユニット3か
ら遠位にある位置にボールナット2の取付け部7を設け
て、ボールナット2の荷重作用位置とねじ軸1の荷重作
用側とを反対側になるように配置したので、軸方向に沿
った荷重分布は両端が相対的に大きく中央部が相対的に
小さい分布となるものの、最大値と最小値との差が小さ
くなる。つまり、ボールへの負荷が均一化される。
【0032】ここで、本発明とは異ならせて、図4
(a)に示すように、サポートユニット3から近位の位
置にボールナット2の取付け部7を設けて、ボールナッ
ト2の荷重作用位置と軸の荷重作用側を同じ側にした場
合には、ねじ軸1を剛体と仮定し且つボールナット2の
弾性変形を考慮すると、ボールの荷重分布は、図4
(b)に表されるように、取付け部7で一番荷重が大き
くなり、他端部(ねじ軸の軸方向他端部1b側)に向け
て徐々に小さくなる。また、ボールナット2を剛体と仮
定し且つねじ軸1の弾性変形を考慮すると、ボールの荷
重分布は、図4(c)に表されるように、サポートユニ
ット3側(ねじ軸1における軸方向一端部1a側)で一
番荷重が大きくなり、他端部(ねじ軸の軸方向他端部1
b側)に向けて徐々に小さくなる。したがって、両者
1,2の弾性変形を考慮すると、図4(d)に示される
ように、玉荷重の最大値と最小値との差が極めて大きく
なる。
【0033】基本的にはねじ軸1及びボールナット2と
も剛体であればこのような問題は生じないが、現実的に
限られたスペースの中で大きな軸方向荷重を受ければ必
然的にねじ軸1及びボールナット2とも軸方向に弾性変
形を生じ、その結果、上述のように玉荷重の軸方向分布
が発生することになる。そして、当然に耐久的には玉荷
重が一番大きい部分が最もつらい部分となり、その部分
から損傷が始まるものと推定される。
【0034】高負荷用途では大きな荷重を受けられるよ
うに、つまり、ボールねじは個々のボールの負荷を軽減
するために螺旋状通路の巻数や列数を多くして負荷ボー
ルを増やす設計を行う傾向にあるが、それによりボール
ナット2の長さが長くなることでボールナット2やねじ
軸1の弾性変形の影響はさらに無視できなくなる傾向と
なる。これに対して、本発明に基づく、ボールねじ装置
にあっては、サポートユニット3との関係でボールナッ
ト2の取付け部7の位置を特定するだけ、ねじ軸1及び
ボールナット2の弾性変形による悪影響が大幅に低減さ
れて、ボールねじ装置の耐久性・寿命の向上に繋がる。
【0035】すなわち、本発明は、高負荷用途のボール
ナット装置になるほど効果が発揮される有効な技術であ
る。ここで、上記実施形態の構成において、ねじ軸1の
縦断面積とボールナット2の縦断面積を等しくした場合
の作用について説明すると、図5(a)及び(b)に示
すように、ボールへの負荷は、軸方向両端部側が同程度
大きくなることで左右バランスがとれて、ボールに対す
る最大荷重を抑えることができる。一方、例えば、従来
と同様に、ねじ軸1の縦断面積よりもボールナット2の
縦断面積を大きくした場合には、左右差が生じて、ねじ
軸1の荷重作用側(取付け部7と反対側つまりサポート
ユニット側)でボールへの最大荷重が大きくなって、ね
じ軸1の縦断面積とボールナット2の縦断面積を等しく
した場合に比べて不利となる。なお、上記図5(a)及
び(b)の荷重分布の違いは、ねじ軸1及びボールナッ
ト2の縦断面積を変えたものである。つまり、図5
(b)は両者の縦断面積を小さくした場合であり、図5
(a)は両者の縦断面積を大きくした場合である。すな
わち、縦断面積が大きいほど有効なことが分かる。な
お、ねじ軸1とボールナット2とを比べると、内側とな
るねじ軸1の縦断面積の方がどうしてもボールナット2
の縦断面積よりも小さくなる傾向にある。弾性変形の影
響を有効に抑えるためにはできるだけそれぞれの縦断面
積が大きい方が望ましいことになるので、ねじ軸1の縦
断面積を大きくしてボールナット2縦断面積と概ね等し
くすることが好ましい。また、縦断面積比の最大値は、
ねじ軸1及びボールナット2の弾性変形のため玉荷重に
よる影響のバランスがある程度とれる範囲として概ね2
以下が好ましい。
【0036】次に、本発明の第2実施形態について図面
を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様
な部品等については同一の符号を付して説明する。本実
施形態のボールねじ装置の基本構成は、図7に示すよう
