JP2000229994A - 蛋白質立体構造予測方法及び装置 - Google Patents

蛋白質立体構造予測方法及び装置

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JP2000229994A
JP2000229994A JP3601899A JP3601899A JP2000229994A JP 2000229994 A JP2000229994 A JP 2000229994A JP 3601899 A JP3601899 A JP 3601899A JP 3601899 A JP3601899 A JP 3601899A JP 2000229994 A JP2000229994 A JP 2000229994A
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protein
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JP3601899A
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Minoru Asogawa
稔 麻生川
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】立体構造の制約を考慮し、尤度の高い立体構造
予測を可能とする蛋白質立体構造予測方法及び装置を提
供する。 【解決手段】アミノ酸配列に対して部分配列を生成し、
そのうちの1つあるいは2つの部分配列の全ての組み合
わせを発生する部分配列組み合わせ発生部11と、部分
配列あるいは部分配列の組み合わせの結合エネルギを計
算する結合エネルギ計算部12と、部分配列あるいは部
分配列の組み合わせの立体構造の制約を計算する立体構
造制約計算部13と、計算された結合エネルギと計算さ
れた制約とを初期値として、立体構造の制約を満たしつ
つ部分配列の結合エネルギの総和が最低となる組合せを
求めるホップフィールドニューラルネットワーク部14
と、を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛋白質のアミノ酸
配列からその蛋白質の立体構造を予測する蛋白質立体構
造予測方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】蛋白質は、グリシン(1文字コード:
G)、アラニン(A)、バリン(V)、イソロイシン
(I)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、プ
ロリン(P)、メチオニン(M)、セリン(S)、トレ
オニン(T)、チロシン(Y)、トリプトファン
(W)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、シス
テイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸
(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン
(H)の20種類のL−α−アミノ酸(残基とも呼ばれ
る)が、ペプチド結合により直鎖状に結合した、ポリペ
プチドである。直鎖状ポリペプチドが折り畳まることに
より、蛋白質の複雑な立体構造が形成される。これは、
アミノ酸配列上連続していない主鎖の原子同士が、水素
結合やジスルフィド結合(システイン側鎖同士の脱水結
合;−S−S−)などの弱い結合を形成することに起因
する。
【0003】水素結合では、主鎖において酸素と窒素に
結合している水素が、配列の他の部分の窒素に結合して
いる水素と酸素にそれぞれ結合する。したがって、1残
基は、直接には1残基と結合する。水素結合によるこの
ペアによって決まる構造には、αヘリックスと呼ばれる
螺旋構造と、βシートと呼ばれるシート状の直線的構造
がある。αヘリックスは、3.5〜6残基周期の螺旋で
あって、i番目の残基とi+4番目の残基の主鎖同士が
水素結合して形成された安定な構造である。一方、βシ
ートは、主鎖同士が水素結合しペアを作り、そのペアが
連続して膜のような構造を形成したものである。βシー
トには、主鎖の延びる方向が同じ向きで結合する平行β
シートと、反対方向で結合する反平行βシートの二種類
がある。蛋白質の立体構造において、蛋白質分子の個々
の局所構造間の相互作用が、立体構造形成にどのように
寄与をしているかを解析することについては、松尾、
“蛋白質分子立体構造解析装置”,特開平4−0749
01号公報(以下、文献1と称す)に詳しく述べられて
いる。
【0004】βシートにおいて、アミノ酸配列上で隣り
合う残基では、水素結合を介して対向する残基対と水素
結合を介せずに対向する残基対があり、1残基は見かけ
上2残基と隣り合う。また、この時、結合した残基の側
鎖の分子が相互に干渉することによって、対になりやす
い残基対となりにくい残基対が決まる。これらについて
は、例えば、Branden, C., and Tooze, J., "Introduct
ion to Protein Structure", Garland Publishing,(199
1)(日本語訳は、「タンパク質の構造入門」、教育社、
1992年(以下、文献2と称す))に詳しく述べられ
ている。
【0005】ところで、蛋白質の立体構造は、その蛋白
質に固有の生物的活性、機能の発現と密接に関連してお
り、蛋白質の立体構造を知ることは、その蛋白質の機能
の発現メカニズムの探求や、薬理学的解析、新薬の開発
などの分野において重要である。しかしながら、X線回
折などの手法による蛋白質の立体構造の実測には、多大
な時間、費用がかかるとともに、結晶化できない蛋白質
などについては、測定を行うことができないという問題
点がある。新薬設計の分野では、新規蛋白質合成以前に
立体構造を知りたいこともある。そこで、与えられたア
ミノ酸配列に基づいて、そのアミノ酸配列で表される蛋
白質がどのような立体構造を有するかを予測する技術が
開発されてきた。
【0006】蛋白質のβシートの立体構造を予測する従
来の方法には、大別して2種類のものがある。第1に、
残基がβシートに含まれる統計的な傾向を、データベー
スから予め求め、それを基に配列上で連続するいくつか
の残基がβシートに含まれるかどうかを予測する方法で
ある。この方法については、Chou, P. Y., Fasman, G.