に、上記第1実施形態と同様である。すなわち、外面に
ボールねじ溝1dを有するねじ軸1と、該ねじ軸1のボ
ールねじ溝1dに対向するボールねじ溝を内面に有する
ボールナット2とから構成され、上記ボールナット2の
ボールねじ溝と上記ねじ軸1のボールねじ溝1dとによ
り形成された螺旋状通路内を多数のボールが転がりなが
ら循環可能となっていると共に、螺旋状通路の軸方向一
端部まで移動したボールを軸方向他端部まで戻す図示し
ない戻り路を備える。
【0037】上記ねじ軸1は、片持ち支持構造となって
いて、軸方向一端部1a側が、サポートユニット3に回
転自在に支持されている。このサポートユニット3によ
るボールねじの支持軸受は、例えばスラストアンギュラ
玉軸受からなる。また、サポートユニット3は固定部材
4に固定される。また、上記ねじ軸1の軸方向一端には
プーリ5が取り付けられ、そのプーリ5を回転すること
でねじ軸1は回転しボールナット2が直線移動するよう
に構成されている。なお、ねじ軸1の軸方向他端部1b
にはストッパ6が取り付けられ、当該軸方向他端部1b
からボールナット2が抜けることを防止している。
【0038】上記ボールナット2は、フランジ部7aを
中央に設けたフランジ合わせのタンダムナット構造によ
り構成され、上記ボールナット2の軸方向中央部に位置
する上記フランジ部7aが取付け部7を構成し、その取
付け部7に対しスライドさせる取付け部材8がボルト止
めされて取り付けられている。上記取付け部7が、軸方
向荷重作用部を構成する。
【0039】ここで、軸方向荷重作用部を構成する取付
け部7をボールナット2の軸方向中央部に設けること
で、当該取付け部7の軸方向両側にそれぞれ、軸荷重が
負荷される螺旋状通路内のボールが位置することにな
る。なお、以下の説明では、上記取付け部7を挟んで、
上記サポートユニット3に近い側のボールナット部分を
近位ボールナット2Aと呼び、上記サポートユニット3
から遠い側のボールナット部分を遠位ボールナット2B
と呼ぶ。
【0040】ここで、従来から、フランジ部7aをボー
ルナット2の軸方向中央部に配置した、フランジ合わせ
のダブルナット構造のボールねじが存在するが、このボ
ールねじで、フランジ部7aをボールナット2の軸方向
中央部に配置する目的は、図11及び図12に示すよう
に、フランジ部7a間に間座20等を挟み込んで螺旋状
通路内のボールに予圧を付与するためである。すなわ
ち、図11に示す従来のボールねじでは、ねじピッチよ
りも厚い間座20を介挿することで引張予圧が付与され
て、フランジ部7aを挟んだ近位ボールナット2Aと遠
位ボールナット2Bとで予圧方向が反対方向となり、こ
の結果、外部荷重に対するボールの主負荷方向が近位ボ
ールナット2Aと遠位ボールナット2Bとでは反対方向
に設定される。また、図12に示す従来のボールねじで
は、ねじピッチよりも薄い間座20を介挿することで圧
縮予圧が付与されて、フランジ部7aを挟んだ近位ボー
ルナット2Aと遠位ボールナット2Bとで予圧方向が反
対方向となり、この結果、外部荷重に対するボールの主
負荷方向が近位ボールナット2Aと遠位ボールナット2
Bとでは反対方向に設定される。このように、従来のボ
ールナットでは、フランジ部7aがボールナット2の軸
方向中央部に配置されていても、外部荷重に対する螺旋
状通路内のボールの主負荷方向がフランジ部7aを挟ん
で反対方向となり、本願発明の対象外(範囲外)となっ
ている。
【0041】これに対し、本実施形態の対象とするボー
ルねじでは、外部荷重に対する螺旋状通路内のボールの
主負荷方向がフランジ部7aの軸方向両側に亘って全て
同一方向となるように設定されている。すなわち、軸方
向荷重が入力された場合に、取付け部7を挟んだ、近位
ボールナット2A及び遠位ボールナット2Bにおける軸
方向荷重の分担の割合が略等しくなるように設定されて
いる。
【0042】外部荷重に対する螺旋状通路内のボールの
主負荷方向を全て同一方向に設定するには、例えば図1
3に示すように、ボールねじ溝の空間よりもわずかに大
きなボール(オーバーサイズボール)を使用してボール
を4点接触させて予圧を与えたり、図14に示すよう
に、予圧を付与しない構成を採用することで達成でき
る。ここで、図13及び図14ではシングルナット構造
で図示しているが、タンデムナット構造であっても良
く、対向するフランジ部7a間に間座を介挿しなくても
良い。間座を介挿する場合には、ねじピッチと等しい厚
さの間座を介挿すれば良い。
【0043】次に、作用などについて説明する。上記構
成のボールねじ装置にあっては、図8(a)に示すよう
に、取付け部材8からボールナット2の取付け部7に軸
方向荷重F1が作用すると、ボールナット2からねじ軸
1に軸方向荷重が伝達され、固定側である軸方向一端部
1aに反力として反対向きの軸方向荷重F2が発生す
る。
【0044】このとき、従来のようにねじ軸1を剛体と
仮定し、ボールナット2の弾性変形を考慮すると、軸方
向に沿ったボールの荷重分布は、図8(b)に示すよう
に、取付け部7の位置で一番荷重が大きくなり、その位
置から軸方向両側に向けてそれぞれ徐々に小さくなる。
一方、ボールナット2を剛体と仮定し、ねじ軸1の弾性
変形を考慮すると、軸方向に沿ったボールの荷重分布
は、図8(c)に示すように、サポートユニット3側
(ねじ軸1における軸方向一端部1a側)で一番荷重が
大きくなり、サポートユニット3から離れていく方向に
向けて徐々に小さくなる。
【0045】実際には、ボールナット2もねじ軸1も軸
方向に弾性変形するので、両者1,2の弾性変位を考慮
すると、図8(d)に示すようなボールの荷重分布とな
る。すなわち、近位ボールナット2A側では、上記第1
実施形態と同様に、ボールナット2での軸方向荷重分布
状態とねじ軸1での軸方向荷重分布状態とが反対側にな
っているので、軸方向に沿った荷重分布は両端が相対的
に大きく中央部が相対的に小さい分布となるものの、最
大値と最小値との差が小さくなる。つまり、ボールへの
負荷が均一化される。特に、上記第1実施形態と同じ負
荷容量を有するボールねじにした場合には、近位ボール
ナット部の軸方向長さが短くなる分だけ上記第1実施形
態よりもボールへの負荷が均一化している。
【0046】また、遠位ボールナット2B側では、ボー
ルナット2での軸方向荷重分布状態とねじ軸1での軸方
向荷重分布状態とが一致するものの、負荷される軸方向
荷重が小さいことと、軸方向長さが短いことから、軸方
向に沿った荷重分布における両端部での荷重差(最大値
と最小値との差)が小さくなり、ボールナット2全体と
してボールへの負荷が均一化している。
【0047】これによって、上記第1実施形態と同様
に、本実施形態のボールねじ装置にあっては、サポート
ユニット3との関係でボールナット2の取付け部7の位
置を特定するだけ、ねじ軸1及びボールナット2の弾性
変形による悪影響が大幅に低減されて、ボールねじ装置
の耐久性・寿命の向上に繋がる。すなわち、本発明は、
高負荷用途のボールナット装置になるほど効果が発揮さ
れる有効な技術である。
【0048】特に、取付け部7をボールナットの軸方向
中央部に設けているので、ボールの負荷分布の均一化を
図りつつ、当該取付け部7を中央に寄せた分だけ、取付
け部材8の取付け部位置が上記サポートユニット3(ね
じ軸の固定側)に近づき、ボールナット装置全体を、上
記第1実施形態よりもコンパクト化することが可能とな
る。
【0049】ここで、ボールナット2としてフランジ合
わせのタンデムナット構造を例に説明しているが、ボー
ルナット2の構成はこれに限定されない。シングルナッ
トでも同様の機能を奏することができる。また、上記ボ
ールナット2では、近位ボールナット2Aと遠位ボール
ナット2Bの外径を等しく、つまり両ナット2A、2B
の縦断面積を等しくしている。両ナット2A、2Bを等
しくすると、製造上のブランクや治工具などが共通にで
きるため、製造が容易となる。
【0050】またこのとき、ねじ軸1の縦断面積とボー
ルナット2の縦断面積とを等しくすると、近位ボールナ
ット2A側では、ボールへの負荷が、軸方向両端部側が
同程度の大きさとなることで左右のバランスがとれて、
ボールに対する最大荷重を抑えることができる。このと
き、縦断面積比の最大値は、ねじ軸1及びボールナット
2の弾性変形のため玉荷重による影響のバランスがある
程度とれる範囲として概ね2以下が好ましい。
【0051】さらに、近位ボールナット2Aよりも遠位
ボールナット2Bの縦断面積を大きく設定すると、より
一層、軸方向におけるボールの負荷分布を均一化でき
る。すなわち、遠位ボールナット側の縦断面積を大きく
することで、遠位ボールナット側で負担される軸方向荷
重が増加して、近位ボールナット側でのボールの負荷が