D., "Predicitonof protein confromation", Biochemis
try, 13, 222-245, (1974)(以下、文献3と称す)に詳
しく述べられている。第2に、ペアを構成する統計的な
傾向を、立体構造が分かっている蛋白質よりデータベー
スから予め求めるかニューラルネットワークに学習さ
せ、配列上で総てのペアについてβシートを構成するか
を予測する方法である。これについては、Hubbard T.,
"Use of β-strand Interaction Pseudo-Potentials i
n Protein Structure Prediction and Modelling", Pro
ceedings of the 27th Annual Hawaii International C
onference on System Sciences, pp. 336-334, (1994)
(以下、文献4と称す)に詳しく述べられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来法で
は、実際にそのような立体構造を取ることが可能かどう
かを判定しておらず、立体構造予測装置の出力として、
構造化学的に実現不可能なものも含まれるという欠点が
あった。また、どの部分が立体構造形成に寄与している
のかを解析することについては、文献1に述べられてい
るが、文献1記載の方法は、立体構造自体を推定するも
のではなかった。
【0008】本発明の目的は、実際に立体構造を取るこ
とが可能かどうかを立体構造の制約を用いて判定しつ
つ、配列中でペアを構成する部分配列を決めることによ
り、尤度の高い立体構造予測を可能とする蛋白質立体構
造予測方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の蛋白質立体構造
予測方法は、アミノ酸配列に基づいてアミノ酸配列に対
応する蛋白質の立体構造を予測する方法において、アミ
ノ酸相互の結合エネルギを用いて、アミノ酸配列から得
られる2つの部分配列の全ての組み合わせに対して結合
エネルギを計算し、立体構造の制約を満たし、かつ、部
分配列の組み合わせの結合エネルギの総和が最低となる
組合せをホップフィールドニューラルネットワークを用
いて求めることを特徴とする。
【0010】本発明の蛋白質立体構造予測装置は、アミ
ノ酸配列に基づいてアミノ酸配列に対応する蛋白質の立
体構造を予測する装置において、アミノ酸配列に対して
部分配列を生成し、そのうちの1つあるいは2つの部分
配列の全ての組み合わせを発生する部分配列組み合わせ
発生部と、部分配列あるいは部分配列の組み合わせの結
合エネルギを計算する結合エネルギ計算部と、部分配列
あるいは部分配列の組み合わせの立体構造の制約を計算
する立体構造制約計算部と、結合エネルギ計算部で計算
された結合エネルギと立体構造制約計算部で計算された
制約とを初期値として、立体構造の制約を満たしつつ部
分配列の結合エネルギの総和が最低となる組合せを求め
るホップフィールドニューラルネットワーク部と、を有
する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施の形
態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明
の実施の一形態の蛋白質立体構造予測装置の構成を示す
ブロック図である。
【0012】この蛋白質立体構造予測装置は、立体構造
が未知である解析対象の蛋白質のアミノ酸配列を格納す
る配列格納部10と、配列格納部10に格納された配列
を入力として、アミノ酸同士の結合エネルギを用い、配
列の2つの部分配列の全ての組み合わせを発生させる部
分配列組み合わせ発生部11と、発生させた組み合わせ
に対して結合エネルギを計算する結合エネルギ計算部1
2と、組み合わせ対の立体構造の制約に起因する制約違
反値を計算する立体構造制約計算部13と、結合エネル
ギ計算部12で求めた結合エネルギと立体構造制約計算
部13で計算された制約違反値とが初期値として設定さ
れるホップフィールド(Hopfield)ニューラルネットワー
ク部14と、動作中のホップフィールドニューラルネッ
トワーク部14の各セル(ニューロン)の値を入力とし
て折れ畳みシミュレーションを行い、それら各ニューロ
ンに対してフィードバックを行う折れ畳みシミュレーシ
ョン部15と、を備えている。ここで、ホップフィール
ドニューラルネットワーク部14は、結合の重みが対称
である(i番目のセルからj番目のセルへの結合の重み
ijとその逆方向の結合の重みwjiが等しい)ニューラ
ルネットワークであるポップフィールドニューラルネッ
トワーク(神経回路網)を使用して、立体構造の制約を