低くなると共に遠位ボールナット側でのボールの負荷が
増加することで、全体のボールの負荷バランスがより均
一化する。
【0052】次に、上記構成のボールねじ装置を、図6
に示すように、電動射出成形機に採用した実施形態を示
す。なお、アクチュエータを、油圧シリンダ装置から電
動モータ19及びボールねじ装置Aとすることで、電動
射出成形機の消費エネルギーを低減することができる。
図6中、符号10は成形用基台部、符号11は射出部、
符号12は型保持部、符号15は樹脂ホッパをそれぞれ
表している。
【0053】そして、射出機16の一端部に設けられた
ブラケット17(取付け部材8)が、本発明に基づく複
数のボールねじ装置Aにおけるボールナット2の取付け
部7に取り付けられて、当該複数のボールねじ装置Aで
軸方向に送られるようになっている。各ボールねじ装置
Aのねじ軸1における軸方向一端部側は、サポートユニ
ット3を介して射出部11のフレームに固定されると共
に当該軸方向一端部に設けられたプーリに電動モータ1
9の駆動軸がベルト18を介して連結し、モータ19か
らの駆動力が伝達可能となっている。
【0054】このような射出成形機では、電動モータ1
9を駆動することで各ねじ軸1が回転し、各ボールナッ
ト2が軸方向に直線移動することで、射出機16が軸方
向に移動して型保持部12に接近・離隔する。そして、
射出動作によって、射出機16から各ボールナット2に
対しサポートユニット3側に向かう軸方向荷重が入力
し、該軸方向荷重はねじ軸1に伝達され、ねじ軸1では
主にサポートユニット3の位置で受けることとなる。
【0055】このとき、射出力が大きいなど上記軸方向
荷重が大きい場合には、ボールナット2及びねじ軸1に
無視できない弾性変形が生じるが、上記説明したよう
に、取付け部7をサポートユニット3に対して遠位に設
定した本実施形態では、ボールの荷重分布が均一化し
て、上記弾性変形の悪影響が低減するので、電動射出成
形機への適用に好適なボールねじ装置であることが分か
る。
【0056】すなわち、本発明に基づくボールねじ装置
は、大型化や特殊な加工を必要としないにも拘わらず、
高負荷用途に好適であり、コストを上げることなく電動
射出成形機に使用することができる。なお、上記説明で
は、ボールねじ装置として第1実施形態の装置を採用し
た場合を例に説明しているが、上記第2実施形態のボー
ルねじ装置を適用しても同様な作用・効果を発揮する。
【0057】ここで、上記全実施形態では、ねじ軸1が
回転してボールナット2を直線移動させる場合を例に説
明しているが、これに限定されるものではない。ボール
ナット2の軸方向一端部を固定し、そのボールナット2
の一端部と反対方向のねじ軸1の位置から荷重が入力さ
れる場合も上述と同様の作用・効果を有する。また、ね
じ軸1が回転してボールナット2が移動するボールねじ
装置のみならず、ボールナット2が回転してねじ軸1が
移動、ねじ軸1が固定されてボールナット2が回転しな
がら直線移動、ボールナット2が固定されてねじ軸1が
回転しながら直線移動する場合のすべての使用形態に対
して有効である。
【0058】
【実施例】上記各ボールねじ装置の作用効果の実施例に
ついて、説明する。ボールねじ装置としては、図9に示
す4種類の装置であって、(a)は第1実施形態に基づ
く仕様の装置であり、(b)は、比較のための従来の仕
様に基づく装置であり、(c)及び(d)は、第2実施
形態に基づくものであり、(d)は請求項3に基づき近
位ボールねじ2Aよりも遠位ボールねじ2Bの縦断面積
を大きくしたものである。
【0059】すなわち、各ボールねじ装置の内部仕様
は、図9の各図に示されているように、すべてのねじ軸
1の軸径φ100 、リード20、ボールの玉径15.875、ボー
ルナット2での回路数2.5巻4列を同一に設計し、さ
らに、取付け方法とフランジ位置、ナット外径のみを変
更したものである。そして、各ボールねじ装置での内部
の玉荷重分布を計算したところ。図10に示す結果が得
られた。
【0060】この図10の結果から、ボールねじ装置の
内部仕様で決まる負荷容量( 定格荷重) が同じで、それ
に加わる軸方向荷重が同一であっても、 その取付け条
件、フランジ位置、ナット外径の関係によって、実際の
内部の負荷分布は大きく違ってくることがわかる。すな
わち、従来に基づく(b)の装置条件では負荷分布の均
一化が図れないが、請求項1に基づく(a)の装置条件
とすることで負荷分布の均―化が図れることが分かる。
【0061】また、(c)及び(d)は、請求項2に基
づき取付け部7を軸方向中央に設置したものであるが、
(d)はナット外径をA側とB側であえて変えて、遠位
ボールナット2B側の縦断面積を近位ボールナット2A
よりも大きくしたもので、全体のボールへの負荷がより
均一になる様にバランスを取ったものである。 これによ
ると、上記請求項1に基づく(a)と比較しても、最大
玉荷重は同等かそれ以下となっており、何ら遜色はな
い。
【0062】また、ナット外径がA側とB側で同じとし
た(c) であっても、最大玉荷重では(a)にはやや及
ばないものの、従来に基づく(b)と比較して明らかに
軸方向に沿ったボールの負荷分布が均一化していること
が分かる。
【0063】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のボー
ルねじ装置を採用すると、ねじ軸及びボールナットそれ
ぞれの弾性変形による軸方向での荷重分布への影響の傾
向を逆向きにすることでボールの荷重分布が均一化し、
この結果、外力に対する最大玉荷重の大きさを小さく抑
えられるので、高荷重使用環境化での耐久性向上を簡易
に図ることができるという効果がある。
【0064】なお、ねじ軸及びボールナットの縦断面積
をほぼ同一にして両者の弾性変形量をそろえることで、
さらに玉荷重の分布のバランス化をはかって、耐久性の
向上を図ってもよい。ここで、請求項1に係る発明で
は、ねじ軸の軸方向荷重を主として受ける軸方向一端部
から遠方にある軸方向端部側に軸方向荷重作用部が設け
ることから、ボールナットを取り付ける取付け部材は、
ボールナット全体を間においてねじ軸の固定端よりもさ
らに遠いボールナット端部に取付ける分だけ、ボールね
じ装置全体の設計としては軸方向に長くなってしまう。
これに対し、請求項2又は請求項3に係る発明を採用す
ると、同一負荷容量を有するボールねじであっても、請
求項1に係る発明とほぼ同等の負荷分布均一化が実現で
きると共に、例えば、軸方向荷重作用部を例えば、ボー
ルナットの軸方向中央付近に設置すれば、当該軸方向中
央付近に寄せた分だけボールナットの取付け相手部品を
ねじ軸の固定端に近づけることが可能となり、ボールね
じ装置全体の設計を短くすることが出来るという効果が
ある。
【0065】特に、請求項3に係る発明では、請求項1
に係る発明と同程度の均一化を図ることができるという
効果がある。また、請求項4に記載の発明を採用する
と、コストを上げることなく高負荷用途に好適な電動射
出成形機を提供可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るボールねじ装置
を示す図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係るボールねじ装置
本体の構造を示す図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係るボールねじ装置
の作用・効果を説明する図であり、(a)は軸方向荷重
の作用状態を、(b)は、ねじ軸を剛体と仮定した場合
のボールの荷重分布を、(c)は、ボールナットを剛体
と仮定した場合のボールの荷重分布を、(d)は、ねじ
軸及びボールナットの弾性変形を考慮したボールの荷重
分布をそれぞれ示している。
【図4】比較例に係るボールねじ装置の作用・効果を説
明する図であり、(a)は軸方向荷重の作用状態を、
(b)は、ねじ軸を剛体と仮定した場合のボールの荷重
分布を、(c)は、ボールナットを剛体と仮定した場合
のボールの荷重分布を、(d)は、ねじ軸及びボールナ
ットの弾性変形を考慮したボールの荷重分布をそれぞれ
示している。
【図5】本発明の第1実施の形態に係るねじ軸の縦断面
積とボールナットの縦断面積との比によるボールの荷重
分布への影響を説明する図であって、(a)及び(b)
は両縦断面積を等しくした場合であり、(c)はボール
ナット側の縦断面積を相対的に大きくした場合を表して
いる。
【図6】本発明に基づくボールねじ装置を使用した電動
射出成形機を示す図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係るボールねじ装置
を示す図である。