満たしつつ部分配列の結合エネルギの総和が最低となる
組合せを求めるものである。
【0013】次に、この蛋白質立体構造予測装置を用い
た立体構造予測の手順について説明する。
【0014】アミノ酸の結合エネルギの計算について
は、実験的に知られているところが少ないので、実際に
立体構造が分かっている蛋白質での統計を基にして求め
る。この求め方については、文献4に詳しく述べられて
いる。蛋白質の部分的な立体構造である2次構造として
は、上述したように、αヘリックスとβシートがある。
文献2には、αヘリックス及びβシートの2次構造の詳
しい定義が記載されている。
【0015】この蛋白質立体構造予測装置では、各2次
構造における残基間の結合エネルギを、統計値を用いて
推定する。例えば、βシートについては、3残基の部分
配列と3残基の部分配列のペアに対して結合エネルギを
求める。3残基という長さは、立体構造のデータベース
の数から仮に定めたものであって、これ以外の長さの部
分配列を用いることも可能である。
【0016】蛋白質のβシート中のストランド間にまた
がる3残基列−3残基列ペアを以下に述べる3つのタイ
プに分類する。ここでは、平行型と反平行型、さらに各
々における水素結合のパターンによって、βシートを3
つのタイプに分類している。図2は、これらタイプを説
明する図である。 タイプH:反平行βシート中の3残基列−3残基列ペア
で両端の残基間に水素結合がある(図2(a))。 タイプA:反平行βシート中の3残基列−3残基列ペア
で中央の残基間にのみ水素結合がある(図2(b))。 タイプP:平行βシート中の3残基列−3残基列ペア
(図2(c))。
【0017】図2において、矢印付きの直線はアミノ酸
配列を表わし(矢印は配列の向き、一般的には、N末端
からC末端に向かう向きを表わす)、円は残基を表わし
ている。βシートにおける平行、反平行は、βシート部
において対向するアミノ酸部分配列の向きが相互に平行
か反平行かを表わしている。
【0018】以下、例として、立体構造が未知な蛋白質
のアミノ酸配列に対して、部分配列組み合わせ発生部1
1により、2つのβシート(βシート1とβシート2)
が得られた場合の処理を説明する。βシート1は、残基
iと残基jがペアになった長さがLen1の反平行βシ
ートであって、部分配列1−1(i,i+1,…,i+
Len1−1)と部分配列1−2(j−Len1+1,
…,j−1,j)とによって構成されているものとす
る。βシート2は、残基kと残基lがペアになった長さ
Len2の反平行βシートであって、部分配列2−1
(k,k+1,…,k+Len2−1)と部分配列2−
2(l−Len1+1,…,l−1,l)とによって構
成されているものとする。図3(a),(b)は、それぞれ、
βシート1及びβシート2を示している。
【0019】配列格納部10から与えられた配列に基づ
いて部分配列組み合わせ発生部11が部分配列を生成
し、βシートを作成すると、結合エネルギ計算部12
が、そのβシートに含まれる3残基列に対して結合エネ
ルギの総和を計算する。その際、上述のタイプに分類し
たところの結合エネルギを計算する。この結合エネルギ
の計算については、本発明者による特開平10−741
89号公報(文献5)に詳しく説明されている。
【0020】一方、立体構造制約計算部13は、部分配
列の組み合わせが蛋白質の立体構造に関する制約条件を
満たしているかどうかを計算する。上述したβシート1
及びβシート2の例では、各βシートが立体構造に関す
る制約を満たしているかを以下に述べる5個の制約条件
に基づいて計算する。
【0021】制約I. 各βシートについて、その部分
配列のすき間が、反平行の場合は2残基以上、平行の場
合は4残基+シート長以上である(図4参照)。これ
は、反平行βシートの場合、2つの部分配列がβシート
を構成する時に最小2残基の畳みしろが必要であるから
である(図4(a))。平行βシートの場合は、最小2残
基の畳みしろが2つと、さらに、アミノ酸鎖がβシート
での始点側に戻るために、シート長分の残基が途中に必
要となる。
【0022】制約II. βシート間の部分配列の組合せ
において、各残基の水素結合の数に矛盾がないかを調べ
る。これは、水素結合を介しては、1残基は最大1つの
残基としかペアを構成できないためである。βシート間
の部分配列の組合せは、ここで述べている例では、部分
配列1−1と部分配列2−1、部分配列1−1と部分配
列2−2、部分配列1−2と部分配列2−1、部分配列
1−2と部分配列2−2である。各部分配列の組合せに
おいて、共通の残基が現れていて、その共通の前記の両
方ともが水素結合を必要としているか、もしくは両方と
も水素結合を必要としていないかを調べる。
【0023】制約III. 各βシート中の残基ペアが、
水素結合を介して対向するか、水素結合を介せずに対向
するかを調べる。この例では、例えばβシート1中の対
向残基ペア、例えば残基i+1と残基j−Len1がβ
シート2中に含まれていて、違う水素結合のタイプに属
するかどうかを調べる。
【0024】制約IV. 2つのβシートが、隣接するβ
シートであるか調べる。これは、立体構造の制約ではな
いが、1つのβシートを2つのβシートに分割すると調
査すべき組合せの数が不必要に増えることを避けるため
である。
【0025】制約V. 2つのβシートが、重複してい
るβシートであるか調べる。
【0026】立体構造制約計算部13は、以上の各立体
構造に基づく制約I〜Vを用いて、βシート1とβシー
ト2とを有するタンパク質の制約違反値を計算する。
【0027】以上のようにして、結合エネルギと制約違
反値が計算されたら、それらを初期値としてホップフィ
ールドニューラルネットワーク部4に設定する。
【0028】ホップフィールドニューラルネットワーク
部4において各セルは、それぞれβシートに対応する。
図5は、ホップフィールドニューラルネットワーク部1
4でのホップフィールドニューラルネットワークの構成
の一部を説明する図であり、この図において、円は、そ
れぞれセル(ニューロン)を表わしている。図示したも
のでは5個のセルが設けられており、各セルがそれぞれ
他のセルと結合している。
【0029】今、N個のβシートがあり、i番目のβシ
ートiに対応するセルiの活性値をxi、結合エネルギ
計算部2で求められれたβシートiの結合エネルギをe
i、立体構造制約計算部3で求められたβシートiとβ
シートjの制約違反値をei,jとして各々表現する(こ
れはホップフィールドニューラルネットワークへの初期
値の設定に相当する)と、ホップフィールドニューラル
ネットワークの全エネルギEは、下記式(1)で表わされ
る。ここで、α1,α2は正の定数である。
【0030】
【数1】 活性値xiは、セルiの膜電位miを用いて式(2)のよう
に表わされる。
【0031】
【数2】 ホップフィールドニューラルネットワーク部14の動作
させるために、各セルの膜電位miを更新する。更新値
Δmiは、全エネルギーEの偏微分値を用いて、式(3)の
ように与えられる。
【0032】
【数3】 ここで、全エネルギEはxiに対して線形なので、式(3)
での微分値の導出は簡単である。
【0033】上記のようにホップフィールドニューラル
ネットワーク部14を動作させるとホップフィールドニ
ューラルネットワークの全エネルギEが単調に減少し、
活性値xiが変化しなくなる安定な点に到達する(収束
する)。このとき、活性値xiが、1.0(もしくはそ
れに非常に近い値)であればβシートiが選択されたこ
とになり、0.0(もしくはそれに非常に近い値)であ
ればβシートiが選択されないことになる。すなわち、
収束時の各セルの活性値xiを読み出すことにより、各
βシートの出現のもっともらしさ(尤度)を求めること
ができる。
【0034】実際には、部分配列組み合わせ発生部11
により、与えられたアミノ酸配列から連続する3残基列
(すなわち部分配列:この部分配列の長さは上述したよ
うに3残基に限定されるわけではない)を全て求め、そ
の3残基列の2つからなる組み合わせを全て発生してそ
れぞれβシートとする。結合エネルギ計算部12は、発
生した全てのβシートに対するそれぞれの結合エネルギ
を計算する。したがって、以上の動作式を用いてホップ
フィールドニューラルネットワークを動作させることに
よって、βシートの結合エネルギの総和が小さく、立体
構造の制約違反のないβシートの組が求まり、これか
ら、与えられたアミノ酸配列に対応する尤度の高い立体
構造を予測することができる。
【0035】上述した説明では、部分配列の組み合わせ
の結合エネルギを計算する結合エネルギ計算部12にお
いて、部分配列の結合エネルギとして、βシートでの結
合エネルギのみを考慮していたが、さらに、αヘリック
スの結合エネルギをも計算することができる。
【0036】αヘリックスの結合エネルギの計算につい
ては、例えば、7残基の部分配列がαヘリックス中に出
現する頻度を求め、結合エネルギを計算すればよい。こ
こで7残基としたのは、立体構造のデータベースの数か
ら仮に決めたもので、これ以外の長さの部分配列を用い
ることも可能である。
【0037】αヘリックスの結合エネルギを計算する場
合には、例えば、長さ(残基数)がNであって立体構造
が未知の配列を得た時、7残基の部分配列に対してエネ
ルギを計算する。同時に、立体構造制約計算部13で
は、上述の5個の制約I〜Vに加えて以下の2個の制約
VI,VIIを勘案し、制約違反値をei,jを計算する。