【図8】本発明の第2実施の形態に係るボールねじ装置
の作用・効果を説明する図であり、(a)は軸方向荷重
の作用状態を、(b)は、ねじ軸を剛体と仮定した場合
のボールの荷重分布を、(c)は、ボールナットを剛体
と仮定した場合のボールの荷重分布を、(d)は、ねじ
軸及びボールナットの弾性変形を考慮したボールの荷重
分布をそれぞれ示している。
【図9】実施例における各ボールねじ装置の仕様を説明
する図であって、(a)は請求項1に基づく装置例を、
(b)は比較のための従来の装置例を、(c)は請求項
2に基づく装置例を、(d)は請求項3に基づく装置例
を、それぞれ示している
【図10】図9における各ボールねじ装置における軸方
向に沿ったボールの負荷分布を示す図である。
【図11】螺旋状通路内のボールの主負荷方向を説明す
る図であって、引張により予圧が付与されている従来の
ボールねじを示す図である。
【図12】螺旋状通路内のボールの主負荷方向を説明す
る図であって、圧縮により予圧が付与されている従来の
ボールねじを示す図である。
【図13】螺旋状通路内のボールの主負荷方向を説明す
る図であって、オーバーサイズボールにより軸方向全体
に亘って同一方向に予圧が付与されている場合の図であ
る。
【図14】螺旋状通路内のボールの主負荷方向を説明す
る図であって、予圧が付与されていない場合の図であ
る。
【符号の説明】
1 ねじ軸 1a 軸方向一端部 1d ボールねじ溝 2 ボールナット 2d ボールねじ溝 2e 戻り路 2A 近位ボールナット 2B 遠位ボールナット 3 サポートユニット 4 固定部材 7 取付け部 8 取付け部材 9 ボール F1 取付け部に作用する軸方向荷重 F2 ねじ軸側に生ずる反力

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外面にボールねじ溝を有するねじ軸と、
    そのねじ軸のボールねじ溝に対向するボールねじ溝を内
    面に有する少なくとも1つのボールナットと、そのボー
    ルナットのボールねじ溝と上記ねじ軸のボールねじ溝と
    により形成された螺旋状通路と、その螺旋状通路内を循
    環する多数のボールと、その多数のボールの戻り路とを
    備えると共に、上記ねじ軸は、入力された軸方向荷重を
    主として軸方向一端部側で受けるボールねじ装置におい
    て、 上記ボールナットは、上記ねじ軸の軸方向荷重を主とし
    て受ける軸方向一端部から遠位にある軸方向端部側に、
    上記ボールナットを取り付ける取付け部材からの軸方向
    荷重を受ける軸方向荷重作用部を設けたことを特徴とす
    るボールねじ装置。
  2. 【請求項2】 外面にボールねじ溝を有するねじ軸と、
    そのねじ軸のボールねじ溝に対向するボールねじ溝を内
    面に有する少なくとも1つのボールナットと、そのボー
    ルナットのボールねじ溝と上記ねじ軸のボールねじ溝と
    により形成された螺旋状通路と、その螺旋状通路内を循
    環する多数のボールと、その多数のボールの戻り路とを
    備えると共に、上記ねじ軸は、入力された軸方向荷重を
    主として軸方向一端部側で受けるボールねじ装置におい
    て、 外部荷重に対し上記螺旋状通路内の全ボールの主負荷方
    向を同一方向に設定すると共に、上記ボールナットを取
    り付ける取付け部材からの軸方向荷重を受ける当該ボー
    ルナットの軸方向荷重作用部の軸方向位置を、上記螺旋
    状通路内のボールが当該軸方向荷重作用部の軸方向両側
    にそれぞれ存在する位置としたことを特徴とするボール
    ねじ装置。
  3. 【請求項3】 上記ボールナットにおける軸方向荷重作
    用部を挟んだ軸方向両側の各縦断面積について、上記ね
    じ軸の軸方向荷重を主として受ける軸方向一端部から近
    位にある側の縦断面積に比べて、遠位ある側の縦断面積
    を大きくしたことを特徴とする請求項2に記載したボー
    ルねじ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載し
    たボールねじ装置を使用したことを特徴とする電動射出
    成形機。
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