【0038】制約VI. 2つのαヘリックスが、隣接す
るαヘリックスであるか調べる。これは、立体構造の制
約ではないが、1つのαヘリックスを2つのαヘリック
スに分割すると調査すべき組合せの数が不必要に増える
のことを避けるためである。
【0039】制約VII. βシートとαヘリックスに同
じ残基を含んでいるかを調べる。これは、各残基は、た
かだかαヘリックスまたはβシートのいずれか一方にし
か属さないため、同じ残基を要素とするβシートiとα
ヘリックスjには大きい制約違反値をei,jを与える。
【0040】また、αヘリックスの結合エネルギも考慮
する場合には、ホップフィールドニューラルネットワー
ク部14内のホップフィールドニューラルネットワーク
には、βシートにそれぞれ対応するセルの他に、αヘリ
ックスにそれぞれ対応するセルを設ける。セルiの活性
値eiは、αヘリックスあるいはβシートの結合エネル
ギに対応させる。立体構造制約計算部13で求められ
た、αヘリックスiとαヘリックスjの制約違反値、β
シートiとβシートjの制約違反値、βシートiとαヘ
リックスjの制約違反値をei,jとして各々表現する
と、ホップフィールドニューラルネットワークの全エネ
ルギーEは、上述の式(1)となる。
【0041】ここでは、エネルギ関数Eを最小化するよ
うにホップフィールドニューラルネットワークを動作さ
せるために、最急降下法を用いる。そのためにエネルギ
Eを偏微分し、その偏微分係数に基づいてホップフィー
ルドニューラルネットワークを動作させることによっ
て、立体構造の制約を考慮する。これにより、より尤度
の高い立体構造予測を行うことができる。
【0042】図6は、本発明の別の実施の形態の蛋白質
立体構造予測装置の構成を示すブロック図である。図6
に示す装置は、図1に示す装置に対し、配列の立体構造
の折れた畳みをシミュレーションする折れた畳みシミュ
レーション部15を付加した構成のものである。ここで
は、αヘリックスの結合エネルギも考慮する場合を説明
する。
【0043】折れた畳みシミュレーション部15は、ホ
ップフィールドニューラルネットワークで得られた、α
ヘリックス、βシートの予測に基づいて、分子模型を計
算機中で動作させ、その折れた畳みが可能かどうかをシ
ミュレーションする。このシミュレーションにより、例
えば、βシート中に含まれている残基同士が、残基間の
距離が十分であるが、途中にαヘリックスが挿入される
ことによって、残基間の距離が短くなりβシート中でペ
アにならなくなる、といったことを予め知ることができ
る。折れ畳みシミュレーションの結果をホップフィール
ドニューラルネットワークにフィードバックして制約違
反値に加味することにより、より精度の高い立体構造予
測を行うことが可能になる。折れ畳みのシミュレーショ
ンの詳細については、Hirosawa M., Feldmann R., Rawn
D., Ishikawa M., Hoshida M. and Michaels G., "Fol
ding Simulation using Temperature Parallel Simulat
edAnnealing", Procedings of FGCS 1992, pp. 300-306
(1992)(文献6)に詳しく述べられている。
【0044】
【発明の効果】従来法によれば、探索に対する計算量が
配列の長さの4乗に比例して大きくなるため長い配列に
対しては適用が難しかったり、遠距離にあるβシートの
予測が不能になったりするなどの問題点が生じるのに対
し、本発明によれば、立体構造の制約を考慮し、結合エ
ネルギとともに立体構造の制約から求められた制約違反
値を初期値としてホップフィールドニューラルネットワ
ークを動作させることにより、尤度の高い立体構造予測
を行うことができるという効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の蛋白質立体構造予測装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】タンパク質のβシート中のストランド間にまた
がる3残基列−3残基列ペアの3つのタイプを説明する
図である。
【図3】βシートを説明する図であり、(a)はβシート
1を、(b)はβシート2をそれぞれ示している。
【図4】2つのβシート間のすき間を説明する図であ
り、(a)は反平行βシートの場合を、(b)は平行βシート
の場合を示している。
【図5】ホップフィールドニューラルネットワーク部の
構成を説明する図である。
【図6】本発明の別の実施の形態の蛋白質立体構造予測
装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 配列格納部 11 部分配列組み合わせ発生部 12 結合エネルギ計算部 13 立体構造制約計算部 14 ホップフィールドニューラルネットワーク部 15 折れ畳みシミュレーション部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ酸配列に基づいて前記アミノ酸配
    列に対応する蛋白質の立体構造を予測する方法におい
    て、 アミノ酸相互の結合エネルギを用いて、前記アミノ酸配
    列から得られる2つの部分配列の全ての組み合わせに対
    して結合エネルギを計算し、立体構造の制約を満たし、
    かつ、前記部分配列の組み合わせの結合エネルギの総和
    が最低となる組合せをホップフィールドニューラルネッ
    トワークを用いて求めることを特徴とする蛋白質立体構
    造予測方法。
  2. 【請求項2】 前記部分配列あるいは前記部分配列の組
    み合わせの立体構造の制約を計算して制約違反値とし、
    前記結合エネルギとともに前記制約違反値を初期値とし
    て前記ホップフィールドニューラルネットワークに設定
    する、請求項1に記載の蛋白質立体構造予測方法。
  3. 【請求項3】 前記ホップフィールドニューラルネット
    ワークによって表わされる立体構造が折れ畳み可能かど
    うかをシミュレーションし、シミュレーション結果を前
    記ホップフィールドニューラルネットワークにフィード
    バックする、請求項1または2に記載の蛋白質立体構造
    予測方法。
  4. 【請求項4】 アミノ酸配列に基づいて前記アミノ酸配
    列に対応する蛋白質の立体構造を予測する装置におい
    て、 前記アミノ酸配列に対して部分配列を生成し、そのうち
    の1つあるいは2つの部分配列の全ての組み合わせを発
    生する部分配列組み合わせ発生部と、 前記部分配列あるいは部分配列の組み合わせの結合エネ
    ルギを計算する結合エネルギ計算部と、 前記部分配列あるいは部分配列の組み合わせの立体構造
    の制約を計算する立体構造制約計算部と、 前記結合エネルギ計算部で計算された結合エネルギと前
    記立体構造制約計算部で計算された制約とを初期値とし
    て、立体構造の制約を満たしつつ部分配列の結合エネル
    ギの総和が最低となる組合せを求めるホップフィールド
    ニューラルネットワーク部と、を有することを特徴とす
    る蛋白質立体構造予測装置。
  5. 【請求項5】 前記結合エネルギ計算部が、前記部分配
    列の組み合わせにより表現されるβシートに関し、平行
    型と反平行型、さらに各々に対して水素結合のパターン
    によって合計3つのタイプに分類した結合エネルギを計
    算する請求項4に記載の蛋白質立体構造予測装置。
  6. 【請求項6】 前記結合エネルギ計算部が、前記部分配
    列により表現されるαヘリックスに関して結合エネルギ
    を計算する請求項4または5に記載の蛋白質立体構造予
    測装置。
  7. 【請求項7】 配列の立体構造の折れ畳みをシミュレー
    ションする折れ畳みシミュレーション部をさらに有し、
    動作中の前記ホップフィールドニューラルネットワーク
    部の値を前記折れ畳みシミュレーション部への入力とし
    て折れ畳みシミュレーションを行ない、前記ホップフィ
    ールドニューラルネットワーク部の値に対してフィード
    バックを行なう請求項4乃至6いずれか1項に記載の蛋
    白質立体構造予測装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008059642A1 (fr) * 2006-11-13 2008-05-22 Nec Soft, Ltd. Procédé pour la prédiction d'une structure d'acide nucléique d'ordre supérieur, appareil pour la prédiction d'une structure d'acide nucléique d'ordre supérieur et programme pour la prédiction d'une structure d'acide nucléique d'ordre supérieur
JP2022531295A (ja) * 2019-05-02 2022-07-06 ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム 合成タンパク質の安定性を高めるためのシステムおよび方法

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